デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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第十四章。私的に士道が、1番情けない姿を晒す章が始まります。


六喰プラネット
精霊の謎


ー???sideー

 

彼女はーーーーその目を開けた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふむん?」

 

“宇宙空間にいた少女”は、誰にともなく呟き、丸っていた身体を伸ばすと、長らく運動していなかった骨と肉が、小さく悲鳴を上げた。

 

「・・・・ほうほう? むくは起こすは何者かと思えば、異形の群れであったか」

 

“宇宙空間”に見るも巨大な鉄の塊。長い手足の歪な人型。人の形をしていない怪物。

そんな異形共が、少女の領域を侵したのである。

彼女は何者にも干渉しない。

しかし何ものかに干渉された時のみ、それを排除するよう、心の1部に残していた。

一体どれくらいぶりになろうか。

 

「〈ーーーー〉」

 

少女は手を掲げると、小さく『名』を呟き、巨大な『鍵』をその手に取った。

そして、その先端を巨大な影に向ける。

 

「ーーーー目障りじゃ、去ぬるがよい」

 

 

 

その日。

地球にとって最悪の天災が、目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

ードラゴンsideー

 

新学期が始まった。

教室についた士道と十香と折紙の前に、【あぁ、世界はかくも美しい・・・・!】と、どうやら岸和田とのデートが上手く行き、さらに初詣とかも共に過ごしたりで、我が世の春を謳歌している亜衣と、それを微笑ましく見つめる麻衣と美衣と、何故か殿町がいたり、ホームルームで何やらダークサイドに堕ちかけているタマちゃん先生の恨み節を聞き流しながら、二亜が言った言葉を思い出していた。

 

【純粋な精霊・・・・? “精霊って、基本的に皆、元は人間だった筈でしょ?”】

 

その言葉に一同に沈黙が満ちた。

純粋に驚いている者や、言葉の意図を測ろうとしている者、よく分からないが、皆が驚いているので驚いた顔をしておこうとしている者。それぞれがリアクションに微妙な差異はあるが、二亜の発言に言葉を失った。

これまで精霊は人間とは別の存在で、琴里達はイレギュラーと思っていた。だが、二亜の発言でそれらの認識が覆された。

ドラゴンが二亜を見ると、以外と場の空気を読める二亜はそれをおどけるような態度で冗談と言ってその場を納めた。日頃の冗談めかした発言が功を奏したようだ。

琴里以外の精霊達を帰らせた後、ドラゴンは二亜の病室に、士道と共にやって来た。

ちなみに士道は【あれは二亜の冗談だろ?】と言ったら、ドラゴンに【この脳ミソが腐ったヨーグルトのド愚物!】と、尻尾ド突き(強)をくらったのは割愛する。

病室に入ると琴里もいた。

 

【琴里も呼んだのか?】

 

【ああ、うん。妹ちゃんは〈ラタトスク〉の司令だからね。一応ちゃんと話した方が良いと思って】

 

【・・・・って言う事は、本当なのか。さっきの話は】

 

【本当だよ。でも、全部が本当って訳じゃない。いや、それも語弊があるか。知っての通り、全知の〈囁告篇秩<ラジエル>〉は、決して全能ではないよ】

 

【それは、ドラゴン達『魔獣 ファントム』の事も含めて、って事よね?】

 

【待て】

 

話を始めようとするが、ドラゴンがストップをかけ、病室のドアに視線を向けると、ドアが開き、ソコから折紙と真那と仁藤が入ってきた。

驚く士道に、折紙は先ほどの二亜の様子が気になり戻ってきて、丁度トイレに行ってた真那と仕事が終わり真那の見舞いに来た仁藤と出会い、3人でここに来たと言う訳だ。因みにキマイラズはお昼寝中とのこと。

 

【まぁ、私は兄様に聞こうと思っていた事がーーーー】

 

と、真那の言葉に、二亜がピクリと反応した。

 

【ちょっと待った。君今何て言った?】

 

【え? だから、聞こうと思っていた事がーーーー】

 

「ノンノン! ソコじゃない! もう1個前!」

 

【兄様に聞こうと?】

 

