ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第35話『スランプ』

さて、今日のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神はアイドル研究部部室から物語を始めるとしよう。

「ラブライブの予選で発表できる曲は、今までの未発表の物に限られるそうです!」

「何…だと…」

花陽の説明にあかりを始め皆は震撼する。

参加希望チームが予想以上に多かったらしく、中にはプロのアイドルのコピーをしているチームまでエントリーを希望していたのが理由らしい。

「つまり、此処で篩にかけようという訳やね」

「そして、残りの期間で新曲を作れって事でもある…」

希とあかりの言うとおりである。

「しょうがないわねぇ。こんなこともあろうかとこの前作詞したにこにーにこちゃんで―」

「こうなったら作るしかないわね…」

にこの意見をスルーして絵里は発言する。

「ど、どうやって…?」

「答えは簡単よ穂乃果。真姫!」

「ヴェ!?もしかして…」

「ええ。次の連休に合宿よぉぉぉぉぉぉぉ!」

テンション高い絵里に

(あぁ、加入前のお堅い生徒会長というイメージがすっかり消えちゃったなぁ…これじゃ賢い(笑)かわいいエリーチカだよ…)

とあかりはしみじみ思うのだった。だが、同じ事を他の面々も思っていた様だ。

そして、続いて皆の視線があかりの方へ向けられる。

「な、何かな…みんな…」

「あかりちゃん!私達を別荘まで乗せてって!」

「乗せてってってそれはどういう意味なのかな…穂乃果」

まさか…と思っているあかりだったがそのまさかであった。

「勿論あかりちゃんのトランステクターにだよ!」

「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

かくしてμ'sの面々とあかりは真姫の別荘へと向かった

…流石にあかりのビークル時のバトルマグナスには最大2人しか乗れないので、μ'sの面々はトラックが牽引しているトレーラー(人員輸送用)に乗っている。勿論、安全に配慮をしている。

 

 

そして、真姫の別荘へと到着した。

「Wow…It's so big…」

「希…私の台詞を取らないで…」

「あ~ごめんな、あかりちゃん」

「時間がもったいないから早く行くわよ」

真姫は別荘の扉を開け、中を軽く案内した。

ピアノやおら金持ちの家で良く見る天井の回る扇風機の羽みたいなアレに

「暖炉だ!」

「初めて見たよ~!早速火を付けてみるにゃー!」

暖炉である。

穂乃果と凛に真姫はバッサリ言った。

「つけないわよ。まだ寒くないし、それに冬になる前に暖炉を汚すとサンタさんが入りにくくなるって、パパが言ってたの」

真姫の言葉に顔を見合わせる穂乃果と凛。

「素敵なお父さんですね」

海未の言葉に気を良くしたのか、真姫は更に説明を続けた。

「ここの煙突はいつも私が綺麗にしていたの。

去年までサンタさんが来てくれなかったことはないんだから。証拠に、中見てみなさいよ」

穂乃果と凛が暖炉の中を覗くとサンタのイラストとメッセージが描かれていた。

そんな中…

「ぷぷっ…あんた…真姫がサンタ―」

「にこちゃん!」

「それ以上は駄目よ!」

にこへ詰め寄る花陽と絵里にあかりも加担する。

「にこ…それは純粋な少女の一生を左右しかねない重罪だよ…

もしそれ以上口にしたら…コイツで手足を縛った後、監禁プレイしてたよ…」

あかりは笑顔でそう言うが…目が笑ってないどころかどこから持ってきたのか細めの縄を持っていた。

にこはまた一つ学んだ…あかりを怒らせてならない、彼女は鋼鉄の戦女神であるが“鬼女”たる彼女も未だ健在である、と…

 

だが、そんな暖炉に火が付く事になった。

と言うのもにこのリストバンドがリスに盗られてしまい、にこがそれを追い掛けていたら坂道に入って、助けに入った凛も巻き込んで全速力で坂を降りた結果、岸から飛び降りて深めの川に落ちたしらしい。

