デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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協力

ーファントムsideー

 

『~~っ。おのれ、魔法使いめ・・・・!』

 

ウィザード<士道>と戦い、撤退してきた『ミノタウロスファントム』は、今は使われていない公共施設の中を歩いていた。

 

『っ! フェニックス様!』

 

ミノタウロスは施設の壁の階段の手すりに寄りかかる上位ファントムに礼をする。

顔に両翼を広げたフェニックスの意図が見られる赤色の怪人。尖った嘴か爪のような金色の両肩に眼の色は水色。胸にはミノタウロス同様に小さな水晶のような物が付いている『フェニックスファントム』。

 

『フッ!』

 

フェニックスは鼻で笑うと、階段から飛び降り、ミノタウロスの近づく。

 

『派手にグールまで出しといて、失敗するとはどういう事だ? ええ?』

 

フェニックスの身体が怪人から、無精髭を生やし、赤系統の派手な服を着た粗野な風貌の青年へと変わる。

 

『魔法使いが現れ、私の邪魔を・・・・』

 

『ウィザード・・・・か?』

 

『メデューサ様』

 

ミノタウロスの後ろに、もう1人の上位ファントムが現れ、ミノタウロスは一礼する。

身体の色は紫色で、頭部は口元が人間の女性と同じだが、眼にあたる部分がゴーグルのような形状であり、蛇のような頭髪が生えている『メデューサファントム』。

 

『我々ファントムの為すべき事は、『ゲート』を絶望の淵に追い込み、新たなファントムを生み出す事』

 

メデューサの身体が人間の姿に変わる、ノースリーブのドレス姿に、妖艶な雰囲気を持つ黒髪ロングの士道と同い年位の少女。

 

「“ワイズマン”が、再び、“サバト”を開くためにね」

 

『分かっております。しかし、なぜ精霊を狙うのですか? あの者と我等ファントムは相反する存在の筈・・・・』

 

「あの精霊、〈プリンセス〉が『ゲート』だからだ。それ以外の理由は無い」

 

「余計な事考えてねぇで、魔法使いなんざほっといて、とっとと『お姫様』を追い込んで来い」

 

『ハッ!』

 

ミノタウロスは一礼するとその場所を去っていき、メデューサ、人間名ミサと、フェニックス、人間名ユウゴは怪しい笑みを浮かべていた。

 

 

ー士道side・1年前サバトの日の後日ー

 

「うっ・・・・あぁっ・・・・こ、こは・・・・?」

 

五河士道が朝日の光に目を覚ますと、人っ子1人いない海岸に倒れていた。一瞬、あの悪夢のような地獄は夢だったのかと思ったが、見たことの無い海岸、生々しく脳裏に刻まれた悪夢の記憶が、夢ではなかったと無情に突きつけられた。

 

「・・・・・・・・・・・・・あっ」

 

どうすれば良いのかと、途方にくれていた士道は背後から足音が聞こえ、振り向くと、オレンジ色の頭部や黒いベルトを付け、頭部が頭荒く削られた原石のような形をした、白い身体に白いマントを纏った魔法使いのような風貌をした人物が立っていた。

 

「だ、誰だアンタ・・・・!」

 

「生き残ったのはお前だけか・・・・。それにしても、かなり強力な魔獣を宿したようだな」

 

「何言ってんだよ? 魔獣ってなんだよ・・・・?」

 

訳が分からないと言わんばかりの士道に、白い魔法使いは指輪を付けてベルトを起動させる。

 

[コネクト ナウ]

 

白い魔法使いの隣に小さな魔方陣が現れ、そこに手を入れると、白い魔法使いのベルトと同じベルトと大きな紅い紅玉の指輪を取りだし、士道へ渡した。

 

「これは・・・・?」

 

「そのベルトを付けて、指輪を翳せ。私がやったようにな。そうすれば、今お前の中にいる存在を知る事ができる」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

士道は思わず、見よう見まねでベルトを付けて、指輪を翳した。

 

