デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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決戦の準備Ⅱ

ー折紙sideー

 

〈フラクシナス〉内で行われた作戦会議の翌々日。

折紙は真那を伴って、天宮市の外れに位置する、陸上自衛隊天宮駐屯地近くに、仁藤の運転する車の窓から折紙と真那が、長く連なったフェイトと、その向こうにえる駐屯地を見つめた。

 

「やー・・・・ここに来るのも久しぶりでいやがりますね」

 

感慨深げに真那が言うと、折紙も小さな首肯で返すと、スマホで時刻を確かめ、改めて駐屯地を見つめる。

ーーーー対精霊部隊、通称〈AST〉。

しかし今はもはや、顕現装置‹リアライザ›を提供してくれるDEMインダストリーの下請け部隊のような有り様となっているが。

フェンスの近くに車を止め。折紙と真那は車に仁藤を置いてフェンスに近づく。

 

「でも、折紙さん」

 

「義姉さんと呼んでくれても構わない」

 

「・・・・“折紙さん”は! もう除隊しやがってますし、真那は裏切り同然の形でDEMを出奔していやがります。正面から行って入れて貰えるものですかね?」

 

折紙が応じると、真那はやけに呼称を強調するように続けてきた。折紙は少々残念な心地を覚えつつも返す。

 

「それについては問題ない。ーーーーそろそろ、約束の場所」

 

「約束?」

 

真那が不思議がるように首を傾げる。

すると、まるでそれに合わせるかのように、フェンスの向こうから微かな声が聞こえてきた。

 

「ーーーー折紙さん、真那さん。こっちです」

 

「え?」

 

突然の呼び声に真那が振り抜く。それに合わせるように折紙もまた振り向いた。

すると、フェンスの向こうの茂みの中から、小柄な2人の少女が、顔を出していた。

かつての折紙の同僚。AST隊員の岡峰美紀恵2等陸士と、ASTのメカニックのミルドレッド・F・藤村2等陸曹、通称ミリィである。

 

「岡峰2士に藤村2曹? 一体そんな所で何を・・・・」

 

真那が問うと、美紀恵は小さく頷いてからチョイチョイ、と、近くにある通用口を指差した。こういった通用口には、両側に鍵穴。付いている筈だったがーーーー。

 

「ミリィさんに鍵を開けてもらいました。人目に付かない内に入って下さい」

 

「ふっふーん、あんな古典的なシリンダー錠、CRーユニット整備士にとっちゃ赤子の手を折るようなものデスよー」

 

「・・・・ちょいと難しい上に、幼児虐待は法定刑で2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金または拘留、もしくは科料でやがりますよ」

 

得意げなミリィに、真那が半眼を作って忠告した。

けれどそんなやり取りで、真那は先程の折紙の言葉の意味を理解したらしかった。

 

「成る程・・・・これならスムーズに出入りできますね」

 

「そう言う事」

 

折紙は短く答えると、速やかに辺りに人目が無い事を確認し、扉を必要最低限開いて身を滑り込ませた。その素早い動作にヒュウっと口笛を吹いた真那も、倣うようにして後を追ってくる。

とは言え、まだ油断できない。基地内の様子を窺い、速やかに物陰に隠れるようにしながら移動していき、ASTの兵舎までたどり着き美紀恵が話し出す。

 

「お久しぶりです、折紙さん。確か、年末にコミックコロシアムでお会いして以来ですね」

 

「久しぶり。あの時は助かった」

 

「・・・・・・・・」

 

短く答える折紙に、美紀恵は複雑そうな表情をしながら頬に汗を垂らした。

 

「何?」

 

「いえ・・・・やっぱり折紙さん、感じが変わったなあって・・・・」

 

言って、美紀恵が苦笑する。

この世界は士道の手により『改変』されたので、『この世界の折紙』しか知らない美紀恵にとっては仕方ない事である。

 

「やっぱり・・・・その、彼氏さんができると、変わってしまうモノなんでょうか」

 

「そう。私は身も心も彼に染められてしまった」

 

