「姉さん....帰ってくるの遅いなぁ...」
今の時間は8時30分、流石に連絡のひとつもないと心配だ。
(日菜さんに連絡して聞いてみよう)
そう思い、僕はスマホの電源をいれる。
(ええっと...電話ってどうすれば掛けれるのかなぁ..)
そう、僕は機械音痴なのだ。だから姉さんからの連絡を確認するのも一苦労で、返信するのはもっと大変だ。
「うぅ〜、やってられない...でも姉さんの事は心配だし..どうしよかなぁ」
悩んでいたらスマホに1件の連絡がくる。姉さんからの『今から帰るね!連絡遅れてごめん...』とのメッセージだった。
「あっ、良かった〜....ええっとここを押して、ら...いん?を開いてから姉さんに『迎えに行く?』って打って紙飛行機を押せば完了...と」
ふぅ..一息...と思ってたらすぐにメッセージが帰ってくる。事務所の人に送ってもらうそうだ...
遅くなったら僕が迎えに行くと言ったのに?姉さんは僕との会話を忘れてしまったのだろうか...
「僕が迎えに行くって言ったのに...姉さんのバカ...」
こんな気持ちを維持しながら姉さんと会うのが辛いと考えた僕は、慣れない動作で『良かった、ちょっと具合が悪いから先に休むね...姉さん、おやすみなさい』とメールを送って布団に入る。
(はぁ...早く寝よう。今日はもう姉さんと会いたくないや...)
「....姉さん、起きて」
「迅くん..おはよう...」
姉さんは昨日の事....なんとも思ってないんだろうなあ。僕が小さいだけで普通だったら何にも気にしない出来事だし、仕方ないよな。
「日直だから早めに出るね..朝ごはんとお弁当も準備してるから食べてね?それじゃ...行ってきます」
「あっ!迅くん...」
姉さんは部屋を出ようとした僕を止める、何か言いたいことがあるようだ。
「具合...大丈夫?」
「....大丈夫だよ、じゃあ行ってくるね」
1人で歩く学校への道はとても長く感じ..姉さんの存在は自分の中だとかなり大きかったらしい。そんな事を考えながらでもいつの間にか学校についていた。
(別に今日は日直でもないのになぁ..早く学校に着いちゃった)
「誰もいない教室か...誰もいないし、少し机の上で寝よう.....」
誰かが僕のことを起こしてくれてる、多分蘭だろう。
「迅...起きて..1時間目が終わったよ」
「えっ?待ってよ、なんで授業前に起こしてくれなかったのさ?」
何故か1時間目が終わっているらしい、先生も起こしてくれよ。
「.....ノートは見せてあげる」
「ありがとう...今度は授業前に起こしてくれると嬉しいな」
「なぁ...1つ相談していいか?」
「えっ....あたしに相談してもいい答えが返ってくると思ってるの?」
そこまでなのか?まぁ..他人の意見を聞きたいだけだから別に大丈夫だろう
「まぁ、僕は蘭の意見を聞きたいんだよ。順を追って説明すると.....」
僕は昨日の姉さんを迎えに行く時に言った言葉などを全て説明した。それにしても話を聞いてくれてる時の蘭の表情がよく変わっていた。そんなに不快な話かなぁ?
「本当にあんたは自分の姉に可愛いなんて言ったの?」
「言ったけど...女性からするとダメなのか?」
それは大変だ、姉さんが走って学校に向かった理由も納得だ。これは謝らなければ。
「いや、まぁ...ダメではないから安心して。後は...あんたもくだらない事考えすぎでしょ、迎えに行けなくてもお姉さんが無事ならいいじゃん」
正論だ...僕は根本部分から間違えていたのか...
「確かに...本当だな、姉さんが無事なら別になんでもいいじゃないか。ありがとう、蘭!帰って姉さんと話してく...」
「待って、まだ1時間目だからね?」
止められた。確かに帰るのはダメだよな、姉さんにも怒られてしまう。
「そうだ、お礼をさせてくれよ」
「こんな事でお礼はいいから..」
「僕にとっては凄い重要だったんだよ。お礼をさせて欲しい」
姉さんは僕の人生においてなくてはならない存在だ...そんな姉さんと話辛いなんて、僕の生活に支障をきたしてしまう。
「じゃあさ、連絡先交換しない?」
「スマホの?」
「そう...親に『モカちゃんたち以外にも友達作りなさいよ?』なんて言われたからさ、心配かけたくないし。お願い出来ない?」
「そんな事なら全然構わないけど...1つだけ問題が....」
「スマホの充電でもないの?」
連絡先の交換は嬉しいくらいなのだが...僕が機械音痴な事は姉さん以外には知られたくないのだ。モカさんとかはさりげなくスマホを貸して追加をしてもらったりして誤魔化してきたのだが...
