デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚 作:BREAKERZ
ー士道sideー
士道が露天風呂で、識別名称〈ベルセルク〉と呼ばれる双子の精霊、耶具矢と夕弦にお色気(笑)戦術を受けていたが、どちらもいたたまれない気持ちになるお粗末な戦術だった。
そして夕弦の失敗を見て耶倶矢が腹を抱えて笑い出す。
「きゃははははは! なんだそれ、なーんだそれ!それで悩殺してるつもりなの?」
「憮然。耶倶矢には言われたくありません」
「はん、お互い様でしょーが!」
「否定。そもそも耶倶矢の幼児体型では、誘惑にすらなっていません」
「・・・・ッ! だ、誰が幼児体型よ! 誘惑になってないのはアンタも大して変わんないでしょうがッ!」
「反論。数字の上では僅差でも、揉み心地が違います」
「く、くく・・・・スレンダーの魅力と言うのが分からんようだな」
「嘲笑。スレンダー(笑)。聞こえの良い言葉に置き換えたところで事実は変わりません」
「ふ、ふん・・・・! 斯様なもの、所詮は脂肪の塊ではないか!」
「憤慨。聞き捨てなりません。それは耶具矢の嫉妬と捉えます」
「し、嫉妬などしとらんわー! 羨ましくなんてないし! 士道だって夕弦みたいなデブチンより私の方が可愛いと思うに決まってるし!」
「否定。男性にアピールする際に胸が無いのは致命的です。耶具矢のような鶏ガラは相手にすらなりません」
「誰が鶏ガラじゃー!」
「応戦。誰がデブチンですか」
「何よ、私より枝毛多いくせに!」
「指摘。耶具矢の方が若干汗臭いです」
「私より体脂肪率高いくせに!」
「憐憫。結局ソコしか指摘できない耶具矢に哀れみを覚えます」
「うるさいッ! ほら、プヨプヨー! プヨプヨー!」
「反撃。ペタペター。ペタペター」
≪・・・・なんだこの低次元の口喧嘩は?≫
と、またも脱線して2人で言い合いを始め、ドラゴンも士道も半眼になって呆れているとーーーー。
ガラララララ・・・・。
「・・・・っ!?」
士道は肩を揺らした。再び戸を開く音がし、誰かがこちらに入ってきたのである。
「お、おい・・・・これ誰か入ってきたぞ。お前ら早く隠れないとまずいんじゃないか?」
ここは男湯である。無論、新たな闖入者は男子生徒であるはず。
しかし耶倶矢と夕弦は平然とした様子で言ってきた。
「くく・・・・何を言っておるのだ、士道」
「否定。大丈夫です。心配いりません」
「は・・・・?」
≪ん? この気配は・・・・?≫
2人の言っている意味が分からず、首を傾げるが、ドラゴンが訝しそうに何かを呟いた瞬間ーーーー。
「とりゃー!」
元気の良い声と共に、新たな入浴客が勢いよく湯船に飛び込んできた。
そして、先に入っていた士道と目が合う。
聞き覚えのある声音に、夜色の長い髪。到底男とは思えない、美しい曲線で描かれたボディライン。そう、その姿はーーーー。
≪・・・・・・・・〈プリンセス〉??≫
紛れもなく、夜刀神十香のものだった。
「ん?」
そこで十香も、先客に気付いたらしい。キョトンとした様子で士道を見てくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
≪・・・・・・・・・・・・・・・・≫
そして。
「ギャーーーーーーーーーーーーッ!?」
「ギャーーーーーーーーーーーーッ!?」
≪ハァ・・・・そう言う事か・・・・≫
士道と十香が顔を見合せ、まったく同じ悲鳴を上げ、ドラゴンはすべてを察し、頭痛をこらえるようにため息混じりに声を発した。
十香が慌ててアタフタと両手を動かし、バッと胸元と下腹部を覆い隠す。
「な、なななななななななななぜこんなところにいるのだ! シドー! ドラゴン!」
「い、いやいやいやお前こそなんでここに入ってるんだよ! ここ男湯だぞ!」
「何を言っている!ちゃんと皆に教わった通り、赤い方に入ったぞ!」
「は・・・・!?」
そこで士道はハッと身体を揺らした。嫌な予感が背中を通り抜ける。
「まさか、お前ら・・・・!」
言って左右に目をやると、耶倶矢と夕弦がキョトンとした様子で返してきた。
