デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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魔法使い<ウィザード>

ー???sideー

 

「司令、現在“例の彼”がコードネーム『プリンセス』と接触しました」

 

「そう、空間震が起きたのはちょっと想定外だったけど、渡りに船だったわね」

 

まるでSF映画の司令室のような場所で何かを観測していたオペレーターからの報告を聞いた長身の金髪の男が、その場所の中心にある椅子に腰掛けた司令と呼ばれた、真紅の軍服をシャツの上から肩掛けた“赤い髪の少女”に報告した。

少女は報告した男の足を蹴る。

 

「おうっ!」

 

“赤い髪の少女”に蹴られた男は苦悶、と言うよりも恍惚とした表情を浮かべ、少女はそんな男を無視して、アメの棒をくわえながら、メインモニターに映る『五河士道』と『プリンセス』を見据えていたが・・・・。

 

「司令! 『プリンセス』と『五河士道』の近くに、『アンノウン』が現れました!」

 

「何ですってっ!?」

 

オペレーターからの報告に“少女”はモニターに映る士道と『プリンセス』の近くに『アンノウン<ファントム>』の一団が現れたのを確認した。

一年前から頻繁にこの天宮市に現れた『アンノウン<ファントム>』は、警察や“『プリンセス』のような存在に対抗する部隊”でも手を焼いている事を知っていたが、まさかこのタイミングで現れるとは“少女”も想定外だったので渋い顔をする。

 

「すぐに彼を回収! 急いで!」

 

「・・・・・・・・」

 

慌てて指示を出す少女。しかしオペレーターの1人が、士道の方へ画面を近づける。

 

「どうしたの?」

 

「・・・・・・・・彼が何かしようとしている」

 

そのオペレーターの言うとおり、士道は『プリンセス』と呼ばれた少女の前に立ち、ベルトの手形を左手に合わせる角度にすると、音声が流れた。

 

《[シャビドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪]》

 

『は???』

 

突然ベルトから聞こえた、その場に相応しくない軽快なメロディに、何人かが間の抜けた声を上げた。

そんな事露知らずの士道が、左中指に嵌めた“紅玉石<ルビー>の指輪”を翳して叫ぶ。

 

《変身!》

 

《[フレイム プリーズ ヒー! ヒー! ヒーヒー、ヒィー!!]》

 

士道が左手を横に伸ばすと、その伸ばした左手の先に赤く燃える魔方陣が現れ、士道の身体を左から右へ通過すると、士道の身体が、赤い宝石の仮面を付けた、黒いロングコートの戦士へと変わった。

 

『ハアアアアアアアアアアアアッ!!??』

 

士道の変身に、これまた何人かが顎が外れんばかりに驚いた。“司令”と呼ばれた少女も、くわえていた棒付きキャンディを落としてしまった。

 

「何なの、アレは・・・・??」

 

呆然となる少女の耳に、『アンノウン<ファントム>』のミノタウロスの声が聞こえた。

 

《貴様! まさか、『魔法使い<ウィザード>』か!?》

 

「士道が、“お兄ちゃん”が、『ウィザード』・・・・!?」

 

驚く少女をよそに、士道は指輪を構えながら仮面越しに呟く。

 

《さあ、戦闘開始<ショータイム>だ!》

 

 

 

ー士道sideー

 

ウィザード<士道>が変身したのは基本形態とも言える炎の属性を持った『仮面ライダーウィザード フレイムスタイル』である。

 

[コネクト プリーズ]

 

ウィザード<士道>はベルトの手形の角度を右手に戻すと、『コネクトリング』を翳し、右側に小さな魔方陣を現れ、手を魔方陣の中へ入れた。

 

≪速攻で終わらせろ≫

 

「あぁ!」

 

ウィザード<士道>は魔方陣から、“黒い手形が付いた銀色の銃”、『ウィザードソードガン ガンモード』を横凪ぎに取り出しながら、純銀の弾丸をミノタウロスとグール達に放った。

 

『グギャァッ!』

 

『ギガァッ!』

 

『ゴガァッ!』

 

『フンッ!』

 

『ギバァッ!』

 

