デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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今回、嵐の双子の精霊が登場。


嵐の出会い、双子の精霊

7月17日、月曜日。飛行機に揺られることおよそ3時間。士道達来禅高校2年生一行は、太平洋に浮かぶ島、『或美島』に到着していた。

 

「お、おお・・・・!」

 

空港から外に出た十香が、目をまん丸にして両手をプルプルと震わせた。

だが、それも仕方ないかもしれない。何しろ今、彼女の視界には、首を動かさないと把握しきれないほどの絶景が広がってきたのだから。

道路と砂浜の向こうでは大海原が広がり、天と地を分かつように水平線が伸びている。空は快晴。太陽が燦々と降り注ぎ、海を美しいグラデーションで彩っていた。

 

「こ、これが・・・・海か!」

 

叫び、その大きさを測るかのように、両手をバッと広げてみせる。

無論、彼女の小さい両腕に収まるはずもなく、さらに興奮した様子で、小さく肩を震わせながら身体を反らす。

 

「はは・・・・元気だな」

 

≪・・・・・・・・・・・・≫

 

士道は、直接海を見たことがなかったかもしれない十香のややオーバーリアクションな所作に苦笑しながら肩をすくめる。

 

「(ん? どうしたドラゴン?)」

 

≪別に・・・・・・・・(妙な気配を感じる)≫

 

が、ドラゴンは周囲に鋭い視線を送っているような感覚があったが、ドラゴンは何でもないと言った。

士道達、来禅高校二年生は今、『或美島』という、近年新たに観光地として再開発された島に、修学旅行へと来ていた。

 

「んー・・・・ふぁ・・・・ぁ、っと」

 

十香程ではないが、士道もこんな絶景を前にして、景色を見回し、あくびが1つこぼれた。

朝早く集合のせいか、妙に瞼が重い。飛行機の中でも、危うく眠ってしまいかけたが・・・・。

未だ興奮気味に手をブンブン振る十香と、空港の出入り口から出てきた折紙を一瞥すると、息を吐いた。

飛行機の座席は3列になっており、士道を真ん中に窓際席を折紙が、通路側を十香が座ったのだが・・・・。

 

【士道、見て。景色が綺麗】

 

【シドー! こっちだって綺麗ーーーーあっ! 窓が遠い!? 鳶一折紙! 貴様、謀ったな!】

 

【座席を決める際に希望を出さなかったあなたが悪い】

 

【ぐっぬぬぬぬぬぬぬ・・・・!】

 

【士道。見て、水平線が見える】

 

【く・・・・っ、し、シドー! こっちだって、その、あれだ! 凄いぞ! 飛行機の通路は格好いいな! すいへーなど相手にならん美しさだな!】

 

【≪無理があるぞ〈プリンセス〉≫】

 

【見て。遠くに山が見える。もっと寄って】

 

【うぬっ・・・・、こ、こっちだって・・・・! シドー! 見ろ! 令音の胸元に巨大な山が!】

 

【雲を抜けた。見て。雲海。雲が絨毯のよう】

 

【こ、こっちはその・・・・う、うがーっ!】

 

【≪“女は三人寄れば姦しい”というが、2人だけでも十二分にやかましいな・・・・っ!?≫】

 

と、ドラゴンがぼやいた後に、突然周囲を警戒するようになり、十香と折紙の言い合いとドラゴンの物騒な気配を発して、寝るに寝られなかったのである。

 

「ぬ・・・・?」

 

と、海を見てはしゃいでいた十香も、ドラゴンのように辺りをキョロキョロと見回した。

 

「? どうした、十香」

 

「・・・・いや、何か誰かに見られてるような気がしてな」

 

「え?」

 

と、十香までドラゴンのように周囲を警戒し始め、士道が首を傾げた瞬間、カシャリという音がして、二人をフラッシュの光が包んだ。

 

「わっ!?」

 

突然の事で、思わず顔を覆ってしまう。チカチカする目を細めながら光の方向を見ると、そこに、大きなカメラを構えた女性が立っていることが知れた。

淡い色のノルディックブロンドの金髪を風になびかせた少女である。明らかに東洋人とは違うはっきりとした目鼻立ちと、白い肌が特徴的だった。

 

「えっと・・・・なんですか?」

 

≪・・・・・・・・・・・・≫

 

ドラゴンが警戒の色を濃くし、士道が困惑しながら訊ねると、少女がカメラを下げて視線を向けてきた。

 

