デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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繰り返される流れを変えろ!

ー士道sideー

 

《霊力値、カテゴリーE! 鳶一折紙、反転しました! さらに、鳶一折紙の霊力と同エネルギーのファントムの確認!》

 

《くーーーーやっぱり、令音の仮説は正しかった訳だけど、ファントムまで・・・・!》

 

インカムから、琴里とクルーの声、さらに本能的に危険を呼び起こすアラームがひっきりなしに聞こえてくる。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ウィザード<士道>は、そんな声を聞きながら、折紙を見据える。

無論、ウィザード<士道>とて混乱している。漸く救えたと思った折紙が再び反転してしまい、この上なく戦慄している。

しかしそんな中、頭のどこかが極めて冷静に状況を判断していた。

 

「ドラゴン・・・・!」

 

≪まだ活動していない。が、このままでは繰り返されるな≫

 

「くそっ!」

 

ウィザード<士道>は折紙に向かって駆け出すが、折紙に至る直前で、周囲に渦巻く霊力の壁を、無理矢理こじ開けようとする。

精霊の霊力と反発する、魔獣の魔力で構築されたウィザードの鎧を纏っていなければ、吹き飛ばされていただろう。

が、それは竜巻に素手で触れるようなもの。止めようと手を伸ばそうとするが、あまりの奔流に、手が削られそうだ。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

《士道!? 何してるのよ!》

 

「今・・・・折紙を止めないと、大変な事になる!」

 

折紙の反転が、ウィザード<士道>が無意識下で発現させた治癒の炎を目撃したからなら、折紙の目の前から、標的であるウィザード<士道>が消えない限り、彼女の反転は収まらない。

もしも、『アバター』で分身体を作って折紙に殺させたとしても、ウィザード<士道>が生きている限り、折紙は反転したままと言う可能性も十分ある。

ならばーーーー機会は今しかない。

折紙とエンジェルファントムが暴れ始めていないこの時しか、彼女に近づくチャンスはない。

 

「・・・・折、紙っ!」

 

名を呼びながらーーーーウィザード<士道>は、かつて目にした光景が頭に過った。

反転してしまった折紙と、折紙の絶望によって生まれた天使の姿をした魔獣が、天上から闇と光を降らせ、街を滅茶苦茶に蹂躙していく光景。

もう、あんな地獄を繰り返す訳にはいかない。もう、折紙にあんな事をさせる訳にはいかない。

ウィザード<士道>が霊力の奔流を突き破ろうとする。

がーーーー。

 

≪っ! いかん!≫

 

「うわっ!?」

 

ドラゴンが叫ぶと同時に、ウィザード<士道>の身体がウィザード<士道>の意志と無関係に、勝手にその場から離れた。

 

「何しやがるドラゴン!(バシッ!)いっつ!」

 

≪この単細胞のクソ大馬鹿者めが! 敵に背を向けてどうするっ!≫

 

「えっ?」

 

ふと今さっき自分がいた処を見ると、何匹もの蛇が突っ込んでいた。あのままだったら、身体に蛇達の牙を突き立てられていただろう。

 

「っ!」

 

『ふん。回避能力だけはそれなりにあるようだな?』

 

『逃げ足が速いねぇ、士道くん?』

 

「メデューサ・・・・! グレムリン・・・・!」

 

ウィザード<士道>が顔を険しくして、仮面越しに睨む。が、メデューサとグレムリンは、戻ってきた『ガルーダ・ファントム』と合流し、竜巻のように渦巻く霊力と、その中にいる折紙と『エンジェル・ファントム』を見据えていた。

 

『フフフフ。ワイズマンがお喜びになる。遂に我らは手に入れるのだ。世界で初めて顕現したーーーー『精霊から生まれた魔獣』をな!』

 

「おい! 勝手を言うなっ! 折紙をお前らに渡すものかよ!」

 

『・・・・五月蝿いコバエめが。ガルーダ。貴様らが遊んでやれ』

 

『『『『御意』』』』

 

ガルーダ達がウィザード<士道>に襲いかかる。ウィザード<士道>は近くに落ちていたソードガンを拾って、応戦する

 

「くそっ!」

 

《士道! 折紙は任せなさい!》

 

「ーーーーえ?」

 

