デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
リトル・モンスターと新たな脅威
ー士道sideー
10月29日の日曜日。
五河家の中は今、騒然としていた。
「シドー! おなかがすいたぞ、シドー!」
「しどう。おしっこ。ひとりではできない。ついてきて、しどう」
「だーりーん! だーりーん!」
「あ、あの・・・・しどうさん・・・・」
「みんなちょっとおちつきなさい! って、あ! かぐや、それわたしのチュッパチャプスじゃないの!」
「くく、ちいさきものよ。さまつなことにこうでいするは、おのがわいしょうさをろうするほかならんぞ?」
「しゅこう。ひとつくらいいいではないですか」
「って、ゆづるも! かえしなさいよー!」
「シドー! ごはんがたべたいぞ、シドー!」
「う・・・・っ、うぇぇぇぇぇぇ・・・・」
『ああっ、ほら、だいじょーぶ、だいじょーぶ』
「しどう、もれてしまう」
「くーくくく! いちどわがりょうどにはいったものはかえせぬなー!」
「とうぼう。かえしてほしかったらつかまえてみるがいいです」
「だーりーん! だーりーん!」
「・・・・・・・・」
無言で頬に汗を垂らす士道は頭を抱える。
ひっきりなしに響く甲高い声、バタバタと走る音、シャツも四方に引っ張られビロビロに伸びている。
今、五河家のリビングには7人のモンスター・・・・もとい、小さな女の子達の姿があった。
全員10歳にも満たない、手のかかる年代。さらにそれぞれが泣いたり、叫んだり、士道を引っ張ったり、追いかけっこをしたりしている。数日前から世話に追われている士道の疲労は推して知れる。
だが、それも仕方ない事だ。彼女達とて、好き好んでそんな姿をしているのではない。士道は小さく息を吐いてから顔を上げ、リビングで荒れるぜ、止めてみな! と言わんばかりのリトル・モンスター達に目を向ける。
一見すると、精霊達や友人の女の子に良く似ており、親戚か、奇跡的な他人の空似に見えるがそうではない。
全員が本人なのだ。
お腹が空いたと連呼する綺麗な女の子は、十香。
執拗に士道をトイレに誘うの人形のように表情がない女の子は、折紙。
今にも泣き出してしまいそうな、左手にパペットを着けた女の子は、四糸乃。
口にチュッパチャプスを咥えた勝ち気そうな女の子は、琴里。
琴里から飴を奪って逃走するイタズラ好きそうな女の子は、耶倶矢。
その子と瓜二つの顔をした、ボウッとした表情の女の子は、夕弦。
皆より少し背の高い声がとても綺麗な女の子は、美九。
彼女達は、七罪の天使〈贋造魔女<ハニエル>〉によって、“子供の姿に変えられてしまったのだ”。
「七罪・・・・一体、何でこんな・・・・」
士道は、脳裏に浮かんだ魔女の姿をした少女に向けて、独り言のように言った。
数日前に七罪との、勝負に勝ったのだが、その直後、七罪は皆を子供の姿に変えて姿を消してしまい、その日からずっと、五河家は簡易託児所状態となってしまっていた。
「ドラゴン! お前も何とかしてくれよ!」
士道が思念体となっているドラゴンに言うが、
『喧しい! 我は今この素晴らし過ぎる光景を後世に残す崇高な作業で忙しいのだ! ガルーダ! 〈イフリート〉を撮影しろ! ユニコーン! なるべく下のアングルから撮影しろ! スカートの中は間違っても映すでないぞ! クラーケン! お前は〈テンペスト〉と〈ストーム〉を撮影だ! ゴーレム! お前は我と共に〈プリンセス〉達を撮影するのだ!!』
