デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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偽善と呼ばれても、それが己の心に決めた想いならば、貫き通せ。


信念<エゴ>を貫く覚悟

ーウルトラマンエックスsideー

 

『まさか、精霊の皆から生まれた怪獣擬きと戦う事になるとはな・・・・!』

 

『「エックス、コイツらは本物の怪獣じゃない。この〈神蝕篇帙<ベルゼバブ>〉の空間で作られた偽物だ!」』

 

『ああ! 分かっている! だが油断するなよ士道!』

 

『「当然!」』

 

〈ウルトラマンエックス〉と平行世界の五河士道が言葉を交わすと、プリンセスファントム達に向かって構え、真っ直ぐに突き進んだ。

 

『シェアッ!!』

 

『GUUAAAAAAAAA!!』

 

ウルトラマンエックスに向けて、プリンセスファントムが蛮刀を振り下ろすが、ウルトラマンエックスは蛮刀の側面を殴って回避すると、流れるような動きでプリンセスファントムの顔面に肘打ちを叩き込んだ。

 

『GUAAAAAA!?』

 

プリンセスファントムが怯むと、他の巨大ファントム達が襲い掛かってくるがーーーー。

 

『ハァッ!』

 

〈ウルトラマンエックス〉は、臆する事なく、敢然と立ち向かった。

 

『Giiiiiiiiii!』

 

ハーミットファントムが吹雪を放つと、ウルトラマンエックスはジャンプして回避し、ハーミットファントムの頭部に急降下キックを叩きつけた。

 

『Giiiii!?』

 

ハーミットファントムが倒れると、続いて2体のベルセルクファントムが挟撃をしてくる。

 

『フッ!!』

 

『HUUUUU!?』

 

『FUUUUU!?』

 

2体に挟まれる瞬間、ウルトラマンエックスは2体の攻撃をでんぐり返しで回避すると、2体は自分達の武器で相方を攻撃してしまった。

 

『HUUUUU!』

 

『FUUUUU!』

 

火花を散らせた後、お互いに「何をするか貴様!?」「憤懣。貴方のせいです」と云わんばかりに揉み合い、ウルトラマンエックスそっちのけで喧嘩を始めた。

 

『こんな状況で喧嘩しているぞ・・・・』

 

『「流石、耶倶矢と夕弦がモデルなだけはあるな・・・・」』

 

ウルトラマンエックスも五河士道も、呆れたような声を漏らした。

 

『♪~♪~♪~!』

 

『Uuuuuuuuuuuu!』

 

と、呆れている内に、ディーヴァファントムとウィッチファントムが歌と鏡でイフリートファントムとエンジェルファントムの力を強化したり、2体を複数にした。

 

『GOAAAAAAAAAAA!』

 

『FAAAAAAAAAAAA!』

 

群衆となったイフリートファントムとエンジェルファントムがそれぞれ、焔と光の砲撃で、ウルトラマンエックスを攻撃した。

がーーーー。

 

『フッーーーーハァァァァァァ・・・・!』

 

ウルトラマンエックスは両腕を左へ振りかぶりながら左脚で踏ん張ると、腕をXの字に組んで光線を発射した。

 

『「『『ザナディウム光線』!!』」』

 

2人の声が重なって放たれた光線が、焔と光の砲撃の雨を撃ち破り、逆にイフリートファントムとエンジェルファントムの軍団だけでなく、ウィッチファントムとディーヴァファントムすらも凪ぎ払った。

 

『GOOOAAAAAAAAA!?』

 

『FAAAAAAAAAAAA!?』

 

『!!!???』

 

『Uuuuuuuuuuuuu!?』

 

4体の巨大ファントムが後方に倒れると、揉み合っていた2体のベルセルクファントムを巻き込んで倒れた。

 

『HUUUUUUUUUUU!?』

 

『FUUUUUUUUUUU!?』

 

ベルセルクファントム達も悲鳴をあげた。

が、またプリンセスファントムとハーミットファントムが攻めてくる。

 

『イィサァッ!!』

 

ウルトラマンエックスは再び構え、巨大ファントム達と戦う。

 

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「あ、あれが、〈ウルトラマン〉・・・・!」

 

「正確に言うと、〈ウルトラマンエックス〉って言うんだ。まあ簡単に言うと、宇宙の平和と正義を守る『光の戦士』とも呼ばれる宇宙人だね」

 

驚く士道達に、暁月理巧が冷静に説明した。

曰くーーーー五河士道のいる世界では、空間震だけでなく、十数年前に〈ウルトラフレア〉と呼ばれる特殊な太陽フレアが地球に降り注ぎ、〈オーパーツ・スパークドールズ〉と呼ばれる物から、異常に進化して巨大生命体、つまり〈怪獣〉が出現するようになった。更には異星から宇宙人と呼ばれる存在達も、侵略やら調査やら観光やら移住やらで地球にやって来ているとの事。

怪獣問題と宇宙人問題に対して、特殊防衛チーム〈Xio〉が結成され、怪獣を保護し、宇宙人が起こす事件の対処もしていた。

 

「ASTはどうしていたの?」

 

「その組織の事も聞いていたけど。彼らはあくまで精霊に対処する為の組織であり、〈Xio〉にはあまり協力的じゃなかったみたいだね」

 

折紙の質問に暁月理巧がそう答えてから、また話を戻す。

五河士道は怪獣達はただ自分達の住み家を人間が土足だ踏みにじったり、身体がとてつもなく巨大だからと言って、理不尽に攻撃されるのが可哀想と思っていたが、一介の学生である自分には何もできない事の歯痒さを感じていた。

そんな時、あのウルトラマンエックスと出会い、彼と共に〈Xio〉の見習い隊員として仮入隊したようだ。それから士道はウルトラマンエックスと共に『人類と怪獣が共存する世界』を作ろうとしていた。