【兄様!】

 

二亜は、天啓を受けた敬虔な神職者のような調子で手を組み合わせ、恍惚とした表情を作った。

 

【すっげぇ! 兄様! 2次元でしか聞いた事のない夢呼称の1つ! リアルで初めて聞いた! ね、ねぇねぇ、もっぺん言って見てもらえる?】

 

【・・・・な、何でいやがるんですかこの人は・・・・】

 

真那が渋面を作りながら後ずさり、仁藤が真那の前に立って背中に隠す。

士道はその様子に苦笑しながら二亜を紹介する。

 

【本条二亜。精霊でーーーー漫画家をやってる。つい昨日封印したんだが・・・・ちょっと色々あって、ここに入院したんだ】

 

【はろはろー】

 

二亜がヒラヒラと手を振ると、真那と仁藤はペコリとお辞儀をすると、自己紹介をする。

 

【崇宮真那です。兄様の妹で、現在は公安に所属する魔術師<ウィザード>兼〈仮面ライダービースト〉です。今は琴里さんの手にかかり虜囚の身になっていやがります】

 

【ちょっと! 私を悪者っぽく言うのやめてくれる!? ずっと検査から逃げてたあなたが悪いんじゃない!】

 

【えっ? 〈仮面ライダー〉ってまだいたの? てか公安!? それって公安警察!? 日本のCIAみたいなもんじゃん! じゃあその隣にいる、クール系なイケメンお兄さんは!?】

 

【仁藤功平と言います。国安0課に所属する真那さんの相棒です】

 

【ほぇ~、本物の公安の捜査官なんて初めて見たわ】

 

それから真那と士道の関係をかいつまんで説明したり、後で〈仮面ライダービースト〉の姿をスケッチさせて貰う約束をしたり、真那のあだ名を『マナティ』と決めたりと、色々と脱線しながらも、『精霊は元人間』と言う本題に戻った。

初めてこの世界に空間震を伴って隣界から出てきた時、自分は何もしらず、“自分の天使の力だけを知っていた”。恐らく天使には、“自分の権能を宿主に理解させる力”が備わっていると説明した。

そして二亜は、全知〈囁告篇秩<ラジエル>〉の力で精霊になる前の自分を知り、生きる事に絶望をして、始原の精霊〈ファントム〉と出会い、精霊にされた。これは琴里と折紙、そして美九にも経験した。

そして〈ファントム〉の事は、〈囁告篇秩<ラジエル>〉でも分からなかった。

 

【全知の天使でも分からないなんて・・・・】

 

【我が〈ファントム〉の立場でも、自分の正体を知られないようにプロテクトのような物を仕掛けておくくらいはするのではないか?】

 

【まぁドラくんの推察も間違ってないねぇ。・・・・んまぁ兎に角、アタシはその精霊に霊結晶<セフィラ>を埋め込まれて、精霊になった。そして人間であった記憶を封印された上で、こちらの世界に出てくるまで、隣界に眠らせれ続けたって訳よ】

 

そして、てっきり十香達も同じではないかと言ってしまったのだ。

それでも有益な情報が手に入った事は違いない。

 

【では国安0課でも、30年前からの失踪した行方不明の少女達、夜刀神十香さん達の面影がある少女達の

捜索をしておきましょう。公安ならば情報には事欠かないですから】

 

【流石は公安警察♪】

 

仁藤が上司に連絡をするのを見て、二亜はパチパチと拍手した。

 

【しかし、〈囁告篇秩<ラジエル>〉が奪われたのは痛いな。アイザック・ウェスコット達もこの世界が『改変された世界』だと言う事に気づいているかも知れん】

 

ドラゴンはそう言うと、『本の装飾がされた石のリング』を取り出した。

 

【ドラゴン、これは?】

 

【一応、二亜の指に着けて小僧のドライバーに読み込ませた『エンゲージ』だ。やはり天使が奪われた状態では、本来の形にならなかったか】

 

琴里の問いにドラゴンが答えると、取り敢えず折紙がスピリッドライバーを二亜の腹部に巻き付け、『ラジエルリング(仮)』を二亜の薬指に嵌めドライバーに翳させた。

 