銀の弾丸は少し曲がりながらグール達に当たり、ミノタウロスは近くのグールを盾にして防いだ。

ウィザード<士道>はウィザードソードガンに折り畳まれた刃を出して銃を剣の形にし『ウィザードソードガン ソードモード』にした。

 

『チィッ! 殺れぇっ!!』

 

ミノタウロスの号令でグール達は持っていた槍を構えてウィザード<士道>に迫る。

 

「フッ!」

 

『ギャアッ!』

 

ウィザード<士道>は槍を振りかぶるグールの攻撃を横回転しながらかわし、ソードガンソードモードでグールを斬り捨てる。

 

『ガァッ!』

 

『ゴァッ!』

 

2体のグールが槍で突撃してくるがその2体の頭上を跳んでかわし、がら空きになった背中を切り裂く。

 

『『ギャアッ!』』

 

「ツァッ!」

 

『『グオアッ!』』

 

前に向き直り、さらに迫って来たグール達を横薙ぎに切り裂くが、次々とグールがウィザード<士道>に向かって来た。

 

≪ゾロゾロと数ばかりで面倒だ。薙ぎ払え!≫

 

「あぁ。まだまだ行くぜ!」

 

ウィザード<士道>はベルトの左側に付けたチェーンから、“ドラゴンが大きくなる絵”が刻まれたリングを取り出し、右手中指に嵌めて、バックルの向きを右手用に向ける。

 

[ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪]

 

またも軽快なメロディーが流れ、ウィザード<士道>はリングをバックルに翳す。

 

[ビック プリーズ]

 

ウィザード<士道>の眼前に大きめの魔方陣が現れ、ウィザード<士道>はその魔方陣に右手を通過させると。

なんと、魔方陣の反対側から、“巨大なウィザード<士道>”の腕が現れた!

 

「なぬっ!?」

 

『ッ!!??』

 

『なぁッ!?』

 

ウィザード<士道>の戦いを見ていた『プリンセス』も、グール達も、ミノタウロスも巨大になったウィザード<士道>の腕に愕然となった。

 

「うおりゃあああああああああああああああああああああああああああッッ!!」

 

ウィザード<士道>は巨大になった腕を大きく振って、グール達を薙ぎ払った。

 

『お、おのれぇ!』

 

「おっとぉ!」

 

手下であるグール達のほとんどが倒され、激怒したミノタウロスが、斧でウィザード<士道>を攻撃するが、ウィザード<士道>はバク転、宙返り等でそれらの攻撃をかわしながら、ウィザードソードガンをガンモードに変形させた。

 

「うわっ!」

 

ウィザード<士道>はミノタウロスの攻撃を跳ねてかわすと、着地で足を滑らせ、体勢を崩し横に倒れる。

 

「いってぇ!」

 

『貰ったぁ!』

 

横に倒れたウィザード<士道>にミノタウロスが斧を振り下ろし、ウィザード<士道>の首が叩っ切られーーーーーーーーなかった。

 

≪着地の時は足元にも気を配れ、まったく・・・・≫

 

「フゥ、あぶねぇあぶねぇ・・・・」

 

『なにぃっ!?』

 

なんと倒れたウィザード<士道>は、ミノタウロスの柄の部分を両足で抑えて、斧の刃を寸前で止めた。

 

≪今だ≫

 

「あぁ!」

 

驚くミノタウロスの隙を見逃さず、ウィザード<士道>はウィザードソードガンガンモードでミノタウロスの身体に銀の弾丸を何発も当てた。

 

『グアアアアアアアアアアアッッ!!』

 

『ファントム』によって有害な銀の弾丸を何発を浴びせられ、ミノタウロスは後方へ大きく下がった。

立ち上がったウィザード<士道>はウィザードソードガンをソードモードに切り替えて、握り拳になっている手形を開ける。

 

[キャモナスラッシュシェイクハンズ! キャモナスラッシュシェイクハンズ! キャモナスラッシュシェイクハンズ!]

