デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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エスケープ・七罪

ーDEMsideー

 

士道達が七罪を攻略している間、DEMインダストリー英国本社の会議室に設置されたスピーカーから、人工衛星〈ハンプティ・ダンプティ〉のドッキングに成功と軌道修正。五時間後に目標地点上空に到達。さらにDEM空中艦〈ヘプタメロン〉が所定位置に到達した報告を聞いて、マードックは目の前の液晶画面に表示される数々のデータを目で追いながら大仰に頷いていた。

 

「ーーーーウェスコットMDは、今どこに?」

 

《宿泊先のホテルから動いていません。空間震警報が発令されれば、避難するのはホテル内のシェルター、もしくは最寄りのDEM関連施設のものかと、思われます》

 

「耐久度は?」

 

《〈ハンプティ・ダンプティ〉の衝突位置が、誤差10キロメートル以内であれば、問題ありません》

 

「『セカンド・エッグ』の方は?」

 

《配備済みです。ご指示があればいつでも》

 

「結構」

 

「・・・・『セカンド・エッグ』?」

 

シンプソンが怪訝そうな目を向けると、マードックは唇の端を上げながら視線を返した。

 

「まあ、念の為の保険ですよ。わざわざ気にしていただくほどの事でもありません」

 

「・・・・・・・・」

 

シンプソンはしばし無言のままマードックの事を見ていたが、やがて手元の液晶画面に目を戻す。

その様は不満そうでもありーーーーマードックを気味悪がって居るようにも見える。

マードックは満足げに唇を歪めると、会議室に居並んだ取締役会の面々に視線を這わせた。

 

「(ーーーー良い兆候だ) 計画は非常に順調です。今日の夕方には、ウェスコットMDの訃報が届く事でしょう。社葬は盛大になりそうです。今の内に、哀悼の言葉でも考えておく事をお勧めします」

 

その言葉に、取締役達は一瞬目を見合わせてから、ぎこちない笑みを浮かべる。

決行の日になったのに、未だにウェスコットを敵に回すのが恐いのだ。腹の底では、作戦が失敗したら全ての責任はマードックに押し付けようと考えているのだろう。

マードックは誰にも聞こえないように、フンと鼻を鳴らした。臆病者達の腹の内などお見通しだ。それでもこの作戦に賛意を示しただけでも良い。失敗すれば自分は始末されるのだから同じ事だ。

本来であれば、情報漏洩をしてまで、反ウェスコット派の取締役全員を作戦に取り込みたくなかったが、作戦に必要な人員と空中艦、作戦に関わる全ての情報隠蔽を考えると、マードックの権能ではどうしようもなかった。否ーーーー正確に言うと、こんな規模の作戦を一存で実行できるのは、DEM社にはウェスコットただ1人だけだろう。

しかし、こんな鈍重な大所帯にも利点はある。

ーーーーここにいる面子は、ウェスコットが消える理由と原因を、よく理解している事だ。

ウェスコットの訃報が届けば、直ぐ様臨時取締役会が開かれ、新たな最高権力者を決める事になる。

そこでここにいる面子は誰を意識するかーーーーいや、誰を敵に回さない方が良いか考えるか。

前MD暗殺なんて最悪の醜態<スキャンダル>を一方的に握られたならば、今度はその情報を知る者を消さなければならないが、ここに居る取締役達は『共犯者』だ。そして臆病者揃いだ。マードックが次のMDに名乗りを上げても、文句を吐けまい。

だからこそマードックは、こんな狡猾な作戦を行う狂気の男を演じているのだ。ウェスコットが消えた後、ヤツに向いていた恐怖を、そのまま自分に纏わせる為に。

 

「・・・・いや、少し違うか」

 

マードックは包帯が取れた右手を見て小さく呟く。

あくまでも、人心掌握の手段の1つとして、狂気の男を演じているつもりだった。

がーーーーエレン・メイザースに右腕を切り落とされた瞬間、自分はゆるやかに、しかし確実に、本当に狂っていった気がしたのだ。

マードックは、そんな自分にニィと笑うと、液晶画面に映し出された〈ハンプティ・ダンプティ〉の映像を眺めていた。

 

 

 

 

ー七罪sideー

 

「・・・・何なのよ・・・・何なのよ・・・・何なのよ・・・・ッ! 一体何なのよ・・・・アイツらは・・・・っ」

 

訳の分からない感情の奔流が頭に溢れ、口から漏れ出ている感覚。グルグルと回る思考。途方もない混乱に、ベッドの上で体育座りで踞り、頭からスッポリ布団を被った七罪は小さな声でブツブツと呟いた。

