アブノーマルな転生者ー魔法先生とともにー(仮)   作:ゼロツー・トライバル

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どうも、皆さん。遅くて申し訳ないです。
今回はいつもの約2倍でございます。
では、どうぞ

12月19日 出会った過去の人を一人にしました


第八話 ー戦い、そして現れた謎の男ー

「はぁッ!」

 

そういいつつ桜咲刹那は刀を構え、こちらへ斬りかからんと飛びかかってくる。

両奈は…いや、ゼロは。

あくまで冷静に、静かに。

彼女の攻撃を見て、防御の魔法を発動する。

 

「…遅いよ」

 

腕を組んだ状態のまま、シールドのようなものに刀は阻まれた。

はたから見ればゼロの方が優勢なのだろうが、ゼロは焦っていた。

仮面がとられて素顔がばれたらどうしよう…それだけが気がかりであった。

念のため、ゼロは防御にのみ重点を置いて戦うことにした。

 

「防御しているだけか?」

 

そういいつつ、刹那は右左上下乱打するように切りつける。

しかしどれだけやれど防御されていた。

理由は至極簡単、刹那の持つ刀は一つだ。

速くても攻撃は所詮一つ。

さらにいえば大質量の攻撃でもない為、障壁は小さくていい。

小さいならば障壁は素早く発生させることができるのだ。

ゼロは冷静に刹那攻撃を見切り、的確に障壁を発生させる。

 

「くっ…速いッ!」

「なら数を撃ちますッ!」

 

そう言って、ネギが魔法を唱える構えをする。

どうやら先ほどから詠唱はしており、あとは放つだけのようだ。

しかさ、ゼロは全く動かぬままゼロはネギを見た。

ネギは容赦なくそこに魔法を撃ち込む。

 

ー魔法の射手 光の三矢(サギタ・マギカ セリエス・ルーキス)ー

 

放たれた三矢はゼロに一直線に向かう。

そして三つ同時にシールドに触れる。

着弾点はまばらだったが、全て弾かれた。

 

「防御できるのは一つ、なんて言ってないよ?」

 

そういって、平然と立っていた。

二人が下がり、また構えた。

そこで、ゼロは話し始めた。

 

「…私は敵じゃない。」

「目的はなんですか」

「…言う必要があるかい?」

 

その二つの言動に対して刹那は怪訝な顔をした。

そして、信じられる根拠がないと言ってきた。

しかしゼロはその根拠をはっきりとは答えない。

 

「根拠ねぇ…まぁ…この仮面の中を見ればわかるよ。」

 

そういって自分の仮面を指差した。

そのあと、自分から見せるつもりはまだないけどね、と付け加えた。

それを聞いた刹那は構えつつゼロに問う。

 

「ならば…無理矢理外させるのはありなんだな?」

「出来るならね」

 

ゼロはそういいながら刹那をみる。

そして刹那がこちらへ斬りかかろうとしたその時。

脱衣所から悲鳴が聞こえた。

 

「お嬢様の声!?」

 

お嬢様、というか、近衛このかである。

それに加えてアスナの声まで聞こえていた。

 

「まさか奴ら…お嬢様を狙っているのか…」

 

神妙な顔つきをして、そういった。

奴ら、というのは一体誰なのだろうか…?

 

「ゼロ・オルニティア!勝負は一旦お預けだ!」

 

そういって二人は脱衣所に走る。

もし、本当に何かあったら。

そう思うとゼロの足は自然と追いかけるように動いていた。

脱衣所に着くとそこには…

 

「きゃーんなんよこれー!」

「ちょっ離しなさいよっ!」

 

小さな猿数匹がアスナとこのかの下着を引っ張り、取ろうとしていた。

心配した私がバカだったかもしれない、とすこしだけ思ったゼロであった。

 

「貴様ら…お嬢様に何をするかっ‼︎斬るぞ!」

「まままって!真剣で斬るの!?」

 

なにこれ、コメディ?狙われるって、ただのいたずらかよ。

そうおもうゼロだったが、意図がわかった瞬間、救出に走る。

 

(誘拐が目的か!)

