ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第36話『One for all,All for one』

―side:Akari―

 

 

およそ3年前の10月。

全身義体にも慣れてきて、人並みの生活が出来るようになった私はネストの訓練校へ送られた。

「えー、この俺がお前達の教官となるレノックスだ。階級は少佐だ」

「同じくアーマーハイド。元サイバトロン軍、種族はオートボット。まずはお前達の自己紹介だ」

二人の教官―レノックス少佐とアーマーハイドの指示に私達は自己紹介を行った。

「私は頼尽あかりと言います!日本人でアデプトテレイターです!宜しくお願いします!」

そして、最後―私の後に自己紹介をしたのが

「風見ヴェールヌイです。亡くなった父がロシア人、母がアメリカ人の血を引く日本人のクォーターです。宜しくお願いします」

美しい銀髪の少女―風見ヴェールヌイだった。

 

「君達二人はこの部屋で一緒に暮らして貰う。

それと、君達に関しては通常訓練のカリキュラムに加えてトランステクターを使った訓練も行うのでそのつもりで」

レノックス少佐はそう言って部屋を後にした。

そして、流れる気まずい空気。

「えっと…風見さん…」

とりあえず何か話をしないと…

「ヴェールヌイで構わないですよ」

「うん!じゃあ、私の事もあかりって呼んでね」

ヴェールヌイは頷いて答えた。

暫くして夕飯の時間となり、私達は食堂へ向かった。

食堂はメニューが豊富で、ラーメンやうどんといった麺類もある事に驚いた。

「じゃあ、私はこの豚骨ラーメンで!ヴェールヌイは?」

「う~ん、このきつねうどんという物で」

注文した物が届いて、隣同士となって私達は夕飯を食べる。

「なかなか美味しいじゃん!」

ラーメンの味は日本のラーメン屋さんにも引けを取らない旨さだった。

一方のヴェールヌイは興味津々にきつねうどんを見て、それから麺を口にして驚いていた。

「ハラショー、これが母上が言っていたうどんという物か…」

 

最初は会話もあまり多くはなかったけど、私の方から積極的に話しかけた。

てっきり周りは年上だけかと思ってたから年の近い子がいて、尚且つその子と同じ部屋・同じ班で同じアデプトマスターである事が嬉しかった。

 

 

そして、訓練が始まってある程度の月日が流れた。

その日は近くの山でテントを設営したりしてサバイバル訓練を行っていた。

「あかりは何故アデプトテレイターになったんだ?」

その日の夜、ヴェールヌイはそう訊いてきた。

「そう言うヴェールヌイはどうしてなの?」

「…私は家族をジーオスに殺された。私自身もジーオスに重傷を負わされ、その時にアデプトテレイターとして奴らと戦う道を選んだ」

「なる程ね…」

「で、あかりはどうなんだ?話しにくいなら別に話さなくても良いんだが…」

「あれはね―」

それから私はあの日の事―両親を殺され、私自身も殺した連中を殺した事を話した。

「…すまない、悪い事を訊いてしまった」

「ううん、良いんだよ!あっ、そうだ!これはから“ヴェル”って呼んで良い!?」

「別に構わないが…だったら私に日本語を教えて欲しい。

私は日本人の血を引いていながら…日本語が話せない。両親は基本的にロシア語か英語だったからな」

「それくらいなら全然OKだよ!じゃあ、私にもロシア語を教えてくれないかな!?」

「あぁ、勿論だ」

それから私はヴェールヌイを“ヴェル”と呼ぶ様になり、彼女に日本語を教える代わりに彼女からロシア語を教わった。

 

私達はこの3年間、時には互いに協力し合い、時には互いに教え合い、そして互いに競い合った。

 

それから私は日本支部への配属が決まり、それと同時に音ノ木坂の入試を受け、満点の首席合格を果たした。

勿論、ヴェルにもこの話をした。

「ヴェル!満点合格したよ!」

「ハラショー、相変わらず凄いな。あかりは」

「それ程でもないよ。それに、ヴェルだって凄いよ。色んな国の言語を話せるし」

「読み書きも出来て流暢に話せるのは日本語と英語、ロシア語だけだ。後は日常会話程度しかできない」

「それでも凄いよ」

 

そして、時はあっという間に過ぎていき、あかりが日本へ旅立つ日が訪れた。

「…今日で離れ離れになってしまうな…」

と空港にてあかりとの別れを惜しむヴェル。

「そうだね…でも、前にも言った通り、今生の別れじゃないしまた会えるよ」

「…それもそうだったな。会いに行こうと思えば会いに行ける」

ヴェルの言葉に私は頷く。

「ヴェル、見送り、ありがとう。それじゃ、互いの健闘を祈って」

「あぁ、互いの健闘を祈って」

「「また何時か、どこかで」」

 

 

日本へ帰国した私は従姉妹や幼なじみと再会、音ノ木坂学院に入学しアイドル研究部の部員にしてμ'sのマネージャーとなり、そして彼女達に救われた。

 

