デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今回で、真那のビーストがパワーアップ!


フィーバー・ハイパー 悪魔・撃破

ードラゴンスタイルズsideー

 

士道が折紙を助け出すのとほぼ同時に、メデューサ達と戦っていたハリケーンドラゴンとウォータードラゴンとランドドラゴンは、既に満身創痍状態だった。

 

「「「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」」」

 

『あははは☆ 流石は分身体とは言え士道くん。頑張るねぇ~』

 

『少しは粘ったようだが、ここまでだな』

 

『『『『ぐぅぅぅぅ・・・・!』』』』

 

少し距離を開けた所に立っているのは、メデューサとグレムリンだった。ガルーダ・ファントム達はある程度ダメージを受け、2体の後ろで倒れていたが、この2体は流石は幹部級と言った処か、それほどダメージを受けた様子が無かった。

 

『ん?』

 

『あらら』

 

不意にメデューサとグレムリンが上空に目をやると、エンジェル・ファントムの容貌が変化し、デビル・ファントムへと変貌した。

 

「「「っ!?」」」

 

『うわぉ! 面白くなったねぇ~。どうするメデューサ?』

 

『・・・・・・・・・・・・ワイズマンからの指示が来た。退避せよ、だ』

 

『了解了解♪ さ、ガルーダちゃん達、早く帰るよ』

 

『『『『(コクン)』』』』

 

メデューサが耳に手を当て、ワイズマンからの指示を伝えると、グレムリンが気楽な態度でガルーダ達に撤収を宣告する。

 

『フフフ。守ってみるが良い指輪の魔法使い』

 

メデューサは含み笑いをしながら、魔法陣を展開すると、魔法陣をくぐってこの場から去っていった。

 

《[ドラゴタイム! セットアップ! ファイルタイム! オールドラゴン! プリーズ!]》

 

「「「っ!」」」

 

三人のドラゴンスタイルは、頭に響いたドラゴタイマーの音声を聞き、それぞれのパーソナルカラーの魔力を纏うと、空にいるフレイムドラゴンスタイルのウィザード<士道>の元へと向かった。

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『ゴァアアアアアアッ!!』

 

ドラゴンがウィザード<士道>の身体の中に戻り、ウィザードがドラゴタイマーを再び起動させると、地上から3つの魔力が飛んできて、ウィザード<士道>に集まりオールドラゴンスタイルへと変身したウィザード<士道>の隣に、折紙が悠然と並び立つ。

 

「折紙・・・・」

 

「・・・・こんな・・・・こんな形だけど、やっと士道と、一緒に戦える・・・・!」

 

折紙がぎこちないが、嬉しそうな笑みを浮かべた。

折紙が力を求めたのは、精霊を殺す為だけではない。〈アンノウン〉ーーーー『魔獣ファントム』だけでなく、『人類最強の魔術師<ウィザード>』であるエレン・メイザースとも対等以上に渡り合った士道に、少しでも追い付きたかったからだ。

そうでなければ、誰が好き好んでDEMインダストリーのような、魔獣ファントムとすら手を組む、ブラック企業を跳び越えたダーク企業なんかのスカウトに応じる物か。士道の足手まといになるくらいなら命を捨てる覚悟だってしている。

ウィザード<士道>は仮面越しで小さく笑う。

 

「・・・・行くぜ! ドラゴン! 折紙!」

 

『命令するな』

 

「(コクン!)〈絶滅天使<メタトロン>〉!」

 

ウィザード<士道>が翼をはためかせ、折紙が自分の天使を召喚すると、無数の『白い羽』が折紙の周囲に展開させながら宙を飛び、ウィザード<士道>の隣に並び、デビル・ファントムへと向かった。

 

「皆離れろ!」

 

『っ!』

 

デビル・ファントムと交戦していたプリンセス<十香>達が離れると、ウィザード<士道>はドラゴンヘッドから火炎を、折紙は〈絶滅天使<メタトロン>〉の光線を放つ。

 

『BAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

デビル・ファントムは突然の攻撃に身体をよろけさせた。

 

「はぁあああああああああ!!」

 

「〈絶滅天使<メタトロン>〉・【天翼<マルアク>】!」

 

ウィザード<士道>がドラゴンウイングから緑色の雷撃を放つと、折紙は〈絶滅天使<メタトロン>〉を結集し、背で翼の形を作り、羽ばたかせるように動くと、翼状になった天使の先端から幾条もの光線が放たれる。

