デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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組織<ラタトスク>

ーーーー久しぶり。やっと会えたね、×××。少し見ない内に、変わった“同居人”ができたんだね・・・・。

 

頭の中にどこかで聞いたことのある声が響く・・・・懐かしむように、慈しむように・・・・。

 

ーーーー嬉しいよ。でももう少し、もう少し待って。

 

一体誰だ? と問いかけるも、答えはない。

 

ーーーーもう絶対離さない。もう絶対間違わない。だから・・・・・・・・。

 

不思議な声はそこで途切れた・・・・。

 

 

* * *

 

 

≪おい、とっとと起きろこのヌケサク≫

 

「・・・・・・・・はっ!?」

 

と、士道はドラゴンに起こされ目を覚ます。

 

「うわっ!」

 

目の前に見知らぬ女性が指で士道の瞼を開き、小さなペンライトのようなもので光を当てていたのを見て驚く。

 

「・・・・ん? 目覚めたね」

 

妙に眠たげな顔をした女性は、その顔に違わぬぼうっとした声で言った。

 

「(なんだこれ?! 確か俺は鳶一を庇って・・・・ぬぅおっ!?)」

 

鳶一折紙を庇ってミサイルの直撃をくらって気絶した士道の眼球運動を見ていたらしく、女性の顔と妙に近く、シャンプーの匂いだろうか、微かにいい香りがし、士道が少し目を動かすと、女性の胸元が見え、制服のような服越しでも分かる程の暴力的なバストサイズにギョッとなる。

 

≪動揺し過ぎだろうが、このムッツリスケベが≫

 

「だ、だだだだダレデスカ」

 

「・・・・ん、ああ」

 

女性はぼうっとした様子のまま身体を起こすと、垂れていた前髪を鬱陶しげにかき上げた。

 

「(本当に誰だこの人・・・・?)」

 

一定の距離が空いた事で女性の全貌が見とれた。制服ではなく軍服らしき服を纏った二十歳くらいの年齢で、無造作に纏められているが綺麗な藤色の髪、軍服らしき服の上からでも分かる豊満なバスト、手足もすっきり細く、モデル顔負けの抜群なプロポーション。顔立ちもとても端正であり、とてつもない美人である事は間違いない。

しかし、分厚い隈に飾られた目、不健康そうな青白い肌がそれらを台無しにしており、あとはなぜか軍服の胸元のポケットから顔を覗かせている傷だらけのクマのぬいぐるみが特徴的だった。

 

「・・・・ここで解析官をやっている、“村雨令音”だ。あいにく医務官が席を外していてね。・・・・まあ安心してくれ。免許こそ持っていないが、簡単な看護くらいならできる」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

≪・・・・・・・・・・・・まるで安心できんな≫

 

明らかに士道よりもこの令音と言う女性の方が不健康そうに見える。実際先ほどから頭で小さく円を描くように身体がフラフラ状態だからだ。

 

「ーーーーそれよりも、ここは?」

 

士道は上体を起こし、周囲を見回す。簡素なパイプベッドの上に寝かされ、そしてその周りを取り囲むように白いカーテンが仕切りを作っている。まるで学校の保健室のような空間だった。しかし天井は無骨な配管と配線が剥き出しになっていた。

 

「っ!?」

 

士道は一応警戒してバックルを起動させようとするが、ベルトとウィザードリングが無い事に気づいた。

 

「そう警戒しないでくれ、君のベルトと指輪と武器はソコに置いてある。ついでにバイクの方も回収済みだよ・・・・」

 

令音が指差す方を見ると、テーブルの上にベルトとウィザードリング、そしてウィザードソードガンが置かれていた。

 

「どこですか、ここは・・・・」

 

「・・・・ああ〈フラクシナス〉の医務室だ。ミサイルから“AST”の隊員を庇って気絶してしまったので勝手に運ばせてもらったよ」

 

「“AST”・・・・? 〈フラクシナス〉・・・・?(ドラゴン、知っているか?)」

 

≪さぁな。しかし名前からして、何らかの組織だろう。もしもの時はトンズラすれば良い、今は少しでも情報が欲しいからな、この妙な女から聞いておけ≫

 

士道とドラゴンが脳内会議をしていると、令音は無言で士道に背を向けて、カーテンを開けると部屋の出入り口と思しき方向に向かって、ふらふらと歩いた。

 

