ジーオスXは嘲笑うかの様にバトルマグナスに猛攻を浴びせ、度重なる猛攻にバトルマグナスのボディはボロボロになっていた。
「俺は負ける訳にはいかない…約束したんだ…必ず帰ってくるってな!」
力を振り絞り尚も立ち上がるバトルマグナス。
ジーオスXはそんなバトルマグナスを触手で拘束、エネルギー弾の雨を浴びせる。
一方、μ'sのメンバーはネストの隊員が用意してくれた各種カメラからの映像で戦いを見ていた。
エネルギー弾の雨を受け悲痛な叫びを上げるバトルマグナス。
「あかり…お願いよ…生きて…」
と願う真姫。
だが、その願いも虚しく画面の中のマグナスは意識を失ったのか倒れてしまった。
「どうすれば良いのよ…」
と呟くにこ。
「こんな時、何の力になれないのが悔しい…!」
と絵里は拳を握り締める。
「力…」
絵里の言葉を受け、穂乃果は何かを思い付いたかの様に呟いた後
「ねぇ、みんな」
皆に呼び掛ける。
「私達に出来る事をしよう」
「出来る事って…」
「何をするんだにゃ?」
花陽と凛の言葉に穂乃果はこう返した。
「あかりちゃん達に歌を届けるんだよ…これを使って!」
穂乃果はあかりからもしもの場合にと受け取った通信機を掲げる。
「歌を届ける…私達らしいやり方ね」
とツバサは返す。
穂乃果は立ち上がり、避難していたスクールアイドル達に呼び掛ける。
「みんな聞いて!」
皆は穂乃果の方を向く。
「今、東京湾で私達を護ろうと戦っている人達がいる。
私達が今出来る事は高が知れてるかもしれない…けれども、ううんだからこそ私達は私達に出来る事をしよう!
少しでも彼らに力を与えられる様に歌を届けよう!」
穂乃果の呼び掛けに応じて一人、また一人と立ち上がる。
「みんな…ありがとう!」
穂乃果は―μ'sの面々は穂乃果を中心にして互いに手を繋ぐのだった。
ジーオスXの猛攻を浴び、バトルマグナスの、あかりの意識は朦朧としていた。
(…俺はこのまま倒れる訳にはいかないんだよ…!)
バトルマグナス―あかりの脳裏に穂乃果達の顔が過ぎった時だった。
通信回線が開かれ、穂乃果達の歌声が響き渡る。
(これは…!)
不思議と力が溢れて来る。
(本当に負ける訳にはいかないよね…ありがとう…みんな!)
そして、皆の歌声を受けてバトルマグナスは力を振り絞り立ち上がった。
「負けてたまるか…負けてたまるかぁぁぁぁぁぁ!」
その叫びに呼応するかのようにバトルマグナスは“光り輝く粒子―エナジリウム粒子”を身に纏い始めたのだった。
「ショルダーランチャーユニット、パージ!」
バトルマグナスは破損しているショルダーランチャーをユニットごとジーオスXに向けて飛ばし、ショルダーランチャーユニットはジーオスXに命中する。
ショルダーランチャーユニットをパージした後、マグナスの肩アーマーが翼の様に展開、更に肩アーマー周辺のエナジリウム粒子が翼の様な形となるのだった。
光り輝くエナジリウム粒子をマグナスの様子はμ'sの面々が見ている映像にも映し出されていた。
「綺麗…綺麗ね」
「うん、そうやね…」
と呟く絵里と希。
「今のバルバトス・マグナスは…ううん、あかりちゃんはまるで天使…」
「いや、そこは戦女神じゃない?」
真姫とにこが続く。
「あかりちゃん…」
「あかり…」
「私達…信じてる…」
「あかりちゃんを…」
ことりが、海未が、花陽が、凛が
「ファイトだよ…あかりちゃん!」
そして穂乃果は呟いた。
再び人工島。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
バトルマグナスはジーオスXに猛攻を浴びせる。
「砕けろぉぉぉぉぉ!」
胸部を何度も殴っては蹴る、刀で斬るを繰り返す。
ジーオスXの分厚い胸部装甲にひびが入り、それが広がってやがては砕け散り、コアが露出する。
「あれか!」
だが、ジーオスXも負けじ生き残っている触手で応戦する。
「俺には護りたい人達が…場所がある。
穂乃果達は血塗られた俺の事を受け入れてくれた所か戦女神って言ってくれた…
そんな戦女神がこんな所でくたばる訳にはいかないよな!」
バトルマグナスは刀を構え、力を込める。
「俺には護りたい人達がいる!帰りたい場所がある!」
そして、バトルマグナスの纏うエナジリウム粒子がより一層光り輝く。
「だから、俺の大切な者達に手を出すなぁぁぁぁぁぁぁ!」
全力を振り絞り、ジーオスXのコア目掛けて突撃する。
だが、ジーオスXはその顔に不適な笑みを浮かべた。
(まずい!!)