折紙が即答すると、美紀恵はショックを受けたように涙目の顔になり、ミリィが「もういい加減潔く諦めなよ」と言いたげに、苦笑しつつも憐憫に満ちた目で美紀恵の肩にソッと手を置き、真那は折紙にジトーっとした目で見つめていた。

 

「それより」

 

「え、ええ・・・・こちらです」

 

折紙が促すと、美紀恵は気を取り直すように頭を振って、折紙と真那を先導してきた。

やがて1つの扉に辿り着き、美紀恵がコホンと咳払いをした後、扉をノックした。

 

「隊長、岡峰です」

 

『入って』

 

美紀恵の言葉に、間髪入れず返ってくる。美紀恵はチラッと折紙の方を見た後、小さく頷きながら扉を開けた。

 

「ーーーー久しぶりね、折紙。まさかアンタとまたここで会う事になるとは思わなかったわ」

 

折紙と真那が部屋に足を踏み入れると、正面の椅子に腰掛けた女性、折紙と真那の元上官にして、AST隊長である日下部燎子1等陸尉である。

そして、部屋にいたのは燎子だけではない。燎子の左右に、後方に、幾つもの見知った顔があった。皆、折紙の元同僚。共に戦場を駆けた、ASTの魔術師‹ウィザード›達である。

とは言え、折紙と真那はさしたる驚きはない。そもそも無理を言って皆を集めて貰ったのは、他ならぬ折紙なのだ。

 

「で? わざわざ何の用? しかもお尋ね者の真那まで連れて」

 

「へ? お尋ね者?」

 

燎子の言葉に、真那は目を丸くし、燎子が首を傾げた。

 

「知らないの? 勿論大っぴらにはなってないけど、DEMからお達しが出てるわよ。元アデプタス・ナンバー、マナ・タカミヤが戦闘中脱走、DEMの貴重な研究資料『ビーストドライバー』を奪取、その後DEMの活動を妨害しているって。捕らえた者には賞金100万ドルだそうよ」

 

「ひゃあ、真那はいつの間にか1億と5000万円以上なんて、『大物ルーキー海賊』のような賞金首でやがります。まぁ真那としては、『四皇』くらいの賞金が出て欲しい所でやがりますが。ーーーーで、捕まえてみます?」

 

[ドライバーオン!]

 

真那がビーストドライバーを召喚して言うと、燎子はフンと鼻を鳴らした。

 

「生憎、私はできるだけ部下と装備の損害をする事も仕事なモンでね。エレン・メイザースクラスでなきゃ仕留められない相手に挑む程、DEMに対して義理や筋合いを欠片も持っていないわ」

 

「あはは、隊長のそう言う処、嫌いじゃねーですよ」

 

真那が笑うと、燎子はもう1度息を吐いた後、折紙に視線を戻してきた。

 

「私達も暇じゃあないし、本題に入りましょう。皆のよしみで集まってはあげたけど、あんまり愉快じゃない話は聞きたくないわよ」

 

「それは、申し訳ない。でも、聞いて」

 

折紙が言うと、燎子を始めとするASTの面々が深く溜め息を吐いた。

 

「・・・・まあ、良いわ。で、何よ」

 

 

燎子が諦めたように肩を竦めながら問うてくる。折紙はコクリと首肯してから後を続けた。

 

「ASTに、DEMから出動要請が届いている?」

 

「は? いきなり何の話よ。DEMから・・・・?」

 

言いながら燎子は、チラッと部下の方を見ると、視線を向けられた部下も、「覚えがありません」と言うように首を横に振った。

どうやら、まだ要請は出ていないようである。折紙は燎子の顔を見つめながら言葉を続けた。

 

「ーーーー2月20日。恐らく天宮市周辺で大規模な戦闘が行われる。その際、ASTにもDEMから出動要請が出る可能性がある。けれど、皆にはソレを無視して欲しい」

 