そして〈ラタトスク〉、と言うよりも琴里が〈Xio〉上層部に色々な手回しをして士道達を自分達に協力させるように仕向けた。

 

「やりたかった怪獣問題に取り組みたかったのに、半ば無理矢理に、強制的に〈ラタトスク〉に協力させられて士道先輩、凄い不満だったらしいよ」

 

『ーーーーまぁ琴里だったら、そう言う強引なやり方をしそうだな』

 

『うんうん』

 

「・・・・悪かったわね」

 

ドラゴンの言葉に士道達も頷くと、琴里は憮然とした顔になった。

いつの間にか近くに来て耳を傾けている〈仮面ライダーリバイス〉と〈プリキュア〉達に〈アクマイザー3〉にも聞こえるように暁月理巧は話を続けた。

 

「それから士道先輩は、エックス先輩と共に、時には精霊の皆を助けたり、時には怪獣達を保護したり、時には平和に暮らしたい宇宙人達の悩みを解決したりと、かなり忙しいけど、充実した日々を送っていたようだ」

 

「・・・・話を聞く限り、私達の世界の士道の相棒がドラゴンなら、そっちの世界の士道の相棒は〈ウルトラマンエックス〉と言う事?」

 

「まぁそうなるね」

 

折紙の言葉に暁月理巧は肯定を示すように頷いた。

 

「あまり『士道先輩とエックス先輩の世界』で起こった事を僕は詳しく知らないので、ここらで説明は終える」

 

「そう。で、暁月理巧。あなたは?」

 

「僕も一応〈ウルトラマン〉だよ」

 

『えぇぇぇぇぇっ!?』

 

暁月理巧が自分を指差してそう言うと、全員が驚いた声を発した。

 

「まぁ、それは後で良い。で、問題は・・・・」

 

暁月理巧がチラッて、ウルトラマンエックスを見上げているクロサイ・デッドマンを見据えた。

 

『は、ははははは! スゴイぞー! カッコいいぞー! あんな力を持っているヤツがいたなんて! しかし銀と赤のラインと言うのは僕の趣味じゃないなー! 銀と黒の姿の方が似合いそうだー!』

 

クロサイ・デッドマンはウルトラマンエックスを見て、はしゃいでいるような声を発していた。気づいていないのか、口調も先ほどまでの耶倶矢のような中2チックな気取った喋りではなく、子供じみた口調のようだ。

と、ひとしきりにはしゃいだクロサイ・デッドマンは、再度リバイス達に目を向けた。

 

『・・・・さて、新しい獲物も見つけたし。そろそろお前達との戦いも決着と行くか』

 

「お前の相手をするのも、こっちもいい加減飽きてきたんだ。決着<ケリ>を着けようじゃあねえか」

 

リバイスが構え、クロサイ・デッドマンはドラゴンが封じていた名伏しがたき方々の鎖を千切ると、彼らが立ち上がり咆哮をあげた。

 

『ーーーーーーーー!!!!』

 

「ぎゃぁっ!! 動き出したぁ!」

 

「ちょっと二亜! あれってあなたの漫画のキャラでしょっ!? 何とかできないのっ!?」

 

七罪が悲鳴を上げ、琴里が原作者に対処を聞くが、二亜は後頭部を掻きながら苦笑する。

 

「いやー、どうにもできないねぇー、アタシの漫画のキャラとは言え、アタシがどうこうできるもんじゃないし」

 

「全く、役に立たんのう」

 

「同意。無責任な作者です」

 

「かぐやんとゆづるん酷い!」

 

呆れたような半眼になる耶倶矢と夕弦に、二亜は涙混じりに叫んだ。

 

「っ・・・・!」

 

士道がリングを構えて変身しようとする。

がーーーー。

 

「止めておきなって」

 

暁月理巧が、士道の手を掴んで止めた。

 

「・・・・心に迷いのある奴が戦いの場に出ても、無駄死にするようなものだよ士道くん」

 

「お、俺は迷ってなんか・・・・」

 

士道の耳元で暁月理巧が囁くように呟く。

 

「僕と士道先輩は、君と六喰って娘と何があったのか知ってるんだけど」

 

「っ!」

 

息を呑む士道に、暁月理巧は精霊達に聞こえないような小さな声で続ける。

 

「会ってまだ数分で、自分の事を良く知らない女の子に自分のやっている事が、“エゴだと言われた程度で揺らいでいる奴”は、足手まといなんだよ」

 

「なっ!?」

 

驚愕する士道を無視して、暁月理巧は十香達に目を向けて声を発した。

 

「精霊さん達って、実はメチャクチャ強いんだよね?」

 

「ぬ?・・・・うむ! 私達はとても強いぞ!」

 

「左様。我ら颶風の巫女が本来の力が顕現すればーーーー」

 

「同調。あのような悪役達など物の数ではありません」

 

「ーーーーそうかい。それじゃあ、“士道くんに封印されたせいで、皆さんこんな危険な目に合っているんだね”」

 

『・・・・・・・・は?』

 

暁月理巧の言葉に、琴里を除いた精霊達が眉根を寄せた。

仮面ライダーリバイスとプリキュア達と〈アクマイザー3〉、クロサイ・デッドマンと名伏しがたき方々は、場の空気を読んだのか、戦闘を中断して士道達の会話に耳を傾けていた。

 

「だってそうだろう? 皆さんが士道くんに封印されず、本来の力を引き出していれば、こんな目に会わずににすんだって言うのに」

 

「・・・・・・・・」

 

暁月理巧の言葉に、士道は何も言えず顔を俯かせ、そのいじけた態度を見て、暁月理巧とドラゴンは呆れたような貌となり、暁月理巧は言葉を続ける。

 

