デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今年最後の投稿です。


攻略・士道3

ー白い魔法使いsideー

 

士道が精霊達に攻略されている頃、白い魔法使いは天宮市の裏通りで、ある物を発見した。それは・・・・。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

士道に捨てられたウィザードライバーとウィザードリングが付けられたチェーンだった。2つとも、まるで主に捨てられた事を泣いているかのように、そんな寂しさに満ち、悲しそうに見えた。

 

『五河、士道・・・・!!』

 

白い魔法使いはアスファルトに落ちているドライバーとチェーンを拾うと僅かに身体を震わせながら、士道に対して怒りを湧き出しそうになっていた。

 

 

 

 

 

ー四糸乃sideー

 

『おっほー、七罪ちゃんたらやるねー』

 

「うん、七罪さん・・・・凄い」

 

七罪の奮闘を見ていた四糸乃は、よしのんの言葉にコクリと頷いた。

これで3人が成功した。予断は許されないが、比較的順調だ。

 

《・・・・さて、次は誰が行くかね》

 

と、ソコでインカムから、令音の声が聞こえた。

 

『ハイハーイ、次は四糸乃が行かせて貰うよー』

 

「・・・・! よ、よしのん・・・・?」

 

突然の相棒の言葉に、四糸乃は目を見開いた。

 

《・・・・ん、四糸乃にするかい?》

 

「い、いえ、私はまだ・・・・」

 

『四糸乃ー、ここが頑張り時だよー? いつも助けて貰ってる分、士道くんを助けてあげなくちゃ! その為に、さっき作戦会議もしたんじゃなーい!』

 

「・・・・っ」

 

言われて四糸乃は小さく肩を揺らした。よしのんの言う通りだ。ドラゴンが死んでしまった今、士道を助けられるのは自分達精霊しかいないのだ。尻込みしている猶予はない。

意を決して、令音に返事を返す。

 

「や、やらせて、ください・・・・!」

 

《・・・・ん、了解した。頑張ってくれ》

 

静かな調子で返した。四糸乃は心を落ち着かせようと胸元に手を置きながらスウッと深呼吸をし、ゆっくりと顔をあげた。

 

「いくよ、よしのん・・・・!」

 

『ガッテン! 全力全開! じゃあ四糸乃、さっそくさっき立てた作戦通りに!』

 

「う、うん・・・・」

 

四糸乃は意を決するように頷くと、士道の元へと走っていった。それに気づいた士道が視線を向けてくる。

 

「お、四糸乃によしのん。はは、可愛い水着だな」

 

「あ、ありがとう・・・・ございます・・・・」

 

「まあ、四糸乃の方が可愛いけど」

 

「・・・・・・・・!////」

 

顔を合わせてすぐにそう言われ、四糸乃は思わず赤面してしまった。

そのまま数秒間何も言えずにいると、よしのんが先を促すようにツンツン、と脇腹をつついてきた。

 

「あ・・・・士道さん、あの・・・・」

 

『んほぉぉぉ!』

 

言いながら、よしのんの中に忍ばせておいた小さなボトルを取り出すと、その際によしのんが妙な声をあげたが無視する。

 

「ん、何だソレ」

 

「その・・・・日焼けクリーム・・・・です。士道さんに塗ってあげようと思って・・・・」

 

「日焼け止め?」

 

言いながら士道が見上げると、ここはあくまでセットの中なので日焼けの心配はない。

が、士道はニッと気持ちの良い笑みを浮かべた。

 

「そっか、じゃあ宜しく頼むよ。耶倶矢と夕弦に塗った事はあったけど、塗られるのは初めてかもな」

 

そう言って、士道は人口砂浜の上にシートを敷き、俯せになる。

 

「は、はい・・・・っ」

 

四糸乃はコクリと頷くと、よしのんの身体にビニールカバーを被せた後、日焼け止めクリームを手に取り、そして。

 

「し、失礼・・・・します」

 

四糸乃は意を決すると、士道の背中に馬乗りするように跨がった。

 

「おっと、随分と大胆だな」

 