[インポッシビリティ]

 

と、『不能』と音声が出た。

 

【あちゃー。それじゃアタシは〈仮面ライダー〉になれないのかぁ。・・・・無念!】

 

二亜は残念そうに項垂れた。

 

【そのリングを嵌めるか、精神が不安定になったり、マインドセットを訓練すると、霊力を逆流させ、天使を使えるのだが・・・・】

 

【ふーん・・・・精神が不安定に、か・・・・】

 

二亜がそう呟くと、目を閉じて小さく唸り声を上げ始めると、額からうっすらと脂汗が流れ、ガタガタと身体が小刻みに震え、閉じた瞼から涙まで浮かんできて。

 

【お、おい二亜? どうしーーーー】

 

【いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! いっそひと思いに殺してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!! キリングミーソフトリーィィィィィィィィィィィィィィィィィッッ!!!】

 

と、士道の声を遮るように、二亜が突然カッと目を見開いて悲鳴を上げると、二亜の身体が淡く輝き、その光が手元に集まり、1冊の本を形作った。

 

【おおっ、ホントだ!】

 

【うおっ!?】

 

突如として現れた天使に、士道は思わず身を反らした。

 

【こ、こんなあっさりと・・・・!?】

 

【えっへっへっ。漫画家の妄想力を舐めて貰っちゃ困るぜ。こんなの締切が間に合わなかった時にコロッケ工場でコロッケにされそうになった事を思い出せば1発よ】

 

【二亜。君はコロッケ工場に連れていかれた事があるのか?】

 

【まぁねー。蒸かしたお芋の良い香りに包まれたよ】

 

ドラゴンの問いに、二亜がビッと親指を立ててくる。

 

【世の漫画家は、そんな恐怖体験をしながら漫画書いてんのかよ?】

 

冷や汗を流す一同を尻目に、二亜はペロリと唇を舐めると、宙に浮いた本をペラペラと捲る。

 

【んー、どれどれ・・・・っと・・・・駄目だねこりゃ。〈囁告篇秩<ラジエル>〉自体は情報を検察してるっぽいんだけど、それをアタシに伝える機能が死んでるって言うか、何が書いてあるのかぜーんぜん分かんない。〈ファントム〉の事を調べようとした時に似てるわ】

 

【そう・・・・まあ、仕方ないわね】

 

二亜の言葉に、琴里はある程度予想通りとため息を吐いた。

 

【ごめんねー】

 

それから二亜が士道の部屋のエロ本の在処を言いそうになり、士道が止めるが、琴里と折紙が在処を言い当てると言うのがあった。

と、ソコで、天使の力がどこまで力が残されているか確かめていた二亜が、何かを思い付いたように声を発した。

 

【そうだ。もしかしたら・・・・】

 

そして右手を掲げると、再びムウンと念じる。するとその手の中に、二亜の霊装についていたペンが現れた。

 

【お、やったぜ】

 

そしてクルリとそのペンを回した後、〈囁告篇秩<ラジエル>〉のページにペン先を滑らせていった。

何語かも分からない文字が並んでいた〈囁告篇秩<ラジエル>〉に、黒い線が無数に記されていく。まるでそう、本に落書きでもするかのように。

聞いてみると、力の大半を奪われ使えないが、〈囁告篇秩<ラジエル>〉の能力の極みと呼べる『未来記載』を応用し、〈囁告篇秩<ラジエル>〉と表裏一体である〈神蝕篇秩<ベルゼバブ>〉の探索ページを落書きで埋めつくし、ウェスコットを妨害しようとしているのだ。因みに〈神蝕篇秩<ベルゼバブ>〉も不完全な状態故に、『未来記載』は使えないとの事だ。ウェスコットが全知の天使の極みを使えない事に、ドラゴンは少し安堵した。

 

【でも、検索を阻害した所で、相手の力が削げた訳じゃない。十分注意しておくれ。血を流すのは、アタシだけで十分だ】

 

【・・・・っ】

 

士道は一瞬言葉を失った。だか、今すべきはそんな反応ではないと、首を前に倒した。

 

