デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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幕間で、仁藤さんとグレムリンの『因縁』を教えます。


幕間12
幕間 仁藤、仇と出会う


ー仁藤sideー

 

「おおおっ!!」

 

『はっはぁ!』   

 

士道達がDEMと激戦を繰り広げていた天宮市から離れた東京都心。

仁藤は廃屋で、グレムリンと交戦を繰り広げていた。

 

『しゃぁっ!』

 

「くっ!!」

 

グレムリンがラプチャーで仁藤の首を刎ねようと横に振るうが、仁藤は上体を仰向けに倒れるようにして回避し、銀の弾丸入りの拳銃の弾をグレムリンの脇腹に撃ち込んだ。

 

『グハッ!ーーーーなんてね♪』

 

が、グレムリンはマトモに数発も受けたというのに、ほとんどダメージを受けていなかった。

 

「ーーーーっ!」

 

仁藤は一瞬苦々しく顔を歪めるが、スグに切り替えて、М3ザブマシンガン(銀の弾丸入り)を連射する。

 

『ーーーーおっと!』

 

グレムリンも流石にヤバいと思ったのか、加速して回避した。

 

『ーーーーっと。スゴイねぇ、魔法もCRーユニットも無いただの人間なのに、僕達ファントムを相手にここまで粘るなんて。ある意味人間超えてるよ君?』

 

辺りには仁藤によってやられたファントム数体と、グールとインプの亡骸を見て、純粋なのか小馬鹿にしているのか分からない言葉を発するグレムリン。

 

「・・・・・・・・」

 

仁藤はそれに応じず、ショットガンを構えたまま思考を巡らせていた。

人間を超えているなんて言われているが、仁藤自身、身体の節々が悲鳴を上げていた。グレムリンがコチラを完全に舐めてかかっているから、ギリギリ生きていられるのだ。さもなくば、幹部級を相手に、銀の弾丸入りの通常装備の自分が善戦できる筈がない。とっくに首と胴体どころか、五体が永遠にお別れしているだろう。

 

「(ーーーー人員は完全に0課どころか、〈ラタトスク機関〉を上回っているな)」

 

〈仮面ライダーウィザード〉と〈ラタトスク機関〉に応援を頼みたいところが本音だが、彼らは今DEMとの全戦力を以て天宮市で戦争とも言える決戦を繰り広げているのだ。

下手にコチラの状況を教えれば、あの後先考える思考がない五河士道、もしくはお人好しの精霊達はコチラに向かうだろう。

そうなれば、戦力的に不利な〈ラタトスク機関〉は完全にDEMに敗れ、五河士道は殺されてしまうだろう。そんな事になれば、精霊達は完全に、世界を殺す大厄災へと変貌してしまう。それだけは何があっても防がなければならない。

 

「(・・・・『儀式‹サバト›』を停める方法は1つ。ーーーー“生け贄となる魔法使いが1人でも欠けてしまえば行えない”、だ。0課の情報網では、現在4つの地点にいる〈仮面ライダーメイジ〉以外は天宮市で〈仮面ライダーウィザード〉達と交戦中。あのメイジ1人だけでも連れ去る事ができれば・・・・!)」

 

そう。仁藤達国安0課は、ワイズマン達『魔獣ファントム』が、DEMの第2執行部の『アイリーン・フォックス』と言う女性を含んだ4人の魔術師‹ウィザードが変身する〈仮面ライダーメイジ〉達を使い、『儀式‹サバト›』を行おうとしていると言う情報を得て、アイリーン・フォックスを保護と言うよりも、奪取する為にここに来たのだ。

既に他の捜査員達は地元警察と協力して付近の住民達の避難をしている。マトモに『魔獣ファントム』との戦闘経験のない者がいても、足手まといの無駄死になるのがオチだと判断したからだ。

 

ーーーーフゥ、フゥ、フゥ・・・・グレムリン」

 

『もう、『ソラ』って呼んでくれないのかなぁ?』

 

