妹のように甘えてくるみんなが可愛すぎて死にそう   作:青虹

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どうも、青虹です。

最近はずっとRASの曲ばかり聴いています。神曲だからね、仕方ないね。


ツンデレの本領は他を寄せ付けない

 昨夜の雷雨が嘘のように空は青々としていた。思わず窓から差し込む光に顔をしかめる。

 時間を確認しようとスマホを手に取り電源を入れると、6:47と記されていた。

 最近寝る時間が早い日が続いているなぁ。昨日の場合は仕方がない。しかし、あの二人はなんだったのだろうか。

 アイドルの不可解な行動に疑問を抱きながら、あどけない表情で眠っているチュチュを起こす。

 

「おーい、起きろー」

「んぅ……」

 

 布団の中でもぞもぞ体を動かし、目を開けた。

 

「おはよう」

「おはよ……」

 

 半開きのサファイア色の瞳に視線が吸い込まれそうになる。それでも特に緊張しないのは、既にこの少女に対して妹のようだという感情を抱いているからなのかもしれない。だが、これは仕方のない事なのである。

 いつまでも寝転がっているとまた瞼を閉じてしまいそうだったので、少々酷なことではあるが、布団を引っぺがす。

 地面に足を置き、洗面台へと向かう。後ろからトコトコついてくるチュチュは、頭が起ききっていないのか、足取りがしっかりしていない。危なっかしく感じ、小さな手を取る。

 

「お兄ちゃん、ありがと」

「どういたしまして」

 

 ニコニコと笑うチュチュを見ると、俺も笑顔になる。守りたい、この笑顔。

 そうして軽くなった足取りのおかげで、存外早く辿り着いた。レディーファーストの精神を忘れない紳士な俺は、チュチュに先に譲って後ろで待機する。

 

「空いたわよ」

「おう」

 

 順番が回ってくると、冷水を手に取り勢いよく顔にかける。眠った頭を目覚めさせるため、そして昨日こびりついた余計な記憶を洗い流すため。

 顔を拭き、鏡の奥の自分と対峙する。映った清々しい表情が無理していると思ったのは、先入観によるものだと思いたい。

 並んでリビングへ向かうと、焼いただけの面白み皆無の食パンが置かれていた。たまにはもう少し凝ったものを作ってもいいんじゃね?

 カリッという音を楽しみながら、コーヒーと共に流し込む。独特な苦味が口いっぱいに広がり、脳に刺激が染み渡る。

 意外にも、チュチュもコーヒーを嗜んでいる。やったね、ゆきにゃからマウントが取れるね!

 チュチュはコーヒーを一通り味わうと、視線を下に落とした。気になって覗くと、スマホで音楽関連のサイトを漁っていた。それも、かなり真剣そうに。

 ……ああ、そういえばメンバーを集めて『究極の音』を奏でたいだとかなんとか言ってたな。残念ながら、そこまでの技術はないし、あの中に入っただけで緊張でぶっ倒れちゃう!

 食べ終わって、何もしない母上の代わりに俺とチュチュが食器を洗う。あんた、もっと働きなよ。おい、通販で人をダメにするクッション頼んでるんじゃないよ。本当にダメになるって。もう既にダメだから今更かもしれないけどさ。

 

「学校までついていってもいい?」

「まあ、好きにすればいいぞ」

 

 誑かしてるなんて言われるのは今更だしな。玄関扉を開ければ当然誰かがくっついてくるわけだし。

 

「ただ、正門前までは来ない方がいい。うちのアホ共に囲まれるから」

「OK……」

 

 アメリカでも囲まれていたのだろうか、その光景がありありと浮かんだらしく、苦笑いをして納得してくれた。自分の部屋に戻って制服に着替える。その俺の目に、愛用しているギターが目に入った。

 夜空をイメージし、紺をベースに所々に星をイメージした白い星が煌いている。俺がギターを弾きたいと言い出した時に、わざわざ奮発してオーダーメイドで作ってくれたものだ。その金額を見て、引いてしまったのはいい思い出だ。

 たまには弾いてやらないと、可哀想だよな。今度時間を見つけてCIRCLEに行こうか。誰もうちに不法侵入してなければ、の話だけどな。あー、忙しいなー(白目)

 そろそろ有給休暇でも取ろうかと思いながら下に降りると、チュチュが俺の制服姿をまじまじと見つめる。やめてっ、恥ずかしいからっ!

