デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今回な話、ドラゴンが動く。


二つの記憶

ー折紙sideー

 

ーーーー『折紙』は、困惑していた。

士道が〈仮面ライダー〉に変身し、〈アンノウン〉と戦い始め、最初は少しでも援護をと思い、士道の武器を拾って構えて士道を見た後、士道の身体に何やらユラユラと光るものを見た瞬間、またいつものように意識が遠くなっていたのだが・・・・気づくと、見知らぬ場所に立っていたのだ。

見渡す限り真っ白な、何もない空間。頭上にあるのが天井なのか空なのか、先にあるのが地平なのかさえ分からない。一応その場に『立って』はいるのだが、地面を踏み締める感触すら曖昧な、自分がフワフワと浮遊しているのではと、錯覚してしまう。まるで何も描かれていないマンガの1コマの中にでも紛れ込んだような感覚だ。

 

(何、ここ・・・・)

 

辺りを見回しながら、折紙は呆然と呟く。

 

(どう考えても夢・・・・よね)

 

現実に存在する筈のないこんな空間を、折紙がそう判断するのに、時間は掛からなかった。

とーーーー。

 

(・・・・え?)

 

不意に、折紙は目を見開いた。

その視線の先。先ほどまでは何もなかった筈の空間に、いつの間にか1人の少女が現れていたからだ。

闇のような漆黒のドレスを身に纏った、華奢な体躯の少女。膝を抱きながら蹲り、虚ろな表情を作っていた。

 

(あなたは・・・・)

 

言いかけて、折紙は気づいた。その少女に見覚えがあったのだ。そう、その少女はーーーー。

 

(私ーーーー?)

 

そう。あまりにもあり得ない光景の為、一瞬分からなかったが、ソコにいたのは、何処からどう見ても折紙自身だったのだ。

否・・・・正しく言うのであれば少し違う。髪の長さが自分は背の半ばまであるが、目の前で蹲っている少女の髪は肩口をくすぐるくらいの長さしかない。

しかし、身に纏っている服以外で違いがあるとすればソレだけであり、まるで鏡でも見てみるかのような奇妙な感覚に、折紙は思わず頬に汗を滲ませた。

 

(何なの、これ・・・・)

 

この場を、この感覚を夢と断じていても、折紙は眉を訝しげにひそめざるを得なかった。

しかし、その瞬間。

 

(ーーーー!)

 

折紙の頭の中に、見た事のない景色や言葉が、一気に流れ込んできた。

否・・・・正確に言うならば、少し違う。

その情報を一瞬にして得ると同時に、折紙の中には確信めいた感覚が生まれる。

 

(この記憶は・・・・私の・・・・?)

 

そう。それは。

もしも折紙が、今とは少し違う別の道を歩んでいたら経験したであろう、数年分の記憶だった。

 

 

 

ー折紙?sideー

 

