初めましての方は初めまして、『俺の知ってるバンドリ世界じゃないんだが』を読んでくださっている方はこんにちは。
前は、秋人くん可哀想とか思っていたかもしれませんが、おそらく今作では嫉妬することでしょう。私だって代われと思ってますからね。
そんな今作ですが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
眼前に広がるのは無限に広がる闇。そこに光が灯ることはないのだろう。目を閉じる時とさほど変わりない。そして、どこにも障害物はなく、ただただ広大な空間がそこにあるだけだった。
そして、そんな場所に一人迷い込んだのが、俺こと佐々木秋人である。暗闇にひとりぼっちで居続けるというのは、とても耐えられないものである。
……というのは真っ赤な嘘なんだな、これが。前回は全カットしたから分かんないかもだけど、これ2度目なんだよなぁ。つまり、俺は前の世界で死んだのか?
「いやいや、死んでないよ」
「またお前か、クソ女神」
「そうやって神様をクソ呼ばわりするからそうやって不幸な目に遭うんじゃないの?」
「いやいや、あの時普通に転生させてくれればクソ呼ばわりしなかったわ」
そう。こいつがやらかさなければ、俺はごくごく普通のハーレム生活を送れたはずだったのだ。それなのに目の前のクソ女神(よく見たらまな板)のせいで胃の調子と戦いながら生活する羽目になった。ちなみに、すでに胃潰瘍2回、十二指腸潰瘍3回なってる。お前らの知らないところで、死ぬほど苦労してんだぞ(涙目)!
「そこで朗報だよ!」
「そんなんは信用しないぞ」
「別のバンドリの世界に転生させてあげまーす!
「マジで!?あざーっす!見直したわ!」
「そういうわけだから、行ってらっしゃい!」
「いや急だなお前!そんなんだからミスるん──」
突然視界がぐるぐる回って、俺の意識が遠心力か何かで飛んで行った。
「アンタを普通の世界に送るわけないでしょバーカww」
そう言ったクソ女神を見ることもなく。
******
見覚えのある家。見覚えのある風景。俺は以前転生した時間軸と同じところに飛ばされたらしい。
あっ、初見の皆さんをガン無視してたね、ちょっとだけ解説してあげよう!
俺は、前のバンドリの世界で性格が崩壊しまくった原作キャラ達とぶっ飛んだ生活をしていたわけだ。だから、散々胃をぶっ壊しまくったわけだが、さっきみたいに何を思ったかクソ女神がこの世界に転生させてくれたというわけだ。詳しいことは『俺の知ってるバンドリ世界じゃないんだが』を読んでくれよな(宣伝乙)!
※なお、どーでもいい場合は読まなくてもいいゾ!どうしてもきになる人は、上から6番目とかいうクッソ中途半端なところに設定集もとい崩壊集があるから、それだけ見てくれればいいゾ!
そういうわけで、家のカレンダーを確認。なるほど、今日は始業式の日だな。ちなみに、ここの時間軸はシーズン2だぞ!
「おーい、起きた〜?起きてるね、ご飯できたから早く降りてきてよ、
......??はい?なんだなんだ、今のリサ姉だったよな?で、今なんて言った?
俺の設定は前の世界と変わっていないはず、生徒手帳を確認しても名前に変更なし。ってことは、リサ姉の設定が変わったってことか?いやいや、流石に原作キャラの設定が変わるなんてことはない。
ま、まあどうせさっきのは転生したてで幻覚を見たんだろう。うん、そういうことだろう。
そう思い、着替えて下へ降りる。我が家は俺含めて3人。母上と父上(笑)。なのにだ。なぜ、うちの食卓に
「おはよう、もう食べれるからね〜」
そして、俺に声をかけてきたのはエプロン姿のリサ姉。あれ、この世界はリサ姉ルートなのか?それはそれでいいけど。
「あれ、食べないの?
「あ、ああ、いただきます」
ん、美味い。母上の料理より断然美味い。じゃなくて!やっぱり今の聞き間違いじゃないよな!今明らかにお兄ちゃんとか言ったよな!?
