デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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圧倒的・澪

ー十香sideー

 

士道が学校の地下シェルターで岸和田に吹っ飛ばされたのとほぼ同時刻。

 

「な・・・・っ! ジドー達をどこへやった!?」

 

プリンセス‹十香›はサンダルフォンブレードを構えながら、澪を睨みつけた。左右にいるベルセルク‹八舞姉妹›も同じだ。

澪がウィザード‹士道›に一瞬で近づき、抱き締めたかと思うと、フッと士道達が消えてしまったのだ。

しかし澪は至極落ち着いた様子で頷いて見せた。

 

「・・・・心配いらないよ。ここは危ないからね。少しの間、安全な場所に避難してもらっただけさ」

 

「何だと・・・・?」

 

《十香。耶倶矢。夕弦。聞こえるか?》

 

「っ、ドラゴン?」

 

「応答。今どこに?」

 

ドラゴンからの念話が聞こえ、澪から目を離さず小さな声で応えた。

 

《学校の地下シェルターに飛ばされたようだすぐに戻る。相手は、〈ファントム〉で、村雨令音だ。良いか。我らが着くまでマトモに戦おうとするな。逃げる事に徹するのだ》

 

「「「っ!」」」

 

ドラゴンからの念話で、士道が無事であると知り、少しホッとする。

しかし、プリンセス‹十香›達はドラゴンから中継で知ってしまった。

目の前の相手の目的を。悲痛な決意を。そしてーーーー精霊達の保護者的な立場だった令音が、彼女の仮の姿であった事も。

 

「澪。お前は令音・・・・なのだな?」

 

「・・・・ああ、そうだよ」

 

誤魔化す事無く首肯する。

容貌や声音は年若くなっているが、雰囲気は確かに令音である。プリンセス‹十香›はグッと奥歯を噛み締めて声を発する。

 

「・・・・令音。考え直す事はできないのか。お前には沢山世話になった。できる事なら、戦いたくない」

 

訴えかけるように、言う。

けれど、澪はゆっくりを首を横に振った。

 

「・・・・すまないね」

 

「・・・・・・・・、そうか。残念だ」

 

プリンセス‹十香›は細く息を吐くと、腰を落とし、剣を構えた。

思えばそれは当然の結果ではあった。30年にも及ぶ渇望と妄執を、そう簡単に覆せる筈がない。それは、当人ならぬプリンセス‹十香›にも分かっていた事だった。

しかし、言わずにはいられなかったのだ。問わずにはいられなかったのだ。

それくらいーーーーそれこそ、士道やドラゴンや琴里にも負けないくらい、令音は精霊達に良くしてくれた。

十香達の悩みを聞いて、相談に乗ってくれた。

どんな些細な事にも、真剣に向き合ってくれた。

その裏にどのような陰謀を渦巻かせていたとしても、その時十香が感じた感謝だけは本物だった。

 

「・・・・・・・・」

 

だが。思考を切り換えるように頭を振る。脳裏に残った未練と情けを振り払うように。

交渉が決裂した以上、今目の前にいる少女は、士道を自分の都合の良い存在に作り替えようとしている『敵』である。

ドラゴンは逃げるように言っていたが、彼女を放っておけば、士道の存在はこの世界から失われてしまう。そんな事を許せる筈がなかった。

だからーーーー捨てるのだ。

令音への感謝を。思い出を。記憶を。

ーーーー万が一にも、剣の切っ先を鈍ってしまわぬように。でなければ、自分の剣は彼女の肌にすら届かない。

こうして向かい合っているだけで、ジワジワと感じ取れる脅威。

火に炙られているかのように肌がチリつく。その視線に捉えられているだけで動悸が激しくなる。圧倒的に過ぎる力の差を、生物としての本能が訴えかけてくる。

 

「・・・・1人1人じゃ逆立ちしたって敵わない。同時に攻めるわよ」

 

「臨戦。タイミングは合わせます」

 

ベルセルク‹八舞姉妹›も、プリンセス‹十香›と同じ感覚を覚えていたのだろう。普段の態度を消し、決意と警戒に満ちた声を発しながら武器を構える。

プリンセス‹十香›は小さく頷くと、澪の一挙手一投足を見逃さぬよう、ジッと彼女を見つめた。

がーーーーその時である。

 

ーーーードドドドドドドドド!!