雷撃が光線に纏わりつき、まるで電磁砲<レールガン>のようになり、デビル・ファントムの身体にぶつけた。

 

『BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

あまりの威力に、デビル・ファントムは郊外の山に叩きつけられた。

 

「おおシドー!」

 

「くっくっ、謂い状況で駆けつけたものよ」

 

「安堵。マスター折紙も無事のようです」

 

「良かった、です」

 

≪うんうん≫

 

「あらあら。格好良いわねぇ~」

 

「んま! 新しい精霊さんは天使のような可憐さを持ったスレンダークールビューティーですか!? いただきます!(パン!)」

 

「いや、いただかないの」

 

「ほへ~、本当に元ASTの鳶一折紙さんでやがりますなぁ」

 

『精霊になっていたと聞いた時は、驚いたぞ』

 

プリンセス<十香>達も、驚いた様子で折紙を見ていた。

 

『全員、我らが来たからといって気を抜くな。まだあのファントムはやるようだぞ!』

 

『は、はい!』

 

ドラゴンがそう言うと、精霊達の大半が返事をして、構え直した。

と、その時ーーーー。

 

『『っ!!?』』

 

ドラゴンとキマイラが目を細めて上空を鋭く睨んだ。そして、上空から、3体のファントムが現れた。

頭部の側面に悪魔の翼のような部分があり、ハエの顔面のような意匠となっている胴体をした茶色い体色のファントム。

白い甲冑の騎士のような姿をした男性のようないでたちのファントム。

身体の随所に羽毛や翼の意図と、胴体には鳥の蹴爪がある、髪の部分もカラスの羽根のようになっていた、女性のような体格をしたファントム。

 

「こ、コイツらは・・・・!?」

 

「っ! 『ベルゼバブ』! 『ヴァルキリー』! 『セイレーン』!」

 

「真那! 知ってるの!?」

 

突如現れた3体のファントムの名前らしきものを叫ぶビースト<真那>に、イフリート<琴里>が問いかけると、ビースト<真那>は苦々しく吐き捨てるように呟く。

 

「・・・・はい。私が取り逃がしてしまった3体のファントムでやかりますよ。ベルゼバブとセイレーンは洗脳や人心掌握が得意なファントムで、ヴァルキリーは戦闘能力の高いファントムでやがります」

 

『くくく。久しぶりだな、アーキタイプの魔法使い』

 

『いやぁ、奇遇としか言いようがないですね』

 

『あらあら。随分とお友達がいっぱいいるのねぇ? 私達の獲物だった『ゲート』を救って、私達の邪魔をしたあなたを潰せるチャンスが来たと思ったのに』

 

ベルゼバブが剣を、ヴァルキリーとセイレーンが槍を取り出して構えると、ビースト<真那>はダイスサーベルを構えた。

 

「皆さん。油断はしねぇ方が良いでやがりますよ。コイツら実力もえげつなさも半端じゃねぇですから」

 

ビースト<真那>の言葉を聞いて、ウィザード<士道>達も武器を構えて緊張が走る。

 

「えっ? ちょっと待って下さい真那さん」

 

が、ただ1人ディーヴァ<美九>だけは、『ヴァルキリー』を指差しながらビースト<真那>に問いかける。

 

「何でやがりますか美九さん?」

 

「その、『ヴァルキリー』ってあのファントムさんーーーー“男の人”なんですか?」

 

「えっ? そうでやがりますよ。人間態も男の人でやがりました」

 

「そんなぁーーーーっ!」

 

ビースト<真那>の言葉を聞いて、ディーヴァ<美九>は空中で両膝をついて四つん這いになって項垂れた。

他の面子が首を傾げるが、ドラゴンだけは呆れたように目を細めた。

 

「何で〈ヴァルキリー〉って名前のファントムが男の人何ですか!? 〈ヴァルキリー〉って・・・・〈ヴァルキリー〉って、『戦乙女』って意味じゃないですか!? ここは少々無骨だけど軽装の鎧の中に女性のスタイルがはみ出ていて、麗しく凛々しいお姉様風の美女の声をしたファントムが出て来るべきでしょう!? それなのに、それなのに出てきたのは、完全武装した甲冑で中身が男の人ってーーーーこれの何処が戦乙女<ヴァルキリー>何ですかっ!? 世のファンタジー好きの夢とロマンを踏みにじる行為ですよーーーーっ!!」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』

