鴎SS短編集   作:(ノ*°▽°)ノルーっ!

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ペルセウス座流星群にちなんだ短めのお話です!
鴎ルートのややネタバレ(かもしれない)とオリジナル要素がありますので苦手な方は見ないことをオススメします。


流星の彼方に

8月12日…

残暑厳しいお盆前の事である。

 

『羽依里、ねぇ羽依里ってば。』

 

『あ、うん。』

 

鴎が呼んでいるがあまりの暑さにぼーっとしてしまう。

 

『どうしたの?ぼーっとして。』

 

『いや、何でもないよ。』

 

『ほんとに?どこか具合悪いとかない?』

 

特に具合が悪いとかはない。暑さにやられていただけだろう。

心配する鴎はぐいっと身体を乗り出して顔を覗き込む。

 

『だ、大丈夫だから。近い…む、ごっほが。』

 

『出た!むごっほ!』

『あ、そうそう、今日の夜開いてるよね?』

 

『今日?特に用事はないけど。』

 

『テレビのニュースでやってたんだけど、今日はペルセウス座流星群が観れるんだって!!』

『観に行こ♪』

 

『ああ、行こうか。』

 

『じゃあ、夜の8時に待ち合わせだね!』

 

『りょーかい。必要なもの準備しておかないとな。』

 

必要なものを準備するためいったん解散して家に帰ることにした。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

懐中電灯、予備の電池、レジャーシートに食料品。

必要なものをリュックに詰め込む。

 

『大体こんなものかな?』

 

確認をしていると鏡子さんがやってきた。

 

『あら、羽依里くんどこかに出かけるの?』

 

『ああ、鏡子さん。実は鴎と山に流星群を観に行こうって事になって。』

 

『あら、そうなの?でも夜の山は危険じゃないかな?』

 

『村からも近いし大丈夫ですよ。』

 

『そう、ならいいけど…。』

 

心配はあるのだろうが一応信用されているようで納得された。

まだ時間はある。軽く寝ておくか。

時間近くまで休むことにした。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

午後7時半。

鴎との待ち合わせ場所に歩いて行く。

 

日が沈み始めあたり一面が薄暗くなっていく。

 

『あ、羽依里〜!』

 

スーツケースを引いた鴎が大きく手を振りながらこちらへ向かってくる。

 

『羽依里より先に来ようと思ったんだけどそれよりも羽依里のほうが早かったね!』

 

『あー、家にいても手持ち無沙汰だったから早めに出たんだ。』

 

『よし、それじゃああの山目指してしゅっぱーーつ!』

 

鴎の掛け声と共に二人は歩き出す。

どこから得たのか鴎は得意気に星の話をしていた。

 

『なぁ、鴎。前にプラネタリウム観にいったの覚えてるか?』

 

『うん!もちろん覚えてるよ!』

『あの時もちょうど流星群が見える時期だったよね!』

 

『そういえばそうだったな。』

 

『あの時羽依里ってば「鴎の願いは俺が叶える〜」なんて言ってたよね?』

 

『ぶっ…。覚えてたのか!?やめてくれ。恥ずか死ぬ!』

 

『羽依里が自分で言ったんだよ〜?』

 

『そうだけど…。』

『ま、まぁ、気持ちに変わりはないから!』

 

『ふふっ。羽依里、ありがとね。』

 

そんな話をしながら森を抜けると少し開けたところに出た。

周囲に明かりはなく見上げると満点の星空が俺達を迎えてくれた。

 

『…わぁー…すごいね…。』

 

普段目にしない光景に圧倒されていた。

 

レジャーシートを広げ二人で腰を下ろす。

寝転がると一面が吸い込まれそうなくらいの星空しかなかった。

 

『あっ…!』

 

流れ星が流れた。

見えたと思えば一瞬で消える。

ほんの一瞬だ。

 

ひとつ…またひとつ。

静まりかえった暗闇を裂くように流れていく。

 

何も考えずに静かに夜空を眺めていた。

1時間ほどで十数個の流れ星が見えた。

 

鴎がそっと口を開く。

 

『…羽依里、流れ星ってどこから来てどこに行くんだろうね。』

 

『…俺達に見えるのはたった一瞬だけどものすごく長い年月旅をしているんだろうな。』

 

『…うん。すごい冒険だね。』

 

そう言うと再び口を閉ざす。

何を言うわけではないが二人はそっと手を伸ばしぎゅっと手を繋ぐ。

 

『…えへへ。』

 

ややだらしない鴎の小さな声が聴こえた。思わず微笑んでしまう。

 

『…ずっと一緒に居れたらいいね。』

 

『何言ってるんだ。この先もずっと一緒だろ?』

『俺達の冒険はこれからも続くんだからさ。』

 

『羽依里…ありがとね!』

 

鴎はそう言うとそっと唇を寄せた。

 

まるで時が止まっているかのようだ。

 

重なった唇がゆっくりと離れる。

 

『…?』

 

鴎は涙を流していた。

 

『…ちょっと昔のこと思い出しちゃった。』

 

何も言わずに鴎を抱きしめる。

鴎もしっかり捕まる。まるでここにいることを確かめているかのように…。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

『…そろそろ帰るか。』

 

気がつけば遠くの空がほんのり明るくなり始めていた。

 

 

『たくさん星観れたね!』

 

『ああ、よかったな。』

 

『また観に行こうね〜。』

 

いつもの日常が戻ってくる。

果てない冒険の続きが待っている。

 

『明日に向かって…しゅっぱーーつ!!』

 

 

 




拝読していただきありがとうございました!

ふと思いついたのでSSとして上げさせていただきました!

流星群繋がりという事で2019年冬に公開した鴎と星空の世界を絡ませてのお話にしました(^^)
そちらも合わせて読んでいただければネタとして楽しんでいただけるかと思います!

終盤は果てしない長い旅というキーワードでサマポケRB本編鴎ルート終了時〜アフターストーリーに繋がるところを思い出すと言うシーンを入れています。

しんみりしすぎるのもと思ったので軽くしか触れていませんが…(笑)

また他のお話も書いていきたいと思います!
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