脳裏に浮かぶ士道達の姿に、頭をガリガリとかいた。

 

「(何でアイツらは、私にここまで構うのよ・・・・! 何でここまで良くしてくれるのよ・・・・!)」

 

天使で変身した自分ならば解るが、そのままの自分を、彼らは可愛いと言ってくれた。

その言葉は、七罪が何よりも待ち望んでいた物の筈だった。しかし・・・・そんな言葉を言われたのは“初めて”だった為、どうしても素直に受け取れなかった。

 

「そんなの・・・・嘘に決まっている。は、は・・・・そ、そうよ。アイツら、全員で私を担いでるのよ。だって私はーーーー」

 

そう呟き、被っていた布団を持ち上げると、壁に設えられている鏡にーーーー士道達に可愛くプロデュースされた自分の姿が映っているように見えた。

 

「・・・・っ!」

 

息を詰まらせ、再び布団を被り直すと、思考が再びぐちゃぐちゃに混乱する。

 

「(あんなの違う! だって私は醜い筈! どうしようもないブスで、不細工で、可愛くなんかない! “そうだった筈”! “そういう風に決まって”・・・・) あ、れ・・・・」

 

そこでふと、七罪は疑問を感じた。

 

「(ーーーーそういう風に決まってる・・・・? なんで、そう決まっているの・・・・?)・・・・っ、と、とにかく・・・・何の理由もなく、敵である私にあんな事をするだなんて考えられないわ。絶対・・・・何か目的がある筈よ・・・・」

 

七罪はそう言って、胸元に手を掲げ、小さく呟く。

 

「・・・・〈贋造魔女<ハニエル>〉・・・・!」

 

すると、手のひらの上に鏡のような物になった天使を出現させる。

 

「ぐ・・・・」

 

傷は痛むが、どうにか我慢できる。七罪はベッドの『人1人が隠れられる穴の開いたベッド』に変化させ、布団の中のぬいぐるみを1体引っ張り込み、それを天使で、『眠っている七罪』の形に変化させた。

七罪は布団の中でモゾモゾと蠢き、ダミー七罪をベッドの上に残し、自分は穴の中に入り込み、そして〈贋造魔女<ハニエル>〉を輝かせ、ベッドの表面を閉じ、穴を掘り進むように、ベッド、床、壁の中を天使で変質させ、通り抜けた。

 

「・・・・よし」

 

数分後に、人気のない廊下に出た七罪は、壁を元に戻す。これでしばらくは誤魔化せるが、そう猶予はない。

手早く目的を済ませようと、この場で好都合な人間に変身しようとする。

 

「・・・・アイツかしら」

 

小さく呟くと、〈贋造魔女<ハニエル>〉の鏡を自分に翳す。

すると七罪はーーーー琴里に変身した。

この施設を歩くのに、最も適した人物だと、これまでの皆の様子から考察したのだ。

しかしあれだ。こんな可愛い髪型のエースのツインテール。よほど自分に自信が無いとできない髪型だ。七罪はこの髪型が大嫌いだ。自分が国家権力者に変身し、法改正をしてツインテールを禁止の憲法を定めたいと思った程だ。・・・・が、背に腹は変えられない。あざといツインテール娘に変身するのは不本意極まるが、ここは能率優先だ。

 

「おっと、忘れていた」

 

七罪は目立たない位置のボタンを1つ引きちぎり、天使に翳すと、いつも琴里か舐めている小さな棒付きキャンディに変身させた。

 

「ま、こんな所かしらね。さて、と・・・・」

 

七罪は天使を消すと、通路を歩き出した。

そして、改めてこの施設を眼球運動だけで観察しながら、薄ら寒い悪寒が背中を走る。

これだけの設備を備えられるなど、士道達の背後には、何らかの組織か、巨大な力を持った支援者が付いているのだろう。その支援者の目的が分からない。まさか、精霊の自分を捕らえて実験動物にするのだろうかと、かんがえたのだ。

そしてソコで、〈フラクシナス〉のクルーの椎崎と出くわし、琴里に成りきって色々と聞き出した。

士道達の目的が、自分の霊力封印する事とドラゴンが自分の霊力を食べるからだと。

 

「(偽善者め・・・・!)」

 

それを聞いて七罪は、士道に対して毒を吐いた。

別れる際に椎崎から、十香達が休憩エリアに来ている事を知り、そちらに向かい、ソコで十香と四糸乃&よしのんに、七罪の事を悪し様に聞き出した。きっと陰口を叩くに決まっていると考えていたがーーーー。

 

「何を言うのだ。そんな事なかったぞ。服を選ぶのもとても楽しかったしな!」

 