 

しかし、ゼロは歩みを止めた。

刹那が既に走り出していたから。

 

ー百烈桜花斬ー

 

猿どもは斬られ、式神に戻った。

ゼロは一応、アスナから見えにくい位置に移動する。

誰!?とかになられても困るからだ。

 

「あ…助けてくれたみたいやなぁ。ありがとうせっちゃん」

「あ…いえっ」

 

それだけ言うとこのかを離し、早々と逃げて行くように脱衣所へ走って行ってしまった。

ここで三人の話を聞くのもいいが、ゼロは刹那を追いかけた。

そして服を着つつ話し始める。

 

「…なんで逃げるのさ」

「…貴様に話す道理はない」

「…ふぅん、そっか」

 

興味がなさそうに呟いてゼロは刹那の前に現れた。

そして、ゼロは立ち去ろうとする。

 

「待て。まだ貴様に話すことは残っているぞ」

「それは、また今度」

ー雷光柱ー

 

そういいながら刹那の方へ向けて指を鳴らす。

パチン、と言う音とともに強大な閃光が放たれる。

刹那は目が眩み、前は見えていない。

 

「ま、待て!…くっ…!」

「縁が合えば、また会おう…てね」

 

そう言って、ゼロは立ち去った。

 

 

〜刹那side〜

 

「…ッ!」

 

目が眩み、さらに立ちくらみのように頭もくらくらする。

しかし、敵が目の前にいるのに逃がすことはできない。

そう考え、確かにまだ前はほとんど見えていないが私は刀を抜き、構えた。

視界が、だんだんと戻ってきてやっと前が見えた。

しかし目の前にいたのは…

 

「へっ!?」

 

驚いた顔のした如月両奈であった。

ゼロは…どこへ?

そう考えていたが、刀を両奈さんに向けたままなことを思い出し、さっと刀をしまう。

 

「…あ、ああ!ご、ごめん!」

「や、べつにいいけど…どうしたの?立ちくらみ?」

「え、あ…いや、特に何も」

 

確かにくらくらしていたが、ゼロという者に目くらましを受けた、とはいえない。

両奈さんも一般人…こちら側に引き込むわけには行かない。

 

「じゃあ、私はお風呂に行くから、またねー」

「あ、ああ…うん、また。」

 

ゼロは一体何者なのか。

そんなことを考えつつ私はこの場をさった。

 

〜刹那sideout〜

 

 

 

「…ふぅ…」

 

彼女は再びお風呂に入っていた。

なぜかと言えば、しっかり入ることができなかったからである。

ネギ先生が現れ、仮面をつけて刹那さんとも交戦し…シャワーで体と頭を洗った後とはいえもう少し湯船に浸かりたい両奈だった。

 

「んんっ…ふぅ」

 

伸びをして、疲れを口から出すように息を吐く。

そして、両奈は考え事を始めた。

あの淡い光、記憶の欠片を手に入れたあの光のことである。

なぜ現れたのかも、条件があるのかもわからない。

しかし、あれを集めていけば記憶は戻るはず。

今度から、あの光について色々考えないといけない。

 

(光が手に入ったとき、新しい魔法が使えるようになった気がしたけど…気の所為…?)

 

気の所為かと思ったが、実感はあった。

実感もあるのに使えない…ということは。

オートで発動するのか、条件を満たしていないのか…そんなところかもしれない。

 

「ま、なんにせよ。今はのんびり考えることにしよう。」

 

せっかくの修学旅行だし、と考えることを一旦やめた。

彼女は湯に浸かっていた自分の体を起こし、脱衣所へ向かった。

脱衣所で手早く服を着て、脱衣所を出てみんなの元へ戻ろうとし、ロビーを通るとき。

 

「…またあった」

 

そこに、あの淡い光があった。

銭湯の脱衣所の前あたりの床に。

ゆらゆらと霊魂のように揺れている。

今回は躊躇はせず、その光に手を向けた。

その光は再び両奈の手に入る。

 

「…っ…」

 

また、あのなんとも言えぬ感覚が走る。

そして、あの時のように…ある光景が見えた。

 

 

 

 

 

