デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
ー狂三sideー
闇に沈む夜の森を、炎の明かりが照らしている。
都市部から離れた静かな場所。しかし、その森の様相はーーーー墜落した巨大な輸送機から流れ出た燃料によって、森が燃えているのだ。
「ーーーーあら、あら」
そんな機械油の臭いにまみれた炎の中に、〈ナイトメア〉・時崎狂三が現れた。
「DEMの施設前で待ち構えていましたのに、こんな所で落ちていただなんて」
狂三は、辺りに散らばった輸送機の外壁の破片を1枚手に取ると、自身の天使・〈刻々帝<ザフキエル>〉を取り出した。
「〈刻々帝<ザフキエル>〉ーーーー【10の弾<ユッド>】」
狂三は、『撃った対象の有する過去の記憶を自分に伝える弾』を装填すると、躊躇なく外壁の破片を通して自分に銃口を向け引き金を引いた。濃縮された影の『弾』が発射され、外壁を通り抜けて自分の頭に突き刺さる。
そして狂三の頭の中に、輸送機の過去の光景が写し出された。
鳴り響くアラーム。胎動するかのように機体をゆらす『資材A』。そしてそれに共鳴し、大きく膨らんでいく謎の霊波反応。
そしえ一瞬の後ーーーー遥か前方にある謎の施設の地下から発せられた1条の光線が、輸送機に突き刺さった。
「・・・・成る程。直接の原因は士道さんですの」
狂三はクスリと笑った。分身体から、士道の様子がおかしなっているとの報告は受けていたが、まさかこんな形で関わってくるとは予想外だ。
勿論、士道が暴走した事も、ドラゴンが復活し、士道は再び〈仮面ライダーウィザード〉に戻った事もーーーー新たな姿〈インフィニティスタイル〉の事も当然分身体から報告されていた。
「『第2の精霊』が輸送機の中から士道さんの霊波を察知し、助けを求めた・・・・と言う事ですかしら。とは言え、それによって士道さんが暴走状態なってしまったとしたなら、琴里さん達にとっては随分と迷惑な話ですわね」
とは言え、コンテナの中に閉じ込められていた精霊にそんな事を言っても仕方ない。それがどんな結末を生んだとしても、己を助けてくれる可能性に手を伸ばす事を咎める事などできはしない。
「ともあれーーーー図らずも、士道さんに手助けをされてしまいましたわね」
狂三は天使を影の中に落とすと、トン、トン、とステップを踏むようにしながら輸送機の後方へと回り込んだ。狂三と目的はは『資材A』を手にするだけではない。その先ーーーー『第2の精霊』が有しているだろう、〈〉原初の精霊・ファントム〉の情報を得て、その存在を打ち倒す事である。その為の兵力が欲しかった。
「ーーーーさあ、精霊さん? お顔を見せてくださいまし」
狂三は、半壊した輸送機からこぼれ落ちたコンテナを覗き込みながら言った。
だがーーーー。
「あら?」
ソコには、内側から突き破られた、空のコンテナのみで、狂三は思わず目を丸めた。
ーウッドマンsideー
そしてその頃ーーーー〈ラタトスク〉円卓会議は今、騒然としていた。謎の精霊〈ファントム〉の出現によって。
《〈ファントム〉が・・・・!? どういう事だ! 何故今あの精霊が現れる!》
《いや、行幸だ。理由はどうあれ、精霊の力を失わずに済んだのだぞ。ーーーークライトン、貴兄は短気が過ぎる!》
《何を言う! 私が撃たなければ、状況は改善しなかった筈だ!》
《だが、貴兄にその権限は無かっただろう。これは重大な越権行為だ》
《いや、それよりも今は〈ファントム〉だ。何とかして足取りを掴めないのか?人間を精霊にする精霊だぞ。もしその力があればーーーー》