「あーーちょっと・・・・」

 

「・・・・ついてきたまえ。君に紹介したい人がいる。・・・・どうも私は口下手でね。詳しい話はその人から聞くといい」

 

言って令音の足がもつれ、ガン!と音を立てて頭を壁に打ちつけた。

 

≪あれは痛いヤツだな≫

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「・・・・むう」

 

倒れはしなかったらしい。令音は壁にもたれかかるようにしながらうめく。

 

「・・・・ああ、すまないね。最近少し寝不足なんだ」

 

「どれくらい寝てないんですか?」

 

ベッドから降りて、ベルトとウィザードリングを回収した士道の問いに、令音は考える仕草をすると、指を三本立てた。

 

「三日。そりゃ眠いですよ」

 

「・・・・三十年、かな?」

 

「ケタが違ぇ!」

 

≪見た目二十代くらいだが、実は三~四十代くらいなのかこの女?≫

 

「・・・・まあ、最後に睡眠をとった日が思い出せないのは本当だ。どうも不眠症気味でね」

 

「そ、そうですか・・・・」

 

≪不眠症のレベルを明らかに越えているだろう・・・・≫

 

そんなこんなで、令音が錠剤が入ったピルケースを取り出してラッパ飲みの要領で一気に口に放り込んだのを見て、士道が盛大なツッコミの乱舞を入れるなんてドタバタが有ったが、医務室を出て狭い廊下を歩いていた。廊下のような通路は、淡色で構成された機械的な壁に床になっていた。

 

「(なぁドラゴン。ここって何だ? まるでSF映画やスペースオペラなんかに出てくる宇宙戦艦の内部みたいだぜ?)」

 

≪もしくは潜水艦のようだな。いずれにしても、油断するなよ。これほどの設備が備わっていると言う事は、警察機構か軍施設である可能性が高い≫

 

「(ああ~。警察や軍関係だったらどう説明すべきかな・・・・。そう言えばドラゴン、俺が目を覚ます時に声が聞こえたんだけど、知らないか?)」

 

≪あ? 何だ遂に幻聴が聴こえる程に脳ミソが沸いたのか? 今すぐ精神科に行って検査するか、外科に行って脳ミソを取り換えて来い≫

 

「(・・・・知らないなら別に良い)」

 

≪・・・・・・・・・・・・・・・・フン≫

 

ふらふらと足元がおぼつかない令音の背中だけを頼りに映画のセットのような通路を歩いていた士道(&ドラゴン)はどれくらい歩いただろうかと思う頃に、通路に突き当たり、横に電子パネルが付いた扉に付いた。

令音がパネルを操作すると滑らかに扉がスライドする。

 

「・・・・っ、こりゃあ・・・・」

 

≪本当にSFだな・・・・≫

 

扉の向こうに広がっていたのは、船の艦橋のような場所で、士道と令音がくぐった扉から半楕円形の床が広がり、その艦長席と思しき椅子が設えられていた。

さらに左右両側になだらかな階段が延びており、そこから下りた下段には複雑そうなコンソールを操作するクルー達がいた。

 

「・・・・連れてきたよ」

 

「ご苦労様です」

 

令音はふらふらと頭を揺らしながら言い、艦長席の横に立った長身の男が執事のような調子で軽く礼をする。ウェーブのかかった髪に日本人離れした鼻梁、耽美小説に出てきそうな風貌の青年だが、何故か顎には大きな絆創膏が張られており、その風貌を台無しにしていた。

 

「初めまして。私はここの副司令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」

 

「は、はあ・・・・(何だろうこの人? 顎に怪我でもしたのか??)」

 

≪何だこの気色の悪いヤツは? まるで汚物が人の形をして服を着て、人間のように振る舞っているような感じがするぞ??≫

 

「司令、村雨解析官が戻りました」

 

神無月が声をかけると、こちらに背を向けていた艦長席が低いうなりを上げながらゆっくりと回転しそして。

 

「ーーーー歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」

 

司令と呼ばれた人物は少々可愛らしすぎる声を響かせ、真紅の軍服を肩掛けした少女。

大きな“黒いリボン”を二つに括られた真紅の髪、中学生くらいの小柄な体躯、ドングリのような丸っこい目は髪と同じ真紅の瞳、そして口にくらえたチュッパチャップス。

 