「士道くんが『希望になる』だなんてくだらないエゴイズムの為に、君達はあんな雑魚達に手こずる事も無かったんだから本当に迷惑だよねぇ。士道くんなんかに出会わなければこんな事には「貴様。それ以上シドーを愚弄するならば、許さんぞ」おっ?」

 

「十香・・・・」

 

暁月理巧の言葉を遮るように、十香は持っていた日本刀の刃を理巧の首筋に当てながら、目を鋭くして凄まじい怒気を放つ。

周りを見ると、八舞姉妹も床に散らばったフォークにナイフを手にし、折紙は錫杖を暁月理巧の頭に振り下ろす姿勢を取り、四糸乃と七罪、美九と二亜も責めるような視線を送り、琴里は皆の行動に目をパチクリとさせた。

 

「シドーは私達の『キボー』になってくれた。私達に、日常の大切さを教えてくれたのだ。シドーがいなければ私は、自分はこの世界に拒絶された存在だと思い込んで、荒んだ日々を送っていただろう!」

 

「わ、私も、士道さんと出会わなければ、よしのんにしか心を開かなくなっていたかも、知れません・・・・! だから、士道さんに感謝しています・・・・!」

 

『そうそう。よしのんもお友達い~っぱいできたんだよぉ』

 

「ふん。士道いなければ、我ら八舞は永久<とわ>とも言える果てのない決闘を延々と続けていたやもしれんなぁ」

 

「同意。士道のお陰で、今の夕弦と耶倶矢がいるのです」

 

「ですですー! ダーリンがいなかったら、私スッゴい嫌な子のままで、自分しか楽しめない陳腐な歌しか歌えなかった筈ですー!」

 

「・・・・わ、私もさ。士道がいなかったら、ずっと本当の自分を晒さないで、独りぼっちになってたと思うし・・・・」

 

「私は、士道が救ってくれたから今ここにいる。士道の存在か何よりの救いになってくれた」

 

「まぁあたしもさ。少年が助けてくれなかったら、DEMの実験動物として生かされて、地獄の一言じゃ片付けられない凄惨な日々を送っていただろうにゃー」

 

『・・・・ん! ん!』

 

精霊達が次々と、暁月理巧に対して声を発していると、ドラゴンが尻尾の先で琴里の脇腹をツンツン、と突っつく。まるで『お前も何か言え!』と言わんばかりである。

 

「分かってるわよ!・・・・私は士道が、おにーちゃんがいなかったら、メデューサのゲートであった『稲森美紗』のような犠牲者を大量に作っていたかも知れない。そんな事、考えただけでもゾッとする話だわ。士道が私達を救ってくれた。これは間違いない真実よ」

 

「み、皆・・・・!」

 

ソコまで精霊達の言葉を聞くと、暁月理巧は小さく笑みを浮かべて、首筋に当てられた刀をソッと離させると、うっすらと涙を浮かべる士道に向き直る。

 

「と言っているけど士道くん? これでも自分のやっている事に迷ったりするの?」

 

「っ・・・・で、でも・・・・」

 

それでも、六喰の事を考えると逡巡してしまう。

暁月理巧はそんな士道を内心、「クソ面倒くさい奴」と言わんばかりにため息を吐いてから、ウルトラマンエックス、もう1人の五河士道の方を指差す。

 

「あっちの士道先輩とエックス先輩が掲げている『人類と怪獣が共存する世界』を作るって『信念』だって、他者から言わせれば“傍迷惑な理想論”、“身勝手なエゴイズム”にも聞こえると思うよ」

 

『えっ!?』

 

後輩である筈の暁月理巧の言葉に、士道とドラゴンと精霊達と〈アクマイザー3〉にリバイス達、更にはクロサイ・デッドマンも唖然となった。

 

「良く考えればそうだろう? 怪獣って言うのはエックス先輩と同じか、それ以上の体格のが多いんだ。怪獣が少し街を歩けばアスファルトが砕けるし、電線を引きちぎるし、どんなに大きな建物も簡単に破壊され、インフラが滅茶苦茶になってしまう。宇宙人だって、地球人の補食やら侵略目的の奴らだっている。それに何よりも、地球人同士で未だにくっだらない理由で紛争やら戦争やらを飽きもしないでやってる。同じ星の者同士でもそんな有り様なのに、地球外生命体と仲良しこよしなんてできると思う?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

暁月理巧の言葉に、誰も返せなかった。どちらの世界の地球も、未だに戦争は無くなっていないようだ。

 

「怪獣被害や宇宙人の起こす事件で、恋人や家族や職や住む家を失った人達だっている。そんな人達から言わせれば、『怪獣なんて駆除しろ!』だの、『宇宙人を地球から追い出せ!』だのと、デモが良く起こっていたらしい。ま、僕の世界も似たような物があるけどね。その人達から言わせれば、士道先輩達のやってる事なんて偽善だのエゴイズムだのと呼ばれる類の物だろう」

 

暁月理巧が『現実』と言う名の『毒』を振り撒いていくが、「だけどーーーー」と言葉を継いでいく。

 

「確かに『エゴ』とも言えるけど、士道先輩もエックス先輩も、そして〈Xio〉の人達も、それが自分達の目指す未来だから、自分達が決めた『信念』だから、皆苦しい思いにも耐えて、頑張っているんだよ。『信念』と『エゴ』は表裏一体だ。自分の掲げる『正義』が他者から見れば『素晴らしい信念』とも見えるし、『醜いエゴ』とも見える。ーーーーだがね。例え『偽善』だの『エゴ』だの言われても、それが、揺るぎない自分の『正義』ならば、清濁併せ呑んで、『覚悟』を決めて突き進む! その『想い』こそ、『覚悟』こそ大切なんだよ! 善だの悪だのを決めるのは、他者でもなければ世間でもない、自分自身だっ! ジーっとぐちゃぐちゃ考えていても、ドーにもならない!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

士道は暁月理巧の、光も闇、相反する2つの感情が混合した、不思議な輝きを放つ緋色の瞳を見据えられ、身体が硬直した。

 

ーーーーパチパチパチパチパチパチ・・・・!