そう。折紙と真那が決戦までの貴重な時間を使ってこの場所を訪れていた理由は、それだった。

DEMと『魔獣ファントム』は、持てる戦力の全てを使って、士道とドラゴンの命を取りに来る。ならば、ASTも使う筈である。

無論、自分達精霊と戦える戦力とは言えないが、しかし彼女達はDEMの私兵ではない。純粋に国を、市民を守る為に戦っている義士達である。相対する事になれば士道は勿論、精霊達にも躊躇いが生まれるかも知れないし、DEMもそれを狙って彼女達を盾として扱ってくる。できる事なら、その憂いは今の内に取り去って置きたいのだ。

 

「・・・・は?」

 

燎子が、否、ソコに居並んだ他の隊員全員が、折紙の言葉に目を丸くする。

 

「戦闘? 一体誰と誰が」

 

「DEMと『魔獣ファントム』、もとい〈アンノウン〉と、〈仮面ライダー〉と〈ラタトスク〉。そしてもしかしたら、ソコに〈ナイトメア〉時崎狂三も加わるかも知れない」

 

「ちょ、ちょっと待った。あんた、何言ってーーーー」

 

「聞いて」

 

折紙は燎子の言葉を遮るように言うと、状況を掻い摘んで説明し始めた。

DEMの目的。〈アンノウン〉の目的。〈仮面ライダーウィザード〉の戦う理由。精霊と言う存在。そしてそれに関わる〈ラタトス〉と言う組織の事も。

無論、〈ラタトスク〉の存在を明らかにする事に関しては、事前に琴里の許可を取っていた。情報の取捨こそするものの、できるだけ虚言は用いたくなかったのである。いくら辻褄を合わせようと、空言は不信感を生み、真実の価値をも曇らせてしまうからだ。例え真実の中に嘘が1つも無かったとしても、それを聞く相手は他にも偽りがあるのではないかと疑ってしまう。今のように相手に自分の言葉を信じてもらいたい時、それは致命的な失点になりかねない。

 

「・・・・簡単に言うと、こう言う事」

 

『・・・・・・・・』

 

折紙が事情を説明すると、燎子や美紀恵達が、思い思いのリアクションを以て返してきた。

驚愕に目を見開く者。考えを巡らせるように額に手を当てる者。訝しげに眉をひそめる者・・・・反応は様々であったけれど、共通しているのは、皆突然の話に困惑している事である。

 

「(皆の反応は仕方ない。かつての私も、そんな事を言われたら同じ反応をしている)」

 

「・・・・・・・・何よ、それ」

 

僅か数分くらい経つと、燎子が、重苦しい調子で口を開く。

 

「人間の絶望から生まれる魔獣? それと戦う指輪の魔法使い〈ウィザード〉? 精霊を保護する秘密組織? 幾ら何でも荒唐無稽過ぎるでしょ。そんな戯言を信じて、DEMからの協力要請を突っぱねろって言うの?」

 

「おや隊長、協力要請があるって部分は信じてくれやがるんですね」

 

「・・・・揚げ足取るんじゃないの」

 

「これは失敬」

 

燎子が真那をギロリと睨み付けると、真那は言う程には悪いと思っていない顔で肩を竦めた。

 

「アンタ達も分かってるでしょうけど、DEMの要請を突っぱねるってのは、DEMの飼い犬のような上層部からの命令を無視するって事と同義よ。私達に、職を失った上に懲役を食らえって言ってる訳?」

 

さらっと上層部をディスっているが、それに反応する者はいなかった。

 

「その前に全員で辞職してくれても構わない。いずれにせよ、再就職の面倒は〈ラタトスク〉が見てくれると言う事で話は付けてある」

 

「あんたねえ・・・・」

 

燎子が髪をクシャクシャと掻きながら、大きな溜め息を吐く。

 

「命令に従う従わない以前に・・・・精霊を攻撃するなってどう言う事なのよ。アレは空間震を起こす人類の天敵でしょう? 私達はずっと、それから皆を守る為に・・・・」

 

「精霊が破壊意思しか持たない生物であると言う情報自体、DEMのプロパガンダであると捉えるべき、分からず達は初めから、DEMの手の平の上で良いように踊らされていただけ」

