魔王の娘   作:ルルイエカナタ

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プロローグ 魔王日記 一話

視点・日記

 

 

 

私の名前はない。後に付けられた名前はあるが、少なくとも生みの親が付けたような名前はない。仮に私を指し示す言葉があるならこう言われるだろう。

 

 

 

 

ㅤㅤㅤㅤ

膨大生命

 

 

 

ㅤ1日目

 

ㅤ私という存在はある魔王に生み出された。その魔王の名はイガス、ネアンタール人。その魔王はまだ発展途上の技術、かつて地球が滅ぶ前に残された遺産、魔術というものを見つけた。そしてどういう経緯かわからないが、それを扱いある真実を見つけた。

 

ㅤいずれ滅び去る宇宙があることを。滅び、いや全てが無かったことになる。そのような事実を容認できるほど彼は器が小さかったのか、それともほかの何かがあったなのだろうかは。娘である私にすらわからない。娘と言っても駒鳥みたいな形をしている。

 

 

ㅤ69350755日目

 

ㅤ彼に、立場上お父さんに生み出されて数十万年ほどたった。その間にお父さんはとても強くなり、はっきり言って滅びを回避できると思えるほどの力を得たと私は思った。しかしお父さんはこれでも宇宙の延命が限界だという。お父さんは何を見たのだろうか。

 

 

ㅤ146003440日目

 

ㅤ最近ホモ・サピエンスという部類の人類種が現れたらしい。お父さんはため息をつくことが多くなってきた。でも何処か安らぐように微笑んでいた。一体あの顔はなんだったのだろうか。

 

 

ㅤメソポタミア文明

 

ㅤバビロニアという時代を切っ掛けにお父さんは何処かに出ていうような事が頻繁になっていた。それを気に色んな有名な名前が飛んでくるようになった。その中でもお父さんが気にしていたのはある3人の人間達だった。

 

『戦神万王ギルガメッシュ』

 

『お医者さんユウカイ』

 

『礼装創設者アレイ・レイア』

 

ㅤ私は気になり会ってみることにした。

ㅤ目を疑った、はっきり言って化け物なんて言葉は生易しい。たった1人で最低でも銀河系を滅ぼせるほどの力を持った人間、いや魔術種だった。

ㅤあれらはもはやそこらの神々など相手にならないほど。なるとしても過去の魔術の遺産に残されている魔神や超常と呼ばれるもの達を渡り合えるほどの実力を有していた。外なる神であるアザトースと対等と言えばわかるだろうか。

ㅤ中でも礼装創設者は馬鹿げていた。彼女は戦うための魔術種ではなかったが開発に関しては飛び抜けて優秀であり、最低限の力でひとつの軍から城まで焦土と帰られる礼装というものを作り出していた。

ㅤお父さんはあと500年もあれば外なる世界に対しての切り札の1つを手に入れられるらしい。

ㅤしかし同時に私は戦慄した。たとえこれほどの力を持っていたとしてもまだ確実ではないらしい

 

 

ㅤメソポタミア文明

 

ㅤある日魔術種は弟子を取り始めた。なにやら世界を救うため拡散という方法を取りだしたみたいだ。流石に礼装創設者並は現れないと思うが、それでも戦神万王クラスは現れるかもしれない。

ㅤ時々思うがお父さんは世界を救う力は同時に滅亡させる力になるのを理解しているのだろうか。

 

 

ㅤ5世紀後半

 

ㅤ魔術種の数が約1億を達したところでお父さんはひとつの計画に移ったらしい。難しいことは無い。単なる拡散した魔術の収集だ。魔術を拡散し、その際にゲームのようなセーブデータを記録させておくことで死んだとしても次に託せるように、次の者に自身の今までの人生の研鑽を託せるように。

ㅤそして最後の一人になると同時に世界の挑戦権を手に入れる。

ㅤそういう方法を取っていたらしい。

 

 

ㅤ19世紀

 