 

とそこで、クロサイ・デッドマンが暁月理巧に向けて拍手していた。

全員の視線が集まると、クロサイ・デッドマンは拍手を止め、大仰に両手を広げた。

 

『素晴らしい! まさにその通りだ! 世論なんてどうでもいい! 他者の意見などくだらない! ただ己の信ずる道を突き進み! 己の『我』を貫き! 善悪を超越した者達こそ、頂点を掴む事ができるのだ!』

 

「クロサイ・・・・!」

 

「おんどりゃぁ! まだやるんかいっ!」

 

リバイスとプリキュア達に〈アクマイザー3〉が構える。『名伏しがたき方々』も動き出す。

 

『我の目指す『陰の支配者』になる為なら、我はいかなる荊の道を進む!』

 

「・・・・あのさ、さっきから気になっていたんだけど」

 

『ん?』

 

クロサイ・デッドマンが気取った喋りをすると、暁月理巧が半眼で声をかけた。

 

「そのーーーー『陰の支配者』ってのは良く分からんけど、君はソレになった後、何がしたいの?」

 

『フッ、知れた事。先ずは豪奢な家具を揃え、貴重な芸術品を飾られた部屋で、オーケストラを聴き高級ワインを飲みながら『陰の支配者』としての興を楽しんでーーーー』

 

「いやそう言うんじゃなくてさ、支配者になって何をするのさ?」

 

『え?』

 

暁月理巧が何処か呆れながら遮って聞き返すと、クロサイ・デッドマンは気取った態度が崩れ始める。

 

「せっかく支配者になったんだから、経済を裏で回して整えたり、犯罪を無くして社会の清浄化をしたり、教育機関や行政を改革させたりとか、医療を発展させるとか、そう言った世の為になる事とか考えていないの?」

 

『えっ・・・・あっーーーーも、勿論考えているよ! 我が『陰の支配者』となって、世の中の不浄を全て浄化させて見せる!』

 

何処かたどたどしく喋るクロサイ・デッドマンに、大半が半眼で訝しそうに見るが、リバイスはとりあえず声を発した。

 

「お前が『陰の支配者』になろうが、その為に〈デッドマンズ〉の一員になろうが、俺にとっては心底どうでもいい事だがな。とりあえず『星渡りの宝珠』は返して貰うぞ。ついでに、テメエが今までやって来た悪行を反省してもらうからな」

 

『悪行? 我が何をしたと?』

 

「とぼけないでっ!」

 

クロサイ・デッドマンの言葉に、キュアマジカルが怒声をあげた。

 

「アンタが私達の学校を滅茶苦茶にしたり! 自分が手に入れた悪魔の力の実験として、大勢の人達を傷つけたりしてきたんだから!」

 

マジカルの言葉を聞くと、クロサイ・デッドマンはハッと、鼻で笑って見せた。

 

『学校を滅茶苦茶にしたのは、我には魔法の才能も魔力も無いと言って我の心を傷つけた校長が悪い。それに、我が実験に使ったのは社会のクズとも言える反社の連中だ。罪に問われる謂れはない』

 

「あなたは・・・・!」

 

身勝手な理由で自分達の学校を破壊し、無関係な人間達を傷つけた事をまるで反省する素振りを見せないクロサイ・デッドマンにミラクルが、否、大半の人間達が怒りを露にした。暁月理巧は呆れていたが。

 

「ある意味アイツも、自分の『信念』と『エゴ』を貫いているな」

 

『貴様もそうだろう? 〈仮面ライダーリバイス〉。何しろお前はーーーー“父親と兄を殺された復讐で戦っているのだからな”!!』

 

『っ!』

 

クロサイ・デッドマンの言葉に、士道達はリバイスを見て、驚愕に目を見開いた。プリキュア達はクロサイ・デッドマンに視線を鋭くする。

 

「・・・・あぁ、そうだな。俺は親父と兄貴を殺された。テメエら〈デッドマンズ〉にな。復讐、って呼ばれたら、『エゴ』だって呼ばれるだろうが、こう言ってやるよ。ーーーーそれがどうした?」

 

『!?』

 

「俺は復讐の為に戦ってる。そんな事を親父と兄貴は喜ばない、って分かった風な台詞を言われようが、俺は俺の納得するやり方で、“過去と決着<ケリ>を着けなきゃ気が済まない”! 諦めがつかないっ!ーーーーそうだ! これが俺の『エゴ』だ! 誰かに“認められ無くても良い”! 自分の『エゴ』だと十分理解している! だがな! 『エゴ』と言われようが、俺は自分<テメエ>を曲げるつもりはない! テメエら〈デッドマンズ〉を追い詰めて、ぶっ潰すって決めたんだ! だから俺はーーーー死ぬ気で戦うっ!!」

 

「イエイッ! それでこそ輝二! ゴチャゴチャ面倒くせぇ事考えても、根っこは曲がんねえぜ!」

 

そう言ってリバイスは、ドライバーのスタンプを二回横に倒した。

 

[リミックス! バディアップ! 必殺! クロス! クロー! クロコダイル!」

 

「よっと!」

 

「うへへっ!」

 

リバイとバイスの全身が上下逆の状態で折り重なった。その時、リバイのコートのギザギザと、バイスの両手のギザギザが合わさり、長く大きな顎となり、重なった2人が手と足を地面に付け、折り重なった自分達を支えると、バイスの尻尾を大きく伸び、まるで巨大な鰐へと変わった。

 

ーーーーギシャァアアアアアアアアアアアッ!!