 

上空から凄まじい音が鳴ったかと思うと、辺りに光線や弾薬がバラ巻かれたのは。

 

「な・・・・!?」

 

「ちょっーーーー」

 

「退避。避けます」

 

突然の事に、3人は地を蹴り、後方へと逃れた。一瞬後、3人がいた場所に攻撃が炸裂し、地面に幾つもの穴が開いた。

 

「これは・・・・」

 

澪の攻撃、ではない。

上空を見ると、ソコにはいつの間にか、疑似精霊〈ニベルコル〉と〈バンダースナッチ〉に、再生ファントムとインプ達の姿があった。

 

「ちょっと、アタシの事忘れて、なぁーに最終決戦感出しちゃってんのよ」

 

「ホント、マジあり得ない」

 

「きゃはは、でも何か知らないけど、〈仮面ライダーウィザード〉がいなくなってるじゃない」

 

「って事はーーーー」

 

「もうアタシに敵う奴はいないって事よねぇぇぇぇ?」

 

空に舞う幾人もの〈ニベルコル〉が、キャハハ、キャハハて大合唱する。

 

「く・・・・!」

 

プリンセス‹十香›は険しい声を上げて〈ニベルコル〉を睨み付けた。

澪の圧倒的なプレッシャーの前に一時失念してしまっていたが、この戦場には、他にも厄介な者がいたのだ。

 

「疑念。妙ではありませんか?」

 

「夕弦?」

 

「何がだ?」

 

自分達だけに聞こえるように呟くストーム‹夕弦›の言葉に、2人は首を傾げる。

 

「説明。ここには再生ファントムとインプだけです。メデューサとグレムリンがいません」

 

「「っ!」」

 

言われて、2人も確かにと思った。この最後の決戦とも言える戦場にいるのは再生ファントム達だけ、ワイズマンどころか、幹部達の姿が見えないのだ。

 

「・・・・ふむ」

 

しかしそこで、前方から小さな吐息を聞こえてきた。ーーーー澪だ。

 

「・・・・〈ニベルコル〉。君達の力の源も、すぐに回収するつもりだ。それまで、少し大人しくしていてくれないかな」

 

そして、状況に似合わぬ落ち着いた調子でそう言う。

それを聞いた〈ニベルコル〉達は、キョトンと目を丸くした後、腹を抱えて笑い始めた。

 

「キャハハ、キャハハハハハ!」

 

「いきなり出てきてなぁーに言ってんの、アンタ」

 

「知ってるぅ? 交渉って言うのはねぇ、力が対等以下の相手にしか効果がないのよ?」

 

そしてギロリと目を剥き、数人の〈ニベルコル〉が、手にしていた紙片型の天使を澪に向かって放とうとする。

 

「・・・・・・・・・・・・馬鹿が」

 

それを見た3人の内、誰かが呟いた。ーーーー本当の力の差を理解していない、無知で愚かな疑似精霊達に向けて。

ーーーー次の瞬間。

 

「・・・・おいで」

 

澪が左手を高く掲げ、ポツリとそう言ったかと思うと、澪の遥か上空の空間が、グワン、と大きく撓んだ。

そしてソコから、巨大な球体が姿を現す。

 

「は・・・・?」

 

「何、これーーーー」

 

天使を構えていた〈ニベルコル〉達が、ポカンとした調子でそれを見つめる。が、その表情はすぐに驚愕に変貌する事となった。

澪が、その名を呼んだ瞬間に。

 

 

 

「ーーーー〈万象聖堂‹アイン・ソフ・オウル›〉」

 

 

 

ゾワワンギーーーー、と。

肌が粟立つかのような感覚が、3人を襲った。

 

「な・・・・」

 

宙に浮いた真球の滑らかな表面に波が立ち、その形を徐々に変貌させていく。

その様はーーーーまるで花開く蕾を思わせた。

幾重にも重なる花弁を誇る、巨大な花。その中心には、少女のような形をした柱頭が、祈りを捧げるかの如く鎮座していた。

あまりに荘厳で、美しい光景。しかし十香は、ソレを目にした瞬間から、身体の震えが止まらなかった。

本能的な恐怖。絶望の直感。

“アレ”は、形を持った『死』そのものであるーーーー!