幹部達が見苦しいほどに、喧々諤々と言葉を発する。
ウッドマンは、苛立たしげにテーブルを叩いた。
「ーーーー少し黙れ、小僧共」
『《・・・・ッ!》』
底冷えするようなウッドマンの声音に、三人の幹部達が息を詰まらせた。
「全て私の思う通りに動けなどとは言わない。だが、約定くらいは守ってもらおうか。もしそれを反故にしようと言うのなら、私にも考えがあるぞ」
『《・・・・・・・・》』
顔に緊張の色を覗かせる3人を睨め付けながら、ウッドマンは言葉を続ける。
「クライトンの処分は追って通達する」
《し、処分・・・・? 処分ですと!? 私は〈ラタトスク〉の為を思ってこそ・・・・!》
《そうですよウッドマン卿。確かに短慮はあったかも知れませんが、彼はーーーー》
「黙れと言ったぞ、オルムステッド。本当に私が気づいていないとでも思っているのか? 貴様の中の私はそんなにも間抜けか?」
《・・・・・・・・》
ウッドマンの言葉に、オルムステッドは今度こそ黙った。
そう。短絡的なクライトンが、単独でここまでの用意ができるとは考えづらい。〈ダインスレイフ〉の起動端末は、オルムステッドの裏工作によって作られ、クライトンの手に渡ったのだろう。そしてクライトン自身はその事にまるで気づいていない。無知な愚か者を裏から操り、自分は手を汚さず、美味しい所だけを奪うオルムステッドらしいやり方だ。
「そしてもう1つ言っておこう。五河士道は〈仮面ライダーウィザード〉に戻った。これがどういう事なのか考えてみろ」
『《っっ!》』
ウッドマンの言葉に、幹部達は息を呑む。目の上のタンコブだった存在が戻ってきたと言う事だ。
「今日はここまでだ。ーーーー各員、己の足元を見直すのだな」
ウッドマンはそう言うと、カレンに車椅子を押されながら会議室から去っていった。
ー士道sideー
〈ラタトスク〉の施設であろう医務室のベッドに横になっている士道。
≪どうだ気分は?≫
「(・・・・最悪だ。あの後、徹底的に検査されたんだからな)」
ドラゴンのド突きから目を覚ますと、琴里達に連れられて〈ラタトスク〉の地下施設に搬送、徹底的な検査を受けさせられたのだ。
≪とりあえず我を出せ≫
へいへい、と返事をして、士道は枕元に置かれたバックルを寝ながら付けて、同じく枕元に置かれた『ドラゴライズリング』を翳した。
[ドラゴライズ プリーズ]
『ふぅ、やはり落ち着くな。それで、色々と思い出せたか?』
「・・・・・・・・・・・・うぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
暴走する前の気取った気障野郎な自分の恥態の数々を思い返し、ベッドの上で身悶える士道。
『今、黒歴史の1ページが刻まれる!(若本風)』
「星獣戦隊のキャッチコピーみたいな台詞を言うなっ!!」
半泣きになる士道。穴があったら、いや、ダークネビュラがあったら、全力全開でダイビングしたい気持ちだ。
ーーーーコンコン。
『士道、起きてる?』
「ぅぅぅぅ、琴里か? ちょっと待ってろ・・・・・・・・良いぞ」
琴里がやって来たと確認した士道は服とベッドを整えてから言うと、医務室の扉が開き、琴里が入ってきた。
「大人しくしてなさいよ。経路<パス>が安定したとは言え、病み上がりには違いないんだから」
「ああ大丈夫だ。それより皆は?」
「別室で待機しているわ。休んでなさいって言ったんだけど、士道が目覚めるまで待つって聞かなくて。それとーーーー」
