鴎SS短編集   作:(ノ*°▽°)ノルーっ!

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節分のお話です。
いつもの感じと違い羽依里視点、鴎以外の登場多めとなっております!
最後まで拝読いただければ幸いです。


鴎と鬼と豆鉄砲

2月2日

 

『大変だよ!大変だよ!』

 

『なんだよあわてて。』

 

慌てる鴎を見ながら羽依里は冷静に返事をする。

 

『来る…来るよ!』

 

『…何が?』

 

『鬼!鬼が来るの!』

 

『…は?』

 

『だから!鬼!鬼が来るの!』

 

『…ぶっ!』

 

『羽依里、どうして笑うの?』

 

『だって鬼なんているわけないだろう。』

 

『毎年この時期になると必ずやってくるって言ってるよ?』

 

『(…いや、待てよ…ここは妙に不思議なことが起きる島だ…。もしかすると鴎の言っていることは本当かもしれない。)』

 

必死に訴える鴎を横目に羽依里はつぶやく。

 

『なぁ鴎。毎年この時期にやってくるって言ってるけどどうやって追い払うんだ?』

 

羽依里がそう言うと鴎は仰々しい装置を取り出す。

 

『じゃーん!のみきちゃんに改造してもらったマメドログラディエーター改だよ!』

『これに大量の豆を入れて撃ってやっつけるの!』

 

まぁそういうことだとは思っていたが…。そう、2月3日、節分である。

一般的に邪気を払うため『鬼は外、福は家』といいながらとり行われるアレだ。

 

…がこの島の豆まきはどうやら違うようだが…。

 

『ほんとに鬼は来るのか…?』

 

『…ねぇ羽依里、試し撃ちしていい?』

 

そう言いながら鴎はマメドログラディエーターを羽依里へ向ける。

 

『ヒィ!?』

 

『冗談だよ!』

 

『鴎、試し撃ちしていいぞ。』

 

そう言いながらやってきたのはのみきだ。

 

『おい。余計なことを言う…ぎゃーーーー。』

 

鴎はマメドログラディエーターを遠慮無くぶっ放した!

 

『はぁ〜カ・イ・カ・ン…!』

 

『鷹原…節分は戦闘なんだ。のんきなことを行っている場合ではない。』

 

『…この島の豆まきはこんなのなのか…?』

 

『戦闘開始は明日明朝。それまで各自待機だ!』

 

『了解だよー!』

 

そう言うとのみきと鴎はどこかへ行ってしまった。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

しかし島中を歩いていると慌ただしい雰囲気は漂っている…。

 

『もしかして島で行われるイベントなのか…?』

『帰って鏡子さんに聞いてみよう。』

 

『…そこのキミ。』

 

そう思っていると突然女の子に声をかけられた。

 

『そこのキミ。この島にいたという鬼のことを知っているかい?』

 

『…え、鬼?俺は知らないけどなぁ。』

 

『…そう。やっぱり知らないか…。』

 

そう言うと女の子は立ち去っていった。

どう見ても中学生くらいの感じだったが…。

全く知らない子ではあるが何故か知っているような気もした。

 

『羽依里さん。こんにちわ。』

 

『おお、藍か。』

『なぁ、この島で節分って壮大なイベントなのか?』

 

『…羽依里さんは島の外にいるからわからないでしょうけれど…節分はとても恐ろしい行事です。』

『数名の死者が出ることもありますよ。』

 

『ヒィ!?じ、冗談だろう…?』

 

『はい、冗談です。』

 

『心臓に悪いからやめてくれ。』

 

『ところで蒼ちゃん見かけませんでしたか?』

 

『いや、今日は蒼は見てないぞ?』

 

『そうですか。それでは。』

 

そう言うと藍は立ち去っていった。

 

『帰ろう…。』

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

『あら羽依里くんおかえりなさい。』

 

『ただいまです。あ、鏡子さんに聞きたいことが。』

 

『何かしら?』

 

『この島の節分って島中のイベントなんですか?』

 

『イベントはイベントなんだけどね…。毎回鬼がリアルすぎて大変とは聞くよ。』

 

『鬼がリアルすぎて大変…?』

 

