デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
ー士道sideー
天宮市上空では、真紅の閃光となった〈仮面ライダーウィザード・オールドラゴンスタイル〉と、白金の閃光となった〈仮面ライダーヘルキューレ〉が、超高速で飛翔し、既に天宮市の上空を何周も回りながら、幾度もぶつかり合っていた。
「うおおおおおおおっ!!」
「はぁああああああっ!!」
ウィザード<士道>がドラゴンクロウを振るうと、ヘルキューレはイージスで防ぎ、ダーインスレヴをヘルキューレ<エレン>が振れば、ウィザード<士道>はドラゴンクロウで防ぐ。
『カアアアアアア!!』
ドラゴンが炎を吐くと、ヘルキューレ<エレン>はそれを回避すると、イージスから光弾を連続で発射するが、ウィザード<士道>はドラゴンテイルで弾き飛ばす。
「つぁあっ!!」
「くぅぅ!」
ヘルキューレがさらに加速し、ウィザード<士道>もさらに加速してぶつかり合う。
『くらえっ!!』
ドラゴンがドラゴンウイングから緑色の雷撃を放つが、ヘルキューレ<エレン>はイージスを構えると、その前に魔法陣が展開され、雷撃を吸収した。
「なにっ!?」
『ちぃっ! 〈プリンセス〉達の攻撃もあれに防がれていたが・・・・っ! 回避だ!』
ドラゴンが叫ぶと同時に、ヘルキューレはイージスをウィザード<士道>に向けると、吸収した雷撃をそのまま跳ね返した。
「うわぁああっ! これが、十香達が言っていたヘルキューレの盾かっ!?」
そう。ドラゴンがヘルキューレ<エレン>と戦った十香達から、既に情報を得ていた。
【エレンが持っていた盾が私達の攻撃をこう、ギュゥゥゥゥンとして、バババババ! ときて、ドドォーン! と、したのだ!】
【あ、あの、皆さんの攻撃を盾が防いで・・・・】
【そのまま跳ね返されたのよ・・・・】
【くぅっ! 我ら八舞の風を・・・・!】
【屈辱。利用されました・・・・!】
【私の演奏も通じなかったんですよぉ!】
あの盾の前では、斬擊も、氷雪も、火炎も、竜巻も、音楽もーーーーそして雷撃も、あらゆる攻撃が吸収され、跳ね返されるのだ。
「うおわぁっ!」
「貰いました」
[ダーインスレヴ デッドエンド]
「はああああああああっ!!」
自分の雷撃を回避して冷や汗をかいたウィザード<士道>に、ヘルキューレ<エレン>は専用武器『ダーインスレヴ』の柄にリングを押し込むと、ダーインスレヴの刀身に魔法陣が幾つも展開され、刀身が大きく伸びると、それを思いっきり振り下ろした。
ウィザード<士道>はそれを、両手のドラゴンクロウを交差させ、ガリガリガリガリガリガリガリガリ! と、火花を盛大に散らせながら防ぐ。
「うおああああああああああああああっ!!」
が、あまりの威力に押し飛ばされ、天宮市郊外の森へと一直線に落下した。
≪立て直せっ!!≫
「ぐぅっ、うぉおおっ!!」
クルンと体制を立て直したウィザード<士道>は森の地面を削り、失速するのを待つ。
「逃がしません」
「ちぃっ!」
が、ヘルキューレ<エレン>が追撃してきて、ウィザード<士道>と再び爪と剣を交えた。
「ぬぅああああああああっ!!」
「はぁああああああああっ!!」
ウィザード<士道>は地面スレスレを飛翔しながら、ヘルキューレ<エレン>はそれを追って飛翔しながらぶつかり合い、その度に起こる衝撃波が森の木々を凪ぎ倒し、近くにいた冬眠しようとしている動物や虫達が必死に逃げていた。
漸くウィザード<士道>が止まると、木々が倒され、森の一角に開けた箇所を作り出してしまった。
「これなら!」
ウィザード<士道>が重力場をヘルキューレ<エレン>の上に生み出し、押し潰そうとした。
「ふん!」
が、ヘルキューレ<エレン>はダーインスレヴを力強く振るうと、重力場を切り裂いた。
「マジかよっ!?」
『本当に人間かっ!?』
「私のただの人間ではありません。『人類最強の魔術師<ウィザード>』です」
『・・・・・・・・その『最強』の称号に泥を付けられた感想はどうだ?』
「・・・・・・・・ええ、最低で最悪ですね。だからーーーー」
エレンは魔力をあげると、身体の胸元と両肩、両腕、両足に付けられた宝石が淡く光る。