「ああ・・・・」
士道が琴里の視線を追うと、士道の右隣のベッドで寝息を立てている十香がいた。
『・・・・・・・・』
ドラゴンが少し乱れた毛布を直してあげ、十香のオデコを撫でながら、優しそうな笑みを浮かべる。
「士道の様子を見ながらじゃないと心配で眠れないって言うものだから、仕方なく同室にさせたの」
やれやれと肩をすくめる琴里。士道はベッドから乗り出し、十香の頭を撫でた。
「・・・・ごめんな。そして、ありがとう十香」
『お疲れ様だ、〈プリンセス〉』
「むぅ~・・・・おぉ~・・・・」
寝惚けながらそう応え、またスウスウと寝息を立てた。
士道は口元を綻ばせた後、琴里の方に視線を向けた。
「琴里も・・・・ありがとう。俺の為に、頑張ってくれたんだろう?」
「・・・・っ、それは」
琴里はその言葉に口ごもるとーーーーやがて、スカートの裾をギュッと握りしめながら、ポロポロと大粒の涙を流した。
「・・・・ドラゴン、から、聞いてる・・・・?」
「・・・・ああ」
既に士道はドラゴンから聞かされている。琴里達は士道の暴走の危険がある事を黙っていた事。〈ラタトスク〉は万一に備えて士道を殺す手段を用意していた事。そしてーーーーその鍵を握っていたのが琴里であった事を。
「黙っていて・・・・ごめんなさい。私の霊力を封印したばかりに、そんな身体にしてしまって・・・・ごめんなさい」
「・・・・はあ。泣くなよ琴里」
「でも、私はおにーちゃんを・・・・」
「そりゃあ、四六時中狙われていたって言うのはいい気分はしないけど・・・・仕方ねぇだろ。万に1つでも暴走の可能性があるなら、対抗策は用意しておくべきだ。ーーーー俺のせいで大勢の人が死ぬなんて事になったら、それこそ自分で自分が許せなくなる」
「おにーちゃん・・・・」
『(等と言っているが、自分が義妹の立場になったら【仕方ない】と一言で納得しないでぐちゃぐちゃ迷走するだろうがな)』
ドラゴンが内心そう思っていると、士道は言葉を続ける。
「それにもし今、全てが5年前の状態に戻ったとしても、俺はお前の霊力を封印するぞ。・・・・こんな事を言うと、また自分の命を勘定に入れてない、なんて言われるかも知れないけど」
『最早この小僧のコレは死ぬまで治らない、いや、死んでも治らない病気だ。〈イフリート〉、貴様や我にできる事は、このどうしようもないド愚物がポックリ逝かないように、手綱をしっかり握りしめておくしかあるまい』
ドラゴンが尻尾でペンペンと士道の頭を叩くと、士道は半眼でブー垂れた顔になるが、すぐに引き締める。
「まぁ・・・・そう言う事だ。もうこれはどうしようもないレベルの性分だ。それに俺には、お前が泣いてる方がよっぽど応えちまうんだから仕方ないだろ」
「・・・・っ」
「だから、泣き止んでくれよ、琴里。お前が泣いているのは、ちょっと辛すぎるからさ」
「・・・・・・・・」
琴里は服の袖で目元を拭うと、目と鼻を赤くしたままニカッと微笑んだ。
それに応えてるように、士道も笑みを作る。
「ほら、やっぱりそっちの方が可愛い。俺の妹は世界一だな」
「・・・・バカ」
琴里は恥ずかしそうにそう呟くと、ドラゴンを捕まえて士道に背を向け、部屋の扉を開けた。
「皆を呼んでくるわ、きっと、心配してるから」
「ああ、頼むよ」
士道が言うと、琴里はコクリと頷いて部屋を出ようとする。そして去り際、ドラゴンの尻尾を掴んで連れていこうとする。
「・・・・ありがとう、おにーちゃん」
『おい、何故我まで・・・・』
ドラゴンが何か言うが琴里は無視して、扉を閉めていった。
