「終わったー!」
ある日の夜、μ'sの面々の強力もあってあかりはショッピングモールでのイベントで歌う三曲の作詞を作り終えた。
「皆のお陰だよ!ありがとう」
「いえ、私達はただ口を挟んだだけです」
と謙遜する海未。
「そうだ!ライブの後、あかりちゃんの部屋で歓迎会&誕生日パーティーとかどうかな!?」
穂乃果の提案に
「良いやん!面白そう!」
と賛成する。
「んじゃ、賛成の人~」
にこの言葉に皆手を上げる。
「決まりね。じゃあ金曜日は練習した後、あかりの家に集合して部屋の飾り付けね」
絵里の言葉に皆は頷き、ショッピングモールでのライブに向けて練習をする傍らパーティーの準備も行うのだった。
イベント前日、パーティー会場たるあかりの家のリビングでは飾り付けが行われていた。
「まさか、A-RISEの皆さんも参加するとは思いもしませんでした」
海未の言葉に対し
「そりゃ大切な従姉妹の友人ですもの。それにこういったパーティーは人が多い方が盛り上がるでしょ?」
ツバサはそう返すのだった。
「私達も一緒で良いのかな…?」
と疑問に思う雪穂に
「良いんだよ~!因みに“あの娘”は雪穂や亜里沙と同い年だよ」
とあかりは返し
「そうなんですか!?てっきり年上かと…」
と亜里沙は驚きを顕わにするのだった。
そして、イベント当日。
『Wonderful Rush』を歌い終えた後、凛、真姫、絵里、希は舞台袖へ移動し、すぐに次の曲の準備を始める。
「準備完了よ!」
「何時でもいけるにゃ!」
「んじゃ、真姫と凛は直ぐに準備を!絵里ちゃんと希ちゃんも準備してて!」
とあかりは的確に指示を送り、真姫と凛の準備が完了したのを見て穂乃果達に合図を送った。
その後、穂乃果達と入れ替わる形で凛と真姫がステージへと移動する。
「お疲れ様!あっ、絵里と希はスタンバイしてて!」
それから凛と真姫による『Beat in Angel』とMCへと続いていき、希と絵里の番が来た。
舞台袖へと移動する凛と真姫、ステージへと移動する希と絵里はハイタッチを交わす。
「後は任せるにゃ!」
「うん、任されたで!」
そして、希と絵里による『硝子の花園』の後、二人が観客に挨拶をしてイベントのライブは終了した。
イベント終了後
「みんなお疲れ様!皆は先に行ってて!時間を稼ぐ!」
あかりはそう言ってヴェルの元へ向かった。
「じゃあ、私達も行こう!」
穂乃果の言葉に皆は頷き、μ'sの面々はライブを観に来ていた雪穂と亜里沙、A-RISEの面々と共にパーティーの最終準備の為にあかりの家へ向かうのだった。
「ご飯炊けたよ~」
「ケーキも出来たよ!」
花陽とことりの報告に
「よし!じゃああかりちゃんに連絡するよ!」
と言って希はあかりのスマホへ連絡を送る。
するとすぐさまあかりから
『了解。こっちもそろそろ着くからクラッカーとか準備をお願い』
というメールが来た。
「写真で見せてもらった事はあるけど…どんな娘なのかしらね…」
「それは会ってからのお楽しみだよ!」
「それもそうね」
と絵里と穂乃果は口にするが…それは他の面々も同じだった。
数分後
「みんな、お待たせ!」
あかりがそう言って入って来た。
「クラッカーの準備は良い?」
クラッカーを手にしたあかりに皆もクラッカーを手にして頷く。
「来るよ…3…2…1!」
あかりのカウントが終了すると同時に扉が開き、ヴェルの姿が顕わになると同時にクラッカーを鳴らし
「ようこそ日本へ!そして―」
『お誕生日おめでとう!』
あかりの掛け声に合わせて言うのだった。
数分前、イベント終了後のショッピングモールにてあかりはヴェルと合流した。
「どうだった?」
「凄かった…思わず魅了されたよ」
「正に“More than meets the eye”だよね」
「そうだね…ところであの曲はあかりが作詞したって本当?」
「うん!ちょっとした誕生プレゼントだよ!」
「そうか…あかり、ありが―」
そう言いかけた時、あかりはヴェルの唇に人差し指を当てる。
「それを言うのはもうちょっと待ってて」
「うん…分かった」
疑問に思いつつあかりの言葉に従う事にした。
「んじゃ、帰ろっか」
「うん、お世話になります」
「そんな畏まらなくても良いんだよ!前にも言ったよね?」
「…そうだったな」
二人は色々話をしながら帰路へ就くのだった。
