デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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〈仮面ライダーヘルキューレ〉へと変身したエレン。どうなる〈仮面ライダーウィザード〉!?


地獄の戦乙女と迫る魔の手

ー士道sideー

 

ウィザード<士道>は冷や汗が流れる。

目の前に現れた新たな〈仮面ライダー〉、DEMの執行部長にして、精霊すら凌駕する人類最強の魔術師<ウィザード>、エレン・M・メイザースが変身する〈仮面ライダーヘルキューレ〉と対峙しているのだ。

 

「(ドラゴン・・・・)」

 

≪・・・・下手な動きをするな。唯でさえ厄介な相手がさらに面倒になった。〈ウィッチ〉もすぐに治療せねばならん≫

 

「どうしました? さっさとあの形態になったらどうですか?」

 

「あの形態・・・・?」

 

≪オールドラゴンスタイルの事だろう≫

 

「・・・・何で俺がオールドラゴンにならないといけないんだよ?」

 

「・・・・忘れたとは言わせませんよ。この私に与えた屈辱を!」

 

ヘルキューレ<エレン>が怒りの感情を押し殺しているような声でそう言うと、ウィザード<士道>とドラゴンは、前回の戦いを思い返していた。

 

【そのまま大人しくしていろ。人間相手に本気になりたくないんだよ・・・・!】

 

【『人類最強の魔術師<ウィザード>』も、大した事ないな!】

 

たとえどんな非情な人間が相手でも、人間を相手に戦いたくない士道と、ドラゴンの見下すように鼻で笑いながらエレンに言った言葉を思い出した。

 

「まさか、あんな事を気にして・・・・」

 

「“あんな事”とは言ってくれますね。私の、『最強』の称号を汚した屈辱を・・・・!」

 

「ぅ・・・・!」

 

仮面越しから伝わる冷酷な殺気に、ウィザード<士道>はそれ以上言えなかった。

 

≪これは少し時間を稼いで、折りを見て離脱するぞ≫

 

「・・・・分かった」

 

ウィザード<士道>は『フレイムドラゴンウィザードリング』を取り出し指に嵌めて、バックルに翳した。

 

[フレイム! ドラゴン! ボゥー!ボゥー!ボゥーボゥーボォー!!]

 

[コネクト プリーズ]

 

フレイムドラゴンへとチェンジし、すぐに『コネクト』で『ドラゴタイマー』を取り出し、腕に装着した。

 

[ドラゴタイム!]

 

それをヘルキューレ<エレン>は、静かに見据え、ウィザード<士道>は『ドラゴタイマー』を起動させる。

 

[ドラゴタイム セットアップ!]

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

[スタート!]

 

チッチッチッ・・・・と、秒針を刻む音がその場に響き、秒針が青に緑に黄に到達すると、ウィザード<士道>はレバーを押していく。

 

[ウォータードラゴン!]

 

[ハリケーンドラゴン!]

 

[ランドドラゴン!]

 

「フッ!」

 

「スッ!」

 

「ハッ!」

 

ウォータードラゴンスタイルとハリケーンドラゴンスタイルとランドドラゴンスタイルが、フレイムドラゴンスタイルのウィザード<士道>と横並びになる。

 

[コピー プリーズ]

 

4人のウィザード<士道>はウィザーソードガンを2つにすると、フレイムドラゴンとランドドラゴンは二刀流に、ウォータードラゴンとハリケーンドラゴンは2丁拳銃に構える。

 

「行くぜ!」

 

フレイムドラゴンとランドドラゴンが剣を構えて切り込むが、ヘルキューレ<エレン>は光の剣で防いだり、受け流したりすると、ウォータードラゴンとハリケーンドラゴンが水と風の弾丸を放つが盾で防ぎ、光の剣から斬撃を飛ばすと、二人のウィザード<士道>はそれを回避した。

 

「「ハァッ!!」」

 

「「タァ!!」」

 

フレイムドラゴンとランドドラゴンが片方のソードガンソードモードを投げると、ハリケーンドラゴンとウォータードラゴンが、ガンモードの片方を投げ、それぞれが受け取ると、ソードモードとガンモードでヘルキューレ<エレン>と交戦する。

 

「・・・・フン!」

 

「ぐはっ!」

 

「うおっ!」

 

「あぁっ!」

 