士道がそれを見送ると、隣のベッドで眠っていた十香が小さく声を発し、ゴシゴシと目をこすった。
「ん・・・・う・・・・」
「おう、十香、おはよう」
「・・・・、・・・・、! シドー!」
十香は暫の間眠たげにしていたが、すぐに目をパチリと開け、身体を起こした来た。
「シドー! もう身体は大丈夫なのか!?」
「ああ、お陰様でな。ーーーーありがとう、十香。随分世話になっちまってさ」
士道がそう言うと、十香はブンブンと首を振った。
「気にするな。私はもっとシドーに助けられていたし、今まで頑張ってきたシドーが救われないだなんて可笑しいからな。それにーーーー」
「それに?」
首を傾げながら問い返すが、十香は頬を染めながらフフっと表情を緩ませた。
「いや・・・・最後のは、秘密だ」
「何だよ、気になるな。教えてくれよ」
「駄目だ。秘密は秘密だからな。ーーーーそれより、シドー」
十香がキョロキョロと辺りを見回すと、棚の上の籠に入った林檎を見つけ、それを手に取り、器用に皮を剥き、その内の1つを手に取り、士道に向けてくる。
「ほらシドー、あーんだ」
「ん? どうした?」
「あの時、自分をデレさせてみろとシドーは言っただろう。だが、私だけはシドーをデレさせられていなかった」
「グハッ!」
黒歴史を突かれて苦しそうに胸を抑える士道。
「だ、大丈夫なのかシドー!?」
「だ、大丈夫・・・・ちょっと調子に乗りまくった自分を殴りたいだけ・・・・と、とりあえず、分かったよ」
「う、うむ。ほら、あーん」
「あ、あーん」
士道は林檎を頬張る。
「どうだ、美味いか!?」
「ん・・・・ああ、美味い」
「ドキッとしたか!?」
「ああ・・・・ドキッとした」
「そうか!」
十香の嬉しそうな、その太陽のように眩しい笑顔に、胸が高鳴る。
と、不意に十香が神妙な様子で士道の目を見てくる。
「そう言えばシドー。確かめておきたい事があるのだが」
「ん、何だ?」
「・・・・霊力の封印にキスが必要と言う理由を琴里から聞いたのだが・・・・やはり、今までも皆とキスしていたのか?」
「ぶ・・・・ッ」
思わず咳き込んだ。四糸乃の霊力を封印した後、【私以外とはキスするな】と言われていたが、どうやら今回でバレたようだ。
「・・・・あの、十香、それはだな・・・・」
「いや、良いのだ。寧ろ無理を言ってすまなかった。精霊を助けてやってくれと言いながらその手段を禁止にするなど、矛盾も良いところだ・・・・だが、それならそうと、その場で言ってくれれば良かったのではないか? 私は今までずっと、キス以外の封印の手段があるものだと思ってしまっていたぞ」
「それは・・・・すまん、確かにその通りだ」
頭を下げると、十香は再び首を振った。
「いい。許す。その代わり、だ」
「え?」
目を丸くする士道に、十香はゆっくりと士道のベッドに上がってくる。
「えっと、十香?」
「恨み言を言うつもりはない。だが、シドーが約束を違えたのは確かだ。だからーーーー」
十香が精霊達の数を指折りで数え、恥ずかしそうに頬を染めながら、囁くような声で言ってくる。
「・・・・7人。今回の件は特別として、今まで私に黙っていた分、キス7回で許してやる」
「は・・・・? お、おい、ちょっと十香!?」
「問答無用だ。それとも・・・・私とキスするのは、そんなに嫌か?」
「いや、そう言う事じゃなくて、もうすぐーーーー」
「ならば問答あるまい! ええい、大人しくしろ。すぐに済む!」
「待て! そんなのドラゴンに見られたらーーーー」
