デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
ーエレンsideー
エレンの宣言に、〈ウィッチ〉は一瞬ポカンと目を見開くが、すぐにクスクスと笑いだした。
「へえ? ま、無駄だと思うけどね。ーーーーそれより、その〈ウィッチ〉って言うの、あんまり好きじゃないのよね。ちゃんと七罪って呼んでくれない?」
〈ウィッチ〉ーーーー七罪は肩を竦めながら言う。
舐められているのかと思ったエレンが不快そうに眉をピクリと動かした。
「無駄かどうか、やってみれば分かります」
「ふうん・・・・」
七罪はニッと笑うと、手にしている箒ーーーー報告書で見た、対象を自由な形に変化させる力を持つ天使〈贋造魔女<ハニエル>〉をエレンに向ける。
厄介な力だがーーーーエレンの敵ではない。エレンも右手に握る高出力レイザーブレイド〈カレドヴルフ〉を構え、エレンと七罪の四川が交錯する。
ーーーーと、それに合わせるようなタイミングで、上空から数名の魔術師<ウィザード>達が、エレンの背後に立った。エレンと共に〈ウィッチ〉七罪を追跡していたDEMの魔術師<ウィザード>だが、エレンにとてもついていけず、漸く追い付けたのだ。
「遅いですよ」
「も、申し訳ありません、エレン様・・・・」
「ですが、我らにはあの速度は・・・・」
エレンが七罪に視線を向けたまま言うと、魔術師<ウィザード>達は、ヒッと息を詰まらせ、予想通りの返答をし、エレンは小さなため息を吐いた。
彼女らとてDEMの魔術師<ウィザード>。凡百の魔術師<ウィザード>達よりも遥かに錬度は高い筈だが、実際は“こう”なのだ。
嵩宮真那とジェシカ・ベイリーの損失が如何に大きなものだったかを痛感するエレンだった。
「・・・・成る程、アイクの言う事も分からないではありませんね」
左手で、大きな裂傷が痕が残る自分の腹部を撫でながらエレンは呟く。スタンドアロンでエレンに匹敵せずとも、最低限のサポート役を務まる者が1人いるだけで、作戦の成功率が大きく変わるだろう。
「執行部長殿、何か・・・・?」
「・・・・何でもありません。戦闘に集中してください」
『! は・・・・ッ!』
エレンが言うと、魔術師<ウィザード>達は一斉に思い思いの武器を抜き、七罪に鋭い視線を向ける。
その様を見て、七罪は恐れるでもなく肩をすくめた。
「えぇ? もしかして自信の元はそれ? 1対多なら私に勝てると思ってるの?」
七罪が挑発するように言ってきて、エレンはピクリと頬を動かした。
「いいえ。ご心配なさらず。あなたを失望させはしませんよ」
「ああ、そう。まあどうでもいいけどーーーーねッ!」
瞬間ーーーー七罪が掲げていた〈贋造魔女<ハニエル>〉をブンと振り抜いたと同時に、その同左に合わせて霊力の光とそれに付随する風圧が迸り、エレンとその後ろに居並んだ魔術師<ウィザード>達を襲った。
ー士道sideー
士道と子供化した精霊達は、〈フラクシナス〉に乗り込み、七罪のいるであろう地点に向かっていた。
そんな時ーーーー。
『精霊達よ。変身してみろ』
ドラゴンが精霊達全員分の『スピリッドライバー』を渡してそう言った。
「はぁ? 何でだよドラゴン?「バシッ!」いでぇっ!?」
士道を尻尾ド突きで黙らせる。
『忘れたか? 前に〈ディーヴァ〉に洗脳された〈ハーミット〉達が、変身してそれが解除されたのを』
『っ!』
ドラゴンの言葉に、精霊達はハッと肩を揺らすと、それぞれドライバーを腰に当てた。
[[[[[[ドライバーセット シャバドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪]]]]]]
「「「「「「へんしん!」」」」」」
[プリンセス プリーズ!]
[ハーミット プリーズ!]
[イフリート プリーズ!]