インカムから聞こえた琴里の声が響くと同時に、折紙の周囲に幾つもの淡い輝きが現れたかと思うと、その中から、鋭い金属の塊が現れた。

菱形の金属片を横に引き伸ばしたようなフォルムのそれは、まるで巨大な『葉』のような物体だった。それらが自身の周囲に見えない壁を展開し、切っ先を向けながら折紙を取り囲んでいたのである。

 

「これは・・・・」

 

≪〈フラクシナス〉の武装か≫

 

《ーーーー〈世界樹の葉<ユグド・フオリウム>〉、展開!》

 

と、琴里が言った瞬間、『葉』の周囲に張り巡らされていた不可視の壁がその大きさを増し、漆黒の霊装に包まれた折紙とエンジェル・ファントム、そしてメデューサ達の身体を八方から押し潰すように拘束した。

 

「これってーーーー」

 

《〈世界樹の葉<ユグド・フオリウム>〉。それぞれが随意領域<テリトリー>を展開する、〈フラクシナス〉の汎用独立ユニットよ。悪いけれど、周囲に仕込ませて置いて貰ったわ。まさか、本当に使う事になるとは思わなかったけれど》

 

フンと琴里が鼻を鳴らすように言った次の瞬間、士道達がいる公園の遥か上空が一瞬煌めいたかと思うと、周囲に展開していた鏡面が剥がれるように、空中艦〈フラクシナス〉が姿を現した。いつの間にか、肉眼で確認できる位置まで降りてきていたようだ。

 

≪この状況で〈フラクシナス〉が姿を晒すのは、主砲〈ミストルティン〉で攻撃をするつもりのようだな≫

 

「琴里、まさか!」

 

ドラゴンの言葉にウィザード<士道>が叫ぶと、それに応じるように、上空の〈フラクシナス〉がゆっくりと艦首を下げ、折紙のエンジェル・ファントムに砲門を向けた。

そしてその砲門に、真っ赤な魔力の光が灯っていく。

 

《安心しなさい。威力は調整するわ。〈ミストルティン〉で数秒間霊力障壁を破るから、その隙に折紙に接近してちょうだい! ファントムの方も気を付けて、すぐにでも拘束を破りそうよ!》

 

メデューサ達を見ると、確かに、〈世界樹の葉<ユグド・フオリウム>〉の拘束を今にも破りそうになっていた。

 

「・・・・! ああッ!」

 

《ーーーーあまり手荒な真似はしたくなかったけれど、こっちも街を破壊される訳にはいかないからね》

 

《司令、魔力充填完了、いつでも撃てます!》

 

《宜しい。目標、地上、鳶一折紙! 外すんじゃないわよ神無月!》

 

《お任せを》

 

≪「っ!!」≫

 

琴里達の声が響く。

がしかし、ウィザード<士道>とドラゴンが目を開いた。

 

≪〈ミストルティン〉、撃ーーーー≫

 

「琴里ッ! 逃げろぉぉぉぉっ!」

 

ウィザード<士道>が指令を発そうとした琴里に、喉が潰れんばかりの叫びをあげる。

ウィザード<士道>の視線の先ーーーー〈フラクシナス〉の周囲に、折紙とエンジェル・ファントムを取り込んだ〈世界樹の葉<ユグド・フオリウム>〉のように、漆黒の光と純白の光を放つ幾つもの『羽』ーーーー反転精霊〈デビル〉の天使〈救世魔王<サタン>〉と、エンジェル・ファントムの固有武器の『羽』の形をした砲台が出現したからだ。

 

《えーーーー?》

 

インカムを通して、危険を知らせるアラームと、虚を突かれた琴里の声が聞こえた。

〈救世魔王<サタン>〉とエンジェル・ファントムの『羽』は、その黒い先端と白い先端を〈フラクシナス〉に向けると、黒と白の濃密な闇と光が結集し、それぞれの色の光線が放たれた。

〈フラクシナス〉の白い艦体が多方向から光と闇を浴び、或いは爆ぜ、或いは削がれ、或いは貫かれ。右耳のインカムから凄まじい爆音と、琴里達の悲鳴が響き渡る。

 

《きゃぁっ!》

 

「琴里! 琴里・・・・ッ!!」

 

ウィザード<士道>が叫ぶが、返事の代わりに、上空に浮遊していた〈フラクシナス〉の随所から煙があがり、それと同時に、ウィザード<士道>以外を拘束していた〈世界樹の葉<ユグド・フオリウム>〉が、力なく明滅し、辺りに落下していく。