 

と、自分の理想と違ったファントムに憤慨するディーヴァ<美九>の姿を見て、ウィザード<士道>達だけでなく、ファントム達までくだらないと云わんばかりに呆れ果てていた。

 

『(スッ・・・・バチンッ!)』

 

「はうんっ! ハニーったら大胆ですぅ~♥️」

 

ドラゴンが無言で、ディーヴァ<美九>のお尻をドラゴンテイルでの尻尾ド突き(威力は弱め)で叩くと、ディーヴァ<美九>は興奮したような声色を発し、お尻をフリフリと振りながら身悶えた。

 

『あぁ~、コホン。仕切り直してーーーー』

 

ドラゴンの声に、その場にいた一同が再びマジメになって武器を構えた。

 

『BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

と、そこで郊外の山の中腹に叩きつけられていたデビル・ファントムが起き上がり、咆哮をあげると、背中の『黒い羽』が無数に浮き、先端から光の刃となると、ウィザード<士道>達に向かって突撃してくる。

 

「うわっと!」

 

『フン』

 

ドラゴンがドラゴンテイルを動かして『黒い羽』を叩きつけると、『黒い羽』は氷に包まれて重さで地上に落下するーーーーが、すぐに氷を砕いて再び宙を舞ってウィザード<士道>達に迫り来る。

 

『やはり面倒だな。我らと〈デビル〉、いや〈エンジェル〉であのデビル・ファントムを仕留めるが、〈プリンセス〉達は新たに現れたファントムの相手を「ちょっと待つでやがりますよ」あん?』

 

「真那?」

 

ドラゴンの指示をビースト<真那>が遮り、ドラゴンとウィザード<士道>は訝しそうな顔になる。

 

「兄様。ここは真那にお任せください。取り逃がした奴等が雁首揃えていやがるんです。まとめてビーストのご飯にしてやがりますよ!」

 

「いやね真那。勇ましいのは良いけど、1人でなんて・・・・」

 

「ふっふっふっふっ、琴里さん。心配は無用の一言でやがりますよ」

 

『目ん玉ひん剥いて真那の雄姿を見やがれ!』

 

『真那ちゃんのさらに素敵な姿をご覧あれ!』

 

『あまりに凄すぎて驚くなよ!』

 

『フィーバーなんだな』

 

『良し! 行くぞ真那!』

 

「見せてやがりますよ! 真那達の取って置き!」

 

[Mirage Magnum]

 

ビースト<真那>は懐から、金と青のカラーリングに鏡とリングをセットするスロットが前後についた銃身に飛び掛かる金色のライオンの装飾が施された大型の銃を取り出すと、指に『金のライオンの顔面が施された青いリング』を指に嵌めた。

 

「行きますよー!」

 

ビースト<真那>はリングをドライバーのスロットに押し込む。

 

[ハイパー! GO! ハイッ ハイッ ハイッ ハイパー!]

 

『『『『『はぁぁぁぁぁぁぁ!!』』』』』

 

ビースト<真那>が飛び上がり、ビーストキマイラが真っ赤に輝き、ビースト<真那>と合体するように入り込むと、ビースト<真那>から青い魔力が迸り、その姿を変えた。

スーツのカラーリングは青に、頭部が青と金の角が2つ横に伸び、複眼が赤く変化し、左右対称の形状の金色のアーマーとなり、胸部はキマイラの頭部を模しており、両腕には金糸の紐が靡いたその姿。

 

「これが真那のニュースタイル! 〈仮面ライダービーストハイパー〉でやがりますよ!!」

 

「な、何だぁッ!?」

 

『・・・・マジか』

 

『えぇぇぇぇぇぇっ!?』

 

ウィザード<士道>にドラゴン、イフリート<琴里>達も驚愕した。

 

「フフン! どうでやがりますか兄様! このフィーバーな姿!」

 

「いや、その、結構ーーーーいや、かなり派手だな・・・・それにその銃って・・・・」

 

「ああこれでやがりますか? これは今の職場の上司が遺跡から発掘されたモノで、『鏡面獣銃 ミラージュマグナム』でやがります。真那がこの『ハイパーリング』を使えるようになったら石のような形をしていたのがこんな形になりやがったんですよ」

