デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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ありがとうと驚きの展開

ー士道sideー

 

[[[[チョーイイネ! キックストライク! サイコー!]]]]

 

[マジイイネ! サンダルフォン! ステキー!]

 

[マジイイネ! ザドキエル! ステキー!]

 

[マジイイネ! カマエル! ステキー!]

 

[[マジイイネ! ラファエル! ステキー!]]

 

[マジイイネ! ガブリエル! ステキー!]

 

音声が響くと同時に、ウィザード<士道>がそれぞれのエレメントを纏い、精霊達はそれぞれの魔法陣を通過して、プリンセス<十香>がサンダルフォンブレードをマスコットに向けて投擲しようと構え、ハーミット<よしのん>とイフリート<琴里>が吹雪と火炎を纏い、ベルセルク<八舞姉妹>が竜巻を起こし、ストールが二人を包み螺旋状になり、ディーヴァ<美九>は五線譜が眼前に現れ、マスコットを拘束し、その五線譜の上に乗り、滑るように進んだ。

そして、全員がキックの態勢に入り、マスコットへと変貌した人工衛星へと向かう。

 

「七罪! 来てくれ!」

 

『「ついてこい〈ウィッチ〉!」』

 

「っ! 〈贋造魔女<ハニエル>〉!ーーーー【千変万化鏡<カリドスクーペ>】」

 

呼ばれてビクッと身体を震わせた七罪が、右手に握っていた鏡の天使を掲げて、叫びをあげた瞬間。

七罪が掲げた箒型の天使に変化が現れた。

〈贋造魔女<ハニエル>〉全体が、磨き上げられた鏡面のような不思議な色に覆われたていき、天使自身が、粘土のようにそのシルエットを変貌させていく。

そして、数瞬の後。

 

「え・・・・!?」

 

七罪の手に収まった“ソレ”を見て、ウィザード<士道>は間の抜けた声を漏らした。

それは一振りの『剣』。

七罪の身の丈はありそうな幅広な夜色の刀身。金色に輝く鍔に、漆黒の柄。

そうーーーーサンダルフォンブレードが、そこに顕現したのだ。

 

「士道に何してくれてんのよ・・・・! コイツに悪戯していいのはーーーー私だけなんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

七罪はそう叫ぶと、プリンセス<十香>のように、サンダルフォンブレードをマスコットに向けて投擲し、その柄を押すように蹴撃を叩き込み、一直線にマスコットに向かっていく。

するとその刀身に光が溢れ、夜色のエネルギーではなく、緑色のエネルギーの刃となる。

 

「良し、皆行くぞ!!」

 

『おぉぉーーーーー!』

 

10人の〈仮面ライダー〉と、1人の精霊が全力全開で放つその攻撃は、色とりどりのエネルギーに包まれ、ターゲットの随意領域<テリトリー>に叩き込んだ。

 

「「「「おぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」

 

『はぁああああああああああああっ!!!』

 

そして、マスコットの周囲に沿うように張られていた不可視の壁は、ヒビが入りーーーー粉々に砕け散った。

 

『ストライクウィザード・フレイムドラゴン』

 

『ストライクウィザード・ウォータードラゴン』

 

『ストライクウィザード・ハリケーンドラゴン』

 

『ストライクウィザード・ランドドラゴン』

 

『スラッシュエンド』

 

『フリージングエンド』

 

『インフェルノエンド』

 

『スクリューエンド・テンペスト』

 

『スクリューエンド・ストーム』

 

『ミュージックエンド』

 

『スラッシュエンド(七罪ver.)』

 

全員の必殺技の文字が滅茶苦茶被りまくったが、随意領域<テリトリー>さえ失ってしまえば、巨大なだけのマスコットを守るものなど何もない。

必殺の蹴撃の数々を叩き込む。

 

『ラブラブ~~~最強~!』

 

ーーーーポンッ!!