ーーーー『折紙』は、心を閉ざしていた。

揺らめく霊力の炎を目にした瞬間、折紙の中に芽生えた情報。それは、折紙が忘れていた、“元の世界の折紙の記憶だった”。

それが意識を侵食していくにつれ、折紙は自分の身体が、心が、真っ黒く染まり、身体から『別の存在』が生まれでてこようとしていく感覚を感じた。

5年前。

そう、あの夏の日、折紙の目の前で殺されたのは、折紙の両親だったのだ。そしてーーーー両親を殺した精霊こそ、折紙自身だった。

それを思い出してしまった瞬間、折紙は、何も考える事ができなくなってしまった。

もしかしたらそれは、自己を守る為の防衛本能だったのかも知れない。

今まで自分を形作っていた根源的な要素。

生きる目的となっていた己の命の意味。

それらが『最悪の形』で無に帰してしまった事を感じ取った頭が、自我が完全に壊れてしまわないように、その記憶を、『この世界の折紙』から隔離したのだ。

それが、『この世界のルール』。この世界の折紙は自身に精霊の力が発現した瞬間に意識を隔離され、“『元の世界の記憶を持った折紙』が身体の支配権を握る”。

もう折紙は、何もおもわない。何も考えない。何も感じない。

ただ1つーーーー目の前の精霊を殺す事のみに、力を向ける。その意思に従い、真っ白な魔獣を力を振るう。目の前の精霊を、ただただ、殺す事だけにーーーー。

だが。

そんな全てを捨て去った筈の折紙の頭の中に、突然小さな光が生じた。

何が起こったのかは分からない。例え認識できたとしても、今の折紙は、それを意識できない。

ーーーー筈、だった。

しかし、その光は折紙の頭の中に、とある記憶を広げていった。

そう。それは。

5年前のあの日、『両親が死ななかった世界を生きた折紙の記憶』だった。

 

(ーーーーぁーーーーーーーー)

 

折紙は、小さな、小さな声を発した。

すると、ソレと同時。

『折紙』と『折紙』が、互いを巻き込み、渦のように混ざり合った。

 

 

 

ー士道sideー

 

ウィザード<士道>は『ドラゴタイマー』を召喚し、装備すると、起動させた。

 

[ドラゴタイム セットアップ! スタート!]

 

秒針が到達するとレバーを押す。

 

[ウォータードラゴン!]

 

「ハッ!」

 

[ハリケーンドラゴン!]

 

「フッ!」

 

[ランドドラゴン!]

 

「フンッ!」 

 

ウォータードラゴンスタイルとハリケーンドラゴンスタイルとランドドラゴンスタイルがフレイムドラゴンスタイルと並んだ。

 

『ガルーダ。ユニコーン』

 

『『はっ!』』

 

メデューサの一声で、ガルーダ・ファントムが翼を広げ、ユニコーン・ファントムが下半身を馬にし、折紙へと向かった。

が、

 

ーーーービュゥウウウウウウウウウウッ!!

 

『ぐぁあっ!!』

 

『ぬぅうっ!!』

 

突然風を纏ってベルセルク<八舞姉妹>が迎撃し、ガルーダ・ファントムとユニコーン・ファントムが地面を転がる。そんな2体の上空では、

 

「かか! 我らは風に愛されし颶風の御子!」

 

「呼応。速さで負ける事などありません」

 

言って、ベルセルク<八舞姉妹>は2人同時に空を蹴り、軽やかに宙を舞う。『前の世界』でも、この2体に苦汁を舐めさせられ、『この世界』でも苦戦させられていたようだが、ソコは負けず嫌いの八舞姉妹。2体と戦ってから今日まで自己鍛練を怠らず、お互いに切磋琢磨して、実力をあげていったのだ。

 

≪うむ。まさに努力は裏切らない、だな。貴様も少しは見習え!≫

 

「(バシッ)いって!」

 

ドラゴンが2人に感心しながら、自己鍛練をサボりがちのウィザード<士道>の頭を尻尾ド突き(弱)で叩いた。

と、そんなベルセルク<八舞>に向かって、光線が飛んできたのを2人は軽やかに回避した。〈フラクシナス〉を攻撃した〈救世魔王<サタン>〉は、この2人を脅威と認めたようだ。

 

「ふん! 如何に凄まじい威力とて、当たらなければどうと言う事はないわ!」

 

テンペスト<耶倶矢>が高らかに言って、アクロバティックな飛行で光線を紙一重に回避していく。

 

「進言。今です、士道。夕弦達がこれを引き付けている間に、本体であるマスター折紙を」

 

テンペスト<耶倶矢>と同じように光線を回避しながら、ウィザード<士道>達に言ってくる。

 

「(コクン!)」

 

ウィザード<士道>は頷くと、視線を折紙に戻した。

 

「皆! ここは俺達に任せろ!」

 

「折紙を早く!」

 

「言ってくれ俺!」

 

