デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今回、ちょっとオリジナルを入れます。


過去の決着、現在の怨敵

ー折紙sideー

 

気を失い、変身が解除されたアルテミシアを抱き留め、仮面を解除した折紙に、CR−ユニットを纏った燎子と美紀恵が近づき、折紙の脇腹の傷を見る。

 

「大丈夫ですか!? 折紙さん!」

 

「・・・・大丈夫。これくらいなら、馴れている」

 

「馬鹿。『我慢』と『大丈夫』は似てるようで全然違うのよ。ーーーーほら、貸しなさい」

 

燎子が言うと同時、随意領域‹テリトリー›を広げて、アルテミシアの身体を支えると、抱き留めたアルテミシアが見ながら、感嘆の息を吐く。

 

「にしても・・・・1対多とは言え、まさかアルテミシア・アシュクロフトを仕留めるとはね・・・・」

 

元SSSのトップエースである彼女は、魔術師‹ウィザード›達の間でも知られた存在だ。それこそ、人類最強のエレン・メイザースに最も近いとも言われている。燎子が驚くのも無理のない話だ。

しかし、折紙は首を横に振った。

 

「決定打を打ったのは私ではない」

 

「え? じゃあ・・・・」

 

と、燎子が首を傾げた所で、遠くから声が響いてきた。

 

「折紙さん、大丈夫ですか・・・・!?」

 

「むん、成功したようじゃの」

 

青い〈仮面ライダー〉とピンクの〈仮面ライダー〉が飛んできた。

四糸乃と六喰が変身する〈仮面ライダーハーミット〉と〈仮面ライダーゾディアック〉。折紙と共にアルテミシア対応班として戦った精霊であり、特に六喰はアルテミシアを仕留めたキーパーソンである。

折紙が簡単にアルテミシアを仕留めた作戦を説明すると、燎子が驚いたように目を丸くし、複雑そうな顔をしながら、仮面を解除した四糸乃と六喰の顔をマジマジと見る。

 

「はー・・・・アンタらが? って言うかそっか、精霊だもんね・・・・」

 

すると燎子の後方にいた他の隊員達も、興味深そうに2人を取り囲んだ。

 

「えっと、あなたが〈ハーミット〉で、あなたが〈ゾディアック〉?」

 

「うわ、マジか。マジか。こんなに近くで精霊見たの初めてかも」

 

「・・・・つか、なんか可愛くない?」

 

「・・・・つか、〈ゾディアック〉、アーマー越しでも分かるくらい胸デカくない?」

 

CR−ユニットを纏った隊員達が、女子学生よろしくな調子でワイワイと盛り上がり始める。

 

「むん?」

 

「あ、あの・・・・えっと」

 

六喰は平然と、四糸乃は少し恥ずかしそうに視線を逸らす。

 

「ああ、ごめんごめん。何か、ちょっと意外で。この距離で見てみるとホント、普通の女の子なのね。対話も不可能な敵対生命体って話は一体何だったのよって感じ・・・・」

 

燎子がアハハと苦笑しながら頭をかく。

人類の仇敵とされていた精霊とそれを狩る対精霊部隊の隊長が、こんな至近距離で話し合う姿は、感慨深い光景である。

とは言え、いつまでも世間話をしてはいられない。

折紙が燎子達に、アルテミシアを〈フラクシナス〉に連れて行って欲しいと頼んだ。

常々DEMにムカッ腹を立てていた燎子は、これでDEMに一泡吹かせてやれると、喜んで協力を承諾した。

 

「では案内役として、このレッドガルーダについていって」

 

『ピィっ!』

 

「あ、カワイイ・・・・」

 

美紀恵がボソッも呟くと、燎子は目をキッとさせた。

 

「ーーーーちょっと待った。ソイツって、〈仮面ライダー〉のペットじゃなかった?」

 

「そう。彼も別の場所で戦っている」

 

「よし。1年前にあたしの事を『おばさん』って言った事についてーーーー“詳しく聞きたい所だったのよ、徹底的に、ね”」

 