【・・・・ああ。もう誰も、傷つけさせない。勿論二亜、お前もだ】

 

二亜の目を見つけながら言うその言葉に、二亜はキョトンとした後、頬を染めながら笑った。

 

【えっへっへっへ。何少年。もしかして年上好き? てっきりロリコンだと思ってたんだけど】

 

【お、お前なぁ・・・・】

 

【でも、嬉しいよ。ありがとさん】

 

【お、おう】

 

二亜が少し照れくさそうに言うと、士道もむず痒くなったのか、曖昧に返した。

 

【【あぁ、痒い痒い・・・・!】】

 

ドラゴンと真那がお互いの背中を交互に掻いていた。

と、そこで琴里が、新たな敵、〈仮面ライダーヘルキューレⅡ〉こと、アルテミシア・アシュクロフトがDEMに入った事を告げた。

その事に真那と仁藤も驚き、折紙が詳しくアルテミシア・アシュクロフトの事を話した。

何でも、イギリスの対精霊部隊〈SSS〉に所属する魔術師<ウィザード>で、その実力はDEMの第2執行部でNo.2だった真那以上との事だ。

しかし、彼女はDEMに入るような人間ではなく、恐らくDEMが何らかの卑怯な手段を使ったものと結論した。アルテミシアの事も調査すると決まり、ここで解散と言う所で、士道が真那に問うた。

 

【真那。さっき言ってた“聞きそびれた事”って何だ?】

 

【あーーーーそうでした。ほら先月、兄様が霊力を暴走させちまった時があったじゃねーですか】

 

【ああ・・・・あの時はホント、世話になったな】

 

【いえ。兄様が困っていたら助けるのは当然です】

 

【いや、でも】

 

【兄様も、真那が困っていたら助けてくれるでしょう?】

 

【え? ああ、そりゃ、勿論】

 

【そう言う事です】

 

真那は気負う様子も恩を着せるような様子も一切無く、あっけらかんと言った。

 

【いやー男前だねぇマナティは】

 

【ええ。真那さんはああいう気っ風の良さが魅力ですね】

 

【妹ちゃんも、もう少し素直な言い方をすれば良いのに】

 

【片方は良く言えばツンデレ、悪く言えば高圧的。もう片方は男前か。さて、小僧のどっちの妹が可愛いと思うかねぇ?】

 

【あなた達何が言いたいの? え?】

 

コソコソとそう言う3人に、琴里が半眼でそう言った。

と、そんな会話に気づかず、真那が続ける。

 

【で、1つ気になる事がありまして】

 

【気になった事?】

 

【はい。エレンと戦っていて、兄様の側に落下した時、兄様は私に言いましたよね。ーーーー【良かった、無事だったのか、真那】【“ミオ”はどうした? あいつが助けてくれたんじゃないのか?】・・・・と】

 

【“ミオ”・・・・?】

 

【(ピクッ)】

 

聞き慣れない名前に、士道は眉をひそめた。他の皆も不思議そうな顔をしている。

が、ただ1人、ドラゴンだけは、人知れず小さく身体を揺らした。

 

【はい。それを聞いた瞬間、真那は不思議な目眩を感じたと言うか、頭の中に朧気な映像が浮かび上がってきたと言うか・・・・だからもしかしたら、真那と兄様が失っている昔の記憶に関わりがある名前何じゃねーかと思いまして】

 

【そうなのか? でも・・・・】

 

士道は渋面を作る。“ミオ”と言う名前に聞き覚えがなかった。と言うか、それ以前に、自分がそんな言葉を発した事自体、覚えていない。

 

【・・・・悪い。何も思い出せーーーー】

 

ーーーーと。

言葉を発そうとした瞬間。士道は、強い目眩のような物を覚えた。

 

【え・・・・?】

 

天地がグニャリと歪み、立っていられなくなるような感覚。思わずよろめき、地面に倒れそうになってしまう。

 

【兄様!?】

 

【(くっ・・・・!!)】

 