「ああ! 行こう! 皆!」

 

『応っ!』

 

ウォータードラゴンがクラーケン・ファントムとメデューサを、ハリケーンドラゴンがグレムリンとガルーダ・ファントムを、ランドドラゴンがゴーレム・ファントムとユニコーン・ファントムと戦闘を始め、それを見てウィザード<士道>が頷き、精霊達が一斉に返してきた。

しかし、それと同時に、〈世界樹の葉<ユッド・フオリウム>〉の縛めから解き放たれたエンジェル・ファントムは、同じく解放された折紙を両の掌に乗せ、ゆっくりと空に上昇していく。

逃がしてはならない。ウィザード<士道>とドラゴンが同時に叫ぶ。

 

「≪美九っ!/〈ディーヴァ〉っ!≫」

 

「はいはーい、お任せあれー!」

 

すると、ディーヴァ<美九>はガブリエルキーボードで、流麗な曲調を奏で始める。

 

「ーーーー【輪舞曲<ロンド>】!」

 

するとそれに合わせて、エンジェル・ファントムの周囲に幾つもの銀筒が現れ、その先端を向ける。ディーヴァ<美九>の奏でた音楽が目に見えない力となり、幾重にも重なり合って、空に昇ろうとしていたエンジェル・ファントムと折紙を地面に押し付けた。

 

「ふふっ、やるじゃない、美九ちゃん」

 

と、その様子を見てか、ウィッチ<七罪・大人ver>が妖しく微笑む。

 

「でも、美九ちゃんがあの子を押さえてると、本来の仕事ができなくなっちゃうわよねぇ。ならーーーー」

 

ウィッチ<七罪・大人ver>は右手を掲げると、ハニエルブルームを手に取りバトンのように振り回し、そしてーーーー。

 

「【千変万化鏡<カリドスクーペ>】」

 

ウィッチ<七罪大人ver>がそう叫んだ瞬間、その手に握られた緑色の箒が柔らかな粘土のようにグニャリと歪み、ショルダーキーボードを形作った。

 

「えっ!? それは・・・・!」

 

鍵盤を叩いていたディーヴァ<美九>が、驚愕の表情を作る。ウィッチ<七罪・大人ver>が作ったのはガブリエルキーボードと全く同じ形をしたショルダーキーボードだったのだ。

 

「ちょっと借りるわよ、美九ちゃん。実は前に見た時から、1回『真似』してみたかったのよねぇ」

 

言って、ウィッチ<七罪・大人ver>が力強く鍵盤を叩くと、勇猛な調べを奏でてくる。

 

「【行進曲<マーチ>】!」

 

すると、その曲を聞いたウィザード<士道>達の身体に、気力がみなぎってくる。

 

≪ほう、精度に差こそあるが、間違いなく〈ディーヴァ〉の【行進曲<マーチ>】だ。精霊の天使の能力までコピーできる〈贋造魔女<ハニエル>〉。やはり応用力に非常に優れているな≫

 

「あーん! 七罪ちゃんたら真似っ子ですー!」

 

「ふふ、良いじゃないの。これも士道くんの為、よ」

 

「ぶー。良いじゃないのって、本当ならダメよ、ダメダメって言いたい処です。後でちゃーんと著作権使用料払って貰いますよー。アイドルは権利関係厳しいんですからー」

 

自分だけ〈仮面ライダー〉の能力を再現された事が少し悔しいのか、仮面越しからでも頬をプクー、と膨らませているのが分かる。とは言え、ディーヴァ<美九>の能力が攻守に存在して使われるのは、非常に大きな力だ。

プリンセス<十香>とハーミット<よしのん&四糸乃>が、エンジェル・ファントムに向かって行くように前傾姿勢を作る。

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA・・・・!』

 

が、それに対抗するかのように、エンジェル・ファントムの攻撃がより激しくなり、周囲の空間が歪んだかと思うと、ソコから更なる『羽』が幾つも権限した。

 