「失敬。クロストラベルから派遣されて参りました随行カメラマンの、『エレン・メイザース』と申します。今日より3日間、皆さんの旅行記録を付けさせて頂きます。ーーーー無遠慮な撮影、申し訳ありません。気分を害されたようでしたら謝罪させていただきます」

 

「ああ、いや、別にそんな」

 

そういえば旅行写真を撮るためにカメラマンが随行するとタマちゃんに聞いた気がする。まさか外国人ーーーーしかも、士道達とそう歳が変わらない少女とは思いもしなかったが。

 

「お邪魔しました。では」

 

と、士道と十香が物珍しそうにその容貌を見ていると、エレンがもう一度ペコリとお辞儀をすると、皆の方に歩いて行った。

 

「何だったのだ、あやつは」

 

十香は腕組みしながら、不思議そうに首を傾げる。

 

「さてな・・・・でも、誰かに見られている気がするってのは正解だったわけだ」

 

「む、うむ」

 

十香は左右に視線を送り、終いには顔を上に向ける。

 

「・・・・まだ、視線が残っている気がするのだが」

 

「え?」

 

士道は眉をひそめ、十香の視線の方向に目をやるがーーーーそこには、自分達の来訪を祝福するかのように晴れ渡った青空しかなかった。

 

≪(・・・・あの女、見てくれは小僧達と同じに見えるが・・・・。何だこの腸が煮えくり返るような感覚は・・・・!)≫

 

ドラゴンはエレンと名乗ったカメラマンに向けて、得たいの知れない“怒り”が沸き上がっていた。

と、そこでタマちゃん先生が或美島の資料館へ行く事を告げる声が聞こえる。

 

「あ、やべ、おい十香行くぞ」

 

「やはり誰かに見られているっ!!」

 

そう言って十香が皆から離れるように走る。

 

≪さっさと追え。我も何か気配を感じる≫

 

「えっ? あ、十香!!」

 

士道も十香を追って走り出した。

 

 

ーエレンsideー

 

エレンは士道と十香が皆から離れるのを見ると、或美島の上空二万メートルに浮遊する、DEM社製500メートル級空中艦〈アルバテル〉の艦長に連絡を入れる。

 

「こちらアデプタス1。〈仮面ライダー〉と〈プリンセス〉が別行動を開始。追跡監視を願います。それと、手筈通り〈アシュクロフトーβ〉を起動して、島との電波通信を遮断してください」

 

《拍子抜けだな。本当にこれが精霊と、〈アンノウン〉と戦っている件の〈仮面ライダー〉なのか?》

 

DEMの情報網で、識別名称〈仮面ライダー〉が、士道なのではないかと監視されていた。

 

「くれぐれも慎重に「なーにしてんのエレンさん?」うわぁっ!!」

 

「もっとビシバシ写真撮ってよ!」

 

「私達なんかより景色を撮りたいの?」

 

「マジ引くわー」

 

「そ、そう言う訳では・・・・」

 

グワシッ×2

 

「え? えぇ!?」

 

エレンに近づいて声をかけたのは、亜衣麻衣美衣が話しかけてきた。エレンはしどろもどろに言葉を発しようとすると、亜衣と麻衣がエレンの両手を掴んで引きずって行った。

これが、後に『最強の魔術師<ウィザード>』の『天敵』となる3人娘との会合であった。

 

 

ー艦長sideー

 

「執行部長殿も大変だな」

 

通信機越し艦長は、親子ほど歳の離れた娘、それもウェストコットの情婦と噂が立っている娘の命令を聞かねばならない現状を面白くなく感じ、むしろ腹を立てているので、エレンの様子に内心ほくそ笑みを浮かべていた。

 

「〈バンダースナッチ〉の部隊にかかれば、小娘1人を捕獲するくらい容易いものを」

 

すると、クルーが、島の天候が変わっていくのをモニタに映し出されていた。

 

 

ー士道sideー

 

「(おいドラゴン。お前もいい加減に)」

 

バシンッ!

 

「痛ぇっ!!」

 

十香と同じく辺りを警戒しているドラゴンに文句を言おうとする士道の脳天に、ドラゴンのド突きが見舞われた。

 

≪五月蝿い。この緊張感も危機感も警戒意識の欠片もない、愚鈍で愚昧な愚図の蚤と同類の恥さらしめが。天候の変化にすら気づかんのか?≫

 

言われて漸く士道も気づいた。

地鳴りのように風音が鳴り、木々が揺れ、大型台風のような暴風が吹き抜ける。

天気予報では修学旅行の三日間は快晴だったはず。

士道は咄嗟に十香の肩を掴み、風に煽られないように姿勢を低くするがーーーー。

 

