ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第53話『決めた答え』

さて、今日のラブライブ!9人の女神と鋼鉄の騎士はある日曜日の秋葉原から物語を始めるとしよう。

「―で、いきなり日曜に呼びつけてどうしたの?」

絵里の言葉に希とにこは頷く。

「ほら、この十人揃って遊びに行った事ってないでしょ?だから、偶にはこういうのも良いかなって」

穂乃果の言葉に頷く二年生組と一年生組。

「それで、どこへ行くの穂乃果?」

「皆の行きたいところに行こうよ!それで、今日は思いっきり遊ぼう!」

穂乃果の「出発進行!」というかけ声で遊びに行く面々だったが…

(“終わりの始まり”、か…)

とあかりは心の中でそう呟いた。

あかりは―いやあかりだけでなく、一年生組と二年生組は今回の提案の“真の目的”を知っていた。

事の始まりは先日の新入生合格発表の日。

雪穂、亜里沙、ヴェルが音ノ木坂に合格(因みに理事長の話によるとヴェルは満点の首席合格らしい)した。

つまり新年度からは彼女達新一年生が入る―それは現在の三年生が卒業する事でもある。

 

 

そして、避けては通れぬ問題―今まで見て見ぬ振りをして来た問題に向き合わなければならなくなったのだ。

 

 

一年生組も二年生組も既に“覚悟”を決めている。

 

 

その覚悟にあかりは口出しする気などなく、彼女達の選択に従うのだった。

 

一行はゲームセンターやアイドルショップ、美術館や遊園地に行ったりアヒルボートに乗ったりした。

「次はあかりの行きたい所ね」

「んじゃ、案内するよ」

絵里の言葉の後、あかりは皆を連れてある場所に向かった。

「此処があかりちゃんが行きたかった場所なん?」

「そうだよ。正確には此処の地下1階にだけど」

あかりが行きたかった場所―そこは国立科学博物館の上野本館だった。

そして、そこの地下1階に展示されているのは

「恐竜だ…」

穂乃果の呟き通り―恐竜の化石だった。

「恐竜って興味深い存在なんだよ。多種多様に進化していき…その内の一部は今も鳥類という形に進化して生きている。

恐竜は今も多くの人々を魅力して止まない。

ある者達は化石から彼らを探求し、またある者達はある島に“生きた彼らの楽園”を作ろうとした。後者は潰えてしまったんだけどね」

「イスラ・ヌブラル島…ジュラシック・パークとジュラシック・ワールドですね」

海未の言葉にあかりは頷いた。

「ヴェルやネストの訓練校の仲間と一緒に行ったんだよ―しかもその日はジュラシック・ワールドが閉園した日だった。

色んな恐竜や古生物がいて…

一般公開されてないラプトル四姉妹にも会ったよ。

そこの調教師―オーウェンって言う人とラプトル達の間には種族を越えた“絆”が結ばれている様に私には見えた。

その一方、一般公開されてた雌のティラノサウルス…レクシィって名前らしいんだけど…彼女はまるで人間を憎んでいる様だった」

「どうしてなのかな…?」

花陽の言葉にあかりはこう返した。

「あくまでも私の推測だけど―彼女から自由を奪ったからだと思う。

彼女はジュラシック・パークが崩壊してジュラシック・ワールドが建造されるまでの20年近くの間を自由に暮らしてたから…“ある偉人”が言ってた言葉を思い出したよ。

『自由とは全ての生き物が持つ権利である』って言葉を」

「閉園した日に居たって言ったわよね?という事は…」

にこの言葉にあかりは頷く。

「騒ぎを止めるべく私達も協力したよ。

騒ぎの原因はハイブリッド恐竜―インドミナス・レックスの脱走。

彼女の手によって多くの職員や恐竜達が命を落とした。

私とヴェルはオーウェンさんとパークの責任者のクレアさんと一緒にクレアさんの甥二人の救助に向かってて、道中でインドミナスの被害にあった一頭のアパトサウルスの死を看取ったんだよ。

肉を食べてない様子からインドミナスは“殺し”を楽しんでいる様だった。

だけどね、そのインドミナスもまた人間の“傲慢”の被害者でもあったんだよ。

生体兵器として生み出されて、隔離されて育てられて…

私達はそんなインドミナスを止めるために…そして“苦しみ”から開放する為に彼女と戦った…ラプトル四姉妹やレクシィと共に。

戦いの結果、私やヴェル、ラプトル四姉妹やレクシィは生き延びたけど、インドミナスはモササウルスに水の中に引きずり込まれて…食べられて死んでしまった」

そう語るあかりはどこか悲しげでもあった。

「レクシィやラプトル四姉妹はどうなったにゃ?」

あかりはスマホに保存されたある画像―あかりやヴェルに寄り添って眠るラプトル四姉妹の画像を見せる。

「これからは自由に暮らせ―オーウェンさんはラプトル達を優しく撫でながらラプトル達を見送ってラプトル達は今頃自由に暮らしているだろう。

一方のレクシィは島を出る時に島の高台にいたのを目にしたよ。

その時の咆哮はまるで『ここへは二度と近づくな』って訴えてるみたいだった。

以上がジュラシック・ワールドが閉園した日に起きた事だよ。ご静聴ありがとうございました」

「此方こそ、貴重な話をありがとう。あかり」

絵里の言葉にあかりは笑みを浮かべるのだった。この時のあかりはまだ知る余地もなかった。そのインドミナスレックスが転生した存在と100年後に再会する事になると…

 