バトルマグナスの嫌な予感は的中することとなる。
ジーオスXも最後の力を振り絞って触手でマグナスの腕部を拘束する。
(奴にまだ余力があったなんて…)
ジーオスXに思っていたほどのダメージを与えられていなかった事を察したバトルマグナス。
そんなマグナスに魔力弾を浴びせるジーオスX。
(やばい…これは流石に…)
バトルマグナス―あかりの意識は朦朧としていた。
(…いろいろ、あったなぁ…)
あかりの脳裏にこれまでの出来事―穂乃果達との出会いと別れ、両親との死別、ヴェルとの出会い、ジュラシックワールドでの出来事、ヴェルと別れ日本に帰国して穂乃果達と再会してμ'sのマネージャーになって奮闘したこと、ヴェルとの再会、ラブライブ優勝に海外ライブにスクールアイドル達の合同ライブといった思い出が走馬灯の様に次々と浮かび上がる…
「壊…させない…みんなの…日常を…俺の命と…引き換えに…しても…!」
あかりはヴェルのトランステクターたるドレッドバイトに時間指定メッセージを送った後、全ての通信を遮断し、あかり涙混じりに呟いた。
「…ごめんね…」
あかりはバトルマグナスの目の前にエナジリウム粒子を集中させる。
「お前も…道連れだ…ビオラ○テもどき…!」
集まったエナジリウム粒子はマグナスとジーオスXを飲み込み、爆発した。
ジーオスの大群との戦闘が終わった後…
「あかり!あかり!何処だ!!」
ヴェルはバトルマグナスとジーオスXが交戦していた地点であかりの姿を探していた。
周囲にはジーオスXやバトルマグナスの残骸が散らばっている。
「あかり…返事をしてくれ…あかり…」
涙を流しながらあかりの姿を探すヴェル。
「ヴェルちゃん!」
其処へ穂乃果達μ'sのメンバーがやってくる。
彼女達はネストの隊員に無理を言って此処へ連れていって貰ったのだ。
「あかりちゃんは…」
「さっきから探しているが…見つからない…」
希の言葉にそう返すヴェル。
その時、ヴェルの服を等身大サイズのドレッドバイトが引っ張る。
「どうしたんだドレッドバイ―!?」
ヴェルは、μ'sの面々は言葉を失った。
ドレッドバイトの腕に抱えられていたのはあかりだった…いや、あかりだった物だった。
手足は焼けてなくなり、辛うじて残っていた胴体や頭も所々焼きただれていた。
「あかり…あかり…あかり…嘘だろ…」
ヴェルは、μ'sの面々は信じたくなかった。目の前の光景を。
そんな中、ドレッドバイトが時間指定メッセージを受信する。
『…このメッセージが再生されている時…俺は…もうこの世に…いない…だろう…』
それはあかりが死に際に送ったメッセージだった。
『穂乃果…海未…ことり…真姫…花陽…凛…にこ…希…絵里…ごめんね…μ'sのマネージャーとして…まだやるべきことが…ラストライブがあったのに…ラストライブを…見届けたかった…』
死に際でもあかりはμ'sのラストライブの事を考えていたのだ。
『ヴェル…ごめんね…死亡フラグを折れなかったよ…
俺…戦いが終わったら…ヴェルに…告白しようと思ってた…結婚しよう…って…女の子同士だけど…愛さえ…あれば関係ないよね…ってね…
ヴェル…後は頼んだよ…愛し…てる…よ…』
メッセージは其処で終了した。
「あかり…私も言おうとしてた…結婚しようって…愛してるって…!」
ヴェルはあかりだった物を抱き締め涙声でそう叫ぶ。
その場で皆が…ヴェルが…穂乃果が…海未が…ことりが…真姫が…花陽が…凛が…にこが…希が…絵里が…ひとしきり泣いて、涸れるまで泣いた後、穂乃果は静かに…だけど力強くこう口にした。
「みんな…やろう…ラストライブを…」
その言葉に反対の意見はない…皆が賛成していた。
応援してくれたファンの為に…そして支えてくれた仲間であるあかりの為に…
―side:Vernyi―
あれから一週間後。人工島は深刻な被害を受けたが、本土への被害は最小限で済んだ。
戦いが終わってからはμ'sはファイナルライブに向けた準備で多忙だった。私はあかりの後を次いで…というのもあれだか、μ'sのマネージャーとしてライブの準備を進めた。
明乃、雪穂、亜里沙、そしてツバサを初めとした多くのスクールアイドル達など多くの人々との協力によってライブ前日に準備は殆ど終わり、当日を迎えた。
「穂乃果、掛け声を」
「うん、ヴェルちゃん。みんな!いよいよ本当のラストライブだよ!