「くーーーー!」

 

≪士道さん! よしのん!≫

 

「あいよー! とーう!」

 

ハーミット<四糸乃&よしのん>がウィザード<士道>を守るように前に進み出て、ザドキエルファングで空気中の水分を結集させ、一瞬で凍らせ、折紙の光線の軌道を逸らした。

 

≪空気中の水分を鏡のようにして、光線を逸らした、か。・・・・ん?≫

 

ドラゴンが何かを思い付いたように声を発した。

 

「すまない、四糸乃! よしのん! 助かった!」

 

「いやいや~。うわっまた来た!」

 

ふん反り返ろうとすると、『羽』の先端がまたこちらを向いた。

 

「くっ」

 

≪小僧! 輪島<中年>が作ってくれたリングの1つを使え!≫

 

「えっ?」

 

≪早くしろっ!≫

 

[ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪]

 

ドライバーを起動させて、先日輪島から貰った『ドラゴンが鏡を持っているリング』を翳した。

 

[リフレクター プリーズ]

 

その音声が響くと、ウィザード<士道>の周囲に幾つもの小さな魔法陣が展開され、それにまるで膜のようなものを纏い、光線を受けると光線を反射させ、〈救世魔王<サタン>〉とエンジェル・ファントムの光線を反射し、屈折させ、エンジェル・ファントムに当たった。

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA・・・・!』

 

「スッゲ! 『ディフェンド』と同じ防御魔法か!?」

 

≪『ディフェンド』の魔法壁を鏡に変化させる魔法のようだな。光線を使う〈デビル〉とは相性の悪い魔法だ≫

 

距離を開けて光線を放つと『リフレクター』で返されると判断したのか、『羽』は意思でもあるかのようにウィザード<士道>に接近して攻撃しようとする。

しかし。

 

「はぁっ!」

 

烈帛の気合いと共に光が一閃したかと思うと、『羽』が一斉に吹き飛ばされた。

 

「十香!」

 

プリンセス<十香>がサンダルフォンブレードの1撃で、光線を放つ前に『羽』を攻撃したのだ。

だが、多少の傷を与えたが、それでも『羽』は再度その先端に闇を収束させ、エンジェル・ファントムも再び光を収束させる。

 

「ーーーー四糸乃! よしのん! シドーを頼む!」

 

≪は、はい・・・・っ!≫

 

「ガッテン!」

 

背を向けたまま声をあげる十香に、四糸乃とよしのんが返した。

 

「士道くん、よしのんの背中についてきな!」

 

≪行きましょう、士道さん!≫

 

言って、ハーミット<四糸乃&よしのん>がザドキエルファングの冷気を前方に、障壁のように放つ。

 

「あ、ああーーーー!」

 

冷気の障壁と鏡の防御でウィザード<士道>とハーミット<四糸乃&よしのん>は折紙への道を進んでいく。

が、数秒と待たず、その進軍は止まった。ーーーーエンジェル・ファントムと折紙の周囲に新たな『羽』が顕現し、それを核として強力な霊力の障壁が作られていた。

 

≪もはや、力で押し通るしかない≫

 

「うぐぉぉぉぉ! かったいねこりゃー!」

 

≪う・・・・、っううーーーーっ≫

 

「2人共、大丈夫か!?」

 

≪大丈夫・・・・です・・・・!≫

 

四糸乃の声が念話として聞こえてくるが、大丈夫そうには聞こえなかった。

しかし、四糸乃の声には、弱々しさはなく、むしろ強くなっていった。

 

≪私は・・・・弱虫で、泣き虫だけど・・・・士道さんを、あの人の処に、届ける為に≫

 

仮面ライダーハーミットの身体が、淡く輝いていく。

 

≪っ! 〈ハーミット〉! 今だ! 限界を! 壁を越えるんだっ!≫

 