士道のスマホに琴里や八舞姉妹や美九のスマホを使って、撮影作業をするドラゴンと、プラモンスター達(スピリッドライバー作りが終わったゴーレムを含む)には、士道の悲鳴など聞く耳を持たない状態た。完全に子供の成長記録をつける父親のようであった。
「シドー! シドー!」
「しどう、そろそろげんかい」
「う、うう・・・・」
「この、まちなさいよっ!」
「ふはは! ここまでくるがいい!」
「ちょうしょう。そのていどですか」
「だーりーん! だーりーん!」
「分かった! 分かったから取り敢えず皆一端落ち着いてくれ・・・・!」
四方から引っ張られ、身体をユサユサと揺らされながらも、士道が叫ぶが、一向に皆は大人しくならなかった。一応見た目は子供だが、中身はいつもの皆の筈なのだが。
と。
「・・・・お邪魔するよ」
小学校の学級崩壊したクラスの担任のような心境で困り果てた士道の元に、リビングの扉を開いて、令音が入ってきた。
「令音さん!」
「・・・・大変そうだね、シン」
令音はそう言い状況を即座に把握し、ゆっくりと前方に手を伸ばすと、リビングを駆け回っていた八舞姉妹の首根っこ捕まえて動きを止めた。
「のあッ!?」
「しょうげき。くはっ」
急に動きを止められて、耶倶矢と夕弦が目を白黒させる。令音は落ち着き払った様子でその場に膝を突いて優しく諭すように2人に目線を合わせた。
「・・・・耶倶矢、夕弦。人の物を取ってはいけないよ。君達も、自分のお菓子を勝手に食べられたら嫌だろう?」
「ぐむ・・・・」
「・・・・はんせい。すいません」
令音に言われ、2人は気まずそうに口ごもった。
「・・・・よし、では2人で琴里に謝ろう」
令音がポン、と耶倶矢と夕弦の肩を叩き、琴里の方に向き直させると、ペコリと頭を下げた。
「ふん・・・・すまなかったな」
「しゃざい。もうしません」
「・・・・どうだろう琴里。取られた分のキャンディは後で補充しておく。彼女達を許してやってはくれないだろうか?」
令音が琴里の方に目を向けてそう言うと、琴里はフンと鼻を鳴らしたがら腕組みをした。
「も、もういいわよ、別に。・・・・私も、分けてあげなくて悪かったわ」
「・・・・ん、3人とも、良い子だ」
令音が3人の頭を順に撫でると、3人は少し恥ずかしそうに視線を逸らした。
「・・・・さて、そちらはどうしたのかな?」
と、次いで士道の元へ歩き、士道にしがみついている十香、折紙、四糸乃、美九の4人に目を向けて、一通り4人の声を聞いて、ゆっくりと言葉を続ける。
「・・・・十香、今シンはちょっとだけ忙しいんだ。ご飯はもう少し待ってくれるかな? その代わり、特別にこのクッキーをあげよう。・・・・折紙、シンは1人でトイレに行ける子が好きだと言っていたよ。・・・・四糸乃、安心したまえ。君が朝、食器を壊してしまった事なんて、シンは気にしていないさ。・・・・美九、シンはちゃんと君の声を聞いているよ。無視している訳ではないんだ」
等と、1人ずつに話しかけ、騒がしかった皆をいとも簡単に宥めてしまった。
『実に鮮やかな手管だな。貴様も見習え』
「うるさい・・・・。すいません令音さん・・・・助かりました。俺だけではどうにもならなくて」
「・・・・いや、皆の世話を任せてしまって済まなく思っているよ」
「いえ、七罪の反応を捜してくれてるのは分かってますから。にしてもーーーー」
士道はすっかり大人しくなった皆を眺め苦笑した。
「凄いですね、令音さん。まるでお母さんみたいだ」
「・・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・』
ペチンッ!