「シドー! 危ない! あた!」

 

と、十香が士道の身体を突き飛ばした瞬間、あまりの強風でゴミ箱が倒れて中身が出て吹き飛んだのか、空き缶が十香の頭に当たり、『HIT!』と文字が浮かんだように見え、さらに次々と空き缶や空いたペットボトルが十香に『HIT!』していく。

 

「ぬっ! のっ! くっ! なっ! うっ! やっ! はっ!・・・・!」

 

最後に金属製のゴミ箱が飛んできて、十香の頭にぶつかり、『CRITICAL!』と擬音のような文字が浮かんだ。

 

「ぎゃぷッ!?」

 

何てコミカルな声を発して目を回した十香がその場で倒れた。

その際、十香の頭の上を、天使の羽を生やした『よしのん』や『プラモンスター達』がクルクルと回っているような幻覚が見えた気がした。

 

「十香っ!?」

 

≪仕方ない。小僧、『バインド』で〈プリンセス〉の身体を自分と巻き付けて資料館に向かうぞ≫

 

「ああ!」

 

[バインド プリーズ!]

 

十香の身体と自分の身体に『バインド』で巻き付けて、少しずつ歩を進めながら、資料館に向かった。

 

≪おい、上を見ろ≫

 

「えっ・・・・あれは・・・・」

 

ドラゴンに言われ、上空を見ると、荒れ狂う空の中心で、二つの人影らしきものが見えたーーーー。

 

「まさか・・・・!」

 

≪そのまさかだ。警報は鳴っていないが間違いない、この突発性の大嵐、これは“精霊によるものだ”≫

 

精霊の気配を感知できるドラゴンがそう答え、士道は息を詰まらせる。

と、上空で何度も激突していた二つの影は、一際大きな衝撃波を起こしてぶつかり合い、凄まじい風が吹き荒れた。

 

「くう・・・・ッ!」

 

士道は身体を丸めるような姿勢で、吹き飛ばされないように踏ん張ると、2つの影は互いに弾き飛ばされるように地面へと落下した。

ちょうど士道を挟んで左右に。

そしてその瞬間、辺りに吹き荒れていた大嵐がふっと弱まった。

 

「えっ・・・・?」

 

≪二人、だと・・・・?≫

 

未だに或美島には凄まじい風が吹き荒れていた。

しかし士道と十香の周囲が、否ーーーーもっと正確には、地上に落ちてきた二つの影の周りだけが、台風の目のように穏やかな無風状態だったのである。

 

「く、くくくくく・・・・」

 

やがて右側に立つ少女から声が聞こえ、そして2つの声が聞こえてきた。

 

「ーーーーやるではないか夕弦。流石は我が半身と言っておこう。この我と25勝25敗49分けで戦績を分けているのだけの事はある。だがーーーーそれも今日で終いだ」

 

「ーーーー反論。この100戦目を制するのは、耶倶矢ではなく夕弦です」

 

目の前に現れた少女たちの出で立ちは、ハッキリ言って異常だった。

歳は士道達と変わらない。橙色の髪と、水銀色の瞳。整った造作の顔。

まず右側にいる少女は、長い髪を結い、不敵に笑いながら歩み出て、口元は嘲笑めいた笑みの形に歪められていた。

そして特徴的なのは、その装いだった。暗色の外套を纏い、身体の各所を、ベルトのようなもので締め付けている。さらには右手右足と首に錠が施され、そこから先の引き千切られた鎖が伸びているときた。

まるで途方も無い大罪を犯した咎人か、あるいは、猟奇的な被虐快楽者<マゾヒスト>のようである。

かたや左側にいる少女は、長い髪を三つ編みに括っていた。

『耶倶矢』と呼ばれた右側の少女と瓜二つの顔。しかしその表情は、どこか気怠げな半眼に彩られていた。

こちらの『夕弦』と呼ばれた少女も少しデザインが異なるが、耶倶矢と似たような拘束具を身につけていた。違うのは、錠が掛けられた位置が、左右逆である事くらいであろう。

 

「ふ、ほざきおるわ。我に勝つだと? いい加減、真なる八舞に相応しき精霊は我だと認めたらどうだ?」

 

「否定。生き残るのは夕弦です。耶倶矢に八舞の名は相応しくありません」

 

「ふ・・・・無駄な足掻きよ。我が未来視<さきよみ>の魔眼にはとうに見えておるのだ。次の一撃で、我が颶風を司りし漆黒の魔槍<シュトゥルム・ランツェ>に刺し穿たれし貴様の姿がな!」

 

「指摘。耶倶矢の魔眼は当たった例しがありません」

 