「確か…結成してからマネージャーをしてたんだっけ?」
「うん、そうだよ」
「でも、どうしてマネージャーを引き受けたんだい?」
「廃校を阻止しようと必死に頑張っている従姉妹と幼なじみ達を全力でサポートする為、かな」
「廃校?そう言えばそんな話を聞いたな…」
「結局断りきれなくて…最初は廃校を阻止するまでって条件で引き受けてあれから色々あったよ…
穂乃果―私の母方の従姉妹でμ'sのリーダーである娘がスクールアイドルを始めるって言って…幼なじみのことりと海未が加わって三人になって…
それから同じクラスの真姫や花陽、凛が加わって六人になって…
そして三年生のにこや希、絵里が加わって九人となってμ'sは漸く“完成”した。
私はすぐ側でマネージャーとして皆をずっと見てきたけど…“血塗られた咎人”である私には皆が眩しくて輝かしくて…
目的も達せられたし、皆から離れようとも考えた…けれど…」
あかりは一泊置いて続きを言った。
「彼女達は“血塗られた咎人”である私を受け入れてくれた…それどころか私の事を戦女神って言ってくれた…」
あかりの言葉にヴェルはしっかりと聞いていた。
「その事が本当に嬉しかった。それから穂乃果の妹である雪穂や絵里の妹の亜里沙、私の父方の従姉妹でA-RISEのリーダーのツバサやそのチームメイトのあんじゅや英玲奈にも打ち明けた…彼女達も同じ様に私を受け入れてくれた。
だからこそ、私は決めたんだよ。私はμ'sのマネージャーとして彼女達を支えていくと同時に“鋼鉄の戦女神”として皆を護る為に戦うって」
「…私の事も受け入れてくれるだろうか」
その言葉の後、隣を歩いていたあかりは“あの娘”の前に立って笑顔でこう言った。
「大丈夫!皆優しい子達だし受け入れてくれるよ!私も受け入れてくれたんだから!」
あかりの言葉にヴェルも笑みを浮かべる。
すると、あかりの元に準備が完了したという希からのメールが届き、あかりも
『了解。こっちもそろそろ着くからクラッカーとか準備をお願い』
というメールを送った。
暫く歩いて二人はあかりの家に到着した。
あかりにとってはもう数ヶ月も住んでいる見慣れた自宅であり、これからはヴェルと一緒に住む家。
「じゃあ、合図をするまでちょっと待っててね」
と言ってあかりは先に上がる。
暫くしてあかりから
『良いよ!リビングにいるから来て!』
というメールがスマホに届いた。
それからヴェルはこれからの住居へと上がり
「此処がリビング…」
リビングへの扉を開いた。
すると、クラッカーが鳴り響き
「ようこそ日本へ!そして―」
『お誕生日おめでとう!』
あかりの掛け声に合わせて皆が祝福するのだった。
「これは…」
突然の事に驚くヴェル。
「素敵なパーティーはまだまだ終わらないよ~」
あかりの言葉に皆も笑みを浮かべる。
「これ…みんな私の為に…?」
「言ったでしょ?みんな受け入れてくれるって」
あかりの言葉にヴェルは
「スパシーバ…!」
とロシア語でありがとうを意味する言葉の後、自己紹介をした。
「本日付けで特殊災害対策機関《ネスト》の日本支部に配属された風見ヴェールヌイ、今日で15歳となりました。
不束者ですがどうか宜しくお願いします」
その日のパーティーは大盛況に終わった。
あかりとヴェルはグラスに注がれたコーラを片手に夜空を見上げながら話をしていた。
「みんな受け入れてくれるって言った通りだったでしょ?」
「あぁ…そうだな…そして暖かかった」
笑みを浮かべてそう言うヴェルにあかりもまた笑みを浮かべる。
「みんなには私の過去を話した。みんなは私怨で血塗られた私を受け入れてくれた。そして、ヴェルに対しても同じように受け入れた」
「まさか、私の過去も話したのか…?」
「私の過去を受け入れてくれた彼女達ならヴェルの過去も受け入れてくれる、そう信じて話したんだよ」
「まったく…あかりは御節介者だな」
「褒め言葉として受け取っておくよ。まぁ、その…改めて誕生日おめでとう、ヴェル」
「スパシーバ、あかり。これからも宜しく」
「うん、宜しく。…ねぇ、ヴェル。乾杯しようか」
「飲み物はコーラだけど…まぁ良いか」
二人は向き直り
「「乾杯!」」
互いの―そして皆の健闘を祈り乾杯するのだった。
美しい夜空の中、二人の首から吊り下げてある認識票が光を反射して輝いていた。
To be continue