「だぁっ!」

 

四人のウィザード<士道>はヘルキューレ<エレン>に斬られ、地面に転がる。

 

「獲物を変えたからと言って、そんな杜撰な方法で勝てると? さっさとオールドラゴンスタイル<あの姿>になったらどうですか?」

 

「くっ・・・・!」

 

確かに、オールドラゴンスタイルにならないとヘルキューレ<エレン>に勝てない。しかし、七罪の傷は一刻を争う状態だし、ここで戦えば倒れている十香達も巻き込んでしまう。

 

≪小僧。我の指示に動け。いいかーーーーーーーー≫

 

「・・・・了解!」

 

ドラゴンの指示を受け、ウィザード<士道>達はウィザーソードガンにリングを翳した。

 

[[フレイムドラゴン・シューティング(スラッシュ)ストライク! ボゥー! ボゥー! ボゥー!]]

 

[[ウォータードラゴン・シューティング(スラッシュ)ストライク! ザブザブーン! サブザブーン!]]

 

[[ハリケーンドラゴン・シューティング(スラッシュ)ストライク! ビュー! ビュー! ビュー!]]

 

[ランドドラゴン・シューティング(スラッシュ)ストライク! ド・ゴーン! ド・ゴーン! ド・ゴーン!]

 

「「「「はぁあああああああっ!!!」」」」

 

4人のウィザード<士道>が、ソードモードで炎と氷と嵐と岩の斬撃を放つと、

 

「「「「はぁあっ!!!」」」」

 

すぐに炎と氷と嵐と岩の弾丸を撃ち、斬撃と一体にさせると、紅蓮の炎の翼の竜。凍てつくような氷の翼の竜。荒ぶる嵐の翼の竜。堅固な岩の翼の竜が生まれ、ヘルキューレ<エレン>へと向かっていった。

 

「四大元素の同時攻撃とは中々ーーーーですが!」

 

ヘルキューレ<エレン>は左手に嵌めたリングを光の剣の柄に押し込んだ。

 

[ダーインスレイヴ デッドエンド!]

 

重苦しい音声が流れると、光の剣から魔力が迸り、刀身が大きく伸びる。

 

「はぁあああああああっ!!!」

 

ヘルキューレ<エレン>はその剣をおもいっきり振って、四大元素の竜達を切り裂こうとする。

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ! と、凄まじい火花が飛び散る。

 

「つぁあああああっ!!」

 

が、それを防ぎきったのはヘルキューレ<エレン>の方だった。

 

≪予測済みだっ! 小僧共!≫

 

「「「「ああ!」」」」

 

[[[[チョーイイネ! スペシャル! サイコー!!]]]]

 

「「「「うぉおおおおっ!!」」」」

 

今度はそれぞれが、ドラゴンヘッド、ドラゴンテイル、ドラゴンウイング、ドラゴンクローを召喚させ、炎の氷雪と雷と爪の斬撃を放つ。

 

「悪あがきですね」

 

ヘルキューレ<エレン>は左手の盾、『イージス』でその攻撃を防ぐ。がーーーー。

 

≪今だ〈ハーミット〉!≫

 

「は、はい・・・・!」

 

『ぬぅおおおおお! 四糸乃ド根性っ!!』

 

ボロボロの四糸乃が地面を叩くと、霊力を使って地面を氷らせ、ヘルキューレ<エレン>の足元の地面だけを凍らせた。

 

ーーーーツルッ!

 

「えっ?」

 

『イージス』でウィザード<士道>の攻撃を防いでいたヘルキューレ<エレン>が、魔法の威力を殺しきれず、後退りすると、凍りついた地面に足元を取られ、ツルッ! と滑りそしてーーーー。

 

「「「「うぉりゃあああああああああああああああああああああっ!!!」」」」

 

「そんなバカなぁあああああああああああああああああああああっ!!!」

 

空かさずウィザード<士道>達が魔力を最大にして攻撃を放つと、踏ん張りを失ったヘルキューレ<エレン>は、そのまま遥か後方に吹き飛んでしまった。

 

≪よし! 〈イフリート〉!!≫

 

「っ! 神無月!!」

 

ドラゴンが指示を出すと、琴里は耳のインカムで神無月に命令した瞬間、ヘルキューレ<エレン>を除いた一同は、奇妙な浮遊感に包まれた。フレイムドラゴンが七罪に駆け寄る。