《『四糸乃ちゃん、恐ろしい子・・・・!』》

 

士道の声とクルーの大半の戦慄した声を聞いて、四糸乃は顔を赤くする。

 

「・・・・っ!//// あ、あの・・・・すみません・・・・////」

 

「謝る事なんて無いぞ。続けてくれ」

 

「は、はい・・・・」

 

その言葉に従い、四糸乃はよしのんと共に、士道の背中をマッサージするようにクリームを塗っていた。

 

「・・・・・・・・」

 

こうして触れて見ると、自分の身体との差がよく分かる。どちらかと言うと中性的な容貌の士道だけれど、その背中は大きく、腕にはしなやかな筋肉の感触があった。何だが触れているだけで、四糸乃は少し顔が熱くなってしまう。

 

「あー・・・・中々気持ちいいもんだな、こりゃあ。耶倶矢と夕弦が騒いでいたのも分かる気がするよ。上手いな、四糸乃」

 

「あ、ありがとうございます・・・・////」

 

照れるように言ってから、クリームを丹念に塗っていく。

そして背中全体に塗り終えた処で、四糸乃はスウッと息を吸い、呼吸を整えてから唇を動かした。

 

「あの・・・・士道さん。背中、終わりました」

 

「ん? ああ、ありがとう」

 

「だから、その・・・・こ、今度さ、前を・・・・塗ります・・・・!」

 

目をキュッと瞑りながら四糸乃が言うと、士道は一瞬目を丸くした後、面白がるように呟いた。

 

「ふうんそうか。じゃあ・・・・お言葉に甘えようかな」

 

そう言って、四糸乃に一旦その場から退くようにジェスチャーをすると、四糸乃は慌てて士道の背中から離れた。

すると士道は、何だが妙に艶っぽい仕草をしながら身体を起こすと、そのまま仰向けに横たわり、

 

「さあ・・・・四糸乃。おいで」

 

四糸乃を誘うように手招きする。

 

「は、はい・・・・////」

 

小さな声で答えた四糸乃は、恐る恐る士道の腹を跨ぎーーーーそのまま、ゆっくりと腰を下ろした。

 

「じ、じゃあ・・・・始めます」

 

そして先ほどと同じように手にオイルを取り、士道の胸に、腹に塗り込んでいく。四糸乃の指が触れる度、微かに士道の筋肉が震えた。

こんな状況をドラゴンが見たら≪破廉恥だぞ〈ハーミット〉! 嫁入り前の娘がそんなふしだらな事をしてはいけません!!≫とお叱りが飛んで来そうだなぁと、四糸乃は思った。

と、ソコで、インカムから令音の声が聞こえた。

 

《・・・・シンの興奮度が順調に上昇している。四糸乃、後少しだ》

 

「後・・・・少し・・・・」

 

「ん? 何だ?」

 

「え・・・・えっと・・・・」

 

四糸乃はモジモジしながら視線を逸らした。すると、左手のよしのんが、四糸乃の言葉を代弁するように口をパクパク開いた。

 

『ねーねー士道くぅん? よしのん的にはさー、もうちょっと下の方までしっかり塗った方が良いと思うわけよー』

 

「うん? 下の方・・・・って言うと」

 

よしのんの言葉に、士道は徐々に視線を下に滑らせていく。しかし、現在士道の腹部は四糸乃が跨がり、必然的に士道の視線は、四糸乃の下半身に遮られ、足先から脛に膝、そしてーーーー水着から伸びる剥き出しの太腿に視線が行った。

 

「・・・・っ////」

 

士道の視線に舐め回されるかのような錯覚に、四糸乃は思わず息を詰まらせた。

いつもの士道なら慌てふためき、怒り狂ったドラゴンのド突きでノックアウトされている処だろう。

 

「どうする四糸乃、よしのんはこう言ってるけど」

 

「あ・・・・私・・・・」

 

右手で顔を覆った四糸乃は、か細い声を発する。

 

「・・・・・・・・や、やらせて・・・・下さい・・・・」

 

「良く言えました」

 

≪何が良く言えました、だっ!!≫と、ドラゴンがいたら強烈なド突きが炸裂しそうな台詞を言って、士道がゆっくりと頷く。四糸乃はハァハァと呼吸を荒くしながら、士道のお腹の上で方向転換し、士道の足の方に向いた。

が、四糸乃の手が士道の太腿に触れようとした瞬間。

 

ーーーードゴォォォォォォォンン・・・・!!