[フレイム プリーズ]

 

「っ!!?」

 

ベルトから音声が流れると、士道の意識がブラックアウトした。

 

* * *

 

『こ、ここは、一体・・・・?』

 

士道の周りが真っ暗な世界となり、士道は戸惑いがちに辺りを見渡す。

 

≪ほお、この我を押さえたのは貴様か?≫

 

『っ!? うわあああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!』

 

後ろを振り返った士道の目の前に、メカニカルな竜がいた。それもファンタジー小説に出てくるような西洋竜の姿をした。

 

『な、なんなんだよお前は!?』

 

≪騒がしいヤツだ。我は貴様の体内に宿る事になってしまった魔獣、『ファントム』だ≫

 

『ふ、『ファントム』?! 俺の中に宿ったってどういう事だよ!!』

 

≪理解力の乏しいヤツだ。こんなのが我を押さえたと思うと嘆かわしい。昨夜の日食で、貴様自身が感じたのではないか? 自分が“別の存在”に食い潰される感覚をな≫

 

『っ! まさか、お前が・・・・?』

 

≪我はお前の絶望から生まれた・・・・。クククク、心しておけよ。今は大人しくしといてやるが、貴様の心が絶望に染まったとき。我が貴様の肉体を食い破り、この世界に顕現するからな!≫

 

『うわああああっ!』

 

ドラゴンはその翼をはためかせ、士道を追い出した。

 

≪それにしても、あの小僧は一体・・・・≫

 

ドラゴンは士道の内部に“存在するモノ”を睨んでいた。

 

 

* * *

 

「うわっ!? ハァハァハァハァハァハァ・・・・!」

 

士道の意識が現実に戻ると、目の前に白い魔法使いがいた。

 

「どうだった。自分の中にいる魔獣は?」

 

「なんだよ、あれは・・・・」

 

「古に封印されし禁忌の外法、儀式<サバト>により生まれた魔獣。『ゲート』と呼ばれる魔力の高い人間達が心の底から絶望したときに、『ゲート』の肉体を引き裂き、その姿と記憶の一部を得て世界に顕現する『絶望の魔獣 ファントム』。君の中にも『ファントム』がいると言う事は、君もまた『ゲート』だったのだ」

 

「俺も、『ゲート』? 『ファントム』になった人達は?!」

 

「・・・・・・・・『ゲート』となり、『ファントム』に肉体を食い破られた人間は、その命を奪われ、死んでしまうのだ」

 

「じゃ俺も・・・・!?」

 

「いいや、君は違う。ごく稀にその魔獣を押さえつけ、その魔力を得る事ができる存在がいる。その者は『魔法使い』となる資格を得たと言えるだろう」

 

「魔法、使い・・・・」

 

白い魔法使いは、士道にある紙を渡した。パソコンからプリントアウトされた紙には、地図が記されていた。

 

「ここって、おっちゃんの店?」

 

その地図には、士道の両親の古い友人である、おじさんが経営している骨董品店が表示されていた。

 

「ほぉ、知り合いがいるのか? それはちょうど良い。ならばここを離れて家に帰った後にその店に行くと良い。そのベルトを見せれば店主も察するだろう」

 

「どういう事だよ?」

 

士道が問いかけるが、白い魔法使いは再びリングを翳した。

 

[テレポート ナウ]

 

白い魔法使いの足元にオレンジ色の魔方陣が足元に現れてゆっくり上がると、白い魔法使いの身体が消えて行く。

 

「ま、待ってくれ!」

 

「少年、言っておくぞ。お前以外の人間達は『魔獣 ファントム』となってしまった。奴らを放置すれば君と同じ犠牲者が生まれ、その命を代償に『魔獣 ファントム』が世に生まれてしまう」

 

「なっ!?」

 

愕然となる士道に白い魔法使いは方向を指差した。

 

「このまま真っ直ぐ歩けば夕暮れ時には人里に行けるだろう。君に“覚悟”が有るならば、その骨董品店に赴き、手に入れろ・・・・魔法をな!」

 

