―side:Akari―
3年前の4月某日。あの頃、パパやママは仕事で忙しくて私は家に一人でいる事が多かった。
寂しく感じていた私は両親にある我が儘を言った。
「最近は仕事ばっかりだよね、偶には息抜きも必要だよ?」
「う~ん、それもそうね…」
「なら、次の日曜日は二人で休暇を取るか!」
「わーい!パパ)ママ!ピクニック行こうよ!川に行って魚とか釣ろうよ!」
その我が儘がすべての―私の“罪”の始まりだった。
ピクニックへ行く日。私達は近くの川へ歩いて向かっていた…この後に何が起きるのかを知らずに。
“何か”がぶつかって飛ばさた大きな音がした。
その“何か”が“パパ”で、ぶつかって来たのがピックアップトラックである事に気付くのに数十秒かかった。
そのピックアップトラックから二人の男が降りてきた。
「あ~あ、やっちまったぜ」
「おいおい、どーすんだよ?」
「そいつは山の中にでも棄てとけ。その二人は…目一杯楽しませて貰おううぜ」
奴らは指名手配中の強盗犯だった。私達は奴らに脅されて無理やり車に乗せられ、山の中にある小屋へと連れて来させられた。
“パパだったもの”は山の中に棄てられ
「さぁ、お楽しみはこれからだぜ」
私とママは奴らに服を無理矢理引き剥がされ、強姦された。
痛かった。いくら私が止めてほしいと思っても奴らは止めなかった。
一方のママはパパを失い、奴らに犯された事で完全に精神崩壊してしまった。
「あ~あ、こいつもう駄目だわ」
「娘の方はまだ大丈夫なのによ」
「んじゃ、始末するか」
「そうだな」
そして、ママは奴らに拷問されて死んだ。
この時から私は“奴らを殺したい”と思うようになり、“奴らをどう殺すか”考えていた。
ママの死から3日ぐらい経った日の夜。
奴らは盗んだらしい酒を飲んで酔っ払って寝ていた。
(チャンスは今しかない…!)
私は近くに落ちていた―と言うよりは隙を突いて予め隠していたナイフで両腕を縛っていたロープを切断する。
それから私は奴らが所持していたワルサーP38とその弾薬、そしてチェーンソー、ハンマー、スタンガンを回収する。
(これで準備が出来た…後は殺すだけだ…!)
私はまずスタンガンを奴らの首元に当てて気絶させ
「先ずは動けなくする為に手足を奪わないとね」
チェーンソーで奴らの手足を切断した。
流石の激痛で起きてしまったけれど、どうせ動けないし問題はない。
「クソッ!何しやがるんだこのメスガキ!」
「何しやがる…それはこっちのセリフなんだよ」
私は奴らの内の片方―私を犯した奴の腹を思いっきり踏みつける。
「俺から大切な物を奪っておいて…お前ら、覚悟は出来てるんだよな」
「おい寄せ止め―」
私はそいつの口の中に銃口を突っ込んで引き金を引いた。
「こ、この人殺し!」
もう片方―パパを牽き殺しママを犯して殺した奴がそうほざく。
「どの口がほざくのかね」
私は奴の股間にある“それ”をナイフで根元から切断した。
「これがママを壊した物だね
私は切断した奴の“それ”を奴の顔の隣に投げ捨て、そして奴が見ている中で“それ”をハンマーで叩き潰した。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい―」
この期に及んで謝罪―命乞いとかみっともない。
「はい、許しますって言うとでも思った?」
私はゆっくりと銃口を奴の口の中へ突っ込む。
「さ~て、これで憎い奴ともおさらばだね。殺してやる…俺の手で地に堕ちろゴミ!」
私は引き金を引いて、奴らへの復讐を終えた。
だけど、私にも“天罰”が下った。
パパやママを死なせるキッカケとなり、どんな屑であろうが人を殺した事への天罰。
私の目の前に空から怪獣―ジェネラル級ジーオスが着陸してきて、私を叩き飛ばした。
―side out―
「―幸いにもすぐにネストのMSが来てジーオスを殲滅したから私は一命を取り留めたけど…このままでは二度と身体は動かないだろうと医者に言われた時、ある提案を受けた。
アデプトテレイターになれば自由に動けるようになるし、政府のジーオスといった怪獣などへの対策機関―ネストへ入れば私の刑罰―殺人罪も帳消しになる。まぁ、その事はどうでもいいけどね。
ただ、一生動けないのもあれだし私は人間を卒業してアデプトテレイター、その中でも鋼鉄の鎧―トランステクターとの融合によってトランスフォーマーへとなれる存在―アデプトマスターとなってジーオスと戦う道を選んだ」
あかりが両親の死から殺人を犯した事、そしてアデプトマスターとなった経緯までを話し終えた後、希はあかりに質問した。
「じゃあ、ウチと初めて会った時には…」
「既にアデプトテレイターになってた。
