鴎SS短編集   作:(ノ*°▽°)ノルーっ!

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とある夏の冒険のお話です。


カモメ☆トレジャー

『海賊王に私はなる!!』

 

『どこかで聞いたセリフだな~それ』

 

『もう~羽依里ったらノリ悪いよ~』

 

今私と羽依里は船の上にいます。船といっても普通の船で決して海賊船ではありません。

なんでかっていうと、この間家でお母さんと荷物整理してたらこんなものが出てきたんだよね。

 

『私のすべてをそこに置いてきた』

 

そのセリフが書かれた手紙とともに一枚の古めかしい地図があった。これは間違いなく宝の地図。そう信じて私は羽依里と一緒に(半ば強引だけど…)宝さがしに来たのです。

 

『……で、なんで沖縄なんだ? しかも座間味島って……ここ、どこだよ……』

 

『だって……この地図にそう書いてあるんだもん』

 

『その地図……ほんとに宝の地図なのか……?』

 

『さては羽依里くん……君、ものすごく疑ってるね? ほんとに宝の地図なんだよ?』

 

『逆に疑わないほうが変だと思うのは俺の気のせいか……?』

 

羽依里は来る前からずーっと疑ったままです。まぁでも信じられない気持ちはわからなくもないんだけどね。最初は私も疑ってたから。でも手紙と地図を見返しているうちにこれは本物なんじゃないかなって思うほうが強くなったの。きっと見つかる。そう信じてる……。

 

『あ、羽依里! 島が見えてきた!』

 

私と羽依里の視線の先には一つの島が見えていた。

座間味島。沖縄にある島の一つです。

私の持ってきた地図には座間味島の中心部を小さな赤い×印が書かれていた。

 

『島に着いたらまずは情報収集だね!』

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

島に到着した私たちはこの地図に関する情報を得るために観光案内所を訪れた。

でもここでは地図に関する重要な情報は得られませんでした。

 

『出鼻を挫かれたな。どうする?』

 

『…よし、じゃあ羽依里! 先にお昼食べようよ?』

 

『そうだな。食べながらこの後どうするのか対策を考えようか』

 

私と羽依里は港の近くにあった小さなお店に入った。

ちなみに今回の旅は予算とスケジュールの都合上この島に滞在できるのは三日間。

それまでに見つけなければいけないという何ともハードな旅…もとい冒険である。

昼食を済ませた私と羽依里は食事中地図の×印の場所にとりあえず行ってみようということになった。

 

『よいしょっと……』

 

私はスーツケースに腰を据えて羽依里を手招きした。

 

『羽依里♪スーツケース押してくれないかな♪』

 

『……そうだろうと思った』

 

羽依里はなんだかんだ言ってスーツケースを押してくれる。

そういう優しいとこすきだなって思う。

 

『ん~♪ ~♪ ~♪』

 

羽依里が押してくれるスーツケースの上に乗りながら鼻歌を奏でる。

 

『Withか』

 

『そうそう! 羽依里も詳しくなってきたね♪』

 

『そりゃあよく聴いているからな』

 

そんな会話をしながら印の場所まで歩く。……と言うより押してもらっている。

印の場所までは約20分くらいだと言われた。

 

山の上とは言ってもそんなに標高が高いわけではないけど、だんだん見えてくる島々や海の景色はとてもきれいでした。

 

『……うーーーん!』

 

おもいっきり背伸びをした。

 

『ようやくついたね! 羽依里!』

 

後ろを振り返ると両手を膝に当て息を切らせた羽依里がいた。

 

『……ぜぇ……ぜぇ……』

 

『羽依里大丈夫?』

 

『そりゃあここまでずっとスーツケース押してきたからな……』

 

羽依里はスーツケースに私を乗せたままここまで押してきてくれたのです。

 

『えへへ……』

『羽依里。ありがとう』

 

お礼を言いながらペットボトルの水を手渡す。

羽依里は手渡した水を一気に飲み干した。

 

 

目的の場所についた私たちは周囲をぐるっと見渡す。ここには見渡す限り展望台があるだけで他には何もありそうにない……。

 

『とりあえず展望台の周りとか見て見ようか? 何か変わったところがあるかもしれないよ!』

 

