デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚   作:BREAKERZ

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〈フラクシナス〉sideは書きません。神無月の唯一の見せ場を消して、神無月ファンの皆さんごめんなさい。


三つ巴の始まり

ー士道sideー

 

[バインド プリーズ]

 

士道は吹き荒ぶ嵐に飛ばされないように、『バインド』で自分と十香の身体を近くの防波堤に巻き付け、嵐の元凶となっている八舞姉妹に視線を向けた。

凄まじい風の奔流が、耶具矢と夕弦の身体にまとわりつき、二人の衣服が光の粒子に変わり、全身を締め付ける拘束衣が出現し、首と手足に錠が掛けられる。

ーーーー霊装。精霊を守る絶対の鎧。

しかしそれだけで終わらない。

耶具矢は右手を、夕弦を左手を、それぞれ前に掲げる。

 

「〈颶風騎士<ラファエル>〉ーーーー【穿つ者<エル・レエム>】!!」

 

耶具矢の右肩に無機質な翼が生え、そこを起点に右腕に金属のような光沢を持った手甲を構築しーーーーその手に耶具矢の身の丈を優に超える槍が現れた。

 

「呼応。〈颶風騎士<ラファエル>〉ーーーー【縛める者<エル・ナハシュ>】」

 

耶具矢と同時に、夕弦の左肩に無機質な翼が、左腕を鎧が覆い、手の中に先端が菱形の刃が付いた紐、ダウジングに用いるペンデュラムのような武器だった。

耶具矢は槍を、夕弦がペンデュラムの先端に付いた刃をお互いに向けて構え、徐々に“絶望の皹が広がっている”。

士道は顔を青くした。

二人が顕現させたそれは、間違いなく『天使』だった。精霊が誇る最強の武器である。

一瞬で様々な思考が、士道の頭の中を駆け巡る。

『ふざけるな』。二人が発したその言葉の意味。それは二人の秘密を暴露したフェニックスに向けられたものーーーー否、正解は、そうではない。

耶倶矢は夕弦を、夕弦は耶倶矢を刺すような視線で睨み付け、忌々しげに口を開く。

 

「・・・・ふざけた事してくれんじゃないの、夕弦。私を選べですって?」

 

「反論。耶倶矢こそ、何のつもりですか。夕弦はそんな事、頼んだ覚えはありません」

 

その言葉と共に、辺りに渦巻く風がさらに強くなっていく。

 

「ーーーー駄目ね、やっぱり駄目。この決闘方法なら穏便に順当に決着が付くと思ったけど、あんたの阿呆さを計算に入れるのを忘れてたわ」

 

「同意。耶倶矢の馬鹿さ加減には愛想が尽きます。ーーーー結局、こうなるのです。二人で始めた闘いを、誰かの手で終わらせてもらおうだなんて、虫が良すぎたのです」

 

言って、二人が槍を、ペンデュラムを構える。

 

「そうね。やっぱり、最後は私たち二人でやるしかないみたいね。ちょうどいいわ、今私、生涯最高潮にあんたにむかっ腹立ってるし」

 

「応戦。夕弦もです。耶倶矢の浅慮さに苛立ちと怒りを隠し切れません」

 

「ーーーー決闘方法は」

 

「当然。知れたことです」

 

耶倶矢と夕弦は、再び同時に口を開いた。

 

 

 

 

『ーーーー倒れた方が、“勝ち”』

 

 

 

 

 

それが示すはただ一つ。

闘わなければ生き残れない、どちらかが倒れるまで止まないーーーー不毛なる闘争。

 

「やめーーーー」

 

士道の制止の声も聞かず、二人は凄まじい風圧を伴って激突した。

 

 

 

 

 

 

ー折紙sideー 

 

突然、ゴゴゴーーーーと、まるで地鳴りのような風の音が外から響き渡ったかと思うと、旅館の外壁がギシギシと軋み始めた。

旅館内の生徒達の反応は様々だったが、当然と言うか、幸いと言うか、風の吹き荒れる旅館の外に出ようとする者はいなかった。

ーーーー鳶一折紙、ただ一人を除いては。

 

「・・・・・・・・」

 