≪ーーーー壁を打ち破る、力を≫

 

ドラゴンの声に応えるように、ハーミット<四糸乃>は両手を大きく広げた。ザドキエルファングが左手から外れ浮遊し、ハーミット<四糸乃>の後方に回り、ハーミット<四糸乃>の着用していてパーカーが脱げて消えていきそしてーーーー。

 

「ーーーー【凍鎧<シリヨン>】・・・・っ!」

 

そして、よしのんの口調ではなく、四糸乃の声で叫ぶと、ザドキエルファングがその形を変えていき、ハーミット<四糸乃&よしのん>の身体を覆った。

 

「四糸乃・・・・!?」

 

見た事のない光景に、ウィザード<士道>は思わず上擦った声を発した。

しかし、それに対して返されたのは、

 

「ーーーーはい、士道さん」

 

確かな意思に彩られた、力強いハーミット<四糸乃>の声だった。光が収まり、ようやくハーミット<四糸乃>の姿が見とれた。

 

「えっ、四糸乃? よしのんじゃないのか?」

 

≪あの鎧を纏うと、〈ハーミット〉と〈ハーミットの相棒〉の主導権が交代するのか?≫

 

≪うわっはぁ! 四糸乃がパワーアップしたっ!? おめでとう! 四糸乃はレベルアップしましたぁ! 名付けてぇーーーー〈仮面ライダーハーミット アーマースタイル〉!!≫

 

「鎧・・・・?」

 

ドラゴンが推察し、よしのんがはしゃぎ、ウィザード<士道>は呆然と、呟く。そう。ソコにあったのは、パーカーの代わりに白銀の鎧を纏ったハーミット<四糸乃>のだった。

否ーーーーそれは鎧と呼んでいいのか分からない。ウサ耳のパーカーではなく、金属とも樹脂とも取れない不思議な物質が、透き通った氷と一体化し、パーカーの代わりにハーミット<四糸乃>の身体を覆い、まるで〈氷結傀儡<ザドキエル>〉を纏っているかのような姿となった。

確かに、〈仮面ライダーハーミット アーマースタイル〉と呼称できる。

 

「ん・・・・っ!」

 

ハーミット<四糸乃>は全身に凍気を纏わせ、両手を突きだし、指を組み合わせる。

白銀に覆われた両腕を中心に吹雪が螺旋状に渦を巻き、巨大な円錐を形成した。

 

「ああああああああああああ・・・・っ!」

 

ハーミット<四糸乃>は組み合わせた両手を力一杯捻った瞬間、その手の周りで渦巻いていた冷気の錐が、ドリルのように『黒い羽』と『白い羽』の隙間を抉じ開けた。

 

「士道さん・・・・今です・・・・っ!」

 

「あーーーーああっ!」

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

「っ!」

 

ハーミット<四糸乃>の声に答えると、彼女が開いてくれた道から折紙の元へ向かおうとしたその瞬間、ディーヴァ<美九>の【輪舞曲<ロンド>】に押さえつけられていたエンジェル・ファントムが雄叫びをあげて、ディーヴァ<美九>の音をはね除けた。

 

「あぁん、ごめんなさいだーりん!」

 

後方からディーヴァ<美九>の謝罪が聞こえる。

エンジェル・ファントムは上昇し、地上50メートルまで飛んで行き、ウィザード<士道>を倒そうと攻撃を繰り広げる。

 

「うわぁっ!!」

 

≪攻撃しているのは、ファントムと〈デビル〉の『羽』のみ。今の〈デビル〉は意思も気力もなく、免疫機能が自動的に外敵を排除しようとしているようなものか≫

 

「くそっーーーー折紙ッ!」

 

ウィザード<士道>が声を張り上げ、名を呼ぶが、エンジェル・ファントムに守られている折紙は、やはりピクリとも反応せず、絶望に染まった瞳は、ただ虚ろに虚空を見上げるばかりだった。