「きったない机だなァ!?マジックで死ねだってよ!」

「教科書にも書いてるぜ?誰が書いたんでしょうねぇ!?」

ハッハッハハハハ

 

「…またか」

 

 

「ケッ、欠陥品が俺に口答えかよ?」

「おらおらッ!サンドバッグは喋らず殴られときなッ!」

「なんだよその眼は?」

「てめぇみたいな弱者は俺たち強者のために搾取されりゃいいんだよ!」

ハッハッハハハハハハ

 

 

 

「またあいつらにやられたのかよ。いい加減やり返したらどうだ?」

「あいつらと同じ土俵に立ってしまうとか言ってないで一度ぶちのめしたらええやんけ」

「そ、こいつらの言う通り。僕もそう思うよ」

 

「…いいさ。大丈夫だから」

 

 

 

 

 

 

 

(……………ああ、そっか)

 

彼女は、思い出した。

過去のイジメられていた時を。

その度に気にかけてくれる友人を。

"迫害"という名の、辛い過去の一部を。

 

「………っ…」

 

彼女は、泣いていた。

"両奈"は今、女だ。

ここに来る前は男だった故大丈夫だったが、記憶がなく、ただでさえ不安な気持ちの大きい今の彼女には辛すぎる過去である。

 

「両奈さん?どうしたんですか!?」

「あっ…ネギ、先生…」

 

そこに、ネギ先生がやってきて彼女を心配し、駆け寄ってきた。

しかし、ネギ先生に彼女は言った。

 

「大丈夫…ですから、今は、一人に…」

「は、はい…。いつでも、相談してくださいね」

 

そうネギ先生は言って立ち去った。

立ち去った方向は、外へ続く自動扉へ。

 

(あれ…?)

 

何かおかしい。

この時間に修学旅行で先生が外へ行く用はないはずだ。

ということは、魔法使いとして何かあるのかもしれない。

そう思って両奈は涙を拭ってから仮面を被りネギ先生を人知れず追いかけた。

 

 

 

 

 

「…ネギ」

 

背後からネギに追いつく。

ネギは驚いた表情をしており、警戒していた。

何があった、と聞いたらただの見回りのようだった。

 

「…何の為に僕達の味方をするんですか」

「…別に。特に理由はないよ」

 

その時、あれは!とオコジョが叫び、指をさす。

その指差す先らサルの着ぐるみが飛んで、否、跳んで来たのだ。

その、サルの着ぐるみの口から顔が見える。

 

「さっきはおおきに、カワイイ魔法使いはん」

 

そう言って飛び去ろうとした。

その時ネギは魔法を唱え、そのサルの着ぐるみを止めようとしたのだが、小さなサルに口を抑えられ、詠唱を止められている。

もちろん、ゼロの元にも小さなサルは来ようとしていた。

しかし、ゼロが全身から放った気の余波みたいなもので全て吹き飛び、紙にもどる。

 

「ネギ。そんなところでサルに苦戦している場合ではないよ」

 

そういいながらネギに群がるサルを全て踏み潰し、式紙に戻した。

そしてアスナが何かを慌てて言おうとしているのを遮り、ゼロは言った。

 

「近衛このかが攫われた、でしょ?だったら追いかけないといけない。ほら、止まってたら逃げられるよ」

 

そう言ってゼロは走り出す。

それに続くようにネギ、刹那、アスナは走り出した。

道の途中で刹那ににらまれたがゼロは知らないふりをしていた。

待てという制止の声を出しながら追いかける四人だが相手は鬱陶しそうに舌打ちをして駅へと逃げる。

 

「ねぇ!お客さんも駅員さんも駅にいないよ!?」

 

それにこの時間、そこまで遅くない。

通常なら仕事帰りの人間や近隣の学生などがいそうなものである。

それどころか駅員すらいない。

異常も異常である。

 

「人払いの符です!一般の人は寄せ付けないようにしてるんです!」

「計画的な犯行、ってことだな」

 