無言で靴を履き、旅館の扉に手を掛ける。

理由は単純明快、士道を探していたところ、山吹亜衣から十香が士道を連れて外へ行くのを見たとの情報を得たのである。

そこからの行動は速やかだった。

トランプに誘う亜衣の手を振り切り、途中で珠恵教諭の制止を振り切り、旅館の出入り口まで走ってきたのである。嵐程度では折紙の士道への愛を止める事は出来なかった。

十香と二人きりというのも果てしなく気に入らないが、それ以前にこんな嵐の中、海から程近い旅館の外にいるだけでも危険である。早く連れ戻さねばならないだろう。

風は強かったが、歩けないほどでは無い。折紙は外へ歩いて行きーーーー。

 

「・・・・・・・・ッ!?」

 

背後に気配を感じ、咄嗟にその場から飛び退いた。

瞬間、折紙が今までいた場所から、ガシャン、という金属音が聞こえてくる。

 

「な・・・・・・・・」

 

そこにはーーーーASTの正式採用装備、CRーユニットを纏った、無機質な外装と歪な手足をした人の形をした、ロボットと形容される機械が立っていた。

 

「く・・・・」

 

人型の人形は顕現装置<リアライザ>を発動させ、随意領域<テリトリー>を展開して折紙を捕らえようとするが、相手は『〈ラタトスク〉の戦闘員を1人で制圧した女』である折紙である。そう簡単にはいかない。

しかしーーーそのとき。

 

「・・・・鳶一折紙、何をしているんだい。外は危ない、早く旅館へ戻るんだ」

 

折紙が来た道から令音がやって来た。

 

「ーーーーっ、先生、戻ってーーーー」

 

が、折紙が言い終わるよりも早く、人型機械は標的を令音に変えたのか、凄まじい勢いで丸太のような腕を振りかぶり、令音に突進する。

 

「くーーーー」

 

折紙は咄嗟に地面を蹴り、令音を突き飛ばした次の瞬間。

 

「かーーーーは・・・・っ」

 

人型の重い一撃が折紙の腹部に当たり、折紙は軽々と後方へ吹き飛ぶ。

脇腹が酷く痛む。呼吸も苦しい。意識が朦朧となり目が霞む。

 

「先生・・・・早く、逃げ・・・・」

 

視界に映る令音の背後に人型の影が迫るのと同時に、折紙の意識は闇に落ちたーーーー。

 

 

 

ー八舞sideー

 

その頃、士道達がいる或美島の北街区と南部地域では、二人の精霊の大喧嘩により、嵐が吹き荒れていた。

 

「ーーーー前ッから思ってたのよ!あんたは自分一人で抱え込んで処理しようとして!結局自分が損ばっかして!」

 

すでに海岸から移動していた耶倶矢が、叫びながら巨大な槍を突き出すと、槍の先端部がドリルのように回転し、竜巻を生み出し、撫で切りするように夕弦に向かって槍を薙ぐ。

 

「反論。その言葉、熨斗とリボンで過剰包装して耶倶矢に突き返します・・・・!」

 

しかし夕弦はそんな破壊的な暴風を見ても冷静な様子で耶具矢に返すと、左手を複雑に動かした。

すると握っていたペンデュラムが、まるで意思を持ったかのように蠢き、夕弦の前に方陣のようなものを組んで、耶具矢の竜巻を難なく防ぐと、再び紐状に戻し、夕弦の身体の周囲に螺旋状に渦巻く。

 

「あんたは優しすぎんのよ! せっかく私が主人格の座を譲ってあげようってんだから、大人しく受け取っとけばいいの!」

 

「拒否。夕弦は初めから、主人格になる気などありませんでした」

 

「・・・・ッ、今までの勝負で私が上手く負けるのにどんだけ苦労したと思ってんのよ!」

 

「反論。それは夕弦も同じです。せっかく黒星を稼ごうとしても、耶倶矢が攻めてこなくて焦れたのは一度や二度ではありません」

 

「八舞は万象薙伏せる颶風の王! それに相応しいのはあんたしかいないじゃない!」

 

「否定。それは違います。真の八舞の名は、耶倶矢こそが得るべきです」

 

「っ、私より飛ぶの速いくせに!」

 

「否定。夕弦より耶倶矢の方が力が強いです」

 

「私よりスタイルいいくせに!」

 

「否定。耶倶矢の方が肌が綺麗です」

 

「私より可愛いくせに!」

 

