デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
ー士道sideー
「「・・・・・・・・」」
突如変身した十香と四糸乃と琴里の姿に、ウィザード<士道>と真那は唖然となっていた。
『マジかよっ! 精霊が変身するとは、コイツは面白ぇ!!』
フェニックスは喜ぶように身体を震わせた。
が、それと違って士道は、体内にいるドラゴンに話しかけた。
「(・・・・おいドラゴン。これってどういう事だ?)」
≪我もあのコンパクトに触れた瞬間に使い方が分かったのだ。本来あのコンパクトはゴーレムが精霊達のリングの容れ物として使う物だったのだがな。名称を付けるならば、〈仮面ライダープリンセス〉。〈仮面ライダーハーミット〉。〈仮面ライダーイフリート〉っと言ったところか・・・・≫
「(そんな事はどうでもいいんだよ! 十香達を戦わせるつもりかよ・・・・!)」
この状況は十香達が戦う事になりそうで、ウィザード<士道>はドラゴンに文句を言いそうになるが、ドラゴンは呆れたようなため息を吐いた。
≪はあ? 貴様、この状況を自分でどうにかしようとか思っているのか? ただでさえ無様に惨敗したフェニックスに、先程ボロクソにやられた再生ファントム達。状況は多勢に無勢だろうが≫
「(だって! 十香達を戦わせるだなんて、お前は平気なのかよ!)」
≪本人達が貴様ごときの為に戦うと言っているのだ。貴様ふぜいの為にそこまでやってくれる奴らに感謝するべきだと思うが、その覚悟を蔑ろにするなど、我にはできんな≫
士道を守るために戦ってくれる。そう言われてウィザード<士道>は、グヌゥとなるが、それでも口を開く。
「(でも・・・・女の子達を戦わせるなんて、男のプライドがな・・・・)」
バシンッ!!
「っっ!!?」
見苦しくそう言おうとしたウィザード<士道>の頬に、ドラゴンが尻尾でおもいっきり叩いたような衝撃が走った。
首の関節が曲がりそうな勢いだったが、何故か今までのドラゴンのド突きの中で、一番強烈で、一番頭に響く衝撃に、ウィザード<士道>は面食らった。
≪この相変わらず思い上がりの強い、身の程知らずの無知蒙昧なノミと同類の思考回路小僧が。貴様ごときがこの状況を何とかできると本気で思っているのか? どこまでも自分と言う生物を高く評価するのだな? 貴様の安っぽい男のプライドなど、そこら辺の汚ならしい公衆便所にでも放っておけと言ってるのが分からんのか? 1人では精霊攻略処か、義妹の不調にすら気付かなかった役立たずの分際で、大口をほざくでないわっ!≫
「ぐぅぉっ!!」
今1番士道が気にしている心の傷に、ドラゴンは久しぶりに容赦なく。〈鏖殺公<サンダルフォン>〉で突き刺して抉り、〈灼爛殲鬼<カマエル>〉の炎で炙るような猛毒舌に、ウィザード<士道<>は胸を押さえて踞った。
「ぐうっ・・・・うぅっ・・・・!」
胸を押さえて痛みに耐えるウィザード<士道>は、何とか立ち上がると、三人の精霊が変身した〈仮面ライダー〉と並ぶ。
「シドー。行けるのか?」
「だ、大丈夫だ・・・・。それよりも十香、お前戦うのか?」
「無論だ!」
「四糸乃は?」
「・・・・(ブイ)」
四糸乃が変身した〈仮面ライダー〉に話しかけると、四糸乃は黙ってVサインをした。四糸乃らしくない挙動に首を傾げたが、ウィザード<士道>は琴里が変身した〈仮面ライダー〉に顔を向けた。
「琴里・・・・」
「言わなくても分かってるわ。でも、状況を見なさい。貴方1人でどうにかできる状況じゃないのよ」
「・・・・・・・・」
「兄様、これは説得は無理でやがりますよ」
「っ、真那!」
渋面を作っていた士道が目を向けると、真那がリングを嵌めた左腕を上に伸ばすと、両腕を大きく回し、中腰になって両腕を力強く右側で力こぶを作るようなポーズを取り。
「変~身!」
体制を戻して、バックルにリングを押し込み、鍵を開けるように回すと金色のビーストの魔法陣が展開された。
[セット、オープン! L!・I!・O!・N! ライオーン!!!]
ガァオオオオオオオオオンンッ!!!