 

凄まじい震動が、施設を襲った。

 

「ーーーーき、きゃぁっ!?」

 

巨大地震もかくやと言う衝撃に四糸乃は思わず悲鳴を発する。天井から爆音が鳴り響き、壁にヒビが走り、南国を形作っていたオブジェが、雄とを立てて倒壊した。施設内にいる精霊達や機関員が戦慄した。

 

「四糸乃!」

 

瞬間、士道は四糸乃を抱え込み、そのままプールへとダイブした。その一瞬後、四糸乃が立っていて馬車に、天井から巨大な照明が落ちてきた。

 

「あ、ありがとうございます・・・・」

 

「いや、それより、何なんだこれは」

 

「これは・・・・」

 

それが自然災害ではない。ーーーー人間や異形の存在による悪意と殺意の気配である事が分かった。

穴の空いた施設の天井を見ると、ガルーダ・ファントムにユニコーン・ファントム、クラーケン・ファントムにゴーレム・ファントムが、インプと〈バンダースナッチ〉を引き連れて空に佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

ー琴里sideー

 

「何!? 一体何事!?」

 

陰から四糸乃の奮闘を見守っていた琴里は、破壊されたであろう天井から見上げて眉根を寄せた。

 

「ーーーー令音!? 一体何がどうなってるの!?」

 

《・・・・緊急事態だ君達のいる施設の上空に、『ファントム』と姿と、〈バンダースナッチ〉の反応が幾つも確認されている。それにーーーー少し離れて、エレン・メイザースと思しき反応も》

 

「何ですって!?」

 

〈仮面ライダーウィザード〉でなくなった士道を始末しに来たのか? と琴里は思い、上空にいる異形の魔物達と機械人形達を睨んだ。

 

「く・・・・DEMに嗅ぎ付けられたって言うの?」

 

《・・・・ああ。恐らく狙いはシンだろう。・・・・すまない。此方の落ち度だ。まさかこんなに簡単に接近を許してしまうとは》

 

「いえ、仕方ないわ。〈フラクシナス〉のようにいかないのは重々承知してる。ーーーーそれよりも、この状況をどう逃れるかよ。く、何だってこんな時に、いえ、寧ろこんな時だからか・・・・!」

 

琴里が忌々しげに言う。今は〈フラクシナス〉もなく、精霊達は〈仮面ライダー〉になれない上に霊力すら扱えない状態だ。唯一戦えるのは自分達の霊力を使いたい放題の士道だが、今の士道は何をするか分からない状態だ。危険すぎる。

自分が敵の立場ならこの機を逃さない。しかし、エレン・メイザース、つまり〈仮面ライダーヘルキューレ〉に魔獣ファントムの軍団だ。最高に最悪な取り合わせと言える。

 

《・・・・時間がない。琴里達はどうにかシンの攻略を継続してくれ。エレン・メイザース達の方は何とか此方で対応する》

 

「対応って、そんな事ーーーー」

 

《・・・・出来れば使いたくは無かったが、こんな事もあろうかと対抗策は用意してある。任せてくれ》

 

令音が落ち着いた調子で言ってくる。琴里は一瞬逡巡した後、頷いた。

 

「・・・・分かったわ。令音がそう言うなら、キット大丈夫なんでしょう。ーーーーそっちは任せるわ。この状態じゃあもうプールは使えないわね。セカンドシークエンス発動、予備施設を用意して頂戴」

 

《・・・・ああ、では、健闘をーーーー》

 

と。令音の言葉の途中で、琴里の視界の端にゆっくりと歩み出る陰があった。ーーーー士道だ。

 