「イテッ!」
何気に言った士道。令音は無言のまま小さく眉の端を動かし、ドラゴンが無言で尻尾ド突き(威力弱め)で士道の頭を叩いた。
それで士道は、ハッとした。別に他意はなく、純粋な尊敬を込めたのだが、未婚の女性に対して言うような事ではなかった事を自覚し、慌てて手を振り訂正する。
「す、すいませんを違うんです。そう言う意味じゃなくて・・・・」
「・・・・いや、構わないよ」
令音はさして気にする風もなくそう言いながら、子供化した一同を眺めていた。・・・・日頃から折紙並に無表情の女性である為、本当に気にしていないのか今一判断しにくい。
精霊の様子をスマホのムービーで撮影していたドラゴンが、コッソリと尻尾の先端で士道の脇腹を突っつくと、話題を変えようと声を発する。
「そ、そういえば、令音さん。七罪は見つかったんですか?」
「・・・・やはり七罪は霊波を隠蔽する事ができるようだ。広範囲に観測機を回しているが、未だ反応は見受けられない。・・・・無論、既に隣界に消失<ロスト>したいるという可能性もあるが」
「そう・・・・ですか」
ふっと目を伏せて首を振ってから言う令音の言葉に、士道は改めて、様変わりしてしまった少女達を眺めてから、令音に視線を戻す。
「でも・・・・何で七罪はこんな事をしたんでしょう?」
「・・・・そうだね、あの場から逃走する為の緊急措置と言う可能性もあるし、精霊達の戦力を削ぐ事により、君に何らかの警告を残していったとも考えられる。後はーーーー」
「後は?」
士道が首を傾げると、令音は人差し指を立ててみせた。
「・・・・単なる“嫌がらせ”、かな」
「・・・・・・・・・・・・」
『その可能性が1番高いが、これは好機とも取れる』
頬をピクつかせる士道だが、ドラゴンはその可能性が高いと言い、士道と令音がドラゴンに視線を向けた。
「好機ってどういう事だよ?」
『仮に〈ウィッチ〉が嫌がらせの為にこんな素晴らしい、もといしょうもない事をしたと言うならば、彼女は小僧が困り果てる姿を見る為に、必ず小僧の周囲で高みの見物をする。つまり、“小僧の近くから離れる事はない”、と言う事だ。〈ナイトメア〉のように行方を眩ませない分、こっちとしては都合が良いだろう』
確かに、何処かに逃げられるよりかはマシだろうが、それまでに七罪を見つけなければならないし、それまでこのリトル・モンスター達と過ごさなければならない事に、士道は重いため息を吐いたのであった。
『精霊達、目線をこちらに』
「お前は何写真を撮ってンだ!」
不服だが、頼りになるドラゴンは完全に親バカな父親になっていて戦力にならないし、もう士道は不安しかなかった。
ーウェスコットsideー
ソコは、天宮市にあるホテルのスイートルーム。
その部屋の中央に黒い魔法陣が展開されると、その魔法陣の中からーーーーDEMインダストリー代表、アイザック・ウェスコット。その懐刀である第2執行部の長、エレン・M・メイザースが出てきた。
さらにその後に、『魔獣ファントム』の幹部メデューサの人間体・ミサと、グレムリンの人間体・ソラ、そしてーーーー『ファントム』の頭目ワイズマンが現れた。
「しかし、こうも短期間に往復が続けると、流石に疲れてしまうな。どうだろうかエレン。いっそのこと日本に居を構えてしまうと言うのは?」
「本来であれば今回も延期していただきたかった位です。“あんな事”があったばかりだと言うのに、よくご自分の城を空にできるものだと感心してしまいます」
ギロリと視線を鋭くして強い口調で言ってくるエレンに、ウェスコットは冗談混じりに口を開く。
「そう褒めないでくれ。照れてしまうよ」
「褒めていません」
エレンがピシャリと返し、ウェスコットは小さく肩をすくめた。
とは言え、エレンの言う事も尤もだ。ウェスコットは数日前に本国イギリスのDEMインダストリー本社の取締役会にて、解任要求を出されたのだ。