 

コブラの被り物をしたゆるキャラは、そんな台詞の吹き出しを出し、随意領域<テリトリー>を砕いた衝撃の余波によって、漫画のようなコミカルな音を立てて弾け飛ぶとーーーー無数のチュッパチャプスが、天宮市に雨のように降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、どうにかなったわね・・・・」

 

「士道・・・・さん」

 

「くく、我らにとっては造作なし」

 

「首肯。任務完了です」

 

「あぁん、だーりんカッコいいですー」

 

人工衛星を破壊した後。地上に降りて変身を解除した一同が、士道の元へと集まった。

士道は全員無事なのをとりあえず安堵すると、皆に向かって深々と頭を下げ、琴里も頭を下げた。

 

「皆・・・・ありがとう。俺達だけだったら・・・・街の皆を助けられなかった。本当に、ありがとう」

 

「ありがとね、皆」

 

そう言うと、居並んだ少女達は、一斉に首を振った。

 

「言ったろう、シドー。我らは皆、お前に助けられたのだ」

 

「私達も、この街が・・・・大好きです、から」

 

『うふふー、そう言う事。まあこのくらいは手伝わせてよー』

 

「ふ・・・・まあ、もとより御主がいなければ、我らは今ここにおらぬのだ」

 

「同調。この程度、恩返しにもなりません」

 

「そうですよー。むしろだーりんや琴里さんに頼られるだなんて、嬉しすぎて新曲の歌詞が書けちゃいそうなレベルです」

 

そう言って、皆がニッと微笑んでくれた。

だが、そんな中、1人だけ何も言わず、その場から立ち去ろうとしている者が、いたーーーー七罪だ。

 

「七罪!」

 

「・・・・・・・・っ!」

 

士道が呼び止めると、七罪は盛大に肩をビクッと揺らしてその場に立ち止まり、そろそろと士道達の方を向き、どこか怯えた様子でフンと鼻をならしてくる。

 

「・・・・な、何よ。あんな土壇場じゃなくてもっと早く出てこいよって? それとも、ずっと飴玉に変身してポケットに潜んでのが気持ち悪いって・・・・?」

 

相変わらずのネガティブ節に苦笑いした士道は、ふうと小さく息を吐いた。

 

「ーーーー無事で、良かった」

 

「え・・・・な、に・・・・言ってるのよ。私は・・・・勝手に隠れて・・・・あんたは、それで苦労して・・・・それ以前に・・・・私は、アンタ達に酷い事したし・・・・なのに、何で、何で・・・・」

 

士道の言葉に、七罪はその場に立ち尽くし、身体を小さく震わせ始め、段々と声には、嗚咽のようなものが混じり始めた。翠玉のような目からは、ポロポロと大粒の涙溢れ、段々と声が大きくなっていく。

 

「何よ・・・・何なのよ、アンタ達、揃いも揃って・・・・! 馬鹿じゃないの、馬鹿じゃないの・・・・!? 意味わかんない・・・・! 何で、なん、そ、に・・・・ッ!」

 

最後はもつ言葉になっておらず、頬に涙の道を作り、大声で泣き始めた。

 

「う、うぇ・・・・っ、っく、うぁ、あああああっ、うああああああああーーーーっ」

 

「お、おい、七罪・・・・」

 

≪小僧、身体を少し貸せ≫

 

[ドラゴライズ プリーズ]

 

まさか泣かれるとは思っておらず、ドラゴンが士道の身体を少し使い、自分を召喚させると、七罪の背中にまわり、優しくさすり、士道も十香達も、七罪を泣き止ませようとし始めた。

だが、七罪は泣き止まずーーーーさらに涙に濡れた声を響かせた。

 

「ご・・・・めんな、ざい・・・・っ、いっぱい悪い事して・・・・皆を困らせて・・・・ごめんなさい・・・・っ、皆が優しくしてくれたのに・・・・憎まれ口ばっかり叩いてごめんなさい・・・・っ」

 

しゃくり上げながら、それでも七罪は言葉を止めなかった。今まで心の中に鬱積していた感情を一気に放出するように、続ける。

 

「マッサージしてくれて・・・・嬉しかった・・・・、髪を切ってくれて・・・・嬉しかった・・・・、服を選んでくれて・・・・嬉しかった・・・・、お化粧してくれて・・・・嬉しかった・・・・っ、皆が可愛いって言ってくれて・・・・嬉しかった・・・・ッ!」