魔法陣が真那の身体を通過すると、獅子の雄叫びが響き、〈仮面ライダービースト〉へと変身した。
「ここは個人戦は諦めて、団体戦でいきましょう!」
ビースト<真那>はダイスサーベルを構えた。
≪女達の方が貴様なんかと違って腹が据わっているし、状況が見えているな?≫
「あぁぁっ! たくっ! 分かったよ!! こうなればヤケクソで、ショータイムだっ!!」
ウィザード<士道>はマスクを展開すると、『フレイムリング』を見せるように構えて、乱暴気味にキメ台詞を放った。
『へへへへへへへっ! 面白くなってきたじゃねぇかっ!!』
フェニックスはグールとインプの魔石を辺りにばら蒔くと、グールとインプが大量に出現した。
『グゥゥゥゥゥゥ!!』
『ガァァァァァァ!!』
『やれ!!』
フェニックスがそう叫ぶと、グールとインプはこぞってウィザード<士道>達に迫った。
「行くぜ、皆!」
「「「「おーーーーーー!!!」」」」
ウィザード<士道>が言うと、ビースト<真那>達もグールとインプの軍団とぶつかったーーーー。
ー真那sideー
「ハァアア! とりゃ! せいっ! ふっ!!」
ダイスサーベルを振ってグール達を斬るビースト<真那>。
『ギィイイイッ!!』
「フッ!」
上空から迫るインプ達には光弾で撃ち抜く。
[バッファ ゴー! バ、バ、バババ、バッファ!!]
『バッファマント』を翻して、ショルダータックルを繰り出す。
「バッファ!」
≪モゥっ!≫
「さぁ、かかってきやがりなさいっ!!」
『グォオオオッ!』
構えるビースト<真那>に1列となったグール達が連なって押し出す。
「どうでやがりますか! バッファのパワーは! そりゃぁああああっ!!」
『バッファマント』のパワーで連なったグール達を逆に押し出して投げ飛ばした。撃破したグールやインプから『ビーストの魔法陣』が出現すると、ビーストドライバーに吸収された。
ファントムの魔力を、キマイラ達が食べた証だ。
≪うっし! 真那、まだまだ行ける!≫
「さぁどんどん来やがりなさい!!」
バッファの声を聞いて、ビースト<真那>は次のグールに向かう。
ー士道sideー
「ハァ! フッ! セヤッ!!」
ウィザード<士道>はウィザーソードガン・ソードモードを巧みに回して、次々とグール達を斬り伏せる。
「ハァアアアアアアアッ!!!」
空から迫るインプ達には、高く跳躍して回転し、ガンモードで銀の弾丸を撃ち込んで撃破していく。
久しぶりのウィザードでの戦闘。ほんのたった数日なのに、酷く懐かしい感覚がする士道。
≪動きが悪い。少しサボっていたらこの体たらくか? まったく・・・・≫
が、そんな感慨もドラゴンの一言で途端に消えてしまったが。
ウィザード<士道>はグール達を相手取りながら、〈仮面ライダー〉となった精霊達に視線を向ける。
ー十香sideー
「はぁ! ふん! たぁ! はぁ・・・・とりゃッ!!」
〈仮面ライダープリンセス〉となった十香は、折紙のような戦闘技巧は無いが、パワーと反射神経はズバ抜けており、次々とグールを殴り飛ばしていく。
「ふっ!」
十香は魔法陣が浮かんだバックルに『サンダルフォンリング』を嵌めた右手を翳すと夜色の光が放たれた。
するとーーーー。
[サンダルフォンブレード]
なんと、夜色に輝く刀身になり、大きさはウィザード<士道>のウィザーソードガンより少し大きめの大剣となった、十香の天使、〈鏖殺公<サンダルフォン>〉に似た武器が現れた。
「はぁあああああッ!!」
『グォオオオオッ!!?』
プリンセス<十香>は突き進みながら次々とグール達を斬り伏せていった。
「フン! たぁあっ!!」
〈サンダルフォンブレード〉を片手で逆手に持った十香は、空いた手でグールを殴り飛ばした。
「十香、凄ぇ・・・・」
≪アホが。元々〈プリンセス〉は貴様とは身体能力のスペックが桁違いなのだ。これが本来の実力だ≫
「っ!? それはそうと四糸乃はっ!? 四糸乃が戦うだなんて・・・・」
グール達と戦いながらも、十香の戦いぶりを見て驚くウィザード<士道>に、ドラゴンは当然と言わんばかりの態度でそう言うと、ウィザード<士道>は、生来の心優しい四糸乃が戦えるのかと、四糸乃こと、〈仮面ライダーハーミット〉を見る。
ー四糸乃sideー