そうして俺が脳内G20を開催していると、リサ姉が隣に座ってきた。向かいには、我が両親が座っている。
「どう?美味しい?」
「ああ、美味いぞ」
「良かった〜!やっぱりそうやって言ってくれると嬉しいな〜」
「ひっつくな、暑苦しいし食べにくい」
「ご、ごめんね」
「お、おう」
暑苦しいのも食べにくいのも事実なんだけども、それ以上に俺の理性ゲージに大ダメージが飛んできて、瀕死になってたからな。
それに、本気で凹まれるとこっちの調子も狂う。
それにしても、リサ姉ってなんでこんなに主婦スキル高いんだ?あれか、ポンコツゆきにゃをお世話してたらこうなったんだな()
「いつもありがとね、リサちゃん」
「これくらいのこと当然ですよ」
真顔でそんなこと言っちゃう?いや、確かにそれでも悪くないけどさ。むしろいつまでもリサ姉に養われたい。
でも、リサ姉が俺のことお兄ちゃん呼ばわりしてたけど、年齢的にはリサ姉の方が上なんだよな。どうしてこうなった。
──私のことをクソ呼ばわりしたからだよ!
あっそ。そんなことより、今の状況を把握しきることの方が大事なわけで。
この感じだと、おそらく全員こうなってるんだろうな。俺の経験則と、あのクソ女神からして。まあ、多少こうなることも想定してたけど。ただなぁ、一発目から神の左手が俺の心に強烈ストレート加えてきてるわけ。当然雑魚の俺は一発KOな訳で。
そんなことを考えながら食を進めていると、いつのまにか完食していた。それほど思考に沈んでたのか。
「ごちそうさまでした」
食べ終わって汚れた食器を流し台に持っていく。そしてスポンジを手に持ったが。
「いいよ、アタシがやっとくから!」
「えっ、でも」
「いいからいいから!」
気がつけば、リビングに押し込まれていた。
自分が食べ終わると、母上と父上の食器も一緒に洗い出した。こう、なんていうんだろう。新婚で、まだ家を建ててないから実家にお世話になってますみたいなそんな感じ。分かる?ねえ、分かる?
家を出るまでまだ時間がある。勝手に目が覚めたけど、あの時まだ6時くらいだったんだよな。それからすぐ朝飯だったからなぁ。まだ7時にもなってねえ。
暇だなぁと思い、なんとなくリサ姉の方へ視線を向けると、視界の下の方に、巾着袋のような何かに包まれた何かを2つ発見した。うん、あれ何?弁当とか言うなよ?もし弁当だったら俺発狂して死ぬから。
しばらくすると、全てやり終えたリサ姉が俺のいる方に歩いてきた。それもそうなんだけど、おい母上、受験生に任せてマッサージチェアでくつろいでないでさっさと働きやがれ。
そんな母上を呆れた目で見ていると、リサ姉がギリギリ当たるか当たらないかくらいの場所に腰を下ろした。顔近いっす。恥ずかしいっす。尊死しちゃいます。
「疲れた〜。お兄ちゃん、頭撫でてよ」
「はいはい、お疲れリサn──」
危なっ……。うーん、俺はリサ姉と呼び、リサ姉は俺をお兄ちゃんと呼ぶ。なーんか複雑だなぁ。あっ、俺がリサって呼ぶしかないんやな。
そんなことを考えながらリサn──リサを撫でると、うっとりした目でとても気持ちよさそうにし始めた。そんなリサを見ていると、ペットっていうか、小動物っていうか、そんな子犬のような愛くるしさを垣間見ることができるのだ。いつもリサ姉リサ姉と呼び、お姉ちゃんという立場でしか見てこなかったが、案外妹というのも悪くないのかもしれない。ただ、外でそう呼ぶのはやめていただきたい。俺がドSだと思われるから。
そういや歯磨きしてないなと思い、リサn──リサにそのことを言って手をどかすと、寂しそうな目で俺を見つめてくるではないか。ただ、ここはしょうがない、俺の歯の安全を死守するためだ。心を鬼にして洗面台へ向かった。それでも、あの涙目が離れず、罪悪感が襲ってきた。
俺のものであろう(というかデカデカと名前があった)歯ブラシを手に取り、歯磨き粉を乗せ、口にくわえる。
歯ブラシを頻りに動かしながらこの世界について考えることにした。
前の世界はとにかくキャラが崩壊しまくっていた。例えば、今俺の家にいるリサはギャルだったし、美咲ちゃんは普通と見せかけてミッシェルの着ぐるみを着ればアホになるし、彩ちゃんは毒舌になるし、色々悲惨で残念だった。
この世界はどんな世界なのだろうか。リサは妹キャラだったが、他のメンバーがそうだとも限らない。まあ、前の世界みたいにキャラがおかしな方向に変貌していなければそれでもいいが。まあ、今持っている情報が少なすぎるから、考えてもどうしようもないか。それに、俺には考えるだけの頭がないしな。考えるな、感じろっていうじゃん。
ただ、おそらく既に顔見知り状態ではあるのだろう。そう考えると、わざわざこっちから出向く必要性がない。それは楽でいいかもな。
口をすっきりさせてリビングに戻ると、なぜかリサがソファーの上でクッションに顔を埋め、足をぱたぱたさせていた。うん、可愛い。そして足がエr──ん、んんっ、今のは忘れよう。
時間はまだある。仕方がないので、テレビがついているので、それを見ることにした。余っているクッションを取り、それを枕の代わりにして画面に目を向ける。
しばらく見ていると、リサがさっきまで顔を埋めていたクッションを俺の隣に置いてすぐ隣で俺の同じような体勢になってテレビを見だした。いや違う、完全にこっち見てる。テレビを必死に見ようとしても面白くないし、至近距離で見つめられてるって考えると余計に集中できない。くそッ、舐めてたぜ、バンドリ様ヨォ……!