 

そしてずすっと鼻水を啜りーーーー。

 

「あんなに・・・・嬉しかったのに・・・・あの時、言えなくて・・・・ごめんなさい・・・・っ」

 

七罪が、充血した目で、士道の目を見てくる。

 

 

「・・・・ありが・・・・とう」

 

 

士道は目を丸くするが、すぐにフッと口元を弛め、七罪に向く。

 

「気にするな。こっちこそ、ありがとう。お前がいなかったら、今頃皆どうなっていたか分からない」

 

「・・・・それも気にしないでいい。先にお世話になったの、私だし」

 

「そっか」

 

『・・・・・・・・』

 

「分かってるよ・・・・!」

 

ドラゴン(思念体)が尻尾の先で脇腹をツンツンと突っつくと、士道は小さく息を吐き、七罪に右手を差し出した。

 

「え・・・・?」

 

「えーと・・・・その、あれだ。全部終わったら好きな所に行って良いって約束だったし、もうお前を止めたりはできないんだけどさ。もし良かったらーーーー俺達、友達に・・・・なれないかな」

 

『我とも、なれないだろうか?』

 

「・・・・・・・・っ」

 

七罪が驚いたように息を詰まらせ、士道とドラゴン、そきてその後方にいる十香達を順番に見る。

そうしてから、ゆっくりとーーーー恐る恐るといった調子で、士道の手を取ると、コクリ、と頷き。

 

「う・・・・う・・・・う・・・・うああああああああっ、うああああああああっ」

 

そして再び、大粒の涙を流して泣き始めた。

 

「お、おい七(バシィイイイイインン!!) ぐぼぉあっれ!?」

 

尻尾ド突き(威力激強)が脳天に炸裂し、士道は珍妙な悲鳴を上げながら地面に突っ伏した。

 

『この女泣かせゴミ屑クソ蟲めが』

 

「ド、ドラゴン、お前な・・・・!」

 

「全く、また七罪を泣かしちゃって。あ、七罪。私とも友達になりましょう」

 

「琴里!」

 

「七罪ちゃん、私とも友達になりましょうよー」

 

「む! シドー、七罪をいじめてはいかんぞ。私も友達になるぞ!」

 

「あ、あの・・・・その・・・・わ、私も・・・・」

 

『よしのんもー! よしのんもー!』

 

「くく、士道に身柄を預けていては危険か。良かろう、七罪よ。特別に我が眷属にしてくれよう」

 

「首肯。士道にどのような変態的プレイを強要されるか分かりません。夕弦達がしっかりと守るべきです」

 

と、皆も七罪の周りに集まり始める。

 

「お、おい、お前ら! 俺が誤解される(バシィンッ!) ぐへっ!」

 

『黙ってろ。水を指すな』

 

たまらず声を上げて起きようとする士道は、またもや尻尾ド突き(威力強め)をおみまいされ、潰れた蛙のような悲鳴をあげる。

その様子を皆がカラカラと笑い始める。

ふと七罪の方を見やるとーーーー七罪もまた、頬に涙の跡を残しながらも、士道が初めて見るーーーーとても可愛らしい、笑顔を作っていた。

 

 

 

 

 

そしてその30分後、神無月からDEMの空中艦に逃げられたが、〈フラクシナス〉の損傷は軽微で済んだ事を告げられた。

ただ、転送装置は一時的に使えなくなり、地下施設に向かって歩いていく。

結局七罪はーーーー士道達と一緒に、〈ラタトスク〉に来てくれる事に決めたようだが、まだ霊力は封印できていないし、その旨を説明していない。変身能力を失うのを七罪が嫌がるのは想像できる。

 

《ま、〈ウィッチ〉しだいだがな》

 

ドラゴンが七罪の肩に乗りながら、士道に念話をしてきた。

が、しばらくして、前方の十香達に聞こえないように声をひそめて七罪が話しかけてきた。

 

「・・・・あの、さ」

 

「ん、どうした七罪」

 