「はい・・・・七罪さん、きれいでした・・・・」

 

『いやー、士道くんのメイクも凄かったねー。今度よしのんもやってもらおうかしらん』

 

十香が明るい顔で言い、四糸乃&よしのん(腰をウッフンとくねらせるポーズ)も同意するように頷いた。

 

「だ、だって・・・・そんな・・・・それじゃあ・・・・」

 

七罪は動揺して目を泳がせ、身体が小刻みに震える。

ーーーーこの少女達は、本心から、こんな事を言っている。

そんな七罪のアイデンティティにヒビを入れるほどの衝撃だ。

色々と十香達がこんな事を言う理由の可能性を考えるが、そのどれも、彼女達の笑顔の前には、虚しく消えていった。

 

「う、嘘よ。どうして・・・・」

 

と、琴里を演じるのを忘れて指先を震わせる七罪の後ろから、八舞姉妹と美九がやって来た。

七罪は再び琴里を演じて、自分を悪し様に言うが、3人は怪訝そうに眉を寄せて。

 

「一体何があった琴里。月の毒に狂うには、些か時間が早いぞ」

 

「怪訝。琴里とは思えない言葉です」

 

「七罪ちゃんをそんな風に言っちゃダメですよー。あんまり度が過ぎると、私も怒っちゃいますからねー!」

 

美九が腰に手を当ててプンスカ! と頬を膨らませる。

七罪は彼女らの反応に、心臓の鼓動が早くなる。

七罪は琴里に化けている事を忘れて、感情のままに、自分は悪い精霊だと叫ぶ。

十香達は戸惑いながらも、「うーん・・・・」と唸り、美九は確かに怖い思いをされたと言うが、

 

「でもぉ・・・・それを言ってしまったら私も結構やらかしちゃいましたしー・・・・水に流そうとか、そう言う気はありませんけど、少なくても私は、七罪ちゃんと仲良くしたいと思ってますよ?」

 

「おお! 私もだぞ!」

 

「わ、私も・・・・です。きっと・・・・仲良くできると、思います」

 

『話によると、変身先はよしのんを選んだって話じゃなーい? いやー、違いの分かる女だよねー』

 

「ふん、まあ、我もあそこまで追い詰めた剛の者よ。軍門に置く価値はあろうて」

 

「首肯。見所があります」

 

美九に同調するように頷く十香達。

 

「・・・・・・・・ッ!」

 

七罪は言葉を失い、よろめくように後ずさると、そのまま皆の顔を見ずに、休憩室を出ていった。

もう、頭の中がグシャグシャで、ギリッと奥歯を噛み締める。

 

 

ー十香sideー

「どうしたのだ琴里は?」

 

十香達が首を傾げると、とりあえず琴里の様子が可笑しいと、“ある人物に連絡したのだった”。

 

 

 

 

ー士道sideー

 

『・・・・ふむ、ふむ・・・・成る程な。分かった。こっちでも少し話をしてみる。心配は無用だ』

 

「どうした?」

 

『いや、たいした事ではない』

 

士道と思念体のドラゴンは、七罪の地下施設にある宿泊施設に泊まり込もうと、琴里に話す為に廊下を歩いていた。

ドラゴンが相づちしていたのを訝しそうにする士道が廊下の曲がり角と、胸元にドン、という軽い衝撃を感じた。

 

「おっと」

 

視線を落とすと、琴里がいた。

 

「おう、琴里」

 

「・・・・・・・・」

 

『(・・・・あぁ)』

 

士道が小さく手を上げても、琴里は陰鬱な雰囲気で士道を一瞥した。

それから、七罪を部屋から出して、皆で食事をしようかと言うと、琴里は一瞬ポカンとなるが、すぐに唇を歪め、“霊力を封印して、七罪から力を奪おうとしている”と言った。

士道は眉をひそめる。

 

「何言ってんだよ。霊力を封印して、精霊を安全に、幸福に暮らさせるのが〈フラクシナス〉の目的だろう」

 

『我も霊力を食べる時は、本人からの了承が得られない場合は手を出さん』

 

「え・・・・?」

 

「それにーーーー好感度だけの為じゃなくてさ、ほら、いくら隔離状態とは言え、1人でご飯ってのは寂しいだろ。皆も七罪ともっと話したいだろうし」

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・ま、我も正直、〈ウィッチ〉には色々と教えてやりたいと思う』

 

「え・・・・?」

 

ドラゴンは尻尾で士道の頭をポンポンと叩く。

 

