ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第38話『アイドルと最高のファン』

さて、今回のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神はアイドル研究部部室から物語を始めるとしよう。

この日は予選の結果が出る日…予選を通過出来るのは各地域ごとに4グループである。

「き、来ました結果発表!」

すぐさま花陽は読み上げる。

A-RISEはやはり予選通過、続いて2組目、3組目と読み上げられ…

「四チーム目はミュー―」

皆の間に緊張感が走る。

「―ズ」

そして、花陽は感情を抑えきれない声で最後のチーム名を読み上げた。

「最後のチーム…音ノ木坂学院高校スクールアイドル…μ'sです!!」

「石鹸じゃ、ないよね?」

「当たり前でしょ!?」

真姫の言葉で皆は状況を漸く理解し、大事な人へ報告すべく部室を飛び出していった。

「っと、またジーオスか…」

あかりはその場に残っていた海未に仕事に出ると伝えて現場へと向かった。

 

 

さて今日も本来ならラブライブ最終予選に向けて厳しい練習をする予定で皆の士気も高まっていた…だが、にこだけが練習の欠席したのだ。

そして希、絵里、あかり以外のメンバーはスーパーの近くに隠れて買い物をするにこの様子を窺っていた。

「…普通に買い物しているみたいですね」

「なーんだ!ただの夕飯のお買いものか!」

「でも、それだけで練習を休むのかな…?」

「さぁ…誰か大切な人がいるとか?」

「も、もしかして矢澤にこ熱愛発覚!?」

「ダメです!それは禁忌です!それだけはダメです!」

そう話し合う海未、穂乃果、ことり、真姫、凛、花陽に気付いたにこは買い物かごをゆっくり置いて逃げ出した。

 

かくしてにこ捕獲作戦が始まった。

 

一方、仕事を終えたあかりは散歩をしていた。

「あかりさんではありませんか!」

「こんにちは、こころ。お出かけかい?」

「はい!でもそろそろ帰ろうかと思って」

「んじゃ、送ってくよ~」

そして暫く歩いていたら…

「あかりちゃん、そのちっちゃいにこちゃんは何者だにゃ!?」

μ'sの面々とばったり会ってしまった。

「この方たちはもしかしてμ'sの方達ですか?」

「うん、そだよー」

こころはμ'sの面々の方へ向き直り

「皆さん、いつも姉がお世話になっています。矢澤こころと申します!」

と丁寧に自己紹介をした。

μ'sの面々は驚きつつも詳しい話を訊くために矢澤家へと向かった。

あかり自身は“この問題”を解決しておきたいと考えていた。

「皆さん?あかりさんがちゃんと警戒してくれているから堂々と歩けていますが、あかりさんがいないときに来られる場合はちゃんと連絡をください!」

「えっと…何で?」

「何でって、皆さんはスーパーアイドル矢澤にこのバックダンサーなんですから!」

あかりはその予想された一言に頭を抱えた。

こころが言った事をざっくりと纏めると

・にこの指導の下、アイドルを目指している候補生

・駄目は駄目なりに8人集まれば何とかデビューぐらいにはこぎ着けるだろう

といった感じで、それを訊いたμ'sの面々の反応は呆れからの「にこはにこだった」という結論だった。

「あかりちゃんはこの事知ってたん?」

「まぁね。始めて会った時から度々遊びに行ってたし。そこら辺の詳しい話は着いてからで」

 

 

「お姉さまは普段、事務所が用意したウォーターフロントのマンションを使っているのですが、夜になると帰ってくるんです」

「どうしてこんなに信じちゃってるんだろう…?」

ことりを始めとした皆の疑問に対しあかりは無言でμ'sのあるポスターを指した。

「あれ?何かおかしいにゃ!?」

凛の指摘通り、ポスターは本来の物と異なっていた。そのポスターは本来は穂乃果がセンターなのだが…穂乃果の顔がにこの顔にすげ替えられ、にこの顔が穂乃果の顔にすげ替えられていた。