「うむ、士道が入る前に暖簾を変えておいた。さすが我。策士よの」
「質問。何か問題でもありましたか?」
「お・ま・え・らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・ッ!」
士道は怨嗟に染まった声を発し、2人を睨みつけた。
恨み言の一つでも吐きたいところだが、今はそれどころではない。十香に向かって湯船に浸けるような勢いで頭を下げる。
「十香!信じてくれ!俺たちは誓ってこんなことするつもりじゃなかったんだ!」
≪一応本当だ〈プリンセス〉。このヘタレ根性の甲斐性なしにそんな度胸などあるはずがないからな≫
「お、おお・・・・!?」
士道が必死に訴え、ドラゴンが士道的に酷い事を伝えると、十香は面食らったような顔になった。
「で、では何故こんな所にいるのだ・・・・?」
「騙されたんだ! すまん、すぐ出てくから・・・・!」
「あ・・・・シドー!」
士道はなるべく十香の身体を見ないようにして湯船から上がろうとすると、不意に十香が、引き留めるように手を取ってきた。
「ど、どうしたんだよ十香」
「いや・・・・そちらは、まずいと思うぞ」
「へ?」
≪なるほどな・・・・≫
士道が目を点にし、ドラゴンが理解すると同時に、またも引き戸が開き、女子の御一行様が入ってきた。
「なーーーー」
慌てて士道は湯船に身を沈め、岩陰に隠れる。
よくよく考えれば当然の事だった。入浴時間になって十香が入ってきたという事は、他の女子達も一斉に風呂に入ってきたという事である。
「やー、広いじゃなーい! 海すぐそこじゃーん!」
「あ、転入生さん、もう入ってたんだ。ヤベーイ! ハエーイ!」
「マジ引くわー!・・・・アレ? 鳶一さんお風呂入らないの?」
「ーーーー私には、やらねばならない事がある」
「そ、そう・・・・頑張って」
女子達の甲高い声が聞こえてくる。このままでは果てなくヤバい事になってしまう。
「や、ややややややややっべぇ・・・・! ど、どうすんだこれ・・・・!(どうすりゃ良いんだドラゴン・・・・!?このままじゃ俺、自分の罪を数える事になるぞ・・・・っ!)」
≪我に質問するな。この地獄を楽しむしかあるまいて≫
「(こんな地獄をどう楽しめと?!)」
かつて無いピンチに、士道は盛大に頭を抱えて目を泳がせる。
もしこんな所に潜んでいるのがバレた時には、間違いなく、ジャッジメントタイムにされてデリート許可が降された、裁きと断罪の袋叩きの目に合わされるだろう。いや、それだけならばまだ良い・・・・いや、全然良くないが。
一生消えることのない性犯罪者のレッテルを貼られ、残りの高校生活を、変態だとか性欲の塊だとか若さゆえの過ちだとか言われ続けて残りの高校人生を過ごして行くに違いない。最悪警察沙汰になることも十二分に考えられるーーーー。
と、士道がガタガタと震え、ドラゴンが半ば悟りを開いたような状態で達観とした心境となり、十香が士道の姿を隠すように移動してきた。
「と、十香・・・・!」
「シドーが悪いのではないのだろう・・・・? なら、私の陰に隠れて早く逃げるのだ」
「・・・・! す、すまん。恩に着る・・・・!」
幸いと言うか、湯気と赤褐色の湯のお陰で、士道の姿は見えづらくなっている。十香という壁があれば、女湯の外に逃げ出せるかもしれなかった。
「よし・・・・では行くぞ」
「お、おう」
十香の声に頷く。すると十香が湯船に浸かりながら、ゆっくりとカニ歩きを始める。その背に隠れながら、湯の中を進んでいく。
ーーーーだが、
「あー! 十香ちゃんはっけーん!」
「どうしたの? そんな端っこで」
「ていうかうっわ、マジ引くわー。マジ肌キレー。揉ませろコラー!」
十香の前方に、亜衣麻衣美衣トリオが現れた。士道の脳内で、『時の電車』の警告音が複数で鳴り響いた。
「ひ・・・・っ」
「い、いや、何でもないぞ! 気にするな!」
十香がそう言うも、亜衣麻衣美衣は興味津々の様子だった。このままでは、十香の背後にいる士道の存在にも気づかれてしまうだろう。
と、そこで。
「は・・・・っ! あんなところに、胴体が城になっているドラゴンが巨大なきなこパンと巨大なドォナッツを食べようとしているぞ!!」