 

リバイスが巨大な鰐〈リバイスクロコダイル〉に変貌すると、大きな顎を開けて雄叫びを上げた。

 

『わ、鰐になったぁっ!?』

 

士道達と〈アクマイザー3〉は、鰐に変貌したリバイスに目を見開いて驚いた。

 

『はははははははははは! ならばこちら、ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』

 

それを見てか、クロサイ・デッドマンも身体に力を入れると、その肉体の筋肉が膨張したかのように膨れ上がり、1回りも2回りも大きくなった。

 

『げげげっ!』

 

『うっそぉっ!?』

 

「うっわ~・・・・」

 

またもや士道達と〈アクマイザー3〉も目を見開き、プリキュア達と暁月理巧も、急に筋肉マシマシになったクロサイ・デッドマンに若干引いた。

と、そこで名伏しがたき方々が、動き出した。

 

『『『っ!』』』

 

〈アクマイザー3〉が迎撃しようも前に出るが、その3人の前にーーーードラゴンが出た。

 

『ドラくん』

 

『アクマイザー3よ、交代だ。我に代わり精霊達を守れ』

 

『しかし、ドラくん殿』

 

『どうやって倒すんねん?』

 

『まあ見てろーーーーたまには我も、運動するかっ!』

 

と、叫ぶと、ドラゴンの身体が発光し、その身体が竜の姿から人型へと変貌した。光が収まって現れたその姿。

長い両足にドラゴンクローの趣のある鋭い爪があり、両腕もドラゴンクローを籠手の飾りのように折り畳まれ、背面には折り畳んだドラゴンウイングがあり、両肩はドラゴンスタイルのようなショルダーにそれぞれ蒼玉のサファイア、翠玉のエメラルドが、腰のバックルには黄玉のトパーズが嵌め込まれ、胸元はインフィニティと同じだが金色になり中央に紅玉のルビーが輝き、頭部はドラゴンヘッドを〈仮面ライダー〉の仮面のようにし、ドラゴンテイルをおさげのように垂らしていた。

生々しい怪人とは違ったメカニカルなその姿は、何処か〈仮面ライダー〉のようであった。

 

「ド、ドラゴン! お、おま、お前、その姿は・・・・!?」

 

『ふっ! これが我の『怪人形態』だ』

 

唖然となる士道に、ドラゴンはバッと身を翻すと、ドラゴンウイングが漆黒のマントに変わった。

 

「おおっ! ドラゴンはそんな姿になれたのかっ!?」

 

「ドラゴンが、怪人の姿になった・・・・!」

 

「き、綺麗です・・・・」

 

『あぁん! よしのんもあんな風に変身した~い!』

 

「くっ、何だしあれ? まさに竜人って感じでカッコいいし・・・・!」

 

「凝視。他のファントムと違ってメタルなヒーローな雰囲気がさらに良いです」

 

「きゃー! ハニーとってもとっても素敵ですー! その姿で私をお姫様抱っこで助けてくださいー!」

 

「ちょいちょいなっつん、あのドラくんの姿、ネタになると思わない?」

 

「こんな状況でも職業病を発症できるアンタは流石プロだと思うわ・・・・」

 

「ウェスコットが言っていた『怪人形態』?」

 

驚く士道達を尻目に、ドラゴンは仮面ライダーウィザードのようなポーズを取ると、眼前の手を握りしめる。

 

『さぁーーーー我の戦争<デート>を始めようか!』

 

『あはははははははは! 最後に勝つのは我だぁっ!』

 

クロサイ・デッドマンが突進してくる。

がーーーー。

 

「「「「はぁっ!!」」」」

 

突進するクロサイ・デッドマンの両肩にハートとダイヤモンドが踵落としを叩き、腹部にロゼッタとソードが掌底を浴びせ、その進撃を止めた。

 

「ーーーーふっ!」

 

『ぐはぁっ!』

 

続いて胸元にエースがローリングソバットを叩き込んで後ろに後退させると、いつの間にか後ろにいたミラクルとマジカルとフェリーチェが、クロサイ・デッドマンの背面にキックを叩き込んだ。

 

「「「はぁぁぁぁっ!!」」」

 

『げばぁっ!!』

 

ーーーーギシャァアアアアッ!

 

リバイスクロコダイルが大顎を開き、クロサイ・デッドマンの胴体に噛みついた。

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

ーーーーギシャァアアアア!

 

暴れるクロサイ・デッドマンを顔を振って振り回すリバイスクロコダイル。

それを見届けたドラゴンは床を踏みつけて、ダッと名伏しがたき方々に向かった。

 

『ーーーーーーーー!!』

 

名伏しがたき方々がドラゴンに襲い来るが、ドラゴンの肩のサファイアとエメラルドが一瞬煌めき、両手を突き出すと、青いオーラを纏った吹雪が緑色の竜巻と合わさり、同じく緑色の稲妻を迸らせながら名伏しがたき方々を呑み込み、天高く吹き飛ばす。

 

『っ! はっ!』

 

ーーーードゴォォォォンッ!!

