投稿ペース早くね、と思ったそこのあなた、これは仕方がないことなんです。
投稿する→UA数超伸びる(9000オーバー)、お気に入り180突破→作者大喜び→書きたい衝動に駆られる→執筆のモチベアップ→筆が進む→投稿ペースが早くなる
これは仕方がないことなんですよね。楽しいからいいんですけど。
それと、ほんとマジで感想と評価に飢えてます。たくさん待ってます。
いや、どうしてこうなったし。今の俺の心情はそれだけだった。
隣には、国民的女優白鷺千聖がいるわけだが、もう圧がヤバい。格が違うね、ほんとに。中和剤に彩ちゃんを要求するッ!
「で、これからどこに行くんだ」
「兄さんの家よ」
「……そうですか」
あれか、エロ本チェックですかそうですか。だが残念、この世界に来て2日目、未だコンビニすら行っていないし、なんならネットサーフィンする時間が僅かしかなかったから、そんなことをする時間などないのだ!
結局、会話できぬまま自宅に来た。並々ならぬ覚悟を決めて扉を開けたが、珍しく誰もいなかった。それどころか、早くしろと言われた。カナシイ。
「で、うちに来て何をするんだ?」
「特に何もしないわよ。兄さんの家でくつろぐだけよ」
「……あっそうなのね」
てっきり持ち物検査されるかと思ったわ。千聖s──のことだしな。
「あら、また誰か連れてきたの?」
「着いてきただけだけどな」
そんなことよりもさ、昨日もそうだったけどさ、何その圧倒的にスルースキル!?千聖だぞ!?バンドリの世界の芸能界では超有名人だろ!?もうちょっとリアクションしよ!?
でも、いつぞやに言ってたな。白鷺千聖という人間は結局ただの女子高生であり、メディアや世間の目は精神的にこたえると。だから、母上のノーリアクションはありがたいのかもな。
「お腹空いたわ。何か食べるものはないかしら?」
「さあな。冷蔵庫漁ればなんかあるんじゃね?見てきたらどうだ」
すたすたと冷蔵庫に向かい、開けると何かないかと探し始めた。が、身長が低いせいで奥まで見えていない様子。面白そうだから見てよっと。
おー、必死にうーんって言いながら背伸びしてる。可愛い。
しばらくして何か見つけたらしく、手を伸ばしたが、あとちょっとのところで届かない。
「……兄さん、ちょっといいかしら」
「ん?なんだ」
「あれを取って欲しいのだけれど……」
「ああ、これな、どうぞ」
「……ありがとう」
食べたかったのはプリンらしい。ちょっと高級そうだけど、まあいっか。俺のやつじゃないし。
それにしても随分可愛らしく食べるのな。小さい口にちょこっとずつ運んで、一口一口味わっている。ああ、どこからか食レポが聞こえてきそうだ。
「その……よかったら……一口食べないかしら?」
「えっと、いい、のか?」
「……ええ」
「じゃあ、頂こうかな」
自分用のスプーンを取りに行こうとしたら、千聖に止められた。そして、隣に座ってくれ、だとさ。
「あーん」
「はい?」
「あーん」
「えっ?」
「あーん」
「で──」
「私だって恥ずかしいから早くして頂戴」
「あっはい」
結局威圧に押され、雰囲気もクソもなかったが、プリンの甘味が口いっぱいに広がり、最高の口溶けとともに消えていったので許す。千聖が照れ顔見せてくれたから次も許す。超可愛かったっす。やったね!