エレンの“物理的説得”で事なきを得たが、こう頻繁に本社を空けてしまっては、ウェスコットを快く思わない若手の取締役達に反旗を翻す格好の準備期間を与える事になるからだ。
エレンが神経質になるのも当然と言えるが、ウェスコットは小さく唇の端を歪めた。
「別に、それならばそれで構わないさ。隙あらばこちらの喉を食い千切ろうとしてくる位の野望に溢れた人間の方が、私は好きだよ」
「あなたはソレで良いかも知れませんが、後処理をする方の身にもなってください」
「善処するよ」
ウェスコットがそう言うと、エレンが少しだけ不満そうに唇を尖らせた。
それを見て、グレムリンこと、ソラが口を開く。
「でもさ。また日本に来られたのは、エレンちゃんとしても良かったんじゃない?」
「は?」
ソラの声が癪に触ったのか、エレンが不快そうに眉根を寄せて視線を向けた。
「だってさ。・・・・士道くんに黒星を付けられたままじゃ嫌でしょう? 『元』人類最強の魔術師<ウィザード>?」
「っ!!!」
ソラの言葉にエレンはレイザーエッジで攻撃しようとするが、ソラは腕だけグレムリンに変えると、武器の刃でそのレイザーを受け止めた。
「おぉ~恐い恐い☆」
「・・・・・・・・」
エレンがCR-ユニットを展開させようとするが、ウェスコットが声を発する。
「やめたまえエレン。雪辱を晴らす機会は幾らでもあるよ。それより、“例の件”は調べてくれたかい?」
「・・・・・・・・はい、こちらです」
苛立ちを何とか納めたエレンがソラから離れ、鞄からグリップで留められた書類の束を差し出し、ウェスコットはそれを受け取り、そこに印刷された写真と文字列に視線を落とす。
それは、エレンを倒した『伝承の魔法使い』、〈仮面ライダー〉に変身する少年、五河士道に関する調査資料だった、
「・・・・成る程。十数年前に今の家の養子になった、か。そして妹には精霊〈イフリート〉の疑い・・・・よくもまあ、ここまで揃ったものだな。いや・・・・そろえた、と言うべきか」
ウェスコットはクックッと笑い、ミサとソラは訝しそうに見て、ワイズマンは黙ってその様子を眺める。
資料を捲ると次の紙には、数名の少女達の写真が印刷されていた。
「〈プリンセス〉、〈ハーミット〉、〈ベルセルク〉、〈ディーヴァ〉ーーーーそして先の〈イフリート〉。確認できているだけで実に6名もの精霊が・・・・」
「あ、Mr.ウェスコット。〈ナイトメア〉とも接触しているみたいだよ。後、僕らがイギリスに行っている間に、〈ウィッチ〉って新しい精霊も現れたみたい」
ソラの言葉にウェスコットは、ホゥ、と息を漏らした。
「つまり、計8名の精霊が彼の元に集まっているのか。エレン、君はこれをどう見る?」
「・・・・〈ラタトスク〉の関与は間違いないかと」
ウェスコットの問いに、微かに不機嫌そうな調子だ返すエレン。
「それは間違いないだろう。精霊の力を封印し、“我ら一族の伝承で伝えられた魔獣を使役し、魔法を使う事ができる少年”ーーーーそれを〈ラタトスク〉が利用しているのは疑いようがない。如何にその力を持っていようと、巨大な組織のバックアップがなければ、これだけの数の精霊を封印する事は・・・・いや、それ以前に接触を図る事すらほぼ不可能だろう。だがーーーー」
ウェスコットは言葉を切り、ピン、と書類を指で弾き、ワイズマンの視線を向けた。
「本当に、それだけかな? Mr.ワイズマン?」
『・・・・この奇異で歪な、そしてあまりにも都合が良い状況は、〈ラタトスク〉などと言う陳腐な組織ではなく、“何者”かの意思で作り上げられている、と言いたいのかな?』
「さてね。だがもし仮にそうだとしても、我々のやる事は変わりないさ。ーーーーエレン。エレン・M・メイザース。人類最強の魔術師<ウィザード>よ」
そう言ったウェスコットの思惑を探るように、エレンは数秒間ジッと顔を見つめた後、コクリと首肯した。