ますますわからなくなった。

まぁ明日になってみればわかるだろう。

そんなことを思いながら床に就いた…。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

2月3日

ついにこの日がやってきた。

 

『おはようございま…誰もいないのか。』

 

朝起きてくると鏡子さんの姿はすでになく辺りは静まり返っていた。

 

『なんだろう、妙に静かだな。』

 

様子を見るため玄関から外に出る。

いつもならちらほらと町民が往来しているはずの道路も静かだ。

 

『これがイベントってやつなのか…。』

 

そんなことを思いながら辺りを歩いてみる。

少し歩くと見知った顔の人物を見つけた。

 

『おーい、蒼ーーー!』

 

『ちょっ…バカ!静かにしなさいよ!』

 

蒼に声をかけると勢い良く手で口をふさがれた。

 

『な、なんだよ。』

 

『もうそろそろアイツが現れるわ。』

 

『アイツって…?』

 

『鬼よ!鬼に決まってるじゃない。』

 

昨日の鴎といい蒼といいみんな鬼が来ると言う。

とその時だった。

 

『鬼だーーーーー!鬼が出たぞーーーー!んんんーーーパーーージ!寒っ!』

 

良一が遠くから叫びながらこっちへ向かってくる。

 

『各員戦闘配備!繰り返す!各員戦闘配備!!』

 

島内放送でのみきの声が島中に響き渡る。

 

『みんなそんな鬼なん…て……は?嘘だろ。』

 

目の前の光景を見て驚愕した。

そこには体長3メートルはあろうかという鬼がいたのである。

 

『撃てーー!』

 

のみきの合図と共に鬼への攻撃が一斉に始まった。

 

『羽依里、あんた武器は?』

 

蒼が唐突に聞いてくる。

 

『へっ?そんなもんねーよ!』

 

『貧弱ですね。仕方ありません。これを貸しておきます。』

 

そう言うと藍は拳銃タイプの豆鉄砲を差し出した。

 

『お、おう。』

 

『羽依里!』

 

『ぐぉっ。』

 

唐突に鴎が抱きついてきた。

 

『どうしたんだよ。』

 

『鴎が豆鉄砲食ったような顔してるって言われた!!』

 

『そりゃ鳩が豆鉄砲食ったような顔してるって意味かと…つまり驚いてるってことだよ。』

 

『あ、なんだそっか〜!』

 

『そこの二人いちゃついてないで攻撃しなさいよ!』

 

よく見ればこの状況下で抱きついてるんだから言われても無理はない。

 

『羽依里!いくよ〜!』

 

マメドログラディエーター改を装備した鴎は連射しながら鬼へと近付いていく。

 

『もう意味がわかんねぇ!』

 

やけくそで鴎に続く。

 

『ぐぉぉぉぉぉ!!』

 

『ヒィッ!?』

 

鬼は威圧的な声を出して歩いている。

 

『くそっ!!』

 

パンッ…パンッ!

なれない拳銃型を必死に鬼へと向ける。

 

『鷹原!援護する!うおおおおおお!』

 

『こっこれは!?』

 

天善は目まぐるしいスピードで卓球のラケットを振り回し豆を打っている。

 

『俺も行くぜ!んんんーーーパーーーージ!!』

『ぎゃあああああ!』

 

良一はその場に倒れこんでしまった。

どうやら撃ってきたのはのみきのようだ。

 

『…自業自得だな。』

 

『ところであの鬼はどこへ向かってるんだ…?』

 

『島の奥にある洞窟です。』

『あの場所には鬼の力を増幅させる秘宝があると伝えられています。』

 

『藍、詳しいんだな。』

 

『蒼ちゃんが毎年教えてくれていたから…。』

 

『というかやたら物騒なもの持ってるな…。』

 

『空門家に伝わる宝豆『蒼月豆』です。』

『これはそら豆を固めて作られてるんです。』

 

『…は?』

 

『羽依里さん…切られたいですか?』

 

『藍、刃をこっちに向けてそんなこと言わないで…。』

 

『ちょっと二人とも!!』

 

『ここは蒼ちゃんに免じて許してあげます。』

 

なんだかわからないが許された。

鬼と接触してから随分と時間が経ってしまったが一向に止まる気配はない。

 