[ベルセルク・テンペスト プリーズ!]
[ベルセルク・ストーム プリーズ!]
[ディーヴァ プリーズ!]
6人は魔法陣が通過し、宝石に包まれると、その宝石が音を立てて砕けた。
そして中からーーーー。
ー七罪sideー
「え・・・・っ、え・・・・っ?」
七罪は目を丸くしながら、戸惑いの声を喉から絞り出した。
「(ーーーー何が、起こったの、今?)」
七罪は〈贋造魔女<ハニエル>〉を使い、魔術師<ウィザード>達の力を封殺し、エレンを含めた魔術師<ウィザード>達を、十香達のように子供の姿に退行させ、全ての能力を半減させた。魔術師<ウィザード>など、精霊の天敵である『魔獣ファントム』達に比べれば雑魚の群れと言っても良い。勝負は決した筈だった。
だか、その内の1人が構わず七罪に剣を振るってきたのである。
「え、あ・・・・」
今までにない事態に、七罪は混乱する。
そう。エレンと呼ばれていた少女が光り輝く剣を一閃させつ瞬間、胸部から腹部がカァッと熱くなるような感覚が通り抜けーーーー七罪は後方に倒れ込んでしまっていたのだ。
七罪は霞む目に、腹部に当てていた手をゆっくりと掲げた。ーーーー夥しい量の血がベッタリと付着した手の平を。
「ひ・・・・ッ」
それを見た瞬間、まだどこか現実感が湧いていなかった強烈な痛みが、七罪の身体を駆け抜けた。
「(ーーーー痛い。痛い、痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い・・・・ッ!!)あ、ああああああああああああああああああああああ・・・・ッ!?」
今まで感じた事のない凄まじい激痛に、七罪は悲鳴をあげた。鋭い刺が身体の中を刺していくかのような感覚。朦朧とする意識。霞む視界。しかしひっきりなしに襲う激烈な刺激が、気を失う事を許してくれない。地獄のような連鎖が延々と続いていく。
「う、そ・・・・何、なのよ、これ・・・・」
エレンの振るった光の刃が、七罪の霊装ごと深々と切り裂いた。その事実を脳が認識してなお、七罪は今起こった事を信じられずにいた。
が、それでも現実は変わらない。倒れ込んだ七罪の視界に、光の剣を携えたエレンが映り込む。
「ーーーーなるほど、やはりちからはおちているようですね。わたしがあのしきんきょりできゅうしょをはずすなんて」
と言った瞬間、エレンの身体が淡く発光しーーーー元の18歳位の少女の姿に戻った。
「おや、元に戻りましたね」
恐らく七罪がダメージを負った事により、優先度の低い対象から変化が解除されたのだろう。実際、七罪の姿は、大人のままだ。
「さて、どうしましょうか。私としては生け捕りでも、殺して霊結晶<セフィラ>のみ取り出しても良いのですが」
身体の感覚を確かめるように左手を握ったり開いたりしてから、再び七罪に視線を落とし、冷淡な言葉を発してくる。
「・・・・ッ、だ、ず・・・・げ・・・・、死に・・・・だぐ、なーーーーい・・・・」
「構いませんが、それはあなたにとって苦痛が増す選択肢になると思いますよ」
エレンが言うと同時に、周囲にいた、エレンと同じく変化が解除された魔術師<ウィザード>達が群がってきた。
「執行部長殿。如何いたしましょうか」
「生かして連れていきましょう。この傷ならば暴れる事もないとは思いますがーーーー」
言いながら、エレンが再び剣の柄を握り直す。
「厄介な能力を持っているようですし、念のため四肢を落としておきましょう」
「ーーーーひ・・・・ッ!?」
七罪は息を詰まらせると、エレンから逃れようと手足を動かそうとした。だが、思うように力が入らない。
「すぐに済みます。途中で死なないでくださいね」
そうこうしている間に、エレンがゆっくりと剣を振り上げ、淡々とした調子でそう言って、剣を振り下ろそうとした。
「ーーーーーーーーッ!!」
七罪は、エレンの動きがまるでスローモーションに見え、ゆっくりと自分に剣が自分の身体を切り裂くのを見ていた。
そして、色々な思考が頭に過るーーーー。
「(あぁ、私、死ぬのね・・・・死んでしまうのね・・・・“あの時”みたいに・・・・。あれ? “あの時”って、なんだっけ・・・・?)」
自分でも、なぜこんな言葉が浮かんだのか分からない。しかし、何故かこの言葉が浮かび、全身に、皹が入ったような痛みと、底無しの沼に落ちていくような絶望が、自分に襲いかかった。
と、ソコでエレンが剣を止めると、七罪の身体を、紫色の皹が入っていくのを捉えた。
「っ! ファントムの皹? 成る程。彼女は『ゲート』でしたか・・・・」
このまま放置しておいても、『魔獣ファントム』として復活するなら、放っておこうかと思ったその時ーーーー。
[フレイム・シューティングストライク! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー!]