「……」
「んで、食べないのか?」
「食べるわよ。でも……」
「でも?」
「これを持って帰りたいのだけど……」
「今すぐ食え手を休めるなさあ早く」
ダメだダメだ、千聖がおかしな方向に進んでしまってる。絶対に元はこんなキャラじゃないはずだ。
死ぬ気で奇行を止め、スプーンを食洗機にぶち込み、ようやくこの一件は解決した。
「疲れたわ」
「俺もお前の対応に疲れた」
「横になりたいわね」
「俺も横になりたいわ。それとスルーするな」
「膝枕してくれないかしら?」
「俺の意見は無視ですかそうですか──って行動早くね?」
俺が言い終わる前に、偶然ソファーの端っこに座っていた俺の太ももに頭を乗せてきた。どうやら俺に人権はないらしい。ほぼ奴隷じゃねえかこれ。てことはマネージャーはこんなのに毎日付き合わされてるってことだよな。御愁傷様です。
「固いわね」
「ならどけよ」
「それは嫌ね」
「なんて強情なやつだ」
なんて日だ、って叫びたい気分だ。でも、あのハゲ頭がF1のごとく通過するからやっぱ無理。大人しくしておこう。
「随分とリラックスしてんな」
「私だって疲れるのよ。毎日仕事に追われているから」
「へぇ」
まあ、たまにそういう有名芸能人の生活に密着してみたっていう企画の番組とかでスケジュール表見るけど、どこも予定で真っ黒だもんな。太◯の達人かと思ったわ。あの朝ドラの主題歌のやつの裏譜面くらい真っ黒だ。流石に二郎の方の◯イト・オブ・ナイ◯よりはマシ。あそこまで行くと過労死するわ。
「休みでも街に出ればファンにサインや写真を求められることもあるわ」
「人だかりが眼に浮かぶわ。さっきもそうだったし」
「パスパレも楽しいけれど、彩ちゃんや日菜ちゃんを制御するのは無理よ」
「逆にあれ制御できるやついるのかよ」
「いないでしょうね」
ふふっ、と純粋な笑みを浮かべた。それなら綺麗で美しいのに。普段からそうしてよん。
「だから、こうやって落ち着ける時間は貴重なのよ」
「お疲れ様だな」
「私はこうやって兄さんと二人きりの時間が一番好きなのよ?」
「それは嬉しいことで」
白鷺千聖には人気女優とかアイドルバンドのメンバーとかいう肩書きがあるけども、それ以前に普通の女子高生である。
まだ年齢的には子供の方であり、精神的にも苦しい時期なのだろう。
「だから、たまには甘えてもいいわよね?」
「……いいけど」
けど。俺この展開知ってる。朝この展開見た。どう見てもデジャヴなんだよな。
そんな甘えたい千聖の命令に付き従うこと数時間、夜ご飯を挟んだが、心身共に限界に到達しそうになりながらも辛うじて生き残っている状態まで追い込まれた。
「ふわぁ……」
「なんだ、眠いのか?欠伸して」
「普段から忙しいのだから、眠くなるのは当然じゃないかしら」
まるで俺がサボってるみたいな言われようで納得いかな──そういや今日の授業ほとんど寝てたな。
「ところで、寝る場所だが……」
「何言ってるのよ。一緒に寝るわよ」
「え?は?」
「あら、彩ちゃんとは一緒に寝たくせに私とはダメだと言いたいのかしら?」
この威圧が溢れ散らかっている笑顔が、問答無用で俺と寝ようとしていることを嫌でも思い知らせてくる。
「……はいはい分かりましたよ一緒に寝ればいいんでしょ」
「よろしい」
何がよろしいだこのど畜生が。俺のメンタル舐めんなよ!俺が襲おうが責任は取れんぞ!
そんな俺の思いも虚しく、一つのベッドの中で向かい合って眠りに就こうとしていた。
おっ、落ち着け息子よ!ここで聖剣エクスカリバーとかいう宝具を放とうとするな!カウンターを食らって社会的に殺されるだろうが!
