デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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疾風迅雷・ハリケーンドラゴンスタイル、飛翔!


疾風迅雷のショータイム

ーウィザード<士道>sideー

 

『ハリケーンドラゴンスタイル』となったウィザード<士道>は二刀流のソードガンを逆手に構え、低空飛行で迫り来るガーゴイルファントムとインプ達を見上げる。

 

《・・・・シン、聞こえるかい、シン》

 

「! 令音さん・・・・!」

 

と、ガーゴイル達が攻めあぐねている間に、そこで右耳の鼓膜をノイズのような音が震わせ、副担任として修学旅行に同行してきた令音の眠たげな声が聞こえた。

 

《・・・・ああ、ようやく通じたね。一体今どこにいるんだい》

 

「・・・・それがーーーー」

 

ウィザード<士道>は仮面越しに声をひそめて簡潔に状況を説明した。ーーーー精霊が2人、そしてその精霊を狙ってファントムが大軍で現れた、と。

 

《・・・・なんだって? 風の中に2人のーーーーまさか》

 

≪おい。それどころではないだろうが≫

 

「ああ・・・・。令音さん、話は後で、今はファントムの相手をします」

 

《ああ、気をつけたまえ》

 

令音と通信を終えたウィザード<士道>は緑色の旋風を纏って飛び上がった。

 

「ハァァァァァァァァァッ!」

 

『やるっスよ! インプ共っ!!』

 

『ギャァアアアアアアッ!!』

 

ガーゴイルが号令すると、インプ達は雄叫びを上げてウィザード<士道>に迫る。

飛行するウィザード<士道>は、螺旋回転しながら突っ込み、インプ達を斬り捨てる。

 

『グギャァァァァァッ!!』

 

ウィザード<士道>が振るうソードガンに、ハリケーンドラゴンとなった事で緑色の風の刃が加わり、インプ達は切り裂かれて爆散した。

 

「おおぉっ!!」

 

「驚嘆。おお・・・・!」

 

耶具矢も夕弦も、声の音量に差はあれど、その目はキラキラと輝き、まるでヒーローショーを間近で見ている、いたいけな子供のような瞳でウィザード<士道>を見ていた。

 

『キャァァァァァ!!』

 

さらにインプが攻めて来ると、ウィザード<士道>はガンモードに切り替えると、2丁拳銃を用いて空中で回転しながら、ガンアクション映画のようにインプを撃ち抜いていく。

 

「ハアァァァッ!!」

 

次々と連射される疾風の弾丸がインプを撃ち抜き、インプ達が地面に落下した。

 

『っ! おのれぇっス!!』

 

ガーゴイルは翼をはためかせてウィザード<士道>に向かうが、ウィザード<士道>はソードモードに切り替えて、すれ違い様にガーゴイルに二刀の刃を叩きつけた。

 

『ぐぁっ!!』

 

ガーゴイルは地面に倒れ、先に落下していたインプ達も立ち上がり、ウィザード<士道>も着地し、ガーゴイルに向かって走る。

 

「ハァッ! ハッ! テャッ! セャッ! トォリャッ!!」

 

ハリケーンスタイルの強化型なだけあって、走力も上がっており、高速の剣戟でインプ達を斬り捨て、ガーゴイルに斬りかかる。

 

「ハァァァァァァァァァァッ!!」

 

『っスゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!』

 

ウィザード<士道>は二刀流のソードガンでガーゴイルの身体を走り抜き際に斬りつけまくる。

 

「スッゴォっ!!」

 

「感嘆。凄いです・・・・!」

 

〈ベルセルク〉の双子はさっきまでのいがみ合い、と言うよりも漫才喧嘩なんて忘れてすっかりウィザード<士道>の戦いに夢中になっていた。

 

「っ! はぁあっ!!」

 

『グゥォアアアアッ!!』

 

最後にに回転しながらガーゴイルを斬りつけると、ガーゴイルは大きく吹き飛んだ。ウィザード<士道>は空かさず、ウィザードライバーを起動させた。

 

≪新たなリングを使え≫

 

「ああ!」

 

[ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪ ルパッチマジックタッチゴー♪]

 

「さぁ! フィナーレだっ!!」

 

ウィザード<士道>は『スペシャルウィザードリング』を翳した。

 

[チョーイイネ! スペシャル! サイコー!]