その後、あかりは皆をにこの部屋へ案内する。

にこの部屋にあるポスター達はどれも目立つ位置に“にこの顔”が貼り付けられており、涙ぐましさすら感じる程だった。

そんな中、にこが買い物から漸く帰ってきた。

「なっ…あんた、達…!?」

にこはすぐさま以前から事情を知っていたあかりの方を向く。申し訳なさそうな表情を浮かべるあかりに大体の状況を察したにこは玄関先に買い物袋を置いて逃げようとするが…

「にこ、これを味わいたくはないよね」

あかりは(μ'sの面々の)護身用として持ち歩いているスタンガンをにこに向けて脅し、にこは観念するのだった。

 

 

 

 

「大変申し訳ございませんでした。この矢澤にこ、皆様に嘘を吐いておりました」

にこは土下座してμ'sの面々に謝罪した。

「嘘に関してはこの際どうでも良いのよ…問題はバックダンサーって事よ」

「うっ…!?そ、それは…」

絵里の言葉の後、にこはあかりの方を向く。

「これはにこ自身の問題だよ。

だけど、予め言っておくけど私はにこちゃんを信じているからこそ言ってないんだよ」

あかりの言葉の意図を読み取ったにこは

「…元からよ。元から家ではそういうことになっているの。…別に、家で私がどう言おうが勝手でしょ?

…お願い。今日は帰って。あかり、皆を頼むわよ」

「うん、わかった」

 

 

帰り道。

「元からってどういうことなんだろう?」

「にこちゃんの家では元々私達はバックダンサー?」

花陽と穂乃果の疑問に対し希は自分の推測を述べる。

「多分、元々からスーパーアイドルだったってことやないかな?あかりちゃん、違う?」

「正解だよ、希」

希は推測を交えつつにこの過去を話し始める。

「にこっちは一年生の時に一度スクールアイドルとして活動してた。その時に妹さん達に“アイドル”になったんだって言って妹さん達もそんなにこっちに誇りを持ってたんやないかな?」

「だからこそ期待を裏切れず挫折した事を言えなかった…“綺麗な部分”だけを見て欲しいという一種のプライドで」

あかりの言葉の後、絵里は申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「私、一年の時にその時のにこを見たことがあるわ。

その時の私は生徒会があったし、アイドルにも興味が無かったから…あの時、話掛けていれば何か変わってたかも…」

「過去は悔やんでも変わらない。だから、今どうするかを考えよう」

過去に大きな“過ち”を犯し、悔やんでいるあかりの言葉には説得力があった。

「そうだ!私に良い考えがある!」

穂乃果は思い付いた案を皆に話し、皆も同意するのだった。

 

 

翌日。穂乃果に強制的にある場所へ連れてこさせられたにこはある衣装を着させられた。

「これは…」

その衣装はことりの監修を受けつつ、あかりと希と絵里が作った可愛らしさ溢れる衣装だった。

「やっぱり私達の目に狂いはなかったね」

「そうやね。にこっちには可愛い衣装が良く似合うよ!」

やがて屋上への入り口たる扉に到着。

「さぁ!この扉の先には世界中の誰よりも、にこのライブを心待ちにしている“最高のファン達”がいるわ!」

絵里の言葉に表情を引き締めるにこの姿はまさしく“プロ”であった。

 

 

そして、屋上に“三人の為”に用意された特設ステージに“アイドル”と“8人のバックダンサー”が姿を現した。

アイドル―矢澤にこはこのステージの観客―妹と弟であるこころ、ここあ、虎太郎に呼び掛ける。

「こころ、ここあ、虎太郎。歌う前に、話があるの!

“スーパーアイドルにこ”は今日でお終い…これからは此処にいるμ'sの皆でアイドルをやっていくの!

宇宙ナンバーワンアイドルにこちゃんとして宇宙ナンバーワンユニットμ'sと一緒に輝いていくこと―それが今一番大切な夢で私のやりたいことなの!」

 

 

その時の『にこにこにー』は、世界で一番幸せそうで、今までで一番輝いていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、とある旅客機に一人の少女が乗っていた。

美しい銀髪と碧眼を持つ少女―ヴェルこと風見ヴェールヌイは窓から映る景色を見て呟いた。

「此処が日本…」

ヴェルはスマホに映し出された画像を眺める。

 

 

 

 

「私の方から会いに来たぞ、あかり!」

 

 

 

 

To be continue

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