―side:Akeno―
あかりさんがマネージャーを務めているスクールアイドルの人達ってどんな人達なのかなって思っていた。
最初に会った希さんみたいに優しい人なのかな…
「みんなただいま~」
あかりさんがそう挨拶すると
「全く、遅いわよ!」
と私と同じ位の身長の黒髪ツインテールの人があかりさんにそう言った。
「ごめんごめん。夕飯、ありがとうね。しかも鍋とは本当にありがたい」
「それってどういう意味よ?」
「一人追加する事になった」
とヴェルさんは私を皆さんの前へ出した。
「―という訳で、今日から此処でアデプトテレイターの子を一人預かる事になった」
ヴェルさんはそう言うと私に視線を向けてくる。挨拶しろって事なのかな…
「えっと、今日から此処でお世話になる岬崎明乃と言います!宜しくお願いします!」
私が頭を下げた後、手を叩く音が聞こえてきた。
顔を上げると皆さんが拍手をしていた。
その後、皆さん―μ'sの皆さんも自己紹介をして、私達は夕飯を食べる事になった。
今日の寄せ鍋はにこさんが中心となって作ったらしい。
話によるとにこさんは自宅では4人姉弟の長女さんで、お母さんも仕事で多忙であることから家事の殆どを担当されているとか。
「それにしても良く食べるわね」
と真姫さんは呟く。
真姫さんはお医者さんの娘で、ピアノも弾けるμ'sの作曲担当らしい。
「あっ、ごめんなさい…」
「気にしないで良いわよ。好きなだけ食べて」
と絵里さんは言う。
絵里さんはロシア人とのクォーターらしく、同じくロシア人の血を引いているヴェルさんとロシア語の会話を繰り広げる事があるとか。
「明乃ちゃんはどんな事を覚えているの?」
そう訪ねるのはことりさん。μ'sの初期メンバーの一人で、衣装担当。メイド喫茶という所でバイトもしていたらしい。
「自分の名前とアデプトテレイターである事、後はある程度の知識がある位です。その知識を何処で得たのかは覚えて居ませんが…」
「では、その知識は何処までの範囲なのですか?」
と疑問を投げかけたのは海未さん。μ'sの初期メンバーの一人で、μ'sの作詞担当。家は日本舞踊の家元らしい。
「保護した時に学力テストをしてみたらしいけど、どうやら小学5~6年生ぐらいかなって事らしい」
とあかりさんは皆さんに説明する。
「小学生くらいか…確かにそう見えるかも…」
と呟くは花陽さん。にこさんと同様、筋金入りのアイドルオタクで、お米(特に日本の白米)が大好物らしい。
「私も同じ位の年には既にアデプトマスターになっていたからな…外見はその時から変わってない」
とヴェルさんは返す。
「身長は…見た感じにこちゃんと同じ位かにゃ?」
と私とにこさんを見比べる凛さん。花陽さんとは幼なじみの関係で、身体能力はスクールアイドルの中でもトップクラスだとか。
「何よ、私が小さいとでも言いたいの?」
「いやいや、にこっちはにこっちでかわいいと思うよ」
と返す希さんは加入前からあかりさんと共にμ'sを支えてきた存在らしい。μ'sの名付け親も彼女だとか。
「そ、そう?」
にこさんと希さんがそんなやり取りをしていたら
「そうだ!明乃ちゃんに見せてあげようよ!私達の歌を!」
と皆さんに提案するのが穂乃果さん。あかりさんの従姉妹で、μ'sの発起人にしてリーダーである存在。実家は和菓子屋さんだそうです。
「それは良いアイデアだね。んじゃ、打ち合わせついでに今の段階で通してやってみようか。小休憩を挟んだ後に、ね」
あかりさんの言葉に皆さんは頷くのだった。
小休憩が終わって皆さんは倉庫に集まっていた。
「よし、通してやってみて。それを撮影するから後でみんなで確認しながらミーティングを行うからね」
とあかりさんは皆さんに指示し、ビデオカメラのセッティングをする。
私はヴェルさんと共にその様子を見ている。
「よく見ていろ…彼女達の姿を」
ヴェルさんは私に言い聞かせる。私はμ'sの皆さんをじっと見つめる。
「じゃあ、始めるよ!μ's、ミュージックスタート!」
穂乃果さんの掛け声の後、あかりさんはプレイヤーの再生ボタンを押し、スピーカーから音楽が流れる。
μ'sの皆さんはそれに合わせて歌い踊る。
「凄い…」
私は圧倒された。彼女達の存在感に、彼女達の“輝き”に。
彼女達はとでも楽しそうに歌い踊っているのが私にも分かった。
でも、これはあくまでも練習。本番はどれだけ凄いのだ
曲が終わった後、私は拍手をしていた。
「凄い…凄いです!」
「ありがとう、明乃ちゃん」
と穂乃果さんは笑顔でそう言う。他の皆さんも笑みを浮かべていた。
「じゃあ、今撮影した映像を見ながらミーティングを行うよ」
とあかりさんは皆さんに呼びかけ、スクリーンの前に集合する。
あかりさんはパソコンを操作し、先程のダンスを撮影した映像を再生しながら要所要所で止めてはμ'sの皆さんと意見を交換しあう。
「―で、此処なんだけど、此処であるギミックを入れようと思う」
「ギミック…どんなギミックなん?」
「照明の色を変更するってギミック。
此処までは照明の色は雪をイメージして白にするけど、このタイミングで照明の色を橙色に変える」
「出来るにゃ?」
「問題ないよ。こっちでタイミングを見て変更するから」
それからもあかりさんは彼女達とあれやこれや話し合い
「よし、風呂に入って今日は寝よう!」
と数十分後に漸く終わった。
―side out―
―side:Akari―
「う~む、構造自体は私達のに近いかな」
私は明乃の背中にある“外付けユニット接続ポート”を見てそう呟いた。
此処の風呂は少々広いと言ってもせいぜい3人が限度だ。
という訳で3人1組で風呂に入り、今は私達の番だって事。
「だが、端子の構造が私達と同じかはわからないぞ。端子ぐらいなら手術で簡単に我々のと同じ物に変えられると思うが」
ヴェルの言うとおりだね。
私達アデプトテレイターの背中には外部ユニットなどとの接続ポートがある。
例えば、この接続ポートの端子とトランステクターを繋げる事で、ロボットモード時における脳波コントロール―言わば脳で考えて動かす事で自分の体の様に動かす機能が働く。
そのポートが明乃にもあった。
彼女も前いた地球ではアデプトマスターで、何かしらの要因でトランステクターを失ったのか、それとも端からなかったのか…
私が、いや私達がその答えを知るのはもう少し先のお話。
To be continue