そして白い魔法使いは完全に消え、士道は海岸を離れ、宛もなくさ迷い、夕暮れになるまで歩き続けると人里が見え、その夜に交番にたどり着き保護された。

士道は集団行方不明事件に巻き込まれたらしく、2日前から捜索されていた。翌日には両親と妹の琴理と再会し、琴理に泣きつかれ、両親からも抱き締められ、警察の取り調べやマスコミからの追いかけに参ってしまったが、士道の内心はある思いが生まれていた。

 

「(俺の中のコイツのような化け物共が、蔓延っているなら、父さんと母さん、琴理に危害を与えるなら、戦ってやる!)」

 

そして士道は、魔法使いとなる事を決意した。

 

 

 

ー現代・《フラクシナス》のブリッジー

 

「とまぁ、そんな事があって俺は魔法使い、ウィザードの力を得たって事」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

あまりにも想像を越えた事情に、琴理や令音、神無月達も唖然となっていたが、琴理が士道からの情報を少しずつ整理し終えたのか話を始める。

 

「・・・・つまり、“輪島のおじさん”もグルだったって訳ね?」

 

「グルってのは人聞き悪いけどな。おっちゃんには俺が使うリングを作って貰っているんだ」

 

「士道の持っている指輪は、全部おじさんが作ったの?」

 

琴理の質問に、士道はベルトに付けたウィザードリングを付けたチェーンを見せて、青い馬が彫られた指輪と、黄色い蛸が彫られた指輪を取り外した。

 

「コレらのリングは、輪島のおっちゃんが『魔宝石』って呼ばれる石をカッティングして指輪に形に生成してくれた」

 

[ユニコーン プリーズ]

 

[クラーケン プリーズ]

 

ベルトに順にリングを翳すと、青い小さな魔方陣と黄色い小さな魔方陣が現れ、その魔方陣からランナーに取り付けられたプラモデルが現れ、独りでにランナーから切り離れ組み立てらると、青い一角獣と黄色い蛸のプラモデルができあがり、士道が青いリングを一角獣の胸に、黄色いリングを蛸の頭部に嵌めた。

 

『ヒヒーン!』

 

『キュゥキュゥ!』

 

「士道、それは?」

 

「コイツらは『プラモンスター』。簡単に言えば使い魔だな。名前は『ブルーユニコーン』と『イエロークラーケン』。今はいないが『レッドガルーダ』ってのもいるぜ」

 

「『ファントム』を追跡していった赤い鳥の事だね」

 

「えぇ、主にコイツらはファントムの捜索と追跡をしてくれています」

 

ユニコーンは床を走り、クラーケンは宙を泳ぐように移動すると、2体は座っている琴理の膝の上に着地し、挨拶するように鳴き声をあげる。

 

「アラ、なかなか可愛らしいじゃない♪」

 

琴理は人差し指でユニコーンの喉元を撫で、クラーケンの頭を撫でた。すると2体は気持ち良さそうな鳴き声をあげる。

 

「あぁ~司令、是非ともこの神無月めにも、喉元を撫で回して欲しいのですが~」

 

神無月が猫なで声を上げながら気持ち悪く身体をくねらせながら琴理にすり寄ろうとするが、琴理は一瞥もくれずに、神無月の片目にチュッパチャップスの棒を突き刺した。

 

「アギャンッ!」

 

「お、おい琴理!」

 

「お気になさらずに士道君。我々の業界ではご褒美ですっ!!」

 

「えっ、えぇ~~・・・・」

 

≪なるほど、どうやらこの男は、マゾヒストのようだな。しかも度しがたい程に重度なドMのようだ・・・・気色悪い≫

 

内部から様子を見ているドラゴンは、神無月を見ると汚物かゴキブリでも見たような侮蔑の言葉を漏らした。

 

「それで士道、貴方の中にいる〈ドラゴン〉と呼ばれるファントムは、今はどうしているの?」

 