 

「あ・・・・」

 

ウィザード<士道>は戦慄に目を見開きながら、短い声を発した。メデューサとグレムリンが折紙達の方に向かい、ガルーダ・ファントム達が自分に迫ってきていると言うのに、心ここにあらずに〈フラクシナス〉を茫然と見ている。

夜空に墜ちていく〈フラクシナス〉。その光景は、元の世界で1度目にしたモノに酷似していた。あの時は琴里は〈フラクシナス〉にいなかったが、折紙とエンジェル・ファントムによって墜とされてしまった。

 

「何で・・・・だよ・・・・ッ!」

 

『はぁっ!』

 

「うあっ・・・・!」

 

ガルーダ・ファントムの双刀に斬り付けられ、地面を転がるウィザード<士道>は、半ば無意識の内に叫びを上げた。

変えた筈の歴史が、書き換えた筈の世界が、次々と元の形に沿うように流れが変わっていく。

ーーーーまるで、自分達がどんなに足掻こうと、1度決まった結末は変えられないと、世界か、神か、運命か、そんな不確かな存在達に嘲笑われているかのように。

 

ーーーーバシィンッ!!

 

「いってぇぇっ!?」

 

と、茫然自失するウィザード<士道>の頬を、ドラゴンが尻尾ド突きで思いっきりひっぱたかれて、正気に戻った。

いつものド突きの中でも、頬にお見舞いされる1発が、1番強烈だ。

 

≪いつまで現実逃避気味に腑抜けている! まだ結末が決まった訳ではない!!≫

 

「えっ・・・・?」

 

≪あの娘はまだこっちに引き戻せる! まだ手はあるのだ! こんな所で俯いている暇などないぞ! こんな結末を認めるつもりか貴様!?≫

 

「・・・・いやだ、こんな結末・・・・俺は、イヤだぁ!」

 

≪だったらさっさと立って戦え!≫

 

「くっ!」

 

ウィザード<士道>は立ち上がると、迫り来るガルーダ・ファントム達の攻撃を回避しながら、『フレイムドラゴンリング』を翳した。

 

[フレイム! ドラゴン! ボゥー!ボゥー!ボゥーボゥーボォー!!]

 

「ふっ!」

 

[コピー プリーズ]

 

〈フレイムドラゴンスタイル〉にチェンジすると、ソードガンをガンモードとソードモードにして、ガルーダ・ファントムの双刀を流して斬り、ユニコーン・ファントムのレイピアを防いで銀の弾丸を放ち、ゴーレム・ファントムの拳を避けて蹴りを放ち、クラーケン・ファントムの触手を切り捨てる。

 

「クソッ! 折紙の元に近づけない! あっ!」

 

悪態をつくウィザード<士道>が視界に捉えたのは、

 

「ーーーーーーーー」

 

枷から放たれた折紙は、何も口にする事なく、その場に浮遊しながら、胎児のように身体を丸めた。

ーーーーまるで、外界から自分の心を閉ざすように。

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

そして、その折紙を守るように、エンジェル・ファントムが声を上げながら浮遊する。

それと同時に、ゆっくりと高度を下げていく〈フラクシナス〉を追撃するように、無数の『羽』がその先端に闇と光を湛え始めた。

 

「っ! 折紙!!」

 

ウィザード<士道>は折紙の名を呼び、再度その場から駆け出そうとした。がーーーー。

 

『ちょっと待ってよ士道くん☆ 今面白い所なんだからさ♪』

 

が、グレムリンによって阻まれ、さらにガルーダ・ファントム達まで迫ってきた。

メデューサは、折紙とエンジェル・ファントムによって〈フラクシナス〉が破壊されるのを髙見の見物しようとしていた。

 

「お前ら、邪魔するな!!」

 

ウィザード<士道>が何とか降りきろうとする。

が、そうこうしている間にも、空に待った漆黒と純白の『羽』は、〈フラクシナス〉に砲撃を放とうとしていた。

今攻撃を受けたら、半壊状態の〈フラクシナス〉も、中にいる琴里や令音達クルーもどうなってしまうのか、容易に想像できる。

 

「やめろ、折紙! やめてくれぇぇぇぇッ!」

 

しかし、ウィザード<士道>の叫びは、折紙に届かず、無数の『羽』の先端から、漆黒と純白の光線が放たれようとした。

 

「っ!!」

 

[フレイムドラゴン・シューティングストライク!]