 

「・・・・・・・・」

 

燎子は無言になると、ジッと折紙の目を見つめてきた。その奥にある真偽を捉えようとするかのように。

するとそんな沈黙に耐えかねたのか、隣にいた美紀恵が、折紙と燎子の顔を交互に見るようにしながら震えた声を発した。

 

「わ、私は折紙さんが嘘を吐くとは思えないですけど・・・・」

 

美紀恵に合わせて、ミリィが喋りだした。

 

「あははー、私は戦場に出ないんでどっちでも良いですけど、〈仮面ライダー〉の魔法に、その〈ラタトスク〉? って言うんですか? ソコのユニットは弄ってみたいですねー。何ならソコに再就職させてくれません? ミリィさん腕ききですよー。お役に立ちますよー」

 

「・・・・悪いけど、ちょっと静かにしてて」

 

燎子が低い声で2人に言うと、美紀恵はビクッも肩を震わせ、ミリィは気の抜けた笑いで返す。

燎子はそれからまたも黙り込むと、やがて大きな大きな息を吐き出した。

 

「・・・・・・・・できる訳無いでしょう、そんな事」

 

「隊長・・・・!」

 

美紀恵が燎子の方に足を踏み出しながら訴えかけるように言う。しかし、折紙は美紀恵の前に手を伸ばしてコレを制した。

 

「お、折紙さん・・・・」

 

「残念。でも、隊長の選択を責める事はできない(ーーーードラゴン。お願い)」

 

《・・・・・・・・ああ》

 

燎子はどちらかと言うとDEMが嫌いだ。上層部の命令では無かったら関わるのも御免な連中だと言うのも知ってはいるが、燎子が上層部に従わなければ、DEMの下僕とも言える彼らは、自分達やDEMに都合のいい人間を隊長に据えるのは目に見えている。

やがて折紙は目を伏せると、ドラゴンと念話をしてから再度瞼を開けた。

元より、燎子達が信じてくれるとは思っていない。ーーーー否、もっと正しく言うのならば、仮に信じて貰えた所で、必ずしも折紙の意に添う行動を取ってくれるとは思っていなかった。

折紙は真那に視線を向けると、そのままクルリと踵を返すと、真那がフウと溜め息を零し、その後に付いてくる。

 

「・・・・・・・・」

 

と。部屋を出る所で、折紙は不意に足を止めた。

 

「ーーーーもしも要請に従い戦場に出る事になったら、できるだけ〈バンダースナッチ〉を盾にするように方に下がっていて」

 

「え・・・・?」

 

「できれば、“あなた達を殺したくない”」

 

「・・・・(カッチーン)」

 

折紙が言うと、燎子が憤然と息を吐きながらガタッと椅子から立ち上がる。

 

「・・・・何よ、随分と舐めてくれるじゃない? 確かにアンタは腕の良い魔術師‹ウィザード›だったけど、私達だって遊んでた訳じゃーーーー」

 

ーーーーパシュッ・・・・!

 

瞬間、小さな音と共に、燎子の言葉が途絶えた。

突然折紙の背面の空中に、白く無機質な羽のようなモノが現れ、先端から光線を放ってきたからだ。

光線は燎子の頬を掠め、壁に炸裂し、そこからプスプスと煙を上げていた。

 

「ーーーーお願い」

 

『・・・・・・・・・・・・っ』

 

美紀恵やミリィは勿論、他の隊員達が息を呑む音を聞きながら、折紙と真那は部屋を出ていき、仁藤の待つ車へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー七罪sideー

 

「ーーーーふぃ~・・・・んん〜〜〜〜!!」

 

精霊マンション・七罪の部屋にて、七罪がネットに『〈アクマイザー3〉・第11話』を投稿すると、仕事疲れを吐き出すように息を吐き、身体を伸ばしていた。

 

「・・・・な、七罪さん、お疲れ様です」

 

『よっ! 先生! 今日も投稿ご苦労様でした!』

 