仁藤は乱れる呼吸を整えながら、眼前のグレムリンを見据え、ずっと抱えていた『疑問』をぶつける。

 

「ーーーーお前は・・・・“ゲートとなった人間の記憶を所持しているな”?」

 

『うん。そうだよ☆』

 

「ならばーーーー“『仁藤鈴‹ニトウリン›』と言う名を知っているか”?」

 

『ーーーー『仁藤鈴』・・・・、スズ・・・・あっ、君もしかして、『スズちゃん』のお兄さん!?』

 

「ーーーーっ! 今ので、確信を持てた・・・・! 『スズ』と言うのは、鈴が親しい友人に呼ばせていたニックネームだ。『鈴‹リン›』よりも『鈴‹スズ›』の方がカワイイからって理由でな。そして、私以外だと、幼馴染みの奈良瞬介と小森ルミ子。そして瞬介のご両親に女友達。そしてーーーー“美容学校の先輩”だけだ。グレムリン、お前の『ゲート』、『滝川空』だ!」

 

『・・・・・・・・」

 

グレムリンは無言で人間態に変わると、帽子を上げて顔を見せ、仁藤の顔をジッと見据えていた。

 

「・・・・ふぅ〜ん。まぁ僕が『ゲート』の記憶を保持しているのは当然だけど。それがどうしたの?」

 

いつものように陽気で戯けた態度を取るグレムリン。しかし、仁藤はその態度すら腸が煮えくり返りそうな気持ちになるが、冷静になる為に小さく深呼吸をする。

 

「・・・・ーーーー我々公安警察は、ある事件を追っていた。私の妹、『鈴』のように、何人もの女性が殺された『連続殺人事件』を、な」

 

「へぇ・・・・」

 

目を細めながら含み笑みを浮かべるグレムリンに、仁藤はさらに言葉を続ける。

  

「捜査を続けていく内に、公安は私の妹を含めて、43人の“長い黒髪の女性を殺した殺人鬼”を探していた」

 

「・・・・・・・・」

 

グレムリンは黙って仁藤の言葉を聞いていた。まるでそう、名探偵の推理を聞く観客のように。

 

「お前の『ゲート』であった滝川空は、美容師を続ける傍ら、かつてーーーー自分を捨てた交際相手の女性と同じ特徴を持つ『白い服を着た長い黒髪の女性』を殺し回っている、女々しいメンヘラ男である事を突き止めた」

 

「・・・・・・・・」

 

グレムリンの目が一瞬不快そうに歪んだのを、仁藤は見逃さなかった。そして、畳み掛けるように声を発する。

 

「滝川空の正体は、自分の美容院に来店した長く黒い髪の女性客を狙って髪を切り落としてから殺害するというーーーー凶悪で残忍なサイコキラーである事を掴んだ」

 

そして、グレムリンを睨みながら言葉を紡ぐ。

 

「私はこれまで、真那さんと共に多くの『魔獣ファントム』を見てきた。そして、『ゲート』となった人間達の事も調べていて分かったが、誰も彼もが、“元となった『ゲート』とはまるで違う性格となっていた”」

 

それは、仁藤の親友である『小森ルミ子』が『ゲート』であったヴァンパイアや、フェニックスの『ゲート』であった『藤田雄吾』がそうだったように。

しかしーーーー。

 

「だがーーーーお前の事を知る人間達、それに、美容師を目指していた鈴が言っていたよ」

 

【兄さん! 私、美容学校の先輩に声をかけてもらったの! 凄く明るくて気さくな先輩!