 

「さぁ、フィナーレだ!」

 

ウィザード<士道>は左手に嵌めたフレイムリングをウィザードソードガンの開けた手形に翳した

 

『ま、不味い! グール共!!』

 

ミノタウロスは残ったグール達をバリケードのように横並びにさせる。

 

[フレイム・スラッシュストライク! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー!]

 

「ハアアァァァッ!!」

 

燃え盛る炎を纏った斬撃が火龍となる『フレイムスラッシュ』が、グール達を切り裂き、燃やした!

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

グール達は全滅し、ミノタウロスもグール達が壁になったがそれでも防ぎきれず吹き飛び、頭の角の片方が『フレイムスラッシュ』の余波で折れていた。

 

『おのれぇ!! ヌオオオオオオッ!!』

 

「っ!」

 

ミノタウロスは斧で地面をおもいっきり叩くと、土煙が舞い上がり、ウィザード<士道>の視界を防ぎ、煙が晴れるとミノタウロスの姿は無くなっていた。

 

≪フン。鈍重そうな見た目のわりには逃げ足が早い≫

 

「逃がさないけどな」

 

ウィザード<士道>は右手にフレイムウィザードリングと違った“赤い鳥が描かれたリング”を取り出してバックルに翳した。

 

[ガルーダ プリーズ]

 

小さな魔方陣が現れると、プラモデルのようなランナーが魔方陣から出て来て、パーツが独りでにランナーから外れ、“赤い鳥”へと組み立てられた、ウィザード<士道>は“赤い鳥”の腹に右手の指輪を組み込むと、“赤い鳥”が動き出した。

ウィザード<士道>の使い魔、『プラモンスター ガルーダ』だ。

 

「ガルーダ、ヤツを追ってくれ」

 

『ピー!』

 

ガルーダはウィザード<士道>の言葉に頷くと、ミノタウロスを追って空に飛んでいった。

 

「ふぃ~~・・・・」

 

≪さてと、後はあの小娘の事だな≫

 

「あぁ」

 

少し気を抜かしたウィザード<士道>とドラゴンは、呆然と自分を見ている『プリンセス』と呼ばれた少女に近づいた。

 

 

ー???sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

その場にいるほぼ全員が、言葉を発せず唖然としていた。

ターゲットである『プリンセス』と五河士道が接触したのは良かったが、一年前から天宮市に出現したアンノウンが現れ、急いで五河士道を救出しようとしたが。

五河士道が突然宝石を付けた戦士へと変身して、魔方陣のようなものから、剣のような銃のような武器を取り出し腕を大きくさせたりして、石のアンノウン<グール>を蹴散らしながら、牛のようなアンノウン<ミノタウロス>を翻弄させ圧倒してみせた。

あまりにも想定外過ぎる事態に唖然となるなと言う方が難しい。

 

「・・・・・・・・」

 

「ぎゃうんっ!」

 

少女は、いつの間にか自分の隣に移動し、セクハラしようとしていた男の鳩尾に裏拳を炸裂させた。男はまた恍惚とした悲鳴を上げて仰向けに倒れた。

 

「(一体何なのよ・・・・?)」

 

倒れた男など眼中に無いのか、そんなのを気に掛ける余裕が無いのか、司令と呼ばれた少女もまた、気持ちを元に戻そうとかなりの胆力を使っていた。

 

 

ー士道sideー

 

ウィザード<士道>は『プリンセス』と呼ばれた少女に近づき、『プリンセス』は少し剣呑とした顔色を浮かべ、ウィザード<士道>から一歩退いた。

自分の剣の攻撃を弾き飛ばした異形と互角以上に戦ったウィザード<士道>を警戒したからだ。

 

≪警戒されているな≫

 

「おい、警戒するなよ。言っただろう、俺はお前に何もしないって」

 

「・・・・・・・・本当か?」

 

「あぁ、当たり前≪おい小僧!≫ んだよ?! 耳元で大声上げるなよ!」

 

≪あれを見ろ!≫

 

「ん?・・・・・・なんじゃありゃーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」

 

少女が空に顔を向け、ウィザード<士道>も空を見やると、仮面越しに絶叫した。

何しろ空には奇妙な格好をした人間が数名飛んでいてーーーーあまつさえ手に持っている武器から、ウィザード<士道>と『プリンセス』めがけてミサイルらしきものを幾つも発射していたからだ。