「あぁ。今まさに俺の身体の中からこの状況を見ているよ。俺の身体の中で話しかけたりしているから、俺にしか声が聞こえないんだ」

 

「1年前から時々ぼうっとなったり百面相になったり、ブツブツ独り言を言ったりしていたのは、体内の〈ドラゴン〉と対話をしていたからなのね」

 

若干、自分に内緒にされていたのが気に食わなかったのか、少し拗ねたような声色になる琴理。

 

「まぁな、さて琴理。俺の事は話したから、今度は琴理達の事を話させて貰うぞ」

 

「えぇ分かっているわ。元々私達、《ラタトスク》は、士道の為に組織された、精霊問題を平和的に解決するための組織よ。と言っても、正式に編成されたのは半年前位だけどね」

 

「えっ?」

 

≪ん?≫

 

琴理の言葉に首を捻る士道&ドラゴンに構わず、琴理は先ず、精霊の事を話した。

 

「隣界、つまり俺達の世界ではない世界、隣界に存在する特殊災害指定生命体、それが精霊。存在理由、発生原因不明、空間震を起こす原因でもあり、世界に現れる際に無意識に空間震を発生させ、周囲に甚大なる被害を及ぼすか・・・・(ドラゴン、ここまで聴いて疑問に思った事は無いか?)」

 

≪今のところ疑問に思うところは、“精霊の問題を平和的に解決する”と言うところだな。それに小僧、お前がどう関係しているのか含めて、な≫

 

「だよな。琴理、精霊の問題を平和的に解決するって、具体的にどうするんだよ?」

 

「いきなり変な相づちしながら聞いてくるわね、まぁ良いわ。士道、貴方は精霊を排除しようと思う?」

 

「・・・・・・・・・・・・思わねぇよ。あの時、〈プリンセス〉って呼ばれた精霊の目は、まるで怯えているような、それでいて悲しそうな目をしていた。あんな目をした女の子を排除しようとするなんて、ASTと同じ考えは持てねぇよ」

 

士道の答えに琴理は頷く。

 

「精霊を説得させるには、精霊に世界を好きになってもらうのが手っ取り早いじゃない?」

 

「この世界を好きになってもらう・・・・」

 

士道の脳裏に、〈プリンセス〉の言葉が浮かんだ。

 

[ーーーーだってお前も、私を殺しに来たのだろう?]

 

まるで自分は世界に嫌われていると言わんばかりの泣きそうな顔が思い浮かべる。

 

「それで、俺はどうすれば良い?」

 

腹をくくったような士道<兄>の顔に琴理は少々面食らいながらもニッと笑みを浮かべた。

 

「良く言うじゃない? 恋すると世界が美しく見えるって・・・・というわけで士道。貴方にやって貰うのは、デートして精霊をデレさせなさい!」

 

「はぁっ!?・・・・俺が!?」

 

≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・≫

 

士道は驚くが、ドラゴンは黙りながら思考を巡らせた。

 

「いやデートでデレさせるって、それで精霊を本当にどうにかできるのかよ?」

 

「ええそうよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ちょっと、また黙りしないでくれる」

 

「おそらく自分の体内の『ファントム』と会議をしているのだろう」

 

令音の見立て通り、士道は現在ドラゴンとの緊急会議を開いていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

妹の自分よりも、自分の命を脅かす魔獣との会議を優先する士道にムカッ腹を立て、隣に控えている神無月の向こう脛をおもいっきり蹴る。

 

「弁慶っ!!」

 

蹴られた痛みを快感と言わんばかりに悶え倒れる神無月を無視して、琴理は士道を見据える。

 

「(んで、どう思うドラゴン? デートすれば精霊を何とか出来るって俺の妹様は言っているけど?)」

 

≪お前なんかと違って、妹の方は合理的かつ理論的な思考が出来る司令官向きな性格のようだ。確証の無い交渉を持ちかけるとは思えん≫

 

「(て事はつまり、俺がデートをすれば精霊を、あの子を助けられるのか?)」

 

