ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第4章『夢を再び』
第34話『新たな始まりの歌』


アメリカにあるネストの訓練施設。

其処では銀色の巨人―ドレッドバイトが二体の巨人と戦いを繰り広げていた。

方や胴体や脚部がバトルマグナスと同じ形状の黒い巨人、方やドレッドバイトに似ながらも胸部と頭部、肩の恐竜の頭部の形状が異なる巨人である。

二体の巨人の攻撃をドレッドバイトは回避し、剣―ENソーブレードを振りかざすが、その一撃は二体に当たる寸前で止まった。

「…今日は此処までだ」

ドレッドバイトの言葉に

「「ありがとうございました!」」

二体の巨人は頭を下げた。

 

ドレッドバイト―風見ヴェールヌイは現在、後輩たる二人のアデプトマスターの教官として面倒を見ていた。

一人が黒い巨人―アルタリマスのアデプトマスターである岬風明乃、もう一人が恐竜型の巨人―ホルンファングのアデプトマスターである知名谷もえかである。

 

 

 

一方、音ノ木坂学院では…

「音ノ木坂学院は、入学希望者が予想を上回る結果となったため、来年も生徒を募集することとなりました。

三年生には残りの学園生活を悔いの無いよう過ごす事、一年生、二年生にはこれから入学してくる後輩達の善き手本となる様に―」

講堂の壇上にて理事長が挨拶し降壇した後

「理事長、ありがとうございました」

今回の進行役であるヒデコが会を次へ進める。

「続きまして、生徒会長の挨拶。生徒会長、お願いします」

その言葉を受け、観客席から絵里は立ち上がるのだが、絵里は壇上へと上がらず、他の誰かを待っているかの様にただ小さな拍手をする。

舞台袖から徐々に姿を見せるその人物に生徒達の黄色い歓声が上がり、その人物は壇上のマイクまでやってきて言葉を発した。

「皆さん、こんにちは!この度、新生徒会長となりました、スクールアイドルでお馴染み!」

その者は一旦言葉を区切り、いきなりマイクを掴んで高く高く放り投げたのだ。

無事にマイクをキャッチしたその人物は遂に名乗った。

「高坂穂乃果と申します!」

 

 

―これまでのラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神(side:Akari)―

 

 

私は頼尽あかり。ジーオスを始めとする怪獣などへの政府の対策機関―ネストに所属する特殊隊員にして音ノ木坂学院に通う高校一年生!

 

日本へと帰国し、音ノ木坂に入学したは良かったけど、その音ノ木坂は生徒数の現象から廃校の危機に陥ってしまう。私達一年生に関しては1クラスだけなんだよ!

 

そこで廃校を阻止しようと母方の従姉妹の高坂穂乃果が立ち上がった。

穂乃果は今話題のスクールアイドルとなって学校をアピールする事で入学希望者を増やそうと考えた。

 

そして、穂乃果が立ち上げたスクールアイドルに幼なじみの南ことり、園田海未、私と同じ一年生の西木野真姫、小泉花陽、星空凛、三年生の矢澤にこ、東條希、絢瀬絵里が集まり、私も彼女達―μ'sのマネージャーとして廃校を阻止するまで協力する事なった。

 

合宿や学園祭のライブ、ことりの留学騒動などを経てμ'sは結束力をより深めていった。

 

 

そして、“血塗られた咎人”であった私は彼女達の存在、そして彼女達の言葉に救われた。だからこそ私は決めた。

 

 

私はμ'sのマネージャーにして“鋼鉄の戦女神”として廃校を阻止した後も彼女達を支えていくと!

 

 

―side out―

 

 

数十分後の生徒会室。

「あぁ~疲れたぁ~!」

「穂乃果ちゃん、お疲れ様。良い挨拶だったよ」

机に突っ伏して呻く穂乃果にことりは労いの言葉を掛ける。

「あれのどこが良い挨拶ですか!言いたいことがありますが―」

そう言って海未は大量の書類の束を穂乃果の前に置いた。

「今日はこれをすべて処理して帰ってください!」

「え、ええっ!?もう!少しくらい手伝ってくれてもいいんじゃん!海未ちゃん、副会長なんだし!」

穂乃果が生徒会長になったという事は海未とことりも役員になるのは必然的でもあった。

海未が副会長、ことりが書記である。

さて、穂乃果の助けを受けた海未であったが…他にも仕事があるのでバッサリと切り捨てた。

ことりに助けを求めようとするが海未がそうさせないのだ。

「ふえぇ~…生徒会長って大変なんだねぇ…」

「分かってくれたかしら?」

「ふっふっふ。頑張っているかね、君達~?」

そう言って入って来たのはからかい交じりに笑みを浮かべた絵里と希である。

「大丈夫?挨拶、だいぶ拙い感じだったわよ?」

実はあの挨拶、名乗るまでは良かったが…その後がグダグダになってしまったのだ。

「うぅ…すみません…それで、今日は?」

「特に何かあるって訳じゃないけど、私が推薦した手前、どうしているか心配で」

余談だが絵里はあかりを生徒会に推薦しなかったのだが、これは彼女がμ'sのマネージャーであると同時にネストの特殊隊員である事を考慮したからだったりする。

 

 

そんなあかりだが…部室でμ'sの今後のスケジュールを考えていた。

しかし其処へ何やら焦っているμ'sの面々がなだれ込んできた。

「What!?みんなどうしたの!?」

「あかり!もう一度ラブライブがあるわよ!」

にこの言葉にあかりもまた驚愕するのだった。

 

 

 

 

その後、ある程度落ち着いた面々はテーブルに着き、花陽が説明を始める。

あかりなりに簡潔に纏めると

・A-RISEの優勝と大会の成功で終えたラブライブ、その第二回大会が早くも決定。

・今回は前回を上回る規模になり、ネット配信やライブビューイングまである。

・今回は前回の様なランキング制ではなく各地で予選が行われ、各地区の代表になったチームが本選へ進める

という事である。

「現代がアイドル戦国時代なら、これはまさにスクールアイドル戦国時代!