拳をゴキリゴキリと鳴らしながら凄絶な笑みを浮かべる燎子に、他の隊員達が冷や汗を流しながら苦笑した。

 

「ーーーー折紙さん!」

 

〈仮面ライダービースト〉となった真那が、絶叫染みた声で折紙の名を呼びながら、猛スピードで飛来してきた。

焦燥に染まった声と様子に、普段のビースト‹真那›からはあまり考えられない様な剣幕で、何かを叫んでいる。

とーーーー。

 

「・・・・・・・・ッ!?」

 

ソコで漸く、折紙達も気づいた。

自分達の遥か後方に、凄まじい力を帯びた『何か』が現れた事に。

 

『なーーーー』

 

一斉に振り返り、折紙達は言葉を失った。

ーーーーそれは、球体だった。

戦場の空に、大きな丸い球体が、突如として現れたのだ。

その異様な圧迫感。死の予感。相当の距離があると言うのに、『ソレ』を目にしているだけで、致死性の毒を嗅がされているかのような錯覚に陥る。

が、それで終わりではなかった。

まるで蕾が開花するかのように球体が蠢いたかと思うと、その中から、幾つもの光の粒が空に振り撒かれたのである。

そしてそれはーーーー折紙達の所にも。

 

「・・・・ッ! 防御陣形!」

 

『は・・・・っ!』

 

燎子の号令に、AST隊員達が応え、折紙達を守るように随意領域‹テリトリー›を広げる。

だがーーーー駄目だ。折紙は胃の底に冷たいモノが広がるような感覚を覚え、喉を震わせた。

 

「・・・・! いけない。逃げて!」

 

「大丈夫です・・・・! 折紙さん達は私達が」

 

と。

小さな光の粒が降ってきたかと思うと、強固に固められた筈の随意領域‹テリトリー›を通過して、折紙を守るように両手を開いた美紀恵の身体に触れた。

 

「ーーーー」

 

するとその瞬間、美紀恵の身体からガクンと力が抜け落ち、そのまま地上へと落としていった。

否、美紀恵だけではない。光の粒に触れたと思しき数名の隊員が、同様に空から落ちていく。

 

「・・・・っ!」

 

「ちょーーーー」

 

折紙や燎子達、その場に残った魔術師‹ウィザード›達は、慌てて随意領域‹テリトリー›を広げると、落下しつつあった隊員たちの身体を支えた。

 

「ちょっと! 大丈夫!? 何してーーーー」

 

燎子が随意領域‹テリトリー›で引き上げた隊員の頬を叩きーーーー言葉を止める。

 

「な、何よこれ、死んで・・・・る・・・・?」

 

「・・・・!?」

 

折紙は眉をひそめると、美紀恵の身体に近づき、その首元に触れた。

 

「(ーーーー脈と呼吸が、ない・・・・!)」

 

完全に、生命活動を停止していた。

 

「ーーーー」

 

理由も原理も、分からない。

確かなのは、あの巨大な球体から発された光に触れただけで、隊員たちが死んでしまったという事実とーーーー。

 

「(っ! あの場は確か、士道と十香、耶倶矢に夕弦が、〈ニベルコル〉と戦闘をしている方向だった・・・・ッ!) 士道ーーーー!」

 

折紙はギリて拳を握ると、燎子を一瞥した。

 

「ーーーー隊長。ミケ達をお願い。今なら〈フラクシナス〉の医療用顕現装置‹メディカル・リアライザ›を使えば、蘇生が可能かも知れない」

 

「え、ええ・・・・! って、アンタはーーーー」

 

燎子の言葉を最後まで聞かず、折紙はマスクを展開して、空を蹴った。

 

 

 

 

 

ーエレンsideー

 

「ーーーーあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

咆哮にも似た絶叫と共に、ヘルキューレ‹エレン›は『リミットオーバーモード』となり、ダーインスレイヴを眼下の相手ーーーー若返ったウッドマンへと振り下ろす。

人類最強の魔術師‹ウィザード›が放つ、渾身の斬撃。精霊の霊装さえ切り裂く必滅の1閃だ。

 

「ふーーーーッ」

 

しかし対するウッドマンは、レイザーランスを振り上げると、その1撃を受け止めて見せた。

 

「は、凄い魔力量だな。だが攻撃が直線的過ぎる。久しぶりの再会が嬉しいのは分かるが、もう少し落ち着けよ、エレン」

 

「黙れ!」

 

ヘルキューレ‹エレン›は忌々しげに喉を引き絞ると、武器を握る手に力を込め、再度斬撃を見舞った。2度。3度。4度ーーーー幾度と無く。

魔力の剣閃が、花火のように辺りに舞い散る。

常人の目には、光が煌めいているようにしか見えはしないだろう。尤も、それを美しいと脳が認識した時にはもう、その身体は10以上の肉片に分割されているだろう。

だが、ウッドマンはその目にも止まらぬ剣撃を正確に捉えると、避け、受け止め、或いは受け流して見せた。

あまりに凄まじい反射速度。アルテミシアでも恐らく捌けきれないだろう。

できるとしたら、『魔獣ファントム』のような異形の魔物。もしくはーーーー〈仮面ライダーウィザード インフィニティスタイル〉くらいであろう。

そして、今エレンの目の前にいるのは、DEMインダストリーの創設メンバー、エリオット・ボールドウィン・ウッドマン。

数少ない純粋魔術師‹メイガス›にしてーーーーこの世界で最初の魔術師‹ウィザード›である。

元とは言え、世界最強を名乗っていたエレンに顕現装置‹リアライザ›の扱いを習ったのは、このウッドマンである。いわばエレンの師匠とも言える。生成魔力の量はエレンが勝るが、顕現装置‹リアライザ›の操作や随意領域‹テリトリー›の操作技術においては、未だウッドマンの方が1枚上手のようだ。

だがーーーーいや、だからこそ、ヘルキューレ‹エレン›の激情は更に燃え上がった。

 

「何故・・・・何故私達を裏切った! エリオット・・・・ッ!」

 

それは、ウッドマンがエレン達の元を去ってからずっと、胸に蟠り続けた思いだった。

未だ脳裏に焼き付いたあの日。エレンと、その妹カレン、ウェスコット、そしてウッドマンの4人は、業火に沈む故郷を見ながら、誓った筈だった。

人間への報復を。人類への復讐を。世界へのーーーー叛逆を。

真ジュ‹メイガス›による新たな秩序の創造。旧セカイの上書きそんな夢物語を実現させる為に、エレン達は血の滲むような研究と研鑽を続けてきた。

顕現装置‹リアライザ›。人造魔術師‹ウィザード›。空中艦。自動人形。魔術の鎧。ーーーーDEMインダストリーを形作る数多の超常技術は、全てその副産物に過ぎない。

全ては新しい世界の為。

全ては、同胞達の無念を晴らす為。

それ、なのに。

 

「お前は・・・・私達との誓いに背を向けた! それどころかカレンを誑かして研究成果を簒奪し、私達の敵として現れた! その罪、死を以ても贖えないと知れ・・・・ッ!」

 

憤怒。呪い。怨嗟。思いつく限りの負の感情を言葉に乗せ、ヘルキューレ‹エレン›は吼える。

すると、攻撃を正確に捌いていたウッドマンが、小さく息を吐いた。

 

「お前達には悪かったと思ってるよ。・・・・いや、まあ、カレンを誑かした覚えはないって言うか、気づいたら身支度整えて隣にいたんだがーーーーともあれ、俺は別に、お前達と敵対したかった訳じゃない。ただ、お前らの道と俺の道が、変な具合にかち合っちまってただけだ」

 

「戯れ言を・・・・!」

 

「戯れちゃあいない。村を焼き払われた恨みも、同胞を殺された憎しみも、完全に消えた訳じゃあない。ただーーーー」

 