ㅤある日、私は聞いてみた。なぜそこまで必死になれるのか。

ㅤ確かにお父さんは宇宙の寿命を延命させてきた。だけどそれはするべきことだったのだろうかと。普通の人生を送り普通の幸せを送り普通の終焉を得ることくらいならお父さんはできたのではないのだろうか?。きっと誰かを救おうとするよりそちらの方が誰より普通で当たり前で、自然に終われたはず。だと言うのに。

 

ㅤお父さんはこう答えた。

 

『確かにそれは普通だ。当たり前なのだろう。

ㅤだが、だからといってこれから産まれてくる全ての心を持つ無垢な赤子を見殺す理由にはならん。

ㅤお前が思う通りそれはとてもたった1人が思うべきでない理由なのだろう。その通りだ、たかが1人の足掻きなぞ宇宙よりさらに外にいる世界の滅びからすれば、所詮この程度の足掻きにすらならない。だからどうした

 

ㅤお父さんはそう答えた後に高らかに言葉を放った。

 

『自らを自己完結しろ!不可能?有り得ない?そのような言葉に惑わされるな!足し算の結果をマイナスに!引き算の結果をプラスに!不可逆を可逆に!相手が絶対的な物?そんなものは笑い飛ばせ!我らどれほどこの手から零れ落ちたとしても拾い上げろ!理想論?ああその通りだ。

ㅤだとしてもどこにその理想を笑う理由がある!自らの幸せに全人類が幸せになって欲しいという思いが幸せでない理由はどうしてありえないのだと言える!どうして全人類が笑い合える未来が自身の幸せに直結にしないと言える!誰かが学生寮の扉を開けて学校には当たり前の幸せな友人たちが笑いあって、帰って来れば待っている人がいる人生があるような人生に何故それを思う心に笑い飛ばせる理由があるのだ!どこかの国の姫がただの一般人に恋をし、国を捨て自らの人生を選んでは行けない理由はどこにある!そしてその末にその国は幸せの国になっては行けない理由は何処にある!

ㅤなぜ全ての幸せを選んでは行けないと決めつける!たとえどれほどの不可能という言葉を重ねられようと理想はこの世に生きる全てが取るべき選択肢だ!誰に笑われようともこれだけは宣言して見せよう!全てが最後の最後に笑い合える世界は誰にも否定などできない『幸せ』だ!!!!』

 

ㅤお父さんは恥も外聞もなくそう言いきった。私には当時その心を理解ができなかった。でもその心には一切の歪みはなく、その想いに偽りなどなく、きっとお父さんに似合う言葉があるとすれば『ヒーロー』というのだろう。

ㅤお父さんは願望器など必要とせず、世界を変革する力も使わず全力を持ってこれから紡がれる歴史を幸せに変えようと、そして人間たちを信じようとしていた。

ㅤお父さんの想いが成就の可能性は極僅か、いやきっと言葉では言い表せないほど小さくどれほどの0の下に小数点が付き0を加えていこうと表せやしないだろう。

ㅤきっとそんな事を口にしたところで、口癖である『だからどうした』もしくは『それのどこに諦める必要がある』などと言うんだろう。私には止められはしない。その思いが40万年も突き動かし、衰えることすらない理由に足っているのだから。

 

 

 

ㅤ二十一世紀前半

 

ㅤとある魔術種が生まれた。世界の亡びと同等の力を持ちあらゆる可能性を、お父さんの可能性を肯定する存在、無限の概念核。私は思った、きっと彼女は私のお父さんを殺しに来る者だと。

ㅤ魔術種達は既に魔術の収束に入っている以上お父さんを殺しにくるはず。何せお父さんは何十万年も前に世界への挑戦権を獲得しており、現状世界へ挑戦できるのはお父さんしかいない。だから全ての魔術種を殺しお父さんの前まで来るはずだ。