士道の言葉を無視して、十香は覆い被さると、唇と唇をしっかり合わせてきた。柔らかい感触と微かな汗の香りに、脳が焼き切れるかのような快感が襲ってくる。
「ん・・・・、ちゅ・・・・っ」
「・・・・! ・・・・!?」
だが、その瞬間。
「待たせたわね、士道。皆を連れてきたわーーーー」
不意に部屋の扉が開いたかと思うと、琴里が、否、精霊達や真那がその場で固まった。
十香が驚いたかのように目を見開き、士道から唇を離すと、キュポン、とした音とキラキラと光る唾液の線が引かれた。
そして、琴里達がなだれ込んでくる。
「ちょ、こんな短い間に何してるのよ士道!?」
「あ、あの・・・・2人とも病み上がりですし、あまり・・・・」
「か、かか・・・・十香も中々やってくれるではないか」
「指摘。耶倶矢が悔しそうです」
「きゃー! えっ、良く見えなかったのでもう1回! もう1回お願いします!」
「うっわぁ・・・・目覚めていきなりそれとか、引くわ・・・・」
「・・・・やはり、油断ならない」
「兄様! 一体何を!?」
口々に言って、皆が士道のベッドを取り囲んでくる。
「お、おい、お前ら、落ち着けって。これはだな・・・・」
士道は、どうにか弁明を用意しようと思案を巡らした。
だが、そう簡単にこの状況を誤魔化す事のできる言い訳など浮かんでくる筈はない。
「むう・・・・」
すると、十香も同じ事を思ったのか、ならばいっその事、と言うように、士道にギュウと抱きついた。
『あーっ!』
と、精霊達が声をあげたーーーー次の瞬間。
ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
『っっっ!!!』
士道も、騒いでいた精霊達(&真那)も、とてつもない怒気、嫌、これは最早、覇気と読んでもいいくらい威圧感を感じて部屋の扉を見ると、ドラゴンが宙に浮かびながら、凄まじいオーラを放っていた。
『傷・破・絞・壊・燃・溺・焼・挟・斬・殺・凍・撃・切・非・断・滅・削・埋・没・絶・崩・潰・刺・怒・突・刻・恨・溶・怨・呪・死・亡・祟・喪・無ーーーー』
「あわわわわわわ! その呪文のオンパレードはっ!!」
全身から覇王色の覇気を放っているような、一瞬でも気を抜けばその場で意識を失ってしまいそうな雰囲気のドラゴンが、物騒な文字を経のように読み上げながら士道にゆっくりと近づく。
その圧倒的な覇気に、真那や折紙や琴里も含めた一同も、モーゼの海のように左右に別れて、八舞姉妹が十香を引き剥がして避難させ、八舞姉妹が十字を切ったり、七罪とよしのんが手を合わせて念仏を唱えていたり、十香と四糸乃がオロオロしてたり、琴里と真那が葬式の相談をしたり、美九が香典の事を考えたり、折紙は士道の後を追おうと睡眠薬を取り出したりしていた。
「あの、ドラゴン、これは・・・・」
『小僧。そう言えば貴様、我など必要ないだの、自分1人で希望になれるだの、随分とーーーーお調子に乗りまくっていたようだなぁ?』
「・・・・・・・・・・・・」
そう言われて士道は、久しぶりの気分になりながらベッドの上で正座し、何処から取り出したのか数珠を手に取り手を合わせ、一筋の涙を流しながらまるで介錯を待つ咎人のようであった。ドラゴンは尻尾だけ実体化し、士道くらいの大きさにすると、冷徹に士道の頭上に振り上げる。
「・・・・ドラゴン、殺れ」
『・・・・良い度胸だーーーーーーーー死ねぇっ!!』
ーーーードゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッ!!