『コレは見ての通り、頭の中はいつも春うららのお花畑。人間は皆イイ人ばかりだぁ~と言う性善説を盲信し、人間の綺麗な処ばかり見て、汚い処は見ようとすらしない、いつも鼻水をプラプラ垂らして日々を能天気にお気楽にマヌケ面さげて生きている世間知らずの恥知らずだ』

 

「「ソコまで言うか(言うの)!?」」

 

士道と琴里が同時に言う。

 

「が、〈ウィッチ〉もある意味では似ている」

 

「「えっ?」」

 

突然七罪の事を話すドラゴンは、琴里の頭を爪で傷つけないように器用に、優しく、慈しむように撫でる。

 

「コレが人間の綺麗な処しか知らないならば、〈ウィッチ〉は人間の汚い処しか知らない。だからこそ、汚い人間しか見てこなかった彼女に教えてやりたいのだーーーー世の中には、打算抜きで誰かと仲良くしたいと、手を取り合いたいと思う、救い様の無いお人好しがいるって事をな」

 

「・・・・・・・・」

 

「琴里?」

 

士道は目を見開いた。何故なら、琴里が、目からポロポロと大粒の涙を溢し始めたからだ。

頬と目を真っ赤にし、肩を小刻みに震え、時折ヒックとしゃっくり上げる。

気丈な妹の異変に、士道は戦慄する。

 

「お、おい、どうしたんだよ! 俺何かしたか!?」

 

「うるさい! 死ね! ばかぁぁぁっ!」

 

「おい、琴里!?」

 

大声で叫んだ琴里は袖で涙を拭いながら廊下を走っていった。士道が慌てて後を追うが、曲がり角を曲がった所で、琴里の姿が消えていた。

 

『ふんっ!』

 

「うわっ!? (ゴン) ゴッグっ!?」

 

ドラゴンが尻尾で切れの良い足払いをかけると、士道は後頭部を強かに床にぶつけて倒れると、痛みに悶えるように頭を押さえ、ブリッジするようにのけ反った。

 

「な、何すんだよっ? ドラゴン・・・・!」

 

『うるさい。もう少しで踏み潰す処だったぞ』

 

と、ソコでドラゴンが床に落ちている、『包装を解いていないチュッパチャプス』を拾った。

痛みに堪える士道のポケットのスマホが震え始め、士道はそれに出ると、琴里の慌てたような声が響いた。

 

《士道、緊張事態よ。今そっちの管理室から連絡があってーーーー七罪が、部屋から逃亡したわ》

 

「な・・・・!?」

 

士道が頭の痛みと先ほどの琴里の様子も忘れて飛び起きた。

 

 

 

 

 

 

士道や十香達、そして椎崎の証言から、七罪は琴里に化けている事が分かり、機関員総出で地下施設をくまなく捜索したが、結局七罪は見つからなかった。

地上に戻った士道はマシンウィンガーで1時間以上当てもなく七罪を探している途中、自分達の盲点として面影堂に隠れているのではと思い、一応立ち寄ってみた。

 

「そうか・・・・十香ちゃんから聞いてはいたが、彼女は逃げちゃったか」

 

「・・・・おっちゃん。俺、無理矢理過ぎたのかな? 七罪にただの1度も笑顔を見る事ができなくて。俺達が何をしても七罪は嫌がって。ここに七罪を悪く言うヤツはいない。七罪を虐めるヤツはいない。それを根気よく伝えれば、七罪も心を開いてくれると思ったんだけどさ」

 

「・・・・彼女は、七罪ちゃんは、俺達が想像しているよりも、辛い思いをしてきたんだと思う」

 

輪島のおっちゃんの言葉に、士道は首を傾げる。

 

「え?」

 

「多分だけど、その子は『他者からの優しさ』、『暖かさ』、『温もり』、『親愛』、『友愛』、およそ人間が他者から与えて貰える『善意』を、『他人を信じる心』と言うーーーー“そんな当たり前の事を知らずに生きてきたのかも知れないな”」

 

「そんな事が・・・・」

 

他者から向けられる『善意』を知らない。そんな人間がいるのかと、士道は輪島のおっちゃんの話に少し困惑した。

 

「良いか士道。世の中の皆が、自分と同じだとは限らない。もしかしたら、七罪ちゃんは、皆が自分に向けてくる優しさに戸惑い、どうすれば良いのか、本当に自分を傷つけない人達なのか分からなくて、離れたんだと思うぞ」

 

「じゃ、どうすれば良いんだよ・・・・」

 

「伝え続けるしかない。自分達は絶対に七罪ちゃんを傷つけない。虐めない。七罪ちゃんと仲良くなりたい。七罪ちゃんの友達になりたい。その想いをぶつけ続けるしかない。例え七罪ちゃんから拒絶されても、自分達は七罪ちゃんと手を取り合いたいと、伝えるしかないんだ」