「無論です」
迷いや逡巡などが一切合切見受けられないその顔を見て、ウェスコットは満足げに頷く。
「それでこそだ。それでは、エレンにプレゼントを渡そう」
ウェスコットは懐から、“真那のドライバーと同じ型を取り出し”、エレンに手渡した。
「アイク。これは・・・・?」
「真那の『ビーストドライバー』を参考に私が新たに開発したドライバーさ。これを使えば、折角雪辱戦をするならば、相応の装備を使わなくてはね」
「・・・・しかし、真那のドライバーはアーキタイプ、旧式ではなかったのですか?」
「旧式には旧式の趣がある。それに、最強の魔術師<ウィザード>がメイジ<量産型>と同じドライバーを使うのは、些かセンスが無いとも言えるんじゃあないかね?」
「・・・・それもそうですね。しかし、これを扱うには、魔獣が必要では?」
「ソコも問題ないよ。暫くは慣らし運転をしておいてくれーーーー準備ができたら、早速動いてもらうよ」
「ーーーーは。一体誰から始めましょう。やはり〈プリンセス〉ですか?」
エレンがウェスコットの手元の資料に視線を落としながらいってくるが、ウェスコットは首を横に振った。
「いや。この資料に載っている精霊達は、暫くは泳がせておく事にしようと思っている。ーーーー勿論、好機とあらば首を取っても構いはしないがね」
「どういう事ですか?」
エレンの問いに、ウェスコットは〈プリンセス〉夜刀神十香の写真を示して見せた。
「〈プリンセス〉が『反転体』となった事は記憶に新しいだろう。愛しき『魔王』が、我々の前に姿を現した事は」
「はい」
「その原因となったのはーーーー他ならぬこの少年、イツカシドウだった。彼が死にそうになった時、〈プリンセス〉は絶望の淵に立ち、自らの領分を越えた力を強烈に欲しーーーー結果、魔王〈暴虐公<ナヘマー>〉の柄を掴むに至った」
ウェスコットは資料を膝に置き、両手を広げて見せる。
「我らが焦がれてやまなかった『魔王』が、ああも容易く現れるだなんて、一体誰が想像できたろう。精霊はーーーー少なくとも〈プリンセス〉は、彼を心から尊び、信頼し、愛している。素晴らしい事じゃあないか。彼らには、もっともっと信頼関係を深めておいていただこう。来る時の為に・・・・ね」
「・・・・成る程」
ワイズマン達もエレンもウェスコットの意図を察し、表情を変えぬまま首を前に倒した。
五河士道と精霊達の関わりが深くなればなるほど、精霊達が五河士道に依存すればするほど、それを失った時の絶望は深く、大きくなる。それこそ〈プリンセス〉がやったようにーーーー己の領分に収まらぬ力に手を伸ばしてしまいかねない程に。
『指輪の魔法使い、〈仮面ライダー〉を、『鍵』として使う訳だな?』
「『鍵』、か。成る程良い表現だ、Mr.ワイズマン」
ワイズマンの言葉に、ウェスコットは小さく笑った。
「皮肉な物だな。〈ラタトスク〉が見出だした対精霊用の秘密兵器が、君達『魔獣ファントム』の敵が、君達や我々にとっても切り札<ジョーカー>となり得るだなんて」
「薬が毒と、毒が薬となるのは、取り立てて珍しい事ではありません。ですがーーーー」
エレンが口を開くが、最後まで聞かずとも察する事ができる。要は、ならばエレンはどの精霊を狩れば善いのか、と言う事だろう。
ウェスコットは大仰に頷いてから、続けた。
「ああ、それについては既に優先目標を設定してある。先日、お誂え向きな事に、Mr.ソラやASTから報告があっただろう。変身能力を持つ精霊ーーーー〈ウィッチ〉が、天宮市近郊に出現し、そのまま消失<ロスト>が確認されていない・・・・と」
『ふむ。それでは、こちらも戦力を貸そう』
ワイズマンが指をパチンッと鳴らすと、魔法陣が展開され、その中から、複数のファントム達が現れた。
エレンが手にしたドライバーは、メイジの型ではなく、ビーストの型に変更しました。
次回、『第九章』開幕です。