「あっ、あかりちゃん達だ!あけましておめでとう!」
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
と挨拶をする穂乃果、ことり、海未にあかり達も
「あけましておめでとう!」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
と返すのだった。
年が明けて新年となった。
穂乃果達は初詣をしに神田明神へと向かっていて、途中で真姫、凛、花陽と合流する予定だ。
希はその日はバイト神田明神におり、絵里とにこはその手伝いをしているらしい。
そして、向かう道中
「あっ、ツバサさん英玲奈さん!あんじゅさん!」
初詣を終えたA-RISEとばったり会った。
「あけましておめでとうございます!」
「あけましておめでとう!」
両グループのリーダーが代表して挨拶をする。
「そっちは初詣の帰り?」
「えぇ、此処は地元の神社だからね」
とあかりの言葉に返すツバサ。
去り際に彼女は穂乃果達に
「ねぇ!ラブライブ!優勝しなさいよ!」
とエールを送り
「はい!頑張ります!」
と穂乃果は返すのだった。
数日後のアイドル研究部の隣にある練習部屋。
「―自由?選曲が?」
穂乃果の言葉に
「Yes、選曲だけじゃなくて衣装も踊りも曲の長さも全部自由なんだよ」
あかりはそう返した。
柔軟体操をしているμ'sの面々にあかりはラブライブ本選について説明していた。
「それで、出場グループの間ではいかに大会までに印象付けておけるかが重要だと言われてるらしくて―」
「全部で五十近くのグループが一曲ずつ歌うのは良いけど、当然見ている人達全てが全部の曲を覚えてるとは限らないわ」
花陽や絵里の言うとおりである。
「それどころか、ネットの視聴者はお目当てのグループだけを見るって人もいるわ。
私らはA-RISEを破ったグループって事で他より注目はされてるけど―」
「それも本戦の2月末までにどうなっているか…やね」
にこの言葉に続ける希。
「そうなんだ…それで、事前に印象付けておく方法ってあるの?」
穂乃果の疑問にあかりはこう返した。
「キャッチフレーズさ」
「キャッチフレーズ…?」
「出場チームはチーム紹介ページにキャッチフレーズを付けられるんだよ」
その後、皆は部室に移動、花陽はパソコンを起動しラブライブページを開いての出場チームをクリックする。
「『恋の小悪魔』『はんなりアイドル』『With 優』…なるほど、皆良く考えてるのね…」
感嘆する絵里。
「当然、ウチらも付けておいたほうがええって訳やね」
「はい、μ'sを一言で言い表すような…」
「μ'sを一言でかぁ…あかりちゃんは何か良いキャッチフレーズは思いついた?」
穂乃果の言葉にあかりはこう返した。
「一応は、ね」
と返す。
「それってどんなキャッチフレーズ!?」
「生憎…それは教えられないよ」
「何で何でー!」
「こういうのは私に頼らず皆自身で見つけなきゃ意味がないんだよ。あっ、そうだ」
あかりはある歌詞表を皆に手渡す。
「一応、こっちも練習しといてね。“もしもの時”に備えて、ね」
“その曲”はつい先日行われたラブライブ本戦での各グループの歌う順を決める抽選会でμ'sの番が決まった後、あかりが海未や真姫、ことりに相談しながら作った曲である。
「さぁ!練習を始めますよ!」
海未に促されて練習を始めるμ'sの面々の姿を見守りながらあかりはこう呟いた。
「トリを飾るって事は…もしかしたら“あるかもしれない”からね」
―side:Akari―
「―正解だ。次の問題に行くぞ」
「はい、わかりました」
現在、ヴェルは明乃に勉強を教えている。
明乃も覚えが良く、ヴェルや私が教えた事を次々と吸収している。
そんなこんなでヴェルと明乃を微笑ましく思っているとチャイムが鳴った。
「んじゃ、ちょっと出てくるね」
とヴェルと明乃に告げ、私は玄関で来客を迎える。
「ツバサ、どうしたの?」
「ちょっと様子を見に来ただけよ」
「まぁ、上がってよ」
リビングにて私はツバサに茶をもてなす。
「ありがとう。明乃ちゃんはお勉強中?」
「うん、私とヴェルが交代で教えてる。物覚えが良くて本当に助かるよ。
ただ、彼女に関しては未だに謎が多い。わかっているのは名前とアデプトテレイターである事、そしてこの地球とは別の地球から来たこと」
「どうしてこの地球とは別の地球から来たって断言できたの?前に聞いた時は“かもしれない”だった筈なのに」