「おいおい、随分と派手にやってくれたな。ーーーー始めたのはソッチだぜ。勿論、覚悟はできてるんだろうな?」

 

言って、空に浮かぶ無数の〈バンダースナッチ〉とガルーダ・ファントム達を睨み付けながら、地面を踏みしめるように足を開き、まるで世界的有名な龍の玉の主人公のように、両手を揃えて腰だめに構える。

 

「士道・・・・? 何してるの?」

 

怪訝そうな顔で問うと、士道は琴里を一瞥し、フフンと鼻を鳴らした。

 

「見てな。コレを使えば、あんな『忌々しい竜』なんて必要ないって言った俺の言葉を納得するぜ」

 

すると、手の中に、霊力の光が集束されていった。

そしてーーーー叫ぶ。

その、技の名を。

 

 

 

 

「ーーーー『奥義! 瞬閃轟爆破』ぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

 

 

 

烈帛の気合いと共に、士道が両手を上方へと突き出した瞬間、士道の手のひらから、凄まじい霊力波が迸った。

十香の〈鏖殺公<サンダルフォン>〉、折紙の〈絶滅天使<メタトロン>〉と遜色ない濃密な力の奔流が、崩れかけていた天井を完全に貫き、夜空を数瞬真昼のように白く照らす。

 

『『『『っっ!?』』』』

 

その上方に密集していた〈バンダースナッチ〉数十体とガルーダ・ファントム達は、突然の攻撃に逃げる事も叶わず、〈バンダースナッチ〉は花火のように散り、ガルーダ・ファントム達はその奔流に呑まれた。

 

「うそぉっ!?」

 

琴里は思わず声を裏返らせた。が、よくよく考えれば精霊8人分の霊力を保有している今の士道ならば、過去の黒歴史から作った妄想の必殺技を使えても不思議ではないのだが・・・・その物凄く異様な光景を見ている気がしてならなかった。

 

「れ、令音、対抗策ってこれの事じゃないわよね・・・・」

 

《・・・・流石に、違うよ》

 

困惑する琴里に、令音が冷静に返した。

すると、士道が一仕事した終えた様子で額を拭った。

 

「長きに亘る我が鍛錬の成果、思い知ったか。ーーーーなんてな」

 

「・・・・・・・・」

 

あまりに滑稽であるが、恐ろしい威力だ。やはり、このまま士道を放っておけない。ストッパー役である飼い主<ドラゴン>がいなくなった今の士道は危険すぎる。完全に安全装置が外れて、いつ爆発するか分からない核弾頭だ。

 

「士道さん・・・・」

 

琴里がそんな事を考えていると、四糸乃が走り寄ってきた。

 

「ああ、四糸乃。安心しろ。お邪魔虫は片付けておいたからな」

 

「は、はあ・・・・」

 

先ほどの光景を見て、四糸乃が頬に汗を垂らしながら曖昧な返事をする。

と、琴里はそこで、目をしばたたかせた。四糸乃のワンピース水着のお腹の辺りが裂け、可愛いおへそが覗いていた。

 

「四糸乃、それ」

 

「はい、何ですーーーーあっ」

 

四糸乃も言われて気づいたらしく、自分のおへそを見下ろして驚いたような声を上げる。

 

「あらら・・・・何処かに引っかけちゃったのね。着替えてきた方が良いんじゃない?」

 

「あ・・・・大丈夫です。それなら・・・・」

 

四糸乃は琴里にそう答え、おもむろに水着の片紐に手をかけ、そのままグイッと片紐を下ろす。

 

「ちょ、ちょっと四糸乃!?」

 

慌てて止めようとする琴里だが、もう遅い。よしのんに協力して貰いながら、水着を腰元まで下ろす。ワンピース水着に覆い隠されていた四糸乃の雪のように白い肌が外気に晒される。

 

「・・・・へっ?」

 

がーーーー琴里は目をパチクリさせた。

四糸乃は水着の下に、もう1枚、チュートップタイプのビキニを着ていたのだ。

 

「四糸乃、それ」

 