 

「い、遺跡から発掘された?」

 

「まぁこれ以上の話は後でやがります。とりあえず!」

 

ビーストH<ハイパー>となった真那は、ミラージュマグナムでヴァルキリー達を撃つ。

 

『『『ぐぅっ!』』』

 

「さらに!!」

 

一瞬怯んだヴァルキリー達に、ビーストH<真那>が両手を振るうと、金糸の紐、『フリンジスリンガー』が伸びて、ベルゼバブとセイレーンをヴァルキリーから引き剥がした。

 

「さぁ! ご飯の時間でやがります!」

 

ビーストH<真那>はダイスサーベルを構えて、ヴァルキリーと切り結んだ。

 

「兄様早く!」

 

「真那・・・・!」

 

「士道。真那は私と四糸乃と七罪でサポートするわ」

 

「任せて、ください・・・・」

 

「お姉さん頑張っちゃうわよ」

 

「・・・・分かった。頼む!」

 

ウィザード<士道>は折紙とプリンセス<十香>、ベルセルク<八舞姉妹>とディーヴァ<美九>を連れて、デビル・ファントムへと向かった。

 

 

 

ー真那sideー

 

「はぁっ!!」

 

『ぐぅおぅ!』

 

ヴァルキリーの剣を弾くと、ビーストH<真那>はすかさずミラージュマグナムの光弾を浴びせる。

 

「たぁっ!!」

 

さらにフリンジスリンガーでヴァルキリーを攻撃していく。

 

『ぐぁ!』

 

「まだまだでやがります!」

 

ビーストH<真那>は空中を縦横無尽に飛びながら、ヴァルキリーを斬り付け、光弾で撃ち抜く。

 

『くっ! かぁぁぁぁぁぁ!』

 

途中、ベルゼバブが全身を無数の蝿に変えて襲い来るが、

 

「なんとぉ!」

 

ビーストH<真那>は光弾を連射して、蝿達を撃ち抜いていく。

 

「真那! 離れなさい!」

 

カマエルブレイカー・バスターモードを構えたイフリート<琴里>がそう言うと、ビーストH<真那>はすかさず蝿達と距離を空け、火炎の本流が蝿達を飲み込んだ。

 

『がぁぁぁぁぁ!!』

 

一体に戻ったベルゼバブは、身体の所々から焦げたような煙をあげる。

 

『っ! キャァァァァァァァァァァァァ!!』

 

次にセイレーンが声による衝撃波は放つ。

 

「なんのぉ! キマイラ!!」

 

『ガォオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

胸部のキマイラの顔から咆哮があがると、ソコからも衝撃波が放たれ、セイレーンの衝撃波は押し返した。

 

『バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

「四糸乃ちゃん!」

 

「は、はい! え、えーい!」

 

ウィッチ<七罪>の声に答えて、ハーミット<四糸乃>が特大の氷の玉を作ってセイレーンをぶつけた。

 

『うあああああああああああああ!!』

 

氷の大玉を叩きつけられ、セイレーンは地面へと落下した。

 

「皆さん! 残った2体を1ヶ所に集めてください!」

 

「「「っ! はぁぁぁぁっ!!」」」

 

『『ぐはっ!?』』

 

「えーい!」

 

言われ、イフリート<琴里>がベルゼバブを、ハーミット<四糸乃>とウィッチ<七罪>がヴァルキリーを抑え、押し出し、2体の背中が空中でぶつけさせると、ハーミット<四糸乃>が2体を氷付けにした。

それを確認したビーストH<真那>は、『ハイパーリング』の口を開けて、ミラージュマグナムのスロットにセットした。

 

[ハーイパー! マグナムストライク!]

 

「ふぅ・・・・!」

 

『行くぞ! お前ら!』

 

『『『『おう(ええ)!』』』』

 

ビーストH<真那>がミラージュマグナムを構えると、銃の鏡からキマイラの幻影が出現し、ビーストH<真那>と一体化すると、銃身のライオンの装飾が輝く。

 

「・・・・・・・・いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ーーーーガォオオオオオオオオオオオオオオオ!!

 

キマイラの形をした巨大な魔力の砲撃が、氷付いたベルゼバブとヴァルキリーへと向かっていく。

が、その寸前。

 

ーーーーガシャァァァァン!!