 

「く・・・・! やっぱり、届かないのかよ・・・・!?」

 

奥歯を噛み締めるウィザード<士道>に、ドラゴンが声を発する。

 

≪・・・・小僧。最後のリングを使え≫

 

「えっ?」

 

≪早くしろーーーー“連れて行ってやる”≫

 

「?」

 

ウィザード<士道>は、輪島が作ってくれた中で、『ドラゴンに『?マーク』がついた水色のリング』をドライバーに翳した。

 

[ミラクル プリーズ]

 

その音声が響くと同時に、ウィザード<士道>の身体に魔法陣が現れソコからーーーー。

 

『グワァァァァァァァァァァッ!!』

 

何と、ウィザードラゴンが現実世界に現出した。

 

「ド、ドラゴンっ!?」

 

『ええぇっ!!?』

 

周りの精霊達も驚いた声を張り上げた。

 

「え!? ドラゴン! おま、お前なん(バシィインッ!) ごべばっ!!??」

 

いつものド突きをおみまいされ、正気に戻るウィザード<士道>。

 

『良いからとっとと行くぞ。〈デビル〉を、鳶一折紙を救うのだろう? 今度こそ』

 

「っ! ああ!」

 

ウィザード<士道>は頷くとウィザードラゴンの背中に乗る。ウィザードラゴンは翼を羽ばたかせ、エンジェル・ファントムへと向かう。

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

『カはァァァァァァァァァ!』

 

エンジェル・ファントムが雄叫びをあげて、『羽』で攻撃するが、ウィザードラゴンは口から炎、尻尾から氷雪、翼から竜巻と稲妻の嵐、爪に土石を纏わせて攻撃を全て迎撃する。

 

『貴様はあの娘に呼び掛ける事のみ考えろ! 似非天使は我が引き受ける!』

 

「ああ!」

 

力強く頷きながらも、ウィザード<士道>は『元の世界』での光景が思い出される。

あの時、今と同じように、皆の協力のお陰で折紙の元にたどり着いた。しかし、折紙は心を完全に閉ざしており、士道が何と言おうと反応を示さなかった。

 

「(このままじゃ、あの時の繰り返しだ。俺だけの力じゃ、足りない。何かがーーーーあの時には無かった何かが、必要だ)」

 

『(小僧は手を伸ばしている。声をあげている。だから後はーーーーその手を取らせる、小娘の、“内からの衝動だ”)』

 

ウィザード<士道>とウィザードラゴンは、真っ直ぐに、折紙の元へと飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーワイズマンsideー

 

『・・・・・・・・では、こちらも動こうか』

 

そして、〈デビル〉とエンジェル・ファントム、ウィザード<士道>とウィザードラゴンが戦う空の上からさらに上空。

魔法陣に乗って浮遊するワイズマンは、自分の後方にいるーーーー“複数のファントムに拘束されている1体のファントム”がいた。

 

『『ベルゼバブ』。『ヴァルキリー』。『セイレーン』。離れていなさい』

 

『『『はっ!』』』

 

3体のファントムが、その拘束されているファントムから離れる。

メデューサとグレムリン。そしてガルーダ・ファントム達はウィザード<士道>達の意識を逸らさせる為の囮。

ワイズマンの『真の狙い』を討つ力を持つファントムに向けて声を発した。

 

『では、動いてもらおうかーーーー『レギオン』』

 

『・・・・ふふ・・・・エキサイティング・・・・!』

 

『レギオン』と呼ばれたファントムは、不気味な声をあげて、眼下にいるウィザードラゴンを見据えていた。

 




ーオリジナルリング・『リフレクター』ー

魔法陣に鏡が出現し、光線といった攻撃を跳ね返す。


ー〈仮面ライダーハーミット アーマースタイル〉ー

【凍鎧<シリヨン>】を使用している時になれるスタイル。人格は四糸乃となる。
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