今回は快調でした。いつもの1.5倍くらいの分量ですね。
さて、その話は横に置いておいて。
皆さんに聞きたいことが。
この前書き、要りますかね。正直書くネタがない。いるかいらないか、教えていただきたいです。一番下は気分次第という扱いです。
評価感想、してくれよなっ!
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう」
うん、やっぱり花音はきゃわわだ。溢れ出る包容力、男を誑かす魔性の──えーっと……なんだっけ。
まあいいや、結局俺が言いたいのは、花音さんは絶対的な癒しキャラだということだ。
俺の中では、心がぽっきり折られた時に隣にいてほしい子ランキング上位常連だしな。
「行こ?お兄ちゃん」
「お、おう」
来てくれて大変嬉しいのだが、それと同時にどうやってここにたどり着いたのかが大変疑問である。
「ここまでは迷わなかったのか?」
「お兄ちゃんの家までの道を間違えるなんてありえないよ」
「そ、そうか」
そうか、それは良かった。迷子のたびにうちに来そうだけど、それはそれで大歓迎である。
今朝は俺と花音の二人だ。こころんはあのあと黒服さんに引き取られて別れたので、昨日の夜は初めて一人で過ごした。
誰もおらず、部屋はとても静かで、すっごく平和でした。ぼっちの素晴らしさを再認識しました。
そんなことを考えていると、左腕に重みを感じた。そそ、そそそんなに重くないよよよよ?!
「え、えーっと、何してるんですかね……」
「私が迷子にならないように、かな?」
「あー、それはしょうがないな」
花音が迷子にならないようにしないと千聖に拷問されそうだからなぁ。うん、だからしょうがない。たとえお椀型の柔らかなアレが思いっきり押し付けられていたとしても、気にしてはならないッ!
ちょうど谷間にインされてるからといってそっちに意識を向けてはいけないのだッ!
「な、なんかカップルみたいだね」
「恥ずかしいなら今すぐやめることをおすすめする」
「う、ううん、大丈夫だよ」
「無理しなくていいんだけど……」
大丈夫だとか言いながら、左腕にはトクトクトク、と猛烈な速さの心音が伝わっている。だから恥ずかしいならやるなっての。
え?俺?もちろん破裂しそうなくらい速いけど?持久走の後よりも速いけど何か?
逆に速くなってなかったらそいつ絶対ホモだから。間違いないね。もしそういう友人がいたら気をつけな。襲われるかもしれないから。
「そういえば、もうすぐ文化祭だね」
「ああ、そうだな。俺にとっては負けイベだけど」
ぼっちの俺にとっては苦行でしかない。男友達がいない上に、一緒に回りたいガールズバンドたちが俺の周りを取り囲んで、周りから痛い目で見られること間違いないから。
ステージ1でラスボスとか鬼畜すぎな。
「私たちが一緒に回ってあげるから大丈夫だよ!」
「それだと別の問題が……」
花音気づいて。普段ぼっちの俺の周りに美少女が密集するとどうなるか。
想像するのは難しくないと思うんだけどなぁ。
「私たちと回るの、嫌なの?」
「何も問題ありませんむしろ大歓迎ですはい」
「よかった」
花音さんに目を潤ませてお願いされて断ることができないのはしょうがない。断ったやつは俺が許さん。
うちは展示物作って終わりらしいけど、何作るんか知らん。そもそも仕事ないし。え?ぼっちで影が薄いせいで仕事がもらえてないだけ?……黙れ小僧!
だけど、そんな悲しみは花音の微笑みで浄化する。この笑顔を脳内保存して、辛いことがあったら癒してもらいます。お前らもするだろ?推しのポスターとかを壁に貼っつけて家に帰ってくるたびに癒されてるんだろ?