私たちはそれぞれ展望台を調べてみることにした。

展望台は木造の建物でそんなに大きいわけではない。あっという間に一周してしまった。

 

『……んーー特に何もなさそうだね』

 

『そうだな。』

 

特に目立つようなものや印などはない。

しかし実際の地図に当てはめると場所は間違ってなさそうだ。

建物をもう一度確認してみたがやはりそれらしいものは見つからなかった。

 

『やっぱりその地図偽物なんじゃないか?』

 

『……そんなこと……ないもん……』

 

羽依里の言う通りこの地図は偽物なのかもしれない。

そう思うことも何度かあった。

 

気が付けば結構な時間が過ぎていた。

少し落ち込み気味で座っていた私に羽依里が声を掛けてきた。

 

『鴎、見て見なよ』

 

羽依里の言われた先を見て見ると太陽が地平線の近くまで来ていた。

 

『きれいだね……』

 

日が沈んでいくのをただただ見つめていた。

 

『そろそろ宿にいこっか』

 

私たちは宿に向かうため展望台を後にした。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

宿についた私たちは食事を済ませお風呂に入ろうとしていた。

 

 

『じゃあ俺、先に風呂入って来ようかな……』

 

『……ねぇ羽依里。……一緒に入ろ……?』

 

『か、鴎!?なななななにを言い出すんだ』

 

『せっかく来たんだしどうせなら一緒に入りたいなって……』

『というか前にも一緒に入ってるよ?』

 

『いや、そうなんだけどやっぱり恥ずかしいというか、その……』

 

『その……?』

 

『む……ごっほ。』

 

『出たよ!謎の発作むごっほ!』

『さぁさぁ、そんなこと言ってないで行くよー!お風呂にしゅぱーつ!』

 

と勢いよくお風呂に来たものの……

 

『は、羽依里。あんまり……こっち見ないで……』

 

『か、鴎が……一緒に入ろうって言ったんだろ……』

 

『そ、そうだけど……恥ずかしいものは恥ずかしいの!』

『羽依里……髪……洗ってくれないかな……。』

 

『お……おう……』

 

羽依里は無言で私の髪を洗い始めました。

ゆっくりと優しく、撫でるように羽依里の手が触れる。

言葉はないけど羽依里の緊張が髪を触れるたびに伝わってくる。

私の緊張も伝わってるのかな……。

 

『お……お前の髪って、こ、こんなにきれいだったっけ……』

 

『羽依里……そんなんじゃ女の子にもてないよ?』

 

『だ、男子校なんだ……仕方ないだろう……』

 

それから羽依里も私もまた無言になってしまいました。

でも、会話はないけれど、二人にとって幸せな時間に変わりはありませんでした。

 

 

お風呂から出た私たちは床の間でのんびりくつろぎながら明日の予定を立てていた。

 

『明日はどうしよっか?手がかりなくなっちゃったし……』

 

『とりあえず朝宿の人に聞いてみてそのあともう一度展望台に行ってみよう』

 

『羽依里……ありがとね』

 

『俺が楽しいからいいんだよ』

 

そういうと羽依里は照れを隠すように窓の外を眺めていました。

 

『星……きれいだね』

 

『うん。……そういえば前に星を見に行ったことあったな』

 

『また見に行きたいね』

 

『大丈夫だ。約束しただろう?』

 

『……うん!』

 

『明日も早いんだしそろそろ寝るぞー?』

 

『はーい!』

 

こうして私たちの沖縄の冒険は一日目が終わったのでした。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

『……ん……』

 

窓から朝の陽ざしが差し込んでくる。

 

『羽依里、おはよう』

 

『おはよう、遅かったな』

 

『疲れてたのかな?ぐっすりだったよ』

 

トントン。丁寧なノックが室内に伝わる。

 

『失礼します。おはようございます。お食事はいかがなさいますか?』

 

『じゃあお願いします』

 

『かしこまりました。すぐにご用意いたします』

 

それからしばらくすると朝食が運ばれてきた。

和食で朝から胃への負担は軽そうな食事です。

そして食事を用意して退出しようとする仲居さんに羽依里は声をかけた。

 

『あ、あのここの場所について何か宝物の伝承なんかはありませんか?』

 

そういいながら羽依里は私の持っていた地図を仲居さんに見せた。

 