 

帰途すると、ウィザード<士道>の身体に緑色の魔力が迸ると、ウィザード<士道>の背中に、ウィザードラゴンの翼が顕現した。

 

「な! 魔性の化身のごとき禍々しき翼を生やしたぞ!」

 

「驚嘆。まるで悪魔のような翼です」

 

耶具矢の台詞を夕弦が通訳しながら、その目線はウィザード<士道>に注がれていた。

 

『や、やられるかっス! まだまだインプ共はあるっスよ!!』

 

ガーゴイルは魔石を取り出してばら蒔くと、インプ達がさらに現れた。

 

≪数など揃えても無駄だと教えてやれ≫

 

「よし。これも使うか!」

 

ウィザード<士道>はさらに、『ドラゴンが落雷を落としている緑色のリング』を翳した。

 

≪雷撃をお見舞いしろ!≫

 

[チョーイイネ! サンダー! サイコー!]

 

ウィザード<士道>は飛び上がると、ガーゴイルと残りのインプ達の周囲を何度も旋回すると、竜巻が舞い上がった。

 

『グワァアアアアアアッ!!』

 

『ギャァアアアアアアッ!!』

 

ガーゴイル達は雷撃が付加された緑色の竜巻に拘束されたように動けなくなり、上空に雷雲が発生し、落雷がガーゴイル達を襲う。

 

『ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!』

 

竜巻の中で インプ達が爆散するが、中から“岩の塊”が飛びだし、海の中に落下した。

 

「ふぃぃ~・・・・」

 

≪油断するな。ここにファントムが現れたと言う事は、メデューサ達にも知られている可能性がある。奴等もこの島に現れるかも知れんぞ≫

 

ガーゴイルを倒して、変身を解いて気を抜きそうになる士道にドラゴンが忠告すると、渋面を浮かべた。

 

「それもそうだよな・・・・。はぁあ、せっかくの修学旅行だってのに・・・・」

 

ガシッ×2

 

「えっ?」

 

ため息を漏らす士道の両腕を、〈ベルセルク〉の双子が左右から抱き締めた。

 

「え? ええ? な、何???」

 

「に、人間よ! あの緑の風龍の魔法使い<グリューン・ヴィントドラッヘ・マギア>は一体なんなのだ!? 我に教えろっ!!」

 

「請願。説明を求めます。あなたが変身したあのメチャクチャカッコいい魔法使いは何なのですか? 夕弦に教えてください・・・・!!」

 

士道は目をパチクリさせ、ドラゴンも唖然となる。

何故なら、〈ベルセルク〉と呼ばれた双子の精霊の瞳はそれはもう、「キラメーイ!」とした、好奇心と興奮に満ち溢れた純粋な子供のように向けてきたからだ。

 

「えっ、と・・・・その、な・・・・」

 

「むっ! 話せないというのかっ!? 風を司る我ら八舞を差し置いて風を操り、疾風の斬撃を繰り出し、尚且つ緑色の雷電を操るなどと言う生意気な真似をしおって! 我らの命運を定める神聖なる決闘を水入りにしてくれた責任として教えないかっ!」

 

「静止。耶具矢、気持ちは果てしなく分かりますが、それでは脅迫です」

 

「うるさいっ! とにかくこのままでは色々と気が収まらん・・・・っ! ああそうだ、これなら・・・・」

 

耶具矢は何かを思い付いたようにカッと目を見開いた。急に質問を止めた耶具矢は再び夕弦に顔を向けると、じっくりと品定めするように、全身をくまなく視線を這わせた。

 

「質問。何でしょうか、耶倶矢」

 