ーーーーーーーー“滝川空”さんって言うの!】

 

「ーーーーとな」

 

「ふぅ~ん・・・・」

 

と。仁藤がソコまで言うと、グレムリンは興味深そうに応じた。

仁藤は、まるで犯人を断言する探偵のように、グレムリンを指さした。

 

 

 

「ーーーーグレムリン。お前はーーーー“滝川空の人格をそのまま有しているな”!」

 

 

 

そう、確信を持って告げると、グレムリンは片手で顔を覆いながら顔を俯かせ、笑いを堪えるように肩を震わせた。

 

「ーーーーくくくくく・・・・仁藤功平。頭が切れる凄腕捜査官だね。ま、君の妹の鈴‹スズ›ちゃんも言ってたよ。【兄さんは凄く頭が良いんですよ!】って、自慢気にね」

 

「っ!」

 

ーーーーダァァンンッ!!

 

仁藤は躊躇なくショットガンの引き金を引いて、銀の弾丸を散弾した。

 

『おっと! 危ないなぁ!』

 

即座にグレムリンに戻ると、加速で回避し、またもや戯けた態度でやれやれと首をふる。

 

「漸く見つけた・・・・瞬介とルミ子の仇は討った。次はーーーー妹の仇を討たせて貰う!」

 

静かに、だが激しい憤怒を込めた瞳で、グレムリンを見据える仁藤。しかしグレムリンは、人間態に戻り、悲しそうな顔となって声を発する。

 

「僕も辛い事があったんだよ? 本気で愛していた彼女に、【もうあなた、飽きた】って言われてさぁ。僕以外にも、何人もの男と付き合って、散々自分に尽くさせて、更には金やブランド品や宝石を貢がせていて、絞るだけ絞り出したら捨てるを繰り返し、更には自殺者まで出してたんだ。僕も1人だった。けど、もう僕は捨てられたりしない。捨てるのは、僕の方だ!」

 

「・・・・お前や大勢の男性を弄んだその女性に関しては、私も男性だ。気持ちは解らなくはない。ーーーーだがな、それからお前は、私の妹を含めて43人、否、恐らくファントムと化してからも行なって来ていればそれ以上だろう。私の妹やその女性達全員が、お前に殺されるような非道を行ったのか!?」

 

「・・・・・・・・(ニィ・・・・)」

 

グレムリン、否、滝川空の言葉を仁藤は断じると、滝川空は先程の悲しそうな顔から一変し、ニンマリとした笑みを浮かべた。

 

「ーーーー鈴‹スズ›ちゃん、最初は僕と過ごす日々を楽しんでいたよ。でも、徐々に僕に警戒心を抱くようになってね。本当は僕の“こだわりの場所”で、綺麗に殺してあげようとしたのに、逃げ出すなんてするからーーーーあんな“汚い死に様を晒しちゃったんだよね”」

 

仁藤の妹を殺した事に、まるで罪悪感を感じていないその貌と態度が、引き金にかけた指に力を更に込めた。

 

「五河士道くんが己の意思で、ウィザードラゴンを制して『魔法使い』になったが。お前は、自分のファントムであるグレムリンを“取り込んで、正真正銘の『魔獣』になったと言う訳だな”!」

 

「僕だって、“望んでファントムに・・・・化物になったわけじゃないんだよ”!」

 

ーーーーダァン!

 

「あーーーー」

 

仁藤がショットガンから拳銃に瞬時に持ちかえ、滝川空の帽子を拳銃で撃ち抜いて、帽子は風穴が空いて宙を浮いても地面に落ちる。

 

「・・・・滝川空。お前は『魔獣』になって『化物』になったのではない。ーーーー“お前は元々『化物』だ”!!」

 

判決を言い渡すように断じる仁藤。しかし、滝川空は、そんな言葉に耳を傾けず、撃ち抜かれた帽子を拾って、ワナワナと怒りに震えながら声を発する。

 

「ーーーーよくも、よくもやってくれたね・・・・! この、ゴミクズがァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

グレムリンに変貌し、仁藤の元へ向かい、仁藤もショットガンの引き金を引いた。

その間、白い魔法使いと0課の課長はワイズマンとメデューサと交戦していたが、徐々に追い詰められそしてーーーー。

 

 

 

 

・・・・『儀式‹サバト›』が始まった。

 

 




この話も、士道達が過去に戻った事で、無かった事にされる。
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