 

「な、に・・・・?」

 

「傷口が痛むかも知れないけど、少しの間我慢してくれ・・・・!」

 

「ぇーーーー」

 

フレイムドラゴンのウィザード<士道>と七罪を含む精霊達を〈フラクシナス〉に回収された。その際、七罪は変身していた身体が元に戻りながらーーーー気を失った。

 

「逃がしませんっ!!」

 

と、ソコでマント靡かせながら空を飛ぶヘルキューレ<エレン>がウィザード<士道>達を追うが・・・・。

 

「「「させるかぁっ!!」」」

 

ウォータードラゴンとハリケーンドラゴンとランドドラゴンがヘルキューレ<エレン>の邪魔をした。

 

「くっ! 退きなさい!!」

 

ヘルキューレ<エレン>が3人のドラゴンスタイルと交戦している間に、全員を回収し終えた〈フラクシナス〉は、全速力でこの場を離脱し、ヘルキューレ<エレン>が3人を倒す数分後には、〈フラクシナス〉の反応は消えていた。

 

 

 

ー折紙sideー

 

「・・・・・・・・!?」

 

自宅のリビングにいた折紙は、自分の身体の異変に気づいた。前触れもなく身体が淡く発光し、幼い子供の身体から、元の高校生の身体に戻った。

 

「これは・・・・一体?」

 

身体の調子を確かめると、本当に元に戻っていた。着ていた服もサイズが合わず、内から引きちぎれそうになっている。

七罪がこの遊びに飽きたのか? それとも士道が七罪を発見し、説得に成功したのか? ASTが七罪の討伐に成功したのか?ーーーー幾つか推測を考えたが、朗報には違いない。折紙はその場に立ち上がると、急に元に戻った影響か、少し頭がふらつくが、数秒後に収まった。

先ずは事実関係の確認をしなければならない。士道の元に行き、状況を聞き、さらに精霊達が元に戻っているのかを確認するべきだ。もし戻っていなければ、学校は邪魔者がいない折紙と士道の愛の巣となる。

それに、ASTの天宮駐屯地にも顔を出しておいた方がいい。今折紙は先の命令違反に対する処分待ちの状態だ。任務に参加できないが、同僚の美紀恵か、整備士のミルドレッド辺りから、部隊の近況を聞けるだろう。

方針は決まった。破れかかった子供服を着替える為に寝室に向かい、クローゼットから適当に服を見繕い、手早く着替えを終えると、玄関に向かった。

 

「っ・・・・」

 

がーーーーそこで折紙はピクリと眉を動かした。

理由は単純。玄関の外に、何者かの気配を感じたからである。

折紙のマンションは、エントランスにもオートロックが施されており、居住者の許可なしでは入れない。宅配便や突然のセールスでもなさそうだ。だとするとーーーー。

 

「・・・・・・・・」

 

折紙は無言のまま壁の後ろに身を潜め、玄関の方に注意を払いながら、レッグホルダーから小型の自動拳銃を抜く。

するとほどなくして、カチャリと小さな音が鳴ったかと思うと、ドアが開け放たれ、数名の女達が部屋に入ってきた。

が、その瞬間、ドアに取り付けられていたワイヤーが引っ張られ、女達に向かって催涙スプレーが勢いよく噴霧される。

 

「うわっ!?」

 

「な・・・・これは・・・・!」

 

まさか普通のマンションに侵入者防止用のトラップが仕掛けられているのは思わなかったのだろう。女達は狼狽の声をあげる。

折紙は微かに眉を寄せる。予想よりも数が多い。交戦しても、確実に勝てるかどうか微妙なところだった。

瞬時にそう判断した折紙は、部屋を突っ切り、窓から外に出た。

こんな事もあろうかと、大家には内緒でマンションの壁面に簡単な足場を取り付けており、折紙はリズミカルにその足場を伝って、地面に降り立った。

上方から視線を感じて見上げると、女達が冷酷に自分を見下ろすとーーーーその姿を変貌させた。

 

「っ! 〈アンノウン〉・・・・いや、『魔獣ファントム』・・・・!」

 

