お読みいただければ幸いです。
12月。
一年に一回のビッグイベントがやってくる。
そう、クリスマスである。
私、久島鴎は恋人である鷹原羽依里のため準備に奮闘しているのであった…。
『お母さん、今年のクリスマスは羽依里を呼んで家でパーティーしてもいいかな?』
そんな一言から始まった。
もちろん羽依里には秘密である。
12月某日。
『くーださいなー。』
『いらっしゃい。何がほしいんだい?』
『パリンキー一年分…じゃなかった、ケーキの材料ありますか?』
『はいよ。』
おばあちゃんはケーキの材料を集める。
『これでいいかの?』
『ふむふむ、これとこれもある…。』
『はい!大丈夫です!』
『はいよ、全部で1860万円じゃよ。』
『じゃあ二千円で。』
『1859万8千足りんの。』
『残りは羽依里につけといてください!』
おばあちゃんはにっこりとほほ笑んだ。
この島の駄菓子屋でそろわないものはほとんどない。
会計時に〇万円になるのもお約束だ。
…時々ほんとに〇万円支払う人もいるらしい…。
『そういえば家にクリスマスツリーってあったかな?』
『子どもの頃飾ってた記憶があるんだけど…。帰ってお母さんに聞いてみよっと。』
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一方羽依里は…。
『ありがとうございましたー。』
『ふぅ…。』
『鷹原くん、今日はもう上がっていいよ。お疲れ様。』
『ありがとうございます。お疲れ様でした。』
『外寒っ…。』
気が付けば街はイルミネーションなどで彩られクリスマスムード一色だった。
『もうすぐクリスマスか…。鴎へのプレゼント買わないとな。』
バイトが終わって近くのお店を探してみることにした。
『しかしプレゼント選びって苦手なんだよな…。』
男子校出身で女の子にかかわるなんてことがなかった生活ではプレゼント選びも一苦労だ。
島に行く以外はほとんどお金を使っていなかったので貯金はそこそこある。
鴎のことだから何をあげても喜びそうだがここは慎重に行こうか。
アクセサリー。あんまりイメージがわかないがカチューシャ代わりにリボンなんかあげてもいいのかもしれない。
イヤリングとかでも悪くないかな?ネックレスもありか。うーん迷う。
何かピンとくるものをあげよう。
その日はそのまま帰路についた。
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『ねぇお母さん、クリスマスツリーってあったかな?』
『最近出してはなかったけど家のどこかにはあると思うわ。探しておきますね。』
『お願いね!』
『さて、私はプレゼントを決めなきゃ…。』
『やっぱ手編みのセーターとかマフラーとかのほうが男の子って喜ぶのかな…?』
『羽依里なら何でも喜んでもらえそうな気もするけど…。』
『あ、あれにしよう!うん、そうしよう!』
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『すみません、同じ年代の女の子にプレゼントをあげたいんですけど何あげていいかわからなくて…。』
『プレゼントは気持ちですよ。気持ちがこもってればなんでもうれしいものです。』
『…なるほど…。ありがとうございます!』
『よし、これにしよう!』
『ありがとうございましたー!』
『…よし、プレゼントも買ったし準備はOKだな。』
『そういえば鴎には25日に家に来てくれって言われてたしその日に渡すか。』
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12月25日
『さてと、今日は本番だね!』
『まずはケーキを作らないとね!』
駄菓子屋で買った材料を使いケーキを作る。
食事のほうはお母さんが用意してくれることになっている。
『うん、順調順調。』
ピンポーン。
『こんなに早くに誰だろう…。』
窓越しに玄関のほうを見る。
『ふぇっ…!?羽依里!?なんで?来るの早くない?』
時計を何度見ても時刻は午前10時にもなってない時間だった。
『どうしよう、何も終わってないよ…。』