このライブを楽しんで…そして届けよう!ファンのみんなに…そして天国で見守っているあかりちゃんに」
穂乃果の言葉に皆は頷き、何時も様にピースで星を作り出す。
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」
何時もの点呼順で皆が言った後
『10!』
どこからかあの声が…私の愛した人の声がした気がした。
それは皆も同じだったみたいだ。
μ'sの面々は笑みを浮かべてその後に続く掛け声を発した。
『『μ's!ミュージックスタート!』』
「『MOMENT RING』を聴いていただきました!
この曲と次に披露する最後の曲は私達九人と結成当初から私達を何時も支えてくれた…そして今はいない十人目の仲間と一緒に作った曲です!」
『『聴いてください!《僕たちはひとつの光》!』』
―side out―
秋葉での合同ライブの影響もあってかラブライブは第三回大会以降、本選はアキバドームで行われる事となった―つまりμ'sは実行委員会からの依頼を達成したのだ。
毎年、全国のスクールアイドル達はアキバドームでの本選を目指し、日々奮闘している。
このアキバドームでのライブを以てμ'sは正式に解散。彼女達は将来に向けてそれぞれの道を歩き出した。
だが、解散してもμ'sは多くのスクールアイドル達にとって伝説の存在であり、憧れである事に変わりはない。
彼女達の“輝き”に触れてスクールアイドルになり、その“輝き”を受け継いだ者達も多い。
「いよいよだよ!亜里沙!」
「精一杯楽しもう!」
此処にも。
「あの人達が目指した場所を私も目指したい…私も輝きたい!」
こんな所にも。
また、スクールアイドルの他にも自分の夢や目的、目標に向かって頑張っている人々もいる。
だが、それを脅かす存在もいる。それは時には怪獣であり、時には人・組織である。
“鋼鉄の戦女神”の意志を継いだ“戦女神”達は今日もどこかで“輝き”を護るべくそれらと戦い続けていたのだが…
―side:Vernyi―
東京湾でのジーオスXとの戦いから100年…あのスクールアイドル達は全員寿命を迎えてもういない一方、私は今もこうして戦場に出て戦っている。
この100年の間にこの第46太陽系の地球ではテロリスト達がアデプトテレイターを使ったテロを敢行し、多くの人命を奪った事によって私達アデプトテレイターの存在は公になってしまった。
この事態に一部関係者を除いてアデプトテレイターの存在を秘匿していたネストはアデプトテレイターが存在することを公にするしかなくなり、更にあの東京湾でのジーオスXとの大規模戦闘に於いてもアデプトテレイター達が活躍したと発表したのだが、世間はアデプトテレイター擁護派と反アデプトテレイター派に別れ、反アデプトテレイター派の中にはアデプトテレイターを殺害する者達まで現れた。
この事態にネストは嘗てのような影響力を失っていた。
「なぁ…あかり…私はどうすれば良いんだろうか…」
私の声に返す者はいない。分かっている事だ…あかりはいない。
「穂乃果…ことり…海未…真姫…花陽…凛…にこ…希…絵里…雪穂…亜里沙…君達は今のこの世界を見てどう思うんだろうか…」
彼女達も返さない…いや、返せない…彼女達も今や墓の中で骨となって静かに眠っている。
彼女達の最期も私は看取った…もう何年も前の話だ。
「明乃…もえか…つばめさん…すまない…」
100年前のジーオスXとの戦いを経験したアデプトテレイターも今や私だけ…他のアデプトテレイター達はこの100年の間に生まれたが"改造"された者達だ。
「ヴェルさん!此処に居たんですね!」
そう声をかけてくるのは私と同じアデプトテレイターの娘だ。
彼女からの報告を聞き、迫り来る"敵"へ対処する準備を始める。
今でも…いや今はあの頃以上に色々と悩んだりする。
しかし、それでも私は戦い続ける。
私が守りたい者達を守る為に…
Love Live!~Nine goddess & Iron valkyrie~
The end
Thank you for your reading…