「っ!」
エレンが上空から聞こえた音声に飛び退くと、エレンがいた地点に、火炎の弾丸を地面を燃やした。
「え・・・・?」
その音声に、激痛に苦しんでいた七罪が、恐る恐ると視線を向けると、予想だにしていなかった光景に呆然と声を発した。
「っーーーー貴方は・・・・!!」
そしてエレンは、まるで怨敵でも見つけたような、怒気を多いに含んだ声を発する。
目の前に現れたのは、色鮮やかなルビーを付けたスーツに、丸いルビーの仮面を付けた黒いロングコートの人物、〈仮面ライダーウィザード〉だった。
ーーーーズバッ! ピキィン! ガン! ザシュン! シュバッ! ♪~!
「っ!」
さらに後ろで音が聞こえて振り替えると、魔術師<ウィザード>達が、精霊達が変身する〈仮面ライダー〉達によって、倒されていた。中には、DEMも確認していない個体がいた。
白いスーツに紫色のタンザナイトの宝石の仮面や装飾を付けたアーマーに紫色のコートを羽織り、コートには五線譜と音符が付けられた個体、エレンは知らないが、これぞ美九が変身する、〈仮面ライダーディーヴァ〉だ。そして手に持つのはショルダーキーボードの形をしたディーヴァ<美九>専用武器、『ガブリエルキーボード』を持っていた。
「貴方達は・・・・!」
ー七罪sideー
「・・・・・・・・!?」
七罪は、先程とは別種の困惑に頭を支配されていた。
意味が分からない。なぜーーーー“彼女達が元の姿に戻っているのか”、なぜーーーー自分のせいで様々な被害を受けている筈の彼女達が、七罪を助けようとしているのか。
「七罪!」
しかし、七罪のそんな思考は、ウィザード<士道>の呼び声によって一瞬中断された。
ウィザード<士道>は七罪の傍らに膝を折る。
「血が・・・・! ファントムの皹まで・・・・! 七罪! 大丈夫か!」
「・・・・士、道・・・・くん・・・・?」
ーーーー何で、あなたまで・・・・?