 

『くっ!・・・・はぁ!!』

 

『なっ!? ぐぉあああああああああっ!!?』

 

氷を砕いた2体の内、ベルゼバブは自分の身体を無数の蝿にして飛び散り回避するが、ヴァルキリーはマトモに受けてしまう。

 

『シューティングミラージュ』

 

ーーーードガァァァァァァァァァァンッ!!

 

ヴァルキリーが爆散し、逃げたベルゼバブを追うとするが、ウィザード<士道>達の方が気になったので、そっちに向かおうとした瞬間、目映い光が視界に入った。

 

 

 

 

ー士道sideー

 

『BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

ビーストH<真那>達が撃破する少し前、咆哮をあげて攻撃するデビル・ファントムの『黒い羽』を、プリンセス<十香>、ベルセルク<八舞姉妹>、ディーヴァ<美九>がそれぞれの必殺技で破壊していく。

 

「シドー!」

 

「ああ! 行くぞ折紙!」

 

「(コクン!)」

 

ウィザード<士道>の言葉に折紙は強く頷くと、〈絶滅天使<メタトロン>〉を展開し、ウィザード<士道>も全身から魔力を迸らせ、身体全体を包み込んで、デビル・ファントムへと突進する。

 

「フィナーレだっ!!」

 

「〈絶滅天使<メタトロン>〉・【砲冠<アーティリフ】っ!!」

 

かつて、『元の世界の5年前の過去』で、両親の命を奪った、〈絶滅天使<メタトロン>〉最大の砲撃が、ウィザード<士道>を飲み込んで、デビル・ファントムに向けて放たれた。

 

『BAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

デビル・ファントムはその圧倒的な光の奔流を受け止めようとするーーーーしかし、

 

『「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」』

 

光の奔流の中を突き進みながら、ウィザード<士道>とドラゴンの叫びが重なり、デビル・ファントムの身体に激突したーーーー。

 

『っっ!!!』

 

『ドラゴンストライク・【砲冠<アーティリフ】』

 

デビル・ファントムの身体を突き抜けたウィザード。

そして、大きな風穴ができあがったデビル・ファントムの身体を、その穴から皹が広がり、光の奔流の中で身体が崩壊していく。

 

『!?』

 

デビル・ファントムは光の奔流の向こう側にいるーーーー折紙の姿を捉えた。自分の中から生まれた魔物を見つめる折紙のその瞳には、僅かな涙が浮かび頬を伝って落ちていく。

 

「さようなら。そしてどうか、やすらかに眠って、もう1人のーーーー「『私達』」」

 

折紙のその姿と声は、『元の世界』と『この世界』、2人の折紙が重なったように感じた。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

その言葉を聞いて、デビル・ファントムはゆっくりと、その身体から力を抜くと、純白の光の中に消えていったーーーー。

 

「・・・・・・・・終わったな」

 

『・・・・うむ』

 

デビル・ファントムが消滅したのを確認したウィザード<士道>とドラゴン。オールドラゴンから、フレイムドラゴンに戻ると、折紙が近づいてきた。

 

「折紙・・・・」

 

「士道・・・・」

 

折紙は仮面を解除した士道に抱きつくようにその身を預ける。

 

「折紙・・・・」

 

士道は折紙の指に、『エンゲージウィザードリング』を嵌めてやると、折紙の唇に、自分の唇を重ねた。

折紙の好感度は観測するまでもなく高くなっている筈と思ったのか、自分の欲求から来たものなのか分からない。

 

「・・・・!」

 

折紙は一瞬身体を震わせたが、すぐに士道に身を委ねるように体重をかけてきた。

すると次の瞬間、折紙が纏っていた純白の霊装が、キラキラと軌跡を残し、空気に溶け消えていき、リングも、『翼に包まれた王冠の装飾がされた白いリング』へと変化する。

 

「これ、は・・・・」

 

唇を離し、光と消える霊装に目を丸くした。

 

「おっと」

 

[ドレスアップ プリーズ]

 

すぐに『ドレスアップリング』を読み込ませると、純白のドレスを折紙は纏った。すぐにプリンセス<十香>達が近寄ってくる。

 

「む・・・・っ」

 

プリンセス<十香>は仮面を解除すると、士道にもたれ掛かっている折紙を見て少し眉をひそめたが、フンと鼻を鳴らして腕組みした。

 