士道、〈仮面ライダー〉が戦っている怪人達だと理解すると、折紙は逃走しながら思考を巡らせる。

何故ファントム達が自分を襲いにくるのかは分からないが、確実に士道が関係している事は間違いない。士道の足を引っ張る事になるなど、折紙にとっては耐えられない事だ。そんな事になるならいっそ、今この場で自決した方が遥かにマシだ。

と、そんな事を考えていると、ポケットの中の携帯電話が震え始める。隠れながら携帯を取り出すと、『日下部燎子』の名が表示され、応援を頼もうと連絡する。

 

《もしもし、折紙?》

 

「日下部隊長。悪いけど聞いて欲しい」

 

と、折紙が隠れながら移動すると、その状況を察したように燎子が息を詰まらせる。

 

「質問を質問で返して悪いけど、あなた今逃げてるの?」

 

「・・・・、何故それを知ってるの?」

 

折紙が短く問うと、燎子は暫し無言になってから、言いづらそうに続ける。

 

《落ち着いて聞いてちょうだい。ーーーーついさっき、あんたの懲戒免職が決まったわ》

 

「・・・・・・・・っ」

 

重苦しい燎子の言葉に、折紙は息を詰まらせるが、当然と納得できた。

〈ディーヴァ〉の事件で自分は士道を守る為に使用禁止の討滅兵器の無断使用と、一応友軍のDEM社の部隊に攻撃を仕掛けた。この件の決着が着くまで、ASTの任務に参加する事を禁じられていた。

しかし、その件はDEMの身勝手過ぎる行動が根底にあり、上層部の中でも折紙に同情的な意見が出ていた話があるのも美紀恵達から聞いていた。それが何故ーーーー。

折紙の思考を察した燎子が言葉を続ける。

 

《・・・・今回の件は、特例として処理しようって意見が大勢を占めていたわ。でも処分の結果は懲戒。ーーーー何らかの力が働いたと見て間違いないでしょうね》

 

「・・・・DEM」

 

《・・・・・・・・》

 

燎子は答えなかったが、その沈黙が答えだ。

しかし、それはこの状況の答えにはなっていない。

ASTには問題のある対象者の拘束するエージェントならば分かるが、今自分を追っているのは、『魔獣ファントム』なのだ。

 

「日下部隊長。私を追っているのは〈アンノウン〉ーーーー」

 

『はいそれ以上はダ~メ!』

 

「っ!!」

 

突然背後から聞こえた声と殺気に、折紙はバッと振り替えると、緑色の影が自分に迫っており、折紙は回避した。が、手にしていた携帯電話は、鋭利な刃物に切られたように縦に裂けた。これでは燎子との連絡はできない。

 

『ん~、人間にしては良い反応だねぇ』

 

「っ、ファントム・・・・!」

 

『ファントムなんて呼ばないでよ。僕の名前はグレムリン。で・も・・・・』

 

グレムリンと名乗ったファントムは、身体を人間に変貌させると、若い男性へとなった。

 

「ソラって呼んで欲しいな~」

 

「・・・・っ」

 

どう打開しようかと思考を巡らせる折紙は眼球運動で辺りの様子を見ると、後方から人間に変貌したファントム達がおり、逃げ切れるルートが見当たらなかった。

 

「く・・・・(士道の足手まといになるくらいなら)」

 

折紙が忌々しげにグレムリンを睨むと、レッグホルダーから小型の自動拳銃を抜き、自決をしようと考えたが、

 

「ちょっと待ってね、折紙ちゃん♪」

 

グレムリンはスマホを取りだし、何処かに連絡を入れ、少し会話をすると、スマホを折紙に投げ渡す。

 

「このまま僕達と一戦交えるか、もしくは自決するか、それとも、その電話に出て、第三の選択肢を選ぶか、決めてみて」

 

折紙はスマホを受けとると、『笑える魔術師<ウィザード>』と表示された相手の電話を耳に押し当てると、意外な人物の声が聞こえた。

 

《ーーーーもしもし? 鳶一折紙一曹ですか?》

 

「・・・・っ、エレン・メイザース・・・・?」

 

折紙は眉根を寄せながら呼んだ人物は、DEM社の魔術師<ウィザード>であった。

 

「一体、何の用」

 

《そう邪険にしないで下さい。鳶一一曹》

 