「あ、そうだお兄ちゃん」
「ん?」
「私、文化祭特別バンドを組んで演奏することになったから、見に来てくれる?」
「もちろん行かせていただきます!」
「ふふ、ありがとう」
拳を強く握りしめ、どんな用事があったとしても行くことを決意。
『ひとりじゃないんだから』は、元はバイト応援ソングっていうテーマで作られた曲だけど、あれ絶対勉強用でもある。
1時間くらい頑張って、疲れたって時にイヤホンぶっ刺してこの曲を聴く。するとどうだろう。彩ちゃんの癒しボイスとともに、疲れ切った心を丁寧にほぐしてくれるではないか。
しかも運営さんの人選が神。彩ちゃん、モカ、リサ、花音、つぐ。運営さん、これからも一生ついて行きますと心に誓って、筆を手に取ったのはいい思い出。
「最後尾からバッチリ録画しておいてやる」
「それは恥ずかしいからちょっと……」
「あっはい」
くっそ、映像なら効果100割増し間違いないのに。仕方ない、最前線で脳内保存に努めるとしよう。それはみんな喜ぶよね?
「あー、早く今週終わらねえかなー。早く文化祭来ねえかなー」
「あれ?さっき負けイベって──」
「あーあー、何も聞こえないわー」
「聞こえてるよね?」
「ん?なんのことだ?」
負けイベとか言った記憶ないから、うん。生演奏聴けるなら勝ち組だよなぁ?
「ところでお兄ちゃんの高校の見どころってなに?」
「ない」
「え?」
「ない」
当然即答。うちは女子が少なく、実質男子校で華がない。ただただ地味な絵面が続くばかりである。
そんなところにいっても、面白みがあるはずがない。
弦巻家の根回しもあり、今年初めて花咲川、羽丘、常盤富士の3校合同で文化祭をすることになったらしい。
正直言って、うちはあまり面白くない。有名女優がいるわけでも、美少女ガールズバンドがあるわけでも、華があるわけでもない。汗臭い男どもが雄叫びをあげて野獣と化すだけである。お前らは勝手に抱き合っとけ。
「2日ともあそこにいるつもりはないしな」
「じゃあ、いっぱい回れるねっ」
「そうだな」
俺としては今でお腹いっぱいなんだけど。学校にいる時以外、基本誰かと一緒にいるから。
しかし、だからといって一緒に回らないのとはちょっとわけが違う。
文化祭という特別な環境において、普段は見られない一面を見るっていうのも楽しみの一つだからだ。
……周りからの視線はもういいや。よくよく考えたら今更だしな。放課後はいつもいつも凍てつく視線を向けられている。もう慣れたわ。
そうこうしていると、いつも別れるところに来た。本来ならここで別れるのだが……
「えっと……学校までついてきてくれる?」
「もちろんだ。大人しくエスコートされとけ」
「えへへ……」
おい、体をくねくねさせるな。キャラ崩壊してんぞ。可愛いからそんなこと言わないけど。
それ以上に、腕の中で果実さんたちが形を変えて押し付けられるから、理性が危険だ。
意外と花音もあるな──ってそういうことを考えるな。
「お兄ちゃん、顔が赤いけど、熱あるの?」
「いや、俺は元気だぞ」
息子とか特に。ビンビンだぞ?元気すぎてしつけは大変だし、寝つきは悪いし、大変すぎるわー。
「ほんとに?」
「えっ?ちょっ」
待って待って、おでこにやわやわおててが添えられたら緊張と恥ずかしさで余計に顔が赤くなるわ!
顔めっちゃ近いし、お願いだからそんな心配そうに見つめないで!