「ありがとう、兄さん」
「俺なんかしたっけ」
「いいえ、私に対して『女優白鷺千聖』ではなくて『普通の高校生白鷺千聖』として接してくれたからよ」
「別にそんな大したことじゃないだろうに……」
「でも、その大したことではないことで私は救われているのよ?」
潤んだ目は普段の千聖が絶対に見せない弱みであって、それは同時に俺を信頼しているということでもあった。
俺はただ、そういうことがあったという事実を知っているだけ。だから、それに努めただけのことだ。簡単に言えば、注意事項を守っただけのこと。そんな感謝するようなことではない。
「ありがとう、これからも迷惑をかけるかもしれないけれど、またこうやって付き合ってほしいわね」
「……分かった」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
すぐに安らかな寝息をたてて眠りについた。よっぽど疲れていたのだろう。この部屋に来た時間は10時になったかなっていないかくらい。
寝る時間にはまだ早すぎる。だが、さっきまで千聖はすごく眠そうだった。バンドリをやっているだけでは分からないが、毎日多忙なのだろう。学校を休んで映画の撮影をしたり、番組に収録に向かったり。時には長時間移動することもあるだろう。しかも、それと並行してバンドの練習もこなさなければならない。正直過労死してもおかしくないし、こんなに小さな体に任せていいような量ではない。
「お疲れ様」
最初は一回起きようかと思ったが、たまには早く寝るのもいいだろうと思い、目を閉じた。
千聖がこんなにも頑張ってるんだから、俺も頑張らないと、そう思えた。
窓の外の三日月は、綺麗な白い光を放っていた。
******
誰かが俺を揺する。それで徐々に周りの情報を拾い出す。最初に届いたのは、起きなさいという声だ。次に目を開けると、薄赤色の瞳の視線と交錯する。
「早く起きたらどうかしら」
「……今何時だよ」
「6時よ」
「あと30分」
「子供みたいなことを言ってないで早く起きなさい」
母親みたいな調子の千聖には起こされ、顔を洗う。ようやく意識がはっきりとし、脳が完全に機能を始めた。
「おはよう、兄さん」
「おはよう、千聖」
兄弟っぽく見えるがこれでも血の繋がっていない赤の他人だ。誰がなんと言おうとも、な。
朝食にはまだ早い時間帯。暇つぶしなど、スマホしかない俺にとって、この時間は飽きるものだ。
「兄さん、散歩に行くのはどうかしら?」
「ああ、いいんじゃね?ただ……撮られねえだろうな?」
「大丈夫よ。昨日だって普通に一緒に来たじゃない」
「ま、それもそうか。もし撮られたらモザイクかけるように言っといてくれると助かる」
「……仕方ないわね」
「なんで上から目線なんだろうな」
玄関の外は、涼しさの残る、気持ちの良い空間が広がっていた。そよ風が頰を撫で、髪をふわりとかき回す。千聖の髪も揺れ、いい匂いが漂う。
ゆったりとした時が流れる。それがとても居心地の良いもので、会話があってもなくても、決して嫌いにはならなかった。
「そろそろ時間ね、戻った方がいいわね」
「そうだな」
そんな時間はあっという間に過ぎる。太陽は顔を出し、俺たちに光と暖かさを届けていた。
再び家に戻ると、3回目の朝食に舌鼓を打つ。普通のパンだけどな。
働かないクソ母()の代わりに食器を洗っていると、千聖が歩いてきた。
「私も手伝うわ」
「いいって、これくらいやるから」
「手伝わせなさい」
「はぁ、お前はいつも仕事頑張ってるんだろ、今のうちにしっかり休んどいた方がいいだろ。過労で倒れたら困るしな」
「あ、あらそう、じゃあそうさせてもらうわ」
引き上げた千聖は、ソファーに顔を埋めたかと思いきや、それっきり動かなくなった。まさか、寝たわけではないだろうな。いやでも、移動中の車内で寝なきゃならないから、こういうのには慣れてるのか?まあいい、どちらにせよ、しっかり休んでほしいことには変わりない。
食器が一通り片付くと、登校するまであと10分を切っていた。あまり時間がないらしい。とりあえずゲームのログインだけしておくことにした。
そうしていると、意外とあっという間に時間がやってきた。案の定眠っていた千聖を起こし、恒例のガチャ()の時間がやってきた。さて、今日は誰が来るかな(白目)。
「おはよう、千聖、兄さん」
あーあーあー、めんどくさいのが当たったよ。