お盆に『はんぐり〜』のドーナッツ(七罪はキャラメル、四糸乃はイチゴ)とドリンクにホットミルクを載せた四糸乃とよしのん、そしてプラモンスターズがやって来た。

小さなテーブルに四糸乃がお盆を置き、七罪と対面するように座ると、二人はドーナッツを頬張る。

 

「ーーーーはぁ・・・・」

 

「な、七罪さん、どうかしましたか?」

 

「えっ?」

 

『えっ? じゃないよ。なぁ〜んかいつもより沈んだ感じになってんじゃん。よしのん達に相談してみぃ』

 

四糸乃とよしのんの言葉に続くように、プラモンスターズも鳴き出す。

真摯に自分を見つめてくる皆の視線に、観念したように溜め息を吐いてから話し出す。

 

「・・・・実は、さ。〈アクマイザー3〉、次で終わらせようかな、って思って」

 

七罪の言葉に、四糸乃達はショックを受けたように目を見開く。

 

「えっ!? な、何でですか・・・・!? お気に入り登録してくれた人達、もう100万人以上まで来ているって、ドラゴンさんが言ってましたよ・・・・!」

 

『そうそう! この前の本の世界に閉じ込められてから、凄いやる気になって描いてたじゃん! どうして終わらせちゃうのよ!? あ、もしかして、感想欄の中に、出版社の人らしきコメントがあって身の危険を感じて止める気になったとか?』

 

「い、いやね、確かにそれっぽいメールが来たけど、メイデンとかコロッケ工場行きなんて御免だから、丁重にお断りしたから・・・・」

 

因みに、先日の会議が終わってすぐ、〈ラタトスク〉の会議室に亜空間が開き、ソコから二亜の担当編集者が二亜を唐揚げ工場に連れて行ってしまった。

その時の二亜の表情は絶望に染まり、有無を言う暇もなく亜空間に飲み込まれ、士道も他の精霊達も恐れ、ドラゴンですら戦慄した貌となっていた。唯一マリアだけは何処となく鼻歌交じりで、『本条先生。死出の旅‹執筆作業›頑張って下さい』と応援していたが。

 

「ーーーーこれからさ、いよいよDEMやファントム達のとの決戦だし。・・・・もしかしたら、無事に帰って来られないかも知れないし、そんな事になったらさ、もしかしたら〈アクマイザー3〉を楽しみにしてる人達にも悪いし、ザビタン達も途中で連載されなくなるよりも、一応完結をさせてあげた方が良いかなぁって・・・・にょわっ!?」

 

しかし、七罪の言葉はそれ以上紡げなかった。四糸乃が七罪の手を取ったからだ。

 

「だ、大丈夫・・・・です!」

 

「よ、四糸乃!?///////」

 

四糸乃に手を握られ、顔を真っ赤にする七罪。しかし、四糸乃は構わず声を出す。

 

「皆で、必ず帰ってきましょう・・・・! また一緒に、旅行に行ったり、雪合戦したり、ドーナッツを食べたり、漫画を描いたりしましょう・・・・! 私も頑張ります! だ、だから七罪さんも、頑張りましょう・・・・! ザビタンさんに、イビルさんに、ガブラさんーーーー〈アクマイザー3〉の皆さんも、『マツリ』さんが弱気になった時、何て言ってくれますか・・・・?」

 

「・・・・あっ」

 

七罪は、自分をモデルにしている〈アクマイザー3〉の人間側主人公兼ヒロインの『マツリ』が弱気になった時、〈アクマイザー3〉が何と言うかイメージできた。

 

ーーーー『諦めるなマツリ!』

 

ーーーー『拙者達が付いている!』

 

ーーーー『希望と仲間を信じてな!』

 

と、彼らは言うだろう。

 

「・・・・・・・・・・・・四糸乃がソコまで言うなら、アタシも、頑張ってみる・・・・」

 

「っ、はい!」

 

七罪の言葉に四糸乃が笑みを浮かばて話を終える。

 

 

 

 

 

 

2人はドーナッツを食べ終えると、気分転換に外に行く事にし、廊下を歩いていると、1階の大型厨房施設で、誰かが料理をしている音が聞こえた。

 