とーーーーウッドマンがソコで不意に言葉を止める。

 

「・・・・っ」

 

ヘルキューレ‹エレン›もまた、その理由を察した。

ドクン、と世界が脈打つかのような感覚。自然ではあり得ないマナの流れ。それは間違いなく、30年前エレン達が生み出した始原の精霊のものであった。

恐らくーーーー現れたのだ。あの女が。しかもここからそう遠くない、何処かに。

だが・・・・ヘルキューレ‹エレン›の頭に、『ヘルスレイプニル』の声が響いた。

 

《ーーーーここより北東数キロから、〈仮面ライダーウィザード〉、イツカシドウの反応を検知。始原の精霊の元に急速に接近中》

 

「っ・・・・!」

 

「・・・・・・・・」

 

ヘルキューレ‹エレン›は仮面越しに目を見開き。ウッドマンは、感慨深げに目を細めながら続けてきた。

 

「・・・・あの精霊を見た時、俺は思っちまったんだよ。【・・・・ああ、綺麗だ】って。それで、考えちまった。いくら復讐の為とは言え、何も関係のないあんな子を犠牲にして良いのかって。そんなの、俺達の故郷を焼いた人間達と何が違うんだ・・・・ってな」

 

言って、ジッとヘルキューレ‹エレン›を見つめるその目には、微かな悲哀と憐憫とが見て取れた。

 

「・・・・ッ」

 

その言葉に、視線に。ヘルキューレ‹エレン›は、一瞬心臓を火で炙られたかのような苛立ちを感じたが、目の前にいる裏切り者を殺す事が、不思議と些末な事に感じていた。

そうーーーー始原の精霊の元に向かっている『愛しき怨敵』の事を思えば。

 

「・・・・・・・・なるほど。つまりお前は、初めて会い、さらに言えばお前の存在を認識すらしていなかった始原の精霊に、鼻の下を無様に伸ばし、そんなくだらない感傷に囚われたから、幼い頃から兄妹のように、いや、兄妹以上に過ごしてきたアイクと私を裏切ったーーーーと言う訳か。ますます失望したよエリオット。お前がそんな、最っっっ低な軽薄男だったなんて」

 

「ーーーーおおぉぅっ! じ、自分でも、結構気にしていた事を、そんな冷静に、臆面もなく言いやがって・・・・!!」

 

突然冷静になったヘルキューレ‹エレン›に驚きながらも発せられた言葉に、ウッドマンは貌を歪ませながら、胸を押さえて蹲る。

 

「さて、過去‹お前›との決着もさっさと片付けよう。私にはーーーー倒さねばならない現在‹怨敵›がいるのだから」

 

ヘルキューレ‹エレン›がチラッと別方向を見てから、ダーインスレイヴに魔力を込めた。

その視線の先をウッドマンは理解した。『彼』が、否、『彼ら』が向かっているのだと。

 

「おいおい。お前もあの茶坊主とトカゲに随分ご執心じゃあねえか?」

 

「そうですね。流石は数多の精霊の心を奪った人間。始原の精霊も彼を狙っているのだろう?ーーーー憐れだなエリオット。こんなに身体を張っていると言うのに、あの精霊は、お前に振り向いてくれる処か・・・・一瞥すらくれないのだからな?」

 

「っ・・・・う、うるせぇっ!!」

 

その嘲笑と嘲りに満ちた声に、ウッドマンが先程まで余裕の声が若干崩れた。

 

「ではーーーー終わらせよう」

 

[ダーインスレイヴ デッドエンド]

 

ダーインスレイヴから長大な光の槍が収束されていく。恐らく一点集中させた絶大な破壊力の槍だろう。

先程までの怒りに囚われたエレンであればまだ楽だったのだが、今の彼女は、内に蟠る負の炎を胸に宿しながら、思考はとてつもなく冷静になっている。非常に厄介極まる境地に立ってしまっていた。

 