「証拠は明乃の背中にある外部ユニット用接続ポートの端子だよ。
私達アデプトテレイターにはトランステクターといった外部ユニットへの接続端子とポートがあるんだけど、私やヴェルみたいなこの地球の立木財閥が関わっているアデプトテレイターの端子は皆共通なんだよ。
だけど、明乃は接続ポートの形状自体は私達のと似ていたけど、端子の構造は私達のとは違うって事がわかったんだよ。
ネストに保護された当初は警戒されてて調べるどころじゃなかったみたいだからね。
最終予選後に漸く検査と接続ポートや端子を私達のと共通にする手術を引き受けてくれたんだよ」
と明乃の話題から始まり、μ'sの方はどうかって話になり、それからツバサはある事を聞いてきた。
「あの時、私達は全てをぶつけて歌った。そして、μ'sに潔く負けた。その事に何のわだかまりもない…と思っていたけど、ちょっとだけ引っかかっていたの…何で負けたんだろうって」
「確かに皆はファンの心を掴んでいたし、パフォーマンスも今までの中でも最高クラスだった」
「そう。だから結果が出る前にはもう勝敗は『私達の完敗』だって確信していたわ。でも…どうしてそれが出来たのか分からない。努力もした、練習も積んできたのは分かる、チームワークもね。
だけど、それは私達も同じ―寧ろ私達は彼女達よりも強くあろうとしてきた」
「だから負けるはずが無いと―そう思っていた、そんな所かな?」
「流石あかりちゃん、お見通しって事ね。
ねぇ、μ'sを突き動かしているモノ、原動力たるモノって何なの?」
「そうだね…穂乃果に聞いてみると良いよ」
「穂乃果さんに…?」
「うん、そう。私は確かに結成当初からμ'sを見てきたけど、あくまで私はマネージャー。
全ての始まりはμ'sのリーダーである穂乃果なんだよ。穂乃果ちゃんが音ノ木坂の廃校を阻止すべく海未とことりの3人で結成し、それから皆がメンバーになった。
穂乃果がいなければμ'sは存在すらしていなかった。
だからこそ、私より穂乃果の方がその答えを返すに相応しい」
「その感じだと例え知ってたとしても答える気がないみたいね」
「バレちゃったか…まぁ、その通りだよ。まぁ、その答えに関しては穂乃果が答える方が良いって言うのは事実だし、仮に知らないって事になっても穂乃果ならその“答え”に辿り着けると信じているからね」
その言葉に偽りはない。
私は穂乃果ならμ'sを突き動かしている原動力が何なのか―その“答え”に辿り着けると本当に信じている。
―side out―
その日の練習が終わった後、帰宅しようとしていた穂乃果はツバサと会い
「話があるの、ちょっと良いかしら?」
と言われ、あるベンチに座って話をする事になった。
「改めて、ラブライブ最終予選突破おめでとう」
「ありがとうございます!」
「練習はどう?」
「皆、とっても熱が入ってて、本戦に向けて頑張ってます!」
穂乃果の言葉にツバサはそう…と呟いた後、言葉を続けた。
「あの時、私達は全てをぶつけて歌った。そして、あなた達に潔く負けた。その事に何のわだかまりもない…と思っていたけど、ちょっとだけ引っかかっていたの…何で負けたんだろうって。
確かにμ'sはあの時、ファンの心を掴んでいたし、パフォーマンスも素晴らしかった。
正直、結果が出る前にはもう勝敗は『私達の完敗』だって確信していたわ。
でも…どうしてそれが出来たのか分からない。努力もした、練習も積んできたのは分かる、チームワークもね。
だけど、それは私達も同じ―寧ろ私達は貴方達よりも強くあろうとしてきた。
だから負けるはずが無いと―そう思っていた。
ねぇ、μ'sを突き動かしているモノ、原動力たるモノって何?」
「ごめんなさ!実はよくわからなくて…」
「そう…実はね、あかりちゃんに同じ質問をしたんだけど何って言ったと思う?」
「えっと…」
「『穂乃果に訊いてみると良い。彼女が教えてくれる』って」
「そんな…私もμ'sのキャッチフレーズが何なのか自分らで考えろって言われて考えてる最中ですし…」
「キャッチフレーズ、ねぇ…
もしかして、そのキャッチフレーズと“μ'sを突き動かしている原動力”って結び付くんじゃないかしら?」
「μ'sを突き動かしている原動力がキャッチフレーズのヒント…?」
―side:Akari―
翌日。μ'sの皆と練習をしてたけど、仕事が入り、私はそっちへ向かう事にした。
エリチカ曰く
「後は私達で行うからあかりは仕事の方に集中して」
との事である。
理解者がいるのは本当に嬉しい事だね!