「反論。それは譲れません。夕弦より耶倶矢の方が可愛いに決まってます」

 

口喧嘩のような、そうでないような言葉を交わしながら、高速回転する耶倶矢の槍と、剣のように編まれた夕弦の鎖が打ち合わされる。威力は全くの互角。衝撃の瞬間、周囲に風が荒れ狂い、二人を追っていた士道と十香に襲いかかってきた。

 

「く・・・・!」

 

「ぬぉ・・・・!」

 

足で力強く踏ん張りながら、どうにかそれに耐える。

精霊の加護がなければ、今頃は士道もこの風に吹き飛ばされていただろう。そう確信できるほどに、二人の戦いはーーーー正確に言えば、それによって巻き起こされる副産物的被害は凄まじいものだった。

だが、それよりも。

 

「なんで・・・・」

 

お互いに相手に生き残って欲しいと慮っていた。

それこそーーーー互いの為なら、命すら惜しくないほどに。

それなのになぜ。

 

「なんでーーーーこんなことになるんだよ・・・・!!」

 

士道は喉を潰さんばかりに声を張り上げた。

 

「やめろっ! 二人とも! お前ら、お互いの事が大好きなんじゃねえか!」

 

叫んでも、二人には届かない。

攻防に夢中になっているのかーーーーあえて無視しているのか判別はできないが、二人は未だ激しい戦いを繰り広げいているのは確かだった。

 

≪何をやっている! さっさと変身して二人を止めろ!≫

 

「ぐ・・・・っ」

 

人間相手に、それこそ精霊相手でも魔法を使いたくなかったが、この状況では仕方ないと考えた士道は、ウィザードリングを翳そうとするがーーーー。

 

『おいおい、せっかく盛り上がっているってのに、余計な真似をするなよ』

 

「っ! フェニックス・・・・!」

 

声がした方に目を向けると、フェニックスファントムが荒れ狂う風の中を悠然と歩いてきた。

十香は首にネックレスとして下げていた『サンダルフォンリング』を取り外し指に嵌め、士道が『コネクト』で取り出したおいた『スピリッドライバー』を持って、いつでも変身できるように構える。

 

「テメェ・・・・何でだっ! 何でお前が耶具矢と夕弦の秘密を知っていたんだっ!?」

 

二人と秘密は自分やドラゴン、そして会話をインカム越しで聞いていた令音だけ、何故フェニックスが知っていたのか、士道が問い詰めると、フェニックスの両隣に、2体のファントムが現れた。

『ガーゴイルファントム』と『ヴォジャノーイファントム』だ。

ガーゴイルを見た瞬間、士道は目を見開いた。或美島に来てすぐ遭遇し、倒したと思ったファントムが現れたからだ。

 

「お前! あの時の!!」

 

『どうもッス、指輪の魔法使い。いや~あの時は危なかったッス。俺にこの『能力』が無かったら!』

 

そう叫んだガーゴイルの身体が、ピシッと、音をたてると、ガーゴイルの身体が石のように固まって、いや、まるっきり石そのものに変身した。

 

≪そうか。以前戦ったヘルハウンドが『影に隠れる能力』があったように、あのファントムも『石化能力』で助かったのか。おそらく倒した筈のフェニックスも、何かしらの『能力』で甦ったのだろうな・・・・≫

 

「っ! 『石化能力』・・・・!」

 

「ではフェニックスも、何かしらの『能力』が有るのか?」

 

すでに十香にも経路を繋げているドラゴンの言葉に士道は驚き、十香はフェニックスの『能力』が何かを聞いてきた。

 

≪フェニックス、日本読みで『不死鳥』・・・・なるほどそうか。ヤツの能力は『再生能力』だっ!≫

 

「「『再生能力』っ!?」」

 

『おっ! 気づいたか? そう! 俺の能力は『再生能力』! 何度倒されても復活できるのよ! し・か・も、さらに強くなってなぁっ!!』

 

ーーーーゴォオオオオオオオオオオオ!!