「ちょっと・・・・聞きたい事があるんだけど、いい?」

 

「ああ、何だ?」

 

士道が答えると、七罪は無言のまま士道の袖を引っ張ってきた。

 

「わ、ちょっ、どうしたんだよ急に」

 

「良いから、ちょっと」

 

七罪は士道を引っ張ると、そのまま脇道に入り込んだ。そして、士道の顔をジッと見つめながら、神妙な面持ちで問うてきた。

 

「・・・・ねえ、士道」

 

「な、なんだ?」

 

ただならぬ様子を感じ、ドラゴンは七罪の肩から離れると、士道は緊張した。七罪はゴクリと唾液を飲み下してから続けてきた。

 

「私・・・・・・・・本当に、可愛い?」

 

「え?」

 

意外な質問に目を丸くしそうになったが、よく考えてみれば、士道が七罪に初めて会った時に、大人のお姉さんにの姿の時にされた質問と同じだ。

士道はフッと口元を綻ばせ、大きく頷く。

 

「ああ、勿論。ーーーー可愛いぞ、七罪」

 

「・・・・・・・・!//////」

 

七罪は顔を真っ赤にし、目を見開くと、口をモゴモゴさせながら続ける。

 

「・・・・今度」

 

「今度?」

 

「あの・・・・お化粧・・・・教えて、くれる・・・・?」

 

七罪が恥ずかしそうに顔を俯かせながら、辿々しく言って、士道は大仰に首肯した。

 

「ああ、良いとも。お前なならすぐに覚えられるさ」

 

「・・・・そっか」

 

士道の答えに、七罪は何やら納得したように小さく頷く。

そしてーーーー。

 

ちゅっ。

 

「・・・・!? ・・・・!?」

 

七罪が不意に手を伸ばし、士道の襟首を掴んでグイッと引っ張って、キスをしてきたのだ。

説明はしたいたが、不意討ちと言うか、心の準備ができていなかったので、思わず目を白黒させた。

 

『さて、と』

 

ドラゴンが士道の腰のチェーンから『ドレスアップリング』を取り外し、七罪の右手薬指に嵌めると同時に、七罪の纏っていた魔女のような霊装が、光と共に空気に溶け消えていった。

 

「わ・・・・っ!? な、何これ・・・・」

 

七罪が驚愕に染めるが、ドラゴンが右手を士道のドライバーに翳した。

 

[ドレスアップ プリーズ]

 

音声が響き、七罪の身体を魔法陣が通過すると、白に緑のフリルが付いたお姫様のようなドレスを纏った。

 

「わ! わ! 今度はなに!? 私聞いてない!」

 

「あ、ああ、霊装って言うのは、霊力でできている物らしくてな・・・・って、七罪? お前、何で霊力封印の事知ってーーーー」

 

「きゃーーーー!!」

 

と、士道が言いかけた所で、背後から美九の叫び声が聞こえてきた。どうやら、後ろにいた2人の姿が見えなくなっていた為、引き返したのだろう。美九だけでなく、十香に琴里、四糸乃や八舞姉妹の姿もある。

 

「七罪ちゃん! なんて、なんて可愛らしいお姿に! し、辛抱たまりましぇ~ん! いただきます!!」

 

「ひぃぃぃっ!!?」

 

まるで本能覚醒したかのように、目が妖しく光り、手をワキワキと動かし、鼻息荒くして、ベロベロと舌舐めずりさせる美九が、七罪に飛びかかろうとする。七罪は美九の様子に、身の危険を感じたのか、士道の背に瞬時に隠れた。

 

「や、やめるのだ美九!」

 

「お、落ち着いて、ください・・・・」

 

『とてもアイドルとは思えない顔だねぇ』

 

「こんな所で野生解放してんじゃないわよ!」

 

「し、静まれ! 静まりたまえ!」

 

「鎮魂。何故そのように荒ぶるのですか?」

 

と、十香達が荒ぶるケダモノと化した美九を押さえるが、美九はコーホー、コーホーと、奇妙な呼吸をしながら十香達を引きずりながら七罪に近づいていく。

 

「ま、待てって美九!」

 