「はい・・・・念の為、着ておいた方が良いってよしのんが・・・・」

 

『ナイスでしょう?』

 

「念の為って・・・・水着が破れた時の為って訳じゃないわよね」

 

「え・・・・えと・・・・その・・・・はい」

 

恥ずかしそうに肩をすぼませながら四糸乃は顔を赤くする。

その瞬間。

 

《ーーーーパンパカパーン!》

 

インカムから、興奮値90突破を示すファンファーレが鳴り響いた。

 

「・・・・!?」

 

驚いて士道の方を見やると、物凄く興味深そうな視線で、水着を脱ぎかけ姿の四糸乃を凝視していた。顎に手を置き、美術評論家のように時折小さく頷いてみせる。

 

「あ、あの・・・・////」

 

その視線に気づいてか、四糸乃はさらに顔を赤くした。

 

「・・・・四糸乃・・・・恐ろしい子!!!」

 

琴里は、有名な少女漫画のキャラのような戦慄に染まった顔で呟いた。

 

「あ、あの・・・・士道さん・・・・」

 

「んん~、どうした四糸乃?」

 

四糸乃が意を決して、士道に話しかけた。

 

「わ、私・・・・よしのんに、いつも助けられてます・・・・」

 

「う~ん、そうだなぁ」

 

「こ、この水着も、意気地がない私の背中を・・・・よしのんが叩いてくれたから、着ました・・・・」

 

「うんうん」

 

「し、士道さんも、そうだと思います・・・・」

 

「えっ?」

 

「?」

 

四糸乃の言葉に、士道と琴里は首を傾げる。

 

「士道さんも・・・・あんなに、恐いファントムや・・・・強いDEMの魔術師<ウィザード>さんと、戦ってこられたのは・・・・“あの人”が、いてくれたからだと思います・・・・」

 

「っ・・・・!」

 

「あ・・・・」

 

“あの人”、それが誰なのか士道と琴里は理解した。

 

「し、士道さんには、厳しい人でしたけど・・・・私達を助ける為に、誰よりも士道さんの傍にいてくれて、誰よりも士道さんの力になってくれたのは、“あの人”なんだと思います・・・・だ、だから、【必要ない】なんて、悲しい事を言わないで、下さい・・・・!」

 

四糸乃が涙を滲ませながらそう言うと顔を俯かせ、後をよしのんが引き継いだ。

 

『士道くんさぁ、そりゃあいつも喧嘩してるからあんな事を言うかも知れないけどねぇ。忘れちゃ駄目だよ? 四糸乃によしのんがいるように、士道くんには“彼”がいたった事をさ』

 

よしのんがいつものひょうきんな態度ではなく、真面目な口調でそう言った。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『ま、四糸乃とよしのんはこれにてドロンするよ。それじゃあね。四糸乃、行こう』

 

「・・・・うん・・・・」

 

四糸乃とよしのんが去っていった。

 

「・・・・・・・・・・・・ちっ」

 

「っ」

 

それを見送ると、士道は一瞬険しい顔になって小さく舌打ちするのを、琴里は見逃さなかった。

 

 

 

 

ーエレンsideー

 

「ほぉ・・・・」

 

天宮市から少し離れた森の中に位置する謎の施設。恐らく〈ラタトスク〉の施設であろうソコを一望できる高台で、エレンは先遣隊として向かわせた〈バンダースナッチ〉20機が、施設から発射された謎の光線で、悉く破壊されたのだ。

 

《ーーーー〈バンダースナッチ〉隊、消滅しました・・・・!》

 

《す、凄まじい霊力値です・・・・!》

 

通信機から、オペレーターの声が響いてくる。エレンはフンと鼻を鳴らした。

 

「・・・・成る程。〈仮面ライダー〉に代わる力はかなりのようですね」

 

エレンは腰に着けた〈ヘルドライバー〉を撫でた。〈仮面ライダーウィザード〉で無くなった五河士道を倒したとしても、自分に付けられた敗北の泥を拭った事にはならないだろう。

 

「・・・・しかし、アイクの望みですからね」

 

エレンは仕方ないと思い、オペレーターに指示を出す。

 

「第2陣、用意。次は私も出ます。対空砲撃に注意してください」

 

《はっ!》

 

返事が響くと、エレンの背後に控えていた〈バンダースナッチ〉隊が、武器を構えながら順に空へと飛び立つ。

がーーーーその時。

 

[キマイラ! ビーストクラッシュ! ゴー! ゴー!!]