 

[フレイムドラゴン・スラッシュストライク!]

 

『フレイムドラゴンスラッシュ』と『フレイムドラゴンシューティング』を放とうとするが、

 

「・・・・!!」

 

≪ちっ・・・・!≫

 

折紙に向けて攻撃する事に、一瞬躊躇ってしまった。

その躊躇いによって、光線が〈フラクシナス〉に放たれた。

 

「あぁっ!」

 

≪いや、間に合った!≫

 

ウィザード<士道>が声を漏らしたーーーーその時。

突然辺りから突風が吹いたかと思うと、漆黒と純白の『羽』がそれに煽られ、微かにその方向を変えた。〈救世魔王<サタン>〉とエンジェル・ファントムから放たれる光線が、〈フラクシナス〉の艦体を掠めて虚空に伸び、消えていく。

いくら凄まじい風圧であったとは言え、ただの突風に〈救世魔王<サタン>〉と『魔獣ファントム』の攻撃が煽られる筈はない。ウィザード<士道>はその風の正体に気づき、ハッと肩を揺らした。

が、次の瞬間、エンジェル・ファントムが地上にいるウィザード<士道>に顔を向けると同時に、折紙の周囲に小さな『羽』が幾つも顕現し、ウィザード<士道>にその先端を向けた。

 

≪どうやら、我々も敵性と判断されたようだな≫

 

「くーーーー!?」

 

この数の攻撃を避けるきるのは難しい。ならば『ディフェンド』を使おうとするウィザード<士道>。

が、『羽』が砲撃を放つより、ウィザード<士道>が防御魔法を使うより一瞬早く。

 

≪っ! 来たか!≫

 

「ーーーーはぁぁぁぁっ!」

 

上空より声が響いたかと思うと、〈仮面ライダープリンセス〉となった十香がサンダルフォンブレードを振るい、『羽』を吹き飛ばした。

 

「無事か、シドー!」

 

「十香!」

 

プリンセス<十香>に続くように、次々と〈仮面ライダー〉となった精霊達が姿を現し始めた。

〈仮面ライダーハーミット〉となったよしのん&四糸乃。

大人の体型の〈仮面ライダーウィッチ〉となった七罪。

ガブリエルキーボードを持った〈仮面ライダーディーヴァ〉の美九。

そして空には、今しがた突風を巻き起こし、〈フラクシナス〉の窮地を救った〈仮面ライダーベルセルク・テンペスト〉と〈仮面ライダーベルセルク・ストーム〉の八舞姉妹がいた。

 

「お前らーーーーどうしてここに!?」

 

「あ~実はねぇ・・・・」

 

「うふふ、ダーリンとハニーのピンチに駆けつけるのは当然じゃないですかー」

 

「まあ、ドラゴンくんから緊急招集をかけられて飛び出した十香ちゃんの後を付いてきただけなんだけどね」

 

「あー、言っちゃダメですよー!」

 

ディーヴァ<美九>が「しーっ」と指を1本立てる。大人スタイルのウィッチ<七罪>は、元の姿でいる時とは打って変わって余裕ある仕草で肩を竦めて見せた。

 

「それでーーーーシドー」

 

プリンセス<十香>はサンダルフォンブレードを構えると、油断なく折紙とエンジェル・ファントムを睨み付けながら唇を動かした。

 

「・・・・凄まじい霊力とゾワンギゾコンゴを感じる。あれは、一体何者なのだ?」

 

プリンセス<十香>の問いに、ウィザード<士道>は拳をきつく、強く握り締めながら答える。

 

「あれは・・・・折紙と折紙から生まれたファントムだ」

 

「何・・・・? あれがあの転入生と、精霊から生まれた魔獣ファントム」

 

プリンセス<十香>が怪訝そうに言うが仕方ない。この世界の十香は、元の世界では不倶戴天の宿敵だった折紙とは、顔を合わせて日が浅い上にーーーー何よりも、漆黒の霊装を纏って宙に浮いている彼女をクラスメートと言われても、俄に信じられないだろう。

相対しているだけで身が竦むかのような、圧倒的な威容。

十香が反転した時、DEMのアイザック・ウェスコットは、反転した精霊を『魔王』と称したがーーーー今ウィザード<士道>達の目の前にいる“ソレ”は、その表現が大袈裟ではないと証明するかのように圧倒的な圧力と存在感を放っていた。