『グォッ!?』『ギャッ!?』『ガァッ!?』『ゴッ!?』『グァッ!?』
ハーミット<四糸乃>はグールの一体を踏み台にして、跳躍すると、空を飛ぶインプ達を次々と踏み台にして跳躍し、インプ達を墜落させ、ウィザード<士道>の近くに着地した。
「よっと!」
「よ、四糸乃??」
あまりにもアグレッシブな動きでインプとグールを翻弄するハーミット<四糸乃>に、士道は戸惑いがちに話しかけると、ハーミット<四糸乃>はクルッと、士道に向き直ってVサインを向けた。
「イエイっ! どうよ士道くん! 格好良かった?」
「よ、四糸乃・・・・?」
内気で大人しい四糸乃とは思えない陽気でひょうきんな態度に唖然となったウィザード<士道>だが、この態度と喋り方に見覚えがあった。よく見れば、ハーミット<四糸乃>の左手に、“四糸乃の相棒”がいなかった事に気づいた。
「ま、まさか・・・・『よしのん』っ!?」
「そだよ~! いや~なんか変身したら四糸乃とチェンジ! しちゃってさ~。あ、四糸乃は大丈夫だよ。今よしのんと一緒にこの状況を見てるから♪」
≪ですです・・・・!≫
≪どうやら戦闘が苦手な〈ハーミット〉に代わって、〈ハーミットの相方〉が身体の主導権を交代したようだな≫
「大丈夫なのか? よしのんが戦うって・・・・」
「む、士道くん。よしのんの実力を見くびってもらっちゃあ困るよぉ~!」
ハーミット<よしのん>は左手をバックルに翳し、『ザドキエルリング』を嵌めた右手を左手に重ねるとーーーー。
[ザドキエルファング]
バックルから青い光が放たれ収まると、ハーミット<よしのん>の左手に、〈氷結傀儡<ザドキエル>〉の頭部にソックリな手甲が装備された。
「行っくよ~! それ! それ! それそれそれそれ!!」
ハーミット<よしのん>はその手甲、『ザドキエルファング』をグール達に向けると、〈氷結傀儡<ザドキエル>〉に似た頭部の口から、冷気の塊が放たれ、それに触れたグールやインプは、次々と氷結し、砕けていった。
≪よしのん凄い・・・・!≫
「よしのん、凄ぇ・・・・」
「んふふふ~。もっと褒めたまえ~!」
上機嫌のハーミット<よしのん>はグール達に跳躍すると、グール達の頭の上を踏んでいき、ウィザード<士道>は内心、「因幡の白兎か?」と呟いた。
ー琴里sideー
琴里こと、〈仮面ライダーイフリート〉は、グール達と戦いながら、コンパクトと一緒にゴーレムからもらった士道のインカムで、〈フラクシナス〉のクルーに連絡し、指示を飛ばそうとしていたが。
《あぁ! 司令! なんと勇ましく凛々しく素敵な戦いぶりなのでしょうっ! ですが、できれば露出の高いフリフリとした超ミニスカのドレスに! 冷徹に見下し、蔑んだ視線のご尊顔を見せて戦ってくだされば、もっともぉぉっと最高ですぅぅぅぅぅぅっ!!》
「令音」
≪ん、了解≫
≪な、何ですか貴方達はっ!? あぁそんなっ! せっかくの司令の勇姿がぁ! マッチョは嫌ぁ! またマッチョの相手は嫌ですぅぅぅぅぅ!! 司令! どうかお慈悲を! お慈悲ををををををををををっ!!!≫
かなりの真面目な場面にあるにも関わらず、相も変わらず変態丸出しな神無月をブリッジから排除すると、イフリート<琴里>は何もなかったように令音に向けて声を発する。
「それで令音、この状態での私達の攻撃がファントムに通用するのはどうして?」
[カマエルブレイカー]
イフリート<琴里>が〈カマエルリング〉を嵌めた右手をバックルに翳すと、赤い光が放たれ、真っ赤な刃の斧の武器、『カマエルブレイカー』を持って、グール達に叩きつける。
《解析してみると、君達精霊が纏っている鎧は、正確には“霊力で構築された霊装とは違ったエネルギーで構築されているようだ”》
「??? どういう事?」
《まだ解析段階だから何とも言えないが、こちらでも解析を続けるよ》
「任せた、わ!!」
『グォオオオオッ!』
イフリート<琴里>を囲うように迫ったグールとインプを、イフリート<琴里>は『カマエルブレイカー』を振り回すように回転すると、グール達を吹き飛ばした。
『ギャァア!!』
「フゥ・・・・」
『オラッ!!』
「っ!」
先までの不調の消耗のせいか、息を吐いたイフリート<琴里>に、フェニックスが大剣を振り下ろすが、イフリート<琴里>は間一髪で回避した。