≪ほぉ・・・・≫

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・琴理??」

 

落ち着いているドラゴンと違い、士道は眉をひそめ、格好、口調、全身から発する雰囲気、違いは数あれど、その少女は間違いないなく士道の可愛い妹・五河琴理だった。

 

 

ー折紙sideー

 

“AST”。対精霊部隊<アンチ・スピリット・チーム>。精霊を狩り精霊を捕らえ精霊を殺す為の機械の鎧を纏う、人間以上怪物未満の現代の超人の強さを持った『魔導師<ウィザード>』。

 

陸上自衛隊・天宮駐屯地。

 

鳶一折紙はその駐屯地の一角に位置する格納庫で、装備していた武装との接続を解除した。

 

戦術顕現装置搭載<コンバットリアライザ>ユニット。通称CR-ユニット。

 

三十年前の大空災の折、人類が手にした奇跡の技術・顕現装置<リアライザ>を戦術的に運用するための装備の総称。コンピューター上の演算結果を物理法則を歪めて現実世界に再現する。要は制限は有るが、想像を現実にする技術であり、科学的手段で『魔法』を再現するシステムであり、人間が“精霊”に唯一対抗できる手段。

 

「・・・・五河、士道」

 

折紙は格納庫の置かれた自分専用ドックに腰掛けながら、小さく、誰にも聞こえないくらいの声で呟く。あの場所で“魔法使いを名乗る仮面の人物”が上官のミサイルを浴びて吹き飛んで行った先にあったバイク、間違いなく彼が乗っていたバイクであった。

 

「折紙」

 

名前を呼ばれた折紙は、CR-ユニットを使用した後の装備の重量と身体に蓄積された疲労で、すっかり重くなった身体と首を少し気だるそうに動かす。

CR-ユニット専用の戦闘スーツ、着用型接続装置<ワイヤリングスーツ>に搭載されている基礎顕現装置<ベーシック・リアライザ>は発動すると同時に自分の周囲数メートルにCR-ユニットの要である随意領域<テリトリー>を展開し、どんな外部衝撃をも緩和し、内部重力を自在に設定し、随意領域<テリトリー>を展開している限り、AST要員は超人となる。

しかし、CR-ユニット使用後は身体が思うように動かなくなってしまう。

 

「今回は精霊に逃げられたわね。あの仮面野郎・・・・! 今度見つけたら今回の借りを万倍の利子付きで叩き返してやる! 誰がおばさんだ! 誰が・・・・!!」

 

そこには折紙と同じワイヤリングスーツを着た、士道<ウィザード>に“おばさん”と呼ばれた20代半ばの女性が地団駄を踏んでいた。

日下部燎子一尉。折紙の所属するASTの隊長である。どうやらウィザード<士道>に“おばさん”と呼ばれたのをかなり気にしているようだ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

折紙は、士道のバイクのフロントと似たデザインをしていた仮面の人物が、士道と関係しているのではないかと考えていた。

 

「(もしかして、あの仮面の人物は、五河士道・・・・?)」

 

折紙は、明日学校で士道に聞いてみようと思い、ようやく馴染んだ身体を起こして歩いていった。

 

 

 

ー士道sideー

 

「(なぁドラゴン。今目の前にいるのは本当に俺の妹の琴理なのかよ?)」

 

≪安心しろ、確かにあれはお前の妹だ。頭のリボンの色が違う事を除けばだがな≫

 

あまりにもいつもと違い過ぎる妹の姿に戸惑う士道は、ドラゴンが指摘したリボンを見ると、確かに今琴理が頭の髪を結わえているリボンが、いつもは“白いリボン”ではなく、“黒いリボン”になっていた。

 

「(あぁ本当だ・・・・)」

 

≪おそらくリボンを変える事で、普段のアホな妹から、今の冷徹な妹に気持ちと言うか精神状態の転換のような事をしているのだろう≫

 

「(その口ぶりだとドラゴン、お前琴理のこれを知っていたのか?)」

 

≪まぁ何となく何かを隠していると思っていたがな≫

 

「(ドラゴンですら気づいていた妹の裏の面に気づいていなかった俺<兄貴>の立場って・・・・!)」

 

≪だから言っただろうが、お前は『人を見る目がまったく無い、無知で軟弱貧弱ボンクラのヘタレ小僧』だってな」

 