「くく・・・・良い方法を思い付いたぞ、夕弦よ。我らはあらゆる勝負をしてきた。それこそもう思い当たる種目が無くなるくらいな」

 

耶具矢は、歌劇でも演ずるように大仰な身振りをしながら続ける。

 

≪・・・・なるほど。これが『中二病』か。貴様もこんな芝居めいた身振りしながら、自分を身の程知らずに大仰な態度で気取りながら、1人侘しくミュージカルでもやってたのか?≫

 

「(うぅっ、うるせぇよ・・・・!)」

 

『黒歴史』を突っつかれて、沸き上がる羞恥を内心必死に押さえる士道の態度に気づかず、耶具矢と夕弦は話を続ける。

 

「だが・・・・1つ、まだ勝敗を決していない物があるとは思わぬか?」

 

「疑問。勝敗を決していない物、とは?」

 

首を傾げる夕弦に、耶具矢はくくく、と含み笑いを漏らし、士道を一瞥する。

 

「へ・・・・?」

 

≪何やら果てしなく面倒な事が起こりそうだな・・・・≫

 

ドラゴンの言うとおり、士道は、耶具矢の表情に、薄ら寒いモノを感じた。

 

 

ー折紙sideー

 

士道達が〈ベルセルク〉と遭遇している間、移動の最中、突然の激しい嵐に、修学旅行に来た生徒達は教諭達の指示で空港からほど近い位置にある資料館に避難していた。ーーーーだが。

 

「士道・・・・」

 

折紙は分厚いガラス窓を軋ませる凄まじい風に、拳を握る。

館内に避難している生徒達の中に、愛しい恋人(折紙談)の士道の(おまけついでのゴミムシ一匹)の姿が無いのである。道中ではぐれ、外に取り残されたに違いない。

すぐに士道を捜しに外に飛び出そうとしたが、教諭達に止められてしまった。

如何に士道には、いざとなれば〈仮面ライダー〉に変身する事が出来ると言っても、あのゴミムシが一緒なのだ。士道の優しさにつけこんで何をするか分かったものではない。

 

「く・・・・」

 

折紙には、士道の無事を祈る事しかできない。無力感がやり場のない焦燥となって身体中を駆け巡る。

 

「・・・・おい、なんだか今、緑色の竜巻と雷が見えたんだけど・・・・」

 

と、窓際にいた男子生徒が、不意にそんな言葉を発した。

折紙は察した。緑色の竜巻や雷など、自然現象でもほとんど起こりえない現象を発生させるなど、精霊。〈アンノウン〉こと魔獣ファントム。もしくは、士道の体内に寄生している魔獣の力で、士道が〈仮面ライダー〉となった時くらいだ。

そして、士道が〈仮面ライダー〉になる時は、魔獣ファントムが出現したと言う事。

折紙は生徒達の間を縫うように資料館の出入り口へと走った。

 

「あ・・・・! と、鳶一さん! まだ危険ですよぉ!」

 

タマちゃんの静止を振り切った折紙が、扉を開けて外へ出ーーーーようとしたところで。

 

「・・・・?」

 

折紙が不意に足を止めた。

資料館の前に、探し求めていた人物がいたのだ。

 

「お、おう・・・・折紙」

 

折紙に気付いた士道が口を開いてくる。髪や服装が風のせいか乱れてはいるが、幸い、怪我はしていない。

しかし折紙は、安堵よりも先に眉をひそめ、視線を鋭く研ぎ澄ました。

士道の様子がおかしい・・・・と言うか、妙なオプションがついていた。

まず、士道の背に背負われた、気を失っている十香。まぁ、それはいい。いや、良くないが、まったく予想できない事態ではない。

問題はーーーー。

 

「どうだ士道。夕弦などより我の方が魅力的であろう?我を選んだならば、我の身体の好きな場所に契約の口づけをさせてやるぞ? そしてあの魔の力を使う魔術師の事を教えるのだ!」

 