『ここは……高月山の展望台かしら?そうねぇ、この辺りにそういった伝承とかはなかったと思います』

 

『そうですか』

 

『あ、でも昔おじいちゃんがこんなことを言ってました』

 

‐この座間味島には昔海賊が住んでいたことがある‐

 

『海賊!!羽依里!海賊だよ!』

 

『詳しいことは何も聞いたことがないし、正確な情報かどうかもわからないので本気にはしないでくださいね』

 

『いえ、ありがとうございます』

 

私はとても喜んでいました。ここに来て海賊というワードはとても冒険心がくすぐられます。

朝食を食べ終えた私たちは昨日と同じ展望台を目指して歩いていました。

展望台についた私たちはもう一度見てみたけど昨日と違うことは発見できなかった。

 

『ふう……』

 

展望台の一角にあるベンチへ腰を掛けゆっくり空を見つめていた。

その時遠くから羽依里の声が聞こえた。

 

『…ーい、おーい鴎ー!』

 

『羽依里?どうしたの?

 

『この展望台から続くけもの道の先に小さな洞窟があるんだって展望台の管理の人が言ってたぞ』

 

『え?ほんとに?そこに行こう羽依里!』

 

羽依里が教えてもらった洞窟を目指して私たちは歩き始めました。

展望台から外れた道の先にその洞窟はありました。

 

『洞窟って鳥白島以来だね!』

 

『あの時はスーツケース置いて消えたもんな』

 

『あはは……』

 

しかし洞窟はそんなに大きくはなくすぐに行き止まりになってしまいました。

 

『何もないねぇ……』

 

『そうだな、特にこれといったものもなさそうだ』

 

『……羽依里、これ何かな?』

 

私は足元にある小さな箱状のものを見つけました。

 

『開けてみるか……』

 

羽依里と一緒に箱を開ける。

 

『何も入ってないね』

 

『そうだな……ん?何か書いてある』

 

羽依里が箱の奥に明かりを当てるとかすれている文字が浮かび上がってきました。

 

『……ア、リ、ガ、ト?』

 

『ありがとう?誰かへのお礼なのかな?』

 

『それ以外は何も書いてないからよくわからないな』

 

結局それ以外には何も見つけることが出来ず展望台へ戻ることにした。

 

『ねぇ羽依里、一緒に来てくれてありがとうね』

 

『なんだよ急に』

『昨日も言ったけど俺が楽しいからいいんだよ』

 

『ありがとう羽依里!』

 

『わー、鴎こんなとこでくっつくなー!』

 

この後私たちは島の観光を純粋に楽しみました。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

島での最後の夜。

私と羽依里は宿の近くの浜辺を散歩していた。

 

『夜は涼しいね』

 

『日中は日差しも強いし暑かったからな』

 

静かな浜辺に優しい波音、空に輝く満点の星空。

そんな夜空を眺めていた時ふと何か聞こえた気がしたんだ。

 

『羽依里?何か言った?』

 

『いや、何も言ってないけど』

 

『そっか……』

 

私にはこう聞こえた気がしたの。

 

『見つけてくれてありがとう』

 

って。そんな風に聞こえた。

 

 

『結局地図は偽物だったのかな……』

 

『鴎、そんなことないと思うよ』

 

『羽依里……』

 

『俺は鴎と一緒にここに来れてうれしかったし楽しかった』

『その地図は俺たちにとっての宝の地図だよ』

『俺と鴎の思い出という宝物だ!』

 

『羽依里……ありがとう』

 

『わー、だからくっつくなー!恥ずかしぬー!!』

 

……思い出は宝物。一つ一つがとても大切なもの。

そんな思い出は一つ、また一つとこれからも増えていくんだと思います。

 

『……一緒にいてくれてありがとう』

 

 

 

おしまい




ご拝読ありがとうございます( ꈍᴗꈍ)

このSSはゆりとさんの鴎アンソロジーに寄稿させて頂いた作品になります!

沖縄にある座間味島を舞台にさせていただきました( ꈍᴗꈍ)

行ったことはないので地図を見ながら妄想しました(笑)

イチャイチャの出番がなかったので最後にイチャイチャさせました( ꈍᴗꈍ)

最後までお読み頂きありがとうございます(≧▽≦)
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