「熱っぽいけど──」
「だ、大丈夫だって」
恥ずかしさのあまり、花音のいない方、右側を向いてしまう。しばらくは目を合わせられないかもな……って。
「げっ」
「げっ、ってなによ」
「びっくりしただけだし」
右を向けば千聖が並んで歩いていた。なんでこのタイミングで会うかなぁ。そしてその奥の見えない微笑をやめるんだ。
「あっ、おはよう千聖ちゃん」
「おはよう、花音」
うわぁ、俺の時とはめっちゃ表情変えてやがる。ただのニッコニコマシーンじゃねえか。
と思ったら、俺の耳に顔を寄せ、小声で囁いてきた。心臓に悪いからやめてくれ。
「随分と仲が良さそうね」
「これは迷子にならないようにしてるだけだ」
「でも、わざわざそんなことをする必要なかったんじゃないかしら?」
「花音が急にくっついてきただけだ。俺からじゃないからな」
俺からだったらとっくに捕まってるわ。男って悲しいよなぁ。こっちからスキンシップすれば気持ち悪がられるくせに、女からはなにも問題にならないもんな。
「あら、じゃあこっちの空いてる方を」
「お前もかよ……」
更に状況が悪化した。もしかしたら俺って花咲川と羽丘では有名人なんじゃないの?誑しとかそんなあだ名ついてるんだろ俺わかるぞ。
って、千聖も三次元の平均に比べたら結構あるような……
くっそ、その小悪魔微笑をやめろ。
「兄さん照れてるわね」
「ふふ、目が泳いでる」
「ち、違うし。寄ってくる男どもがいないか目を光らせてるだけだし」
決して目のやり場に困ってるとかじゃねえし。
とりあえず空を仰いでおこう。ほら、上を向いて歩こうなんていうじゃん。
「兄さんは私か花音どっちが好みかしら?」
「ファッ!?」
「ふえぇ……!」
どうした急に爆弾発言を投下しやがって。
千聖は挑戦的な笑みを、花音は困惑したように見せかけて、目をうるうるさせて上目遣いまで繰り出してきた。
だけど、俺の答えは決まっている。
「……二人とも好きなんだけど、どちらかといえば花音かなぁ」
「……ふえぇ!?」
「……そう」
千聖は相変わらずの笑みを浮かべていた。ポーカーフェイスのせいで、なにも読み取れない。
対する花音は、茹でだこのごとく顔を真っ赤にさせ、ふえぇ、と言ったりあたふたしたりしている。うん、可愛い。
「でも、千聖のことが嫌いってわけじゃないからな」
「知ってるわよ」
よかった、俺への好感度は下がっていないらしい。下がってたら1週間くらい寝込むところだったわ。いや、うん。推しとか関係なしに美少女から嫌われるっていうことへの苦痛はとても大きい。だから、好感度稼ぎってのは結構大切だ。
でも千聖さん、自分に意識を向けたいからってブツを押し付けるのは女優として、アイドルとしてやっちゃいけないと思うんだ。
「ど、どうかしら?」
「何が」
「私の口から言わせないでちょうだい」
「ならやめろよ……」
この人もこの人で心臓バックバクだし。一体何がお前らをそこまで駆り立てるんだよ。女心が分からなさすぎる。
「お兄ちゃん……!」
「無駄に対抗心を燃やすなオイ」
ついに両腕からマシュマロ攻撃を受けることになった。当然俺の脳は飽和状態。何が何だかさっぱりである。
……これはあれだな。黒歴史になったらその時の俺に丸投げしちゃえばいい。今は流れに身を任せるべきだ。
そして俺は賢者モードに突入しちゃえばいい。
「あら、兄さん両手に花じゃない」
「……紗夜か」
当然、校門前に来たところで風紀委員の仕事中の紗夜に捕まる。
想定内ではあったが、なんか気まずい。
「いつもは来ないわよね?」
「花音が迷子にならないように連れてきただけだ」
「では、白鷺さんは?」
「勝手についてきただけだけど」
「そう、でも兄さん早く学校に行かないと遅刻するわよ?」
そう、ここまで遠回りした分、いつもよりも時間がない。遅刻ほどではないものの、あまりのんびりできるほど余裕があるわけでもない。
「そうだな。んじゃ、俺はここで」
「またね」
「じゃあね、兄さん」
「おう」
回れ右をして、変に注目を集める前にさっさと離れてしまおう、そう思ったが。
「兄さん」
「ん?なんだ?」
「またネクタイが曲がってるわよ……それくらいしっかりしなさい」
「……うっす」
先週も見たこの光景。平静に努めるも、心臓の激しい鼓動は止まらない。
落ち着いてられる猛者はいるのだろうか、いやいない(反語)
「よし。それでは、いってらっしゃい」
「おう、行ってきます」
「完全に夫婦ね」
「あはは……そうだね」
「」
学校に向かって、ダッシュで向かった。けけ決してはは恥ずかしいいいいとかそそそそんなんじゃないからね!?時間がないだけだからね!?
結局、いつもより2分だけ早く着いた。息絶え絶えだったけど。
******
放課後。校門は異様な雰囲気に包まれていた。
いつものうるささは何処へやら、皆が何かに怯えているようで、ある一点を避けて歩いていた。
気になってそっちに歩いて行くと。
「遅えぞ、兄貴」
いやあんたかーい。