ㅤ私は疑問に思っていた。お父さんは確かに最後の最後にみんなが笑い合える世界になるとそう信じきっていた。だが今の今まで魔術種が幸せになった未来になる気配がない。だから……本当になるとは思えなかった。

ㅤいやもう死んだ魔術種がいる以上途絶しているのではないか。

 

 

 

ㅤ世界の亡びにまで残り2年

 

ㅤその魔術種が来た。全ての魔術種を収束させその力を物にしお父さんの目の前に立っていた。名前は結坂レイン。そしてもう1人、お父さんが世界の挑戦権を手に入れる際に起きた不備によりある力の収束が1部世界に飛んだことがあった。その際世界の亡びと同等の力を持つ存在を2人の少年少女に宿らせてしまったらしい。今目の前にいるのはその片割れ。そしてその内側にはもう1人がいた。

 

 

 

ㅤある日全ての魔術種が殺され尽くせたった1人に収束した。選出された人間は1人の少女だった。

 

『魔王イガス、あんたの日記を見たよ』

 

ㅤ結坂は唐突にそんなことを聞いてきた。お父さんは黙って頷く、だから私は黙って聞くことにした。

 

『あんたの日記に書かれた願いもな。全ての存在を幸せにしたいか。はっきり言ってあんたの願いは誰にも理解されることは無い』

だから(・・・)

『でもあんたを尊敬する。あんたはここまでほぼ全てが予定通りなのだろう。あらゆる可能性を見ることが出来る概念核を持つ俺だからわかる。あんたの願いは途絶なんかしちゃいない。いや、むしろここまで来たからこそその願いは2分の1で叶うだろう。本当に凄い。俺はそう思う。』

それで?何が言いたい(・・・・・・・・・・)

『たった今だけでいい、この時だけ俺に任せてくれ』

 

ㅤ彼女はそう言った。その目には偽りはなく確かな可能性を見越していた。

ㅤ私はつい託しても良いのではないかと想いお父さんの顔を見た。

ㅤそこにあったのは何も思ってないような顔だった。

 

 

 

 

『君はまだ…………足りてはいない(・・・・・・・)ようだ。

ㅤ君はこの世界で一体何を見てきた。確かに君はあらゆることを見てきたのだろう。そしてあらゆる魔術種のセーブデータを手に入れてその記憶は全知とも言えるレベルに達しているのだろう。だが貴様は一体魔術種のどのような覚悟を見た。貴様の出会った全ての魔術種にたった1人でも逃げた者はいたか。そして逃げたものに自らの命を案じたものはいたか?誰もが本気で自らの願いを叶えるために誰一人として妥協はしたか。奴らの覚悟に嘘のひとつででもあったか。私は自らの願いの為全ての魔術種達に拡散と収束を命じたぞ。たとえそれが最後の最後にみんなが笑い合えると信じて7億人以上の魔術種に命じたのだ!貴様も貴様の覚悟を見せろ!魔王結坂レイン!』

 

 

 

 

ㅤそして最後の殺し合いが始まった。

 

 

 

 

ㅤ結果は結坂レインが勝った。魔王イガスは世界への挑戦権の正体、基準点を扱い魔王結坂レインの持つ魔術の全てを消していた。

ㅤそしてもう1人、概念核を力を持つ少年の力もだ。これが概念核の力すら打ち消した。これこそが挑戦権の正体だった。概念核同士ではどうしても人間の操作するぶん必ず出力が最大から必ず出力が落ちる。対して相手はそういうものとしか言えない概念核、この世界に亡びを与えるのはそもそも余波程度でしかない以上概念核がどれほどあろうと勝てないのは明白だった。だからこそイガスは基準点を求めた。

ㅤ概念核は力の大小関係なしの次元だが基準点は力があろうが無かろうが関係なく潰せるのだから。

ㅤだが、最後に2代目の魔王、結坂レインが求めたのはそれとはまた別のものだった。

 

 

 

 

繋がるの力

 

 

 

 