 

「っ!!」

 

吹き荒れる嵐の中にあるなど関係無いと言わんばかりに、自身の身体から業火の炎と燃え上がるような魔力を迸らせるフェニックスの迫力に、士道は思わず後退りしてしまった。

 

「(倒しても復活するファントム・・・・! それもさらに強くなるだなんて、そんなとんでもないヤツを相手にどうやって倒せば良いんだよ・・・・!)」

 

フェニックスの能力に士道は弱気になるが、十香は前に出て、フェニックスに鋭い視線で真っ直ぐに見据える。

 

「では貴様はどうやって、“耶具矢と夕弦の秘密を知り得たのだ”?」

 

「と、十香・・・・」

 

十香もバカではない。フェニックスの能力の恐ろしさを分かってもなお、立ち向かう毅然とした姿勢が、士道の折れかけた心を踏ん張らせた。

 

≪・・・・まったく、〈プリンセス〉の方がよっぽど肝が座っているな? 貴様とは雲泥の差だ≫

 

「(う、うるせぇ・・・・!)」

 

士道とドラゴンの喧嘩など露知らず、フェニックスは得意そうに声を発した。

 

「ハハハハハハ・・・・。ヴォジャノーイ!」

 

「へいへい」

 

ヴォジャノーイと呼ばれた初めて見たファントムが前に出てくると、なんとヴォジャノーイの身体が、“液状へと変化した”。

 

「な、なんだあれっ!?」

 

「身体が、まるで溶けたチョコレートみたいにドロドロになったぞ・・・・!」

 

士道と十香が驚くが、ドラゴンがただ1人(?)冷静に口を開いた。

 

≪なるほど、あのヴォジャノーイと呼ばれるファントムは、“『リキッド』のような『液状化能力』”が使えるようだな≫

 

「自分の身体を、液状化させた・・・・!」

 

『その通りよ! ここは海に囲まれた孤島! 液状化したヴォジャノーイには持ってこいの場所だったぜ! なぁ!?』

 

『ヘヘヘヘヘ! チョイと指輪の魔法使いに嫌がらせでもしてやろうかとテメェの近くを彷徨いていたら、〈ベルセルク〉の話を聞いたんでな! 棚からぼた餅どころか、金一封が出てきやがった!』

 

「なん、だと・・・・?」

 

≪なるほどな。身体を液状化させる能力ならば、我でも中々感知できないほどにファントムの気配を希薄させる事もでき、砂の中やらを移動し、水道管の中を移動する事もできる・・・・!≫

 

「水道管・・・・・・・・っ!! まさか! 耶具矢と夕弦が俺にお互いの本音を話したとき!」

 

『そうさ! あの時俺も水道管の中でそれを聞いたって寸法よっ!』

 

トイレの水道管から士道と耶具矢と夕弦の会話を盗み聞きをしていたヴォジャノーイが、その内容をフェニックス達に話したと言う事を理解した。

 

「お前らそれを知ったから、耶具矢と夕弦が戦うように、こんな事をしたのか・・・・!」

 

『あぁ? 当たり前だろうが! せっかくこんな面白ぇ状況なんだからよぉ!』

 

二人のお互いを慮った目的を土足で明かしたファントム達に、士道は怒りが込み上がってくる。

 

[ドライバーオン プリーズ]

 

[ドライバーセット!]

 

隣を見ると、十香も鋭い視線でフェニックス達を睨むと、『スピリッドライバー』を起動させていた。

とーーーー。

 

「シドー! 気を付けろ! 他にも何かがいるぞ!」

 

「な・・・・」

 

十香が声を発っして、士道が周囲を見回すと、自分達やファントム達を取り囲むように、10体の人影、否ーーーーCR-ユニットのようなパーツを付けた機械の人形達が、猫背気味の姿勢でジリジリと距離を詰めてきた。

 

『フェ、フェニックス様! コイツらなんスか?』

 

『ASTみたいな武装してますよ?』

 

『はっ! なるほどな。前にメデューサに聞いた事があるぜ。ASTのような小蠅共にオモチャを与えている企業が有るってよ・・・・!』

 

≪ASTの? ぬっ・・・・≫

 

「(ドラゴン?)・・・・っ!!」

 

ドラゴンが何か言いかけたが急に黙ってしまい、士道は少し気になったが、人形の陰から歩み出た1人の少女を見て驚くーーーー随行カメラマンの、エレン・メイザースだった。

 

「DD-007〈バンダースナッチ〉・・・・と言っても、分からないでしょうか」

 

「エレン・・・・さん?」

 

「ぬ、お前は・・・・」

 