その言葉を最後まで発せなかった。皹が広がる激痛と、出血のし過ぎの為か、身体に力が入らない。
ー士道sideー
「七罪!」
ウィザード<士道>は仮面ごしに険しい顔を浮かべた。ドラゴンの予想通り、変身した精霊達は元の姿に戻り、一瞬安堵すると、〈フラクシナス〉のクルーから、エレン・M・メイザースとDEMの魔術師<ウィザード>が七罪を追い詰めていると聞いて、全員で慌てて出撃したら、七罪が血塗れになり、ファントムの皹まで広がっていたのだ。
「く・・・・、すぐに助けてやるからな・・・・!」
「ーーーーさせるとお思いですか?」
『エンゲージウィザードリング』を取り出して言うウィザード<士道>の言葉を遮るように、エレンが声を発する。
「〈プリンセス〉、〈ハーミット〉、〈イフリート〉、〈ベルセルク〉、さらに〈ディーヴァ〉ですか。7体もの精霊がいて、さらに〈仮面ライダー〉までいるとは。・・・・アイクからは様子を見るよう言われていますが、ここまでの好機、さらに屈辱を晴らす機会が巡ってきたならば、話は別でしょう」
エレンが剣を構え、ウィザード<士道>は仮面ごしに、緊張感に満ちた視線で睨みながら口を開いた。
「・・・・いいのか、エレンさんよ。お仲間は皆のびてる。多勢に無勢だぜ?」
「お気遣い無用です。彼女らは最初から数に入れていません」
エレンの言葉に、ウィザード<士道>は汗を滲ませる。
相手は〈仮面ライダー〉になった琴里と八舞姉妹を同時に相手にして互角以上に戦った相手だ。数の差はあっても、エレンに勝てる気があまりしない。
それに、すぐにでも七罪は助けなければならない状況だ。ゴクリと息を呑むと、事前にドラゴンが建てた作戦を実行する。
「そうかい。なら遠慮なく、多勢を活用させてもらう!ーーーー皆!」
士道の言葉に呼応するように、まずハーミット<よしのん>とベルセルク<八舞姉妹>がそれぞれの武器から吹雪と2つの竜巻を放った。
「くらうがいい! 氷と風の合わせ技! 暴風雪<シュニーストーム>!!」
「・・・・」
テンペスト<耶倶矢>が得意げに叫ぶが、エレンは随意結界<テリトリー>を展開して防ぐ。すると、ディーヴァ<美九>が『ガブリエルキーボード』で身の奮い立つような行進曲を奏でると、自分の後方に一瞬で移動したプリンセス<十香>とイフリート<琴里>が、『サンダルフォンブレード』と『カマエルブレイカー』をエレンに叩きつけようとした。
「無駄でーーーーっ!!」
余裕でレイザーブレイドで防いだエレンだが、2人の思わぬパワーに押し上げられ、その場から空中に弾き飛ばされてしまった。
すぐに後を追った精霊達は、そのままエレンと交戦を始め、遠くへと向かっていった。
≪よし。今のうちだ≫
「頼むぜ、皆・・・・」
これがドラゴンの建てた作戦。仲間のパワーをアップさせるディーヴァ<美九>の能力をフルに使って、精霊達でエレンを足止めし、その間にウィザード<士道>が七罪を助ける、極々単純な物であった。
「・・・・士、道・・・・くん・・・・」
「七罪。必ず助けるからな。俺が、最後の希望だ」
[エンゲージ プリーズ!]
音声が鳴り響くと、七罪の身体に魔法陣が現れ、ウィザード<士道>はその中に入っていった。
ー琴里sideー
エレンと空中戦を繰り広げていた精霊達は、〈仮面ライダー〉から1キロほど離れた開けた草原にエレンが降りると、精霊達も追って囲むように、精霊達が変身した〈仮面ライダー〉が包囲した。
「精霊が6人で相手をするとは・・・・」
「言っておくけど、降伏するか逃げるなら、こちらも無駄な戦闘をするつもりはないわ」
イフリート<琴里>が言うが、エレンは冷淡な態度で口を開いた。
「ご心配なく。すぐに終わります」
自分が負ける事など欠片も考えていない態度であった。イフリート<琴里>は内心舌打ちしながら、エレンに聞こえないくらい小さな声で、事前に付けていたインカムで、他の精霊達に指示を出す。
「良い皆。相手は士道の『オールドラゴンスタイル』と互角に渡り合う相手よ。油断はしないでね」
以前の戦いで、エレンに叩きのめされた故に、その強さを理解しているイフリート<琴里>。そしてーーーー。
「シドーの邪魔はさせん!」
「くくっ、このような形が我らに与えた雪辱を存分に返してやろうぞ」
「気合。覚悟を決めてください」
武器を構える精霊達を見据えてエレンは、
「まぁ良いでしょう。丁度良いテストになりますね」
エレンが剣を地面に突き立てると、懐から・・・・バックルと2つのリングを取り出し、バックルを腰にあてるとベルトが自動で伸び、腰にまかれる。そしてリングを両手の指に嵌めた。
『っ!』
それを見た瞬間、精霊達にイヤな予感が走ったが、それは現実となる。
[ドライバーオン!]