刹那とゼロが答える。

合点が行ったと言った感じの顔をするアスナ。

そして、あのでかい猿を追いかける。

逃げた先は、電車の中に。

三人は追い詰めた、と思った。

電車の中は密閉空間であり、逃げ道は少なく、あの大きな猿には狭いところだ。

ゼロは追い詰めたのはないと思っていた。

誘拐を考えるということは、ある程度腕が立つと考えられる。

なにか逃げるてはあるはずだ。

しかし、その猿はどこからか札を出し、その猿の着ぐるみの口から覗く顔をニヤリとさせる。

 

「お札さんお札さん、私を逃がしておくれやす」

 

そう言うとピッ、と投げられた札からまるで小さなダムが決壊したかのように、水が大量に発生した。

 

「電車の中で溺れんようにな。ほな」

 

そういってサルの着ぐるみをきた女は隣の車両から逃げようとする。

四人のいる電車の中が水で満たされる。

ネギも詠唱をしようとしたが水によって遮られていた。

ゼロはというと…

 

「この水量…すごいな」

 

魔力を周りに発生させ、シールドを発動させて水の浸入を防いでいた。

ゼロは水を防いでいるが、ほかの者は水に翻弄され、身動きが取れないでいる。

刹那の顔は苦しそうに歪んでいたが…

何かを思い出し、ハッとした顔をした。

そして彼女は水中で技を繰り出す。

 

ー斬空閃ー

 

それは斬撃を放つような技だった。

その斬撃は電車の隣との車両をつなぐドアにあたり、ドアを壊した。

するともちろん、隣の車両にも水が流れ込む。

その水流によりサルを合わせ四人は電車の外に流れ出た。

もちろんゼロは水流の影響を受けていないため悠々と歩いて出てきたが。

 

「見たかデカザル女。嫌がらせは諦めて大人しくお嬢様を返すがいい」

「はぁはぁ…なかなかやりますな。しかしこのかお嬢様は返しまへんよ」

「こ、このかお嬢様?」

 

お嬢様というその言葉に驚きをあらわにした人が2人、ネギとアスナ。

どこかのお嬢様、という情報はどうやら知らなかったようだ。

その隙にサルの人はさらに逃げる。

 

「あっ!待て!」

 

刹那の静止も聞かず、走り去ってしまった。

まぁ、敵の言葉に素直に従う奴もいないだろうが。

ちなみに、よくあの着ぐるみを着つつあの高機動力に体力、すごいものだ、とゼロは考えていた。

 

「せっ刹那さん!いったいどういうことですか!?」

「ただの嫌がらせじゃなかったの!?なんであの猿(?)はこのかだけを狙うのよ!」

 

アスナとネギは刹那に質問をぶつける。

ゼロは質問をすることなく、静かに聞いていた。

刹那は、重い口を開くように話始めた。

 

「じ、実は…以前より関西呪術協会の中にこのかお嬢様を東の真帆良学園へやってしまったのをこころよく思わぬ輩がいて…奴らはこのかお嬢様の力を利用して関西呪術協会を牛耳郎としているのでは…」

 

と、刹那は説明した。

アスナは驚いた表情をしており、ネギに至ってはなんですかそれー!と叫んでいた。

ゼロは仮面をつけているが、その中では驚いた表情を少しだけしていた。

 

「まさか修学旅行に誘拐という暴挙にでるとは、私も学園長も思いもしませんでした。」

「しかし、奴らはもともと裏の仕事も請け負う組織。たしかにそのような輩がいないとも限らないな」

 

走りながら説明する刹那に付け加えるようにゼロはいう。

そして、途中で人払いの護符を見つけた。

つまり、最初から計画された犯行だ、というわけだ。

そこから少し走ると大きな階段に到達した。

その一番うえに、先ほどのサルの人がいる。

猿の着ぐるみを脱ぎ、よーここまで追ってこれましたな、といいながら呪符を構えた。

 

「おサルが脱げた!?」

「そやけど、追ってこれんのもここまでですえ。三枚目のお札ちゃん、行かせてもらいます」

 

そう言って、三枚目の札を取り出す。

電車を水で一杯にした札。

あの威力の魔法を撃たせるわけには行かない、と刹那はさせるかっ!といいながら走り出す。

 

「お札ちゃんお札ちゃん、うちを逃がしておくれやす」

 