予選のパフォーマンス次第では本大会に出場できる!下克上です!」

「でも、待って…地区予選があるっていう事は私達、A-RISEとぶつかるってことじゃない…?」

絵里の指摘に皆の士気は下がった。

そんな空気を切り裂くかの様に海未は口を開いた。

「確かにA-RISEとぶつかるのは苦しいですが、だからと言って諦めるの早いと思います」

「そうそう、やる前から諦めてたら何も始まらないよ」

「あかりの言うとおり、エントリーは自由なんだし、やってみましょう!」

絵里の言葉に皆の士気は再び上がるが…

「ぷはぁ~」

一人だけ雰囲気が違っていた。

呑気に茶を啜り、ほっこりしている穂乃果へ皆からの視線が集中する。

一拍置いて穂乃果は言い放った。

「出なくても、良いんじゃない?ラブライブ、出なくても良いと思う!」

その言葉にμ'sの面々は信じられないと言わんばかりの反応をするが…あかりは穂乃果がどういう思いでそう言ったのか考えていた。

 

 

その後、穂乃果の提案で寄り道をする事になった。

「これは…?」

ゲーセンのとある機械に?を浮かべる絵里。

「えぇ!?プリクラを知らないの!?」

そして、プリクラの機能に絵里は『ハラショー』を連発、あかり曰わく『ハラショーのバーゲンセールだなおい』である。

 

その後、穂乃果以外のメンバーは通話による話し合いをしたが、ラブライブに出たいという結論で収まったのだった。

 

その日の話し合いの後、あかりは穂乃果の元を訪れた。

「あかりちゃん、どうぞ」

「ありがとう、いただきます」

お茶を飲み、ほむまんを食べて一息吐くあかり。

「ねぇ、あかりちゃん。あかりちゃんもやっぱり出た方が良いと思う?」

「…う~ん、そうだねぇ…其処は穂乃果自身がこの先後悔しない為にもよく考えて決めるべきだよ。

それと、“一人は皆の為に、皆は一人の為に”だよ。

みんなは迷惑だって思ってないし、それどころか穂乃果のやりたい事に協力するよ。勿論、私もだよ」

 

 

 

翌日の放課後、μ'sの面々とあかりは神田明神に集まっていた。

「良い!これから二人でこの石段を競争よ!」

石段の下ではジャージ姿になった穂乃果とにこが並んで、それぞれストレッチをしている。

 

事の始まりは昼休憩。

 

生徒会の資料を運んでいた穂乃果ににこが勝負を申し込んだのだ。

(比喩表現抜きで皆の一生の後悔となるかならないかの分岐点だね)

あかりはそう考えつつ成り行きを見守る。

穂乃果とにこはクラウチングスタートの姿勢を取り

「よ~い―ドン!」

とにこはまさかのスタートの早出しである。

先頭をキープするにこに追い付こうと穂乃果も石段を駆け上がるが

「にこちゃん!」

にこが石段に躓いて転んだのだ。

「もう、ズルをするからだよ」

「…うるさいわね。ズルでも何でも良いのよ!ラブライブに出られれば!」

まるでにこの心の涙を代弁するかの様に雨が降り始めた。

 

「―そう、三月になったら私達は卒業、こうして一緒にいられるのはあと半年。

それにスクールアイドルでもいられるのも在学中のみ。

つまりこの9人でラブライブに出られるのは―今回が最後になるわ」

絵里の口から告げられる避けられない、避けようもない事実であった。

「やっぱり、皆…」

「私達もそう。例え、予選で落ちちゃったとしても、私達が頑張った足跡を残したい!」

花陽の言葉―それは凛と真姫の意志でもあった。

「私は穂乃果ちゃんの意志に従うよ。これからもずっと」

ことりの意志―それは彼女らしいものであった。

「また自分のせいで、また皆に迷惑を掛けてしまうと、心配しているんでしょう?

ラブライブに夢中になって、周りが見えなくなって、生徒会長として学校の皆に迷惑を掛けるようなことがあってはならないと」

海未に図星を突かれた穂乃果は苦笑いを浮かべる。

「…あはは、全部お見通しなんだね。

スクールアイドルを始めたばかりの頃は何も考えずに突っ走ることが出来たけど、今は何をやったらいいのか分からなくなる時がある。

でも、一度は夢見た舞台だからやっぱり出たい!

生徒会長やりながらだから、また皆に迷惑掛けちゃうかもだけど、ほんとは物凄く出たいよ!」

「穂乃果、“一人は皆の為に、皆は一人の為に”って言っただろ?」

あかりの言葉の後、皆は歌を紡ぐ。

己の可能性を信じ、後ろを振り向かず進んでいく者へのエールたるその歌を噛み締め、穂乃果は雨空の下へ走り出し、思いっきり深呼吸して叫んだ。

「雨、止めー!」

すると偶然なのか穂乃果の思いが通じたのか…本当に雨が止んだのだ。

あかりは楽しみでしょうがなかった。

μ'sという9人の女神が目指すその先を。

 

 

 

 

「本当に止んだ!人間その気になれば何だって出来るよ!

ラブライブに出るだけじゃもったいない!

この皆で出せる最高の結果を…優勝を目指そう!!

ラブライブのあの大きな会場で精一杯歌って、私達…一番になろう!!」

 

 

 

 

To be continue

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