片方の手のリングをバックルに翳すと、バックルが光り輝き、真那の『ビーストドライバー』に良く似たドライバーへと変わり、もう片方のリングを押し込もうとした。
「っ! まさかーーーー皆! 止めるわよ!!」
『っっ!!』
イフリート<琴里>の叫びで、精霊達はそれぞれ、斬撃、冷凍ビーム、竜巻、火炎、音の壁で攻撃するがーーーーエレンは小さく笑みを浮かべ、
「遅いですよ」
[セット、オープン! H・O・R・S・E! ホース!!]
音声が響くと、エレンの前に魔法陣が展開され、精霊達の攻撃が当たりーーーー。
チュドォオオオオオオオオオオオンン!!
エレンのいた地点に、爆発が起こった。
『・・・・・・・・』
精霊達は黙ってその様子を見ると、
「やったか?」
「焦燥。耶倶矢、それは言ってはいけないフラグです!」
「えっ?」
テンペスト<耶倶矢>がストーム<夕弦>の言葉に首を傾げると、炎の中から、人影が現れる。
「渋面。耶倶矢が余計な事を言うから・・・・」
「わ、私のせいじゃないし!!」
と、ベルセルク<八舞姉妹>や他の精霊達も武器を構えた。
ー士道sideー
「ふっ!」
ウィザード<士道>が七罪のアンダーワールドに到着すると、ジャックオーランタンを箒の先端にぶら下げ、箒に股がり、緑色の髪を無造作に伸ばした魔女のような姿のファントム、『ウィッチファントム』がアンダーワールドを飛び回りながら、眼前に鏡を作り出し、そこから放たれる光の光線で、アンダーワールドを破壊していた。
[コネクト プリーズ!]
[ドラゴライズ プリーズ!]
『久しぶりに出てこられたぁ!』
「行くぜドラゴン!」
ドラゴンと一緒に空を駆けるウィザード<士道>。
『Uuuuuuuuuuuuッ!!』
ウィッチファントムは鏡をウィザード<士道>達に向けて放つが、ドラゴンは難なく回避し、ウィッチファントムの近くに到達した。
『行けっ!』
「はぁ! たぁあああああああああああっ!!!」
ドラゴンの尻尾の先端に下りたウィザード<士道>を、ドラゴンは勢い良く『スラッシュストライク』でウィッチファントムを切り裂いた。
『Uuuuuuuuuッ!!』
ドガァアアアアアアアアンン!!
ウィザード<士道>がドラゴンの背中に着地すると、呆気なくウィッチファントムは撃破され、ジャックオーランタンは地面へと落下した。
「良しこれで・・・・」
『むっ!』
「うわっ!」
ドラゴンが身体を急旋回すると、光線がその横を通過した。
「なっ!?」
光線が来た方向を見ると、ウィッチファントムが鏡を構えていた。
「あ、アイツはさっき確かに・・・・!」
『・・・・っ!』
ドラゴンが上昇すると、横凪ぎに光線が下を通った。
光線の先にはまたーーーーウィッチファントムがいた。
「に、2体!?」
『いや・・・・』
ドラゴンが上を見ると、何体ものウィッチファントムが次から次へと降りてきた。
「なっ! ど、どうなってんだよ!? ファントムってのはゲート1人に1体だろう?!」
『・・・・・・・・』
降りてきたウィッチファントム達が、鏡を造り出して、光線を放射するが、ドラゴンはヒラリヒラリとかわしてく。
『・・・・はぁっ!!』
と、ウィッチファントムの1体を爪で引き裂いて撃破するが、再び別の所から、新しいウィッチファントムが現れる。
「お、おいドラゴン! これって一本・・・・?」
『試してみるか・・・・』
「えっ?」
『はぁああああああああああああああっ!!!!』
ウィザード<士道>が首を傾げると、ドラゴンは口から紅蓮の炎を吐き出し、周りにいたウィッチファントムを全て焼き付くした。
「うぉおっ!!」
すると、全てのファントム達が消滅していた。
が、すぐにまた新しいファントム達が現れる。
「どうするドラゴン?」
『・・・・成る程』
「ん?」
『ウィッチの天使の能力は変身。上部だけ見て行動すれば、簡単にドツボにはまる。最初に倒したファントムにはジャックオーランタンがあったが、他の奴らにはない。・・・・と言う事は』
「あっ」
ドラゴンが視線を地上に下ろし、ウィザード<士道>もそれを追うと、地上にあるジャックオーランタンが、コソコソと動いていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
[チョーイイネ! キックストライク! サイコー!]
