ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神   作:衛置竜人

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第7話『因果応報』

管制室ではラプトル達や兵士達に装備された暗視カメラの映像が映されていたのだが…兵士達に装備された分のカメラは次々と暗転していった。

「うぅ…此処は…」

「マスラニさん、目が覚めましたか」

「レノックス隊長…状況はどうなっている?」

「ホスキンスがラプトルを使ってインドミナスを討伐しようとしましたが…ラプトルがインドミナスの側に付きました」

「何だと…で、ホスキンスは?」

「部下と共に逃げました。今まではあいつに従うしかありませんでしたが…これでその必要もなくなりました。

私はここであかり達のサポートをします。マスラニさん、あなたは他の職員と共に脱出を」

「いや、責任者として此処に残って見届けるよ。ところで、ロウリー君も残るのかい?」

「はい、誰かオペレーターが残る必要がありますし…それに…」

…ロウリーは他の職員が脱出する際に思いを寄せていたオペレーター娘に告白したのだが…その娘には彼氏がいる事が発覚、その真実に彼は落ち込んでいるという訳である。

「…訊かないでやってください」

というレノックス(実は既婚者である)の情けの言葉にマスラニは困惑しつつも頷くのだった。

 

オーウェンとあかりは合流後、慎重に森の中を進んでいた途中、ラプトル四姉妹の末っ子―チャーリーと遭遇した。

オーウェンとあかりは銃を降ろし、チャーリーも襲うかどうか迷っている様子で、首を傾げている。

そんな中、あかりの視界にチャーリーにロケットランチャーの標準を合わせる兵士の姿が写る。

このままじゃオーウェンやチャーリーが危ない、その“可能性”に気付いたあかりは

「ごめんなさい!」

と日本語で言って左腕に装備していた銃から麻酔弾を兵士に―ロケットランチャーが発砲されるよりも早く撃ち込む。

麻酔弾を撃ち込まれた事によって兵士は倒れ、ロケットランチャーは標準から大幅に外れた地点に発砲した後、完全に意識を失った。

「大丈夫かい?オーウェン」

「あぁ、助かったよ。で、麻酔弾を撃って良かったのか?」

「多分、暗闇でこっちは見えてなかったと思うし、誤射という事で」

それで良いのかと思いつつも内心ではチャーリーが無事な事にオーウェンは安心し、あかりに感謝していた。

そのチャーリーはオーウェンとあかりに近付き

「くすぐったいだろ、チャーリー」

鼻をオーウェンに擦り付け、舌で顔を舐め始めたのだ。

オーウェンをひとしきり舐めた後、今度はあかりに同じ事をする。

「一旦クレアさん達の元に戻って態勢を立て直そう」

その言葉にオーウェンは頷き、二人は麻酔で意識を失った兵士を安全な場所へ移動させてからそれぞれバイクに乗り、チャーリーはそれについて行くのだった。

 

パドックの付近に止まっているトラックに乗っているクレアとザラはモニターでオーウェン達の様子を見ていた。

「そんな…ラプトルが寝返るなんて…」

とクレアが呟いた時、クレアの真横に位置する窓が真っ赤な血で濡れた手で叩かれたのだ。

二人が短く悲鳴を上げた後

「早く…逃げろ…」

とラプトルにやられた血塗れの兵士がずり落ちていった。

クレアはトラックのキーへと手を伸ばし、エンジンを指導させる。

その血塗れの兵士はザックとグレイが乗っている荷台の扉を開き、荷台に乗り込もうと兄弟が息を呑む中、手を伸ばすが追い付いてきたラプトルによって引きずり降ろされてしまった。

「しっかり捕まってるのよ!」

とクレアは皆に呼び掛けた後、トラックを急発進。

ラプトル達もそれを追い掛け、先頭を走っていたラプトルは運転席の窓ガラスを突き破って侵入しようとする。

しかし、クレアがアクセルを思いっ切り踏み込んだ事によってトラックのスピードが上がり、ラプトルは振り落とされてしまった。

 

その一方、別のラプトルは開いている扉から荷台に飛び乗って兄弟を襲おうとしていた。

荷台に侵入しようとするラプトルをザックは

「これでも喰らえ!」

と電気ショック槍で応戦、ラプトルは一時的に麻痺し、トラックから落とされた。

 