「誘惑。士道、夕弦を選んで言ってください。良いことをしてあげます。もうすんごいです。きっと蕩けること間違い無しです。耶具矢なんて目じゃありません。そして魔法使いの事を話して下さい」

 

左右にそれぞれ瓜二つの姿をした制服姿の少女が立ち、何やら馴れ馴れしく士道の身体に触れながら、やたらと士道を誘惑している事だった。

 

「どうしてこうなったんだろう?」

 

≪貴様は本ッッッ当に、厄介事に巻き込まれやすい体質だな。呪われているのではないか?≫

 

「・・・・何があったの?」

 

ドラゴンと折紙の言葉に、士道は重いため息を漏らした。

 

 

 

ー士道sideー

 

士道は生徒達から白い目で突き刺さる視線を全身で浴びながら、10分ほど前の出来事を思い起こす。

 

 

* * *

 

暴風が止み始めた領域で、自分の右腕を抱き締めた耶具矢が、不敵な笑みを作ってーーーーこんな内容を言ってきたのだ。

 

【夕弦よ。この男はあの魔術師の姿の秘密を頑として話そうとはせぬ。このままでは埒が開かんであろう?】

 

【肯定。確かにその通りです。このまま質問責めを続けても、口を割りそうにありません】

 

士道の左腕を抱き締めた夕弦が、耶倶矢の意見に同調して士道をジッと見る。

 

【そこでだ、夕弦よ。我と貴様は様々な勝負をしてきた。それこそ、もう思い当たる勝負が無くなるほどにな。しかし、未だ我らが勝敗を決していないもの。それ即ち・・・・『魅力』!】

 

バッと無駄に格好いいポージングをキメながら、耶具矢が高らかに宣言する。

 

【真の精霊、颶風の巫女・八舞には、力や頭脳だけでなく、森羅万象をも嫉妬させるほどの美が、色香が、必要とは思わぬか?】

 

【思案。・・・・・・・・】

 

夕弦が数秒間押し黙り、夕弦もまた、耶具矢の頭頂から爪先まで、値踏みするようにじっくりと視線を這わせる。

そして、ふむ、と頷いて答える。

 

【回答。なるほど、と答えます。確かに今までそれを競った事は有りませんでした】

 

【くく・・・・そうだろう。しかしそれも当然の事だ。今まで我らの闘争に割って入った者など、あの物の怪達<ファントム>だけだったからな】

 

【肯定。99戦目はあの『怪物達をどちらが多く倒せるか』で競いましたが、結局引き分けに終わりました】

 

【うむーーーー第三者に裁定を委ねる争いが出来る筈もなかったからな。ーーーーだが、今は・・・・】

 

耶具矢は不敵な笑みを浮かべながらビッ! と士道に指を向ける。

 

【ーーーー貴様、名は?】

 

【え? い、五河・・・・士道だけど】

 

【士道。ふむ、贄に相応しき脆弱そうな名よ。よろしい。貴様を今、裁定役に任ずる】

 

【誰が脆弱そうな・・・・! は・・・・? え、いや・・・・】

 

会って間もない精霊の女の子に、ドラゴンみたいに脆弱と呼ばれて文句を言いそうになったが(まあドラゴンならばさらに、貧弱、軟弱、虚弱とか付け加えるが)、『裁定役』と言う単語に目を点にした。

だが耶具矢は、士道の文句や意思などどうでも良いことらしく、嘲るように顎を上げ、挑発するような調子で続ける。

 

【疑問。しかし、『魅力』がどうあの魔法使いの秘密を知ることになるのでしょうか?】

 

【フン。推理力が不足しておるぞ夕弦よ? そんな事では迷宮無しの名探偵にはなれんな?】

 

【溜息。耶具矢の脳細胞では迷宮だらけの迷探偵が関の山です】

 