十香が咄嗟に叫んで遠くを指差した。一瞬、3人の注意がそちらに逸れた。
「ーーーー!」
≪南無三・・・・≫
好機。士道は身を翻すと、岩縁から海へとダイブし、ドラゴンは念仏を唱えた。
ー折紙sideー
ちなみに折紙は、事前に調べておいた男湯と女湯を隔てる垣根の隙間の一部に、普通に風呂に入っている分には気づかない微妙な隙間から男湯を、正確には士道の裸体の観察(覗き)をしようと、背伸びをし、垣根の隙間を覗き込んでいた。
先ほどから垣根の近くで男子達の声が聞こえるが、士道の裸体を眺める事が最優先なので無視する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ーーーーすると、突然現れた目と視線が合った。
男湯からこちらを覗こうとしていた、先ほどから聞こえて来た声から察すると、殿町宏人だ。
「・・・・お、お邪魔しました」
殿町が渇いた声でそう言うと、視界から消え、おそらく他にもいた男子達を連れて、そそくさと去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
折紙は殿町達の事など眼中に無いと言わんばかりに士道を探すが、士道の姿が見えず少し落胆するのであった。
ー令音sideー
「・・・・・・・・ん?」
部屋で小型端末を操作していた令音が、不意に首を捻った。扉の外から、ペタペタという足音が聞こえてきたのである。
次いでその音が部屋の前で止まったかと思うと、コンコン、と扉がノックされた。
「・・・・どうぞ」
令音が言うと、扉がゆっくりと開き、タオル1枚を腰に巻きつけただけの士道が、何故か全身びしょ濡れで、肩を抱いてガタガタ震えていた。
令音はそんな様子を見て、数秒考えを張り巡らせーーーーポンと手を打った。
「・・・・夜這いには、少し早いのではないかな?」
この後、士道が震えながら何とか事情を説明し、令音がコッソリと女湯に行き、士道の服とウィザードライバーとウィザードリングを回収してもらった。
◇
どうにか海から上がって令音の部屋まで辿り着き、予備の浴衣を借りた士道は、湯呑みに注がれたお茶を飲み干してから大きくため息を吐いた。
「あぁ~、暖まる・・・・!」
≪まったく、最悪な災難だったわ・・・・!≫
士道とドラゴンが一息吐いていると、ちょうど服とドライバーとリングを回収してきた令音が戻ってきた。
「すいません、助かりました・・・・」
「・・・・いや。災難だったようだね」
言って、令音が肩をすくめる。
令音は備え付けの浴衣を着ているが・・・・帯の締め方がぞんざいなのか、彼女が動くたびに、悩ましく暴力的な胸元がチラチラと覗き、健全な男子高校生の士道の目には、いささか強すぎる毒なので、思わず目を逸らした。
「・・・・? どうかしたのかね」
「い、いえ」
≪・・・・視線と態度で悟られるぞ。このムッツリスケベの僕ちゃん≫
「(うるせぇよ!)・・・・それより〈フラクシナス〉との通信は回復したんですか?」
士道が問うと、令音が無言で首を振った。
「・・・・いや、駄目だ」
「そう・・・・ですか。えっと、じゃああの二人ーーーー耶倶矢と夕弦は何なんですか?」
令音が小さく首肯し、テーブルの上に置かれた小型のノートパソコンをカタカタと操作する。
その合間に、士道は『ドラゴライズリング』で、ドラゴンの思念体を召喚した。
すると画面に、望遠で撮影された、風の中に踊る二つの人影と、細かな数値や文字列が表示される。
この画像だけでは人相までは判別できないがーーーー。
「これは・・・・耶倶矢と夕弦?」
「・・・・ああ、恐らくね」
士道が画面を指さして聞くと、令音は小さく首肯した。
「・・・・実は、彼女らは我々の間ではちょっとした有名人でね。風の中で二人組の精霊を見たと聞いた瞬間から、何となく目星は付いてたんだ」
「有名人・・・・て、いうと?」
士道が問うと、令音は順を追って説明しよう、と言うように、手を軽くかざして説明を始めた。
「・・・・彼女らは〈ベルセルク〉と呼ばれている。君も見た通り、風を伴う精霊だ」
「〈ベルセルク〉・・・・確か、2人を追っていたファントムもそう呼んでいましたね」