 

「・・・・・・・・」

 

「士道。お前は七罪ちゃんの、何になりたいんだ?」

 

「俺はーーーー七罪の・・・・っ!」

 

そう言うと、士道は立ち上がり、天井に顔を向け、虚空に向かって声を上げる。

 

「七罪! もし聞こえているなら聞いてくれ! 俺達はお前を絶対に傷つけない! 七罪と友達になりたいんだ! でも! お前が本気で嫌なら仕方ないかも知れない! でももしお前が! 俺達と友達になりたいなら! それを望むなら! 俺がお前のーーーー『最後の希望』になる!!」

 

が、そう叫んでも、沈黙しかない。

 

「伝わった、かな?」

 

「分からん。だが、伝える為にも、七罪ちゃんを探してこい」

 

「・・・・ああ!」

 

士道はそう返事をすると、面影堂を出ていった。

 

「・・・・・・・・ちょっと難しいお嬢ちゃんだな」

 

輪島のおっちゃんは、士道の後ろ姿を見ながら、フッと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

そして士道がマシンウィンガーを走らせていると、自宅が見えてきた。

もしかしたら、七罪が来ているのではと、士道はバイクを停めて門を開け、鍵を取り出して扉の鍵穴に挿入した。

 

「・・・・ん?」

 

≪む・・・・!≫

 

しかし、士道は首を捻り、ドラゴンは身体を強ばらせた。

士道は、鍵を回したのに手応えがなく、不審に思いノブを引くと、何の抵抗もなく扉が開いた。

 

「もしかして七罪が・・・・(バシン!)いてっ! 何すんだよドラゴン!」

 

≪愚物めが。家の中に“ーーーーーーーー”がいるぞ≫

 

「・・・・は?」

 

 

 

 

 

 

士道はリビングの扉を開けると、ウィザーソードガン・ガンモードで、リビングに置かれたソファに腰かけた少女に、その銃口を向けた。

 

「・・・・!」

 

「ーーーー失礼、お邪魔していますよ」

 

銃口を向けられているのに、冷淡な態度で腰かけているのは、常に光を浴びているかのようなノルディックブロンドと碧眼。ーーーーDEMインダストリーの魔術師<ウィザード>、エレン・メイザースその人だった。

 

 

 

ー美九sideー

 

「七罪ちゃーん! 何処ですかぁ!?」

 

「くくく、姿を眩まそうと無駄ぞ。我が魔眼は全てを見通す!」

 

「捜索。必ず見つけます」

 

七罪が逃げた事を聞いた精霊達も捜索に乗り出した。効率を考え、美九と八舞姉妹。十香と四糸乃&よしのんと別れて行動していた。

そして、その3人に近づく黒服にサングラスの女性が3人現れた。

 

「ぬ? 何者ぞ?」

 

「あらぁ! 可愛らしいお嬢さんが3人も! 私のファンですかぁ?」

 

「警戒。美九。そのファンの方達が夕弦達に物騒な気配を放っています」

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

3人の女性達はニンマリと笑みを浮かべながら、殺気を放っていた。

 

 

 

 

ー十香sideー

 

「うむぅ。七罪は何処に消えたのだ?」

 

「み、見つかりません、ね?」

 

『う~ん。中々やるねぇ』

 

「ぬぅ・・・・っ! ゾワゾワするぞ!」

 

十香と四糸乃&よしのんも、七罪の捜索をしていると十香がゾワゾワの気配を感じて鋭い視線を向けるとーーーー。

 

「久しぶりぃ、十香ちゃん♪」

 

ソラこと、グレムリンが、1人の黒服にサングラスを着けた女性を連れて現れた。

 

「む? 貴様・・・・誰だ?」

 

「(カクン)あら、酷いよ十香ちゃ~ん。士道君が死にかけた所を、一緒に見た仲じゃないかぁ」

 

「?・・・・ハッ、貴様、ファントムだな!」

 

「え?」

 

『ええっ!? ファントム!?』

 

漸く思い出した十香が視線を鋭くする。

 

「ふふふ、ファントムのグレムリン。でも、ソラって呼んでね、四糸乃ちゃん♪」

 

グレムリンと女性は、その身体を変貌させたーーーー。

 

 

 

ーメデューサsideー

 

『フン・・・・・・・・』

 

そして、空の上で魔法陣に乗って浮遊するメデューサはーーーー眼下にある〈フラクシナス〉を見下ろして、手のひらから魔力の塊を生み出した。




次回、大激戦の予感!
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