『ステイステイ! 〈ディーヴァ〉、ステイ!』

 

士道とドラゴンも止めようとしているが、美九は止まらなかった。

 

 

 

 

ーマードックsideー

 

そしてその頃、DEMインダストリー英国本社会議室にて、天宮市でのウェスコット抹殺計画が、失敗した方を聞き、マードックは悲鳴のような声を上げ、他の取締役会の面々も顔を青ざめて、情けなく悲鳴を上げながら机を叩き、首謀者のマードックに責任転嫁していた。

しかしそれも無理からぬ事。

ーーーーアイザック・ウェスコットの暗殺失敗。

それ即ち、彼に向けた悪意と殺意が、そのままーーーー否、何倍にもなって己に返ってくるからだ。

計画の首謀者であるマードックにしても、周りの滑稽な姿を嘲笑う余裕はなかった。このままでは、マードックだけでなく、彼の一族郎党友人全てが、ウェスコットの悪意に晒されるのだ。

 

「・・・・・・・・」

 

しかしマードックは、天宮市に派遣していた大型空中艦〈ヘプタメロン〉(〈フラクシナス〉との交戦で僅かな損傷しかしなかった)に指示を出す。

 

「ーーーー最後の〈ハンプティ・ダンプティ〉がある筈だな!?」

 

そう。用心深いマードックが用意した〈ヘプタメロン〉に搭載している最後の一機、『サード・エッグ』だった。

衛生軌道上から落とす訳ではないから威力は劣る。

しかし、ウェスコットの真上に正確に爆撃する事ができれば、搭載された爆破術式のみで奴をシェルターごと爆殺する事ができる筈だ。

 

「ウェスコットMDの現在位置は!?」

 

「今は・・・・、っ、どうやら、ホテルの部屋に残っているようです」

 

「何だと・・・・!?」

 

マードックは顔を歪めた。ーーーーこの状況で、地下シェルターに逃げていない。それはまるで、自分が心血を注いだ計画が、失敗する事を分かっていたかのように、嘲笑われた気がして、悔しさと屈辱が全身をまるで血液のように駆け巡る。

だが、好都合でもある。シェルターに避難していないのであれば、『サード・エッグ』で仕留める事ができるからだ。マードックは〈ヘプタメロン〉の艦長に指示を出した。

 

「ーーーーやれ。どれだけ街を破壊しても構わん。ウェスコットの首を取れ」

 

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「・・・・・・・・何ですってッ!?」

 

ドラゴンの尻尾ド突き(威力中)で漸く正気に戻った美九に、全員が先ほどの激戦以上の疲労を感じたその時、琴里が耳に着けたインカムを押さえて、眉をひそめて声を張り上げた。

 

「ど、どうしたんだ、琴里?」

 

「今、〈フラクシナス〉から、空に魔力反応が観測されたわ・・・・! これはーーーーさっき取り逃がした空中艦から、爆破術式の反応が・・・・!?」

 

「何だって・・・・!?」

 

『奴ら、さらに手を打ってきたか・・・・!』

 

琴里の言葉に全員が空に目を向けると、ドライバーをセットしたーーーーが。

 

「ぬ? どうなっている?」

 

「ど、ドライバーが、反応しません」

 

バチ、バチ・・・・!

 

「にょわっ! これって!?」

 

「故障。どうやら先ほどの戦いで不具合が起こったようです・・・・!」

 

全員のスピリッドライバーが火花を起こしていた。

 

「くそっ! だったら、俺が(ガクン)あ、あれ・・・・?」

 

「シドー!」

 

士道が動こうとしたが、急に身体の力が抜け、両膝を地面に付いた。十香達が心配そうに駆けよる。

 

「ど、どうなってんだ、これ!?」

 

『馬鹿者。エレン<ヘルキューレ>との戦いや、さっちまでの戦いで、もう貴様の体力が限界を迎えたのだ。しばらくは動けん』

 

既にスタミナが切れてしまった士道の身体に、力が入らなかった。だが、敵はこちらの状況を慮ってくれる筈はなく、琴里がインカムを外して、全員に聞こえるようにすると、クルーの声が響いた。

 

《司令! 爆破術式搭載型〈バンダースナッチ〉が、空中艦より投下されました!》

 

「〈フラクシナス〉からの迎撃は!?」

 

《今の位置からは不可能です!》

 

「くーーーー急速旋回! 何としても地上に落ちる前にーーーー」

 

『ーーーーむ? な!? あ、あの小娘っ!?』

 

と。

琴里が指示を出そうとした時、ドラゴンが空を見上げて声を発したと同時に、

 

ーーーードォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!