「フェニックス・・・・!」
イフリート<琴里>はその相手から距離を取ると、仮面越しでも渋面を作っているのが分かるような声色だった。
『最高の相手だぜっ! 〈イフリート〉!!』
フェニックスは喜んでいるかのような声色で、イフリート<琴里>と対峙した。
『さぁ! 〈イフリート〉! 俺の相手をしてもらうぜぇ?』
「はっ! 貴方のような品のなく粗野で乱雑な化け物が相手だなんて、私も安く見られたわね!!」
『そう言うなよ! お前も俺と“同類”だろうがっ!』
「・・・・なんですって?」
フェニックスの言葉に、イフリート<琴里>はピクリと反応し、フェニックスは意気揚々と口を開いた。
『惚けんなよ! 〈ナイトメア〉と戦っていた時やカトンボ(折紙)の相手をしていた時のお前の顔。最高だったぜ! 己が闘争本能に従い! 壊し! 殺し! 滅ぼし! 蹂躙する!! その享楽を楽しんでいただろう?! 心昂っただろう!? 最高だっただろうが!?』
「っ! 黙りなさい!!」
フェニックスの言葉に激昂した琴里は、『カマエルブレイカー』をフェニックスに向けて振るが、フェニックスは余裕で大剣で受け止め、ギリギリと火花を散らせた。
『どんなに否定しようができないぜ! お前の本質は俺達『魔獣ファントム』と同じなんだよ!!』
「っ・・・・! 違う、私は・・・・私はぁっ!!」
「琴里っ!!」
二人の間に入るように、ウィザード<士道>がウィザーソードガン・ソードモードで二人の武器を弾く。
「・・・・し、どう・・・・」
『なんだぁ? 指輪の魔法使い! 邪魔すんじゃねぇよ! せっかく似た者同士で殺し合いを「お前と琴里は違う!!」 アン?』
フェニックスに向かって、ウィザード<士道>は声を高く叫ぶ。
「お前は自分の闘争心に従って、面白半分で人を絶望させて戦っているだけの怪物だっ! だけど琴里は、誰かを傷つけたくないから! 闘争心に抗おうと、苦しみに耐えて、痛みに耐えて、自分を見失わないで戦っている! お前なんかとは決定的に違う!!」
「・・・・おにーちゃん・・・・」
ウィザード<士道>を見上げるイフリート<琴里>は、すぐに『カマエルブレイカー』を構え直した。
『ハッ! お前みたいな雑魚が何をほざくんだよ? この俺に手も足も出なかったゴミのような雑魚がよぉ?』
「ああそうさ! 俺は雑魚だよ! 琴里の苦痛に気付かず! 1人では精霊攻略も! 精霊を守る事も! 何もできないゴミのような雑魚だよ! でもな! こんな俺と一緒に戦ってくれるって皆が言うなら! 皆を守れるなら! 俺はなんだってやってやるっ!!」
ウィザード<士道>はそう言うと、狂三の時には使えなかった『新たなリング』を取り出した。
「(ドラゴン! 力を貸せっ! 皆を守るために!!)」
≪・・・・良いだろう。我の力をどこまで引き出し、耐えられるか、見届けてくれるわっ! 思う存分やって見るがいいっ!!!≫
『新たなリング』をウィザードライバーに翳した。
[フレイム! ドラゴン! ボゥー!ボゥー!ボゥーボゥーボォー!!]
呪文のような音声が響くと、ウィザード<士道>の身体から、『炎を纏ったウィザードラゴン』が現れ、プリンセス<十香>、ハーミット<よしのん>、ビースト<真那>の周りにいたグールやインプ達を撃破した。
「おおっ?! これは!」
「うわっはぁ! ドラゴンくん燃えてるぅ!!」
「何が・・・・兄様!!」
三人の視線がウィザード<士道>に向くと。
ウィザードラゴンはウィザード<士道>が重なり、ウィザード<士道>の身体が紅蓮の炎に包まれた。
「ハァッ!!」
炎を振り払うと、新たな姿となったウィザードが現れた。
仮面と胴体にはドラゴンの頭部が装飾され、肩には紅玉の宝石が装備され、黒いロングコートは真紅に染まり、元々赤い『フレイムスタイル』がさらに輝くような真紅の姿となったその姿。
希望を目指す魔法使い<士道>の火、絶望から生まれた魔獣<ドラゴン>の火、2つの火が1つとなってその名をーーーー。
〈仮面ライダーウィザード フレイムドラゴンスタイル〉。
「さぁ、ここからが、本当のショータイムだ!!」
今、『希望の炎龍』が降臨した。
~捕捉~
仮面ライダーハーミットは仮面ライダー電王のように四糸乃に変わってよしのんが戦います。
次回、フェニックスとの決着!