「誰かいるんでしょうか?」

 

「さあ・・・・」

 

七罪は首を傾げなから恐る恐る部屋の中を覗き込むと、ソコに、

 

「ふむん。中々難しいモノじゃの。これでよいのか?」

 

「うむ! 上手いぞ六喰! 確かにそれで良い筈だ!」

 

「・・・・むん、十香、ウヌのは随分大きいようじゃが」

 

「む? そうか? 手の平サイズだぞ?」

 

「・・・・ムクの記憶が確かならば、手の平サイズと言うのは手の平に収まる大きさの事であって、両手の平いっぱいに広げた大きさではないと思うのじゃが」

 

等と会話を交わす2人の少女の後ろ姿があった。

 

「十香に・・・・六喰?」

 

目を丸くした七罪の声に反応して、十香と六喰が七罪達の方を振り向いてきた。

 

「おお、七罪に四糸乃によしのんに、ガルーダ達ではないか!」

 

「むん。どうしてのじゃ、そんな所で」

 

「いや、物音が聞こえたから・・・・て言うかそっちこそ一体何を・・・・」

 

2人は振り返った事により、手にしていた物が見えた。炊き上げた米を手で固めた白い三角形。そう、おにぎりだ。

 

「え、何、さっきご飯食べたじゃない。もうお腹空いたの? 十香はまだしも六喰まで、この間2人でフードファイトやって大食いに目覚めたの・・・・」

 

以前六喰が精霊マンションに来て間もない頃、反転十香との死闘から十香に対して警戒心MAXだった六喰と和解する為に、2人で商店街で行われたフードファイトの事を言いながら、七罪は無意識の内に視線が、2人の見事なサイズのバストに行っていた。

 

「(・・・・それともやっぱ、『持つ者』は栄養を全て『そちら側』に変換できるのかな・・・・?)」

 

七罪がボンヤリとそんな事を考えると、二人の胸がフルンと揺れた。否、それは副産物で、正確には2人が首を横に振った。

 

「そうではなくてだな。・・・・いや、確かに私も食べるつもりではあるが、それだけではないのだ」

 

「・・・・どう言う事?」

 

「むん。今主様にドラゴン‹おじ様›に妹御達は、来る戦への備えをしておるのじゃろう。頭を働かせれば腹も減ろうて」

 

2人の言葉に四糸乃が手を、正確にはよしのんの手でポンと手を打った。

 

「あ・・・・もしかして、差し入れですか?」

 

「うむ!」

 

「左様じゃ」

 

言って、十香と六喰が手にしたおにぎりを掲げ、七罪も頷いた。

 

「・・・・成る程。まあ、良いんじゃない。喜ぶと思うわよ、士道達も」

 

「おお、七罪もそう思うか!?」

 

「え、ええ、まあ」

 

七罪が視線を逸しながら答えると、十香は嬉しそうに笑みを濃くした。・・・・そのあまりにも純粋無垢に輝くキラメーイとした瞳に、七罪は目を逸らす。

最近自分の御真祖様の血族の吸血鬼なのでは無いかと疑い始めてしまう七罪である。

と、ソコで十香が何かを思いついたような顔をし、七罪と四糸乃に声をかけてくる。

 

「そうだ、もし時間があるなら、七罪達も作らないか? 楽しいぞ!」

 

「へ・・・・? い、いや、私は・・・・」

 

十香の突然の提案に、七罪は動揺に満ちた声を発した。

が、隣にいた四糸乃とよしのんは、待ってましたと言わんばかりに目をキラキラと輝かせていた。

 

「良いんですか・・・・? やらせて下さい。私達も、皆さんのお役に立ちたいです・・・・!」

 

『にゅっふっふ、よしのんの肉球が火を噴くぜー!・・・・え? ウサギには肉球がない筈じゃないかって? うふふー、君のような勘の良いガキは嫌いだよ』

 

「えぇ・・・・」

 

等と2人共完全に乗り気である。七罪はタラリと額に汗を垂らした。

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