ㅤそもそもの話どうやって魔王イガスは基準点を手に入れたのか。この世界においてあらゆるものには限界がある。しかし例外も存在する。そのひとつに願いの力というものだ。

ㅤ基準点もあらゆる平行世界からあらゆる時間軸から願いを一定の法則を用い収束させるのとにより世界の中心に存在する力基準点を引きずり出した。人の願いには因果律どころか本当に世界救える力となった。

 

ㅤ補足ではあるが他にも概念核の力を持つ少年は魔王イガス基準点の力を引きずり下ろす際に人の願いを収束しきれずこの世界に飛び散らせてしまった。そしてその力が自然とこの世界において1番被害をなくすことが出来る魂に引き寄せられ定着した人物が連条彼方という

 

ㅤ確かに彼女には戦う覚悟は足りなかったかもしれない。でも、そうだったとしても……信じる力に、繋がる力にその想いが全ての魔術種の願いの覚悟に負ける理由はなかった。だからこそ、彼女は魔王イガスとは別の強さにたどり着いた。

 

 

 

 

思いの強さを持つイガス

 

繋がりの強さを持つ結坂

 

 

 

 

ㅤ勝ったのは魔王結坂レイン(・・・・・)だった。

 

 

 

 

ㅤお父さんは死ぬ。私はその時そう思った。きっと今までのデータを全て渡した上で。悲しいとは思えなかった。お父さんはいずれ死ぬことは予期していた。そういうふうに歴史を動かしていた。だからこそ心や感情というものをお父さんは与えなかった。だけど娘として今まで愛情は与えてきた。それが無駄であると知りながらもお父さんは知ったことではないかのように。そして最後に死んでいった。

 

 

ㅤ世界の亡びまで残り30秒

 

ㅤ身寄りのいなくなった私は2代目の魔王、つまり親の仇でもある結坂に引き取られた。まあ、使い魔としての術式をお父さんは持っていたからデータの移行と共に使い魔としてのそのまま2代目に移り渡った。

ㅤそして今から世界に挑むらしい。この亡びの決まった世界を救うつもりで挑むらしい。当然だ……お父さんが死んだ以上世界を延命させる存在はもうこの世にはいない。すぐにでも世界を飲み込まれる。

 

ㅤここまで来て残された可能性は2つだけだ。消滅か残るか。

ㅤ結坂は枝木のような形をしていた基準点を取り出すと軽く振った。

 

ㅤドッ、という何かが聞こえたような気がした。目の前にはまるで空間に黒色のペンキをバケツで撒き散らしたような何かが、あるいは空間がめくれたように黒い何かがそこにはあった。

ㅤするとそこからとてつもないほどの力が流れ出た。私の今回の目的はこの流れでる真っ黒の消失させる力しかない、これを全力を持って止める。

 

「力が強いだけの概念核(漂白剤)風情がなんの意思もなく消しゴム程度の存在が、精々我々を消そうと努力してみてください。私は貴方がたった一つの魔術種に殺されるまで時間稼ぎでもさせてもらいます。」

 

ㅤこれは互いのキングの取り合い。結坂先に亡びたる概念核に基準点を突き刺すのが先か。概念核が地球唯一の対抗策(膨大生命)を消すのが先か。

 

 

 

ㅤ世界に残った魔術種は結坂レインと私しかいない。過去にお父さんはあらゆる平行世界の死者をかき集め一人の人間の可能性から使われなかった数十億の可能性を捻り出すことでそれらをこの亡びにぶつけ世界を延命させていた。無限ではダメだ10割を消す攻撃にはたとえ無限でも対応できない。だが膨大量の場合は違った。未だに増え続けるその可能性を使えば延命させることが出来た。そして私はあらゆる平行世界の時間軸からあらゆる生命体の死に際の命をリンクさせていることで膨大な生命を手に入れている。きっとお父さんは私にこういう役目を備えさせていたのだろう。でなければきっと私を生み出していないはずだ。