士道と十香がほぼ同時に声を発すると、エレンは大仰に首肯した。

 

「漸く人気の無い所に来てくれましたね、士道さん。十香さん。しかし、驚きました。まさかあの二人が精霊ーーーーしかも、優先目的である〈ベルセルク〉に、『古の魔獣ファントム』と来たものです。積もり積もった不運の代償としては、十分以上のお釣がきますね」

 

「っ・・・・」

 

ーーーー今耶具矢と夕弦を〈ベルセルク〉と呼び、フェニックス達を『魔獣ファントム』と呼んだ。

 

「あんた・・・・一体何者だ。まさかAST・・・・!?」

 

「! ほう・・・・」

 

士道が忌々しげに叫ぶと、エレンは眉を動かした。

 

「陸自の対精霊部隊の事をご存知ですか。ーーーーしかし、残念ながら外れです」

 

≪来るぞ! 変身だっ!!≫

 

言ってエレンが手を掲げると、それに合わせて、〈バンダースナッチ〉と呼ばれた機械の人形達が一斉に姿勢を低くし、士道と十香に向かって飛びかかってきた。

 

「「変身っ!!」」

 

[フレイム プリーズ ヒーヒー ヒーヒーヒー!!]

 

[プリンセス プリーズ!]

 

ドラゴンが叫ぶと、士道と十香はすかさずウィザードとプリンセスに変身する。

 

『うおらぉっ!!』

 

[ビック プリーズ]

 

そしてフェニックスが自分達に迫ってきた敵を炎で燃やし、ウィザード<士道>が『ビック』の魔法で腕を大きくすると、飛びかかってきた〈バンダースナッチ〉達を凪ぎ払った。

 

「っ! あれが〈仮面ライダー〉、イエ、『古の魔法使い』・・・・! しかも〈プリンセス〉も〈仮面ライダー〉に!?」

 

変身した士道と十香にエレンは僅かに目を見開いて、驚いたような表情を作る。

 

[コネクト プリーズ]

 

ウィザード<士道>がウィザードソードガン・ガンモードを取り出すと、フェニックス達に向けて銀の弾丸を放ち、フェニックス達がそれを防いだ。

 

[サンダルフォンブレード]

 

プリンセス<十香>は専用武器・『サンダルフォンブレード』を取り出すと、エレンに切っ先を向ける。

 

「お、おい十香、いくらなんでも生身の人間に武器はーーーー」

 

「違う」

 

「え・・・・?」

 

≪分からんのかこの愚図めが・・・・! この女、ただの人間ではないぞ・・・・!!≫

 

仮面越しで十香は緊張に満ちた面持ちで、ドラゴンはまるで初めて狂三と遭遇した時のように警戒心MAXでエレンを睨んでいた。

 

「こうして向かい合って見て初めて気付いた。ーーーーあの女、物凄く嫌な感じがする。そう・・・・ASTの気配を極限まで濃くした感じだ」

 

と、十香の言葉に合わせるように、エレンが初めて唇の端に笑みらしきものを浮かべた。

 

「面白い表現をしますね」

 

言いながら、エレンが十香を挑発するように悠然と両手を広げた。

すると同時に、エレンの身体が淡い輝きに包まれ、一瞬後に、その身にワイヤリングスーツとASTとは形状が異なる、まるで機械の甲冑のようなパーツと、背に装着された巨大な剣型の装備があった。

 

「! な・・・・」

 

『へぇ~、他の小蠅よりはマシなようだな?』

 

「ーーーー〈バンダースナッチ〉隊、〈仮面ライダー〉とファントムの相手をしなさい。音に聞こえた〈プリンセス〉がどれ程のものか、少し試させていただきます」

 

〈バンダースナッチ〉はウィザード<士道>とフェニックス達に向かい、ウィザード<士道>はウィザードソードガン・ソードモードで、フェニックス達はそれぞれの武器で応戦した。

そしてエレンは右手で背に備えた剣を抜き、その刀身に光の刃を出現させ、十香に指を向けて挑発するように、クイ、と曲げた。

 

 

 

ー十香sideー

 

≪〈プリンセス〉! 挑発に乗るな! 小僧と連携してーーーー≫

 

「舐めるな・・・・っ!」

 