 

―side out―

 

 

 

 

「そっか…あれからもう半年以上経つんだよね…」

仮眠から目が覚めたあかりはそう呟いた。

あかりにとって“あの娘”はμ'sの面々と同じ位大切な人となっていた。

今頃何をしてるんだろうか、と窓の外に映る夜空に浮かぶ星達を眺めてたら足音がした。

そして、あかりがいる部屋―ピアノが置いてある部屋に海未、ことり、真姫の三人が入ってきた。

「それで、答えは見つかったのかい?誰の為の曲なのか…その答えは」

あかりの言葉に三人は頷く。

実はあかりは三人が何故スランプに陥ったのか…大体の理由は察していたが、その答えは自分で気付かなければ意味がないのであかりはその答えを言うつもりはなかった。

恐らくにこや希、絵里も気付いているだろう。言ったかどうかは別の話なのだが。

「この曲は皆の為の曲です」

「三年生を勝たせる為でも三年生の為でもない」

「私達が心から楽しめる曲だからこそ皆の心に響く曲になる」

海未、ことり、真姫の出した答え。その答えにあかりは笑みを浮かべてこう返した。

「…正解だよ。One for all,All for one―一人は皆の為に、皆は一人の為に。

それじゃ、始めようか…“私達の為の曲”作りを」

あかりの言葉に三人は頷き、曲作りを始めた。

互いに支え合い、互いにアイデアを出し合う光景にあかりはヴェルと過ごした訓練校時代を思い出さずにはいられなかった。

 

 

翌朝。海未やことり、真姫の姿が見当たらない事に気付いた六人はもしやと思い別荘へと戻ってきたのだ。

「これは…」

絵里は眠っている四人の姿を見て呟いた。

海未とことり、あかりはソファで寝ており、真姫はピアノにもたれ掛かるように眠っていた。

そして、テーブルには楽譜と歌詞、衣装のスケッチと空になったコップが置いてあった。

「…皆、四人が起きたらすぐに練習よ?」

「でも今はゆっくり寝かせておいてあげようか」

絵里と希の言葉に皆は頷くのだった。

 

 

全ての準備―もう少しで始まるラブライブ第2回大会第1予選への準備は整ったのだった。

 

 

 

 

アメリカの某所。

「■■■■■■■■■!」

迫り来るジェネラル級ジーオス達に立ち向かう影があった。

「トランスフォーム!」

ジュラ紀を代表する肉食恐竜―アロサウルスを模したトランステクター―ドレッドバイトは形を変え、ロボットモードとなる。

ドレッドバイトは大剣を振りかざして次々とジーオス達を切り裂いていく。

「ビーストモード、トランスフォーム」

ビーストモードへ戻ったドレッドバイトはジーオスの首に噛み付き、そのまま噛み砕く。

その付近ではアルタリマスとホルンファングがジーオスと交戦していた、暫くしてジーオス達は殲滅された。

そんな中、ドレッドバイトの元に通信が入った。

「―了解、今すぐ戻ります」

ドレッドバイトは通信を切り

「ジェットモード、トランスフォーム!」

もう一つの変形形態であるジェット機へと姿を変え、基地へ戻るのだった。

 

 

「さて、君に報告したい事がある」

「報告…ですか?」

ヴェルの言葉に彼女の上司は頷く。

「実は日本支部からジーオスの出現頻度がこれまで以上に増しているという報告と人員増強の要請が来た。

また、報告によると巣を作ろうとしているジーオス達も多いとある」

「それで人員増強を要請している、と」

ヴェルの言葉に上司は頷く。

「それで、君はどうするんだい?」

「どうする、とは…?」

「しらばくれるな。本当は行きたいんだろ?」

「…お見通し、ですね」

「で、どうする?」

「勿論、行きます」

 

 

 

 

ヴェルは日本にいる親友にして戦友たるあかりに思いを馳せながら日本へ行く準備を始めるのだった。

 

 

 

 

ヴェルが去った後…

「話さなくて良かったのかい?将軍」

ヴェルの上司たる将軍に話しかける人物がいた。顔付きから10代に見える彼女ではあるが、実際はネスト内でも上位の立場にいる存在である。

立木つばめ―そう名乗る彼女はネストの立ち上げに大きく関わった立木一族の者であり、トランステクターやMSの開発を行っている立木財閥技研の責任者でもある。

「何をですか」

将軍の言葉につばめはこう続ける。

「頼尽あかりが精神的に不安定になった事…その一件が本来なら来年春に日本支部へ配属予定だった風見ヴェールヌイが予定より大幅に早く配属される事になったのだということを」

「無暗に心配はさせたくはありませんし、それに彼女も早く会いたいと言ってたから好都合でしょう」

「…それもそうだね」

つばめは納得した表情でそう呟いた。

 

 

 

 

To be continue

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