 

「咲き誇れ」

 

澪が言った瞬間、周囲に、『死』が撒き散らされた。

 

 

 

 

 

 

ーウェスコットsideー

 

天宮市上空に浮遊する空中艦の1隻。DEMインダストリー旗艦〈レメトゲン〉の艦橋には、自分達の部隊の壊滅や他の空中艦が〈ラタトスク〉の空中艦に劣勢を強いられている報告と指示が飛び交っていた。

 

「ふむ・・・・」 

 

そんな無数の声や通信を耳で拾いながら、〈仮面ライダーソーサラー〉となったアイザック・ウェスコットは、『ディースハルバード』を杖のように手に持ち、フッと声を漏らした。

 

「どうかね、艦長。戦況は?」

 

そして、艦長席に腰掛けていた艦長に声を掛けると、艦長は小さく息を吐きながら返してきた。

 

「正直な所、ここまで粘るとは思っていませんでした。相手を舐めていたつもりはありませんが、まさかここまで兵力を削られるとは。拍手の1つでも贈りたい位の奮戦ぶりですな」

 

言って、肩を竦めてみせる。自尊心の強い制服組にしては、珍しい反応だ。

しかし、ソーサラー‹ウェスコット›はその情報を正確に伝える事を高く評価している。

 

「とは言えーーーーまあ、ご安心下さい。未だ、彼我の戦力差は覆っておりません。じっくり時間をかけて、狩ってご覧入れましょう」

 

「ああ、期待してーーーー」

 

と。

ソーサラー‹ウェスコット›は、ソコで身体をピクリと動かすと、言葉を止めた。

漠然とした、しかし確かな既視感。純粋魔術師‹メイガス›として血が感ずる。濃密極まるマナの脈動。

 

《ゴルルルルルル・・・・!》

 

体内の『ドレイクファントム』も、何かを感じたのか、小さな、しかし力強い唸り声を上げ始めた。

そう。それは、かつてこの世界に『精霊』を生み出した時に覚えた物に他ならなかった。

 

「? どうかしましたかな? ウェスコット殿ーーーー」

 

ーーーービー! ビー! ビー! ビー!・・・・。

 

と。艦長が不思議そうに言った。その時。艦橋に、けたたましいアラームが鳴り響いた。

 

「・・・・! 何事だ!」

 

「れッ、霊波反応です! それも・・・・とびきり巨大な!」

 

「このような反応ーーーー見た事がありません!」

 

「何だと・・・・!?」

 

艦橋のメインモニタに、霊装を纏った1人の少女、そして、その頭上に浮遊した巨大な花のような物体が映し出される。

その威容。そしてあきらかにいじょうともいえるその霊力値に、その場にいた者達がざわめき出した。

 

「ーーーーーーーー」

 

ただ1人ーーーー〈仮面ライダーソーサラー〉、アイザック・ウェスコットを除いて。

 

ーーーーカン・・・・!

 

ソーサラー‹ウェスコット›は、『ディースハルバード』の石突を艦橋の床に叩きつけると、甲高い音を響かせ、ざわめきそうになる艦長とクルー達が黙るが。

 

「ふ・・・・はは、ははは、ははははははははは、はははははははははははははははーーーーッ!」

 

ソーサラー‹ウェスコット›は、堪え切れず、哄笑を張り上げた。

 

「ウ、ウェスコット殿・・・・!」

 

艦長が、頬に汗を垂らしながら眉根を寄せてくる。

すると、それに合わせるようにして、巨大な花から、まるで花粉が飛ぶかのように、いくつもの光の粒が広がった。

次の瞬間。

その粒に触れたインプや〈バンダースナッチ〉や〈ニベルコル〉、そして空中艦の艦体までもが、命を失ったかのようにその昨日を停止させ、あるいは砂糖菓子のように砕け散った。

 

「な・・・・ッ!?」

 

さらなるアラームと、怒号にも似た通信が、艦橋に鳴り響く。

 

《・・・・! 謎の精霊から発された攻撃により、〈バンダースナッチ〉隊が壊滅!》

 

《〈ニベルコル〉消失! 再生できません!》

 

《〈ガルドラボーグ〉! 艦体を保てません!》

 

たった1人の精霊。

たった1つの天使。

その出現によって、コチラの鉄壁の布陣がいとも容易く砕かていく。ただ、再生ファントムだけは無傷であり、精霊へと向かっていく。

しかし、その光の粒が範囲を広げると、旗艦〈レメトゲン〉をも喰らいにかかった。

瞬間、低く響いていた駆動音が静まっていき、艦体の彼方此方が自重に耐え切れなくなったかのように崩れていく。

 

「ぐあ・・・・ッ!?」

 

「ひッ、被害状況を確認しろ!」

 