あまりの事態にウィザード<士道>の思考は完全にフリーズしてしまったがーーーー。

 

「え・・・・?」

 

≪これは・・・・?≫

 

呆然とウィザード<士道>とドラゴンが声を漏らす。

空から放たれたミサイルが『プリンセス』の数メートル上空で、見えない手にでも捕まれたかのように制止していた。

 

「・・・・こんなものでは無駄だと、何故学習しない」

 

『プリンセス』が気怠げに息を吐きながら言って、剣を握っていない方の手を上にやり、グッと握る。

すると何発ものミサイルが圧縮されるようにへしゃげ、その場で爆発した。

爆発の規模は小さいが、まるで威力が内側へ引っ張られるようだった。

 

「ーーーーふん」

 

「ーーーーっ」

 

≪・・・・・・・・≫

 

ウィザード<士道>とドラゴンはその時一瞬だが見た。『プリンセス』が小さな息を吐くと、先ほど士道に向けた顔と同じ、まるで泣き出してしまいそうな顔をーーーー。

 

「(この子・・・・)」

 

≪(フン・・・・ん?)≫

 

ウィザード<士道>とドラゴンは、このミノタウロスが呼称していた『プリンセス』が何者かも、上空にいる人間達が何者なのかも知らないが、この『プリンセス』が上空にいる人間達や、自分よりも強大な力を有しているのは理解できた。

しかし漠然とした疑問があった。その最強者の少女が、何故そんな“泣き出してしまいそうな顔”をしているのかをーーーー。

 

≪呆けている場合か! ヤツらまた撃つつもりだぞ!≫

 

「っ!!」

 

ドラゴンからの怒声で我に返ったウィザード<士道>は、上空を舞っている人間達が、再び次々とミサイルを撃ち込んでこようとしているのが見えた。

 

[キャモナシューティングシェイクハンズ! キャモナシューティングシェイクハンズ! キャモナシューティングシェイクハンズ!]

 

ミサイルが発射されたのと同時に、ウィザード<士道>はウィザードソードガン ガンモードの手形を開いてフレイムウィザードリングを翳した。

 

≪撃ち落とせ!!≫

 

[フレイム・シューティングストライク! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー!]

 

「オラァァァァァァァァァッッ!!」

 

ウィザード<士道>はウィザードソードガンから火炎の弾丸『フレイムシューティング』を発射して、ミサイルをすべて撃ち落とた。

 

「ふぃ~。死ぬかと思ったぜ・・・・」

 

「おい」

 

「あん?」

 

「何故私を助けた?」

 

『プリンセス』が憮然とした顔で聞いてくる。

 

「・・・・さぁな、とりあえず、あの連中が気にくわなかったからだ」

 

突然現れて、変身しているから解らないだろうが、民間人である自分も巻き込んでミサイルをぶっぱなすような連中にウィザード<士道>は腹を立てたからだ。

 

「悪いけどさ、ここは俺に任せてくれないか」

 

「何だと?」

 

「人に向かってミサイルを撃つような奴等に、少し(物理的な)説教をしてやろうと思ってな。それに、お前もアイツらを相手にするの面倒だろ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『プリンセス』は少し考える素振りを見せると、何も言わずに空を飛んでいった。

 

≪愛想の無い小娘だな≫

 

「そうだ、な!!」

 

ウィザード<士道>は『プリンセス』を追おうとする、空飛び集団(士道命名)に向かって、ウィザードソードガンを撃って牽制した。すると空飛び集団でリーダー格の感じがする女性が前に出た。

 

「そこの貴方! 邪魔をするつもり!!」

 

「うるせぇよ! 人にいきなりミサイルぶっぱなすヤツらが偉ぶるなよな! このおばさん!!」

 

「お、おおお、おばさん!!??」

 

まだ20代半ばに見える女性は、“おばさん”と呼ばれてショックを受けたように固まった。

 

≪おい、向こうを見ろ。見知った顔があるぞ≫

 