折紙の声に宿る微かな険を感じたのか、エレンが行ってくる。

しかし、折紙は今まさに折紙はDEMによってASTを免職にされたのだ。力を奪った連中を敵視するなと言う方が可笑しい話だ。

それ以前に、折紙とエレンは先日、DEM日本支社で刃を交えたばかりだ。無論実力差は歴然だったがーーーー折紙も、エレンに一撃を浴びせている。少なくとも、彼女も折紙に好感情など抱いてはいない筈だ。

だがエレンは、折紙に対する悪感情を覗かせる事なく、至極事務的な調子で言葉を続ける。

 

《単刀直入に申し上げます。ーーーー鳶一一曹。私の下に付くつもりはありませんか?》

 

「・・・・、どう言う事?」

 

予想外割の言葉に、折紙は怪訝そうに眉を寄せた。

 

《そのままの意味です。DEMインダストリー第2執行部に入るつもりはありませんか? あらゆる面で今以上の待遇をお約束しますが。それに呑んで頂ければ、〈アンノウン〉共を退散させますよ》

 

「・・・・魔獣ファントムと手を組んだの?」

 

《おや、ご存知でしたか。まぁ良いでしょう。彼らは精霊達を絶望させ、精霊の力を宿す魔獣を作りたい。私達DEMインダストリーは精霊を排除したい。お互いに利害が一致したので手を結んだだけですよ。後ついでに、あなたを拘束しようとしていたASTのエージェントも、彼らが始末しています。暫くは入院生活でしょうね》

 

実に合理的な話だ。しかし折紙にとって、精霊の事やエージェントの安否などどうでも良いが、一番重要な事を言った。

 

「ーーーー士道に危害を加えるような組織に手を貸すつもりはない」

 

《そうですか。残念です。ですが、本当に宜しいのですか? あなたは永久に精霊に対する力を失う処か、命を失いますよ?》

 

「・・・・・・・・!」

 

エレンの声が聞こえたのか、グレムリン達の腕が怪人体に変わり、折紙は視線を鋭くした。どうやらDEMの介入によって、折紙の処分が決定された理由を悟ったようだ。

 

「・・・・あなたは、私に傷つけられた恨みがあるのではないの?」

 

《絶無とは言いませんが、今はそれよりも、使える人材が欲しいと言う欲求が勝っています。ーーーーそれこそ、私の身体に傷を付けるくらいの》

 

「・・・・・・・・」

 

折紙の表情は届いていないだろうが、エレンは折紙の反応を見透かしているかのように続ける。

 

《DEMインダストリーには、各国に配備されているそれとは比べ物にならない性能のCR-ユニットが多数存在しています。ーーーーご両親の無念を晴らしたくありませんか?》

 

「・・・・っ」

 

折紙の過去も調査済みのようだ。折紙は不快そうに息を漏らすが、つづけて発せられるエレンの言葉に、折紙はその不快そうな声を止めさせられた。

 

《ーーーー5年前、天宮市南甲町を襲った大火。その時、現場には“複数の霊波反応が確認されていました”。無論それはDEMの極秘資料ですがーーーーあなたが第2執行部の魔術師<ウィザード>となるのであれば、それを開示しても構いません》

 

「なーーーー」

 

折紙は目を見開き、息を詰まらせる。

“複数の霊波反応”。それは以前、士道の言葉を裏付けるものであった。

士道の妹、〈イフリート〉五河琴里を、折紙は両親の仇と追っていた。だが士道は、あの時あの場には、別の精霊が存在しーーーー琴里は両親の仇ではないと言ってきたのである。

と、それに合わせるように、エレンが冷淡に声を発する。

 

《ーーーーさあ、いかがなさいますか? 鳶一折紙》

 

「・・・・・・・・、・・・・・・・・」

 

数秒の沈黙の後。ーーーー折紙は、決断を、声にした。

 

「ーーーー分かった。私に、力をちょうだい」

 

すると、グレムリン達から敵意が消え、グレムリンの背後から、スマホを耳に押し当てたノルディックブロンドの少女が1人、ゆっくりと歩いてきて、折紙に向かって、手を差しのべてくる。

 

《「ーーーーようこそ、DEMインダストリーへ」》

 

正面と電話口の2方向から、エレン・メイザースの声が折紙の鼓膜を震わせた。




ヘルキューレとの本格バトルは次の機会に。そして折紙にDEMの魔の手が・・・・!
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