『と、とりあえずごまかさなきゃ!』
『鴎ー、いないのかー?』
『ふ…ふぎゃー!ふぎゃー!』
『…いるんだな…鴎。』
『か、鴎ちゃんはいませんよー!』
『…どう聴いても鴎の声なんだが…。』
『…ふにゃー、ふにゃー!』
『…猫か?似てないぞ。』
『…はぅ…。』
仕方なく少しだけ玄関を開ける。
『やっと出てきた。』
『…羽依里、ごめんね。まだ何も準備出来てなくて…。』
『あ、そうだったのか…。わかった。ちょっとそのへんぶらついてくるよ!』
『うん、ありがとう!』
『羽依里イズいいやつ!』
そう言うと羽依里は一度帰って行きました。
『さてと、急いで準備しなきゃ!』
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『出来たー!』
『これで羽依里がいつ来ても大丈夫!』
ピンポーン。
『グッドタイミング!』
『はーい。』
『便利な道具の訪問販売ですー。よろしければお話を聞いてみませんかー?』
『…あ、そういうのはちょっと…。』
『まぁまぁそう言わずにお話だけでも。』
どうしよう。羽依里と思ってうっかり出ちゃったけど離してくれそうにないなぁ…お母さん早く帰ってきてー。
『あのー、うちに何か用ですか…?』
『(…羽依里!?)』
『訪問販売とかはいいんで帰ってもらっていいですか?』
『…またおじゃましますー。』
ぱたん。
『羽依里!』
あまりの出来事に思わず抱きつく。
『ぐはぁ。いきなり抱きつくなー!』
『ありがとう!帰ってくれそうになかったから困ってたんだよ!』
『まぁそんなことだろうと思ったよ。』
『羽依里が来てくれてよかったー。』
『準備も出来てるから早く上がって!』
『お、おじゃましますー。』
『鷺さんはいないのか?』
『お母さんは買い物に行ってるの。』
『そうか。』
『じゃーん!どうかな?』
テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいる。
『…私が作ったのはケーキだけなんだけどね…。』
『すごいな!ありがとな!』
『お母さんは先に食べててって言ってたから食べよっか?』
『ならそうさせてもらおう。』
『あ、その前に。』
『…?』
『鴎、メリークリスマス。』
羽依里の手には小さな箱があった。
『…その…、こういうの苦手で似合うかどうかわからないけど…。』
『…羽依里、ありがとう!』
『開けてもいい?』
『もちろん。』
受け取った箱のリボンをゆっくり解き小さな箱の蓋を開ける。
箱の中にはキレイな石のペンダントが入っていた。
なんだかよく知っているような知らないような。
『これ、アクアマリンって言うんだ。』
『キレイ…。』
貰ったペンダントを身につける。
『どうかな…?』
『似合ってるよ。』
『えへへ…。』
もしかしたらどこかの世界線で同じものを貰ったことがあるのかもしれない。
そんな気にさせるペンダントだった。
『じゃあはい、私から。』
『メリークリスマース!』
『おお、ありがとうな。』
『開けてもいいのか?』
『もちろんだよ!』
羽依里は受け取ったプレゼントのリボンを解いていく。
『おお、これは…。』
『…ごめんね。時間がなくて手袋は市販のになっちゃった。』
『マフラーは頑張って編んだんだけどね。』
少し形はいびつだったけど毎日少しずつ編みあげていった。
『いや、嬉しいよ。ありがとう!』
『喜んでもらえてよかった!』
『鴎、ただいま。羽依里さんいらっしゃい。』
ちょうどのタイミングでお母さんが帰ってきた。
『あら、まだ食べてなかったの?』
『ちょうど今から食べるところだったんだよ!』
『それじゃみんなで頂きましょうか。』
『メリークリスマス!!!』
(ノ*°▽°)ノルーっ!
お読み頂きありがとうございました!
12月前半から用意はしてたんですが後半部分が出来上がらず苦戦しておりました。
他のキャラ出ないのかと毎回思われるかもしれませんがキャラを増やすとセリフ管理が大変になる(←そこかよ)のであまり増やさないようにしています。
相変わらず理想の鴎を書きたかったので…(笑)
ありがとうございましたー!