「(何か増えてねぇかっ!?)」

 

兄である自分が気づいていなかった妹の事を察していたドラゴンに、士道は少なからずのショックを受けていた。

 

「何をぼうとしているの。かかしのように突っ立っていないでちょうだい。話が進まないじゃないの。この愚図でノロマな愚兄」

 

「こっちの毒舌も酷ぇ・・・・」

 

目の前の妹、身体の内部のドラゴンからの暴言と毒舌のマシンガンに士道は心にかなりのダメージをくらった。

そして一応事情説明を聞かされた。

 

「ーーーーで、貴方が遭遇した黒髪の少女が精霊って呼ばれている怪物、そして貴方が交戦したのがAST。陸自の対精霊部隊よ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

士道は琴理の説明を聞きながら度々内部のドラゴンと情報をまとめる為に脳内会議をしていた。

 

「何、どうしたのよ。折角司令官直々に説明してあげているって言うのに、もっと光栄に咽び泣いてみせなさいよ。今なら特別に、足の裏くらいは舐めさせてあげるわよ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

軽く顎を上に向け、士道を見下すような視線を作りながら、暴言を吐く琴理。

しかし士道はそんな琴理に見向きもせず、艦橋のスクリーンに映された精霊と呼ばれる少女と、鳶一折紙のいるASTを見据えながら、ドラゴンとの脳内会議を続けていた。

 

「ほ・・・・ッ、本当ですか!?」

 

喜び勇んで声を上げるのは琴理の横に立っていた神無月だったが、琴理が即座に、「あんたじゃない!」と、士道に無視されたムカつきもプラスされた肘鉄を鳩尾に放った。

 

「ぎゃぉふッ・・・・!」

 

恍惚とした表情で倒れる神無月にも見向きもしない士道は、艦橋のスクリーンに映し出された精霊とASTを見ていた。

 

「つまり、あの『プリンセス』って呼ばれていた女の子が、空間震を起こしている元凶って事で、このASTと呼ばれている連中は、それを討伐する部隊って事で良いんだよな?」

 

「あら、士道にしてはやけに理解が早いわね? 明日は隕石が降ってくるかもしれないわ」

 

「(俺じゃなくてドラゴンの見解だけどな)」

 

≪コイツにそんな知能があるわけが無い。鶏と同レベルか、それ以下の知能指数なのだからな≫

 

はっきり言ってドラゴンの方が自分よりも全然頭が良いのはこの一年の不本意な付き合いで十分理解している士道は、憮然としながら今自分がいる場所を改めて見る。

今自分がいるのは、天宮市上空一万五〇〇〇メートルの待ち合わせ場所であるファミレスのあたり、空中艦〈フラクシナス〉である事を聞かされた。

 

「(正直ハリケーンスタイル以外で空にいるのって結構新鮮だな)」

 

≪我としてはこんな物を使わなければ空を飛べない人間に不憫さを感じるがな≫

 

「所で士道」

 

「ん?」

 

「私も色々と聞きたい事が有るんだけど?」

 

「・・・・・・・・ナンノコトデスカナ?」

 

半眼で自分を睨む恐いオーラを放つ妹様に、士道はわざとらしく惚けるが、琴理はパチンっと指を鳴らすとスクリーンにミノタウロスとグールが映し出された。

 

「(げっ・・・・!)」

 

≪見られていたか・・・・≫

 

「約一年前から天宮市の廃工場、夜の裏街道、郊外の山の森、その他諸々の場所で目撃される異形の怪物。通称アンノウン。そしてーーーー」

 

《変身!》

 

《[フレイム プリーズ ヒー! ヒー! ヒーヒー、ヒィー!!]》

 

「(げげっ!!)」

 

≪ハァ・・・・≫

 

次に映し出されたのは、ウィザードに変身した自分。そしてアンノウンとの戦闘だった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それで。これでもまだ惚けるのかしら?」

 

顔は笑っているが目が全然笑っていない妹様にたじろぎながら、士道はドラゴンと緊急脳内会議を開いた。

 

「(どうすんだよドラゴンっ!?)」

 

≪どうするもこうするも、もはや腹をくくるしかあるまいて。それに上手くすればこちらとしても有益だ≫

 

「(有益?)」

 

≪これだけの組織だ。上手く立ち回ればあの、“サバトの日”の情報が手に入るやもしれんぞ?≫

 