ㅤ私に出来るのは消えゆく命を一つ一つ暴発させることでその力場を拡大させ相手の消失させる力をこちらに向けることそれしかない。

ㅤ一瞬でも気を抜けば、力を抜けば、力場の発生源である私が飲み込まれ、次に数秒と持たず太陽系が飲み込まれる。それほどのバカげた力がこれには宿っている。火力が強いという訳では無い。単純にこれは力の大小という次元でなく力の強さの関係ない次元まで至っているだけだ。だから圧倒的膨大な数を持って防ぐしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ数時間ほど経ち私の命の量が十分の一をきった。

ㅤ死ぬこと自体に恐怖はない。そもそも心を持つことがなかった。

ㅤそもそも生きる目的はなかったから構わなかった。たとえ死のうが今まで生きた功績も元からなかったわけで正直なところ死んでもよかった。

ㅤたまに気になることがあったらお父さんに聞いてみるくらいが趣味だった。正直に言うと、お父さんの言いたいことはよく理解できなかったけど、きっといい人生良くない人生と判断するなら私の人生は良くない方なのだろう。

 

ㅤお父さんは幸せとは何か私によく説いていた。知識だけならば幸せとはある複数の感情を呼び起こすための手段なのだと言う。呼び出すには薬物をあつかったり、好きな物を手に入れたり五感で味わったり、誰かととの触れ合いで手に入れる際に事だとお父さんはよく言っていた。ただお父さんは私に心を与えることをしていないからそれを享受出来ない。忘れてたのだろうか。

ㅤお父さんは一体何をしたいのだろうか。やっぱり理解できない。

 

ㅤただ、それでも、これは不思議に思えた。お父さんがいなくなって少し体の温度が急激に落ちていたのがそれが元に戻った気がした。

 

(これ)はなんなんだろう。

 

ㅤそれが幸せなのか、それとも悲しみなのは理解できない私はこれをずっと自問自答していた。

 

 

 

ㅤ☆

 

 

 

 

「ふむ、やはり理想を追い求めるのはあらゆる者の特権だな。2代目の魔王はその願い故、あと数歩でやつが望んだ救済に手が届きそうだ。

ㅤ我が娘としても『分からない、理解できない』とよく言っていたが所詮与えられた心に、理想的でない心に純真無垢という言葉は与えられんだろう。

ㅤ心とは感情だけを指すものではなく、感情というものを感じ取り己という物を自身に根を下ろす、そして心を形成し初めて自身のというもの手に入れる物だ。その末の幸せでなければ一体なんの価値がある」

 

ㅤそれは一人の男性だった。人の形はとっていたが明らかに今の人間と同じ人種とは思えないほどかけはなれていた。

 

ㅤ一人のネアンタール人がそこに、黒い景色を捲られたような場所の目の前に1匹の駒鳥を右手の平に抱き抱えられ、立っていた。

 

「さて、父親としてとりあえずこう言わせてもらおうか」

 

ㅤ明らかにわかりやすい形相をし、無機物に等しい敵に向けてこういった。

 

「我が娘が受けた苦しみは世界の延命を持って返させてもらおう。せいぜい2代目に殺されるまで必死に足掻いて見せろ」

 

ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ

 

ㅤ世界の亡びに対し、あらゆる平行世界において使われなかった人間たちの可能性が魔王イガスの足元からそのような音が聞こえ出て来た。

 

 

 

ㅤ☆

 

 

 

 

ㅤなんだろうか。もう命のリンクはほとんど残っていない。せいぜい1万程度だ。多く見えるがこの亡びに対しては単位では測れない数を持ってしても数時間持たせるのがやっとだ。はっきり言うと悪くて数秒、良くても十数秒。もはや私自身力を放っているかどうかすらわからない。急激な繋がれていた命のリンクが消失していく事に私の命の割合は0.1もない。仮死状態よりさらに酷かった。今の状態を10割に体の設定を書き換えれば済むが私自身にそのような機構は存在しない。