「・・・・ああ。世界各地で現界が確認されている二人組の精霊だ。こちらに現れては、常に二人でじゃれ合っているだけなのだが・・・・その規模が問題でね」
「ああ・・・・」
士道は頬をかきながら昼間の事を思い出した。木々を薙ぎ海を荒らす凄まじいほどの大嵐。あんな災害を何度も起こされては堪らないだろう。
「各地で起きている突発性暴風雨の何割かは、彼女らのせいだろう。その上、目撃情報が非常に多いときている。アメリカではゴシップ誌に写真が撮られ、天使かUFOか、はたまた空飛ぶスパゲッティ・モンスターかでちょっとした議論に起こっているらしい」
ちなみに『スパゲッティ・モンスター』とは、見た目はカタツムリみたいな目とミートボールみたいな物体が二つあり、周囲に白い触手が生えているモンスターの事である。
「目撃………って、あーーーー」
そう言えば、あんなに近くに精霊が現れたというのに、辺りに空間震警報が鳴っていなかった事に、士道はようやく気づいたのである。
或美島は、天宮市に負けないほどに、シェルター普及率の高い場所であり、空間震の予兆が確認されればすぐに警報が鳴る筈だ。
「まさか、あの二人は静粛現界を?」
士道が戦慄した様子で聞くと、令音が首を横に振った。
「・・・・いや、予兆は確認されていたようだ。ーーーー太平洋沖の遥か上空で、だがね」
士道は思わず目を丸くした。
「太平洋沖の上空、ですか?」
「・・・・ああ。〈ベルセルク〉の二人の空間震規模はAランク・・・・十香たちとは比べ物にならない大爆発だ。だがどういうわけかその多くは、何もない空中で確認されている」
『なるほど。空中で現界してここまで移動してきたのか。おそらくファントム達も現界した2人を追いかけて、この島にやって来て、我らと遭遇したと言う訳か?』
ドラゴン(思念体)がそう言うと、令音は肯定するように頷く。
「・・・・その通りだ。空中で現界した後に、まるで移動性大気圧のように2人で組んず解れつしながら、数百キロという距離を、僅か数分で移動してきたのさ」
「なっ・・・・!」
『傍迷惑な台風だな・・・・』
「・・・・ああ、世界を悩ます意思ある台風さ。人間への明確な攻撃意思を示す訳でも、世界を憎むでもなく、2人で争う余波だけで森を、山河を、街を壊滅させる。気まぐれな狂戦士だ」
『悪意や敵意が無いのがまた、始末の悪い事だ・・・・』
令音が端末のキーボードをタンッと叩く。すると画面に、滅茶苦茶に破壊された街の様子が映し出された。
「・・・・彼女達による被害は甚大だ。加えて、その姿を衆目に晒しているというのも、精霊の存在を秘匿しておきたい組織にとっては悩みの種だ。故に耶倶矢と夕弦は、〈ラタトスク〉からもASTからも、優先目標に入っている。・・・・だが、今まで彼女らに接触できたものはいない」
「な、なんでですか?」
『解らんのか脳足りん。風を司る奴らの移動速度と移動範囲が、各組織の追跡を振り切っていたのだ』
「・・・・そう、彼女達が速すぎるのさ。現界してから追っていては、誰も彼女たちに追いつけない。だから君が二人に接触できたのは、僥倖中の僥倖とも言える」
「な、なるほど・・・・」
令音は頭をゆらりと動かしてから続けてきた。
「・・・・確かに今は〈フラクシナス〉との連絡が途絶え、〈ラタトスク〉からのサポートが受けられない状況だ。私も今ある機材では、十分な解析は行えない。おそらく近い内にファントム達が襲撃してくる可能性も十分にある。このまま攻略を行うのは、いつも以上にリスキーだろう。だがーーーー悪いことばかりじゃあない」
「って言うと・・・・?」
「・・・・彼女らは今、向こうから君の気を引こうとしているじゃあないか」
「ああ・・・・」
士道は頬に汗を垂らした。そのせいで先程はえらい目に遭ったのだ。
「・・・・極めて遭遇率の低い〈ベルセルク〉相手に、これは願ってもない状況なんだ。この機を逃せば、何の冗談でもなく、耶倶矢と夕弦にはもう二度と会うことができないかもしれない。だから、彼女達の気が変わらないうちに封印を施してしまいたいんだ」
「じゃあ〈ラタトスク〉のサポート無しで、攻略する・・・・って事ですか」