「(ーーーーたくっ、怒りに半ば我を忘れていたエレンをこうも簡単に冷静にさせちまうとか・・・・ちょっと妬けちまうぜ、五河士道くん。ウィザードラゴンくん)」

 

ウッドマンは、手にしたユニットを前方に向けると、レイザーランスの各所が変形し、先程とはまるで違う形になっていく。

それは槍と言うよりも、まるで巨大な砲のようである。

 

「〈ゴンーーーーグナー〉!」

 

ウッドマンの声と共に、彼の持つユニットか、魔力光が放たれ、ヘルキューレ‹エレン›のダーインスレイヴとぶつかり合うとーーーー空を、目映い白に染め上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー十香sideー

 

「・・・・っ、・・・・っ」

 

プリンセス‹十香›は、早鐘のように脈打つ心拍を整えるように、深く呼吸を繰り返した。

しかし、心臓は一向に落ち着かず、喉が張り付き、剣を握る手が震える。全身の細胞すべてが、目の前の敵と戦うなと警鐘を鳴らしている。

それはそうだ。澪の圧倒的な力を見てなお、恐怖を抱かない者など、この地上にいない。

否ーーーーそもそも今この場に残っているのは自分とベルセルク‹八舞姉妹›しかいない。

天に座する巨大な花に放った光の粒は、ほんの数瞬の間に、周囲の〈ニベルコル〉や再生ファントム、メイジにインプ達を悉く死滅した。

否、それだけではない。無機物である筈の〈バンダースナッチ〉やDEMの空中艦までも粉砕していったのだ。

まるで物体が持つ寿命を一瞬にして奪い取ってしまうかのような、自然の摂理に背く異常な光景。

まだ遠くの空では戦闘が展開されているが、この一帯だけが、まるで台風の目のように静まり返っていった。

 

「・・・・・・・・」

 

ゴクリ、と息を呑む。渇いた喉が、小さく痛む。

澪。崇宮澪。

神の名を持つ精霊。死を撒く女。その視線に撫でられるだけで、肌が裂傷したような錯覚さえ覚える。

 

《何をしている十香! 耶倶矢! 夕弦! 彼女には勝てん! 逃げるんだ! 今すぐ逃げろ!!》

 

ドラゴンが念話で叫んでいる。十香も分かっている。例えここに全ての精霊達が封印解除された十全の状態で、持てる力の全てを結集させて挑んだとしても、澪には勝てないと言う事を。

しかし、退く訳にはいかなかった。

十香は、士道が好きだ。

彼がいたから、救われた。彼がいたから、変わる事ができた。士道がいたからーーーー十香は、こんなにも愛おしい気持ちを知る事ができた。

今自分達が澪を止められなければ、それが、全て無かった事にされてしまう。

五河士道と言う人間が、何の冗談でもなく消去されてしまう。

そんな事は、絶対に許す訳にはいかなかった。

だからプリンセス‹十香›達は、身を震わす恐怖を踏みつけて、刃を向けるのだ。

 

「耶倶矢、夕弦。・・・・行けるか?」

 

油断無く澪を睨み付けながらプリンセス‹十香›がポツリと言うと、左右にいたテンペスト‹耶倶矢›とストーム‹夕弦›が小さく肩を揺らした。

 

「だ、誰に向かってモノ言ってるんだし。全然問題無いし・・・・!」

 

「同意。如何に強大な敵であれ、八舞が退く事などありえません」

 

「・・・・うむ」

 

2人の頼もしい言葉に小さく頷くと、真っ直ぐ澪を見据え、地を蹴った。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーッ!」

 

サンダルフォンブレードを振り上げ、渾身の力を込めて振り下ろすと、剣の軌跡から魔力と霊力が混ざり合ったエネルギーが迸り、質量ある斬撃が澪に襲う。

 

「・・・・流石に、霊力と魔力の混合エネルギーを無防備に受けるのは危険、かな」

 