「(ん?・・・・まさか、鳶一、折紙?!)」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ドラゴンに言われて、目線を向けると、周りの空飛び集団と同じように、見慣れないボディスーツで身体を覆い、機械を着ているとでも言うのか、アメリカのマーベルなヒーローのような機械を着て、背には大きなスラスターがついており、手にはゴルフバックのような形状の武器を携えていたやたらメカニックの格好しているのは。

一年前からウィザード<士道>を隠れて観察していたクラスメート、鳶一折紙であった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

しかし当の鳶一折紙本人は、ウィザードが士道だと気づいている筈が無いので、無言でウィザード<士道>を睨んでいた。

 

「(んでどうしようか? 正直人間相手に戦うなんてしたくないんだけどな・・・・)」

≪まったく、少しは後先を考えて行動をしろ。この考えなしの単細胞が。何も傷つける戦いをすることも無いだろう、ヤツらの持っているメカと武器だけを破壊するように戦えば良い≫

 

「(って、簡単に言うけどな。出来るのかよ?)」

 

≪出来る出来ないではない。この場合では、やるんだろうが!≫

 

「(分かったよ、やってやるよ!)」

 

ウィザード<士道>は左手のフレイムウィザードリングを外すと、“緑玉<エメラルド>のウィザードリング”を取り出し、左手の中指に嵌めて、メガネをおろす。

 

「っ! 攻撃開始!」

 

ウィザード<士道>の行動に警戒したリーダー格の女性の指示で全員が再びミサイルを放ったが、ウィザード<士道>の方が早く“緑のウィザードリング”をバックルに翳した。

 

[ハリケーン プリーズ フー! フー! フーフー、フーフー!!]

 

ウィザード<士道>の周りを緑色の風が吹き荒れ、放たれたミサイルが風に流されて軌道を曲げて、ウィザード<士道>の周りに落ちて爆発を起こしながら、緑色の風がウィザード<士道>の頭上に集まり“緑色の魔方陣”を形成した。

 

「フッ!」

 

ウィザード<士道>が魔方陣に向かって飛び上がり魔方陣の中をくぐると、赤く輝くフレイムスタイルから、緑に輝く姿に変わった。

風の属性で、複眼の色は緑になり。頭部の形状は、カマキリの頭部をイメージさせる逆三角形の『仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル』。

 

『なっ!!??』

 

空飛び集団が突然姿が変わったウィザード<士道>に驚いた。鳶一折紙は無表情に見えるが、わずかに目を見開いていた。

 

≪さて、続きといくか≫

 

「さぁ、ネクストタイムだ」

 

ウィザード<士道>は、ハリケーンスタイルの固有の能力である風や大気の操作で風を纏うことによる飛行能力。

ハリケーンスタイルの戦闘スタイルはスピード型で、身体に風を纏い、空中に舞い上げる。

いつの間にか空飛び集団の中から、手にした武器の先端には、光で構成された刃が出現し、ウィザード<士道>に斬りかかる人物がいた。

 

「よっと!」

 

ウィザード<士道>はウィザードソードガン ソードモードを逆手に構えて、斬りかかってきた刃を受け止める。

 

「(鳶一?!)」

 

ウィザード<士道>に最初に斬りかかってきたのは、クラスメートでドラゴンが絶賛警戒中の鳶一折紙嬢であった。

 

「貴方、何者?」

 

「・・・・魔法使いさ」

 

ウィザード<士道>は鳶一折紙の問いに仮面越しから答え、回転して鳶一折紙のレー○ーブ○ードかラ○トセ○バーのような剣を弾いたと同時に折紙の脇腹を蹴り飛ばした。

すかさずウィザード<士道>はバックルを右手側に向けて、“鎖に巻かれたドラゴンのリング”を嵌めて翳す。

 

[バインド プリーズ]

 

音声が鳴り響くと、鳶一折紙の身体に緑色の風がまるで鎖のように巻き付き鳶一折紙を拘束し、そのまま自分の隣に浮遊させた。

 

「っ!?」

 

鳶一折紙は何とか振りほどこうともがくが、拘束は解けなかった。鳶一折紙が拘束されたのを皮切りに、他の隊員達もウィザード<士道>に襲い掛かる。

 

[キャモナスラッシュシェイクハンズ! キャモナスラッシュシェイクハンズ! キャモナスラッシュシェイクハンズ!]