 

 

 

暫く博物館を見て回った後

「それじゃ、後は穂乃果ちゃんが行きたい所だけやね」

希の言葉の後、穂乃果は自分が今行きたい所を言った。

 

「私は…海に行きたい!」

 

後は穂乃果の行くだけとなった。

穂乃果が選んだ場所―そこは誰もいない、海が見える場所だった。

「誰もいない、自分達だけしかいない景色が見たい」

それが穂乃果があの場所を選んだ理由だった。

その理由と言葉に三年生組以外の面々は全てを察した。

(いよいよ、か…)

あかりはそう考えつつ皆と一緒に上野駅へと向かうのだった。

 

 

電車でその海辺へと向かう途中、あかりは穂乃果に問う。

「穂乃果、準備は良いかい?」

「うん、大丈夫だよ」

あかりの言葉に穂乃果はそう返した。

 

 

そして、件の海辺。波打ち際で戯れる皆を穂乃果と共に眺めるあかり。

「穂乃果」

「なーに?あかりちゃん」

「ありがとうね…μ'sを作ってくれて。

穂乃果が…μ'sの皆が集まって…μ'sがいたから…今、私はこうして此処にいる…こうして“鋼鉄の戦女神”としていられる」

あかりの言葉に穂乃果は言葉を返す代わりに笑みを返す。

 

 

そして、二人は皆の元へと赴く、十人は自然に手をつないだ。

「あのね、私たち話したの。あれから、七人で集まって絵里ちゃんや希ちゃん、にこちゃんが卒業したらμ'sをどうするか…。

一人一人で答えを出したの。そしたらね、皆一緒だった同じ答えだった!

…だからそうしようって、決めたの。

言うよ!せーっ」

感情が高ぶって上手く言えなかった穂乃果。

(頑張れ…穂乃果!)

あかりの思い。

握り合う互いの腕に力がこもる。

「言うよ!せーのっ!」

そして、穂乃果が、海未が、ことりが、真姫が、花陽が、凛が自分達の出した“答え”を口に出した。

 

 

 

 

『『大会が終わったら、μ'sはおしまいにします!』』

 

 

 

 

その言葉を受け入れるかの様に絵里は頷き、希はこう言った。

「そんなの、当たり前の事やん…。ウチがあかりちゃんと一緒に皆を、μ'sをどんな思いで見て来たか…

この9人がいてあかりちゃんがいて…

誰かがいなくなった代わりに誰かが入ってきたらそれはもう“μ'sじゃない”んよ」

「分かってるわよ!そんなこと!でも、だけど、だって!私がどんな思いでスクールアイドルをやってきたか、分かるでしょ?

三年生になって、諦めかけていた時、こんな奇跡に巡り合えたのよ!

こんな素晴らしいアイドルに、“仲間”に巡り合えたのよ!それを―「だからアイドルは続けるわよ!」」

真姫はにこの前に立って言葉を続ける。

「何があっても続けるわよ!でも、μ'sは!μ'sだけは自分達だけのものにしていきたいのよ!

にこちゃん達がいないμ'sなんて嫌なの、私が嫌なのっ!」

涙が溢れて止まらない真姫の姿に花陽と凛も堪えきれなくなる。

「あー!もう電車が出る時間だよ!」

「ささ、みんな早く行こっ!」

穂乃果の言葉の“意図”と涙が滲んでいた瞳に気付いたあかりは彼女と共に皆を急かす。

 

電車乗り場までやってきた絵里は

「これ、まだまだ先じゃない」

と指摘する。

「いや~ごめんごめん。でもさ―」

「あの場にいたら皆泣いちゃいそうだったから」

あかりと穂乃果の言葉に

「全く、二人には適いませんよ」

と笑みを浮かべる海未。

そして、暫くして…我慢できなくなって皆は涙を流して…声に出して泣いた。

 

 

 

 

この皆といる楽しい時間が永遠に続いて欲しい―だけど、それは無理な話なのだ。

 

 

 

 

ひとしきり泣いて落ち着いた後、穂乃果はある提案をした。

「そうだ!記念に写真撮ろうよ!」

「良いね!撮ろう!私達だけの写真!」

あかりの言葉の後、穂乃果は

「あれで撮ろうよ!」

証明写真撮影用の機械を指差す。

元々一人用の機械に10倍の人数は入り切らず窮屈だろう。

だが、その窮屈さが却って良いようにあかりには思えた。

今までの色んな思い出が詰め込める…そんな気がして。

「皆、この際だからさ、言っておくね」

あかりは満面の笑顔でこう言った。

 

 

 

 

「私は―俺は皆の事が大好きだ!」

 

 

 

 

To be continue

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