 

一瞬、空に光の線のようなものが見えたかと思うと、天宮市上空で巨大な爆発が起こりーーーー辺りの空気がビリビリと震えた。

 

『な・・・・!?』

 

士道達が目を見開いて見ると、インカムから、クルーの声が響いた。

 

《反応ーーーー消失しました》

 

「何ですって? 自爆でもしたとでも言うの?」

 

《わ、分かりません、ですが、爆発の直前に、熱源がーーーー》

 

熱源と言う言葉に、士道は今しがた見た光の線を思いだした。まさか、何者かが投下された爆弾を狙撃したのだろうか。それならば合点が行くが、士道達〈仮面ライダー〉が力を合わせて撃破したものと同種の爆弾を、たった一撃で破壊できるのかと。

 

「・・・・・・・・!」

 

そこで士道は、先ほどから光の線が起点となった方向を睨むドラゴンの視線を追うと、ソコに小さな人影が見えたのである。

 

「あれはーーーー」

 

その影は、ゆっくりと士道達の方に向かってくると、空中で制止した。

それは、CR-ユニットを纏った魔術師<ウィザード>だったが、ASTのものではない。エレンのに良く似たデザインのワイヤリングスーツに、特徴的な形をしたスラスター、そして、右手に携えた巨大な魔力砲が印象的だった。

 

「なーーーー」

 

その姿を見て、士道は驚愕に目を見開いた。

DEMの魔術師<ウィザード>がDEMの爆弾を攻撃した驚きではない。自分達が全員で迎撃した爆弾を一撃で破壊した力は驚愕に値する。

だが、士道が目を奪われたのは、もっと単純な事であった。

その魔術師<ウィザード>はーーーー。

 

 

「折、紙・・・・?」

 

 

士道が名を呼ぶと、魔術師<ウィザード>ーーーー折紙は、無言のまま士道達に視線を寄越した。

いつも通りの、否、いつもよりも、感情の読み取れない瞳で。

 

 

『(・・・・遂に、来るべき時が来たか)』

 

 

ただ、ドラゴンだけが、この状況を予期していたかのように、平静に折紙を鋭く睨んでいたーーーー。

 

 

 

ー『七罪チェンジ』・FINー




『第九章』はこれで終わり、次回は幕間を挟んで、『第十章』を開始します。



次回、デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚。

五年前に己の家族と人生を歪ませた精霊と言う存在を抹殺する為、己の力不足を呪い、DEMの魔術師<ウィザード>となり、再び十香達と敵対する道を選んだ折紙。

「十香達は、普通に生きたいだけなんだ!」

「それは許されない。彼女達が、精霊である限り」

必死に説得しようとする士道。しかし折紙は己の決意を曲げずーーーー。

「私が殺すのは精霊だけではない。私自身」

自らの甘さをも殺す為に、十香と刃をぶつける折紙。

「鳶一折紙。私は貴様が嫌いだ。今も、昔も、変わらずな。ーーーーだが、今の『嫌い』は、昔の『嫌い』と、多分、少し、違う。だからーーーー」

「わ、たし、はーーーー」

≪あの娘の五年間を、恋人でもなければ、ただの友人止まりの貴様が否定すると言うのか?≫

「それでも! それでも俺はイヤだ!」

己の我が儘を貫く為に、戦場に赴く士道。
ーーーーそして運命の歯車は、再び折紙を弄ぶ。

【ーーーーねえ、君。力が欲しくない?】

第十章 『鳶一エンジェル』

≪これはーーーー完全に想定外の事態だな・・・・!≫
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