ㅤ状況は絶望的、はっきり言ってここからの逆転劇などないようなものだ。でも何故だろうか、この感情は初めてだ。心などないはずなのに何故か今感じるこの感情は、悪くはなかった。

 

目はもう見えない

 

ㅤ自分の翼は動かない

 

ㅤ人のように喋っていた声は届かない。

 

ㅤ耳も何も聞こえない

 

ㅤでも、だけど、心なんか理解出来ていない私が言っても戯言程度にしか響かないだろうけど。

 

ㅤなんだか安心できた。

 

 

 

ㅤ☆

 

 

 

 

「おや、すべき事は終わったかね」

 

ㅤ魔王イガスは真っ黒な空間に対して声をかけてみた。するとそこから人の手が、まるで貞子のような出てき方だがそこにいたのは貞子ではなく何時間か前に黒い穴に突入した、2代目だった。

 

会えたか(・・・・)

 

ㅤいきなりそんなことを言った

 

「まあね……お前以外の魔術種、約7億人、殺し合った魔術種全員が手を取り合うのは壮観だったよ。イガスもこればよかったと思うけどな」

「私もまだやらなければならないことがあったのでね。良かったでは無いか君の1番の懸念(味方の同士討ち)が無くて」

「懸念と言っても正直なところその可能性は低かったけど、確かに殺し合いはしてたが、魔術種同士の殺し合いはある意味でいえば殺人儀式に近いものがあったし、世界の救済するためにやってきたのに今までの全てを無に帰すようなことはしないだろ」

 

「それもそうか」

 

ㅤ一旦区切ると、イガスは右手のすると魔王イガスの膨大生命を抱えている右手から魔法陣のようなものが現れる。

 

「ドッペルゲンガーをだいぶ曲解した術式」

 

ㅤレインは直ぐにその術式を言い当てる。

ㅤ全く同じ人間が出逢えば死ぬというものを曲解し、互いに存在した時点でどちらかが消えるという術式、つまり解釈しだいでは異世界に飛ばすことが出来る術式だ。

 

「まさかとは思うがせっかく戻ってきた親から引き離すつもりか?」

 

ㅤレインは少し責めるように目線を向ける。レインも娘がいたため、死んだ親が戻ってきたのに今すぐ引き離そうとするイガスにムカつきを覚えた。

 

 

「何、そもそも膨大生命は年齢で言えば既に30万は超えていると言うのにまだ親離れもしていないのだぞ」

「それはあんたが心というものを与えなかったからでしょう。いくらなんでも自己の形成を造られたものが行うのはどれほどの苦難だと思ってるんだ……って何してる?」

 

ㅤ一瞬目を離した隙になんか魔法陣の数を増やしていやイガスを見て目を丸くする結坂。明らかにドッペルゲンガー以外の魔術の術式も多く含まれている

 

「いや、命のストックを万まで切ったわけだからな。ある程度の防護は入れておかなければ」

「いや多いぞ!?俺の目が確かなら防護術式1000は超えているんじゃないか!?」

 

ㅤ1秒単位でその魔方陣の数を数千という数を増やして行くイガスにツッコミを入れる結坂だがイガスは気にもとめない。

 

「なに、入れている術式は全部この子に命の危機が本当に起きた場合のみだ。それに君は知っているだろうこの子は命の数が減れば減るほど生命力を減らしていく。割合により生命活動だと。

ㅤこの子は自分で自分の調整ができない以上こうして私が調整するしかないんだよ。念の為に調整用の思念術式も眠らせておいて」

「何が親離れできないだよ!!子離れから先にしろ!!!!」

「何を言うか!!子離れできる親は非情だと思わないか」

「おもわ……無くはないけど……」

 

ㅤ口を悪くする結坂。実際彼女を取り巻く環境が環境がなのでなんとも言えなかった。

 

ㅤそんなことを下らないことを言い合いながらドッペルゲンガー(異世界転移)の術式を作り出す。

 

