この間のハロウィンイベントで披露した『Dancing stars on me!』の動画は
「A-RISEに強力なライバル出現!」
といった評価が上がっている程に好評であった。
その事実にμ'sの面々の志気は上がっており、そして何より今まで通りの自分達のスタイルを貫いた事は正解であった事を証明していた。
そんな矢先にある問題が起きたのだった。
「まあ、あれだけ何かを食べたらそうなるわなぁ…」
ジャージ姿の穂乃果と花陽を見て、海未から事情を聞いたあかりは呟いた。
そう、穂乃果と花陽は“ダイエットをする必要”がでてきたのだ。
「そう言えば、あかりとヴェルはそこそこ食べるのに太らないわよね」
真姫の疑問に対しあかりとヴェルは声を合わせて言った。
「「アデプトテレイターだから太らないですし」」
「そう言えば…そうだったわね…」
三人がそんな会話を繰り広げている一方でジャージ姿の穂乃果や海未、ことりは溜まっている書類の処理を行っていた。
因みにあかりも手伝っていたりするが…あくまでも雑務のみである。
もうすぐ予算会議という事もあって予算申請を既に出している部はそこそこいる。
「失礼します、美術部です。急いだ方が良いと思って直接予算申請書を持ってきました!」
「ありがとうございます。今、内容を確認しますね」
そう言って、海未はすぐに書類に不備がないかを確認すると、それを受理、美術部は一礼をして生徒会室を後にした。
「おっと、仕事か…仕事が終わったらそのまま帰らせてもらうね!」
「ええ。今日もありがとうございました。あかり。ヴェルも気をつけて」
この後、厄介な事が起ころうとは誰も知る余地はなかった。
翌日の昼休憩。
絵里や希に生徒会室まで呼び出されたあかりは事情を二人から聞いた。
生徒会室には穂乃果達もいたのだが…落ち込んでいた。
「なる程ね…まぁ、“手出し”はしないけどアドバイス出来る事はするよ」
「ごめんなさいね、あかり」
話を簡単に整理すると…あの時、ことりが海未から受け取った美術部の予算申請書をそのまま承認箱に入れてしまったので、ストレートに予算が承認されてしまったという事である。
「すみませんでした!」
「注意はしていたつもりだったのですが…」
「海未ちゃんが悪い訳じゃないよ!」
それぞれ責任を被ろうとする穂乃果、海未、ことり。
「三年生に美術部OGの知り合いがいるから、私からちょっと話してみるわ」
「そうやね。元生徒会長の言う事だったら協力してくれるかもしれないしね」
絵里の提案に賛成する希だったが
「それじゃ駄目だよ」
とあかりは反対した。
「さっきも言った通り、アドバイスくらいは良いけど手出しするのは駄目だよ。
此処で手出しして丸く収めちゃったら穂乃果ちゃん達の力にはならないし、もし再びミスが起きたらそれに対する心構えが持てなくなる」
そんなあかりの意見に穂乃果も続ける。
「あかりちゃんの言うとおりだよ。私達で何とかしなきゃ駄目だと思う。
自分達のミスだもん。自分達で何とかする。だって…今の生徒会は私達がやっているんだから」
穂乃果の言葉に希と絵里は了承し
「何かあったら教えて」
とあかりはそう言うのだった。
一方のあかりはあかり自身が考案した特訓メニューをこなしている花陽達の方へ顔を出していた。
「調子はどうだい?」
「あかりちゃん、これ、結構ハードだよ…」
息切れしつつもそう返す花陽。
「まぁ…確かにハードかも…
それでも私やヴェルが受けてた基礎訓練メニューよりはイージーになってるんだけどね」
「これよりハードって、流石軍人だにゃ~」
一緒になって特訓メニューをこなしている凛はそう返す。
「まぁ、我々の仕事は下手すれば命を落としかねない物だからな。
…いくら不完全な不老不死の存在だとしても死ぬ時は死ぬ。だから“不完全”なんだよ。だからこそ不完全不老不死生命体よりも不老生命体と呼ぶべきか」
とヴェルは返した。
「まぁ、無理はしないようにね!無理して身体を壊したら元も子もないから!」
とあかりは二人にそう言うのだった。
そして、予算会議当日。
既に各部の部長が集まっている中、定刻となったのを確認した穂乃果は予算会議の始まりを告げた。
「では、各部の代表も揃ったようなので、予算会議を始めたいと思います。まずは私から―「はい。その前にまず、美術部の件について説明してもらえませんか?」」
美術部の代表から例の件について問われる。
「無い袖は振れません!」
穂乃果の直球な言葉に殆どが同様する中、穂乃果は説明を始める。
「美術部の件ですが、これは生徒会のミスです。
誤って承認箱に入れてしまい、弁解のしようがありません。