暖炉で暖まる面々に花陽はお茶を入れて来た。

「それじゃあ、海未ちゃん達には私が持っていくよ」

「私もついて行くよ」

そう言って穂乃果とあかりは二人分のお茶を持って海未とことりが作業している部屋へ向かった。

「…うわぁ、やっぱり静かだね。皆集中してるんだなぁ」

「そうだね…あっ、ことりの分は私が持って行くよ」

あかりは穂乃果からことりの分のお茶を持って、ことりがいる部屋をノックする。

「ことり、入るよ~っ!?」

部屋にことりの姿がなかった。お茶を机の上に置いて探していると…

「こ、これは…」

額縁の絵に“タスケテ”という文字が貼られていたのだ。

「あかりちゃん!海未ちゃんの部屋にこれが!」

飛び込んできた穂乃果が見せてきたのは“探さないでください”と書かれた貼り紙だった。

二人は窓にロープの様に束ねられて垂らされている布を見つけ、外を見ると、木陰に体育座りをして溜め息を吐いている三人の姿が見えた。

 

 

 

 

結論を言えば三人はスランプに陥った。

ラブライブに出場できるかどうかを左右する重要な予選。万が一にも予選を敗退することになったら…その重圧が三人に圧し掛かってきたのだという。

皆は話し合った結果、流石に三人に任せきりは良くないと言う結論に至り、ある案が実行されたのだ。

「―で、こうして三班に別れて離れて曲作り、だね」

「えぇ、そうよ。ありがとう、あかり」

テントの設営を手伝うあかりに絵里は礼を言う。

「この位、マネージャーとしては当然だよ!

それにしても山の中でテントを張ってって言うのがあのサバイバルキャンプを思い出すなぁ~」

「それってネストの訓練校時代の?」

「そうそう。私とヴェルはトランステクターでの別途訓練もあったけど、一般隊員と同じ様に通常訓練を受けたりしたよ。

それで、その訓練の一環として基地の近くの山でサバイバルキャンプをしたんだよ」

「具体的にはどんな内容だったの?」

「まずは各班ごとに別れて自給自足として食糧を手に入れて調理。

他には森の中で班対抗の模擬戦といったところかな。終わったら皆でバーベキューをしたよ!」

「あかりはヴェルと一緒の班?」

「うん、そうだよ~ヴェルと一般隊員が3人の5人編成だったよ。

テントに関しては私とヴェルの二人で入ったけどね」

そう言ってあかりは絵里にスマホの画面を見せ、にこと真姫も覗き込む。

スマホの画面に映っていたのはカメラに向かってピースをする迷彩服を身に纏ったあかりともう一人のアデプトマスターの画像だった。

「この子が例のヴェルって娘ね…なかなかかわいいじゃない」

にこの言葉にあかりは頷く。

「今頃どうしてるかなぁ…」

「暇があったら会いに行きたい?」

真姫の言葉に

「まぁね」

あかりは照れながらそう返した。

「んじゃ、他の班の様子を見てから私は別荘に戻るよ」

そう言ってあかりは絵里達のいるテントを離れ、穂乃果とことりと花陽がいるテントへ向かった。

 

 

「こりゃ脳がとろけそうというか何というか…良い絵をいただきましたよ」

そう言ってあかりはカメラのシャッターを押し、三人の姿を撮影した。

三人は川の字になってすやすやと寝ている。花陽の近くには綺麗な白い花が入ったザルが置いてあった。

「んじゃ、次は海未達の所だけど…多分、彼処かなぁ…」

あかりは集合時の海未の装備―登山用の装備と彼女の性格から推測して山にいると判断し、其処へ向かうのだった。

 

 

「やっぱりだったか~」

「やっぱりだったんよ~」

とあかりの言葉に希はそう返した。

あかりは泣いている凛に尋ねる。

「凛、良かったら泣いている理由を訊かせてくれないかい?」

「無理やり連れて来させられたんだにゃ!来たくなかったのに!凛達、作詞に来た筈にゃ!?」

凛が言うことは尤もである。

「わ、私は山を制覇したことによる充実感を創作の源にしようと…」

「気持ちは分かるけど、ここまでにしといた方が良いよ。

山で一番大切なんは何か知ってる?チャレンジする勇気では無く、諦める勇気。…分かるやろ?」

「それもそうですね。すみません」

希の言葉に納得した海未。

下山の準備を始める海未、希、凛の姿を見届けたあかりは一足先に下山し、別荘へ戻るのだった。

 

 

 

 

To be continue

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