その振動は施設全体処か、天宮市全域にまで広がったような気がした。
ードラゴンsideー
ドラゴンは床にめり込み、頭にでっかいタンコブ(さらに小さく血を噴いていた)を作った士道を一瞥すると、フンと鼻を鳴らした。
「随分優しいわね。また血みどろのミンチにするのかと思ってたけど」
『フン。〈プリンセス〉。あまり慎みのないな事をするでない』
「むぅ、ドラゴン」
『何だ〈プリンセス〉』
可愛がっている十香が、少し膨れっ面になりながらドラゴンを見据える。
「私はドラゴンに不満があるぞ」
『ん? 何の不満だ?』
「私達の事をいつまで名前で呼ばんのだ!」
「あの、私も、ちょっと不満、でした・・・・」
『よしのんもぉ』
「くくく、我らが御名を軽々<けいけい>と呼ぶのは不敬と遠慮していたのだろうが、これまでの働きに免じて呼ぶ事を許可しようではないか」
「賛成。遠慮せずにどうぞ」
「そうですぅ! 私もハニーに呼んで欲しいですぅ!」
「や・・・・私はどっちでも良いけど・・・・」
「私も構わない」
「・・・・皆こう言ってるし、どうよドラゴン?」
『・・・・まぁ、そろそろ呼んでもいいか。では、コレからもよろしく頼むぞ。『十香』。『四糸乃』。『よしのん』。『琴里』。『耶倶矢』。『夕弦』。『美九』。『七罪』。『折紙』。後『真那』もな』
『おおっ!!』
≪≪≪≪≪おい(ちょっと)! 真那(ちゃん)の名前を気安くーーーー≫≫≫≫≫
「良い雰囲気だから、黙るでやがります」
漸く名を読んでくれた事に、喜びの声をあげ、文句を言いそうになるキマイラ達を真那が抑えた。
ー士道sideー
「・・・・あの、さ、ドラゴン・・・・俺の事は・・・・?」
漸く起き上がった士道に、ドラゴンは目線を合わせて口を開く。
『我に呼んでほしかったらな。もっと自分を磨いてからにするんだな。半人前の小僧』
「うぅっ」
ガクッと項垂れながらも、やっぱりコイツがいてくれる日常に、小さく笑みを浮かべる士道。この最高で、最強の相棒と共に。
ードラゴンsideー
士道がそう考えていると、ドラゴンは部屋の壁に設られた鏡に映る自分を見た。一瞬だがその姿はーーーー士道に酷似した姿になっていた。
『(・・・・・・・・・・・・・・・・まだ起きるな。もう少し、眠っていろ)』
ドラゴンがそう呟くと、士道の姿が消えた。
そしてドラゴンは、士道と精霊達を見ながら、小さく笑みを浮かべていた。
ー???sideー
ソコは夜の東京都のとある場所。
1人の女性が、まるで修道女のような格好をしていた。しかし、その格好は豪奢な装飾が施され、露出も高く、女性の肩や胸元を晒しており、足には大きなスリットが入った、およそ敬虔な修道女とはかけ離れた姿をして、目の前に聳えるビルを見上げていた。
「・・・・・・・・・・・・」
周りの人間達はコスプレだと思われているのか、物珍しそうな視線を寄越すがそれだけであった。
「・・・・・・・・・・・・」
修道女は、“昔と変わった場所”に、僅かな戸惑いを見せたが、直ぐに笑みを浮かべて、そのビルの中へとまるで、戦場の赴く勇者のような足取りで、毅然と、悠然と歩を進め入っていった。
そのーーーー東京都池袋に聳え立つアニメショップのビルへと。
ー『五河ディザスター』・FINー
次回、美九を越えた年長者にして、折紙や美九と並ぶ問題児にして、駄目人間な精霊が登場。
次回、デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚。
暴走騒動も終わり、新たなスタイル〈インフィニティ〉に到達した士道とドラゴン。そんな彼らの前に、空腹で道ばたに倒れた女性、二亜とであう。
「このままじゃ、次の原稿を落としちゃいそうなのよ」
漫画家の二亜の手伝いをする士道だが、二亜は普通の人間ではなかった。
『たわけ。まだ気づかんのか、その女は精霊だ』
そう、彼女こそ、『9番目の精霊』にして、DEMに囚われていた、『世界に現出した第2の精霊』にして、『知識の天使』を持つ精霊だった。
「実はあたし・・・・“2次元にしか恋した事、ないんだよね”」
完全なオタク族である二亜を攻略する為、精霊達と協力し、漫画で勝負する事になった。
「さて、そろそろ私も動くとするかーーーー」
『〈イフリート〉よ。お前とメデューサにはちょっとした因縁があるのだよ』
そして遂に、アイザック・ウェスコットが牙を剥き、ワイズマンが、琴里とメデューサの因果を教える。
第十三章 『二亜クリエイション』
『どちらが『最強の魔法使い』なのか、見せてやろうではないか!』