暫くしてオーウェンとあかりが追い付いてきた。

「オーウェンさん!あかり姉ちゃん!」

と手を振ってはしゃぐグレイ。

ザックも安堵の表情を浮かべるが、二人と併走するチャーリーに気付き、顔を真っ青にする。

「オーウェンさん!あかり!横!横!」

「大丈夫、この子は味方だよ!」

あかりの言葉を肯定するが如く吼えるチャーリー。

「あかり!オーウェン!」

「ヴェル!無事だったんだな!」

「私を甘く見ないで欲しい。チャーリー、戻ってきてくれたか…」

とオーウェンにそう返した後、チャーリーに目を向けたヴェル。

オーウェンはスピードを上げ、運転席の位置でトラックと併走する。

「メインエリアへ戻るぞ」

とオーウェンはクレアに提案、一向はメインエリアへと向かうのだった。

メインエリアの遺伝子研究所の中をオーウェン達は進んでいた。

そして、そこで鉢合わせたのは

「これはこれはオーウェンに嬢ちゃん達じゃないか」

ホスキンスだったのだ。

 

 

 

 

「ほう、そいつは戻ってきたのか。

なぁ、オーウェン。今までの事は水に流してまた一緒にやってこうじゃないか。そいつとな」

「ふざるんじゃねぇよ。それにこいつは―こいつだけじゃない…あいつらは俺にとっては“家族”だ」

二人のやり取りの中、グレイはパソコンのディスプレイに映し出されたインドミナスのデータに目が止まった。

「これって…あのインドミナスって恐竜だ」

「素晴らしいだろ?現代兵器をも欺く能力。こいつの戦力は何千という兵士に匹敵する」

ホスキンスに皆が軽蔑の視線を向ける中

「テメェ、ふざけるのも大概にしろよ」

あかりはホスキンスに明確な殺意を向けていた。

「ふざけてなんかないさ」

と殺意を受け流すホスキンス。

「三人目だよ」

「何が三人目だ?」

あかりに問うホスキンス。

「“俺”が殺したいと思った人間以下の屑。

一人目と二人目は俺の両親を“殺した”連中、三人目がテメェだ」

「嬢ちゃん、本当に俺を殺す気か?そうすれば嬢ちゃん自身も嬢ちゃんが言う“屑”になるんだぞ」

「そんな事、知った事か。俺は既にお前が言う“屑”になっている。

だから、お前みたいな屑を殺す事自体に躊躇いはない。だが、今回は俺より適任なのがいる」

あかりがそう言った後、扉からラプトル―エコーが現れた。

「ま、待て。俺達は仲間だろ?」

とエコーを躾ようとするホスキンスだが、エコーに右手を噛まれる。

「んじゃ、行こうか」

とあかりは皆に呼び掛ける。

「ま、待ってくれ!」

と助けを求めるホスキンスに対しあかりは中指を、ヴェルは親指を下に立てその場を後にした。

「た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

ホスキンスの言葉に誰も応じない。

因果応報、ホスキンスは兵器として見ていて、逆らうなら殺すと言っていたラプトルに殺されるのだった。

あかり達は研究所の外へ出てきたが、其処で待ち受けていたのはブルーだった。

「ブルー…」

ブルーの名前を呟くオーウェン。

更に遅れてデルタやエコーも現れる。

「あかり、ヴェル。俺に任せてくれ」

オーウェンがこれから“何”をしようとしているのかに気付いたあかりとヴェルは

「勿論だよ」

「私達はオーウェンの選択に従う」

と返す。

「俺達仲間だろ?」

オーウェンはブルーに優しく声をかけつつ、彼女の頭に取り付けられていた機械を取り外す。

「これ、嫌だったんだろ?もう付けなくていいんだ」

そして、同じ事をデルタやエコーにもする。

この時点でブルー、デルタ、エコーにはオーウェン達を殺すという選択肢はなかった。

そんな中、重圧な足音が響く。

「みんな下がってて」

「インドミナスが来る…!」

そして、インドミナスはあかり達の前に姿を現した。

「インドミナス、“人間の傲慢”の被害者である君にこれ以上罪を犯して欲しくない…だから…」

あかりの言葉が通じたのか否か―インドミナスの目から涙が流れていた。

そして、短く唸る。まるで

『ごめんなさい…もう遅かったの…』

と言わんばかりに。

インドミナスの心は“壊れていた”のだ―閉鎖的な空間に閉じ込められて過ごし、罪のない多くの命を奪った事によって。

インドミナスの瞳は再び狂気に支配され、彼女は天高く向かって咆哮する。

「ヴェル、オーウェン。彼女を解放してあげよう…苦しみから」

あかりの言葉にヴェルとオーウェンは頷くのだった。

 

 

 

 

 

To be continue

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