「ふん・・・・まあいい。今だけは特別だぞ、“折紙”」

 

「ん・・・・?」

 

士道は十香の態度に苦笑しそうになったが、すぐに違和感に気づいた。

十香の物言いが、まるで随分前からの好敵手に向ける言葉に感じたからだ。

 

「十香、お前・・・・折紙の事、思い出したのか?」

 

「む? 何を可笑しな事を・・・・ぬ、しかしそうだな。何だか、少し前まで忘れていた気がするのだが・・・・」

 

十香が首を傾げ、他の精霊達(仮面解除)も似たような反応だ。

 

「ドラゴン、これって・・・・?」

 

≪ふむ・・・・以前〈イフリート〉の時に、再封印でキスした事で貴様の記憶が呼び起こされた。封印を施された精霊達とは経路<パス>で繋がっているから、鳶一折紙を封印した事により、経路<パス>を通じて記憶が目覚めたのかもな≫

 

「・・・・はは」

 

思いがけないプレゼントに士道は苦笑した。

 

≪貴様、まさか改変前の方が良い関係性を作れると思ってはおるまいな?≫

 

「(いや、それも含めてだ。・・・・まぁ前途多難だけど)」

 

≪間違い無くな≫

 

と、士道とドラゴンがそう話していると、折紙がゆっくりと首を回し、精霊達の方に視線をやりそして、

 

「ーーーーありがとう、“十香”、皆。私の為に、戦ってくれて」

 

何て、折紙らしからぬ言葉を吐いた。

 

「なーーーーっ!?」

 

「え・・・・?」

 

「ウソ・・・・!」

 

「御主、今なんと申した?」

 

「疑念。マスター折紙、まだ正気に戻っていないのですか?」

 

「うぅん、素直な折紙も可愛いですぅ」

 

「あらあら、珍しいわね」

 

「まさか人工衛星が落ちてきたりしやがりませんか?」

 

十香を始めとして、精霊達(+真那)が驚愕の表情(一部除く)を作る。

だが・・・・士道とドラゴンは不思議と驚かなかった。

だって今ここにいるのは、『元の世界』とーーーー『この世界』、両方の記憶を持った折紙だから。しかし、あまりに意外だったのだろう。ライバルの変わりように十香は焦った様子で目を泳がせ、プイッと顔を剃らした。

 

「かッ、勘違いするな! 私はその、あれだ! シドーに頼まれたからやっただけだ!」

 

十香も折紙の身を案じていたと言うのに、何とも素直でない事を言う。

だが。

 

「ーーーーそう。ではあなたには感謝しない。利己的な精霊。なんて醜い」

 

「な・・・・っ!?」

 

折紙が半眼になりながら言った言葉に、十香は眉根を寄せた。

 

「貴様、さっきと言っている事が違うではないか!」

 

「何も違わない」

 

十香が声を張り上げ、折紙が顔を背ける。

士道は『元の世界』でのやり取りを繰り広げる2人に、思わず苦笑した。

 

「はは、はははは・・・・」

 

士道は少し涙を浮かべながら笑う。紆余曲折はあった、しかし、これでまた戻ってくる。自分の大切なーーーー『日常』が。

そう思い、2人を止めようと声をかけようとしたその瞬間、

 

≪っ! 小僧後ろーーーー≫

 

ーーーーズシュンッ!!

 

ドラゴンが声を上げるのと同時に、それが起こった。

 

「ーーーーえ?」

 

士道は自分の胸元に、血塗れの刃が飛び出ていた。

 

『っ! シドー!?/士道(くん)!?/だーりん!?/兄様!?』

 

「ごふっ・・・・!」

 

喧嘩していた十香と折紙、苦笑いしていた琴里達も、士道に目を向け、声を張り上げる。

士道せり上がってくる血を口から吐きながら後ろを振り向くとソコにはーーーー。

表皮を青と白い骨のような鱗で覆われている。鳥のような、蜥蜴のような外見をした、黄色い1つ目のファントムがいた。

 

『ハッピーエンドの余韻に浸った心が絶望に染まってしまう・・・・いい・・・・実に良い!・・・・エキサイティング!!』

 

『ガハッ!!』

 

謎のファントムが愉悦に満ちた声を漏らして刃を捻ると、ドラゴンが血を吐き出したような声を発した。




次回、折紙の話が終わりそしてーーーー。
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