 

次に吹き飛ばされた奴らに向けて手を伸ばし、腰のトパーズが煌めき、伸ばした手を思いっきり下に落とすと、名伏しがたき方々が凄まじい勢いで地面に叩き落とされ、更に床を突き破って地面が隆起し、拳の形になると伸びて、倒れた奴らにその拳を叩き落とした。

 

『フゥゥゥゥ・・・・カァァァァァァァ!!』

 

『ーーーーーーーーーーーー!!!!』

 

さらにトドメと言わんばかりに、炎を口にあたる部分から放射し、名伏しがたき方々を焼き尽くした。

 

『フィィィ~・・・・こんなものか』

 

ドラゴンはそう言って炎を放出した口を親指で拭った。

 

「ドラゴン・・・・」

 

《1つ言っておくぞゴミクズ》

 

士道に目を向けず、念話でドラゴンが語りかけた。

 

「っ」

 

《戦いをしていれば、己の戦いを身勝手な『我が儘』と否定されるのは常だ。だが、『我が儘』と言うのは、身勝手な事と言うだけではない。“我のままに生きる事”、“自分の信念を貫き通す事だ”。『我が儘』を通すには、それを『貫く強さ』と『責任』を持たなければならない。貴様は今まで、貫いてきたではないか。責任も背負うとしてきたではないか。ーーーー〈ゾディアック〉の事をあーだこーだ考えているようだがな。何故あの小娘は、自分の天使を使って“心を閉ざしてしまったのだ”? 何故宇宙に逃げてしまったのか? 考えても見たのか?》

 

「あ・・・・」

 

確かにそうだ。今まで六喰に言われた言葉ばかり頭の中をループして考えなかったが、何故六喰は〈封解主<ミカエル>〉で自分の心を閉ざしたのか? 何故宇宙空間に引きこもってしまったのか? もしかしたら、美九に七罪のように、何か心に傷を負い、それを塞ぐ為に心に鍵をかけたのではないか?

考えれば考える程、六喰の行動と言動に違和感を感じていった。

 

《ーーーーさて、向こうも大詰めだな》

 

ドラゴンが目を向けると、クロサイ・デッドマンに噛みついていたリバイスクロコダイルが天井に向けた。

 

「死ぬ気で、決めるぜ!」

 

「よいやっさ!」

 

リバイスクロコダイルが、リバイとバイスに別れると、2人はクロサイ・デッドマンを追って飛び上がると、何度も回転しながらスタンプ型のエネルギーを右足に纏わせながら、右足を突き出すキックの体制を取ると、そのリバイスを追って、ドラゴンが翼を広げてリバイスに並ぶと、両足を突き出したドロップキックの体制を取る。

 

『手伝わせて貰うぞ』

 

「ーーーーふっ、ご自由に」

 

「でも、フィナーレを決めるのは俺っち達だもんね!」

 

『その台詞、少し違うぞ』

 

「「はぁぁぁぁっ!!」」

 

『はぁっ!!』

 

[クロコダイル! スタンピングフィニッシュ!]

 

リバイスとドラゴンの必殺の蹴りがクロサイ・デッドマンをぶつけた。

 

『がばぁっ!!』

 

奇妙な悲鳴を上げるクロサイ・デッドマン。その下に、リバイスとドラゴンが着地すると、バチバチっと火花を散らせながら、身体がひび割れていくクロサイ・デッドマン。

 

『ぼ、僕は諦めないぞ! また新しいスタンプを手にいれて・・・・絶対に、『陰の支配者』にーーーーアガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

ーーーーチュドォォォォォォォォォンッ!!

 

クロサイ・デッドマンに、仮面ライダーウィザードの魔法陣とクロコダイルの紋章を浮かばせながら爆散した。

ひゅ~ん、と爆煙の中から、士道達と同い年くらいの少年が黒焦げで飛び出てくると、箒に股がったミラクル達が捕まえ、リバイスの元に飛んで来た『サイの刻印がされたスタンプ』を受け止めた。

 

『それが、貴様の力の源か?』

 

「ああ。まぁな。ーーーーさてと、ウルトラマンの方はどうかなぁ?」

 

リバイスは自分達の近くに来たプリキュア達と共に、ウルトラマンエックスを見上げると、ドラゴンと彼の元に集った士道達も見上げた。

 

 

 

 

 

ーエックスsideー

 

『士道! これで終わらせるぞ!』

 

『「ああ!」』

 

精霊達の巨大ファントム達を追い詰めたエックスの言葉に、五河士道が応じると、腰に着けていた小さなホルダーから、2枚のカードを取り出し、エクスデバイザーに装填し、上のボタンを押した。

 

『「先ずは七罪と美九だっ!」』

 

[ハニエル ロードシマス]

 

[ガブリエル ロードシマス]

 

『ふっ!』

 

すると何と、ウルトラマンエックスに手に巨大な〈贋造魔女<ハニエル>〉が、回りに〈破軍歌姫<ガブリエル>〉が現れた。

 

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「はぁっ!? あれ、七罪と美九の天使じゃねえか!?」

 

「何でも、〈Xio〉に協力している宇宙人の博士が精霊達の天使を解析して、ウルトラマンエックスの力として使えるようにしたって聞いたね」

 

「天使を解析って、どんな天才なのよその宇宙人!?」

 

規格外な事に琴里も目を見開いた。

 

 

 

ーエックスsideー

 

『ふっ! 「『ハニエルミラージュ』」!』

 

エックスが〈贋造魔女<ハニエル>〉を掲げると、エックスと五河士道の声が重なり、エックスの姿が複数になった。

 

『次はこれだ! 「『ガブリエルシンフォニー』」!』

 

ーーーー♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!

 

次にオルガンを引くと、大量の音符の奔流が発射され、ウィッチファントムとディーヴァファントムを呑み込んだ。

 

『『ーーーーーーーー!!』』

 

ーーーードガァァァァァァァンッ!!

 

音符に呑み込まれた2体はそのまま爆散した。

 

『「今度は八舞姉妹だ!」』

 

[ラファエル ロードシマス]

 

『はぁっ!』

 

次に五河士がカードを装填すると、〈颶風騎士<ラファエル>〉が召喚され、槍とペンデュラムに風を纏って振り下ろした。

 

『「『ラファエルツインサイクロン』!」』

 

『HUUUUU!?』

 

『FUUUUU!?』

 

ーーーードガァァァァァァァンッ!!