しかし澪は、落ち着いていたが、澪がその斬撃に向けて手を差し出すと、障壁が展開され、凄まじい斬撃を防いだ。

 

「く・・・・!」

 

しかし、プリンセス‹十香›は諦めなかった。澪が呟いた言葉から、どうやら〈仮面ライダー〉の力は澪に有効だと分かり、サンダルフォンブレードを握る手にさらに力を込め、幾度と無く斬撃を繰り返していく。

 

「だりゃぁぁぁぁっ!」

 

裂帛の気合い。プリンセス‹十香›は幾度目とも知れぬ斬撃を放った瞬間身を翻すと、その後を追うように空を蹴り、澪に飛びかかり、サンダルフォンブレードで突きの構えを取り、斬撃と共にその切っ先を叩き込む。

がーーーー結果は同じだった。

 

「・・・・悪いが、それでは私は倒せないよ」

 

澪が、喉寸前で止まり、刃を見下ろしながら静かな声音を零す。

 

「ーーーー」

 

プリンセス‹十香›はその宣言を受けて、声を発する。

 

「ああーーーーそうだろうな」

 

「・・・・何?」

 

澪が不思議そうに目を細めーーーーピクリと眉を揺らす。

プリンセス‹十香›が連撃を見舞っている間に、ベルセルク‹八舞姉妹›が澪の後方に陣取り、2人の武器が合体し、巨大な弓を構えていた。

〈仮面ライダーベルセルク〉の最大の1撃。

 

[[マジイイネ! ラファエル! チョーステキー!]]

 

「「ラファエル! ツヴァイシュトゥルム!!」」

 

2人が名を呼ぶと、嵐の矢を放った。

凄まじい風圧を纏った巨大な円錐形の矢が、余波で周囲の瓦礫を吹き飛ばしながら澪に迫る。

 

「・・・・・・・・」

 

澪は小さく息を吐くと、攻撃を防ぐようにその手を掲げた。

ーーーー直撃すると、辺りが滅茶苦茶な衝撃波が撒き散らされ、舗装道路がベロンと剥がれ、周囲のあらゆる物質が散弾のように舞い上がり、互いに打ち合っては砕けていった。

だが。それでも澪の障壁は破れない。大型ハリケーンもかくやという暴風の直中にあって、澪は髪の先すら靡かせずにその1撃を防いでいた。

 

「・・・・見事な奇襲だ。だがーーーー」

 

と、そこで澪が言葉を止める。

恐らく、気付いたのだろう。

この暴風の1撃すらもーーーー囮だという事に。

 

[マジイイネ! サンダルフォン! チョーステキー!]

 

最大出力の極大の光の剣が天に屹立させた。

そう。プリンセス‹十香›は澪が自分から視線を切った一瞬の隙に、サンダルフォンブレードに力を最大に込めていたのだ。

打ち合わせ等も事前の合図も一切して決めていない。けれど、プリンセス‹十香›には確信があった。

共に幾度も視線をくぐり抜けたベルセルク‹八舞姉妹›であれば、きっとこの結論に辿り着くと・・・・!

 

「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーッ!」

 

プリンセス‹十香›は喉よ潰れよと言わんばかりに声を張り上げると、その極大の光の剣を澪目掛けて振り下ろした。

空が裂け、地が震えーーーー世界が、軋む。

圧倒的な力を持つ破壊の剣が、嵐の矢を受け止める澪の背に炸裂した。

澪の障壁に有効な魔力と霊力の混合エネルギーによる最大出力の必殺技を2方向から受けたなら、或いはーーーー!

 

「墜ち・・・・ろぉぉぉぉぉぉッ!」

 

「穿ーーーー通・・・・! 倒れなさい・・・・!」

 

「はああああああああああああああああああッ!」

 

テンペスト‹耶倶矢›、ストーム‹夕弦›、プリンセス‹十香›の絶叫が、荒れ狂う颶風の中に轟き渡った。




第三者の視点から見ると、ウッドマンって結構最低な事をやったとも言えますね。
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