 

「goodとは言えないけれど、badとも言えない微妙なラインね」

「お世辞でも似合ってるって言って欲しかった……」

 

 そうすれば1日、いや、1週間分の活力を得ることができるからな。

 

「ちゃんとした評価は私服じゃないと」

「言われてみればそうだな」

 

 制服は皆同じものを着るのだ。評価など出来ない……訳じゃなくね?まあいいや、この話はマントルに沈めよう。

 ソファーに腰を下ろし、テレビに興じようとすると、流れるような動きで足の間に座った可愛い生き物が一人。

 赤茶の髪からいい匂いが漂ってきて、頭がクラクラしそうだ。

 身長の高くないチュチュは、絶妙なサイズ感で俺のテレビに向ける視線を妨害しない。髪を弄って遊んでみる。三つ編みにしたり、ツインテールにしてみたり。これもまた、ぼっちが有り余らせた時間を活用して手に入れた、史上最も無駄な知識(秋人調べ)である。

 あっという間に時間を迎え、チュチュに退いてもらって、荷物の最終確認を行う。高校は提出物が少ないのがありがたい。小・中学校は義務教育だからって提出物多すぎだし忘れたらすぐキレるしで迷惑しかなかった。

 玄関にチュチュと共に向かう。朝がこんなにも楽しい日は初めてかもしれない。くっ、チュチュルートはないのかッ!何?妨害が多過ぎるだと!?……諦めます。

 敵29人(予想)とか勝てる自信ないよ。しかも相手はバンドリのキャラときた。みんな美少女なんだから、すぐに浮気しかねないよ!◯ーし◯。さんじゃないんだから。

 気分のいい俺は、意気揚々と扉を開けた。いつもより勢いが強く、大きめの音が出た。

 

「おはようございます、チュチュ様、お兄様!」

「やっぱりあんたか……」

 

 ピンクと水色の縞模様という無駄にカラフルな頭、ギリギリ俺より低いくらいの身長……あれ、ブーツで超上げ底してるやん。さてはオメー、15〜20cmくらい盛ってんな?そして、パスパレの大ファン。そんな、チュチュを慕う少女、パレオが案の定出待ちしていた。

 貴様、チュチュの隣は譲らんぞ。あっ、反対側があったか。

 

「チュチュ様、これから何をされるのですか?」

「──!?」

 

 パレオが弾んだ口調でそう尋ねたが、チュチュはオーバーリアクションを見せた。ツンデレ特有だからね、仕方ないね。

 当然パレオがそれに食いつかないわけもなく。

 

「何ですか?言えないような事じゃ……はっ、まさかお兄様にあんなことやこんなことを……」

「ちげえよ、どうしたらそんな発想ができるんだ。あれか?頭がおかしいからか?それは色だけにしろよ」

「チュチュ様〜!お兄様が辛辣ですぅ〜!」

「あぁもう、離れなさいよ、暑苦しい!」

 

 わぁ、絵に描いたようなゆるゆりだぁ。ほっこりするなぁ。

 手足をバタバタ振って、離そうと頑張るも、パレオさん意外と力があるらしく、全く離れない。アニメとかでよくこういうシーン見るけど、あれってどういう原理なのかな。馬鹿力?