『まぁ、それはそれで、ある意味僥倖とも言えるな』
「えっ・・・・?」
ドラゴンの言葉に士道は首を傾げるが、ドラゴンは構わず説明した。
『良く考えてみろ。今現在〈イフリート〉がいない組織で、司令代理は誰がやっている?』
「それは、神無月さんが・・・・あ」
士道も察した。
琴里が〈ラタトスク〉の本部に出向している以上、〈フラクシナス〉の指揮は副司令である神無月が行っているが、もしこの状況を神無月が見ていたら・・・・。
【士道くん! すぐにあの姉妹にお腹を晒しだして服従のポーズを取り、踏みつけて貰うんです! 踏みつける足の角度と力加減とテクニック! そして自分を見下ろす蔑んだ2人の視線と罵倒の威力から勝敗を決めましょう!!】
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんて、自分の趣味嗜好と性癖全開の神無月の指示が出る事が容易に想像し、士道は渋面を作った。
『あの排泄物の事だ。〈イフリート〉がいない事を良いことに碌でもない選択肢しか出さんぞ』
確かにその通りだ。前回の琴里の攻略の時も、碌でもない指示を出していたし、後で川越達他のクルーから、士道がインカムを外して琴里とアトラクションを楽しんでいる時も、趣味嗜好全開の指示を喚きまくって、クルー一同、士道がインカムを外して正解だったと聞いた。
『精霊の精神状態が分からんのは痛いが、暴走する排泄物<神無月>を強制的に黙らせる人間がいない以上、むしろこの状況は不幸中の幸いと言えるな」
ちなみに現在〈フラクシナス〉では、神無月が琴里が普段座っている司令席の椅子を恍惚とした表情で頬擦りし、川越達から汚物を見るような目でドン引きされていた。
「・・・・まぁソレは置いておくとして。実はもう1つ、彼女らを攻略する上で問題となる事がある」
「問題となること・・・・て言うと?」
令音も神無月の性癖と性格は知っているので、深く追及しなかった。
令音の言葉をドラゴンが継ぐ。
『“2人いる〈ベルセルク〉のどちらかに口付けして封印を行えば、何が起きるのか?” と言った所か?』
「その通り」
「あ・・・・」
封印の為にキスしたなら、キスされた方が決闘の勝者となるが、勝者は勝利の瞬間に霊力を失い、敗者がその決着に納得せず暴れ出せばーーーーそれを止める者もいなくなってしまう。
『(小僧が戦えば止められるかも知れんが、この壊滅的に甘ちゃんの事だ。何もできんだろうな)』
それから片方に隠れてキスする事も思案されたが、元々同一の精霊だった2人の間霊力の経路が通っている可能性があるので、片方を封印した事を気付かれる可能性もあるので却下された。
士道が難しげな顔となると、令音が腕組みしながら首を前に倒す。
「・・・・ああ。今日の昼間、話をした際、彼女達と1つの取り決めを交わしたのさ。修学旅行最終日ーーーーつまり明後日の朝までに、君に必ずどちらが魅力的かを選択させると」
「明後日・・・・ですか」
「・・・・ああ。2日後に必ず成果を得られるとなれば、彼女達もそう簡単に意趣を返したりはしないだろう? 少なくとも、1日の猶予を稼ぐことができる。我々にとっては何より貴重なーーーーデートの時間を」
令音の言葉に、士道はゴクリと息を飲んだ。
「つまり・・・・明日1日で、耶具矢と夕弦をデレさせろ・・・・と? でもーーーー」
「・・・・いや、少し違う」
と、士道の言葉の途中で、令音が首を横に振る。
「・・・・“今回、私は、君をデレさせる”」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「・・・・“だから君は、その上で2人をデレさせてくれ”」
『・・・・随分と、無理難題だな』
令音の言葉に、士道はかなりの間抜け面となり、ドラゴンはそんな滑稽な士道に毒舌を放とうとせず、これからの展開に対して、冷静に思考を巡らせていた。
3号ライダーのバスターと4号ライダーエスパーダ。豪快パパと主人公を知る人間。これからの展開が楽しみです。てか、大地系ライダーって、ウィザードのランド以来じゃないですか?
中々ストーリーが進まない・・・・!