 

「・・・・・・・・っ」

 

だが。ウィザード<士道>は腹を括ると、1歩足を前に踏み出した。

 

「シドー・・・・?」

 

プリンセス<十香>が、危険だと言いたいのだろう。それは重々承知している。だが、ウィザード<士道>は折紙の元に至らなければならなかった。

このまま折紙を空に解き放ってしまったら、眼下に広がる天宮市は、再びウィザード<士道>の記憶の中にある地獄絵図に成り果ててしまうだろう。そして折紙はーーーー2度と元の折紙に戻る事はない。

 

「(それだけは、絶対にさせない!)」

 

そして、僅かな可能性だが、折紙の手を取れるのは、『最後の希望』になれるのはーーーーウィザード<士道>しかいないのである。

しかしーーーーウィザード<士道>だけの力では、強大な『魔王』とソコから生まれた『破滅の天使』、そしてその『天使』を手にしようとする『魔獣』を前に、ウィザード<士道>とドラゴンだけの力では足りない。

 

「(ドラゴン・・・・)」

 

≪言うべき相手は、我ではないだろう≫

 

「(・・・・そうだな)・・・・皆」

 

ウィザード<士道>は駆けつけてくれた皆に向けて、声を発した。

ーーーー逃げろ、と言うべきなのだろう。

ーーーー折紙とは戦うな、言うべきなのだろう。

だが、ウィザード<士道>な、

 

「ーーーーアイツを、折紙を助けるのに、手を・・・・貸してくれ・・・・っ」

 

皆に申し訳ないと思いながらも、その言葉を発する他に無かった。精霊の皆を危険な目に合わせたくない。しかし、そう考えると、ドラゴンが常に自分に言っている言葉が脳裏に過る。

 

【≪この相変わらず思い上がりの強い、身の程知らずの無知蒙昧なノミと同類の思考回路小僧が。貴様ごときがこの状況を何とかできると本気で思っているのか? どこまでも自分と言う生物を高く評価するのだな? 貴様の安っぽい男のプライドなど、そこら辺の汚ならしい公衆便所にでも放っておけと言ってるのが分からんのか?≫】

 

悔しいがドラゴンの言うとおり、自分1人でどうにかできる状況じゃない。ウィザード<士道>は無力感と罪悪感に押し潰れそうになる。

が、ウィザード<士道>の前に立っていたプリンセス<十香>が、当たり前の事を聞くなと言わんばかりに声を発する。

 

「何を言っている。当然ではないか」

 

言って、サンダルフォンブレードの柄を強く握る。

 

「シドーが私を救ってくれた。私に世界の美しさを教えてくれた。私の世界はシドーが作ってくれた。ーーーーならば今度は、私がシドーを手伝う番だ」

 

すると十香に続いて、他の精霊達もコクリと頷いてくる。

 

≪私とよしのんも・・・・士道さんのお役に立ちたいです・・・・!≫

 

「士道くん。四糸乃もよしのんも、士道くんを手伝うよん☆」

 

「そうそう、素直にお姉さんに頼れば良いのよ。無理しちゃダーメ」

 

「て言うか、『逃げろ』だなんて言ったら、いくらダーリンでも怒っちゃいますよー?」

 

ハーミット<四糸乃&よしのん>、ウィッチ<七罪>、ディーヴァが<美九>が仮面越しに笑いながら言う。次いで、空に舞ったテンペスト<耶倶矢>とストーム<夕弦>が笑い声を響かせてきた。

 

「かか、良かろう! 御主の覚悟、聢と受け取った! この颶風の巫女・八舞が力を貸してくれようぞ!」

 

「請負。マスター折紙を助けましょう」

 

「皆ーーーー」

 

皆の言葉に、ウィザード<士道>はグッと拳を握り込んだ。

 

≪さて、ここまで言われたのだ。やる事は分かっているな≫

 

「ああ。皆、ありがとう」

 

上空の折紙とエンジェル・ファントム、そしてメデューサ達も、〈仮面ライダー〉となった精霊達を見据えて、攻撃体制を取る。

ウィザード<士道>は皆の前に出て、精霊達もウィザード<士道>に並ぶように立ち、リングを嵌めた掌を眼前に持っていき、声を揃えて言った。

 

『さぁ、ショータイムだ!!』

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