【誰がヘボ探偵のおっちゃんじゃっ!? そうではなくて! 善いかっ! 真の八舞の魅力的な色香を持ってすれば、どんな人間ですら手の平で転がし、口をさく事も容易だ! 我か夕弦の魅了でコヤツから魔法使いの真実を話させることも可能だ】

 

【納得。つまり色香で彼の口を割らせると言う訳ですね?】

 

【然り。くく、どうだ夕弦。この勝負、応ずる勇気が貴様にあるか? くくく、まあ万象一切をひれ伏せさせる我の魅力を以てすれば、勝敗など見えたようなもの。今尻尾を巻いたとて、卑怯者の謗りを受けることなどあるまいよ】

 

【否定。そんな事などはあり得ません。耶倶矢が勝つ道理はありません。夕弦の方がずっと魅力的です。男なんてイチコロです】

 

【くく、威勢だけは一人前よ】

 

【宣言。夕弦の方が可愛いです。耶倶矢はぶっちゃけ下の上くらいです】

 

【な、なんじゃとこらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!】

 

耶倶矢が芝居掛かった調子を一瞬で忘却の彼方へ放り去り、物凄い剣幕で叫びを上げた。

ちなみに士道の主観ではあるが、耶倶矢は相当に美人の部類に入るだろう。

 

【(これで下の上なら、世の女性たちはさぞ厳しい戦いになるだろうなぁ・・・・)】

 

【≪おいそんな事よりコイツら、話が脱線し初めたぞ≫】

 

【私とあんたじゃ顔は同じでしょーがッ! なんでそんなに評価違うのさっ!】

 

【憐憫。顔の造作のみで魅力は決まりません。たとえ素材は同じでも、滲み出る雰囲気が違いすぎます。でも安心してください。ブス界の中では相当な上位にいます】

 

【ブス界って何よ! そんな事を平然と言えるあんたの方が性格ブスなんじゃないの!?】

 

【反省。真実が必ずしも当人の為になる訳では無いことを失念していました】

 

【真実ちっっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうッ!】

 

耶具矢は頭をワシワシと掻いたところで、士道の存在を思い出したらしい。ハッと肩を揺らしてコホンと咳払いをする。

 

【と、とにかくだ! そこまで言うのなら異論はあるまい!】

 

耶倶矢はビッと夕弦に指を突きつけた。

 

【ーーーーこれが最後の決闘だ! この勝負の勝者こそが、相手を取り込み『真の八舞』となる! 勝負の方法は単純明快! この我、耶倶矢か! 夕弦が! この男ーーーー五河士道を、“先に落とした”方の勝ちだ!】 

 

【承諾。ーーーーその勝負、受けて立ちます】

 

≪やはり面倒な事になったな・・・・≫】

 

【い、いや、ちょ、ちょっと待てぇぇぇッ!!】

 

 

* * *

 

・・・・そして現在に至る。

あの場で令音と協議して、無下に突っぱねるのも危険なので二人を連れてきたのだが・・・・やはり学友からの鋭い視線が痛いのであった。

 

「い、五河くん? その左右の女の子達はどちら様? 見たこと無いけど・・・・」

 

「え? 現地美少女をナンパしてコスプレイ? 五河くん女子の制服持ち歩いてんの?」

 

「マジ引くわー。前からいつかはこんなことをすると思ってたけど、まさか修学旅行中に双子の美少女を連れてくるとは・・・・」

 

「良いバイトを考えついたぞ五河。『1分1000円で殴り放題』って看板掲げて学校中を練り歩くんだ。きっとすぐに家が建つ」

 

≪こんな便所虫を殴るのに1000円も使わせるな。100円でも高額なくらいだ≫

 

ざわざわざわざわと、亜衣舞衣美衣トリオと殿町を含めた生徒達がどよめく。だがそれも当然だろう。何しろ、はぐれたはずの士道が、いきなり見知らぬ双子の美少女を侍らせて帰って来たと言うのだ。