≪おそらくな。いずれにしても、情報を得るためにもここはお前の妹の言葉を信じてみるか?≫

 

「(・・・・・・・・俺は、琴理を信じる)」

 

≪ふん、ならやってみると良い。お前の“綺麗事”が、本当に人類の厄災である精霊を救えるかどうか、せいぜい楽しませて貰うぞ≫

 

ドラゴンとの会議を終えた士道は琴理に向き合う。

 

「琴理、本当に俺がデートすれば、精霊を救う事が出来るんだな」

 

「それは貴方次第になるけどね」

 

「分かった協力する。でも俺の方からも頼み事がある」

 

「分かっているわよ。1年前の金環日食の日、つまり貴方の言う『儀式<サバト>』が起こった日の、貴方を含めた行方不明者の名前、写真、現在住所、その他諸々を、〈ラタトスク〉の情報網で捜索してみせるわ」

 

「分かっていたのかよ?」

 

「当然でしょ。あんな話を聞かされたら、士道への交渉の材料として必要となると思ったのよ」

 

1年前の話を聞いてすぐ、士道が求めている情報を予測しているとは、士道は妹が本当に優秀だと言うことを理解した。

 

「そう言えば、あの時『ファントム<ミノタウロス>』が〈プリンセス〉の攻撃を弾いたけど、あれはどういう事だ?」

 

「おそらくだが・・・・」

 

ふと士道が浮かんだ疑問に、令音がスクリーンに先ほどの〈プリンセス〉の放った斬撃を弾き飛ばしたミノタウロスの映像が映し出された。

 

「この映像を細かく解析してみたところ、どうやら『ファントム』と呼ばれる魔獣の身体には、精霊の力、霊力を弾くようだ」

 

〈プリンセス〉の斬撃を受けた時のミノタウロスの身体を分析すると、ミノタウロスの身体を薄い膜のようなオーラが、〈プリンセス〉の斬撃を弾いていた。

 

「(ドラゴン、これって・・・・)」

 

≪もしかしてだが、我々ファントムの身体は魔力で構成されている。あの解析官の女が言った精霊の力、霊力がファントムの魔力と反発したのかもな≫

 

「あの、精霊の霊力がファントムの魔力と反発したんじゃないですか?」

 

士道がドラゴンが言った仮説を令音に伝えると、令音は少し思案するように顎に手を置き考えると、映像を詳しく解析した。

 

「どうなの令音?」

 

「・・・・ビンゴのようだ。〈プリンセス〉の放った霊力の攻撃は、ファントムの身体を纏うオーラ、これが魔力と呼ばれる力だとすると、この魔力と霊力がまるで水と油のように反発しあって〈プリンセス〉の攻撃を弾いたみたいだ」

 

「油がたっぷり入って熱した鍋に水を少し入れると、弾き飛ばすのと同じ原理ですか?」

 

「少し家庭的な考えだがその通りだね。ファントムはどうやら精霊にとって、非常に相性の悪い相手のようだ」

 

「厄介ね。あの牛のファントムは〈プリンセス〉を狙っているようだったわ。ファントムの事も警戒しないといけないわね」

 

琴理が苦々しく苦言を漏らすのを聞きながら、士道もドラゴンとこっそりと会話をする。

 

「(ドラゴン、もしかしてだけどさ・・・・)」

 

≪うむ。今所はまだの憶測だが、もしや・・・・≫

 

≪「(〈プリンセス〉は『ゲート』かもしれない)」≫

 

士道はこの事を琴理に報告しようとしたが、まだ憶測の域を出ていないとドラゴンに言われ、確証が出てから琴理に相談する事にした。

 

「さて、士道。精霊とデートするにあたって、貴方にはやってもらう事があるわ」

 

「えっ?」

 

士道は妙~ににこやかな笑みを浮かべた琴理の笑顔に、ゾッと背筋を震わせた・・・・。

 

 

 

 

 

 




次回、ようやくデアラのもう1人の主人公の名前を出したいです。

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