しかし、手遅れだったようだ。

あのサルは、否、彼女は既に札を投げ、魔法を発動してしまった。

 

ー三枚目符術 京都大文字焼きー

 

階段を覆い尽くすかのように、大の字に火が広がる。

階段には隙間がなく、向こう側には行けそうにない。

 

「ここまででんなぁ…」

 

そういって、立ち去ろうとする女。

ネギは風系魔法で炎を吹き飛ばそうとする。

しかし、後ろから現れた男に気を取られ、詠唱を止めてしまった。

 

「おいおい…なんか燃え盛ってるな。せっかく観光に来たのにこれじゃあ進めないし、俺が鎮火しようじゃないか」

 

男が来た途端、雨が降り始めた。

まるで、雨と共にここへ来たかのように。

その男はオールバックとツンツンの間のような髪型で、サングラスをつけている。

彼が鎮火しようといいながら前に出てきた。

ネギは、思った。

なぜここに一般市民が、と。

服装はごく普通だったから。

しかし、人払いの符があるのにここにいるということは。

魔法を知り、魔法を使える人間、ということだ。

 

「一体何者ですか!?」

 

その言葉を聞いたとき、彼がこちらを向いた。

そして、彼はネギを見下ろしつつ呟いた。

 

「ネギ・スプリングフィールド…か」

 

そう言って、笑った。

それを聞いた時、その場にいる四人。

ネギはもちろんのこと。

話しかけられていない刹那、アスナ、ゼロにすら戦慄が走る。

しかしそう言うだけで彼は炎に向かって歩き始める。

まるでそこに炎がないかのように、平然と歩いている。

敵も驚いていた。

一体、何をするつもりだ、と。

 

「燃え盛ってやがるな、おい」

 

そう言って、彼は手を少し前へ出す。

すると地面から吹き出たかのような水流が彼の手に集まった。

それはだんだんと大きくなり、握り拳よりも一回り大きい水球になった。

彼はそれを燃え盛る炎の中心に放つように投げる。

飛ばされた水球は飛ばされている途中で急に大きくなり、ただでさえ巨大な大文字を覆い尽くすような大きさになった。

そして炎の中心にあたりに、水が辺りに爆散した。

ジュウゥゥゥ、と大きな音を立てて火は鎮静化した。

 

「あんたら…なにもんや!?」

「通りすがりの…観光客さ」

 

そう言って男はにやりと笑った。

ネギは、この人はなんなのだろうか、と思っていた。

その中、ゼロは仮面の中で驚愕していた。

 

「…!」

 

それはなぜか。

あの顔は、ゼロが…否、両奈が記憶の欠片で見たあの記憶。

その、兄妹の契を交わした人間と同じ顔をしていたのだ。

彼女の目線は彼に釘付けになっていた。

あの人は私の記憶の鍵だーーー。

そう思い、ゼロは話しかけようとした。

しかし今はあっちが先だと考え、抑える。

 

「あんたも敵か…!」

 

符をなげ、クマとサルを召喚する。

本物ではなく、着ぐるみであったが。

彼が前に出ようとした時、刹那は彼らを止めた。

 

「待て。これは私たちの問題だ。部外者がしゃしゃり出る物でもない」

「だったら俺は言う事を聞く義理もないよな?」

 

そう、適当な感じで言った。

そのまま彼は敵に向かっていく。

ゆっくりと歩いているあたり、余裕が見て取れる。

 

「月詠!」

「はい〜」

 

そう言って、普通よりも少し短めの刀を2本持った少女が現れた。

敵の女いわく、神鳴流剣士らしい。

 

「おいおい…四対一とは卑怯だな。…まぁ、関係ないがな」

 

そういいながら見下すような目つきで目の前にいる敵を見た。

その後、首だけこちらへ向き、一言。

 

「おいお前ら。邪魔、するなよ」

「承諾…した」

 

刹那は同意した。

否、承諾せざるを得なかった。

彼が敵でなかったとしても、もし敵対視されてしまえばただでは済まない。

彼がもし敵じゃなかったとすれば、今はこのかお嬢様がさらわれることを避けなければならない故、強者の協力はありがたい。

 