ちなみに2人の格好は令音の指示で、霊装を解除し、十香の時のように来禅高校の夏服を着てもらっている。衣服は十香の着ていた制服を視認情報で生成してもらったのだ。

ただでさえ異常事態だと言うのに、2人に先ほどのような拘束具のような霊装を纏われたままでは、士道が特殊な性癖があると誤解されかねない。

 

≪只でさえ底辺な評価がさらに失墜しまくって、もう挽回できなくなるレベルになるからな≫

 

「(うるせぇよ・・・・!)」

 

と、クラスメート達の先頭に立った折紙が、耶具矢と夕弦に目を這わせてから、静かに口を開く。

 

「士道、その人達は、誰?」

 

「え、ええとだな・・・・」

 

士道は顔にびっしりと脂汗を浮かべながら辿々しく声を発する。

が、そこでざわめきを制するように、後方から眠たげな声が響き渡った。

 

「・・・・ああ、待っていたよ。“転入生”の『八舞耶倶矢』に『八舞夕弦』・・・・だね」

 

そこには二年四組の副担任・村雨令音が、ゆらゆらと頭を揺らしながら立っていた。

 

「“転入生”?」

 

折紙が問うと、令音は首肯する。

 

「・・・・ああ。本来なら休み明けに転入してくるはずだったのだが・・・・是非修学旅行に参加したいというものでね、現地で合流する手筈になっていたんだ。先程空港に到着したと連絡があったので、彼らに迎えに行ってもらっていたのさ」

 

そんな令音の言葉に、その隣に立っていた珠恵ことタマちゃんがキョトンと目を丸くする。

 

「え? て、転入生? 村雨先生、私そんなの聞いてないんですけど・・・・」

 

「・・・・急な話でしたから、きっと連絡が間に合わなかったのでしょう」

 

「は、はぁ・・・・」

 

珠恵<タマちゃん>が困惑した顔を作りながら引き下がる。まあ、担任である自分ではなく、副担任である令音の方が先に転入生の事を知らされていたとなれば、そんな顔にもなるだろう。

折紙は訝しげな目で令音を見てから、士道の方に視線を戻してきた。

 

「本当?」

 

「ほ、本当・・・・だよ・・・・」

 

上擦った声で士道がそう答えると、士道の言葉に合わせるように、士道の両サイドにピトッと張り付いた耶倶矢と夕弦が首肯した。

 

「くく・・・・その通りだ。颶風の御子たる我を迎えられる事を光栄に思えよ、人間」

 

「肯定。彼の言っていることに間違いはありません」

 

一応、ここに来るまでの間に、士道が決闘とやらの裁定に協力する条件として、話を合わせるように言っておいたからである。

 

「・・・・・・・・そう」

 

折紙は未だに腑に落ちない様子だが、教諭と当人と両人に肯定されては何を言っても仕方ないと判断したのか、小さく息を吐いて言った。

だが再び、折紙が視線を研ぎ澄ましながら口を開く。

 

「・・・・では、なぜあなた達は士道にくっついているの?」

 

「ああ、それはだな」

 

「応答。それは」

 

「ほ、ほら! 凄い風だったから、飛ばされないようにしてたんだよ!」

 

折紙の質問に答えようとした耶具矢と夕弦の声を掻き消すように、士道は大声を上げた。

ここで下手な事を言われないように、士道はまくし立てるように声を上げた。

 

「そ、それより、先生、十香が飛んできたゴミ箱に頭をぶつけて伸びてしまったんです。どこか寝かせられるようなところありませんかね?」

 

「・・・・おおそうか、それは大変だ。こちらへ来たまえ。転入生の2人も、色々と注意事項を説明しておこう。一緒に来てくれ」

 

「くく・・・・良かろう」

 

「了承。わかりました」

 

令音が棒読みでそう言い、士道達を呼ぶように手招きする。

士道は周囲からの視線を集めながら、令音について資料館の奥へと歩いていった。

 




新たな仮面ライダーセイバーの仲間、仮面ライダーブレイズ。なんかネタキャラ扱いされそうですね(笑)。
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