夕弦がそう言うと、耶倶矢は口籠もり、先ほどまでの大仰な調子を忘れたように叫んだ。

 

「う、うるさいっ! 当たったことあるし! 馬鹿にすんなし!」

 

「要求。夕弦は耶倶矢に具体的な事例の呈示を求めます」

 

「くく・・・・それは、あれだ。ほら・・・・次の日の天気とか当てたことあるし」

 

「嘲笑。下駄の裏表と変わらない魔眼(笑)の効果に失笑を禁じ得ません」

 

夕弦が口元に手を当て、プークスクス、と息を漏らす。どうやら笑っているようだ。

 

「だ、黙らんかっ! 我が魔性の瞳術を愚弄するとは、万死に値するぞ! 我を怒らせた代償、身を以て思いすりぇッ!」

 

と、屈辱を味わったような耶倶矢は構えを取って叫んだが、語尾を噛んでいた為あまり格好つかなかった。

夕弦は意に介さず、耶具矢をおちょくり、それに耶具矢が過敏反応して、姉妹喧嘩のような漫才を繰り広げた。

 

「・・・・・・・・」

 

≪・・・・・・・・≫ 

 

そしてその様子を見ている士道は、物凄く微妙そうな顔になっていた。

 

「なあ、ドラゴン」

 

≪何だ≫

 

「アイツら何してんだ? 俺、どうすれば良い?」

 

≪〈プリンセス〉と無表情娘がいつもやっているようなくだらん喧嘩だ。とりあえずもうしばらく見物していれば良い≫

 

と、何処か気の抜けたような返事をするドラゴン。

だが、次の瞬間ーーーー。

 

「漆黒に沈め!はぁぁッ!」

 

「突進。えいやー」

 

裂帛の気合と、気の抜けた声と共に、二人が同時に地を蹴った。

 

「く・・・・!」

 

≪いつでも『ウォール』を使えるように備えておけ≫ 

 

士道は息を詰まらせる。精霊二人の激突に、こんな至近距離で、生身の状態で巻き込まれたらひとたまりも無いだろう。

再生能力のある士道はともかく、十香や折紙達クラスメートが、精霊の戦いに巻き込まれたら、どうなるかは想像に難くない。

そうこう考えてる間に、二人は凄まじいスピードでぶつかろうとしていた。

すると士道が、考えている暇もないと思い、大きく息を吸い込み、そしてーーーー。

 

「待、てぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

「「・・・・!?」」

 

士道の叫びによって、二人がその場に停止する。

 

「何、今の声。・・・・ええと、そう、絶対地獄<コキュートス>の底より響く亡者の呻きにも似た・・・・」

 

「報告。耶倶矢、あれを見てください」

 

夕弦が士道を指差し、耶倶矢が眉を歪める。どうやら本当に今の今まで、士道達の存在に気づいていなかったらしい。

 

「人間・・・・だと? まさか、我らの戦場に脚を踏み入れるとは、何者だ? っ!」

 

「驚嘆。驚きを禁じ得ません。っ!」

 

言って、怪訝そうな視線を浴びせてくる。が、二人は上空を鋭く睨んだ。

 

「な、何だ?」

 

≪気づけダンゴムシ。ファントムだ≫

 

「えっ!?」

 

ドラゴンに指摘されて、士道も上空を見ると、大量の『インプファントム』を引き連れて、『ガーゴイルファントム』が二人の上空に現れた。

 

『漸く見つけたっスよ!〈ベルセルク〉!』

 

≪〈ベルセルク〉・・・・あの二人の識別名称のようだな≫

 

「(そのようね・・・・)」

 

ガーゴイルを見て、士道は『ハリケーンウィザードリング』と『コネクトリング』を指に嵌めた。

 

「ふっ、またうぬらか。この八舞の神聖な決闘を邪魔してばかり、もう飽き飽きしたわ」

 

「唖然。自分の攻撃がほとんど通じなくて相手をするのがもう嫌になったから、スタコラサッサと逃げ出したのに良くそんな大口を叩けますね?」

 

「そ、そんな事ないし! だったら夕弦だって逃げ出したじゃないの!!」

 

「否定。夕弦がやったのは戦略的撤退です。あのドラゴン擬きを倒していれば99戦目は夕弦の勝利でした」

 

「なによー! 戦略的撤退って、逃げたには変わらないし! 第一、夕弦に倒せる訳がないし! 我が・・・・ええと、光を貫きし影の邪槍<シャッテン・ランツェ>があの異形なる竜の怪物<ドラッへ・ウンゲティーム>を刺し貫いておったわ!!」

 

「指摘。先ほどと名前が違います」

 

「う、うっさいし! 夕弦は黙っててよ!」

 

「疑問。夕弦が黙らねばならない意味が分かりません」

 

涼しい顔で夕弦がそう言うと、耶具矢は肉食動物のように、グルルルル・・・・と、喉を鳴らした。

 

『ええいまどろっこしいっス! インプ共!!』

 

『キャァァァァァァァァ!!』

 

ガーゴイルは漫才喧嘩を繰り広げる耶具矢と夕弦に焦れたのか、インプ達に指示を出した。

その時ーーーー。

 

[コネクト プリーズ!]