「あなた方を倒して、泥を拭い取ります!!」
「くっ!」
ヘルキューレ<エレン>が迫ると、ウィザード<士道>はドラゴンテイルで地面を叩き、巨大な霜柱を作り、ヘルキューレ<エレン>を牽制する。
「無駄です!」
ダーインスレヴが炎を纏うと、霜柱を切り裂く。
「おぉっ!」
「はぁっ!」
ドラゴンクロウに炎を纏わせ、ヘルキューレ<エレン>の炎の幾度も交える。ヘルキューレ<エレン>の剣の動きは凄まじく、素人より少しマシになった程度の士道の運動神経と反射神経では対処できないが、
『(右! 上! 左斜め上! 下! 右斜め上! 左斜め下! 正面! 左! 右斜め下! 上から来ると見せて正面!)』
と、ドラゴンが念話で指示を出すと、ウィザード<士道>は頭で行動するよりも早く反射的に動き、ヘルキューレ<エレン>の剣戟をさばいた。
「りゃぁああああああああ!!」
「はぁああああああああっ!!」
その度に火が飛び散り、足元の倒れた木々に引火すると、凄まじい勢いで燃え上がる。
「っ! うぉらあっ!!」
「ふっ!!」
今度はドラゴンクロウにそれぞれ、氷雪と流水を纏わせ振るうと、ダーインスレヴに冷気を纏わせぶつかり合うと、周囲に氷水が暴雨のように降り注ぎ、炎を鎮火させる。その際に起こった水蒸気が僅かに二人の視界を遮る。
「これなら!」
ウィザード<士道>がドラゴンクロウに風を纏わせて振るうが、
「はぁぁっ!!」
ヘルキューレ<エレン>もダーインスレヴに風を纏わせて応戦すると、突風が巻き起こる。
「たぁああああああああああ!!」
「ふぅうううううううううう!!」
ぶつかり合う度に風が荒れ狂い、2人を中心に竜巻が発生した。
「うぉおおおおおおおおおお!!」
「くぅうううう!? なっ!」
ウィザード<士道>が渾身の魔力を込めた一撃がヘルキューレを後ろに吹っ飛ばすと、ヘルキューレが竜巻に呑み込まれた。
「ぬぅああああああああああああ!!」
ヘルキューレ<エレン>が何とか体制を立て直して着地する。その際に僅かな隙が生まれーーーー。
≪今だ!≫
「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
ウィザード<士道>がドラゴンクロウを地面に叩きつけると、地面が隆起し、ヘルキューレ<エレン>を拘束した。
「くっ!」
「これで、フィナーレだっ!!」
『行くぞ!』
ウィザード<士道>とドラゴンが魔力を高めると、空中に大きな魔法陣が現れ、赤、青、緑、黄の魔法陣を描くと、それぞれの色のドラゴン達が顕現すると先行し、岩の隆起に拘束されたヘルキューレ<エレン>をさらに拘束する。
「これは、フェニックスを倒した・・・・!」
『「ハァアアッ!!」』
飛び出したウィザード<士道>。ヘルキューレ<エレン>は迫り来るウィザード<士道>を見据えると、魔力を最大限ですまで高めた。
「ぬぁあああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」
バリィイイイイイイイイインンッ!!
再び身体に付けられた宝石が目映く光ると、拘束していた魔法陣を破壊した。
「終焉です!」
[スレイプニル デッドエンド]
ドライバーにリングを押し込むと、音声が響き、白金の魔法陣が前方に展開され、ヘルキューレは右足にダーインスレヴを装備させると、その足を突き出す形で、キックの体制に入り、魔法陣に向かって切り揉み回転しながら突き進む。
「はぁああああああああっっ!!」
魔法陣を潜るとヘルキューレ<エレン>は光のオーラに包まれ、ドリルのように回転しながらウィザード<士道>に向かう
「たぁあああああああああ!!」
『行けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』
ウィザード<士道>の蹴りを叩きつける体制になり、ヘルキューレ<エレン>とぶつかった。
【ドラゴンストライク】
【ストロングデッドエンド】
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンッ!!!!
