翌日の朝。μ'sの面々はランニングをしている。
出発前、穂乃果とにこは絵里に対し何やら微笑ましい眼差しを向けていたが…何があったのだろうか、とあかりは思ったが聞かない事にした。
あかりは皆の後方に続きつつ4月1日に行う予定のラストライブまでの日程を考えていた。
(日本に帰ったら準備しないと)
と考えていたら、凛が何かを発見したのだ。
「屋外ステージだね。よくミュージシャンとかが此処で演奏してたよ」
と皆に解説するあかり。
「ねぇ!ステージに立ってみない?」
穂乃果の提案に皆は頷く。
「いや~やっぱり皆が並ぶと絵になりますなぁ~」
と感嘆するあかり。
「何だか踊ってみたくなっちゃうね」
「じゃあ、踊ってみる?」
花陽の言葉を受け、絵里はそう提案した時
「Hello!」
大学生くらいのアメリカ人女性三人組が声をかけてきた。
「は、ハロー~」
と返す穂乃果。
「『あなた達、日本から来たの?』」
と問う女性。
「イ、イェ~ス!ウィーアージャパニーズスチューデント!」
と返す穂乃果。
「『あなた達、ミュージシャンとかアイドルか何かなの?』」
「うぇ!?えぇと…」
「何て言ってるのですか?」
「どうやら怒ってはないみたい」
「それは見てればわかります」
そんな中、助け舟を出したのは
「『そうだよ!私達はスクールアイドル!私達はμ'sってグループなの!』」
希だった。
「『スクールアイドル…?』」
頭を傾げる女性達。
「『スクールアイドルとは、今日本で大流行しているアイドルグループ達の事だよ。
事務所に所属してるんじゃなくて学校に属している。
彼女達はこれでも日本で有名なスクールアイドルなんだよ。
そして、私は彼女達のマネージャーさ』」
とあかりは付け加える。
「『スクールアイドル…面白そうね!
そうだ!この街には他にも素晴らしい場所があるから見て回ってみてね!じゃあね~』」
「『うん!ありがとう!』」
と希はその場を後にする手を振る。
「他にも素晴らしい場所があるから見て回ってみて、だって」
と皆に伝える希と
「だって」
「だってばさ」
会話の内容を理解していた絵里とあかり。
「流石、南極に行ったるするだけの事はあるにゃ…」
と希に対しそう呟く凛だった。
「よし!今日はここでちょっと練習してから予定通り見て回ろうよ!」
穂乃果の言葉に皆は頷いた。
それから一行は街を見て回った。
「このマジソンスクエアガーデンで200匹近くのジラが…」
と呟くあかりがいたりしつつ皆はニューヨーク観光を楽しんだ。
その日の夜。
「素敵な場所が多くてなかなか決まらないね」
と呟く穂乃果。
「そうか…わかったよ!この街って少し秋葉に似ているんだよ!」
「凛ちゃんもそう思ってたんだね!」
ことりの言葉に凛は頷く。
「毎日少しずつ変化していき、どんなものも受け入れる、それはこの街も同じなんだよ」
「流石あかり、何年もこの街に住んでただけの事はあるわね」
そう言う絵里に対しあかりはまぁね、と笑みを浮かべて返し、穂乃果はこう続けた。
「だからこそ、どんな場所もμ'sのステージに相応しいんだよ!」
穂乃果がそう言った後、あかりはこう提案した。
「ねぇ、みんな。私、ある事を思いついたんだよ。
ライブなんだけどさ、私の思い出の場所があるんだけど其処でやらない?」
「あかりの思い出の場所…?」
「それってどこなのよ?」
真姫とにこにあかりはこう返した。
「みんな、私がこの体に慣れるまでこの街でリハビリをしてて、希と出会ったって話、覚えてる?」
「えぇ、覚えてます」
「ある日、“その場所”に希と一緒に行って、とても綺麗だなって心に強く印象に残った場所があるんだよ。
それでさ、今回の話を受けた時に今度はμ'sのみんなと見たいなって思ったんだよ」
その言葉に希は“その場所”での出来事を思い出す。
「あかりちゃん、まさか…」
希の言葉にあかりは頷き、こう提案した。
「ライブの会場…タイムズスクエアでどうかな?」
その提案に反対する者は誰もいなかった。
ある日の夕方。
「花陽ちゃんが…泣いている…」
穂乃果の言葉通り、花陽は泣いていたのだ。
「にこちゃん!かよちんを泣かせた事したのかにゃー!?」
「私は何もしてないわよ!」
そんなやり取りはさておき、絵里は
「どうしたの?具合が悪いの?」
と尋ねるが花陽は首を横に振った。
「―いが…」
何やら言い始めたが、声が小さくて聞き取れなかった。
「白米が食べたいんです!此処に来てからというもの、毎日パン!パン!パン!白米を食べてないんです!」
そう、花陽はお米―というか白米に対し強い拘りを持っているのだ。
「でも、“ライス”ならこの前付け合わせで―」
という海未の言葉を
「白米は付け合わせじゃなくて主食!パサパサのサフランライスとは似て非なるもの!」
バッサリと切り捨てた。
その後も白米に対する熱弁が続く。
「凄い…白米への拘り…」
「ホームシックならぬライスシック…いや白米シックか?」
熱弁に対する穂乃果とあかりの感想である。
「真姫ちゃん、あかりちゃん。“ご飯”が食べれる店、知らない?」
そう尋ねる希に
「知らなくはないけど…」
「いや~彼処には何度かお世話になったよ」
と真姫とあかりは返した。
かくして一行は日本食レストランで夕飯を食べる事なった。
花陽は待望の“白米のご飯”を食べられて満足していた。
「まさに白米の天使」
と言うのはあかりの談だ。
その後、皆は地下鉄に乗ってホテルへ帰る予定だったのだが…
「もしかして…地下鉄、乗り間違えた?どうしよう!?」
と頭を抱える穂乃果。
実は改札を通る時にもたついてしまい、急いで地下鉄に乗った…のだが、ホテル前の駅に着く電車とは別の電車に乗り間違えたのだ。
「うぅ…ホテルの周辺ってこんな感じじゃなかったし…」
穂乃果は怯えていた。
見知らぬ土地で皆と離れて一人ぼっち。
言葉も通じないから頼る事も出来ない。
そんな時だった。
歌が聞こえた。
それを歌っているのは日本人らしき少女だった。
年は自分より少し下だろうか…
少女は街中を楽しそうに歌いながら歩いていた。
その歌声を耳にした人々の中には気になって彼女の方を振り向く者もいる。
続いて彼女が歌い出したのはある日本語の曲だった。
穂乃果はその曲に聞き覚えがあった。
以前、あかりが聴かせてくれた曲―あるアニメの主題歌だ。
少女が歌い終えた後、穂乃果は彼女とふと目が合った。
穂乃果は少女に拍手をして
「歌、上手だね!」
と誉める。
「ありがとうございます」
と少女は笑みを浮かべて返すのだった。
To be continue