 

2つの竜巻を放つと、ベルセルクファントムを巻き込まれ爆散した。

 

『「四糸乃の魔獣を討つぜ!」』

 

[ザドキエル ロードシマス]

 

『はぁぁぁぁっ! 「『ザドキエルストライク』!」』

 

『ガァァァァァァ!!』

 

次に〈氷結傀儡<ザドキエル>〉を召喚すると、ハーミットファントムに突撃すると。

 

『Giiiiiiiiii!』

 

ーーーーピシャァァァァァァンッ!!

 

ハーミットファントムの身体が凍り付き砕け散った。

 

『「次に琴里!」』

 

[カマエル ロードシマス]

 

エックスのその手に焔が吹き出すと〈灼爛戦鬼<カマエル>〉となりイフリートファントムに目を向けた。

 

『GOAAAAAAA!!』

 

イフリートファントムが焔の奔流を放つと、エックスはハルバードを高速で回転させ、焔を防いだ。

 

『ハァッ!!』

 

焔を防ぎきると、逆に焔を纏った〈灼爛戦鬼<カマエル>〉の刃をイフリートファントムに叩きつけた。

 

『「『カマエルクラッシュ』!」』

 

ーーーードゴォォォォォォォンッ!!

 

イフリートファントムを撃破すると、上空からエンジェルファントムが光線の雨を放つ。

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』

 

『シャァッ!』

 

エックスがすぐに上空を高速飛行しながら、光線を回避する。

 

『折紙の魔獣が相手なら、手加減は不要だな!』

 

[メタトロン ロードシマス]

 

エックスの背面に〈絶滅天使<メタトロン>〉が出現すると、エックスは『ザナディウム光線』の構えを取り、光線を放つと、〈絶滅天使<メタトロン>〉からも光線が一斉に放たれた。

 

『「『メタトロンフルバースト』!」』

 

『FAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?』

 

ーーーーチュドォォォォォォォォォンッ!!

 

撃ち抜かれたエンジェルファントムは、そのまま花火のように爆裂した。

 

『よしラストだっ!』

 

『「ああ!」』

 

[サンダルフォン ロードシマス]

 

最後に〈鏖殺公<サンダルフォン>〉を召喚すると、プリンセスファントムと激しく切りあった。

 

『GUAAA!』

 

プリンセスファントムの蛮刀とサンダルフォンの刃がぶつかり合い、火花を散らせていく。

 

『ハァァァ・・・・! シュアッ!!』

 

『GUUUUUUUUU!!』

 

エックスに向けて鉤爪を突き出しプリンセスファントムの1撃を回避すると、そのまま蛮刀を受け流すと、

 

『イィィィィサァァァァッ!!』

 

『GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

エックスが鉤爪の腕を切り落とし、さらに蛮刀の刀身を砕き折ると、プリンセスファントムを十文字に斬り捨てた。

 

『「『サンダルフォンクロス斬り』!!」』

 

『GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』

 

ーーーードガァァァァァァァァァァァァァァンンッ!!

 

プリンセスファントムが爆散した。

 

 

 

 

ー士道sideー

 

「す、スゲェ・・・・!」

 

ウルトラマンエックスの戦いに、士道達は圧巻されていると、戦いが終わったので、クロサイ・デッドマンだった少年を縄で簀巻きにしたリバイスとプリキュア達も集まってきた。

美九がギラギラとした目でプリキュア達を見て、「近くに来てくださいー!」と言うが、プリキュア達は苦笑したり訝しそうに見ながら美九から距離を取った。

「あーん、いけずー!」と美九が喚くが、ドラゴン(怪人形態)が顎クイをして『大人しくしろ美九』、と言うと「あーん、ハニーが素敵ですぅー!」と、全身からハートマークを出して身悶えていた。

ウルトラマンエックスから、五河士道の声が響く。

 

『「少しは『迷い』が晴れたか? 『子供の俺』」』

 

「(ムッ・・・・)ああ助かったよ、ありがとうーーーー『年増の俺』」

 

確かに目の前にいるのは『大学生の五河士道』で、高校生なんて子供扱いされるだろうが、改めて自分に言われるとイイ気になれない。せめてもの反撃を言うが、五河士道は朗らかに笑う。

 

『「はは、そんな憎まれ口を叩けるなら、大丈夫そうだな。しかし、今の俺達まるで狂三みたいだな」』

 

鏡でも見ているような奇妙な感覚に士道も苦笑する。と、ソコでドラゴン(怪人形態)が割り込む。

 

『それで、貴様らはどうやってこの世界から脱出するのだ?』

 

するとウルトラマンエックスは、暁月理巧に目を向けると、暁月理巧は懐からアイテムを取り出した。

 

『理巧。頼めるか?』

 

「ーーーー仕方ないですね。ジーッとしてても、ドーにもならない!」

 

腰のホルダーから2つのカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させる。

 

「融合!」

 

シュワッ!

 

「アイ・ゴー!」

 

セヤッッ!

 

2つのカプセルを黒い装置に装填し、手に持つアイテムのスイッチを押して起動させる。

 

「ヒア・ウィー・ゴー!!」

 

黒い装置を取り外し、アイテムにスキャンさせる。

 

ドクンッ! ドクンッ!

 

アイテムの中央のカプセルに、空色と赤の光が交差するように交わる。

 

[フュージョンライズ!]

 

「越えるぜ、極限!! ハァアアアっ!」

 

暁月理巧はアイテムを掲げて胸の前でスイッチを押した。

 

「ハァッ! ジイィーーーーード!!」

 

アイテムのカプセルが回転し輝き、理巧の身体も輝くと、暁月理巧の身体が、『巨人』へと変貌していくのを。

 

[ウルトラマンネクサスジュネッス! ウルティメイトゼロ! ウルトラマンジード!! ノアクティブザクシード!!]