真紅の竜と白金の剣が、激しくぶつかると、激しい爆発が起こり、開けた箇所から半径数百メートルが、爆発の余波で木々が激しく揺れたーーーー。
ー琴里sideー
そして、時はウィザード<士道>とヘルキューレ<エレン>が戦い始めた時間に遡り、〈フラクシナス〉近くの空域で、メデューサと空中戦を繰り広げていたイフリート<琴里>の耳に、クルー達からの報告が聞こえた。
「何ですって?! 士道がエレンと交戦しているっ!?」
《はい! しかも、司令達の家から飛び立ったようです!》
「(っ・・・・まさか! エレンが家に侵入していたって事!?でも、あり得なくないわ、DEMがその気になればいつだって私達に奇襲を仕掛けてくる事は十分あったわ・・・・!)」
カマエルブレイカー・バズーカモードでメデューサを牽制しているイフリート<琴里>は、仮面越しに渋面を作った。
既に十香達の方もファントム達と交戦状態になっている事も報告されている。完全に士道と引き剥がされた。すぐにでもメデューサを倒したい所であるが、忌々しくも、流石は幹部級。その実力は精霊である自分達とも互角だ。
「っ! 士道!!」
ふと、視界の端に、真紅の光の線と白金の光の線が何度もぶつかりながら飛んでいる姿を捉えた。正体は分かっている。ウィザード<士道>がヘルキューレ<エレン>と交戦しているのだ。
すると箕輪から別の報告が上がった。
《司令! 天宮市上空! 大気圏外から、不審な人口衛星が出現しました!》
「えっ?」
さらに幹本からの報告が入る。
《微かにですが、魔力反応を検知! しかもこれは・・・・爆発術式・・・・?》
「何ですって?」
イフリート<琴里>が眉根を寄せると、メデューサが動きを止めて遥か上空を見上げて呟く。
『ふん。まさか、“こう言う手を打ってきたか”』
「・・・・何を知っているの、メデューサ」
メデューサの呟きが聞こえたイフリート<琴里>が問うが、メデューサの冷笑を浮かべて口を開く。
『人間達の悪意の塊が、間もなくこの街に落ちてくるぞ』
「っ!」
メデューサの言葉に、イフリート<琴里>は息を呑んだ。まさか、如何に手段を選ばないDEM社でも、そんな馬鹿な手を使うのか・・・・。と、ゴクリと唾液を飲み下したイフリート<琴里>は、インカムでクルー達に言葉を発する。メデューサは冷笑を浮かべたままこちらを見ているだけだった。
《し、司令・・・・いかがなさいましたか?》
「もし・・・・もしもよ。天宮市に人工衛星が落ちて来たりしたら、どうなると思う?」
《『・・・・・・・・ッ!!』》
イフリート<琴里>の言葉に、クルー達全員が、一斉に言葉を失った。
そして、ちょうどその時、ウィザード<士道>がヘルキューレ<エレン>によって、天宮市郊外の森に叩き落とされのだ。
ー士道sideー
「ぷはっ! し、死ぬかと思った!!」
≪ギリギリだったがな・・・・!≫
最後の技のぶつかり合いで、開けた箇所から森の木々を薙ぎ倒しながら離れたウィザード<士道>は、漸く身体が動けるくらいまで回復し起き上がる。
スタイルはフレイムドラゴンに変わっている。どうやらオールドラゴンを維持する魔力も使ってしまったようだ。鎧には汚れや傷が無数に付いていた。
「くそっ! ドラゴン、オールドラゴンには!?」
≪かなり魔力を使った。今から回復させるから、十数分ほど時間を稼げ≫
そう言ってドラゴンが回復に集中する。ウィザード<士道>は痛む身体を引き摺りながら、爆心地に向かうとソコにはーーーーまるで隕石でも落下したような、はたまた空間震が起きたような巨大なすり鉢状のクレーターを作られていた。
当然、ヘルキューレ<エレン>の姿は無かった。
「や、やった、のか・・・・?」
≪アホたれ。それはフラグだ≫
「あ・・・・」
ウィザード<士道>がそう呟くと、自分がいる所の反対側から、ヘルキューレ<エレン>が姿を現した。
鎧のアチコチの箇所が土汚れや傷だらけになっており、向こうも無事とは言えないようだった。