ドラゴンの静止を聞かずプリンセス<十香>は地を蹴ってエレンに向かい、同時に『サンダルフォンブレード』を振りかぶり、目にも止まらぬ速さでエレンの脳天に叩き付ける。

がーーーーエレンはその一撃を、片手で握った剣で易々と受け止めた。

 

「おや、そんなものですか?」

 

「く・・・・ッ!」

 

苦悶じみた声を発し、プリンセス<十香>は連続して『サンダルフォンブレード』を振るうが、全て防がれ、傷1つつけられなかった。

 

「はぁッ!」

 

「・・・・・・・・こんなものですか、〈プリンセス〉」

 

「な、なんだと!?」

 

「せっかく〈ペンドラゴン〉まで装備したきたのですがーーーー必要無かったようですね。期待外れです。終わりにしましょう」

 

言って、エレンが巨大なレイザーブレイドをプリンセス<十香>に向かって振り下ろす。

 

「くーーーー」

 

プリンセス<十香>は受け止めようと『サンダルフォンブレード』を構える。がーーーー。

 

「「え・・・・?」」

 

次の瞬間、エレンの剣撃を受け止めた『サンダルフォンブレード』の刀身が、いとも容易く砕け散り、ウィザード<士道>とプリンセス<十香>が呆然とした声を漏らした。

 

「なん・・・・だとーーーー」

 

短い苦悶の後、エレンの攻撃はプリンセス<十香>の身体を軽々と後方に吹き飛ばした。

 

「十香!!」

 

[エクステンド プリーズ]

 

〈バンダースナッチ〉の一体を切り捨てたウィザード<士道>は、『エクステンド』で腕を伸ばし、プリンセス<十香>の細い腰に巻き付け、自分の元に引き寄せた。

 

「大丈夫か十香!?」

 

「す、すまんシドー・・・・」

 

何とか立ち上がるプリンセス<十香>は素手で〈バンダースナッチ〉に構える。

 

 

 

ーエレンsideー

 

「興醒めです。早く昏倒させて〈アルバテル〉にーーーー」

 

『ハッハァーーー!!』

 

「っ! くッ!」

 

十香に興味を失ったように、プイッと顔を背けようとしたエレンに、フェニックスが大剣を振り下ろし、それをレイザーブレイドで受け止めたエレンは、初めて苦悶の声を漏らした。

 

「魔獣、ファントム・・・・!」

 

『なるほどなっ! お前が『DEM』って言う小蠅共の上役って事だなぁ? 俺も楽しませてくれよ!!』

 

「・・・・良いでしょう。『伝承の魔獣』がどれほどか、見せてもらいます・・・・!」

 

エレンはそのままフェニックスと交戦を始めた。

 

 

ー士道sideー

 

〈バンダースナッチ〉と交戦するウィザード<士道>とプリンセス<十香>。

少し先にはガーゴイルとヴォジャノーイが、〈バンダースナッチ〉を苦もなく破壊していた。

 

≪小僧。『コネクト』を使え≫

 

「えっ? 『コネクト』を?」

 

≪先ほど〈ハーミット〉から連絡があった。新しいリングが出来たのだ。〈ハーミット〉をイメージして『コネクト』を使うのだ。〈ハーミット〉にも状況は伝えている。急げ!≫

 

「わ、分かった!」

 

[コネクト プリーズ]

 

ウィザード<士道>か『コネクト』を使用し、いつもよりも大きめの魔法陣を展開して手をいれると、自分の手を誰かが握り、それを不審に思いながら引き抜くとーーーー。

 

[ザドキエルファング]

 

「えっ?」

 

魔法陣から出てきた仮面の人物が、青い冷気の塊が〈バンダースナッチ〉に放ち凍りつかせた。

 

「よ、四糸乃!? よしのん!?」

 

「ハァイ士道くん♪ ドラゴンくんから聞いたけど、なぁんかヤバい状況っぽいじゃん♪」

 

≪た、助けに来ました・・・・!≫

 

魔法陣から現れたのは、四糸乃が変身する仮面ライダーハーミットだった。

 

「おお! 四糸乃! よしのん!」

 

「はぁい十香ちゃん♪ 助っ人に来たよー! 士道くん。輪島のおじさんからだよ♪」

 

ハーミット<よしのん>が士道に、『2つのリング』を手渡した。

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