すんでの所で真那に支えられた。全員が士道に目を向けて気づかれなかったが、ドラゴンも自分の胸元を抑えて、苦しそうに呻いていた。

そして、士道の脳裏に響く小さな小さな声を、ドラゴンだけが聞こえていた。

 

【ーーーー“ミオ”。それが・・・・わたしのなまえ・・・・?】

 

【ううん・・・・うれしい。とっても・・・・うれしい】

 

【大好きだよ。ずっと、一緒にいようねーーーー】

 

混濁する意識の中、ボンヤリと、髪の長い少女の姿が見えた気がしたがーーーー。

 

【こ、これはーーーー】

 

次の瞬間、士道は意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

そして現在。

あの後、狼狽した琴里を落ち着かせ、士道をベッドに寝かしたりと、ドラゴンが的確に処置して事なきを得た。

 

≪(・・・・落ち着け・・・・落ち着くんだ・・・・)≫

 

が、実はあの時からドラゴン自身、自分の胸元に手を置き、まるで自分自身に言い聞かせるように内心呟いていた。

 

「ーーーーチチンプイプイ、隕石よ落ちろー」

 

と、そこで、ダークサイドに半ば落ちかけているタマちゃん先生が何をトチ狂ったのか、魔法少女のステッキヨロシク、クルクルと回すと、窓の外に向かってえいっと掲げた。

 

≪・・・・何をして・・・・ん!?≫

 

ドラゴンが窓の外に目を向けてすぐ。

 

≪十香! 折紙! 耶倶矢! 夕弦! ついでに小僧! 直ぐに机の下に隠れろ! 急げ!!≫

 

「「っ!!」」

 

ドラゴンの叫び声に、十香と折紙は反射的に机の下に隠れ、隣のクラスからガタガタと言う音が響いた。恐らく八舞姉妹なのだろう。

 

「(おい何真に受けてンだよドラゴンーーーー)」

 

士道が馬鹿馬鹿しいと言わんばかり笑みを浮かべて窓に近づき、外を見上げたその瞬間。

 

ーーーードガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンンンッ!!

 

「どわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

校庭の方から爆音が鳴り響いたかと思うと、教室を凄まじい衝撃波が襲い、校舎が揺れ、モロに衝撃波を受けた士道は吹き飛ばされ、窓ガラスが割れ、カーテンが引きちぎれんばかりにはためく。士道以外の生徒達が一斉に悲鳴を上げ、その場から飛び退いたり、机の下に潜り込んでいたりした。割れた窓ガラスの破片が、窓の近くにいた士道に突き刺さりそうになるが。

 

≪ふんっ!≫

 

ドラゴンが魔力で士道の身体を包み、ガラスの破片を防いで床に倒れる。

 

「い、一体何が・・・・?」

 

キインと耳鳴りを押さえ、士道は身体を起こし、服に散ったガラスの破片をはたき落としながら、窓の外を覗き込んだ。

 

「何じゃこりゃあっ!?」

 

≪隕石が降ってくるとは、新年早々縁起が悪いなぁ?≫

 

巨大な平地である校庭のトラックに、すり鉢状に抉り取られーーーー否、校庭だけでなく、その脇を通った道路、その向かいの空き地までもが、掘削されたように陥没していた。

その中心に、壊れた機械のような1部か、大きな岩のようにも見えた。先の衝撃波は、このクレーターの中心にある『ソレ』の衝突によって引き起こされたのだろう。

 

「(ドラゴン・・・・これって、空間震じゃ、無いよな?)」

 

≪いや、違う・・・・≫

 

ドラゴンは空の向こうを見据えるように見上げていた。

他の生徒達は、校庭に落下した隕石を見据えていた。

タマちゃん先生が、隕石を見て青い顔をして倒れ、亜衣麻衣美衣トリオを筆頭に生徒達が騒ぎ出す。

 

「(ドラゴン、タマちゃん呼び寄せたって事は?)」

 

≪ド愚物めが。これは偶然ではない、“気配”を感じた。ーーーー精霊だ≫

 

「っ!」

 

士道がドラゴンの言葉に目を剥くと、それと同時に士道のポケットのスマホが震えた。ーーーー着信画面に琴里の名が表示されていた。

 

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