 

光が収まると、暁月理巧の姿は、空色と赤の体色に胸部に肩が突き出た鎧と右手の甲に剣を装備し、青い目がつり上がった五河士道が変身したのと同じ、『ウルトラマンジード』となった。

 

『あれが理巧の、『ウルトラマンジード』だ』

 

『シャアッ!!』

 

その目付きの悪さに、少し退いた士道達。ウルトラマンエックスは苦笑混じりに説明する。

 

『あの姿ならこの空間の世界から脱出できるけど、出口を作れるが問題がある。出る所は指定できないから、向こうに戻るとウェスコット、この世界の私達の敵の真ん前に出かねないんだ』

 

「な・・・・!」

 

ウルトラマンエックスの言葉に、琴里が目を見開き、戦慄に表情を染める。

 

「そんな・・・・じゃあどうしろって言うのよ。私達は今すぐにでも六喰の処にいかないといけないのにーーーー」

 

「ーーーーこんな事もあろうかと!」

 

その声を遮るように、二亜が不意に大声をあげた。

 

「な、何よ二亜、突然・・・・」

 

「えっへっへ。1回言ってみたかったんだよねーこの台詞。どう? デキる女っぽい?」

 

「・・・・冗談なら後にしてくれない」

 

「あー、ごめんごめん」

 

半眼で言う琴里に、二亜が頭をかく。

 

「ちゃんと用意はあるのよん。ーーーー暁月理巧<イケメン少年>くん。気にしないでそのままズバッとやっちゃってくれない?」

 

「ちょっと何言って『落ちつけ琴里』っ、ドラゴン」

 

『二亜。詳しく説明しろ』

 

ドラゴンが琴里を止めて、二亜に説明を求めた。

 

「オッケー! アタシ、この世界に呑み込まれる寸前、向こうの世界で〈囁告篇帙<ラジエル>〉を顕現させておいたんだ。ーーーー〈神蝕篇帙<ベルゼバブ>〉と〈囁告篇帙<ラジエル>〉は表裏一体。勿論、この世界のチャンネルの役割も果たしてくれる筈だよ」

 

「・・・・! って事はーーーー」

 

士道が言うと、コクリと頷く二亜。

 

「そ。あのウェスコットが元の場所でずっと待ち構えていない限り、鉢合わせする可能性は低いって事」

 

言って、ウィンクする二亜に、精霊達が色めき立つ。

 

「凄いぞ、二亜!」

 

「かか、やるではないか!」

 

「賞賛。ただの飲んだくれではなかったのですね」

 

「たまには活躍するわね・・・・」

 

「いやはは、照れるぜ。もっと誉めておくれ」

 

二亜が得意げに平坦な胸を反らす。

するとウルトラマンエックスが、ウルトラマンジードに目を向けた。

 

『と言う訳だジード! やってくれ!』

 

『(コクリ)ハァッ!』

 

ウルトラマンジードが頷くと、右手の剣を天に突き立てると、ソコからヴォンッ! と、夜空に『穴』が生まれた。

 

『良し。アソコを通れば、元の世界に戻れる筈だ』

 

ウルトラマンエックスが言うと、唯一この世界の住人である〈アクマイザー3〉に、士道達が目を向け、七罪が四糸乃に連れられながら〈アクマイザー3〉に近づいた。

 

「・・・・あ、あのさ、その・・・・ありがとう、ね。助けに来てくれて・・・・」

 

『お礼なんて構わないさ』

 

『左様。拙者達はそちらのドラくん殿に、力を貸して欲しいと頼まれたのだ』

 

『ワイらは正義と平和の為に戦うねん。困ってる人がいたら、助けるのは当たり前やねんなぁ』

 

『それに、『マツリ』にソックリな君がいたからな!』

 

ザビタンの言葉に、七罪は照れ臭そうな頬を赤くした。

〈アクマイザー3〉のヒロイン兼人間側の主人公『マツリ』は、七罪がモデルになっているようだ。

 

『では、私達はこれにて! 『ザイナベック号』!』

 

ザビタンが叫ぶと、怪魚のような戦艦が空から飛んできた。

 

『『『では、さらば!! トォゥ!!』』』

 

〈アクマイザー3〉は『空中戦艦 ザイナベック号』に乗り込むと、ジードは両手にリバイスとプリキュア達、そしてクロサイ・デッドマンだった少年を乗せ。

ドラゴンが魔獣形態になると精霊達を背中に乗せて飛翔する。

最後に、士道がウルトラマンエックスと彼と同化している五河士道に話しかけた。

 

「色々、ありがとうな。俺」

 

『「ああ。それで、六喰はどうする?」』

 

「・・・・もう1度、ちゃんと話してみる。もし、六喰から迷惑だって言われても、『エゴ』だと言われても『覚悟』を決めて、自分の『我が儘』を、『死ぬ気』で貫こうと思う!」

 

『「もしかしたらさ。お前の相棒の竜は、最初っから六喰の本心に気づいていたのかも知れないな?」』

 

「・・・・あぁ、アイツは俺何かより、人の気持ちや感情を理解できるヤツだからな」

 

士道にソッポを向けているドラゴンを見て言う五河士道の言葉に、士道は肯定を示した。

そして数秒の間ゆっくりと大きく息を吸い、吐き出した。今まで肺腑に満ちていた鬱屈した空気を外に誘い出すかのように。

 

「ありがとう。もう1人の五河士道」

 

『「良いって事よ。ーーーー俺も、エックスに叱られたからなぁ」』

 

「えっ?」

 

『「ま。頑張れよ、高校生」』

 

「・・・・そっちもな、通りすがりの防衛チーム所属の大学生」

 

士道は五河士道と声を合わせると、ウルトラマンエックスとウルトラマンジード、そしてウィザードラゴンが空を飛翔し、ザイナベック号に乗る〈アクマイザー3〉が手を振り、全員が彼らに振り返しながら、空に生じた『穴』に飛び込んでいった。




次回、六喰編前半終了。
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