『V作戦の影』
ミライの父親の独白です。
元地球連邦政府高官の肩書きは、伊達ではない。
ミライの父親は、原作だと故人ですね。
かなり老獪な人物像にしてます。
でも、今作では存命です。
ヤシマ家の忍者頭領なので、生きてます。
防諜機関の派閥の一角なのですよ。
■特務部隊の経緯
ことは、五年前に遡る────。
地球連邦政府特務機関からの依頼であった。
ヤシマの暗部に、極秘にと懇願された。
ジオン国と近々、大戦争になると言う。
既に、口火は切られている。
紛れもない大虐殺ではあるな。
国力の差を省みず、一族郎党で突貫とは。
今世紀最大の大傾奇者よ。
諜報活動をより高くとの依頼であった。
連邦政府高官としての職務は果たしたのだがな。
元連邦政府高官に嘆願するとは。
余程性急なことかも知れぬな。
恨まれ事には慣れておるがの。
ジオン国は焦臭い。
国力は無いが、工業技術は極めて高い。
古来より新しきに疎きは、事の後れ。
連邦はちと傲慢過ぎておる。
その返しが来るのは頃合いなのかもしれん。
そう思っておったら、影武者が死によった。
爆殺されたとな。
敵地で悠々と視察は怠慢であったな。
元高官でも見境なしとはな。
この火種、揉み消すのは不可能ぞ。
知らずして火の粉を振り掛けおって。
忍者が爆殺されたとは、物笑いの種よな。
ジオン国には、血の報いを与えねば。
あやつらめが、やりおったわ。
ジオン公国が『天地落とし』をしよった。
あやつらの覚悟は正しく狂っておるな。
大義名分大いに結構。
歴史史上かつて無いほどの大虐殺よ。
自らの血肉を矛に仕立てるとは、天晴れなり。
使えるモノは使う精神は、我等に似よるがな。
事が起こる前に『ザビ家暗殺』を示唆したがな。
ヤシマに依頼しなかった連邦の傲りと言える。
我等は機に沿わぬ行いを忌避とする。
機あらば、自重なくが信条よ。
そう思っておったら『V作戦の影』を依頼されたわ。
ジオンの諜報すら利用する手口。
御上も腹を据えたものよ。
表を贄に差し出して、我等を飼うとはな。
表を間引くことも算段の上とは。
表に、なんぞ恨む人材を押し入れておるのかの。
ジオンが狂気なら、連邦も狂喜よのう。
表を我等の囮に使い、二段構えの妙策。
我等を動かすのは闇夜ありてじゃ。
ひっそりと奏でる闇の調べはよいのう。
ヤシマ製作所でガンダムとやらを預けてきた。
なんじゃ!?
この馬鹿馬鹿しい派手な出で立ちは。
囮に使うが前提の色合いかのう。
じゃが、仕様書を見るに此が制式とはのう。
客寄せとしては乙なものかもしれんが。
乗るものモノとて、苦労が偲ばれるのう。
せめてもの情けじゃ、辱しめの時を減らしてやろう。
他の設計図も渡してきたので、我等で改良した。
いろいろと無駄だったのでな。
特に、整備回りを度外視するとは片腹痛い。
ガンダム同様に、支援機も分離機構とは。
御上には、修正案で表の機体を造れと伝えた。
ガンダム以外は分離機構を外したので由とする。
支援機に同等は贅沢よ。
その分の予算は我等に委ねよ。
効率的に浪費してやろうではないか。
ホワイトベースの工廠に出向し、改築作業よ。
我等の活動拠点たる第三格納庫を増設。
我等の馴染み深い『忍者屋敷』とした。
人員配置は我等に任せよ。
御上は一切口出しするでないぞ。
利権が絡む連邦政府は腐っておるからの。
介入させるのはもっての他じゃ。
御上は、容認・承認さえすればよい。
指揮するは、私の娘と配下が良いのう。
信頼こそが第一よ。
娘を頂に据えるのが親心なれど、泥被せるは酷よの。
配下から選抜した『ブライト』を据えた。
身体は良く、使い走りっ気もある。
娘には、その監視役に据えた方が無難よな。
さてと、影の機体を弄ろうではないか。
我等好みの風体にしてくれようぞ。
機体に汎用性など不要よ。
データ実証試験機の名折れぞ。
ガンダムやらには、忍者を体現させた。
白兵戦特化には、敵を仕留める近接武装を。
射撃戦特化には、敵を射抜く精密さをな。
どちらも一撃離脱が構想にある。
点を穿つか、軸(筋)を斬るかの違いよ。
ガンキャノンやらには、後方支援を担う。
ガンダムの目眩ましが役割よ。
散華による範囲着弾は面制圧に向いておる。
太ましくあったが、着痩せさせたわ。
ガンタンクは赦せぬ。
この足回りは、忍者として捨て置けぬわ。
長距離支援とか不要ぞ。
我等隠密は、全。
全にして、一なり。
ガンキャノンと役割が被るのは無用ぞ。
小隊での遠征なれば、兵站管理は必要なり。
こやつにそれを担わすのが道理よ。
物資運搬を兼ねるのがよかろうさ。
このジムとやらは、ガンダムの量産型?
ひょろいのう。
元から細いのであれば、武装は不要よな。
隠密性能に特化して、皆を支えよ。
戦闘支援ではなく、情報特化じゃな。
電子戦という戦いこそがこやつに相応しい。
残りは航空支援よな。
我等が技術の研鑽の見せ所よ。
謹製ではあるが、こやつらを無人機とする。
お主らは、戦場にてしっかり育てよ。
我等の子(戦術AI)なのだ。
鴉は、不要な戦いはせぬからのう。
くれぐれも、無闇に戦おうとするではないぞ?
◆設定集から分離。
シナリオで出した方がよいと判断したからです。
不要そうな故人は、下地で救済しておりますが。
ミライの父親は、今後も出てきます。