 

が、ウィザード<士道>の方はウィザードソードガン ソードモードの手形を開き、ハリケーンウィザードリングを翳すと、刀身に緑色の風が巻き付き小さな竜巻を発生させる。

 

≪一応手加減して切り裂け≫

 

「あぁ、終幕<フィナーレ>だ!!」

 

[ハリケーン・スラッシュストライク! フーフーフー! フーフーフー!]

 

「ハァアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

回転したウィザード<士道>が緑の風刃を放ち、他の隊員達を撃墜させる。一応手加減したがスラッシュストライクの威力に負けて、隊員達が落ちていく。

 

「不味い!」

 

≪慌てるな阿呆。“バインド”だ≫

 

「あそうか!」

 

落下する隊員達を助けようと焦るウィザード<士道>にドラゴンが冷静に指示をすると、ウィザード<士道>もハッとなり、『バインドリング』を使う。

 

[バインド プリーズ]

 

風の鎖が落ちていく隊員達に巻き付き、その時の風圧による浮力で落下スピードが緩和され静かに落ちた。

 

「ふぃ~~」

 

「何故?」

 

「ん?」

 

戦闘を終えて一息ついたウィザード<士道>に、風の鎖に拘束された鳶一折紙が聞いてくる。

 

「何故貴方は、『精霊』を助けたの?」

 

「『精霊』? さっきの『プリンセス』って呼ばれていたヤツか?」

 

「そう。あれは人類の敵、滅ぼさなければならない厄災・・・・!」

 

そう語る鳶一折紙の瞳には、“激しい怒りと憎悪”が滲んでいた。

 

「(人類の敵、厄災か・・・・)」

 

確かに彼女がとてつもない力を持っている事は理解した。しかしウィザード<士道>の目には、先ほどの『プリンセス』の“泣き出してしまいそうな顔”がちらついた。

 

≪おい、あっちを見ろ≫

 

「げっ!?」

 

ウィザード<士道>がドラゴンに言われた方向を見ると、落下していく隊員の1人(先ほど士道がおばさんと呼んだ女性)が、風の拘束から腕一本の抜き取ると、その腕でミサイルを放った。

 

「っ!!」

 

≪おいバカ者! さっさと避けろ!!≫

 

ドラゴンは回避をするよう叫ぶが、ウィザード<士道>は後ろにいる鳶一折紙に当たると考え、折紙を庇うようにミサイルを受けた。

 

「グワアアっ!!」

 

ウィザード<士道>はミサイルを防いだが、爆風で吹き飛び、乗ってきたバイク近くに倒れ、意識がブラックアウトした。

 

 

ー???sideー

 

「っ! 士道!!」

 

「し、司令。如何なさいますか?」

 

ウィザード<士道>が撃墜された事に驚愕し、椅子から立ち上がる。

司令と呼ばれた少女に、先ほど鳩尾を殴られ倒れていた男がそのまま這いつくばりながら、司令と呼ばれた少女のスカートの中を覗こうとするが、それよりも早く、少女の踵蹴りが男の顎にクリティカルヒットした。

 

「あぎゅんっ!」

 

男はまたもや恍惚とした表情をして気絶した。

 

「直ちに五河士道を回収! 急ぎなさい!!」

 

『り、了解!』

 

少女の指示に他のオペレーター達も気絶した男の事を無視して作業に取り掛かった。

 

 

ー折紙sideー

 

鳶一折紙は自分を庇うようにミサイルを受けた仮面の人物が吹き飛んだ方を見ると、仮面の人物と、近くにあったバイクが突然消えて、自分を拘束していた風も静かに消えた。

 

「(あのバイクは、確か“彼”が使っているバイク)」

 

鳶一折紙の脳裏に、今日自分と同じクラス、隣の席となった“少年”の顔が浮かんだ。

 




次回で、士道とドラゴンが、組織に接触します。
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