「(っ!)」

 

≪お前だけで戦うにも、色々と情報不足なのが見えて来ただろうが。これだけの設備ならば“サバトの日の行方不明者達”の情報が手に入る事ができる。そうすれば『ファントム』の捜索がよりやり易くなる≫

 

「(だけどよ・・・・)」

 

≪なんだ? 妹を巻き込みたくないと? そんな甘い考えで折角の有益な情報が手に入るチャンスを棒に振る気か?≫

 

「(・・・・・・・・)」

 

≪お前がウジ虫のように悩んでいる間に、今頃にも『ファントム』が『ゲート』を絶望させているやもな?≫

 

「(くっ・・・・!)」

 

≪くだらん甘さは捨てろ。お前が“なりたいモノ”になるならば、使える手札を使う事を躊躇うな≫

 

「(・・・・・・・・・・・・)」

 

「ちょっと士道。いつまで黙りしているつもり?」

 

「ハァアアアアアアアア・・・・・・・・!」

 

「何よその盛大なため息は?」

 

琴理が訝しそうに見つめるが、士道は覚悟を決めたかのように顔を引き締めながら、『コネクトリング』をバックルに付けた。

 

[コネクト プリーズ]

 

バックルから音が流れ、士道の近くに魔方陣が現れ、琴理達が身構えると、士道は魔方陣に手を入れてそこからバイクを取り出した。

 

『っ!!??』

 

これに琴理や神無月、他のオペレーター達(令音は静かに見ていたが)が愕然となり、士道は再び『コネクト』を使ってウィザードソードガンを取り出して弾倉を取り出して中身を確認した。

 

「・・・・弾倉の中身は、やっぱり抜かれているか」

 

「すまないね。流石に銃の弾丸を抜かせて貰ったよ」

 

令音が、ウィザードソードガンの弾丸を軍服のポケットから取り出して見せた。

 

「所でこの弾丸は、“純銀製”だね?」

 

「えぇ、皆さんがアンノウンって呼称しているヤツ等は、“銀の弾丸”が有効なんです」

 

「士道。貴方の今使っているそれは、一体何?」

 

琴理が、おそらくこのブリッジいる全員の想いを代行するように士道に問う。

 

「・・・・“魔法”だよ。一応言っておくけどな。さっき聞いたASTって連中が使う、『機械仕掛けのインチキなんちゃって魔法(ドラゴン曰く)』と違って、俺が使っているのは『魔力を使う本物の魔法(こちらもドラゴン曰く)』だ」

 

「『魔法』って・・・・」

 

「お前等が言っているアンノウンって言うのは、魔力の高い人間、『ゲート』が心の底から絶望したときに生まれる魔力の塊。俺は『ファントム』って呼んでいるけどな」

 

「『ファントム』ですってっっ!!??」

 

士道が『ファントム』の名を言った途端、琴理だけでなく、その場にいる全員が驚愕したように身体を動かした。

 

「ど、どうした琴理?」

 

「い、いいえ、何でもないわ。続けて・・・・」

 

琴理の態度を訝しそうに見つめるが、士道は話を続けた。

 

「琴理は覚えているか? 俺が2日間ほど行方不明になっていた、“金環日食の日”の事を・・・・」

 

「えぇ一年前の事ね。もちろん覚えているわ」

 

「あの日俺は、俺が発見された場所の近くの海岸で、大勢の人達から、『ファントム』が生まれるのを見たんだ」

 

「『ファントム』が、生まれた?」

 

「そして俺も、この魔法の力を得たんだ」

 

「(士道が魔法の力を得た?・・・・『ファントム』は魔力の塊、士道が使う魔法は魔力を使う魔法・・・・)。まさか、士道・・・・!」

 

琴理はある最悪の推測を思い立った。そして士道は、それを肯定するように頷き。

 

「ご明察。俺の中にも、今スクリーンに映し出されている異形と同じ、『ファントム』が居るんだよ」

 

≪こっちは不本意極まりないがな。と言うよりも、我をあんな雑魚共と一緒にするな・・・・!≫

 

『っっ!?』

 

士道の言葉に琴理達は驚愕する。士道は構わず続ける。

 

「教えるぜ・・・・。あの“金環日食の日”、“儀式<サバト>”と呼ばれる地獄で、何があったのかをな・・・・!」

 

 

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