「これで我が子は幸せの世界に飛び立つ……………………………………………………………………………………………「はよしやがれ」ぐぅ!?」

 

ㅤたっぷり30秒ほど経っても術式を稼働しなかった結坂痺れを切らし頭を叩いた。その拍子に右手が光る。具体的にはその右の手の平にいた駒鳥が光りだした。

 

「な、何をするかぁ!?間違えて術式を稼働させてしまったでは無いか!?」

「それで合ってるんだよ!さっさと親らしく自分の子供を笑顔で出してやれ!30万年引きこもりなんだろ!」

「断る!まだ名前も決定してやってないんだぞ!それと人間としての機能もまだ付けてない」

「人間に関してはさっさと機能を付けてろ!それとお前サラッとすごい事言ったな!30万年以上経っているのにまだ名前付けてないのか!?」

「いや、ほらなんというか名前ってやっぱりカッコイイ名前か可愛いのがいいのか迷って候補を5万個くらい作ったら迷いまくってなぁ」

「やめろよわりと生々しい数言うの。お前なら事実でもおかしくないからな!。」

 

ㅤそんなことを言い合っている間もだんだんとその光は強くなり始め異世界への道を構築を始める。

 

「おい、早くしないと人間の機能もつけることも出来ず送り出すことになるぞ」

「分かった。よし、人の機能を追加したぞ。それと名前はやはりどれがいいかな。1番としては『エリス・エイロス・アキニス・ドローワスター・エイワス』という名前なんだが」

「外国風キラキラネーム!?」

 

その言葉を最後に彼女はこの世界から消え去ったり

 

「エイワス、とりあえずお前がこの30万年苦労してたのはよくわかった気がするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇■∀ヾ〒〒ヾ$★〇(どうやら生き残ったようだな、人間共は。)

 

ㅤそれは何かだった。形は炎のように見えた。炎のように揺らめいていた。

ㅤ色はまるで色んな料理食材をすり潰してかき混ぜたような何かで、とても理解できないものだった。

 

仝■◇§◎◇§§§∥(みたいだな。それでどうする?)

 

ㅤそれは黒色の玉が無数に浮いていた。

 

ㅤその声と呼ぶべき何かは言葉を成していない。しかし確かに伝えたい意味を届けあってはいた。

 

▽∀◎(いつも通りだよ。)⚃Чν┨&╫☩〒✡㍎⇔(この世界は人間達にとっては)▂ゝ∨∩∧✐∞ゝμ(あまりにも勿体ない。)✲$υμЭ。$(ここは私たちの遊び場所だよ)

 

々仝▽△$$ゞヾ§〒(しかし超常である我々が)✰❃✲❈⚀Ха(2人まで減るとはな。)╂$✲╫╬(なかなか油断出来んぞ)

 

/*(ふん、)Σ●厂¥ゝ∞₩วσ彡(だが人間共の中で戦えていた)ڡ▅彡▂๑ẅ▅(魔術種は、)♛⚃Ч☶⚄Ч♂☶╫Ч。☲μ(もうほとんど存在しないではないか。)

☩✡✣¦¿ЭЧ╬╫ⓠ(唯一警戒があるとするなら、)@”➽∨∧∩∢≑(結坂と連条という人間だが、)✿¦¯‼¦‼✐☩(他は殆ど死滅している。)

‼®⚃✹✹✲νμυ╂(生き残っているものも膨大生命を程度だ。)

 

(ならどうする。)

(決まっている。)

 

ㅤ2つの理解できない何かは世界の外側から駒鳥を見ていた。

 

Э$♛⚄☲☶☰♂(端から潰していく。)╬┨Э☩(徹底的にな。)

 

ㅤ人類史や神話、それらでは全く理解できない存在。さらなる上次元。

 

ㅤ超常が動く。たった1羽、1人、1体を殺す為に。




初めて一万字超えたかも。プロローグですがアニメ前に投稿できて良かったです
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