 

「・・・・!?」

 

視界に金色の獅子の異形のオーラが、その爪で先行していた〈バンダースナッチ〉隊を、一瞬で凪ぎ払った。

 

「あれはーーーー」

 

エレンは呟くと、即座に何があったのか理解し、『ヘルキューレリング』を嵌めた手を天に伸ばし、ゆっくりと自分の眼前に下ろす。

 

「変身」

 

[セット ソーティー]

 

リングをドライバーの窪みへと押し込むと、低く重い音声が響い、ドライバーの扉が開くと、漆黒の馬の頭部が現れる。

 

[H・O・R・S・E! ホース!]

 

ーーーーヒヒィイイイン!!

 

[ダーインスレヴ!] [イージス!]

 

エレンの足元に魔法陣が展開され、上に登っていくと、〈仮面ライダーヘルキューレ〉へと変身し、武器を展開させると同時に、目前に現れた橙色の隼6匹を1振りで切り捨てた。

 

「ーーーー真那」

 

「流石はエレン。簡単にやられちゃくれねーですね」

 

ヘルキューレ<エレン>が名を呼ぶと、一瞬の内にソコに現れた〈仮面ライダー〉は、後方へと飛び退いた。

嵩宮真那。五河士道の実妹にして、〈仮面ライダービースト〉であり、元DEMナンバー2の魔術師<ウィザード>であった。

 

「まさか、あなたが出てくるとは思いませんでしたよ」

 

「兄様の一大事って言われたら、黙ってる訳にもいかねーでしょう。わりーですが、私が来たからにはあなたの思うようにはいきませんよ、エレン」

 

ビースト<真那>が挑発するように言ってくる。ヘルキューレ<エレン>は、はぁ、とため息を吐いた。

 

「・・・・あなた方兄妹は、本当に面倒ですね。ーーーー今更言っても栓ない事ですが、やはり“あの時”に殺しておくべきでした。全く、アイクの道楽にも困ったものです」

 

ヘルキューレ<エレン>がそう言うと、ビースト<真那>は首を傾げる。

 

「・・・・“あの時”? 何の事言ってやがるんですか」

 

「さて、何の事でしょうね」

 

≪何を隠しとるんじゃ、このモヤシ娘?≫

 

「ふん・・・・まあ良いです。兎に角、ここは通さねーですよ」

 

[Mirage Magnum]

 

ビースト<真那>はミラージュマグナムを取り出して『ハイパーリング』をドライバーのスロットに押し込んだ。

 

[ハイパー! GO! ハイッ ハイッ ハイッ ハイパー!]

 

「はぁっ!」

 

ビーストハイパーになったビースト<真那>は、ミラージュマグナムの銃口をヘルキューレ<エレン>に向ける。

ヘルキューレ<エレン>は小さく鼻を鳴らすと、それに応じるようにダーインスレイヴの切っ先をビーストハイパー<真那>に向けた。

 

 

 

 

 

ーメデューサsideー

 

そしてヘルキューレ<エレン>とビーストハイパー<真那>の戦いを離れた場所で見物しているメデューサとグレムリンの背後から、複数の影が現れた。

 

「どうだった、指輪の魔法使いだった者は?」

 

『・・・・予想通りのーーーー小物になり果てていました』

 

ソコには、先ほど士道が放った霊力の奔流に呑まれた筈のガルーダ・ファントム達が、“無傷で立っていた”。




書いていて思いましたが、やっぱり四糸乃は『清純なサキュバス』になる! 不二子ちゃん系の狂三ですら戦慄する可能性を見ました!

それでは皆さん、良いお年を!!
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