 

「では、チュチュ様は何をされるので?」

 

 小悪魔的な笑みでチュチュに詰め寄る。何故だろうか、顔は笑っているのに、目も笑っているのに、こんなにも恐怖が湧き出るんだろうね。

 

「お、お兄ちゃん助けて……」

「パレオ、チュチュの心は繊細だから気をつけた方がいいぞ」

「はい、分かりました!」

「Followの仕方が納得いかないわ!」

 

 うん、ツンツンしてる。ついでに膨れたほっぺをツンツンしておく。ぷしゅっと音を立てて空気が抜けた。が、その代償にビンタを食らった。ふっ、これが俺が認めたツンデレ妹の愛の鞭か……どうしよう、ツンデレだって分かってると痛くも痒くもない。変な性癖を開花させるのはやめてくれ。

 

「それで、チュチュ様は──」

「違うわよ!お、お兄ちゃんと一緒にいたいとか、そそそんなのじゃないから!」

 

 出ましたツンデレの特技、テンパって墓穴を掘る。面白いのは、ここで自分の過ちに気づいてカァァ……と顔を真っ赤にしてそっぽを向くところ。それが微笑ましくて何より可愛い。

 そうじゃなくても、せめてもの足掻きなのか、涙目でポカポカ叩いてみたり。こういう時は痛くないのがデフォルトだ。

 

「なっ、そ、そんな目で私を見るな!あっち向けっ!」

 

 チュチュは後者だったらしい。潤んだ目をして俺の胸をポカポカ叩いている。あっち向けホイをしようとしているけれど、この天使画像を脳内保存しなくてどうしろという。それほどもったいないことはないだろう。ばっちり連写して全部保存しておいたぜ。この表情は一生忘れないだろうな。

 しかし、それっきり口を聞いてくれなくなった。あの、これってどこの拷問ですか。

 拗ねてしまったチュチュを見て、パレオと顔を見合わせてつい苦笑い。

 会話が続かないので、ここはパレオのパスパレ好きに媚びよう。アニメの4話だったか5話だったか辺りで、パスパレのライブに圧倒的速度で訪れた実績があるからな。どこやっていう人、DVD借りて見るんだ。下の方に白と黒に染めた(?)パレオがいるから。

 

「パレオって好きなものはあるのか?」

「パスパレさんは大好きですよっ!」

 

 俺が話を振ると、目を輝かせて食いついてくる。そこからは、パレオのマシンガントークが始まった。日菜ちゃんみたいだね。

 

「皆さんとっても可愛いですし、歌も演奏も上手なんですよっ!ボーカルの彩さんは──」

 

 という具合に学校までの20分間ずっとパスパレが如何に素晴らしいかという話を聞いていた。

 しかし、よく見てるんだな。今度みんなに教えてあげよっと。

 だが、そのせいで正門前まで来てるのに気づかなかった。あはは、俺ったらドジだなぁ(絶望)

 

「おい、あいつが遂に見せつけ出したぞ!」

「リア充死ねやァァ↑!!」

「ていうかあの子達可愛くない!?」

「それなァァ↑!!」

「パレオ、チュチュを連れて走って帰るんだ。あれに捕まると碌なことはないぞ」

「は、はい、分かりました!」

 

 ふぅ、とりあえず二人はどうにかなったかな。

 ……さて。

 

「や(ヤ)(殺)れェェッッ!!!」

「「「うおおおぉぉぉぉ!!!!」」」

 

 何でお前らってそういう時だけ集団行動の全国常連校並みの団結力を見せるかなぁ。

 とりあえず逃げるか、そうしよう。

 この後鬼教師に捕まってこってり絞られた。

 だがしかし、チュチュのおかげで鬼教師もちょろいちょろい。俺はまだ戦えるッ──すいませんっしたァァァァ!!!!

 

 

 

 死ぬかと思った。おかげさまで反省文4000文字とか食らったんだけど。よし、とりあえずこんなんでいいか。

 一応こういうのはある程度真面目に書く、それがインキャの嗜みだ。

 

「遅いー!待ちくたびれたよ〜」

「……すまんな」

 

 さて、残金はいくらあったっけな。

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