あの病院にいたのは手術後でまだ慣れない義体に慣れる為のリハビリをする為だったんだよ」
「どうして…今までそんな大切な事を…」
穂乃果の問いにあかりは振り向いて…笑みと涙を浮かべて泣きながらこう答えた。
「言えるわけないよ…私が私怨で殺人を犯した人殺しだって…人間じゃなくなってるって…
可笑しいよね…奴らを殺した事に後悔はないって思ってたのにみんなと会って人殺しになった事に後悔している…矛盾しているよね…」
この時、μ'sの面々は気付いてしまった。
“頼尽あかり”という存在は既に、両親を失った時には既に“壊れていた”という事に。
ヴェルと一緒にいた事で均衡を保っていた精神は彼女と離れた事で再び不安定となったのだ。
「“俺”はな、そんな矛盾だらけのあいつらと同じ最低な屑なんだよ。だからこそ皆と一緒にいる資格なんてない。
お前らとは関わらない方が良いんだ―「あかりちゃんの馬鹿!」っ!」
穂乃果の怒鳴り声にあかりは驚く。
「あかり、確かにあなたがした事は許される事じゃない、人として最低の行為だわ。
そんな真実を知れば軽蔑され嫌われると思ったから、見離される自分から離れようとした…違う?」
にこの言葉を否定できないあかりににこはこう続けた。
「私を甘く見るんじゃないわよ!私達はそんな事であんたを軽蔑しないわ!だから私達は此処にいるのよ!」
「にこの言うとおりよ。過去はどうあれ、あかりは私達にとって大切な仲間である事、親友である事に変わりはない。
それに私はあなたがアイドル研究部を辞める事を認めないわ」
「凛ね、あの時のあかりちゃんの言葉があったからμ'sのメンバーとして今此処にいるんだよ…あかりちゃん、ありがとう」
「エリチもあかりちゃんにずっとお礼が言いたかったんよ。
あの時、あかりちゃんと出会ったから音ノ木坂を知って、みんなと…掛け替えのない大切なみんなと出会う事が出来た。ありがとう、あかりちゃん」
「私、もっとあかりちゃんと話がしたい…!
アイドルの事…それからあかりちゃんが好きなアニメにも興味が出てきたから…その事でもっと話がしたい!だから辞めないで!」
「あかり、貴女は…その…私にとって初めて出来た“親友”なのよ!
そんな貴方に私のピアノをもっと聴かせたい!
だから、勝手に辞めるんじゃないわよ!」
「こう言うのも恥ずかしいですが…あかり、貴方は私にとって憧れの人物で目標なんですよ。
そして、今でも憧れの人物で目標である事は変わっていません」
「あかりちゃん、あかりちゃんはあかりちゃん自身が思ってる様な最低な人じゃないよ。
あかりちゃんは優しい人だよ…それは昔から今でも変わらないよ」
絵里、凛、希、花陽、真姫、海未、ことりの言葉にあかりの心を包んでいたどす黒い殻にヒビが入っていく。
そして穂乃果はあかりを抱き締めた。
「あかりちゃん…ごめんね…苦しんでいる事に気付けなくて…」
「すべては私がやった事への罰だから…私は咎人だから」
「違う!あかりちゃんは咎人じゃない!
過去は関係ない、今のあかりちゃんは皆を守る為に戦ってるんだよね!
だったらあかりちゃんは咎人じゃなくて戦女神なんだよ!」
「私が戦女神…それで良いのか…?」
あかりの言葉をμ'sの面々は肯定する。
「私は…俺は…良いのか…みんなといる資格があるのか…」
「資格なんか関係ない。一緒にいて良いんだよ…だからこれ以上、自分を責めないで」
心を覆っていたどす黒い殻が完全に割れたあかりは思いっきり泣いた、今まで溜めていたものを吐き出すかの様に泣き続けた。
暫くして落ち着いた頃
「みんなからも救われる事になるなんてね…でも、私は届を出した筈なんだけど…」
あかりはふと思った事を口にした。
「その届けなんやけど―」
「実は受理する前、うっかり水溜まりに落としてボロボロになって拾おうとしたら破れちゃったのよ。ごめんなさいね。
それに言ったでしょ?あなたが辞める事を認めないわ、って」
希と絵里の言葉と水に濡れて破れた退部届にあかりは唖然し、そして“端っから受理する気がない”事に気付いて大笑いした。
「全くどいつもこいつも!ドジっ娘のお節介者のお人好しめが!…まぁ、そんな所、嫌いじゃないんだけどね!」
そして、あかりは皆に対し敬礼し、改めて自己紹介をする。
「俺は特殊災害対策機関《ネスト》所属特殊隊員兼音ノ木坂学院一年生、頼尽あかりだ!
ネストでの現階級は大尉!
趣味は…話すと長くなるから省略!
今まで以上にマネージャーとしてビシバシやってくから今後とも宜しくな!」
それは9人の女神と鋼鉄の騎士の新たな“始まり”であった。
To be continue 4th stage…