『そこだぁああ!!!』
「フィナーレだっ!!」
『ストライクエンド』
『ッッ!! Gwaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』
ストライクエンドをジャックオーランタンに叩きつけると、ランタンがウィッチファントムを小型にしたような、本物のウィッチファントムが本当の姿に変わり、爆散すると、他のファントム達も消滅した。
2人が空に戻ると、アンダーワールドは夕焼けの町並みになり、エメラルドの結晶、霊結晶<セフィラ>が浮遊していた。
「ふぃ~、セコいヤツだな・・・・」
『ん?』
と、ソコでドラゴンとウィザード<士道>は、〈贋造魔女<ハニエル>〉に股がって、夕焼けの空を飛んでいる少女の姿を見た。その目にはーーーー涙を流しながら。
「七罪?」
「・・・・・・・・」
気にはなるが、外の十香達も心配なので、ウィザード<士道>達はアンダーワールドから脱出した。
◇
アンダーワールドから出ると、横たわる七罪の『エンゲージリング』が、『鏡に映った箒の装飾がされたエメラルドグリーンのリング』へと変わっていた。
「良し。後は皆で離脱してーーーー」
ドォオオオオオオオオオオオオオン!!!
「うわぁああっ!」
「きゃあああっ!」
「うわぉっ!」
「くうっ!」
「「あぁああっ!」」
≪不味いな・・・・≫
「皆・・・・っ!!」
ウィザード<士道>が皆の元に向かおうとするが、爆発が起き、森林の中から変身が解除された精霊達が倒れ込んできた。
「おや、ファントムにはなれませんでしたか。ですが、まあ良しとしましょう。こちらも精霊達を確保できましたし」
変身が解除された精霊達に駆け寄ると、森の中からーーーー〈仮面ライダー〉が現れた。
仮面は紫色の複眼に、白金の鎧を装備し肩のアーマーからマントを靡かせ、肩や腕や足のアーマーに真珠のような宝石を着け、胴体には馬の顔のようなアーマーを着けた女性のような姿、仮面の側頭部には鳥の羽を付け、右手に光の剣を、左手に盾を装備し、十香が姫騎士ならば、こちらは戦乙女と言った風だ。
「エレン・・・・なのか?」
「ええそうですよ。名乗るならばーーーー〈仮面ライダーヘルキューレ〉。と呼んで貰いましょうか」
ヘルキューレ<エレン>は、右手に持つ光の剣をウィザード<士道>に向けて突き立てるように構えた。
ー仮面ライダーディーヴァー
美九が変身する仮面ライダー。仮面ライダーゴーストのベートーベン魂にフードを無くして色は紫色にし、鍵盤ではなく五線譜と音符となった姿。
専用武器『ガブリエルキーボード』は、味方をサポートしたり、音を奏でて音の壁や音符の弾丸を放ち、五線譜を伸ばして相手を拘束する。
必殺技は五線譜で相手を拘束し、その上を滑りながらキックを繰り出す『ミュージックエンド』
ー仮面ライダーヘルキューレー
エレンが変身する仮面ライダー。見た目は仮面ライダーブレイブの〈レガシーゲーマーレベル100〉を女性風にアレンジしたデザイン、仮面は複眼に、肩や腕や足に宝石を付け、胴体には馬の顔のアーマーを着けている。名前は地獄のヘルと、戦乙女のワルキューレを合わせた。