ーエレンsideー
起き上がったヘルキューレ<エレン>は、クレーターが作られた場所に行き、自分と反対側から武器を構えようとしているウィザード<士道>を見つけた。
「ーーーー生きて、いましたか・・・・しぶとい、ですね・・・・!」
「それは、こっちのセリフ、だってんだよ・・・・!」
お互いに肩で息をしており、体力も魔力も相当に消費しているのが分かる。
ウィザード<士道>がウィザーソードガン・ソードモードとガンモードを構え、ヘルキューレ<エレン>もダーインスレヴとイージスを構える。
「(・・・・ヘルスレイプニル。状態は?)」
≪顕現装置<リアライザ>。先ほどの戦闘の影響で不具合を生じており、機能低下。魔力。20%以下に低下。現在回復中。戦闘可能になるまで、約852秒を必要とする≫
かなりの魔力を消費したのか、14分と2秒を必要としていた。
ー士道sideー
そして、限界を迎えようとしているヘルキューレ<エレン>と、同じように疲弊しているウィザード<士道>は。
「(どうする、ドラゴン? まだ回復しきれてないんだろう?)」
≪無様でも良いから逃げ続けろ。ヤツとて魔力を相当量に消費している。オールドラゴンになれるまで回復するまでの間、どうにか凌げ≫
「(了解・・・・!)」
ウィザード<士道>は、どうにかして時間を稼ごうと思案していた。実はヘルキューレ<エレン>も同じ事を考えており、2人が命懸けの時間稼ぎを考えていると、
「っ! 失礼・・・・」
ヘルキューレがピクリと身体を揺らした後、随意領域を展開して、仮面の耳元に手を当てた。
「ーーーーはい、私です。何かありましたか」
「・・・・なんだ?」
≪通信でも入ったのではないか?≫
「・・・・なんですって?」
一体どんな情報が入ったのか、ヘルキューレ<エレン>の声が険しくなっているようだった。
「・・・・ええ、ええ。分かりました。こちらで対応します」
そう言って通信を切ったヘルキューレは、数秒の間逡巡のようなものを見せてから、ダーインスレヴとイージスを消した。
「なに・・・・?」
訝しそうにするウィザード<士道>に、ヘルキューレ<エレン>が声をかけた。
「運の良い人です」
「は・・・・?」
「次があれば必ず、あなたのその首を貰います」
ウィザード<士道>がポカンとしていると、ヘルキューレ<エレン>は空へと飛翔し、飛んでいってしまった。
「た、助かった、のか・・・・?」
≪・・・・どうやら、そのようだ≫
「ぷはぁああ~~!!」
緊張感を吐き出したウィザード<士道>の身体に、疲労が一気に襲ってきたのかその場にへたり込む。
と、そこでーーーー。
≪ん? 何だ〈イフリート〉・・・・・・・・何っ?≫
「どうした?」
≪小僧。どうやら面倒な事が起こっているぞ≫
「えっ?」
どういう事なのかと聞くと、携帯が着信音を響かせている事に気づき、『コネクト』で取り出すと、携帯の画面が戦闘の影響で皹が入っており、そこに琴里の名が表示されていた。
仮面を解除して電話に出ると、琴里の慌てた声が響いた。
《士道! 生きてるっ!?》
「琴里か!? そっちは大丈夫なのか!?」
《質問を質問で返すなっ!・・・・まぁ、何とかね。こっちにメデューサが襲撃を仕掛けてきたのよ》
「メデューサが! それでヤツは!?」
《今さっき転移魔法で去っていったわ。エレン・メイザースの方は?》
「何か、通信が入ったのか、トンズラしやがった」
《・・・・・・・・士道。落ち着いて聞きなさい》
琴里は士道の言葉に少し黙ると、深刻そうな声で言うと、ただならぬ様子を感じて眉根を寄せた。
「一体、何があったんだ?」
《・・・・ええ。にわかには信じられないだろうけどーーーー》
琴里は、そこで呼吸を整えるようにしてから、後を続けた。
《今から数十分後、天宮市に、人工衛星が落下してくるわ》
それは、外道に落ちぶれた愚か者達によるーーーー“悪意の塊”だった。