ですが、本来予算会議前に予算が通る事などあってはならない事です。
美術部には謝罪をすると同時に取り消しをお願いします。
今、音ノ木坂学院は廃校を免れたばかりの状態です。はっきり言って予算も少ないのが現状です。
そこで、勝手ながら生徒会で予算案を作成させてもらいました」
穂乃果はことりと海未に目くばせをし、ことりは席を立って生徒会作成の予算案を各部の代表へ配り始めた。
「各部去年の予算と、本年度提出されている希望額から暫定で振り分けてみました。
各部とも希望額の8割となっていますが、この予算案であれば、各部の今年度の活動に支障をきたさないと考えます。
来年度、生徒が増えることを信じ…ご理解いただければと思います!」
そして、三人は席を立って
「生徒会として、精一杯考えました!」
「至らぬところもあると思いますが」
「どうか、お願いします!」
頭を下げた。
少しの間、沈黙が続く中
「…この予算案に賛成の人~」
沈黙を破り、手を挙げてそう口にしたのはにこだった。
そして、にこにつられて美術部を始め各部の代表が手を挙げ始めるのだった。
「それで予算通っちゃったのぉ!?」
花陽の驚きの声に穂乃果達は頷く。
「いや~、一時はどうなるかと思ったよ~
あかりちゃんもアドバイスとかありがとう!」
穂乃果の言葉に
「いやいや、例をされる程の事じゃないよ。結果的には穂乃果達自身の力で解決しただけだよ」
あかりは謙遜する。
「さて、後は穂乃果のダイエットだね」
「あっ、その事なんだけどね、さっき計ったら戻ってたの!
生徒会業務に没頭していたら食べることを忘れて…いつの間にか体重が戻っていたんだよ!」
「何ともまぁ都合が良い話というか出鱈目じみているというか…まぁ、それが穂乃果か」
一方、絵里と希は遠巻きに穂乃果達の様子を見ていた。
「生徒会、大丈夫そうやね」
「そうね、とりあえずは一安心ね」
絵里の言葉に希は頷いた後、ふと夕焼け空を見上げる。
その時の希は絵里の目にはどこか切なげで儚げに見えたのだった。
―side:Nozomi―
中学生最後の夏休み。
“私”は両親と一緒にアメリカへと旅行に訪れていた。
―と言っても両親は仕事で訪れているのもあるけれど…
その日も両親は仕事で手が空かなくなり、“私”は一人で散歩をしていた。
そして、アメリカ・ニューヨークの近くに病院があるとある公園に着いた時…
「あれは…」
私の目に入ったのは一人の日本人の少女が“リハビリ”をしている姿だった。
「何をやってるの?」
私はその子に声をかける。
「リハビリをしてるんです。此処なら近くに病院もあるのでもしもの時に対応できるから」
とその子は返した。
「事故に遭ったの?」
「はい、“事故”に遭って…私は生き延びたんですが、両親は事故で死んでしまい…」
「あっ、ごめん」
「気にしないでください」
それから私は少女といろんな事を話した。
少女は元々東京・千代田区に住んでたらしいが、両親の仕事の都合で小学校卒業後にアメリカへ留学してきたらしい。
「今頃、4人はどうしてるかなぁ…」
彼女には4人の幼なじみがいる―その中の3人は同い年で、3人の中の1人とその妹は母方の従姉妹らしい。
「いつかまた会えると良いね」
「うん!」
私の言葉に少女は笑顔で頷いた。
「あっ、自己紹介がまだだったね。私は東條希」
「頼尽あかりだよ。宜しくね、希!」
彼女―頼尽あかりは私の方が一つ年上と知って驚いたりした。
私は時間を見つけては彼女に会いに行った。
彼女のリハビリも順調に進んだ。
「私ね、高校生になったら日本に帰国して通いたい高校があるんだ」
「通いたい高校?」
「音ノ木坂学院。歴史ある女子校で、私は昔から彼処に通いたいって思ってたんだよ。彼処に通うお姉さんに憧れたりして…」
私は興味が出た。彼女が憧れてるという音ノ木坂学院に。
それから数日後、その日は帰国する日だった。
彼女は見送りに来てくれた。
「短い間だったけど、ありがとうね」
「ううん、こっちこそ。…あかりちゃん、また会えるかな…?」
「それはわからないし断言は出来ないけど…会えそうな、そんな気がするんだよね」
「そっか…それじゃまたいつか、会える時まで」
「うん、またいつか、会える時まで」
日本へと帰国した私は音ノ木坂の入試を受けて合格。春からアパートで一人暮らししながら音ノ木坂に通う事になった。
音ノ木坂に入学した私―いやウチはエリチやにこっちに出会い…
そして、入学から2年後に彼女と―あかりちゃんと再会を果たした。
―side out―
To be continue