 

「じゃ、行くか」

 

そう言って彼は構え、敵に向かって行った。

さっきのようにゆっくりではなく、素早く、走ってだ。

 

「面白くはないが一瞬で終わらさせてもらうぜ」

 

そういって二つの着ぐるみを見据える凌弥。

片手に一つ、両手で二つの魔力を固めてできた立方体である"キューブ"を用意した。

その箱がどうした、と言わんばかりに二つの敵はこちらへ走ってくる。

 

ーキューブ・ジェイルー

 

そういって走ってくるそれらにキューブを投げ、ぶつけた。

するとそのキューブは大きくなり、二つの着ぐるみを覆った。

中で敵達が暴れているがキューブは微動だにしない。

 

「終わりだ」

 

そういって彼はまた一つ、技を繰り出す。

彼は2本の槍を取り出す。

その槍は投擲され、キューブに囚われた敵達に真っ直ぐ飛んでゆき、貫く。

そして貫く瞬間にそこに雷が落ちた。

すると、前鬼護鬼は消えてしまった。

 

「うーん…弱いな。…さて次は貴様か」

「行きますえ〜お手柔らかに〜」

 

そういって、月詠と呼ばれる少女はこちらへ飛んでくる。

彼はどこからか出した槍を構えて受けた。

相手は小太刀の二刀流。

しかし、彼は槍の先端と柄を使って凌いでいる。

ギリギリにではなく余裕でだ。

 

「ふん、さすが月詠だな」

「刹那センパイがよかったけど、あんたはんでもなかなか構わへんわ〜」

 

剣劇を繰り返す彼らの顔はどちらも、笑顔だ。

まるで、ゲームか何かを楽しむかのように。

仲の親しい誰かと遊んでいるかのように。

 

「本気、出さんのですか〜?」

「じゃあ、少しだけ…なッ!」

 

一度槍を下げ、思い切り切り上げた。

その迅風により、月詠の目にかけられていたメガネのみをまっぷたつに切った。

 

「月詠…メガネが弱点だったな。」

「あぅぅ〜メガネメガネ…」

 

何故か最初から知っていたかのように弱点であるメガネのみを狙った。

繊細な槍加減…。

強者であることは明らかだ。

 

「最後はお前だな」

「お嬢様は渡しまへんでッ!」

 

そういってまた符を出す。

しかし、凌弥がそれを許さない。

衝撃波か、気攻波か。

槍による突きで相手の符は弾けた。

弾けたことに驚いて彼から目を離したのも束の間、彼は槍を投擲していた。

その槍はを彼女の目の前に刺さる。

すると槍は爆発し、その余波により、彼女を吹き飛ばした。

そして抱えられていたこのかは風圧により空へ投げ出される。

その瞬間に刹那は走り出し、見事にこのかをキャッチした。

 

「やっぱ雑魚だな」

 

凌弥の勝利、である。

 

「…くっ!月詠!引きますえ!」

「あっはい〜」

 

そういってもう一匹猿を出し、それに乗って(?)二人は逃走する。

この場にいる人全員二人を追うことはなかった。

凌弥は追う必要が無いためである。

しかし…ネギ達が追わない理由は、彼だった。

一番最初に彼に話しかけたのは、ゼロである。

 

「…貴方は…一体…?」

 

記憶の鍵となる人。

今の彼女には逃せない人だ。

 

「…時が来ればわかる。なんてったって、兄妹だからな」

 

凌弥はそう言ってからネギの方を向き、一言だけ言った。

 

「ネギ…祭でまた会おう。」

 

その言葉だけ残して彼は立ち去ろうとする。

後を追おうと動こうとしたが…

彼を包むように光が包み、光とともに消え去ってしまった。

もう、後を追えない。

ゼロはそうわかるとすぐに立ち去る。

刹那が待て、と制止するがその時にこのかが目を覚ましたため、止めることはできなかった。

 

「…次はいつ会えるかな…あの人が鍵を握っている。…私は一体何者なのだろうか…」

 

そう考えつつ、彼女は皆のいる旅館へと戻っていった。

 




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