 

ドンドンドンドンドンドン!!

 

『ギャァァァァァッ!!?』

 

士道が『ウィザードソードガン・ガンモード』の銀の銃弾をインプ達に放つと、インプ達が地面に落下した。

そして漸く、ガーゴイルも士道の存在に気づいた。

 

『き、貴様は! 『指輪の魔法使い』っスか?!』

 

「ん? 『指輪の』・・・・」

 

「困惑。『魔法使い』・・・・?」

 

ガーゴイルの言葉に、耶具矢と夕弦は戸惑いの声を上げた。

 

「気づいてなかったのかよ・・・・」

 

≪まぁ貴様の存在感など、地べたに這う毛虫ほどしかないからな≫

 

「そこまでかよ・・・・」

 

渋面を作った士道は、『コネクトリング』から『ドライバーオンリング』へと嵌め変えた。

 

[ドライバーオン プリーズ]

 

「えっ? 何これ?」

 

「困惑。何でしょう?」 

 

ウィザードライバーを召喚して、左手向きにして『ハリケーンリング』を翳した。

 

[シャビドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪ シャビドゥビタッチヘンシン~♪]

 

「変身っ!」

 

「えっ?」

 

「変身?」

 

[ハリケーン プリーズ フー! フー! フーフー、フーフー!!]

 

士道の身体を緑色の魔法陣が上から下へ通り向けると、士道の姿が、風を操る緑色の翡翠石<エメラルド>の魔法使い、『仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル』へと変わった。

 

「な、何あれっ!!」

 

「驚愕。変身しました・・・・!」

 

翡翠<エメラルド>に輝くウィザードハリケーンスタイルに驚く精霊達だが、ウィザード<士道>は構うことなく、『新たなリング』を取り出して、ドライバー翳した。

 

[ハリケーン! ドラゴン! ビュー! ビュー! ビュービュー、ビュービュー!]

 

音声が流れると、ウィザード<士道>の身体から、『風を纏った緑色とウィザードラゴン』が飛び出し、周りを旋回する。

 

「お、おぉ、おぉぉ!」

 

「驚嘆。おぉ・・・・」

 

耶具矢と夕弦は目をしばたたせて、ウィザードラゴンに視線を向けた。

ウィザードラゴンはウィザード<士道>が重なり、ウィザード<士道>の身体が緑色の竜巻に包まれた。

 

「フゥッ!!」

 

風を縦一線に断ち切ると、新たな姿となったウィザードが現れた。

『フレイムドラゴン』と同じように、仮面と胴体にウィザードラゴンの頭部が装飾され、肩には翡翠の宝石が装備され、黒いロングコートは色鮮やかな緑色に染まり、さらに輝くような翡翠の姿となったその姿。

『希望を運ぶ魔法使い<士道>の優しい涼風』、『魔獣<ドラゴン>の翼から生み出される烈風』、2つの風が1つとなって『嵐』となったその名をーーーー。

 

〈仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴンスタイル〉。

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 

 

「一驚。おぉぉぉ・・・・!」

 

耶具矢と夕弦の目が、キラキラとキラメーイ!させてウィザード<士道>のハリケーンドラゴンスタイルを凝視する。

まるで英雄<ヒーロー>を目の当たりにした無垢な子供のようにーーーー。

 

[コピー プリーズ!]

 

ウィザード<士道>は『コピーリング』で『ウィザードソードガン・ソードモード』を二刀流にすると、両手で逆手に持ち構える。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

新たに誕生した『希望の嵐龍』が、『ハリケーンドラゴンウィザードリング』を嵌めた手をマスクの横に持ってきて、決め台詞を発した。

 

 

 




ハリケーンドラゴンスタイル降臨!

新たな仮面ライダー聖刃<セイバー>。赤い龍がメインとは、龍騎やウィザードに通じますね。そして『本』が題名とは、『飲んだくれ精霊』とも通じそうですね。
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