(馬鹿にされるし、笑われる..それだけは避けなくては!)
「いやいや、特に何も無かったよ!でもさ...また今度にしない?」
「なんで?」
(帰って姉さんにやり方を教えてもらうからだよ..!)
「いやぁ...あまり今日はスマホを使わないようにしてて」
「意味わかんない...嫌なら嫌って言ってよ」
真っ直ぐに...でもどこか寂しさを感じさせる目でこちらを見てくる。
「....機....痴」
「えっ?」
「機械音痴なんたよ...僕....」
言ってしまった...姉さん以外には言ったこと無かったのに。
「本気で言ってるの?」
「うん....」
「....」
あっ、笑った...しかもツボに入ってる
蘭は笑いながら僕にこう言った
「迅って...本当に面白いね」
その笑顔を僕は...不覚にも...
「可愛い....」
そう思って...あら?蘭の顔が赤くなってるような..ん?もしかして...今の....
「口に...出て..た?」
「〜〜〜!」
あっ...出てたんだ。
「いやいやいや、僕はただ可愛いと思ったから可愛いって言っただけで..からかったつもりは全然ないからな?!」
「うるさい!喋るなこのバカ!」
「いたっ...やめろって...ノートで僕を叩くな...」
そんな抵抗をしていると黒板の方から声が聞こえる。
「ハイハイ。そこの2人〜休み時間から皆に見られてるぞ〜」
「「えっ?」」
「青春だなぁ〜私もそんな青春をおくりたかった....」
今のもしかして聞こえてた...?えぇっ...恥ずかしぃ
「まぁ...本当は授業中のはずだけど、良いもの見せて貰ったからお咎めなしで許してやろう」
「「ありがとう...ございます?」」
この後..授業も全然耳に入らないし蘭とも気まずいまま授業が終わった。
「ねぇねぇ!二人ともどんな関係なの〜!」
「お〜、先生にも教えてくれ」
「「......」」
沈黙だ...黙っていれば諦めるだろう。
ガタッ
「へっ?」
おいおい..蘭さん?どこ行くんだ〜?
ガラガラ...ドン
「ねぇ美竹さん行っちゃったよ?追いかけなくて良いの?」
「追いかけたら皆ついて来ない?」
「「「「「それは無理かなぁ〜」」」」」
「ですよね〜...まぁ僕達の関係は友達だよ..特に変な事はありません。ほら、解散解散!」
「どうせ付き合ってるんだろ〜」
「先生は黙っててください!」
(はぁ...今度から気をつけよう...)
こうして僕と蘭の交際疑惑が残り、蘭とも話が出来ずに学校が終わってしまった。
放課後、帰りの挨拶をした瞬間に僕と蘭以外の生徒が全員一斉にいなくなった。
(アイツら...やりやがったな!)
起こった事は仕方ない..腹を括るとしよう
「ねぇ...蘭」
「なに..」
昨日に戻った気分だ..蘭がこっちを見ようとしない
「連絡先...交換しよう」
断られたら、僕は以外にも悲しむのかもしれない。そんな事を考えていると
「いいよ..でもあんた機械音痴なんでしょ?」
「まぁ..だから...教えてくれると助かる...んだけど」
「.....」
また蘭は笑いだす。その笑顔は...やはり可愛らしい
そんな事を思いながら僕は蘭と連絡先を交換する。
「本当に機械音痴だったね、本当に現代人?」
「仕方ないだろ..苦手な事は誰だってある。僕はそれが機械の操作だっただけだ」
そう言って二人で笑う。こんなに楽しい時間は姉さん以外と過ごしたことがない。
「あっ、もうこんな時間!今日はバイトが入ってるんだった..急がなきゃ!」
「そう...じゃあね、また明日」
「うん、じゃあね蘭...最後だけどやっぱり...」
「やっぱり蘭の笑顔は可愛いよ」
そう言って僕は教室を飛び出す...後ろから物が落ちた音がする。そして教室の外には..
「やっぱり全員いたか...まぁ、何か言いたげだけど。僕は蘭に自分の気持ちを伝えただけだから。じゃ、そういうことで」
そして後ろからキャーキャー聞こえてくる。でも今の僕の頭にはバイトに遅刻するかしないかそんな事しか考えられなかった。
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