「・・・・! 無理です! 高度を保てません!」

 

絶望に満ちた声が、艦橋の中を飛び回る。

けれど、ソーサラー‹ウェスコット›の哄笑は止まらない。

とは言え、それも当然だ。

この異常な霊波反応。

あの可憐な少女の姿に、ソーサラー‹ウェスコット›は、心当たりがあったのだ。

 

「遂に現れたかーーーー〈デウス〉。我が、愛しき精霊よ」

 

沈み征く艦の中で、ソーサラー‹ウェスコット›は足元に転移魔法陣を展開すると、その中に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

ー十香sideー

 

それは、夢のように幻想的で、地獄のように凄惨な光景だった。

周囲を飛び回っていたインプが、〈ニベルコル〉が、〈バンダースナッチ〉が、メイジが、そして巨大な空中艦が。

〈万象聖堂‹アイン・ソフ・オウル›〉から発された光の粒に触れただけで、嘘のように脆く崩れ去ったのだ。

 

「・・・・・・・・ッ」

 

その光景を見て、プリンセス‹十香›はゴクリと喉を鳴らした。

力の差があるのは重々承知だった。簡単に勝てる筈が無いと分かってはいた。

 

「(しかし、これ程とはーーーー)」

 

「・・・・流石は、再生とは言え『魔獣ファントム』。簡単にはやられない、か」

 

上空に指を1本指すと、ソコから1筋の光が放たれ、再生ファントム達の身体を次々と貫いた。

 

ーーーーギャァアアアアアアアアアアアア!!

 

そして、その身体が光の粒へと霧散していった。

 

「・・・・さて」

 

「「「っ!」」」

 

上空をグルリと見回していた澪が、ゆっくりと視線をプリンセス‹十香›達に戻す。その目に舐められた瞬間、3人は、直接心臓を掴まれたかのような錯覚さえ覚えた。

 

「・・・・君達には、本当にすまないと思っている。突然力を返せと言われて、納得できないのは当たり前だ。士道の記憶を消すと言われて、許せないのは突然だ」

 

澪が、静かな調子で続ける。

 

「・・・・だから、抵抗するなだなんて事は言わないよ。それは君達にとって当然の権利だ」

 

澪が両手を開いてみせる。

 

 

 

「さあーーーーかかってきたまえ、私の可愛いーーーー娘達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー真那(過去)sideー

 

【ーーーーん? 何をしてやがるんですか? 澪さん】

 

【真那】

 

部活から帰ってきたセーラー服の真那が、リビングにいる澪に話しかけた。

澪はテーブルに辞典を広げ、調べ物をしているらしい。真那はフムと息を吐くと、鞄と竹刀袋をソファに置き、澪の隣に腰掛けた。

 

【何か分からねー事でもありやがるんですか? 真那で良ければ相談に乗りますが】

 

言って、任せろ、と言うようにドンと胸を叩く。最初は澪に少し不信感を覚えてい真那だが、素直で可愛らしい彼女と接する内、今では矛盾しているが、年上の妹ができたような気分なのだ。

 

【本当? それは・・・・助かるよ】

 

澪はそう言うと、困ったように眉を八の字にした。

 

【言葉と言うのは難しいね。理解したつもりでも、状況や込められた感情によって意味が異なる。私もその時は意味を把握していたつもりだったのだけれど、今になって考えてみると、シンの言葉を正確に捉えているかが不安になってきたんだ・・・・】

 

【ふむ、兄様の・・・・って、んん?】

 

それを聞いて、真那は大仰に首を捻った。

 

【・・・・ええと、一体何を言われたんでやがりますか?】

 

兄の真士に限ってそんな事はあり得ないとは思うが、澪が日本語に疎いのをいい事に、卑猥な隠語を唱えさせて興奮していたりしたら、貪狼丸(竹刀)による『九頭龍閃』をぶつけるつもりだ。真那は頬に汗を垂らしながら問うた。

すると澪は、開かれた辞典の紙面を指差し、答えてきた。

 

【『デート』しようって、シンに言われたんだ】

 

【ーーーーへ?】

 

澪の言葉に、真那は思わず目を丸くし、間の抜けた声を発した。

 

【で、デート・・・・でいやがりますか?】

 

【うん。でも、デートって言うのは、男女が日時を決めて会う事、もしくは日付の意だろう? 文脈から考えてシンが言ったのは前者だと思うのだけれど、シンとは毎日会っているし、態々日付が決めると言う意味が分からなくてね。何かしらの比喩表現かとも思ったけれど、1度返事をした手前、シンに聞き返すのも悪い気がして】