「アデプタイズ!バルバトスマグナス、トランスフォーム!」
「アデプタイズ!ドレッドバイト、トランスフォーム!」
私達はトランステクターを身に纏い、ジェネラル級ジーオスとの交戦を開始した。
私がこっちに来て9ヶ月ぐらい…一時期は出現頻度が減ったけど、今年に入ってまた徐々に出現頻度が上がってきている。
亜理火さんは「ひょっとしたら近い内に大量に出るかもしれない」との事で、MSの準備等を進めている。
私達はただジーオスを殲滅するだけ…被害を最小限に留める為に!
―side out―
あかりとヴェルがジーオスと交戦していた頃、μ'sの面々は基礎練習をしていた。
「μ'sを突き動かしている原動力がキャッチフレーズのヒント?」
「うん、昨日ツバサさんと話をしていたらそうなんじゃないかって…」
絵里の言葉に穂乃果はそう返した時だった。
「みんなこっちきて!」
ことりに呼ばれ、皆がある場所に集まった。
その場所は鈴生りの絵馬が奉納されている場所だった。
「これを見て!」
ことりが指差したのはある絵馬だった。
「これ…このイラストって私達…!?」
それはμ'sのイラストが描かれた絵馬―μ'sを応援する絵馬だったのだ。
μ'sを応援する絵馬は他にもあったのだ。中には雪穂と亜里沙、ヴェル、明乃の4人が奉納した絵馬もあった。
それらの絵馬を見て穂乃果は
「そっか…これだ!」
ある“答え”に辿り着いた。
「これがμ'sの原動力なんだよ!」
頭を傾げる面々に自身の考えを伝える穂乃果。
「私達が此処まで来れたのは私達だけの力じゃない。
音ノ木坂学院の皆が…それだけじゃない。色んなところでμ'sを見てくれた人達も皆、一生懸命応援してくれる…その応援があったから私達は此処まで来たんだよ!
だから、μ'sのキャッチフレーズは―」
あかりとヴェルは仕事を終え、穂乃果達の元へ向かおうとしていた頃…
『もしもしあかりちゃん!?』
「どうしたんだい?」
『決まったよ!μ'sのキャッチフレーズ!』
「ほほう…んじゃ、訊かせて貰おうか」
そして、穂乃果はμ'sのキャッチフレーズを伝える。
その答えにあかりは笑みを浮かべてこう返した。
「これ以上に私達に相応しいキャッチフレーズはないね!それでいこう!」
その後、通話を切ったあかりはヴェルにこう言った。
「昨日、穂乃果にね、μ'sのキャッチフレーズに付いて何か良い案がないかって訊かれたんだよね」
「それで…何と答えたんだ?」
「一応は、って返した。だけどね、それは“嘘”なんだよ。
μ'sの原動力が何なのか―これまで一歩引いた立ち位置からμ'sを見てきた私にはそこまでしかわからなかった。
ただ、それを明確な形に―キャッチフレーズにする事が出来なかった。
あっ、この事は誰にも言わないでよ。ヴェルだから言える事だから」
「わかっているさ。だけど、そんなあかりでさえ辿り着けなかった答えに辿り着くとは…大したものだな」
「昔からそうなんだよ。
『More than meets the eye』…目に見える以上の力を―魅力を持っている。
それが高坂穂乃果という存在なんだよ」
後日、あるモニターにてラブライブ本戦出場グループの名前とキャッチフレーズが紹介された。
(なる程…それが“答え”なのね)
μ'sのキャッチフレーズを見たツバサは納得の表情を浮かべた。
『みんなで叶える物語』
それがμ'sのキャッチフレーズであった。
To be continue