そんな意地でも目を合わせない俺に対し、リサは次なる攻撃を仕掛けてきた。それが、手を握る、だ。温かくて、柔らかくて、小さなリサの手が俺の手を包み込む。どうしようどうしよう理性がさらに削れちゃうよ!
「む〜!」
それでも反応しない俺に、ついに拗ねるという作戦に出たらしい。とにかく申し訳なく思わせようという魂胆なのだろう。頰をぷくーっと膨らませ、全力で抗議しているが、見なくとも分かる。絶対可愛い。謎のプライドとこのまま無視したらどうなるんだろうという好奇心のせいで見れないというのはもったいないが。
ただ、やはり策士リサ。当然ここで終わるはずがないのだ。俺の腕を柔らかな双丘に挟んできやがった。大胆すぎこの人。シーズン2で学年一個上がってるしボリューム増し増しなの!シーズン1の水着イベはもう比較対象になれないのだッ!
「今すぐにやめたほうがいい、普通なら襲われてるぞ」
「大丈夫だって、お兄ちゃんにしかやらないし?」
「そういう問題じゃないんだが……」
俺だって人間であり、思春期真っ只中の男子高校生である。たとえ豆腐メンタルのチキン野郎だったとしても、何かの拍子に襲いかかっちゃう可能性はなきにしもあらず。そのことに気がついているのか、この人。
今も構って欲しそうにしてるけど、ほんとリスクってものを考えようか、うん。
仕方なく頭を撫でてみたりとワンパターンに構ってみるのだが、そうして思い出されるのは、一番最初の、普通の世界でのことだ。あの時は2個下に妹がいたものだが、まあ酷いもので小学6年生くらいまでは仲が良かったんだけど、中学生になってから反抗期になってボロカスに言われた記憶がある。それに、こんなに可愛くなかったしな。陸上やってたからか、足とか腰回りとかエロかった記憶はあるけど。
だからだろうか、こういう時のレパートリーが全くないんだよな。今はこれで満足しているけど、いつ『それ飽きた』と言い出すか分かったものじゃない。
んで、そうこうしていると時間になるわけだ。ふと時計を見ると、結構いい時間になっていた。
「んじゃ、そろそろ時間だし行くか」
俺の通う学校は、前と変わらず常盤富士高校だ。あっ、そういやまだ理事長に会ったことないなぁ。前は富士山ラブな人だって勝手に決めつけてたけど、結局どんな人なんだか。前回の始業式では誰の話も聞いてなかったからな。今回は理事長のだけでも聞いてあげようじゃないか。
んで、その常盤富士高校と羽丘女子学園は俺の家から同じ方向にあるわけだ。つまりだな……
「行こっ、お兄ちゃん」
「お、おう」
つまり、そういうことさ。一緒に登校する、と。しかも腕を絡ませて。ごめん、それじゃ恥ずかしくて俺死んじゃう。俺の豆腐メンタルが緊張のあまり脱水症状起こして豆乳とおからに分離しちゃう!
心臓が今までにないくらい激しく運動しているのを確認し、ニッコニコで幸せそうなリサを見て、全てを諦め、黒歴史を増やしまくるという現実から目を背けて全てを諦めて玄関の扉を開けた。のは良かったが。
「おっはよー!お兄ちゃん!」
「お、おはよ、兄さん」
なんか、また妹が増えました(涙目)。
今後はとりあえず全員を登場させるところから始めていきたいと思います。