 

【・・・・・・・・っはー・・・・】

 

真那は暫しの間無言になった後、大きく息を吐き出した。

 

【・・・・なるほど、なるほど。あの兄様が。はぁー・・・・】

 

そして奇妙な感慨を覚えながら、テーブルに突っ伏し、澪が不思議そうにそれを見てきた。

 

【・・・・真那?】

 

【あー・・・・すまねーですね。まさかあの朴念仁な兄様がここまでスピーディーにコトを起こすとは思って嫌がらなかったもので】

 

真那は身体を起こすと、ポリポリと頬をかいた。

 

【えー・・・・そうですね、なんと言いますか。確かに言葉の意味はそれであっていやがります。要は兄様は、澪さんと2人で出かけたいんです】

 

【うん。でも、2人ででかけた事はもうあるよ。街を案内して貰った時とか】

 

【まあ、そうではあるんですけど。もっとこう、2人の関係性の問題と言いますか。もっと澪さんと仲良くなりたがっていやがるんですよ。・・・・友情ではなく恋愛的な意味で】

 

真那が言うと、澪は思案するように顎に手を当てた。

 

【もしかしてそれは、シンが私と交尾をしたがっていると言う事?】

 

【ぶ・・・・ッ!?】

 

あまりに直接的な表現に、思わず咳き込む。

それから何とか恋愛感情の相談をしていると、澪が目を丸くし、ほんのりと頬を染め始めた。真那が首を傾げると、口をモゴモゴさせながら続けた。

 

【・・・・やっぱり、言葉は不思議だね。意味は分かっている筈なのに、それをシンと自分に当てはめると、途端に不思議な気持ちとなってくるんだ。そうか・・・・ふふ、シンは、私に好意を持っているのか。それは・・・・嬉しい//////】

 

そしてそう言って、赤くなった頬に手を当てる。

 

【・・・・っ、ああ、もう//////(ーーーー本当に可愛いですねこの人! 早いとこ兄様と結婚して姉様と呼ばせてくださいよ!)】

 

真那はバンとテーブルを叩くと、澪の初デートの為に新しい服を見繕う事にした。

しかし、正直真那もファッションに精通していない。仕方ないと思いながら、真那は電話で友人を呼んだ。

すると数分後。ダダダダ・・・・と言う足音が響き、リビングの大窓がガラッと開かれ、1人の少女が現れた。

2つ結びにされた赤い髪に、猫のようにパッチリとした双眸。近所に住む真那のド親友(?)、『穂村遥子』であった。

 

【話は聞かせてもらったわ!】

 

遥子はテンション高く叫ぶと、勢い良く靴を蹴り捨て、リビングに上がってきて真那の手を取った。

 

【ようっっっやく真那もお洒落に目覚めたのね! 素材は良いのに制服かジャージか剣道着くらいしか着ないもんだからちょっと真面目に心配してたのよ! で、何系がいい? 今時間ある? 早速お店にーーーー】

 

【落ち着きやがって下さい。誰も私の服を選んでくれとは言ってねーです】

 

【え? 違うの?】

 

遥子は目を丸くすると、やっと真那に彼氏ができたのかと思い落胆したように言うと、真那も真士の友達の『五河竜雄』に告白できない事を言うと、遥子は顔を真っ赤にした。

改めて、澪の紹介(遠い親戚として)すると、遥子は数秒間呆けたように澪の容貌を見てから、自分の紹介をし、真那から真士と澪がデートするので、澪のデート用の服を見繕って欲しいと頼まれると、遥子はテンションが高くなり、ガッシと肩を組んでくる。

 

【よっし把握した。要は、お兄さんが思わずメロメロになっちゃうように澪さんをコーディネートすれば良いって事ね? へへ、どんなのにしようかなー】

 

言って遥子が、ポケットから棒付きキャンディを取り出し、口に放り込む。

それは遥子の癖のようなものだった。曰く、考え事をする時に舐めると集中力が増すらしい。

 

【話が早くて助かります。まあ、相手の服装で好き嫌いを決めやがる兄様じゃねーですけども、それとコレとは話が別です。女として気合を入れねーといけません】

 

【じ、じゃあ・・・・よろしく】

 

真那と遥子が力強い調子で言うと、澪は少し戸惑うような様子を見せながら頷いた。

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