『羽依里、どうしよう。このままだと洞窟が…。』

 

洞窟は鴎の(正式には鴎の親御さんだが)持ち主である。

 

『鴎、大丈夫だ。みんなで攻撃すればきっと。』

 

『…うん。そうだよね!』

『でも羽依里、もう弾がないよ…。』

 

『あたしももう弾切れ…。』

『ちょっと、あんたアレどうにかしなさいよ。』

 

『おいおい、無茶言うなよ。』

 

皆弾切れを起こしつつあった。その時である。

 

『ポーーーーン!』

 

『ん?イナリ!?』

 

どこからともなく現れたイナリは大量の豆を持ってきた。

 

『おお、ナイスイナリ!!』

『みんな豆が来たぞー!!』

 

『お母さん…洞窟は守って見せる…!』

 

『蒼ちゃん、反撃と行きますか。』

 

『ええそうね。このまま追い返してやるわ!』

 

それぞれが豆を充填する。

 

『よし、撃てーーーー!』

 

のみきの合図とともに反撃が始まる。

激しい豆の嵐に鬼は足を止めた。

動きの止まった鬼へ藍は駆け寄り蒼月豆を思いっきりスイングする!

 

『はぁあああああ!鬼は…外ーーーーーーー!!』

 

藍の一撃によって鬼は場外ホームランかの如く飛ばされていった。

 

『やったぁ!羽依里、やったね!』

 

『ああ、藍のおかげだな!』

 

『…みなさんが頑張ったからだと思います。』

 

『ポン、ポーン!』

 

『イナリもがんばったわね!』

 

こうして鬼騒動もひと段落したのだった。

数時間後。

 

『それでね…羽依里、だれか倒れてるよ!』

 

『!?おい大丈夫か!?』

『って昨日の子か…。』

 

よく見て見れば昨日鬼がどうとか聞いてきた子だった。

 

『…一体どうしたんだ?こんなところで。』

 

『…おなかすいた。』

 

『…は?』

 

まさかこのご時世おなかがすいて行き倒れていることなんてあるのか?と疑問を抱きながら何故かたまたま持っていたおむすびを手渡した。

 

『ありがとう。生き返ったよ!』

『…ボクはまたキミに逢えるのを楽しみにしているよ。』

 

そういうと女の子は足早に立ち去って行った。

その時ふと目眩のようなものに襲われる。

 

『…里、…依里。』

 

一瞬のうちに辺りは真っ暗になった。

声が聞こえる。名前を呼ぶ声が…。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

『…里、…依里。』

 

『ん…。』

 

『朝だよ〜。起きてよ〜?』

 

『鴎…?』

 

なんだか頭がすっきりしない感じだった。

 

『羽依里、ずいぶんとうなされてたようだけど大丈夫?』

 

所々思い出せない部分はあるがある程度は覚えていた。

そのことを鴎に説明する。

 

『…という夢をみたのでござる。』

 

『羽依里、なんか違うキャラでてるよ。』

『しっかし面白い夢だね!楽しそうでいいなぁ。』

 

『とても楽しい夢ではなかったよ…。』

 

夢の中とはいえ何故か現実にありえそうな部分もあったから怖い。

 

『羽依里、今日は節分だよ!』

『豆は歳の数だけ食べる…っと。』

『あ、私鬼役やるね!』

 

鴎は積極的に鬼をかって出る。

 

『なぐごはいねぇがーーー!!』

 

『鴎、それ違う…。』

 

『てへっ。』

 

普通の節分でいいや。つくづくそう実感した。

 

『それじゃあいくよー!鬼はーー外ーー♪福はーー内ーーー♪』

 

 

 

おしまい。

 




(ノ*°▽°)ノルーっ!
拝読ありがとうございましたー!

多分普段書かない感じなので変なとこあったらごめんなさい(笑)
今回は羽依里の視点を中心に鴎、のみき、蒼、藍、良一、天善、鏡子さんといつもよりキャラが多いです。

あとRBの某キャラが初登場していますがしゃべりは想像です…本編出たら修正します(笑)

最後まで拝読いただきありがとうございましたー(。・ω・)ノ゙
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